JP2005212590A - 自動車用外板部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】衝突時における歩行者への衝撃を適切に吸収して小さく抑えることが可能なFRP製自動車用外板部材を提供する。
【解決手段】密閉空間を形成するFRP部の少なくとも1箇所に、密閉空間から内部気体が抜ける際の抵抗を制御可能な気体制御弁を設けたこと自動車用外板部材、または、密閉空間を形成するFRP部に対し、貫通穴を設けるとともに、該貫通穴を設けた部分を外部から覆う高伸縮部材を設け、密閉空間内に、外部信号によりまたは衝撃エネルギーを感知することにより短時間に大量のガスを発生させることが可能な膨張体を内挿した自動車用外板部材。
【選択図】図1
【解決手段】密閉空間を形成するFRP部の少なくとも1箇所に、密閉空間から内部気体が抜ける際の抵抗を制御可能な気体制御弁を設けたこと自動車用外板部材、または、密閉空間を形成するFRP部に対し、貫通穴を設けるとともに、該貫通穴を設けた部分を外部から覆う高伸縮部材を設け、密閉空間内に、外部信号によりまたは衝撃エネルギーを感知することにより短時間に大量のガスを発生させることが可能な膨張体を内挿した自動車用外板部材。
【選択図】図1
Description
本発明は、FRP(繊維強化プラスチック)製自動車用外板部材に関し、とくに、衝撃荷重を効果的に吸収できるようにした、FRP製ボンネット等に用いて好適な自動車用外板部材に関する。
近年、自動車には、衝突時等における安全性を高めることが要求されており、とくに、衝撃的な外力が加わった際の乗員側の安全性とともに、事故時の歩行者保護性能を高めることが要求されている。自動車が歩行者に衝突した際には、歩行者は、自動車の前部やボンネット等に対し、脚や頭部に衝撃荷重を受けることになるが、とくに死亡事故の低減には、頭部へのダメージを低減することが不可欠であると言われている。したがって、とくに頭部にダメージを与えやすい自動車側部位、とくにボンネットに対しては、衝突事故時にも極力衝撃力を吸収でき、頭部へのダメージを小さく抑えることが求められている。
このような衝撃吸収性能を持たせるためには、自動車用外板部材が、適切に変形あるいは破壊することにより、自動車内部部品の破損や乗員へのダメージを極力小さく抑えつつ、歩行者への衝撃力付与を極力小さく抑える必要がある。つまり、歩行者保護の観点から、適切な衝撃吸収構造とする必要がある。
FRP製自動車用パネルとしては、各種の構造が提案されているが、従来の提案は、主として必要な部分の強度や剛性を局部的に向上することを目的としており(例えば、特許文献1)、FRP製自動車用パネルとして、上記のような適切な衝撃吸収構造とする提案はほとんど見当たらない。
特開2003−146252号公報
そこで本発明の課題は、従来の技術開発指向とは視点を変え、とくに歩行者保護の観点から、衝突時における歩行者への衝撃を適切に吸収して小さく抑えることが可能なFRP製自動車用外板部材を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る自動車用外板部材は、密閉空間を有するFRP製自動車用外板部材であって、前記密閉空間を形成するFRP部の少なくとも1箇所に、前記密閉空間から内部気体が抜ける際の抵抗を制御可能な気体制御弁を設けたことを特徴とするものからなる(第1の形態)。
この自動車用外板部材において、上記気体制御弁としては、自身の変形により開度を調整可能なもの、たとえば弾性変形可能なリード弁形式の弁を使用できる。すなわち、密閉空間が縮小変形されて押し出されてくる内部気体に抵抗を与えてその流量や流速を適当に制御できる、ごく簡単な構造を有する弁でよく、複雑で高価な弁は不要である。
また、本発明に係る自動車用外板部材は、密閉空間を有するFRP製自動車用外板部材であって、前記密閉空間を形成するFRP部に対し、貫通穴を設けるとともに、該貫通穴を設けた部分を外部から覆う高伸縮部材を設け、前記密閉空間内に、外部信号によりまたは衝撃エネルギーを感知することにより短時間に大量のガスを発生させることが可能な膨張体を内挿したことを特徴とするものからなる(第2の形態)。
この自動車用外板部材においては、上記高伸縮部材に、たとえば高伸度樹脂フィルムを使用できる。すなわち、密閉空間から貫通穴を通して大量のガスが放出されてきた際に、破れることなくエアバッグのように膨らむことのできる高伸度特性を有する部材であればよい。
上記のような本発明に係る自動車用外板部材の適用部位は特に限定されず、たとえば、自動車のボンネットや前部フェンダー用に用いることができる。とくに、自動車のボンネット用に用いられる場合、前述したような衝突事故時の歩行者のとくに頭部保護に有効である。
本発明の第1の形態に係る自動車用外板部材によれば、歩行者等に衝突した際、密閉空間を形成していたFRP部のいずれかの部位が、衝撃荷重により密閉空間を縮小するように変形し、密閉空間内の圧力が高まって気体制御弁が開き、適当な抵抗が与えられながら内部気体が外部に放出される。このとき、変形しつつあるFRP部に対して内部気体は抵抗となるが、上記気体放出によりこの変形に対する抵抗が徐々に弱められ、この抵抗変化の過程で上記衝撃荷重が適切に吸収されることになる。したがって、この構造を自動車のボンネット等に適用すれば、衝突事故時の歩行者に対して効果的な保護をはかることが可能になる。
