JP2010155493A - 開閉扉用クッション - Google Patents

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正憲 高野
Hirotsugu Sasaki
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Abstract

【課題】荷重の作用方向が変化した場合にも、衝突エネルギの吸収性能の低下を抑制する。
【解決手段】フードクッション22の突出部22Aにおける取付部22Cより上方の部位には充填部50が形成されており、充填部50には、流体としてのシリコンオイル58が充填されている。フードクッション22のキャップ54の上壁部54Aには、脆弱部としての薄肉部60が形成されており、薄肉部60は充填部50の他の外周部に比べて肉厚が薄くなっている。従って、突出部22Aに作用する衝突体荷重の作用方向が変化した場合にも、充填部50の内周部にはシリコンオイル58によって均一の内圧が作用する。このため、充填部50の内圧が所定値以上になった場合には、キャップ54の上壁部54Aが薄肉部60を起点に破断し、突出部22Aが潰れるようになっている。
【選択図】図1

Description

本発明は例えば自動車のエンジンフード等の開閉扉に適用される開閉扉用クッションに関し、特に、開閉蓋の閉塞位置を決めると共に閉める際の衝撃音や振動を低減するための開閉扉用クッションに関する。
従来から、開閉蓋と取付部材との間の隙間を有効に利用して、衝突エネルギの吸収性能を向上するための開閉扉用緩衝装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、エンジンフードへ衝突体が衝突した衝突時に、エンジンフードから車両下方側への入力荷重によって芯部材がクッションゴムから離脱することで、芯部材が離脱した分に応じてエンジンフードの車両下方側への変形ストロークが長くなり、衝突エネルギーの吸収量を増加させることができるようになっている。
特開2008−1154号公報
しかしながら、この開閉扉用クッションでは、衝突時の荷重の作用方向が芯部材の脱落方向に対して傾斜している場合には、衝突時の荷重の作用方向が芯部材の脱落方向と一致している場合に比べて、クッションゴムから芯部材が脱落し難くなる場合がある。このため、衝突時の荷重の作用方向が芯部材の脱落方向に対して傾斜している場合には、衝突時の荷重の作用方向が芯部材の脱落方向と一致している場合に比べて、衝突エネルギの吸収性能が低下する。
本発明は上記事実を考慮し、荷重の作用方向が変化した場合にも、衝突エネルギの吸収性能の低下を抑制できる開閉扉用クッションを提供することが目的である。
請求項1記載の本発明は、開閉扉及び前記開閉扉で閉塞される部位の何れか一方に設けられた有孔の取付部に螺合され、この螺合量を変えることで前記取付部からの突出部の突出高さを調整できると共に、前記突出部で前記開閉扉及び前記開閉扉で閉塞される部位の何れか他方を弾性的に支持する開閉扉用クッションにおいて、前記突出部に形成され、内部に流体が充填された充填部と、前記充填部に形成され、前記開閉扉からの荷重により前記充填部の内圧が所定値以上となった場合に、前記充填部に開口を形成し、前記充填部から前記流体を流出させるための開口形成手段と、を有する。
取付部に取付けられた開閉扉用クッションの突出部に開閉扉からの所定値以上の荷重が作用した場合には、荷重の作用方向に関係なく、突出部に形成された充填部の内圧が上昇する。また、充填部の内圧が所定値以上になると、充填部に形成された開口形成手段が充填部に開口を形成する。このため、開口を通って充填部から充填部の外へ流体が流出し、充填部の内圧が下がると共に衝突エネルギを吸収できる。この結果、荷重の作用方向が変化した場合にも、充填部に開口を形成するタイミングを安定させることができ、衝突エネルギの吸収性能の低下を抑制できる。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の開閉扉用クッションにおいて、前記開口形成手段は、前記所定値以上の内圧によって破断する脆弱部であることを特徴とする。
開口形成手段が充填部の所定値以上の内圧によって破断する脆弱部であるため、開口形成手段の構成が簡単となり、生産性が向上する。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の開閉扉用クッションにおいて、前記開口形成手段は、前記充填部内と前記充填部外とを連結する流路と、該流路に設けられ前記所定値以上の内圧によって閉状態から開状態になる弁であることを特徴とする
