JP2009029063A - 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、静電アクチュエータの製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動板厚みばらつきや、絶縁耐圧の低下を防ぐことができ、しかもアクチュエータを駆動させる際に高電圧にする必要がない静電アクチュエータ等を提供する。
【解決手段】静電アクチュエータは、振動板4と、この振動板4にギャップGを隔てて対向する個別電極Aとを有し、振動板4が、導電膜4aと、高誘電体膜または強誘電体膜4bとを積層して構成したものである。
【選択図】図2
【解決手段】静電アクチュエータは、振動板4と、この振動板4にギャップGを隔てて対向する個別電極Aとを有し、振動板4が、導電膜4aと、高誘電体膜または強誘電体膜4bとを積層して構成したものである。
【選択図】図2
Description
本発明は、静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、静電アクチュエータの製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドとして、例えばインクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッドが知られている。インクジェットヘッドは、一般に、インク滴を吐出するための複数のノズル孔が形成されたノズル基板と、このノズル基板に接合されノズル基板との間で上記ノズル孔に連通する吐出室、リザーバ等のインク流路が形成されたキャビティ基板とを備え、駆動部により吐出室に圧力を加えることにより、インク滴を選択されたノズル孔から吐出するように構成されている。駆動手段としては、静電気力を利用する方式や、圧電素子による圧電方式、発熱素子を利用するバブルジェット(登録商標)方式等がある。
近年、インクジェットヘッドに対して、印刷速度の高速化及びカラー化を目的としてノズル列を複数有する構造が求められており、さらに加えて、ノズルは高密度化するとともに、1列あたりのノズル数が増加して長尺化しており、インクジェットヘッド内のアクチュエータ数は益々増加している。このような背景から、ノズル密度が高く、長尺かつ多数のノズル列を有する、小型で吐出特性に優れたインクジェットヘッドが要求され、従来から様々な工夫、提案がなされている。
従来のインクジェットヘッドは、シリコン基材にボロンを拡散してボロン拡散層を形成し、このシリコン基材をエッチングし、ボロン拡散層でエッチングストップしてボロン拡散層によって振動板を形成していた(例えば、特許文献1参照)。
また、従来のインクジェットヘッドは、振動板の厚み精度を向上させるために、振動板を、導電膜と、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜からなる絶縁膜との積層膜等によって形成する場合があった(例えば、特許文献2参照)。
特許文献1記載の技術によれば、振動板の形成にボロン拡散層を用いるため、振動板に厚みばらつきが生じたり、絶縁耐圧の低下があった。
特許文献2記載の技術によれば、振動板の形成にボロン拡散層を用いず、振動板を導電膜と絶縁膜との積層膜等によって形成しているが、絶縁膜にシリコン窒化膜やシリコン酸化膜を用いているため、誘電率が低く、アクチュエータを駆動させる際に高電圧にする必要があった。
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、振動板の厚みばらつきや、絶縁耐圧の低下を防ぐことができ、しかもアクチュエータを駆動させる際に高電圧にする必要がない静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、静電アクチュエータの製造方法及び液滴吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る静電アクチュエータは、振動板と、この振動板にギャップを隔てて対向する個別電極とを有し、振動板が、導電膜と、高誘電体膜または強誘電体膜とを積層して構成したものである。
振動板が、導電膜と、高誘電体膜または強誘電体膜とから構成されているため、厚み精度に優れ、厚みばらつきの少ない振動板を形成することができる。また、振動板には導電膜に積層して高誘電体膜または強誘電体膜を形成してあるため、アクチュエータを駆動させる際に高電圧にする必要がない。
また、本発明に係る静電アクチュエータは、導電膜が、ITO、Au及びTiのいずれかからなる膜である。
