JP2010156619A - 金属分析の前処理方法及び前処理装置 - Google Patents

金属分析の前処理方法及び前処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属分析をケイ素成分に邪魔されることなく、より簡便で安全に、そして金属濃度を正確に測定することができることを可能とする金属分析の前処理方法を提供する。
【解決手段】ケイ素成分を含むアルカリ溶液が収容されるアルカリ溶液槽50からサンプリングしたアルカリ溶液に酸を添加するpH調整手段2と、pH調整手段2によりpH調整された溶液をキレート樹脂又はキレート繊維に接触させて溶液中から金属を除去することができる固相抽出手段3と、金属を捕捉した固相抽出手段3にアルカリ洗浄液を供給してキレート樹脂又はキレート繊維を洗浄するアルカリ洗浄手段4と、アルカリ洗浄したキレート樹脂又はキレート繊維に溶出剤を供給して、固相から金属を溶出させる金属溶出手段5と、を有する金属分析の前処理装置1及びそれを用いた前処理方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、ケイ素成分を含有するアルカリ溶液中の金属分析の前処理方法及び前処理装置に関し、キレート樹脂又はキレート繊維により固相抽出を行った後に、アルカリ洗浄液により固相を洗浄して金属の分析を正確に行うことができるようにした金属分析の前処理方法及び前処理装置に関する。
従来、液体試料に対して、その試料中の金属類を分析する方法として、キレート樹脂を用いて分離・濃縮し、その後、原子吸光光度計や質量分析装置(ICP−MS)等の分析装置を用いて分析する方法が行われてきた(例えば、特許文献1、2参照。)。
一方、半導体装置の製造において、シリコンウェハを作成するために高濃度アルカリ溶液を用いてアルカリエッチングを行っているが、このアルカリエッチングを行う際にエッチング槽に収容されるアルカリ溶液は、その溶液中に物、特に金属物が混入すると、シリコンウェハを汚染してしまうため、厳密に管理する必要がある。
特開2006−53001号公報 特開2002−316002号公報
ところが、この高濃度アルカリ溶液中には、エッチング対象のシリコンウェハを浸漬して行っているため、ケイ素がアルカリ溶液中に溶解したり、さらに、そのケイ素が酸化されてケイ素酸化物となったりする等、ケイ素成分が含有されることとなっていた。
このようにケイ素成分を含有するアルカリ溶液中の金属濃度を測定するために、従来公知のキレート樹脂又はキレート繊維を用いて金属成分を分離しようとすると、ケイ素成分が、中和工程においてゲル状になりやすく、また、ゲル状とならない場合でも、微細な粒子がアルカリ溶液中に混在するため、これがキレート樹脂又はキレート繊維による測定対象の金属の分離、除去において悪影響を及ぼし、測定がうまくいかない場合があった。
また、ケイ素を除去する方法としては、フッ酸及び硝酸を用いてケイ素をフッ素化合物として気化させて溶液中から除去する方法もあるが、このとき用いるフッ酸は腐食性が強く危険であるし、このとき発生するフッ化ケイ素は毒性を有するものであるから、その作業は注意して行わなければならない。
そこで、本願発明は、ケイ素成分を含有するアルカリ溶液中の金属の濃度を測定する金属分析の前処理方法であって、金属分析をケイ素成分に邪魔されることなく、より簡便で安全に、そして金属濃度を正確に測定することができることを可能とする金属分析の前処理方法を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討した結果、キレート樹脂又はキレート繊維による金属成分の固相抽出においてアルカリ溶液による洗浄操作を行うことでアルカリ溶液中に含有されるケイ素成分による影響を受けずに金属の分析を行うことができることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の金属分析の前処理方法は、ケイ素成分を含むpH10.5以上のアルカリ溶液中の金属濃度を測定する金属分析の前処理方法であって、アルカリ溶液に酸を添加してpHを10.5未満にするpH調整工程と、pH調整工程で得られた溶液を、キレート樹脂又はキレート繊維と接触させて、溶液中から金属を抽出する固相抽出工程と、固相抽出工程で金属を捕捉したキレート樹脂又はキレート繊維をアルカリ洗浄液で洗浄する洗浄工程と、洗浄工程でアルカリ洗浄したキレート樹脂又はキレート繊維を溶出剤と接触させてキレート樹脂又はキレート繊維から金属を溶出させる溶出工程と、からなることを特徴とするものである。
