JP2010155379A - 静電アクチュエーター、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、および電極基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極間で十分な絶縁耐圧を確保することができ、しかも絶縁膜表面の残留電荷を低減できる静電アクチュエーターを得ること。
【解決手段】可動電極を構成する可撓性の振動板12が形成されたシリコン基板2と、振動板12に空隙22を介して対向する固定電極17を有した電極基板3とを備えた静電アクチュエーターであって、固定電極17の上面には複数の第一絶縁膜16aが隙間16cを有して形成され、複数の第一絶縁膜16aの上面および各第一絶縁膜16aの周囲の固定電極17の上面には第二絶縁膜16bが形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】可動電極を構成する可撓性の振動板12が形成されたシリコン基板2と、振動板12に空隙22を介して対向する固定電極17を有した電極基板3とを備えた静電アクチュエーターであって、固定電極17の上面には複数の第一絶縁膜16aが隙間16cを有して形成され、複数の第一絶縁膜16aの上面および各第一絶縁膜16aの周囲の固定電極17の上面には第二絶縁膜16bが形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、可動電極と可動電極に空隙を介して対向する固定電極とを有した静電アクチュエーター、その静電アクチュエーターを備えた液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置などに関する。
空隙を隔てて対向する可動電極と固定電極との間に電界を掛け、静電力により可動電極を固定電極に吸引、当接させる静電アクチュエーターにおいては、電極間で十分な絶縁耐圧を確保することに加えて、可動電極と固定電極の張り付きを防止するため絶縁膜表面での残留電荷の低減が重要となっている。
このため例えば、可動電極、固定電極の両方の対向側表面に絶縁膜を形成し、かつ、その少なくとも一方を、酸化シリコンと酸化シリコンより誘電率の高い材料とが積層された絶縁膜としたものであって、可動電極側と固定電極側の絶縁膜の最表面にあって互いに接触する絶縁膜を同じ材料の酸化シリコンとしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、可動電極と固定電極の両電極の絶縁膜最表面を同材質としても、絶縁膜最表面での帯電を完全に防止できない場合があり、その場合に絶縁膜が複数の絶縁膜の積層により形成されていると、表面の絶縁膜と電極との間にある絶縁膜が、放電の障害となって、絶縁膜表面に残留電荷が滞留することも起こりえる。
本発明は、上記課題を解決することを目的としたもので、可動電極と固定電極から構成される静電アクチュエーターにおいて、電極間で十分な絶縁耐圧を確保することができ、しかも絶縁膜表面の残留電荷を低減できる静電アクチュエーター、液滴吐出ヘッド、および液滴吐出装置などを提案するものである。
本発明に係る静電アクチュエーターは、可動電極を構成する可撓性の振動板が形成されたシリコン基板と、前記振動板に空隙を介して対向する固定電極を有した電極基板とを備えた静電アクチュエーターであって、
前記固定電極の上面には複数の第一絶縁膜が隙間を有して形成され、前記複数の第一絶縁膜の上面および各第一絶縁膜の周囲の前記固定電極の上面には第二絶縁膜が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、振動板が直接、接触、離脱をする第二絶縁膜に帯電が生じても、第二絶縁膜が直接固定電極に接触しているため、その接触部を通して放電が行われ、残留電荷が大きく低減できる。従って、振動板の固定電極への貼り付きも防止される。