開口形成手段が、充填部内と充填部外とを連結する流路と、該流路に設けられ所定値以上の内圧によって閉状態から開状態になる弁であるため、充填部内が決められた内圧となった場合に弁が確実に開き、充填部から流体を流出させることができる。この結果、充填部から流体を流出させる内圧の管理が容易になる。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の開閉扉用クッションにおいて、前記開口形成手段は、前記充填部内に前記流体を充填するための充填用開口部に設けられ、前記所定値以上の内圧によって脱落する栓であることを特徴とする。
開口形成手段が、充填部内に流体を充填するための充填用開口部に設けられ、所定値以上の内圧によって脱落する栓であるため、充填部内への流体の充填が容易であると共に充填部から流体を迅速に流出させることができる。
請求項5記載の本発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の開閉扉用クッションにおいて、前記充填部から流出した前記流体を回収する回収手段を有することを特徴とする。
充填部から流出した流体を回収手段に回収することで、流体が飛散するのを防止できる。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の開閉扉用クッションにおいて、前記充填部の内圧に比べて前記回収手段の内圧が減圧されていることを特徴とする。
充填部の内圧に比べて前記回収手段の内圧が減圧されているため、充填部と回収手段との内圧差によって充填部から流出した流体を回収手段の内部に迅速に回収できる。
請求項1記載の本発明の開閉扉用クッションは、荷重の作用方向が変化した場合にも、衝突エネルギの吸収性能の低下を抑制できる。
請求項2記載の本発明の開閉扉用クッションは、脆弱部の構成が簡単のため、生産性を向上できる。
請求項3記載の本発明の開閉扉用クッションは、充填部から流体を流出させる内圧の管理が容易になる。
請求項4記載の本発明の開閉扉用クッションは、充填部内への流体の充填が容易であると共に充填部から流体を迅速に流出させることができる。
請求項5記載の本発明の開閉扉用クッションは、流体が飛散するのを防止できる。
請求項6記載の本発明の開閉扉用クッションは、充填部から流出した流体を回収手段の内部に迅速に回収できる。
本発明における開閉扉用クッションの第1実施形態を図1〜図8に従って説明する。
なお、図中矢印UPは車体上方方向を示し、図中矢印FRは車体前方方向を示し、図中矢印INは車幅内側方向を示している。
図7には本実施形態に係る開閉扉用クッションが適用された車体前部が車体斜め前方から見た斜視図で示されており、図1には図7の1−1断面線に沿った拡大断面図が示されている。
図7に示されるように、本実施形態の自動車のボデー10においては、前部12の車幅方向両外側上部に左右一対のエプロンアッパメンバ14が設けられている。また、これらの左右一対のエプロンアッパメンバ14は車体前後方向に沿って設けられており、左右一対のエプロンアッパメンバ14の各前端部には、ラジエータサポートアッパ20が車幅方向に沿って架設されている。
左右一対のエプロンアッパメンバ14の前方上部には、それぞれ開閉扉用クッションとしての閉止位置決め用のフードクッション22が取付けられており、左右一対のエプロンアッパメンバ14は、フードクッション22で閉塞される部位となっている。なお、エプロンアッパメンバ14の後方上部には、図示を省略したヒンジを介して開閉蓋としてのエンジンフード24が開閉可能に取付けられており、エンジンフード24によって、エンジンルーム26が開閉可能となっている。
図1に示されるように、エンジンフード24は、エンジンフード24の車体外側部を構成するフードアウタパネル30を備えており、フードアウタパネル30の車体内側部には、フードインナパネル32がフードアウタパネル30に沿って配置されている。また、フードアウタパネル30とフードインナパネル32との間には空間34が形成されており、フードアウタパネル30の外周縁部30Aとフードインナパネル32の外周縁部32Aとはヘミング加工によって互いに結合されている。
図2には、エンジンフード24が開状態のフードクッション22の図1に対応する断面図が示されており、図3には図2の3−3断面線に沿った拡大断面図が示されている。また、図4には、フードクッション22の車体前方斜め上方から見た分解斜視図が示されている。
図4に示されるように、左右一対のエプロンアッパメンバ14における上壁部14Aの前部14Bは、フードクッション22の取付部となっており、それぞれ貫通孔36が形成されている。また、貫通孔36の周縁部には、切欠38が貫通孔36の径方向に沿って一箇所形成されている。さらに、貫通孔36の周縁部は、切欠38を挟んで対向する一方の周縁部38Aから、他方の周縁部38Bにかけて次第に低くなるように傾斜しており、貫通孔36の周縁部には雌螺子の一周が上方向に向かって突出形成されている。このため、フードクッション22は貫通孔36に切欠38を通して螺合可能となっている。
