JP5860733B2 - アッパーサポート - Google Patents
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Description
このような下クッションゴムを用いたアッパーサポートにあっては、カップ金具からなる下取付金具の底部及び底部の外周端から上向きに立ち上がる周壁部にて内側に形成される保持凹所に、ゴム本体部の、上記ゴムフランジ部よりも下側の下部が嵌め込まれて保持されるとともに、そのゴムフランジ部が、下取付金具の上記周壁部の上端側から径方向外方に環状に張り出した金具フランジ部の上側に重なる状態に、下クッションゴムが下取付金具にて車体パネルの下面に挟圧され、上下の軸方向に予圧縮状態で車体パネルに弾性圧接せしめられる。
下クッションゴムとしてこのようなものを用いたアッパーサポートが、例えば下記特許文献1,特許文献2に開示されている。
従来において、下クッションゴムは、筒形状をなすゴム本体部の上記の下部に、その外周面から径方向外方に突出する突出部が周方向に間隔を隔て複数設けられており、その突出部を、カップ形状をなす下取付金具の周壁部の内周面に弾性当接させるようになっている。
この場合、ゴム本体部(詳しくはその下部)の外周面と下取付金具の周壁部の内周面との間に径方向の空隙を生じる。
下取付金具と下クッションゴムとの間に水が浸入すると、その空隙に水が溜まり易い。
下クッションゴムにおけるゴム本体部の内周面と、そのカラーの外周面との間に隙間が生じると、上記空隙に溜まった水が、下クッションゴムの弾性変形及び形状回復に伴うポンピング作用によって、それらゴム本体部の内周面とカラーの外周面との間の隙間を通水経路として車体パネルの上側、つまり車室内に浸入する恐れが生じる。
乗り心地性能を良くするためには、特に下クッションゴムの軸方向のばね特性を軟らかくすることが必要である。
この場合、下取付金具における上記の保持凹所へのゴム本体部の充填率が高く、下取付金具によるゴム本体部の軸直角方向の拘束が強いと、下クッションゴムの軸方向つまり上下方向のばね特性が硬くなってしまう。
従って軸方向のばね特性を軟らかくするためには、ゴム本体部の内周面とカラーの外周面との間に径方向の空隙を生ぜしめることが有効な手段となる。そのようにすることで、ゴム本体部がカップ形状をなす下取付金具の保持凹所の内部で軸直角方向に変形しやすくなり、これに伴って軸方向のばね特性が軟らかくなる。
且つ前記軸方向の予圧縮の際に弾性変形して該ゴムフランジ部の下面が該金具フランジ部の上面と平行となり、該上面に重なるものとなしてあることを特徴とする。
従って、ゴムフランジ部と金具フランジ部との間から下取付金具内部に浸入した水がその後に、車体パネルの取付穴を通じて車体パネルの上側、つまり車室内に浸入するのを防ぐことができる。
このようにすることで、下取付金具と下クッションゴムとの間に外部からの水が浸入するのをより効果高く防ぐことができる。
更にそのシール部よりも上側において、上記周壁部の内周面とインナ部材の外周面との間に空隙を形成するものとなしておく。
そして軸方向のばね特性が軟らかくなることによって、乗り心地性能を従来に増して高めることが可能となる。
しかるに本発明においては、そのシール部がゴム本体部の内周面の下端部に設けてあるため、シール部の下側においてゴム本体部の内周面とインナ部材の外周面との間に空間が生じて、そこに水が溜まってしまうといったことを防ぐことができる。
本発明において、ゴム本体部の外周側の突出部は、周方向に間隔を隔てて複数個所に設けておくことができる。
このようにすることで、下クッションゴムにおける上下の軸方向のばね特性を効果高く軟らかくすることができる。
従って、その嵌込みの際にシール部が上向きに反り返り変形することで、シール部によるシール性能が悪化してしまうのを防ぐことができる。
このようにすれば、シール部全体の反り返り変形を防ぎつつ、下クッションゴムをインナ部材に対して上側から下向きに嵌め込む際の抵抗を軽減し、嵌込み作業をし易くすることができる。
従ってゴムカバー部より外側の水がゴムカバー部の内側に形成される空間、即ちゴムカバー部と下取付金具の周壁部との間に形成される空間に入り込むことが実質的にできなくなる。
そしてその空間内に入り込んだ水が、続いて金具フランジ部とゴムフランジ部との間へと浸入する恐れが出てくる。
しかるにゴムカバー部をダストカバーの嵌着部に到るまで下向きに長く延出させておくことで、そのような経路を通じての、下取付金具と下クッションゴムとの間への水の浸入をより確実に防ぐことが可能となる。