本発明の第2の形態に係る自動車用外板部材によれば、歩行者等に衝突した際、衝撃荷重が加わったことが感知されると膨張体が作動して密閉空間内に大量のガスが発生され、そのガスが貫通穴を通して密閉空間内から高伸縮部材方向に放出される。この放出されてきたガスにより、高伸縮部材がエアバッグのように膨らみ、衝撃を吸収するとともに、衝突した歩行者等を適切に保護することになる。したがって、この構造を自動車のボンネット等に適用すれば、衝突事故時の歩行者に対して効果的な保護をはかることが可能になる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る自動車用外板部材を示しており、とくに本発明を自動車のボンネットに適用した場合を示している。図1(A)は、衝撃荷重が加わる直前の状態を示しており、図1(B)は、衝撃荷重が加わった直後の状態を示している。図1において、1は自動車用外板部材としてのボンネット全体を示しており、本実施態様では、ボンネット1は、FRP製外板2とFRP製内板3とを有し、これらFRP製外板2とFRP製内板3との間に密閉空間4が形成された構造に構成されている。この密閉空間4を形成するFRP部の少なくとも1箇所に、密閉空間4から内部気体(内部空気)が抜ける際の抵抗を制御可能な気体制御弁5が設けられている。本実施態様では、気体制御弁5は、自身が密閉空間4の内部気体の圧力により弾性変形して、その開度を適宜調整して、密閉空間4から抜け出てくる気体に抵抗を与える、リード弁様の気体制御弁により構成されている。また、密閉空間内の気体は予め加圧状態にしておいてもよく、FRP製外板の剛性と、密閉空間内の気圧、気体制御弁の抵抗とを適当に調整することにより、衝撃時のエネルギー吸収特性を調整することもできる。
図1は、本発明の一実施態様に係る自動車用外板部材を示しており、とくに本発明を自動車のボンネットに適用した場合を示している。図1(A)は、衝撃荷重が加わる直前の状態を示しており、図1(B)は、衝撃荷重が加わった直後の状態を示している。図1において、1は自動車用外板部材としてのボンネット全体を示しており、本実施態様では、ボンネット1は、FRP製外板2とFRP製内板3とを有し、これらFRP製外板2とFRP製内板3との間に密閉空間4が形成された構造に構成されている。この密閉空間4を形成するFRP部の少なくとも1箇所に、密閉空間4から内部気体(内部空気)が抜ける際の抵抗を制御可能な気体制御弁5が設けられている。本実施態様では、気体制御弁5は、自身が密閉空間4の内部気体の圧力により弾性変形して、その開度を適宜調整して、密閉空間4から抜け出てくる気体に抵抗を与える、リード弁様の気体制御弁により構成されている。また、密閉空間内の気体は予め加圧状態にしておいてもよく、FRP製外板の剛性と、密閉空間内の気圧、気体制御弁の抵抗とを適当に調整することにより、衝撃時のエネルギー吸収特性を調整することもできる。
なお、本発明における自動車用外板部材のFRPとは、たとえば上記FRP製外板あるいは内板とは、強化繊維により強化された樹脂板を指し、強化繊維としては、たとえば、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維や、ケブラー繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる強化繊維が挙げられる。面剛性等の制御の容易性の面からは、とくに炭素繊維が好ましい。FRP板のマトリックス樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、さらには、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂も使用可能である。
このように構成された自動車用外板部材としてのボンネット1においては、たとえばFRP製外板2に外部から衝撃荷重が加わった際には、図1(B)に示すようにFRP製外板2が密閉空間4を縮小させるように変形する。この縮小変形に伴い、密閉空間4内の圧力が急激に高まるので、気体制御弁5が開き、密閉空間4内にあった気体が気体制御弁5を介して外部に放出される。このとき、変形しつつあるFRP製外板2に対して密閉空間4内の気体は変形を阻止する方向の抵抗となり、気体クッションの機能を果たす。この気体クッションが一定の抵抗特性のままであると、急激な荷重である衝撃荷重に対しては、あたかも剛体抵抗の如く作用する状態(たとえば、水面に衝撃荷重がかかった場合に水面が剛体抵抗の如く機能するのと同様の状態)になるおそれがあるが、気体制御弁5が適切な抵抗を与えつつ内部気体を放出するので、上記剛体抵抗の如く作用する状態が解消され、FRP製外板2に対する密閉空間内の気体圧力による抵抗が適切に徐々に弱められて、FRP製外板2に加わった衝撃エネルギーが良好に吸収されることになる。つまり、衝撃エネルギー吸収の面から、FRP製外板2の適切なクラッシャブル構造が実現されることになる。その結果、前述したような衝突事故等における歩行者の保護の要求に効果的に応えることが可能になる。