フードクッション22の形状は円柱状となっており、フードクッション22におけの下部側の取付部22Cの外周部には、フードクッション22の軸線方向である長手方向に所定のピッチで螺子溝40が形成されている。即ち、フードクッション22の取付部22Cの外周部には、螺子溝40が刻まれており、フードクッション22の取付部22Cにおける螺子溝40の間が螺子山42となっている。
図1に示すように、エンジンフード24を閉止状態にした場合には、フードクッション22の上端部22Bにフードインナパネル32の下面32Bが当接するようになっており、この際、フードクッション22は軸方向へ弾性圧縮変形するようになっている。
なお、フードクッション22の取付部22Cのエプロンアッパメンバ14への捩じ込み量によって、フードクッション22のエプロンアッパメンバ14から車体上方側への通常状態での突出量(突出部22Aの高さ)H1が調整できるようになっている。
図2に示すように、フードクッション22の突出部22Aにおける取付部22Cより上方の部位には充填部50が形成されている。この充填部50は、フードクッション22の本体51に下方側からフードクッション22の軸線22Dに沿って円柱形状の凹部52を形成し、この凹部52の下方側開口部52Aを、栓としてのキャップ54で気密状態(シール状態)で閉塞している。
より具体的に説明すると、フードクッション22を構成するキャップ54は上壁部54Aを備えた円筒形状となっており、外周部54Bに形成した雄螺子が、フードクッション22を構成する本体51の凹部52の下方側開口部52Aに形成した雌螺子に螺合している。また、キャップ54の下端には鍔54Cが形成されており、この鍔54Cがフードクッション22の下端部22Eに下方から当接することでと、充填部50がフードクッション22における取付部22Cより上方の部位の内部に形成されている。なお、フードクッション22の本体51は、合成ゴム、樹脂等の弾性部材で構成されており、キャップ54は本体51に比べて硬質の樹脂材料で構成されている。
フードクッション22の充填部50には、流体としてのシリコンオイル58が充填されている。なお、シリコンオイル58は温度変化に対して特性の変化が少ない。また、シリコンオイル58は、フードクッション22を製造する際に、凹部52の下方側開口部52Aから注入され、その後、凹部52の下方側開口部52Aにキャップ54が固定されるようになっている。
図3に示すように、キャップ54の上壁部54Aの中心には、開口形成手段である脆弱部としての円形の薄肉部60が形成されている。この薄肉部60は、充填部50の他の外周部に比べて肉厚が薄くなっている。
図2に示すように、キャップ54の上壁部54Aは、外周側から薄肉部60に向かって肉厚Q1が徐々に薄くなっており、充填部50の内側となる上面側が、外周側から薄肉部60に向かって下方へ傾斜した傾斜面となっている。
従って、突出部22Aに作用する衝突荷重の作用方向が変化した場合にも、充填部50の内周部の各部位には、シリコンオイル58によって均一の内圧が作用するようになっており、充填部50の内圧が所定値以上となった場合には、キャップ54の上壁部54Aが薄肉部60を起点にCようになっている。
このため、図5に示されるように、フードクッション22がエプロンアッパメンバ14における上壁部14Aの前部14Bに支持された状態で、エンジンフード24に衝突体Kが斜め上方から衝突した場合にも、充填部50の内周部の各部位には均一の内圧が作用するようになっている。この結果、充填部50の内圧が所定値以上となった場合には、キャップ54の上壁部54Aが薄肉部60を起点に破断し、図6に示されるように、充填部50からシリコンオイル58が流れ出し、フードクッション22の突出部22Aが潰れるようになっている。
次に、本実施形態の作用を図8に従って説明する。
なお、図8はエンジンフード24のストロークSと、フードクッション22からエンジンフード24が受ける力Fとの関係を示すグラフであり、破線はフードクッション22に真上方向から荷重が入力された場合を示し、実線はフードクッション22に斜め方向から荷重が入力された場合を示している。
本実施形態では、開放状態にあるエンジンフード24を閉めた際に、エンジンフード24の閉止方向力によって、フードクッション22におけるエプロンアッパメンバ14から突出した突出部22A、特に充填部50が弾性変形する。
この際、図8の(0〜S1、0〜F1または0〜S2、0〜F1)に示されるように、エンジンフード24の車体下方へのストロークSと、フードクッション22からエンジンフード24が受ける力Fとの関係は、ストロークSの増加に対して力Fは緩やかに上昇する。即ち、通常エンジンフード24を閉める際のストロークSに対しては、力Fが小さいので、エンジンフード24を容易に閉止状態へ移動することができる。