前記固定電極の上面には複数の第一絶縁膜が隙間を有して形成され、前記複数の第一絶縁膜の上面および各第一絶縁膜の周囲の前記固定電極の上面には第二絶縁膜が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、振動板が直接、接触、離脱をする第二絶縁膜に帯電が生じても、第二絶縁膜が直接固定電極に接触しているため、その接触部を通して放電が行われ、残留電荷が大きく低減できる。従って、振動板の固定電極への貼り付きも防止される。
なお、前記第一絶縁膜の厚さが前記第二絶縁膜の厚さ以上とされており、前記第二絶縁膜が前記固定電極に直接接触している領域では、前記振動板の動作時においても、前記振動板が前記第二絶縁膜に当接しないようにされているのが好ましい。
これによれば、第二絶縁膜だけからなる絶縁耐圧の低い領域では振動板が固定電極に接触しないので、第一絶縁膜間に隙間が形成されていても絶縁耐圧を確保することが可能となる。
これによれば、第二絶縁膜だけからなる絶縁耐圧の低い領域では振動板が固定電極に接触しないので、第一絶縁膜間に隙間が形成されていても絶縁耐圧を確保することが可能となる。
また、前記第一絶縁膜の絶縁耐圧は前記第二絶縁膜の絶縁耐圧より大きく、前記第一絶縁膜の誘電率は前記第二絶縁膜の誘電率より小さいことが好ましい。
この構成により、第一絶縁膜で絶縁耐圧を確保でき、第二絶縁膜で静電力の増大を図ることができ、かつ第二絶縁膜での残留電荷も抑制できる。
この構成により、第一絶縁膜で絶縁耐圧を確保でき、第二絶縁膜で静電力の増大を図ることができ、かつ第二絶縁膜での残留電荷も抑制できる。
また、前記第二絶縁膜をセラミック系硬質膜または炭素系硬質膜としてもよい。電極の接触面をこれらの硬質膜で形成することで、当接と離脱動作の繰り返しによる絶縁膜の摩耗、破損が低減され、残留電荷の低減に加えて、静電アクチュエーターの耐久性も向上する。
さらに、前記複数の第一絶縁膜の前記隙間の幅は、前記振動板の中央部に対応する部分が前記振動板の端部に対応する部分より狭く形成されているのが好ましい。
このようにすることで、振動板が固定電極に絶縁膜を介して当接する部分において、絶縁膜が第二絶縁膜だけとなる領域が小さくなり、電極間の絶縁耐性を確保することが可能となる。
このようにすることで、振動板が固定電極に絶縁膜を介して当接する部分において、絶縁膜が第二絶縁膜だけとなる領域が小さくなり、電極間の絶縁耐性を確保することが可能となる。
本発明の液滴吐出ヘッドは、上記いずれかに記載の静電アクチュエーターを、液滴吐出用の圧力室に備えたものである。また、本発明の液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを備えたものである。
これらの液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置は、上述した静電アクチュエーターの効果により、電極間の絶縁耐性が高く、また固定電極表面の絶縁膜における残留電荷の放電性もよいため、電極の張り付きも防止されて、信頼性が高まる。
また、本発明の静電アクチュエーター用の電極基板の製造方法は、ガラス基板の凹部内に形成した固定電極の上に第一絶縁膜を成膜し、前記第一絶縁膜をドライエッチングして隙間を形成することにより複数の第一絶縁膜に分割し、前記複数の第一絶縁膜の上面および各第一絶縁膜周囲の前記固定電極の上面に第二絶縁膜を形成して、前記第一絶縁膜の上面に形成される前記第二絶縁膜を、直接固定電極に接触させるようにしたものである。
これらの液滴吐出ヘッドおよび液滴吐出装置は、上述した静電アクチュエーターの効果により、電極間の絶縁耐性が高く、また固定電極表面の絶縁膜における残留電荷の放電性もよいため、電極の張り付きも防止されて、信頼性が高まる。
また、本発明の静電アクチュエーター用の電極基板の製造方法は、ガラス基板の凹部内に形成した固定電極の上に第一絶縁膜を成膜し、前記第一絶縁膜をドライエッチングして隙間を形成することにより複数の第一絶縁膜に分割し、前記複数の第一絶縁膜の上面および各第一絶縁膜周囲の前記固定電極の上面に第二絶縁膜を形成して、前記第一絶縁膜の上面に形成される前記第二絶縁膜を、直接固定電極に接触させるようにしたものである。
実施の形態1.