振動板はITO、Au及びTiのいずれかからなる導電膜を有するため、厚み精度に優れている。
また、本発明に係る静電アクチュエータは、高誘電体膜が、BST((Ba,Sr)TiO3 )、STO(SrTiO3 )、BTO(BaTiO3 )、HfO2 及びTa2 O5 のいずれかからなる膜である。
振動板は、導電膜に積層して、BST、STO、BTO、HfO2 及びTa2 O5 のいずれかからなる高誘電体膜を形成したため、アクチュエータを駆動させる際に高電圧にする必要がない。
また、本発明に係る静電アクチュエータは、強誘電体膜が、PZT(Pb(Zr,Ti)O3 )、PZTN(Pb(Zr,Ti)Nb2 O8 )、及びPLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O3 )のいずれかからなる膜である。
振動板は、導電膜に積層して、PZT、PZTN、及びPLZTのいずれかからなる強誘電体膜を形成したため、アクチュエータを駆動させる際に高電圧にする必要がない。
また、本発明に係る静電アクチュエータは、高誘電体膜または強誘電体膜に開口部が形成され、導電膜に開口部を介して当接される共通電極を備え、共通電極の端子部が個別電極の端子部と同一平面上に設けられたものである。
ダイシングまでは、共通電極を個別電極と導通可能に接合させておき、陽極接合時に共通電極を等電位接点とし、ダイシング後は、共通電極を個別電極と分離させ、独立した共通電極とすることができる。そして、同一平面上に配線接合部が形成されている配線フレキシブル基板を、単に、導電性接着剤を介して、共通電極と個別電極の端子部に重ね合わせて加熱加圧するだけで、簡単かつ確実に配線接続を行うことができ、実装信頼性が向上する。
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記のいずれかの静電アクチュエータを備えたものである。
厚み精度に優れた振動板を備えているため、吐出特性が良く、液滴の着弾位置が高精度化した液滴吐出ヘッドを得ることができる。
本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
吐出特性が良く、液滴の着弾位置が高精度化した液滴吐出ヘッドを搭載した高品質な液滴吐出装置を得ることができる。
本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、シリコン基材に導電膜を形成する工程と、導電膜に積層して高誘電体膜または強誘電体膜を形成する工程と、シリコン基材を導電膜を形成した面と反対側の面からエッチングし、導電膜でエッチングストップさせて振動板を形成する工程とを有するものである。
従来のボロン拡散法による振動板の形成に換えて、導電膜を振動板の一部として振動板を形成するので、シリコン基材のエッチングを行う際、導電膜でエッチングストップがかかり、このため厚み精度に優れ、厚みばらつきの少ない振動板を形成することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、導電膜、及び高誘電体膜または強誘電体膜を、スパッタ法またはCVD法によって形成するものである。
スパッタ法またはCVD法によって、精度よく膜を形成することができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、上記のいずれかの静電アクチュエータの製造方法を適用して、液滴吐出ヘッドのアクチュエータ部分を形成するものである。
厚み精度に優れた振動板を備えているため、吐出特性が良く、液滴の着弾位置が高精度化した液滴吐出ヘッドを得ることができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドの分解斜視図、図2は図1の液滴吐出ヘッドを組み立てた状態の縦断面図、図3は図1のガラス基板をダイシングする前に上面より見た概略説明図、図4は図3のイ−イ断面図である。なお、本実施の形態1では、液滴を基板の面部に設けたノズル孔から吐出させるフェイス型の液滴吐出ヘッドの場合を示している。
図1、図2に示すように、液滴吐出ヘッドは、振動板4を有する第1の基板としてのキャビティ基板1と、電極部を有する第2の基板としてのガラス基板2と、ノズル孔30を有する第3の基板としてのノズル基板3が積層された3層構造になっている。
図1は本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドの分解斜視図、図2は図1の液滴吐出ヘッドを組み立てた状態の縦断面図、図3は図1のガラス基板をダイシングする前に上面より見た概略説明図、図4は図3のイ−イ断面図である。なお、本実施の形態1では、液滴を基板の面部に設けたノズル孔から吐出させるフェイス型の液滴吐出ヘッドの場合を示している。