従ってこの請求項5では、敢えてゴムカバー部の先端とダストカバーの嵌着部との間に微小隙間を生ぜしめる。
ここでその微小隙間は0.5mm以下の隙間となしておくのが良い。
しかるにこの請求項6によれば、車体パネルへの下クッションゴムの組付状態の下で、ゴムフランジ部と金具フランジ部との間を外周端に到るまで密着状態とすることができ、それらの間に隙間が生じるのを防ぐことが可能となる。
図1は、本発明の実施形態のアッパーサポートを車両への組付状態で示している。
図において、10はほぼ水平向きをなす車体パネルで、12はその車体パネル10を板厚方向に貫通する取付穴であり、その取付穴12において、本実施形態のアッパーサポート14が車体パネル10に組み付けられている。
ここでアッパーサポート14は、車体パネル10の上側に配置された上クッションゴム16と、これとは別体をなし、車体パネル10の下側に配置された下クッションゴム18とを有している。
上取付金具28には、その中心部に円形の挿通孔31が設けられており、その挿通孔31にピストンロッド20が挿通されている。
この上クッションゴム16は、軸方向の中間部に全周に亘りくびれ部32が設けられており、このくびれ部32を境として小径側の上部34と大径側の下部36とを有している。
また下部36には、概略皿状の埋込金具40が、その外周部の一部を除いて埋込状態に設けられている。ここで埋込金具40は下部36に一体加硫接着されている。
上記の皿状の埋込金具40もまた、下向きに突き出した円筒形状の突出部44を有しており、この突出部44が、差込部42の外周に近い位置で差込部42の内部に埋め込まれている。
尚差込部42の外径は、取付穴12の内径よりも僅かに小径とされている。
図中45は、その挿通孔を形成する上クッションゴム16の内周面を示している。
上クッションゴム16は、その内周面45が、上取付金具28と後述の下取付金具50との間においてピストンロッド20に外嵌状態に嵌装された円筒形状の金属製のカラー46の外周面48に密着せしめられている。
尚カラー46の内径は、上取付金具28の挿通孔31の内径と同径ないしほぼ同径とされている。
その際の上クッションゴム16及び下クッションゴム18の予圧縮量は、カラー46の長さによって規定される。
詳しくは、下取付金具50は、円形の平坦な板状をなす下底部(底部)52と、下底部52の外周端から立ち上がる円筒形状の上向きの周壁部54と、周壁部54の上端から全周に亘り径方向外方、つまり周壁部54の外周面から遠ざかる向きに突出した環状の金具フランジ部56を有している。
ここで金具フランジ部56は、下取付金具50の軸方向(中心の軸線の延びる方向)、つまりピストンロッド20の軸方向に対して直角をなす向きに張り出しており、金具フランジ部56の上面が、下底部52の上面及び車体パネル10の下面と平行方向の向きをなしている。
下底部52にはまた、挿通孔31周りにおいて、その上面に上記のカラー46が溶接接合され、下取付金具50に一体化されている。
このダストカバー用の取付金具58は逆カップ形状をなしていて、円形且つ平坦な板状の上底部60と、上底部60の外周端から立ち下る、横断面形状が円形の下向きの周壁部61とを有している。
この逆カップ形状をなす取付金具58は、上底部60において下取付金具50の下底部52に溶接接合され、下取付金具50に一体化されている。
この取付金具58の上底部60は、挿通孔31周りにおいてピストンロッド20の環状突出部22に対し、下向きに当接せしめられている。
尚取付金具58の周壁部61は、その縦断面形状が、軸方向の中間部でく字状に折れ曲った形状をなしている。
そしてこのダストカバー用の取付金具58の内側に、ゴム弾性体,発泡ウレタン等の弾性材から成る略円筒形状のバウンドストッパ62の上部の弾性嵌合部64が、下方から上向きに弾性的に嵌め込まれ、そこに保持されている。
また内周側には、ピストンロッド20を挿通するための挿通凹所68を有している。
ダストカバー70は、ここでは樹脂製のもので、上部に嵌着部72を有している。
尚、上側の嵌着部72A及び下側の嵌着部72Bは、その境界部分を除いてほぼ同じ肉厚で形成されている。
この下クッションゴム18は、図2及び図3にも示しているように円筒形状をなすゴム本体部73と、ゴム本体部73の外周面から全周に亘り径方向外方に張り出した、環状のゴムフランジ部74とを有している。
この上部78にはまた、図3に明らかに示しているように径方向外方に段違い形状で凹陥した凹部82が設けられている。