また、本発明の金属分析の前処理装置は、ケイ素成分と金属を含むpH10.5以上のアルカリ溶液が収容されるアルカリ溶液槽と、アルカリ溶液槽に収容されているアルカリ溶液をサンプリングするサンプリング手段と、サンプリング手段によりサンプリングしたアルカリ溶液に酸を添加してpH10.5未満にするpH調整手段と、pH調整手段によりpH調整された溶液と接触することで、溶液中から金属を抽出することができるキレート樹脂又はキレート繊維が充填された固相抽出手段と、金属を捕捉した固相抽出手段にアルカリ洗浄液を供給してキレート繊維又はキレート繊維をアルカリ洗浄するアルカリ洗浄手段と、アルカリ洗浄された固相抽出手段に溶出剤を供給して、固相抽出手段から金属を溶出させる金属溶出手段と、を有することを特徴とするものである。
本発明の金属分析の前処理方法及び前処理装置によれば、ケイ素成分を含有するアルカリ溶液中の金属の濃度を、ケイ素成分による影響を受けることなく、正確に測定することができる。また、毒性の強い試薬等を使用することなく処理を行うことができるため、簡便な装置構成で、安全に処理を行うことができる。
以下、本発明の金属分析の前処理方法及び前処理装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施形態)
以下、本発明における第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である金属分析の前処理装置を示した図である。この金属分析の前処理装置1は、ケイ素成分と金属を含むpH10.5以上のアルカリ溶液が収容されるアルカリエッチング槽50と、このアルカリエッチング槽50からサンプリングしたアルカリ溶液に酸を添加してpH10.5未満にpH調整を行うpH調整手段2と、pH調整手段2によりpH調整された溶液から、測定対象である金属を抽出する固相抽出手段3と、金属を捕捉した固相抽出手段3にアルカリ洗浄液を供給してアルカリ洗浄するアルカリ洗浄手段4と、アルカリ洗浄した固相抽出手段3に溶出剤を供給してキレート樹脂又はキレート繊維から金属を溶出させる金属溶出手段5と、から構成されるものである。
ここで、pH調整手段2は、アルカリエッチング槽50からサンプリングした測定対象であるアルカリ溶液に、酸を添加してpHを調整するものであり、酸溶液の供給を行うものである。ここでpH調整後の溶液のpHは、後段のキレート樹脂又はキレート繊維における金属成分の捕捉を効率的に行うために10.5未満とするものであり、酸性側にすることが好ましく、さらにケイ素成分のゲル化を防止するため、pH1〜5とすることがより好ましい。
また、アルカリ溶液を中和するために用いる酸としては、硝酸、塩酸、硫酸等の公知の酸を用いることができるが、分析対象である金属と沈殿物や錯体等を形成することが少ない硝酸であることが好ましい。
このとき、シリコンウェハのエッチングで使用されるアルカリ溶液はシリコンの溶解が起こるpH10.5以上であり、通常はpH14以上の高濃度アルカリ溶液が用いられる。これをpH調整することにより、大部分が反応不活性な水酸化物や水酸化物コロイドとして存在する金属の形態が、陽イオンやキレート形成が可能な水酸化物となり、後段のキレート樹脂又はキレート繊維で捕捉することができるようになる。
次に、固相抽出手段3は、pH調整手段2でpH調整された溶液に含有される金属を捕捉して、溶液中から除去するものであり、この固相抽出手段3としては、キレート樹脂又はキレート繊維が用いられる。ここで用いられるキレート樹脂及びキレート繊維としては、公知のものであれば特に制限されずに用いることができ、分析対象とする金属成分により適したものを選択すればよい。この固相抽出手段3は、キレート樹脂又はキレート繊維をカラム等に充填した形態で使用するのが一般的である。