図1、図2に示すように、液滴吐出ヘッドは、振動板4を有する第1の基板としてのキャビティ基板1と、電極部を有する第2の基板としてのガラス基板2と、ノズル孔30を有する第3の基板としてのノズル基板3が積層された3層構造になっている。
中間に位置する第1の基板としてのキャビティ基板1は、(110)面方位のSi(シリコン)単結晶基板(以下、シリコン基板という)によって構成されている。このキャビティ基板1は、キャビティ基材(シリコン基材)100に異方性ウェットエッチングを施したもので、底壁が振動板4となる吐出室5、及び各ノズル孔30に共通して吐出する液体を溜めておくためのリザーバ6が形成されている。なお、リザーバ6には液滴供給孔7が設けられている。
振動板4は、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる導電膜4aと、BST((Ba,Sr)TiO3 )からなる高誘電体膜4bとを積層して形成されている。吐出室5側に導電膜4aが設けられ、ガラス基板2との接合面側に高誘電体膜4bが設けられている。上記の導電膜4aは、ITOでなく、Au(金)、Ti(チタン)等からなる膜であってもよい。ただし、導電膜4aは、KOH(水酸化カリウム)溶液に対して耐性のあるものでなければならない。また、上記の高誘電体膜4bは、BSTでなく、STO(SrTiO3 )、BTO(BaTiO3 )、HfO2 (酸化ハフニウム)、Ta2 O5 (酸化タンタル)等からなる膜であってもよい。
振動板4は、上記のように導電膜4aと高誘電体膜4bとを積層して形成しているが、高誘電体膜4bの代わりに、PZT(Pb(Zr,Ti)O3 )のような強誘電体膜を設けてもよい。この場合、強誘電体膜は、PZTではなく、PZTN(Pb(Zr,Ti)Nb2 O8 )、PLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O3 )等の膜からなるものであってもよい。
キャビティ基板1の振動板4を構成する高誘電体膜4bには、図4(図3のイ−イ断面図)に示すように窓部53が設けられており、この窓部53を介して、ガラス基板2に設けられた共通電極部B(後述)が導電膜4aに当接し、通電可能となるようにしてある。
キャビティ基板1の下面に陽極接合される第2の基板としてのガラス基板2は、ホウ珪酸系の耐熱硬質ガラスによって形成されている。ガラス基板2には、キャビティ基板1に形成されている各吐出室5に合わせて、電極凹部(溝部)20が設けられている。その内部には、個別電極(対向電極)21、リード部22及び端子部23(以下、これらを合わせて個別電極部(対向電極部)Aという)を設けているので、電極凹部20のパターン形状は個別電極部Aの形状よりも少し大きめに作製してある。
電極凹部20に設ける個別電極部Aは段差状に形成され、酸化錫を不純物としてドープした透明のITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を用いている。ここで、個別電極部Aの材料はITOに限定するものではなく、Cr(クロム)等の金属等を材料に用いてもよいが、本実施の形態1では、後述するように透明であるので、放電したかどうかの確認が行い易い等の理由でITOを用いている。
ガラス基板2には、陽極接合時に等電位接点となりダイシング後は共通電極となる共通電極部Bが設けられている。この共通電極部Bは、個別電極部Aの端子部23が位置する端子凹部24の幅方向の段差部にまたがるようにして設けられ、段差部の高い位置、すなわち段差部近傍のガラス基板2の表面に、共通電極部Bの等電位接点50が位置するようにしてある。したがって、共通電極部Bの等電位接点50は、ガラス基板2の表面よりも突出する。こうして、キャビティ基板1の振動板4を構成する導電膜4aには、窓部53を介して共通電極部Bが直接、当接する。共通電極部Bの材料としては、酸化錫を不純物としてドープした透明のITOを用いている。ここで、共通電極部Bの材料はITOに限定するものではなく、Cr(クロム)等の金属等を材料に用いてもよい。