一方、図8の(0〜S3、0〜F2または0〜S4、0〜F2)に示されるように、エンジンフード24が強閉された場合には、フードクッション22の突出部22Aが大きく弾性変形する。この結果、ストロークSの増加に対して力Fは緩やかに上昇した後、急激に上昇する。このため、エンジンフード24を強閉した際の力Fに対してストロークSが小さくなるので、エンジンフード24がエンジンフード24の下方に取付けられた他部品に干渉するのを防止できる。
また、図8の(0〜S5、0〜F3または0〜S6、0〜F3)に示されるように、衝突体Kがエンジンフード24に当接した場合には、エンジンフード24の閉止方向力によって、フードクッション22の突出部22Aがさらに大きく弾性変形する。この結果、ストロークSの増加に対して力Fは緩やかに上昇した後、急激に上昇するので、エンジンフード24に歩行者等の衝突体が当接した際のフードクッション22のエネルギ吸収量を増加できる。
また、図5に示されるように、衝突体Kが衝突し、充填部50の内圧が所定値以上となった場合には、キャップ54の上壁部54Aが薄肉部60を起点に確実に破断する。
このように、本実施形態では、突出部22Aに作用する衝突荷重の作用方向が変化した場合にも、図5及び図6に示されるように、キャップ54の上壁部54Aが薄肉部60を起点に確実に破断する。このため、充填部50からシリコンオイル58が流れ出し、フードクッション22の突出部22Aが潰れる。
この結果、図8の(S5〜S7またはS6〜S8)に示されるように、ストロークSの増加に対して力Fが下がる。このため、エンジンフード24に衝突体Kが当接した際の力Fが下がりストロークSが大きくなるので、衝突体Kが衝突した際のエネルギ吸収量を増加することができる。
従って、本実施形態では、フードクッション22への荷重の作用方向が変化した場合にも、充填部50の各部位に均一に作用する内圧によって、充填部50に開口を形成するタイミングを安定させることができる。このため、荷重の作用方向が変化した場合にも、衝突エネルギの吸収性能の低下を抑制できる。
また、本実施形態では、フードクッション22の底付き(弾性変形の限界)によって、ストロークS5が短くなり、衝突体が受ける力が大きくなるのを防止できる。このため、エンジンフード24とエプロンアッパメンバ14との間の通常状態での隙間H1を有効に利用して、衝突エネルギの吸収性能を向上できる。
また、本実施形態では、フードクッション22の下方に部品を脱落させるためのスペースが必要ないため、車体へ搭載性能が向上する。
また、本実施形態では、フードクッション22を製造する際に、シリコンオイル58を凹部52の下方側開口部52Aから注入し、その後、凹部52の下方側開口部52Aをキャップ54で閉じる構成のため、キャップ54を脱着することで充填部50の内部のシリコンオイル58の交換や補充が容易である。
また、本実施形態では、開口形成手段が、充填部50の所定値以上の内圧によって破断する脆弱部としての薄肉部60である。このため、開口形成手段の構成が簡単で、フードクッション22の生産性が向上する。
なお、上記実施形態では、凹部52の下方側開口部52Aにキャップ54を締結により固定したが、キャップ54の固定方法は締結に限定されず、溶着、接着等の他の方法でもよい。
また、本実施形態では、脆弱部を円形の薄肉部60としたが、脆弱部は円形の薄肉部60に限定されず、キャップ54の上壁部54Aの中心から十字状、放射状に形成した薄肉部等の他の構成としてもよい。
次に、本発明における開閉扉用クッションの第2実施形態を図9に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
図9に示されるように、本実施形態では、第1実施形態における充填部50の側壁部50Aの一部、例えば、側壁部50Aの外周部における下部に脆弱部としての薄肉部55が少なくとも一箇所形成されている。なお、本実施形態では、キャップ54の上壁部54Aの肉厚Q1は一定となっており、キャップ54の上壁部54Aには脆弱部が形成されていない。
従って、本実施形態では、充填部50の内圧が所定値以上になった場合に、側壁部50Aの薄肉部55が破断し、充填部50の内部のシリコンオイル58が充填部50の外部へ流れ出し、フードクッション22の突出部22Aが潰れる。
この結果、本実施形態でも第1実施形態と同様に、荷重の作用方向が変化した場合にも、衝突エネルギの吸収性能の低下を抑制できる。
次に、本発明における開閉扉用クッションの第3実施形態を図10に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