このキレート樹脂又はキレート繊維として用いられるキレート形成能を有する官能基としては、例えば、イミノジ酢酸基、イミノジプロピオン酸基、ポリアミン基、メチルグルカミン基、エチレンジアミン誘導体類等が挙げられる。なかでも、カルボキシル基において重金属類イオンとキレート結合することができるものであることが好ましく、例えば、多孔性の架橋ポリスチレン基体、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体やカルバミン酸系樹脂等にイミノジ酢酸基やイミノジプロピオン酸基を結合させた樹脂のようなキレート樹脂が好ましい。
イミノジ酢酸基を有するキレート樹脂の具体例としては、ダイヤイオンCR11(三菱化学株式会社製、商品名)、アンバーライトIRC748(ローム&ハース社製、商品名)、エポラスMX−10(ミヨシ油脂株式会社製、商品名)、ピュロライトS930(ピュロライト・インターナショナル株式会社製、商品名)等が、イミノジプロピオン酸基を有するキレート樹脂の具体例としては、エポラスMX−8,8C(株式会社モリテックス製、商品名)等が挙げられる。
また、ポリアミン基を有するキレート樹脂の具体例としては、ダイヤイオンCR20(三菱化学株式会社製、商品名)等が、メチルグルカミン基を有するキレート樹脂の具体例としては、ダイヤイオンCRB03、CRB05(三菱化学株式会社製、商品名)等が、エチレンジアミン誘導体類を有するキレート樹脂の具体例としては、NOBIAS CHELATE−PA1F(日立ハイテクノロジー社製、商品名)等が挙げられる。
このようなキレート樹脂 は金属イオン捕捉能という点においては、重金属類イオン>アルカリ土類金属イオン>アルカリ金属イオンであり、重金属類イオンに対して高い選択性を有しており、アルカリ金属イオンとはほとんど反応しないことが知られている。そのため、重金属類イオンをICP−MS等の分析装置を用いて分析する場合は、予めキレート樹脂で重金属類イオンのみを抽出し、分析の阻害要因となるアルカリ金属イオンを除去する前処理が行われる。
次に、アルカリ洗浄手段4は、金属を捕捉した固相抽出手段3にアルカリ洗浄液を供給して固相抽出手段3のキレート樹脂又はキレート繊維を洗浄するものであり、測定対象である金属を捕捉したまま、その他の測定対象ではない成分、特にケイ素成分を洗浄し除去するものである。このとき、アルカリ洗浄液としては、pH10.5以上のアルカリ洗浄液であることが好ましく、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウム、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられるがケイ素成分を溶解除去することができる洗浄液であれば限定されるものではない。
そして、金属溶出手段5は、アルカリ洗浄した固相抽出手段3に、溶出剤を供給することで、固相抽出手段3のキレート樹脂又はキレート繊維に捕捉された金属を溶出させるものである。このとき、溶出剤としては酸溶液が用いられ、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。ここで溶出した溶出液は、その後、金属分析装置により濃度等の分析に用いられる。
次に、図1の金属分析の前処理装置1を用いた前処理方法について説明する。
測定対象のアルカリ溶液は、シリコンウェハのエッチングを行うアルカリエッチング槽50に収容されているアルカリ溶液である。このアルカリ溶液は、48%水酸化ナトリウム水溶液や48%水酸化カリウム水溶液が用いられるのが一般的で、強アルカリの水溶液であり、エッチングはこのアルカリ溶液を70℃以上に加熱して行われる。