共通電極部Bは、ダイシングによる分離前は、図3に示すように、すべての個別電極部Aと端子凹部24側において導通可能に接合しており、キャビティ基材100とガラス基板2を陽極接合するときに(図6参照)、振動板4を構成する高誘電体膜4bに設けた窓部53を介して振動板4の導電膜4aに接合して、導電膜4aと個別電極部Aとの間を等電位にする。これは、キャビティ基材100とガラス基板2を陽極接合するときに、放電が起こるのを防止するためである。そして、複数の液滴吐出ヘッドをダイシングしてチップ化する際にダイシングライン27によって切り離され、個別電極部Aはアクチュエータ毎に分断される。従って、ダイシングによりチップ化すると、図3に示すダイシングライン27よりも右側にある部分は、完成された液滴吐出ヘッドには残らない。
陽極接合後のダイシングによって個別電極部Aと切り離された共通電極部Bは、電極凹部20の端子凹部24側で端子部51を取り出すようにしてあるので、共通電極部Bの端子部51は個別電極部Aの端子部23と同一平面上に位置する。
陽極接合後のダイシングによって個別電極部Aと切り離された共通電極部Bは、電極凹部20の端子凹部24側で端子部51を取り出すようにしてあるので、共通電極部Bの端子部51は個別電極部Aの端子部23と同一平面上に位置する。
キャビティ基板1の上面に接着接合される第3の基板としてのノズル基板3は、シリコン基板である。ノズル基板3の上面には、吐出室5と連通するノズル孔30が形成されており、下面にはオリフィス31が設けられて、吐出室5とリザーバ6とを連通させる。
上記の液滴吐出ヘッドにおいて、アクチュエータは、封止材40によって個別電極21毎に封止されている。これにより、アクチュエータを駆動させた際の個別電極21と振動板4との貼り付き等を防止する。
個別電極部Aの端子部23と共通電極部Bの端子部51が位置する電極取出し口41には、FPC42が実装してある。この場合、同一平面上に配線接合部が形成されている配線フレキシブル基板を、単に、導電性接着剤を介して、個別電極部Aの端子部23と共通電極部Bの端子部51とに重ね合わせて加熱加圧するだけで、簡単かつ確実に、配線接続を行うことができる。こうして、個別電極部Aの端子部23と共通電極部Bの端子部51とで、ドライバIC43を搭載したFPC42と接続され、個別電極21への電荷の供給及び停止を制御する。
上記のように構成した液滴吐出ヘッドの動作を説明する。
図2に示すように、吐出室5にはノズル孔30から吐出する吐出液体を溜めておく。そして、吐出室5の底壁である振動板4を撓ませ、吐出室5内の圧力を高め、ノズル孔30から液滴を吐出させる。
この際、電極取出し口41に位置し、個別電極部Aの端子部23と共通電極部Bの端子部51に接続されたドライバIC43を搭載したFPC42によって、個別電極21への電荷の供給及び停止を制御する。例えば、24kHzで発振し、個別電極21に0Vと30Vのパルス電位を印加して電荷供給を行う。
図2に示すように、吐出室5にはノズル孔30から吐出する吐出液体を溜めておく。そして、吐出室5の底壁である振動板4を撓ませ、吐出室5内の圧力を高め、ノズル孔30から液滴を吐出させる。
この際、電極取出し口41に位置し、個別電極部Aの端子部23と共通電極部Bの端子部51に接続されたドライバIC43を搭載したFPC42によって、個別電極21への電荷の供給及び停止を制御する。例えば、24kHzで発振し、個別電極21に0Vと30Vのパルス電位を印加して電荷供給を行う。
個別電極21に電荷を供給して正に帯電させると、振動板4は負に帯電し、静電気力により個別電極21に引き寄せられて撓む。これにより、吐出室5の容積は広がる。そして、個別電極21への電荷供給を止めると振動板4は元に戻るが、そのときの吐出室5の容積も元に戻るから、その圧力により差分の液滴が吐出し、例えば液滴がインクである場合は、記録対象となる記録紙に着弾することによって記録が行われる。
上記のように構成した液滴吐出ヘッドを製造する方法を、図5〜図9の製造工程図を用いて説明する。
なお、実際には、シリコン基材から複数個分の液滴吐出ヘッドの部材を同時形成するが、以下の説明ではその一部分だけを示している。
なお、実際には、シリコン基材から複数個分の液滴吐出ヘッドの部材を同時形成するが、以下の説明ではその一部分だけを示している。
(a) (110)を面方位とする酸素濃度の低いシリコン製のキャビティ基材100の片側の面100a(キャビティ基材100がガラス基板2と接合する側の面)を鏡面研磨する。
次に、鏡面研磨した面100aに、図5(a)に示すように、ITO(Indium Tin Oxide)からなる導電膜4aを形成する。なお、導電膜4aは、Au(金)、Ti(チタン)等からなる膜であっても良い。いずれの場合も、水酸化カリウム(KOH)溶液に対して耐性を有する。