図10に示されるように、本実施形態では、第1実施形態におけるキャップ54の上壁部54Aの中心に、開口形成手段としての流路61が形成されており、流路61は充填部50の内部と、充填部50の外部であるキャップ54の内周側とを連結している。また、流路61の下端には、充填部50が所定値以上の内圧となった場合に閉状態から開状態になる開口形成手段としての弁62が設けれている。
従って、本実施形態では、充填部50の内圧が所定値以上になった場合に、弁62が図10に実線で示す閉位置から、図10に二点鎖線で示す開位置となる。このため、充填部50の内部のシリコンオイル58が、流路61を通って充填部50の外部へ流れ出し、フードクッション22の突出部22Aが潰れる。
この結果、本実施形態でも第1実施形態と同様に、荷重の作用方向が変化した場合にも、衝突エネルギの吸収性能の低下を抑制できる。
また、本実施形態では、充填部50が決められた内圧となった場合に、弁62が確実に開き、充填部50からシリコンオイル58を流出させることができる。この結果、充填部50からシリコンオイル58を流出させる内圧の管理が容易になる。
次に、本発明における開閉扉用クッションの第4実施形態を図11に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
図11に示されるように、本実施形態では、第1実施形態におけるキャップ54の外周部54Bの下端部に形成した係止凸部54Dが、フードクッション22における凹部52の下方側開口部52Aの下端部に形成した係止凹部52Bに係合している。なお、本実施形態では、キャップ54の上壁部54Aの肉厚Q1は一定となっており、キャップ54の上壁部54Aには脆弱部が形成されていない。
従って、本実施形態では、充填部50の内圧が所定値以上になった場合に、キャップ54が下方へ押圧され、キャップ54の係止凸部54Dと、凹部52の係止凹部52Bとの係合が解除し、図11に二点鎖線で示すようにキャップ54が下方へ移動し脱落する。この結果、充填部50の内部のシリコンオイル58が、充填部50の外部へ流れ出し、フードクッション22の突出部22Aが潰れる。
この結果、本実施形態でも第1実施形態と同様に、荷重の作用方向が変化した場合にも、衝突エネルギの吸収性能の低下を抑制できる。また、キャップ54が下方へ脱落するため、充填部50からシリコンオイル58を迅速に流出させることができる。
なお、フードクッション22の突出部22Aが潰れる構成であればよいため、キャップ54は下方へ移動するが、完全に脱落しない構成としてもよい。
次に、本発明における開閉扉用クッションの第5実施形態を図12に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
図12に示されるように、本実施形態では、第1実施形態におけるフードクッション22におけるキャップ54の部分と、フードクッション22の他の部分である本体51とが二色成形による一体構造となっている。なお、シリコンオイル58は、フードクッション22の成形時に充填部50の内部に充填したり、フードクッション22の成形後に充填部50の内部に注入する。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、本実施形態では、第1実施形態に比べて、フードクッション22の部品点数を少なくすることができる。
次に、本発明における開閉扉用クッションの第6実施形態を図13及び図14に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
図13に示されるように、本実施形態では、フードクッション22の取付部22Cの外周部に形成された螺子山42の上端面42Aに補強用のリブ63が形成されている。
図14に示されるように、リブ63はフードクッション22の周方向に沿って所定の間隔で複数個(本実施形態では4個)形成されている。また、フードクッション22の周方向から見た各リブ63の形状は三角形状となっており、螺子山42の上端面42Aと充填部50の外周壁面50Aの下端部とを連結している。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、本実施形態では、図13に二点鎖線で示されるように、エプロンアッパメンバ14の貫通孔36にフードクッション22を捩じ込む際に、指先Uでリブ63を把持することで、充填部50が変形するのを抑制できる。この結果、フードクッション22を取付性が向上する。
次に、本発明における開閉扉用クッションの第7実施形態を図15及び図16に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
図15に示されるように、本実施形態では、キャップ54の下部にシリコンオイル58を回収するための回収手段としての回収部70が形成されている。即ち、キャップ54は、鍔54Cが下方へ延設され且つ鍔54Cの内部に形成された中空部分が回収部70となっている。