図1〜図3に、本発明に係る静電アクチュエーターを液滴吐出ヘッドに適用した実施の形態を示す。図1は実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドの分解斜視図、図2は図1の液滴吐出ヘッドの組立状態のA−A方向断面図、図3は可動電極である振動板12が固定電極17側に当接した状態の図2に対応する図である。
図1〜図3に、本発明に係る静電アクチュエーターを液滴吐出ヘッドに適用した実施の形態を示す。図1は実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドの分解斜視図、図2は図1の液滴吐出ヘッドの組立状態のA−A方向断面図、図3は可動電極である振動板12が固定電極17側に当接した状態の図2に対応する図である。
実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド1は、シリコンからなるキャビティ基板2(本明細書ではシリコン基板2ともいう)、ホウ珪酸ガラスなどからなる電極基板3、及びシリコンなどからなるノズル基板4が接合されることにより構成されている。
ノズル基板4は、円筒状の第1のノズル孔と、第1のノズル孔と同軸上に設けられて連通し第1のノズル孔よりも径の大きい円筒状の第2のノズル孔とからなるノズル8が形成されている。ノズル基板4のキャビティ基板2が接合される側の面には、細溝状のオリフィス5が形成されており、ノズル基板4をキャビティ基板2と接合した際に、後述のリザーバーと各圧力室を連通する作用を果たす。
キャビティ基板2は、可動電極を構成する可撓性の振動板12を有した圧力室13が、側壁10を介して平行に並んで複数形成されている。また、キャビティ基板2には、各圧力室13にインクなどの吐出液を、オリフィス5を介して供給する共通のリザーバー14と、リザーバー14に吐出液を供給する吐出液供給孔18aが形成されている。
キャビティ基板2の電極基板3に対向している側の面には、例えば、酸化シリコンなどの絶縁膜2aがほぼ全面にわたって形成されており、液滴吐出ヘッド1が駆動する際に、電極間での絶縁破壊やショートを防止する作用を果たしている。
一方、キャビティ基板2のノズル基板4が接合される側の面には、各振動板12に対して共通の電極となっている共通電極21が形成されている。なお、図示はされていないが、吐出液によりキャビティ基板2がエッチングされるのを防止する吐出液保護膜も形成されている。
一方、キャビティ基板2のノズル基板4が接合される側の面には、各振動板12に対して共通の電極となっている共通電極21が形成されている。なお、図示はされていないが、吐出液によりキャビティ基板2がエッチングされるのを防止する吐出液保護膜も形成されている。
電極基板3には、キャビティ基板2に形成された振動板12と対向する固定電極(対向電極あるいは個別電極ともいう)17が空隙22を介して複数形成されている。固定電極17はキャビティ基板2から突出する部分まで引き出されており、その突出部分は電極引き出し部17aとなっていて回路部品などが実装される。各固定電極17は、それぞれ対応する凹部20内に、例えばITO(Indium Tin Oxide)により形成されている。固定電極17の上面には複数の第一絶縁膜16aが隙間16cを有して形成されており、複数の第一絶縁膜16aの上面および各第一絶縁膜16aの周囲(隙間16cを含む)の固定電極17の上面には第二絶縁膜16bが形成されている。
さらに、電極基板3には、吐出液供給孔18aと連通する吐出液供給孔18bが形成されている。符号18a、18bから構成される吐出液供給孔18は、リザーバー14にインクなどの吐出液を外部から供給する。
さらに、電極基板3には、吐出液供給孔18aと連通する吐出液供給孔18bが形成されている。符号18a、18bから構成される吐出液供給孔18は、リザーバー14にインクなどの吐出液を外部から供給する。