このアルカリエッチング槽50でエッチングが行われると、シリコンウェハからケイ素が溶解するため、ケイ素とその酸化物等のケイ素化合物が分析対象のアルカリ溶液中には存在するようになる。また、分析対象は、エッチングで使用するアルカリ溶液の主成分であるナトリウムやカリウム以外の金属であるが、特にシリコンウェハに悪影響を及ぼす銅やニッケル等の重金属類が主となる。これらの金属は、配管や継手等の接触部分から混入する場合や周囲の環境から混入する場合、エッチングで用いるアルカリ溶液の製造原体に由来する場合やその製造工程時に混入する等、様々な可能性があり、このような金属が存在するとシリコンウェハが汚染され半導体装置の製造に適さなくなってしまうため、アルカリエッチング槽50に収容されるアルカリ溶液が金属を所定濃度以上含んでいないか否かを管理する必要がある。
したがって、本発明の前処理方法においては、まずアルカリエッチング槽50に収容されたアルカリ溶液をサンプリングする。サンプリングは、アルカリ溶液の一部をポンプ等で所定量吸い出せばよい。
このようにサンプリングしたアルカリ溶液は、まず、後述する固相抽出手段3に通液するために、pH調整手段2から酸を添加することで所定のpHに調整するpH調整工程を行う。このとき、pHは後段の固相抽出手段3で金属を捕捉するために10.5未満にするものであり、酸性にすることが好ましく、さらにケイ素成分のゲル化を防止するため、pH1〜5とすることがより好ましい。図示してはいないがpH調整槽を設けてもよい。
なお、このpH調整工程の前に、アルカリ溶液中にケイ素成分が固体として析出する場合がある。これは、アルカリエッチングを70℃以上という高い温度で行い、サンプリングして前処理を行う際に、例えば室温(25℃)程度に温度が低下すると、室温での飽和溶解度以上に溶解していたケイ素化合物(ケイ素酸化物)が析出してくるためと考えられ、この場合には、pH調整工程の前に膜ろ過を行ってもよい。膜ろ過は、ろ紙、精密ろ過膜(MF)、限外ろ過膜(UF)により行うことができる。
また、このpH調整工程の前に、さらにイオン状のケイ素成分を除去するために、吸着ろ過を行ってもよい。吸着ろ過は、上記膜ろ過で除去が困難である微細な粒子や溶液中に溶解しているイオン状のケイ素成分を除去するものであり、物理吸着、化学吸着のいずれの方法も用いることができ、両者を併用してもよい。
物理吸着は、例えば、アルカリ溶液を樹脂、繊維、活性炭等へ接触させることにより行うことができ、化学吸着は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂等により行うことができ、いずれの方法でもカラム等にそれぞれ樹脂等を充填させたものを用いて、そこにアルカリ溶液を通液すれば良い。
そして、pH調整工程で得られた溶液を、固相抽出手段3に接触させて溶液中の金属を固相抽出手段3に捕捉させ、溶液中から金属を除去する固相抽出工程を行う。このとき、固相抽出手段3は、キレート樹脂又はキレート繊維がカラム等に充填された形態であるのが一般的であり、通常、このカラムに溶液を通液することで固相抽出を行えばよい。
この固相抽出工程では、固相抽出手段3を構成するキレート樹脂又はキレート繊維のキレート形成能を有する官能基が、陽イオンとなった金属をキレート結合により捕捉し、それ以外の成分を固相抽出手段3から流出させることで金属を分離する。
そして、次に固相抽出工程により金属を捕捉した固相抽出手段3をアルカリ洗浄液で洗浄する洗浄工程を行う。この洗浄工程は、アルカリ性の洗浄液で固相抽出手段3を洗浄するが、上記の固相抽出工程においては、金属以外に、溶液中に存在するケイ素化合物(主に、ケイ素の酸化物であって微粒子状のもの)が、キレート樹脂又はキレート繊維に吸着されていると考えられ、これをアルカリ洗浄により洗い流すものである。
このアルカリ洗浄は、アルカリ洗浄手段4からアルカリ溶液を固相抽出手段3に供給して、洗浄し、そのまま流出させればよく、その流出液は廃棄処分される。このときキレート結合により捕捉された金属は、そのまま固定されたままであり、分析対象物のみを分離することができる。
このアルカリ洗浄を行わずに、固相抽出手段3から金属を溶出させてしまうと、その際にケイ素化合物が同時に溶出して、金属分析を正確に行うことができなくなってしまう。したがって、このアルカリ洗浄工程を行うことで、金属の濃度分析を効率的に行うことができるようになったものである。