また、回収部70の容積は、充填部50に充填されたシリコンオイル58を全てを回収できる容積に設定されている。さらに、回収部70の内部は充填部50に対して減圧、例えば、真空状態とされており、キャップ54の上壁部54Aが薄肉部60を起点に破断した場合には、充填部50に充填されたシリコンオイル58を回収部70の内部に迅速に回収できるようになっている。
従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、本実施形態では、図16に示されるように、衝突体Kがエンジンフード24に当接し、フードクッション22のキャップ54の上壁部54Aが薄肉部60を起点に破断した場合には、充填部50に充填されたシリコンオイル58を回収部70に迅速に回収できる。
このため、本実施形態では、衝突体Kがエンジンフード24に当接した際に、エンジンフード24のストロークを迅速に確保し、衝突体Kへの反力を低下させることができる。さらに、本実施形態では、シリコンオイル58を回収部70の内部に回収することで、シリコンオイル58が車体内部に飛散するのを防止できる。
なお、回収手段としての回収部70の内部は、真空状態や充填部50に対して減圧となっていなくてもよい。また、回収手段の構成は、本実施形態のようにキャップ54に設けた回収部70に限定されず、充填部50から流出したシリコンオイル58を回収可能であれば、フードクッション22の他の部位に設けた、他の構成としてもよい。
次に、本発明における開閉扉用クッションの第8実施形態を図17及び図18に従って説明する。
なお、第7実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
図17に示されるように、本実施形態では、充填部50の内部に流体として、シリコンオイル58と圧縮空気74とが充填されており、充填部50の下部の略半分にシリコンオイル58が、残りの部分に空気74が充填されている。
従って、本実施形態においても第7実施形態と同様の作用効果が得られると共に、本実施形態では、エンジンフード24の車体下方へのストロークSと、フードクッション22からエンジンフード24が受ける力Fとの関係は、初期に空気74が圧縮されるため、図18の(0〜S1、0〜F1)に示されるように、ストロークSの増加に対して力Fは緩やかに上昇する。その後、空気74が所定圧に達すると、シリコンオイル58が圧縮されるため、図17の(S1〜S2、F1〜F2)に示されるように、ストロークSの増加に対して力Fはそれ以前に比べて急激に上昇する。
この結果、本実施形態では、通常、エンジンフード24を閉める際のストロークSに対しては、力Fが小さくなるので、エンジンフード24を容易に閉止状態へ移動することができる。
なお、本発明のフードクッション22の上部となる充填部50の外形形状は、上記第1〜8実施形態の形状に限定されない。
例えば、図19に示される第9実施形態ように、下方から上方へ向かって外径R1が徐々に小さくなる円錐台形状、図20に示される第10実施形態ように、上下方向中央部の外径R2が他の部位に比べ小さく、上下方向中央部が括れた瓢箪形状、図21に示される第11実施形態ように、下部では外径R3が一定で、上部では下方から上方へ向かって外径R4が徐々に小さくなる尖塔形状、図22に示される第12実施形態ように、外周壁部の肉厚J1が上下方向に沿って周期的に変化した蛇腹形状、図23に示される第13実施形態ように、下部では外径R5が一定で、上部では外径R6が一定で且つ下部の外径R5より小さいと共に、下部と上部とが傾斜部で連結された2段形状、図24に示される第14実施形態ように、上壁部22Bを傾斜壁部とした形状等の他の形状としてもよい。なお、図24に示される第14実施形態の場合には、上壁部22Bを車体前方下側から車体後方上側へ傾斜した傾斜壁部としてもよい。
次に、本発明における開閉扉用クッションの第15実施形態を図25及び図26に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
図25に示されるように、本実施形態の開閉扉用クッションとしてのフードクッション80は、フードクッション80の上部を構成するクッション部82と、フードクッション80の下部を構成するキャップ部84と、クッション部82とキャップ部84とで形成される充填部86に充填される流体としてのゲル88を備えている。
図26に示されるように、クッション部82は上壁部82Aを有する円筒形状となっており、クッション部82は合成ゴムで形成されている。なお、エンジンフード24を閉止状態にした場合には、クッション部82の上壁部82Aにフードインナパネルの下面が当接するようになっている。また、クッション部82の下端縁部82Bには、周方向に沿った対向する位置に一対の係止爪82Cが下方へ向かって突出形成されている。