第一絶縁膜16aの厚さは、第二絶縁膜16bの厚さ以上として、振動板12の変形時(動作時)においても、振動板12が第一絶縁膜16a間の隙間16cに入り込みづらくして、第二絶縁膜16bと当接しないようにしている。これは、振動板12と固定電極17とが当接(絶縁膜を介して当接)する部分では電界が強くなるので、第二絶縁膜16bだけで絶縁耐圧を確保することになるのを避けるためである。この観点から、複数の第一絶縁膜16aの隙間16cの幅も、振動板12の中央部に対応する部分の隙間16cが、振動板12の端部に対応する部分の隙間16cより狭く形成されていることが好ましい。
また、第一絶縁膜16aの絶縁耐圧は第二絶縁膜16bの絶縁耐圧より大きく、第一絶縁膜16aの誘電率は第二絶縁膜16bの誘電率より小さいことが好ましい。例えば、第一絶縁膜16aに酸化シリコンを使用し、第二絶縁膜16bには酸化シリコンより誘電率の高い酸化アルミニウム、酸化ハフニウムなど、または酸化タンタルを使用することができる。これにより、第一絶縁膜16aで絶縁耐圧を確保し、第二絶縁膜16bにより静電力の向上が図れる。
ただし、第二絶縁膜16bを絶縁膜の硬質化を目的に利用している場合には、第二絶縁膜16bの誘電率は、第一絶縁膜16aの誘電率より低くてもよい。絶縁膜の硬質化を目的にする場合、第二絶縁膜16bには、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、窒炭化チタン(TiCN)、窒化アルミチタン(TiAlN)などのセラミック系硬質膜、またはダイヤモンドライクカーボンなどの炭素系硬質膜が使用できる。
ただし、第二絶縁膜16bを絶縁膜の硬質化を目的に利用している場合には、第二絶縁膜16bの誘電率は、第一絶縁膜16aの誘電率より低くてもよい。絶縁膜の硬質化を目的にする場合、第二絶縁膜16bには、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、窒炭化チタン(TiCN)、窒化アルミチタン(TiAlN)などのセラミック系硬質膜、またはダイヤモンドライクカーボンなどの炭素系硬質膜が使用できる。
キャビティ基板2と電極基板3とは、陽極接合などによって接合されており、キャビティ基板2と電極基板3との空隙22は、封止材23によって封止されている。そして、キャビティ基板2の共通電極21と、各固定電極17の電極引き出し部17aとの間に、それらの電極間に電圧を印加する駆動回路24が接続されている。
次に、液滴吐出ヘッド1の動作の一例を説明する。駆動回路24により、キャビティ基板2の共通電極21と電極基板3の固定電極17の間にパルス電圧が印加されると、振動板12が固定電極17の側に撓んで接触し、図3に示すような状態となる。これにより、リザーバー14の内部に溜まっていた吐出液が圧力室13に流れ込む。その後、キャビティ基板2と固定電極17の間に印加されていた電圧がなくなると、振動板12が元の位置に戻って圧力室13の内部の圧力が高くなる。この圧力により、圧力室13内の吐出液がノズル8から吐出される。
上記の液滴吐出ヘッド1は、振動板12が接触および離脱をする第二絶縁膜16bに帯電が生じても、第二絶縁膜16bが第一絶縁膜16a間の隙間16cなどで直接固定電極17に直接接触しているため、その接触部を通して放電が行われ、第二絶縁膜16b上の残留電荷が低減される。従って、振動板12の固定電極17への貼り付きも防止される。また、第二絶縁膜16bの使用材料に応じて、静電アクチュエーターとしての静電力を向上させることや、電極部の耐摩耗性を向上させることも可能となる。
なお、本発明の静電アクチュエーターは、上記の液滴吐出ヘッド1への適用に限られるものではなく、可動電極と固定電極による静電力を利用した他の機器にも適用できる。
なお、本発明の静電アクチュエーターは、上記の液滴吐出ヘッド1への適用に限られるものではなく、可動電極と固定電極による静電力を利用した他の機器にも適用できる。
実施の形態2.