膜の形成はスパッタ法によって行い、成膜条件として、例えば成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−5Paとする。なお、成膜はCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって行うものであってもよく、この場合は、例えば成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−3Paとする。
次に、鏡面研磨した面100aに、図5(a)に示すように、ITO(Indium Tin Oxide)からなる導電膜4aを形成する。なお、導電膜4aは、Au(金)、Ti(チタン)等からなる膜であっても良い。いずれの場合も、水酸化カリウム(KOH)溶液に対して耐性を有する。
膜の形成はスパッタ法によって行い、成膜条件として、例えば成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−5Paとする。なお、成膜はCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって行うものであってもよく、この場合は、例えば成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−3Paとする。
(b) キャビティ基材100の面100aに形成した導電膜4aの上に、さらに、図5(b)に示すように、BST((Ba,Sr)TiO3 )からなる高誘電体膜4bを形成する。なお、高誘電体膜4bは、STO(SrTiO3 )、BTO(BaTiO3 )、HfO2 、Ta2 O5 等からなる膜であってもよい。
膜の形成はスパッタ法によって行い、成膜条件として、例えば成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−5Paとする。なお、成膜はCVD法によって行うものであっても良く、この場合は、例えば成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−3Paとする。
高誘電体膜4bの代わりに、PZT(Pb(Zr,Ti)O3 )からなる強誘電体膜を形成してもよい。強誘電体膜は、PZTN(Pb(Zr,Ti)Nb2 O8 )、PLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O3 )等からなる膜であってもよい。この場合の成膜方法は、高誘電体膜4bの場合と同様に、スパッタ法によって行い、成膜条件として、例えば成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−5Paとする。なお、成膜はスパッタ法によるのではなく、CVD法によって行うものであっても良く、この場合は、成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−3Paとする。
膜の形成はスパッタ法によって行い、成膜条件として、例えば成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−5Paとする。なお、成膜はCVD法によって行うものであっても良く、この場合は、例えば成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−3Paとする。
高誘電体膜4bの代わりに、PZT(Pb(Zr,Ti)O3 )からなる強誘電体膜を形成してもよい。強誘電体膜は、PZTN(Pb(Zr,Ti)Nb2 O8 )、PLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O3 )等からなる膜であってもよい。この場合の成膜方法は、高誘電体膜4bの場合と同様に、スパッタ法によって行い、成膜条件として、例えば成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−5Paとする。なお、成膜はスパッタ法によるのではなく、CVD法によって行うものであっても良く、この場合は、成膜開始時の圧力をほぼ1×10E−3Paとする。
(c) キャビティ基材100の高誘電体膜4bにレジストパターニングを施し、エッチングして窓部53を形成する。そして、レジストを剥離する。
(d) 次に、図6(d)に示すように、キャビティ基材100を、振動板4を介して、あらかじめ電極凹部20、個別電極部A、共通電極部B等が作成されたガラス基板2上に、個別電極部Aと対向させて陽極接合する。陽極接合は、ガラス基板2に負極、キャビティ基材100に正極を接続して、例えば800Vの電圧を印加して行う。陽極接合の際、共通電極部Bの等電位接点50が、振動板4を構成する高誘電体膜4bに設けた窓部53を介して導電膜4aと通電可能に接続しているため、放電が起こることはない(図4参照)。