キャップ部84は硬質プラスチックで形成されており、外周部84Aに螺子溝40と螺子山42とを有する円柱形状となっている。また、キャップ部84の上壁部84Bには、外周に沿ってリング状に溝90が下方へ向かって形成されている。
図25に示されるように、キャップ部84の溝90には、クッション部82の下部82Dが挿入されている。また、キャップ部84の溝90の底部には、周方向に沿った対向する部位に一対の係止孔92が形成されており、これらの係止孔92にクッション部82の係止爪82C係止されている。また、キャップ部84の係止孔92にクッション部82の係止爪82Cが係止した状態で、クッション部82とキャップ部84とで充填部86が形成されており、この充填部86の内部にゲル88が充填されている。
なお、キャップ部84の上壁部84Bの中心には、脆弱部としての薄肉部60が形成されている。また、キャップ部84の上壁部84Bは、外周側から薄肉部60に向かって肉厚Q1が徐々に薄くなっており、溝90の内側部位が、外周側から薄肉部60に向かって下方へ傾斜した傾斜面となっている。
従って、本実施形態では、エンジンフード24の車体下方へのストロークと、フードクッション80からエンジンフード24が受ける力との関係は、第1実施形態と略同じとなり、荷重の作用方向が変化した場合にも、第1実施形態と同様に、衝突エネルギの吸収性能の低下を抑制できる。
また、本実施形態では、フードクッション80を取付ける際に、エプロンアッパメンバ14と当たる部位(螺子部)が、硬質プラスチックから成るキャップ部84となるので、捩じ込み時にフードクッション80の動きがスムースになると共に、キャップ部84を把持することで、組付時のフードクッション80の変形が抑制され組付け性能が向上する。
なお、本実施形態では、貫通孔36の周縁部がエプロンアッパメンバ14の上壁部14Aの下方側へ向かって凹んだ形状となっている。このため、フードクッション80のエプロンアッパメンバ14から車体上方側への通常状態での突出量(突出部80Aの高さ)H1は図25に示すようになる。
次に、本発明における開閉扉用クッションの第16実施形態を図27に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
図27に示されるように、本実施形態では、キャップ54の上壁部54Aにおいて、薄肉部60の外周縁部に沿って、上壁部54Aの両面側からノッチ61を形成している。
従って、薄肉部60が脱落する際にノッチ61が起点となることで、薄肉部60を確実且つ迅速に脱落させることができる。
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、本発明の開閉扉用クッションとしてのフードクッション22、80の材質は、上記各実施形態の材質に限定されない。
また、上記各実施形態では流体としてシリコンオイル58、空気74またはゲル88を使用したが、充填部50に充填する流体はこれらに限定されない。
また、本発明の開閉扉用クッションは、図7に示されるように、ラジエータサポートアッパ20の車幅方向両端上部に取付けられた強閉対策用のフードクッション98にも適用可能である。
また、本発明の開閉扉用クッションは、開閉扉側となるエンジンフード24側に取付けてもよい。
また、本発明の開閉扉用クッションは、エンジンフード24に限定されず、ラゲージドア、バックドア、スライドドア等の他の開閉蓋に適用可能であり、自動車以外の車体の開閉扉や車体以外の開閉蓋にも適用可能である。
図7の1−1断面線に沿った拡大断面図である。 本発明の第1実施形態に係る開閉扉用クッションの変形前の状態を示す図1に対応する断面図である。 図2の3−3断面線に沿った拡大断面図である。 本発明の第1実施形態に係る開閉扉用クッションを示す車体前方斜め上方から見た分解斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る開閉扉用クッションの変形状態を示す図1に対応する断面図である。 本発明の第1実施形態に係る開閉扉用クッションの変形状態を示す図1に対応する断面図である。 本発明の第1実施形態に係る開閉扉用クッションが適用された車体前部を示す車体斜め前方から見た斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る開閉扉用クッションにおけるフードのストロークSと、フードクッションからフードが受ける力Fとの関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第3実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第4実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第5実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第6実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第6実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図4に対応する斜視図である。 