次に、実施の形態1で説明した静電アクチュエーターに使用される電極基板3の製造方法を説明する。以下、図4の工程図を基に説明する。
次に、実施の形態1で説明した静電アクチュエーターに使用される電極基板3の製造方法を説明する。以下、図4の工程図を基に説明する。
(a)電極基板となるガラス基板3(以下、電極基板3という)を用意する。
(b)電極基板3をフッ酸水溶液などでエッチングして、固定電極配置用の凹部20を複数形成する。
(c)その凹部20内にスパッタなどによりITOを成膜して、固定電極17を、例えば、0.1μmの厚さに形成する。
(d)次に、酸化シリコンなどからなる第一絶縁膜16aを、プラズマCVDなどにより、例えば、0.1μmの厚さに形成する。
(e)次に、フォトリソおよびドライエッチングなどを用いて、第一絶縁膜16aに対して隙間16cを複数形成して、第一絶縁膜16aを複数の第一絶縁膜16aに分割する。この際、既に説明したように、第一絶縁膜16aの隙間16cの幅は、振動板12の中央部に対応する部分の隙間16cが、振動板12の端部に対応する部分の隙間16cより狭く形成されるようにするとよい。たとえば、振動板12の中央部に対応する部分の隙間16cを1.0μm、振動板12の両端部に対応する部分の隙間16cを3.0μm、それらの中間部分の隙間16cを2.0μmなどとする。
(f)続いて、複数の第一絶縁膜16aの上面および各第一絶縁膜16a周囲の固定電極17の上面に、第二絶縁膜16bをプラズマCVDなどにより、例えば、0.03μmの厚さに形成する。第二絶縁膜16bは、誘電率の向上を図る観点からは、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または酸化タンタルとし、耐摩耗性の観点からは、上述したセラミック系硬質膜または炭素系硬質膜とする。これによって、第二絶縁膜16bは、各第一絶縁膜16aの隙間16cなど第一絶縁膜16aの周囲で、直接固定電極17と接触された状態になる。
(g)最後に、固定電極17の端部に残っている、第一絶縁膜16aおよび/または第二絶縁膜16bを除去して電極引き出し部17aを露出させ、電極基板3を完成させる。
(b)電極基板3をフッ酸水溶液などでエッチングして、固定電極配置用の凹部20を複数形成する。
(c)その凹部20内にスパッタなどによりITOを成膜して、固定電極17を、例えば、0.1μmの厚さに形成する。
(d)次に、酸化シリコンなどからなる第一絶縁膜16aを、プラズマCVDなどにより、例えば、0.1μmの厚さに形成する。
(e)次に、フォトリソおよびドライエッチングなどを用いて、第一絶縁膜16aに対して隙間16cを複数形成して、第一絶縁膜16aを複数の第一絶縁膜16aに分割する。この際、既に説明したように、第一絶縁膜16aの隙間16cの幅は、振動板12の中央部に対応する部分の隙間16cが、振動板12の端部に対応する部分の隙間16cより狭く形成されるようにするとよい。たとえば、振動板12の中央部に対応する部分の隙間16cを1.0μm、振動板12の両端部に対応する部分の隙間16cを3.0μm、それらの中間部分の隙間16cを2.0μmなどとする。
(f)続いて、複数の第一絶縁膜16aの上面および各第一絶縁膜16a周囲の固定電極17の上面に、第二絶縁膜16bをプラズマCVDなどにより、例えば、0.03μmの厚さに形成する。第二絶縁膜16bは、誘電率の向上を図る観点からは、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または酸化タンタルとし、耐摩耗性の観点からは、上述したセラミック系硬質膜または炭素系硬質膜とする。これによって、第二絶縁膜16bは、各第一絶縁膜16aの隙間16cなど第一絶縁膜16aの周囲で、直接固定電極17と接触された状態になる。
(g)最後に、固定電極17の端部に残っている、第一絶縁膜16aおよび/または第二絶縁膜16bを除去して電極引き出し部17aを露出させ、電極基板3を完成させる。
なお、静電アクチュエーターを利用した液滴吐出ヘッド1を製造するには、完成した電極基板3にシリコン基板2を陽極接合し、そのシリコン基板2にパターニング、ウェットエッチングなどを施し、振動板12(例えば厚さ2.0μm)、圧力室13、リザーバー14などの吐出液用の流路を形成しキャビティ基板2とする。そしてその後、キャビティ基板2の流路形成面に、ノズル孔8を有したノズル基板4を、接着剤を用いて接着する。以上により、静電アクチュエーター型液滴吐出ヘッド1を完成させることができる。
上記電極基板3の製造方法により、絶縁耐圧に優れ、かつ電極表面に残留する電荷を少なくできる静電アクチュエーターを得ることができる。
また、第一絶縁膜16aで絶縁耐圧を確保する一方、第二絶縁膜16bを適宜選択して、静電力の向上や、絶縁膜の耐摩耗性の改善が図れる。
また、第一絶縁膜16aで絶縁耐圧を確保する一方、第二絶縁膜16bを適宜選択して、静電力の向上や、絶縁膜の耐摩耗性の改善が図れる。
実施の形態3.