(e) 陽極接合後、図6(e)に示すように、キャビティ基材100を研削加工する。その後、KOH(水酸化カリウム)溶液でキャビティ基材100をエッチングし、加工変質層を除去する。
(f) 図6(f)に示すように、エッチング面に、プラズマCVDを用いて、TEOSエッチングマスク101を成膜する。
(g) 図7(g)に示すように、TEOSエッチングマスク101にレジストパターニングを施し、ふっ酸水溶液でエッチングし、吐出室となる部分5a、及び貫通穴となる部分44aのパターニングを行う。
(h) 図7(h)に示すように、TEOSエッチングマスク101にレジストパターニングを施し、ふっ酸水溶液でハーフエッチングし、リザーバとなる部分6aをパターニングする。そして、レジストを剥離する。
(i) 接合済み基板をKOH(水酸化カリウム)溶液に浸し、図7(i)に示すように、吐出室となる部分5a及び貫通穴となる部分44aを、シリコン基材を一部残してエッチングする。このとき、リザーバとなる部分6aはエッチングがまだ始まらない。
(j) ふっ酸水溶液に接合済み基板を浸し、図7(j)に示すように、リザーバとなる部分6aのTEOSエッチングマスク101を除去する。
(k) 接合済み基板をKOH溶液に浸し、図8(k)に示すように、リザーバとなる部分6a、吐出室となる部分5a及び貫通穴となる部分44aのエッチングを行う。
この際、吐出室となる部分5a及び貫通穴となる部分44aは、導電膜4aによってエッチングストップがかかる。こうして、吐出室となる部分5aの底面には、導電膜4aと高誘電体膜4bからなる高精度な厚みを有する振動板4が形成される。
この際、吐出室となる部分5a及び貫通穴となる部分44aは、導電膜4aによってエッチングストップがかかる。こうして、吐出室となる部分5aの底面には、導電膜4aと高誘電体膜4bからなる高精度な厚みを有する振動板4が形成される。
(l) キャビティ基材100のエッチングが終了したら、接合済み基板をふっ酸水溶液に浸し、図8(l)に示すように、キャビティ基材100表面のTEOSエッチングマスク101を剥離する。
(m) 貫通穴となる部分44aに残っている導電膜4aと高誘電体膜4bを除去するために、シリコンマスクをキャビティ基材100の表面に取り付け、RIEドライエッチングを行い、貫通穴となる部分44aのみにプラズマを当て、貫通させて開口し、図8(m)に示すように、貫通穴44を形成する。このとき、ギャップG内は大気開放される。
(n) 封止部にエポキシ系樹脂を盛って封止材40とし、図8(n)に示すように、個別電極21毎に封止を行う。エポキシ系樹脂の代わりに、TEOS膜等の無機材料を形成して封止してもよい。こうして、ギャップGを密閉する。
(o) 図9(o)に示すように、ノズル基材300を、エポキシ系接着剤によりキャビティ基材100に接着する。
(p) ダイシングライン27(図3参照)に沿ってダイシングを行い、図9(p)に示すように、個々のヘッドに切断する。陽極接合時に等電位接点となった部分が、ダイシングにより個別電極部Aと分離され、独立して共通電極部Bとなる。
本実施の形態1によれば、従来のボロン拡散法による振動板の形成に換えて、導電膜4aを振動板4の一部として振動板4を形成する。したがって、キャビティ基材100のエッチングを行う際、導電膜4aでエッチングストップがかかるため、導電膜4aと高誘電体膜(強誘電体膜)4bによって、厚み精度に優れた振動板4を形成することができる。そして、振動板4には導電膜4aに積層して高誘電体膜(強誘電体膜)4bを形成してあるため、アクチュエータを駆動させる際に高電圧にする必要はない。
また、陽極接合時に等電位接点となった部分がダイシングによって個別電極部Aと分離され、独立した共通電極部Bとなるようにしたので、陽極接合、さらには共通電極の形成を容易に行うことができ、また、同一平面上に配線接合部が形成されている配線フレキシブル基板を、単に、導電性接着剤を介してそれぞれの端子部に重ね合わせて加熱加圧するだけでよいので、簡単かつ確実に配線接続を行うことができ、実装信頼性が向上し、生産性も高い。
また、陽極接合時に等電位接点となった部分がダイシングによって個別電極部Aと分離され、独立した共通電極部Bとなるようにしたので、陽極接合、さらには共通電極の形成を容易に行うことができ、また、同一平面上に配線接合部が形成されている配線フレキシブル基板を、単に、導電性接着剤を介してそれぞれの端子部に重ね合わせて加熱加圧するだけでよいので、簡単かつ確実に配線接続を行うことができ、実装信頼性が向上し、生産性も高い。
実施の形態2.