図2は、本発明の別の実施態様に係る自動車用外板部材としてのボンネット11の部分断面を示している。本実施態様においては、FRP製外板12とFRP製内板13との間に密閉空間14が形成されている。両FRP板のうちFRP製外板12に密閉空間14内から密閉空間14外へと通じる貫通穴15が設けられているとともに、貫通穴15が設けられた部分を外部から覆う高伸縮部材としての高伸度樹脂フィルム16が設けられている。高伸度樹脂フィルム16は、周囲がFRP製外板12の外面に貼着されており、中央部は貼着されずに、内圧によりエアバッグのように外方に向けて膨らむことができるようになっている。高伸度樹脂フィルム16あるいは密閉空間14の内板側に、勢いよく膨張した気体が徐々に抜けるための小さな穴を開けておくこともできる。密閉空間14の内板側に穴を開ける場合は気体が抜ける際の抵抗となる弁などを取り付けてもよい。密閉空間14内には、外部信号によりまたは衝撃エネルギーを感知することにより大量のガスを発生させることが可能な膨張体17が内挿されている。外部信号方式の場合、外部信号はたとえばバンパーに設けた衝突感知センサー等から送られる。
このように構成された自動車用外板部材としてのボンネット11においては、たとえば車体やFRP製外板12に外部から衝撃荷重が加わった際には、その衝撃感知により膨張体17が作動され、瞬時に密閉空間14内に大量のガスが発生される。FRP製外板12には貫通穴15が設けられているので、発生されたガスの一部は貫通穴15を通して密閉空間14外へ放出され、放出されたガスにより高伸度樹脂フィルム16がエアバッグのように外方に向けて膨らむ。この膨らんだ高伸度樹脂フィルム16が、衝撃荷重に対してクッションとなり、衝撃エネルギーが適切に吸収される。また、歩行者に衝突した時などは、とくに歩行者の頭部がボンネット11方向に急移動されてくることが多いが、たとえばバンパーに設けたセンサーからの信号で膨張体17を作動させるようにすれば、頭部がボンネット11に衝突する直前に高伸度樹脂フィルム16をエアバッグのように膨らませることも可能となり、前述したような衝突事故等における歩行者の保護の要求に効果的に応えることが可能になる。
1、11 自動車用外板部材としてのボンネット
2、12 FRP製外板
3、13 FRP製内板
4、14 密閉空間
5 気体制御弁
15 貫通穴
16 高伸縮部材としての高伸度樹脂フィルム
17 膨張体
2、12 FRP製外板
3、13 FRP製内板
4、14 密閉空間
5 気体制御弁
15 貫通穴
16 高伸縮部材としての高伸度樹脂フィルム
17 膨張体
Claims (6)
- 密閉空間を有するFRP製自動車用外板部材であって、前記密閉空間を形成するFRP部の少なくとも1箇所に、前記密閉空間から内部気体が抜ける際の抵抗を制御可能な気体制御弁を設けたことを特徴とする自動車用外板部材。
- 前記気体制御弁が、自身の変形により開度を調整可能なものからなる、請求項1の自動車用外板部材。
- 密閉空間を有するFRP製自動車用外板部材であって、前記密閉空間を形成するFRP部に対し、貫通穴を設けるとともに、該貫通穴を設けた部分を外部から覆う高伸縮部材を設け、前記密閉空間内に、外部信号によりまたは衝撃エネルギーを感知することにより短時間に大量のガスを発生させることが可能な膨張体を内挿したことを特徴とする自動車用外板部材。
- 前記高伸縮部材が高伸度樹脂フィルムからなる、請求項3の自動車用外板部材。
- 前記外部信号がバンパーに設けられたセンサーから送られる、請求項3または4の自動車用外板部材。
- 自動車のボンネット用に用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用外板部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004021340A JP2005212590A (ja) | 2004-01-29 | 2004-01-29 | 自動車用外板部材 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004021340A Pending JP2005212590A (ja) | 2004-01-29 | 2004-01-29 | 自動車用外板部材 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010155493A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-15 | Toyota Motor Corp | 開閉扉用クッション |
JP2011020614A (ja) * | 2009-07-17 | 2011-02-03 | Toray Ind Inc | 自動車用フードパネル |
JP2012517373A (ja) * | 2009-02-11 | 2012-08-02 | コンセプト・イン・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ | 車両本体、特に陸上車両本体 |
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-
2004
- 2004-01-29 JP JP2004021340A patent/JP2005212590A/ja active Pending
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US9539885B2 (en) | 2013-06-19 | 2017-01-10 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicle back door |
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