図5は、実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置であるインクジェットプリンタの斜視図である。このインクジェットプリンタは、実施の形態1の液滴吐出ヘッド1が有する効果をそのまま奏することができるため、プリンタとしての信頼性、耐久性に優れ、また小型化も図れる。
なお、実施の形態1に示す液滴吐出ヘッド1は、吐出液を種々変更することで、インクジェットプリンタの他、液晶ディスプレイのカラーフィルターの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、生体液体の吐出などのための各種装置にも適用することができる。
図5は、実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置であるインクジェットプリンタの斜視図である。このインクジェットプリンタは、実施の形態1の液滴吐出ヘッド1が有する効果をそのまま奏することができるため、プリンタとしての信頼性、耐久性に優れ、また小型化も図れる。
なお、実施の形態1に示す液滴吐出ヘッド1は、吐出液を種々変更することで、インクジェットプリンタの他、液晶ディスプレイのカラーフィルターの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、生体液体の吐出などのための各種装置にも適用することができる。
1 液滴吐出ヘッド、2 キャビティ基板(シリコン基板)、2a 絶縁膜、3 電極基板(ガラス基板)、4 ノズル基板、5 オリフィス、8 ノズル、10 圧力室の側壁、12 振動板、13 圧力室、14 リザーバー、16a 固定電極の第一絶縁膜、16b 固定電極の第二絶縁膜、16c 第一絶縁膜間の隙間、17 固定電極、17a 電極引き出し部、18,18a,18b 吐出液供給孔、20 凹部、21 共通電極、22 空隙、23 封止材、24 駆動回路。
Claims (8)
- 可動電極を構成する可撓性の振動板が形成されたシリコン基板と、前記振動板に空隙を介して対向する固定電極を有した電極基板とを備えた静電アクチュエーターであって、
前記固定電極の上面には複数の第一絶縁膜が隙間を有して形成され、前記複数の第一絶縁膜の上面および各第一絶縁膜周囲の前記固定電極の上面には第二絶縁膜が形成されていることを特徴とする静電アクチュエーター。 - 前記第一絶縁膜の厚さが前記第二絶縁膜の厚さ以上とされており、前記第二絶縁膜が前記固定電極に直接接触している領域では、前記振動板の動作時においても、前記振動板が前記第二絶縁膜に当接しないようにされていることを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエーター。
- 前記第一絶縁膜の絶縁耐圧は前記第二絶縁膜の絶縁耐圧より大きく、前記第一絶縁膜の誘電率は前記第二絶縁膜の誘電率より小さいことを特徴とする請求項1または2記載の静電アクチュエーター。
- 前記第二絶縁膜がセラミック系硬質膜または炭素系硬質膜であることを特徴とする請求項1または2記載の静電アクチュエーター。
- 前記複数の第一絶縁膜の前記隙間の幅は、前記振動板の中央部に対応する部分が前記振動板の端部に対応する部分より狭く形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電アクチュエーター。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の静電アクチュエーターを、液滴吐出用の圧力室に備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項6記載の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置。
- ガラス基板の凹部内に形成した固定電極の上に第一絶縁膜を成膜し、前記第一絶縁膜をドライエッチングして隙間を形成することにより複数の第一絶縁膜に分割し、前記複数の第一絶縁膜の上面および各第一絶縁膜周囲の前記固定電極の上面に第二絶縁膜を形成して、前記第一絶縁膜の上面に形成される前記第二絶縁膜を、前記固定電極に直接接触させるようにしたことを特徴とする静電アクチュエーター用の電極基板の製造方法。
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Cited By (1)
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CN107215845A (zh) * | 2017-06-01 | 2017-09-29 | 北京有色金属研究总院 | 一种基于pdms振膜的mems静电执行器及制作方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107215845A (zh) * | 2017-06-01 | 2017-09-29 | 北京有色金属研究总院 | 一种基于pdms振膜的mems静电执行器及制作方法 |
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