図10は、実施の形態1に係るインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置を示す斜視図である。図10に示すインクジェット記録装置400は、インクジェットプリンタであり、実施の形態1に係る厚み精度に優れた振動板を備えたインクジェットヘッドを搭載しているため、吐出特性が良く、このため液滴の着弾位置を高精度化することができ、安定した高品質の印字が可能となる。
なお、実施の形態1に示したインクジェットヘッドは、図10に示すインクジェット記録装置400の他に、液滴を種々変更することで、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、遺伝子検査等に用いられる生体分子溶液のマイクロアレイの製造など様々な用途の液滴吐出装置として利用することができる。
図10は、実施の形態1に係るインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置を示す斜視図である。図10に示すインクジェット記録装置400は、インクジェットプリンタであり、実施の形態1に係る厚み精度に優れた振動板を備えたインクジェットヘッドを搭載しているため、吐出特性が良く、このため液滴の着弾位置を高精度化することができ、安定した高品質の印字が可能となる。
なお、実施の形態1に示したインクジェットヘッドは、図10に示すインクジェット記録装置400の他に、液滴を種々変更することで、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、遺伝子検査等に用いられる生体分子溶液のマイクロアレイの製造など様々な用途の液滴吐出装置として利用することができる。
1 キャビティ基板(シリコン基板)、2 ガラス基板、3 ノズル基板、4 振動板、4a 導電膜、4b 高誘電体膜(強誘電体膜)、5 吐出室、6 リザーバ、20 電極凹部、21 個別電極、22 リード部、23 端子部、24 端子凹部、27 ダイシングライン、30 ノズル孔、31 オリフィス、42 FPC、50 等電位接点、51 端子部、53 窓部(開口部)、100 キャビティ基材(シリコン基材)、A 個別電極部、B 共通電極部、G ギャップ。
Claims (10)
- 振動板と、この振動板にギャップを隔てて対向する個別電極とを有し、
前記振動板が、導電膜と、高誘電体膜または強誘電体膜とを積層して構成したものであることを特徴とする静電アクチュエータ。 - 前記導電膜が、ITO、Au及びTiのいずれかからなる膜であることを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエータ。
- 前記高誘電体膜が、BST((Ba,Sr)TiO3 )、STO(SrTiO3 )、BTO(BaTiO3 )、HfO2 及びTa2 O5 のいずれかからなる膜であることを特徴とする請求項1または2記載の静電アクチュエータ。
- 前記強誘電体膜が、PZT(Pb(Zr,Ti)O3 )、PZTN(Pb(Zr,Ti)Nb2 O8 )、及びPLZT((Pb,La)(Zr,Ti)O3 )のいずれかからなる膜であることを特徴とする請求項1または2記載の静電アクチュエータ。
- 前記高誘電体膜または強誘電体膜に開口部が形成され、
前記導電膜に前記開口部を介して当接される共通電極を備え、
前記共通電極の端子部が前記個別電極の端子部と同一平面上に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電アクチュエータ。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の静電アクチュエータを備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
- 請求項6記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする液滴吐出装置。
- シリコン基材に導電膜を形成する工程と、
前記導電膜に積層して高誘電体膜または強誘電体膜を形成する工程と、
前記シリコン基材を前記導電膜を形成した面と反対側の面からエッチングし、前記導電膜でエッチングストップさせて振動板を形成する工程と、
を有することを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。 - 前記導電膜、及び高誘電体膜または強誘電体膜を、スパッタ法またはCVD法によって形成することを特徴とする請求項8記載の静電アクチュエータの製造方法。
- 請求項8または9記載の静電アクチュエータの製造方法を適用して、液滴吐出ヘッドのアクチュエータ部分を形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
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JP2010208149A (ja) * | 2009-03-10 | 2010-09-24 | Sharp Corp | インク吐出装置 |
-
2007
- 2007-07-30 JP JP2007197083A patent/JP2009029063A/ja not_active Withdrawn
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