そしてこれら各突出部86の、周壁部54の内周面87への当接により、各突出部86と86との周方向の間の部分において、下部76の外周面と周壁部54の内周面87との間に径方向の空隙が生ぜしめられている。
尚この実施形態において、各突出部86は、下部76の下端からゴムフランジ部74に到るまで、下部76の全高に亘って設けられている。
ここで空隙K1は、シール部90よりも上側において、ゴム本体部73の全高に亘り且つ全周に亘り生ぜしめられている。
またシール部90の内径d3が、カラー46の外径d2に対して1mm小さく、カラー46を挿通したときに、シール部90が直径で1mm,径方向片側で0.5mmの締代で径方向に圧縮されるようになしてある。
即ち、図3(A)の部分拡大図に示しているように、シール部90は、径方向内方への突出側の先端Tから付根部に向って軸方向の肉厚が漸次厚肉となる形状となしてあり、且つ付根部の、先端Tを通る軸直角面P1よりも上側部分の肉厚t1が、下側部分の肉厚t2よりも厚肉となる形状となしてある。
即ち、ゴム本体部73の外周面から径方向外方に離れるに連れて、上記金具フランジ部56に接近する方向に、金具フランジ部56に対して相対的に下方に傾斜した形状とされている。
この実施形態において、角度θは14°となしてある。θの角度は10〜20°の範囲内としておくことが望ましい。
ゴムフランジ部74の位置や形状が予めそのように定められている。
このようにすることで、ゴムフランジ部74と金具フランジ部56とを拡い面積に亘って弾性接触状態とすることができる。
また同時に、ゴムフランジ部74の付根部に局部的に応力集中が生じ易く、これがゴムフランジ部付根での亀裂発生の原因となる恐れが生ずる。
しかるに本実施形態に従って、ゴムフランジ部74を予め斜め下向きに傾斜した形状に形成しておくことで、このような不具合を生じないようにすることができる。
そして下クッションゴム18には、そのゴムフランジ部74の外周端から折れ曲がって下向きに延び、金具フランジ部56を全周に亘り外側から覆う環状のゴムカバー部92が、ゴムフランジ部74に一体に成形してある。
この実施形態では、ゴムカバー部92の下端部と嵌着部72Bの上端部との間に生じる最小隙間S(図1参照)が0.5mm以下となるように、ゴムカバー部92の下端側の部分が、嵌着部72Bの上端部を非接触状態で取り囲んでいる。
従って、ゴムフランジ部74と金具フランジ部56との間から下取付金具50内部に浸入した水がその後に、車体パネル10の取付穴12を通じて車体パネル10の上側、つまり車室内に浸入するのを防ぐことができる。
そして軸方向のばね特性が軟らかくなることによって、乗り心地性能を従来に増して高めることが可能となる。
この例は、環状のシール部90の先端T側の下面を、先端Tに到るまで斜め上向きに傾斜したテーパ面94となしたものである。
環状のシール部90を図3に示すような形状としておいた場合、カラー46に対して下クッションゴム18を上側から下向きに嵌め込む際に、シール部90の図中上向きの反り返り変形を良好に防ぐことが可能であるが、一方で、カラー46に対して下クッションゴム18を嵌め込む際の抵抗が大きくなり、嵌込作業が場合によってしづらくなる。
しかるに図6に示すようにシール部90の先端T側の下面を先端Tに到るまでテーパ面となしておけば、シール部90の図中上向きの反り返り変形を抑制しつつ、カラー46に対し下クッションゴム18を嵌め込む際の抵抗を少なくし、嵌込作業をし易くできる。
例えば上記実施形態では、ピストンロッド20における上クッションゴム16及び下クッションゴム18の挿通部にカラー46を外嵌状態に嵌装しているが、かかるカラー46を嵌装することなく、ピストンロッド20を直接に上クッションゴム16及び下クッションゴム18に挿通し、そして下クッションゴム18におけるゴム本体部73に設けた環状のシール部90を、ピストンロッド20における挿通部を直接インナ部材としてその外周面に弾性圧接させ、またその上側において、ゴム本体部73の内周面88とピストンロッド20の挿通部との間に空隙K1を生ぜしめるようになすことも可能である。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
14 アッパーサポート
16 上クッションゴム
18 下クッションゴム
20 ピストンロッド
28 上取付金具
31 挿通孔
46 カラー
50 下取付金具
52 下底部(低部)
54,61 周壁部
56 金具フランジ部
58 取付金具
70 ダストカバー
72B 嵌着部