ここで分離するケイ素化合物の微粒子は、上記pH調整工程の前段で行うような膜ろ過や吸着ろ過を行った場合でも、完全に除去することができず、微粒子状のケイ素化合物が分析結果に影響を与えることがあったが、本発明においてはこの影響をほぼ除去できることがわかった。
そして、アルカリ洗浄を行った後は、通常の固相抽出における溶出と同様に、金属溶出手段5から固相抽出手段3に溶出剤を供給して、固相抽出手段3から測定対象である金属を溶出させる溶出工程を行う。このとき、溶出剤としては酸溶液を用いるものであり、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等を用いることができる。
なお、試料であるアルカリ溶液中にナトリウムが多量に含まれていると、ニッケルや銅等の測定をうまくできない場合があり、この場合には、アルカリ洗浄後に、純水で洗浄する純水洗浄工程を行ってから、溶出工程を行うことが好ましい。
このようにして、溶出させた金属を含む溶出液は、その後、金属分析装置により金属の種類、濃度等の分析を行う。ここで分析装置の種類は公知のものであれば何ら限定されるものではなく、例えば、ICP−MS、ICP−AES、原子吸光光度計、分光光度法、フィルター濃縮法等が挙げられる。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の他の実施形態である金属分析の前処理装置を示した図である。この金属分析の前処理装置11は、アルカリエッチング槽50からサンプリングしたアルカリ溶液に酸を添加してpH調整を行うpH調整手段2と、pH調整手段2によりpH調整された溶液から、測定対象である金属を捕捉する固相抽出手段3と、金属を捕捉した固相抽出手段3を洗浄するためのアルカリ洗浄液を供給するアルカリアルカリ洗浄手段4と、アルカリ洗浄した固相抽出手段3から金属を溶出するための溶出剤を供給する金属溶出手段5と、から構成され、pH調整手段2によりpH調整された溶液を、固相抽出手段3に通液する前に膜ろ過する膜ろ過手段12を有するものである。
図2の金属分析の前処理装置11は、図1の前処理装置1において、pH調整手段2によりpH調整を行った溶液に対して、膜ろ過手段12を設けている点が異なるのみで、他の構成は第1の実施形態と同様である。
第1の実施形態も同様であるが、pH調整手段2によるアルカリ溶液に対するpH調整では、アルカリ溶液中にケイ素成分が含まれていることから、このpH調整の際にケイ素化合物、特にケイ素酸化物、が析出する場合がある。これは、含有するケイ素化合物、例えばケイ素酸化物が、pHが10.5以上とアルカリ性が強い場合はイオン状となって溶解しているが、pH調整手段によりpHが低くなるにつれ固形分として析出するようになるためである。
そこで、本実施形態においては、固形分として析出したケイ素化合物を除去するために、膜ろ過手段12により膜ろ過を行うことで析出した固形分を除去し、その後の固相抽出、溶出、金属分析までを円滑に行うことを可能とし、分析も正確に行うことができるようにしようとするものである。
なお、pH調整の手法により、ケイ素化合物(例えば、ケイ素酸化物)の析出の仕方も異なり、急激にpH3以下というような酸性条件とする場合には、ケイ素酸化物は析出するものの微粒子状の形態のものが多く、沈殿して析出するほどではなく、この場合には膜ろ過では微粒子状の固形分を効果的に除去できない。
そのため、pHを3以上とする場合や、pH調整でpHを3以下にする場合でも緩やかに酸供給を行った場合には、図3に示すように、ケイ素酸化物の水和物であるケイ酸がゲル化し易くなるため、このような条件の場合には、本実施形態のように膜ろ過を行うことが特に有効である。なお、この膜ろ過は第1の実施形態で説明したpH調整前の膜ろ過と同様の方法、手段により行えばよい。
また、ここで膜ろ過に加えて吸着ろ過を行ってもよく、この吸着ろ過も第1の実施形態で説明したpH調整前の吸着ろ過と同様の方法、手段により行えばよい。
このようにして、溶出させた金属を含む溶出液は、その後、金属分析装置により金属の種類、濃度等の分析を行う。ここで分析装置の種類は公知のものであれば何ら限定されるものではなく、例えば、ICP−MS、IPC−AES、原子吸光光度計、分光光度法フィルター濃縮法等が挙げられる。