本発明の第7実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第7実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図5に対応する断面図である。 本発明の第8実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第8実施形態に係る開閉扉用クッションにおけるフードのストロークSと、フードクッションからフードが受ける力Fとの関係を示すグラフである。 本発明の第9実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第10実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第11実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第12実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第13実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第14実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第15実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図2に対応する断面図である。 本発明の第15実施形態に係る開閉扉用クッションを示す車体前方斜め上方から見た分解斜視図である。 本発明の第16実施形態に係る開閉扉用クッションを示す図3の27−27断面線に沿った拡大断面図である。
符号の説明
14 エプロンアッパメンバ
14A エプロンアッパメンバの上壁部
14B エプロンアッパメンバの上壁部の前部(取付部)
22 フードクッション(開閉扉用クッション)
22A フードクッションの突出部
24 エンジンフード(開閉扉)
36 貫通孔
40 螺子溝
42 螺子山
50 フードクッションの充填部
51 フードクッションの本体
54 フードクッションのキャップ(開口形成手段、栓)
58 シリコンオイル(流体)
60 薄肉部(開口形成手段、脆弱部)
61 流路(開口形成手段)
62 弁(開口形成手段)
70 回収部(回収手段)
80 フードクッション(開閉扉用クッション)
80A フードクッションの突出部
82 フードクッションのクッション部
84 フードクッションのキャップ部
86 フードクッションの充填部
88 ゲル(流体)

Claims (6)

  1. 開閉扉及び前記開閉扉で閉塞される部位の何れか一方に設けられた有孔の取付部に螺合され、この螺合量を変えることで前記取付部からの突出部の突出高さを調整できると共に、前記突出部で前記開閉扉及び前記開閉扉で閉塞される部位の何れか他方を弾性的に支持する開閉扉用クッションにおいて、
    前記突出部に形成され、内部に流体が充填された充填部と、
    前記充填部に形成され、前記開閉扉からの荷重により前記充填部の内圧が所定値以上となった場合に、前記充填部に開口を形成し、前記充填部から前記流体を流出させるための開口形成手段と、
    を有する開閉扉用クッション。
  2. 前記開口形成手段は、前記所定値以上の内圧によって破断する脆弱部であることを特徴とする請求項1に記載の開閉扉用クッション。
  3. 前記開口形成手段は、前記充填部内と前記充填部外とを連結する流路と、該流路に設けられ前記所定値以上の内圧によって閉状態から開状態になる弁であることを特徴とする請求項1に記載の開閉扉用クッション。
  4. 前記開口形成手段は、前記充填部内に前記流体を充填するための充填用開口部に設けられ、前記所定値以上の内圧によって脱落する栓であることを特徴とする請求項1に記載の開閉扉用クッション。
  5. 前記充填部から流出した前記流体を回収する回収手段を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の開閉扉用クッション。
  6. 前記充填部の内圧に比べて前記回収手段の内圧が減圧されていることを特徴とする請求項5に記載の開閉扉用クッション。
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