73 ゴム本体部
74 ゴムフランジ部
84 外周面
86 突出部
87,88 内周面
90 シール部
92 ゴムカバー部
94 テーパ面
Claims (6)
- (a)車体パネルの上側に配置され、上取付金具にて該車体パネルの上面に挟圧されて軸方向に予圧縮状態で車体パネルに弾性圧接せしめられる上クッションゴムと、
(b)筒形状をなすゴム本体部、及び該ゴム本体部の外周面から径方向外方に環状に張り出した、軸方向のゴムストッパ部として働くゴムフランジ部を有して前記車体パネルの下側に配置され、カップ金具からなる下取付金具の底部及び該底部の外周端から上向きに立ち上がる周壁部にて内側に形成される保持凹所に前記ゴム本体部の、前記ゴムフランジ部よりも下側の下部が嵌め込まれて保持されるとともに、該ゴムフランジ部が、前記下取付金具の前記周壁部の上端側から径方向外方に環状に張り出した金具フランジ部の上側に重なる状態に、該下取付金具にて前記車体パネルの下面に挟圧され、軸方向に予圧縮状態で該車体パネルに弾性圧接せしめられる下クッションゴムと、
を有し、サスペンション機構におけるショックアブソーバのピストンロッドを前記上クッションゴム及び下クッションゴムの中心部の挿通孔に挿通させる状態に、該ピストンロッドと前記車体パネルとを弾性連結し防振作用するアッパーサポートにおいて、
前記下クッションゴムには、前記ゴムフランジ部の外周端から折れ曲って下向きに延び、前記下取付金具の前記金具フランジ部を全周に亘り外側から覆う環状のゴムカバー部を前記ゴムフランジ部に一体に成形してあり、
更に前記下クッションゴムは、前記ゴム本体部における前記下部の外周面から径方向外方に突出した突出部を有し、前記車体パネルへの組付状態で該突出部を前記下取付金具の前記周壁部の内周面に当接させ、該下部の外周面と該周壁部の内周面との間に空隙を形成し、
また前記ゴム本体部の内周面の下端部には、径方向内方に全周に亘り突出する環状のシール部を有して、該シール部を、前記ピストンロッドにおける該下クッションゴム及び前記上クッションゴムを挿通する挿通部に外嵌状態に嵌装された円筒形状のカラー又は該挿通部からなる中心側のインナ部材の外周面に密着状態に弾性圧接させるとともに、該シール部よりも上側において、前記ゴム本体部の内周面と該インナ部材の外周面との間に空隙を形成するものとなしてあることを特徴とするアッパーサポート。 - 請求項1において、前記下クッションゴムは、前記シール部の上側において、前記ゴム本体部の内周面と前記インナ部材の外周面との間に、該内周面の上端に至るまで全周に亘り前記空隙を生ぜしめるものとなしてあることを特徴とするアッパーサポート。
- 請求項2において、前記シール部は、前記車体パネルへの前記下クッションゴムの組付前の自由形状状態で、径方向内方への突出側の先端から付根部に向かって軸方向の肉厚が漸次厚肉となる形状となしてあり、且つ該付根部の、前記先端を通る軸直角面より上側部分の肉厚が、下側部分の肉厚よりも厚肉となる形状となしてあることを特徴とするアッパーサポート。
- 請求項3において、前記シール部の下面であって前記先端に至るまでの先端側の面が、該先端に向かって斜め上向きに傾斜したテーパ面となしてあることを特徴とするアッパーサポート。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記下取付金具の下側には、該下取付金具の前記上向きの周壁部よりも大径をなして径方向外側に位置する下向きの周壁部を有する、前記ピストンロッドを外周側から覆う筒状のダストカバー用の取付金具が、該下取付金具に固定状態に設けられていて、該下向きの周壁部の外周面に該ダストカバーの上端側が嵌着されており、
前記ゴムカバー部は、該下向きの周壁部への前記ダストカバーの嵌着部の上端に到るまで、且つ該嵌着部との間に微小隙間を形成する状態で下向きに長く延出する形状となしてあることを特徴とするアッパーサポート。 - 請求項1〜5の何れかにおいて、前記ゴムフランジ部は、前記下クッションゴムの前記軸方向への予圧縮前の自由形状状態で、前記ゴム本体部の外周面から径方向外方に離れるに連れて前記金具フランジ部に接近する方向に、該金具フランジ部に対して相対的に下方に傾斜した形状とされており、
且つ前記軸方向の予圧縮の際に弾性変形して該ゴムフランジ部の下面が該金具フランジ部の上面と平行となり、該上面に重なるものとなしてあることを特徴とするアッパーサポート。
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