次に本発明の実施例について説明する。
なお、以下の実施例及び比較例において、シリコンウェハを48%水酸化ナトリウム溶液(旭硝子株式会社製、商品名:スーパーアルカリ)で、80℃以上の温度でエッチングし、シリコンウェハを取出した後の残存した水酸化ナトリウム溶液を試料として用いた。ちなみに、このときの試料のpHは14以上であった。また、試料中に溶解している全ケイ素量及びナトリウムは、純水で希釈した後にICP−AES(SPECTRO社製、商品名:CIROS−120)で測定し、ニッケル及び銅はICP−MS(パーキンエルマー社製 ELAN DRC−II)で測定した。
(実施例1)
試料 4mLに純水 8mLを加え、6Mの硝酸でpHが3.5になるように調整し、その溶液を固相抽出用キレート樹脂カラム(日立ハイテクノロジー株式会社製、商品名:NOBIAS CHELATE−PA1F)に通液した。通液した後のキレート樹脂カラムを純水 10mL、0.1M水酸化ナトリウム溶液 20mL、純水 20mLの順で洗浄した。洗浄後、キレート樹脂カラムに3M硝酸を10mL通液させ、カラム内に捕捉された金属を溶出させた。その後、溶出液中の全ケイ素量及び金属量をICP−AES及びICP−MSで測定した。
(比較例1)
試料4mL中に溶解している全ケイ素量は、純水で希釈した後に、ICP−AESで測定した。また、同じ試料4mL中の金属量は、フッ酸及び硝酸(共に多摩化学株式会社製、電子工業用グレード)を適量添加後に50〜300℃に加温して2〜3時間保持することで、溶存するケイ素成分を気相中に除去した後にICP−AES及びICP−MSで測定した。
(比較例2)
試料 4mLに純水 8mLを加え、その溶液を固相抽出用陽イオン交換樹脂カラム(オルテック株式会社製、商品名:IC−H)に通液した。通液した後の陽イオン交換樹脂カラムを純水10mLで洗浄した。洗浄後、陽イオン交換樹脂カラムに3M硝酸を10mL通液させ、カラム内に捕捉された金属を溶出させた。その後、溶出液中の全ケイ素量及び金属量をICP−AES及びICP−MSで測定した。
(比較例3)
試料 4mLに純水 8mLを加え、その溶液を固相抽出用陰イオン交換樹脂カラム(オルテック株式会社製、商品名:IC−OH)に通液した。通過液中の全ケイ素量及び金属量をICP−AES及びICP−MSで測定した。
(比較例4)
試料 4mLに純水 8mLを加え、6M硝酸でpHが5.5になるように調整した。pH調整後に発生したゲル状のケイ素成分をろ紙(東洋濾紙株式会社製、商品名:5A、φ185mm)で除去し、ろ液を純水で希釈後に全ケイ素量及び金属量をICP−AES及びICP−MSで測定した。
(比較例5)
比較例4のろ紙の代わりに固相抽出用逆相カラム(ジーエルサイエンス株式会社製、商品名:GL−Pak PLS−25A)を用いてゲル状のケイ素成分を除去した後、逆相カラム通過液を純水で希釈し、全ケイ素量及び金属量をICP−AES及びICP−MSで測定した。
(比較例6)
比較例4のろ紙の代わりにメンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製、酢酸セルロース製、孔径0.8μm、φ13mm)を用いてゲル状のケイ素成分を除去した後、メンブレンフィルター通過液を純水で希釈し、全ケイ素量及び金属量をICP−AES及びICP−MSで測定した。
(比較例7)
試料 4mLに純水 8mLを加え、6Mの硝酸でpHが3.5になるように調整し、その溶液を固相抽出用キレート樹脂カラム(日立ハイテクノロジー社製:NOBIAS CHELATE−PA1F)に通液した。通液した後のキレート樹脂カラムを純水20mLで洗浄した。洗浄後、キレート樹脂カラムに3M硝酸を10mL通液させ、カラム内に捕捉された金属を溶出させた。その後、溶出液中の全ケイ素量及び金属量をICP−AES及びICP−MSで測定した。
(参考例1)
まず、試料4mLを純水で希釈し、全ケイ素量及び金属量をICP−AESで測定した。
実施例及び比較例の測定結果を表1に示した。
Figure 2010156619
その結果、実施例1では、キレート樹脂カラムでニッケル及び銅を捕捉し、さらに0.1M水酸化ナトリウムでキレート樹脂カラム内部に吸着したケイ素成分が洗浄除去され、また、純水で余分なナトリウムが洗浄除去されたため精度良く測定を行うことができた。
一方、比較例1では、フッ酸及び硝酸を用いた処理でケイ素成分が除去されていることがわかるが、ナトリウムが多量に共存するため銅が精度よく測定できなかった。比較例2で用いた陽イオン交換樹脂カラムでは、ナトリウムが多量に存在するためニッケル及び銅が捕捉されず、ICP−MSで測定することができなかった。また、比較例3で用いた陰イオン交換樹脂カラムでは、溶存するケイ素成分を除去できず、また、多量のナトリウムの存在により、ニッケル及び銅を精度よく測定することができなかった。
そして、比較例4、比較例5及び比較例6では、pH5.5にすることで発生するゲル状のケイ素及びケイ素化合物をろ紙や逆相カラム、メンブレンフィルターで大部分を除去することができることが示された。しかし残存するケイ素成分や多量に存在するナトリウムによってニッケル及び銅を精度良く測定することができなかった。さらに、比較例7では、キレート樹脂カラムに付着したケイ素成分が純水では十分に洗浄できずに、3M硝酸による金属の溶出操作時に付着したケイ素成分が溶出し、測定精度が低下してしまった。
以上より、本願発明によれば、ケイ素成分を含有するアルカリ溶液中の金属の分析を簡便な分離操作により効率的に行うことができることが分かった。
本発明の第1の実施形態に係る金属分析の前処理装置の概略構成図である。 本発明の第2の実施形態に係る金属分析の前処理装置の概略構成図である。 ケイ酸のpH変化とゲル化時間の関係を示した図である
符号の説明
1…金属分析の前処理装置、2…pH調整手段、3…固相抽出手段、4…アルカリ洗浄手段、5…金属溶出剤手段、50…アルカリエッチング槽、11…金属分析の前処理装置、12…膜ろ過手段

Claims (5)

  1. ケイ素成分を含むpH10.5以上のアルカリ溶液中の金属濃度を測定する金属分析の前処理方法であって、
    前記アルカリ溶液に酸を添加してpHを10.5未満にするpH調整工程と、
    前記pH調整工程で得られた溶液を、キレート樹脂又はキレート繊維と接触させて、溶液中から前記金属を抽出する固相抽出工程と、
    前記固相抽出工程で金属を捕捉したキレート樹脂又はキレート繊維をアルカリ洗浄液で洗浄する洗浄工程と、
    前記洗浄工程でアルカリ洗浄したキレート樹脂又はキレート繊維を溶出剤と接触させて前記キレート樹脂又はキレート繊維から前記金属を溶出させる溶出工程と、
    からなることを特徴とする金属分析の前処理方法。
  2. 前記pH調整前に、膜ろ過及び/又は吸着ろ過を行うことを特徴とする請求項1記載の金属分析の前処理方法。
  3. 前記pH調整後であって、前記固層抽出工程前に、膜ろ過及び/又は吸着ろ過を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の金属分析の前処理方法。
  4. 前記金属が、ニッケル又は銅であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の金属分析の前処理方法。
  5. ケイ素成分と金属を含むpH10.5以上のアルカリ溶液が収容されるアルカリ溶液槽と、
    前記アルカリ溶液槽からサンプリングしたアルカリ溶液に酸を添加してpH10.5未満にするpH調整手段と、
    前記pH調整手段によりpH調整された溶液と接触することで、溶液中から金属を抽出することができるキレート樹脂又はキレート繊維が充填された固相抽出手段と、
    前記金属を捕捉した固相抽出手段にアルカリ洗浄液を供給して前記キレート繊維又はキレート繊維をアルカリ洗浄するアルカリ洗浄手段と、
    前記アルカリ洗浄された固相抽出手段に溶出剤を供給して、前記固相抽出手段から金属を溶出させる金属溶出手段と、
    を有することを特徴とする金属分析の前処理装置。
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