JP2010154607A - 電気車の非常ブレーキ制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気車の非常ブレーキにおいて、従来の電気ブレーキでは、回生ブレーキを主体とした電気ブレーキであったがために、回生負荷の変動による電気ブレーキ力の変動などがあり、非常ブレーキへの電気ブレーキの併用が回避され、その結果、摩擦ブレーキのみの非常ブレーキでは、ブレーキ力がブレーキディスクとブレーキパッドまたは、車輪踏面と制輪子間の摩擦係数などに依存するため、ブレーキ力が全速度帯で一定とならないなどの課題があった。
【解決手段】ブレーキチョッパを具備した制御システムでは、回生・発電ブレンディングブレーキによる電気ブレーキ力変化が小さく、誘導主電動機の初励時間後に架線と制御装置間の遮断器を開放し、全発電ブレーキ制御に移行する事で、架線からの電力供給の可能性を皆無にし、安全性を高めた非常発電ブレーキと摩擦ブレーキ併用の電気車非常ブレーキ制御方法を提供するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ブレーキチョッパを有した直流電気車の非常ブレーキ制御に関する技術である。
従来電気車の非常ブレーキ制御では、高度な制御を行わない摩擦ブレーキのみの制御が主に用いられてきた。
非常ブレーキの用途としては、電気車前方の障害物等との衝突を回避するなどの目的に使用するものであり、如何に最短距離で電気車両を停止させるかが求められる。
しかしながら、摩擦ブレーキでは、ブレーキディスクとブレーキパッド間あるいは、車輪踏面と制輪子間などの摩擦係数の状態に依存するため、全速度域で一定のブレーキ力を得ることが難しく、滑走制御の応答においても、電気ブレーキよりも遅いため結果的に、ブレーキ距離の短縮が困難な側面があった。
電気車の制御方式が可変電圧可変周波数インバータ(VVVF制御インバータ)方式となり容易に、低速までの回生ブレーキの制御が可能な事から、常用電気ブレーキに回生ブレーキを使用する電気車が殆んどであるが、回生ブレーキは、同一き電内にある回生負荷の状態(他の電気車が、力行状態である時のみ十分な回生負荷として機能する)により、回生ブレーキ失効の際には、空気ブレーキへの移行が必要で、その遷移時にブレーキ力変化が発生する事もあり、非常ブレーキに回生ブレーキを併用する事は、回避されて来た。
一方、近年、列車上に設置された、ブレーキチョッパ装置と発電ブレーキ用の抵抗器により回生負荷の不足分を、発電ブレーキ抵抗器に消費させて、所要の電気ブレーキ力を得るブレーキチョッパ制御方式が実用化されており、回生負荷の変動による回生ブレーキ失効などの遷移状態が無く回生ブレーキと発電ブレーキの双方の比率を連続的に制御する事により、一定の電気ブレーキ力が得られる方式が常用ブレーキとして実用化されている。
特許2680186号公報 特開平9−182208号公報
ブレーキチョッパ装置を具備した制御方式では、回生失効による電気ブレーキ力変化により摩擦ブレーキへの切換に依る総合ブレーキ力の大幅な変動可能性などが解消した事から、非常ブレーキへの電気ブレーキの適用可能性を高める条件が整って来たが、本質安全の面から万一の制御異常などで、力行パワーを発生する可能性も皆無とは言えず、非常ブレーキ時の電気ブレーキ協働システムの採用に踏切れない課題があった。尚、電気ブレーキが万一完全不動作の場合は、全面的に摩擦ブレーキにより停止するシステム構成とすることにより、現状の非常ブレーキシステムと同じ状態でありここでの課題とはならない。
ブレーキチョッパを有した直流電気車において、非常ブレーキ制御に電気ブレーキを併用し、非常ブレーキ指令で、モータへの初励磁時間後に架線と接続している遮断器を開放する事により、回生・発電ブレンディングブレーキから、全発電ブレーキ制御に移行させ、非常ブレーキモードでの架線からのパワー供給を絶ち、非常発電ブレーキと摩擦ブレーキとを併用して非常ブレーキを作用させる事を特徴とする電気車の非常ブレーキ制御方法。
ブレーキチョッパを具備した制御システムで非常ブレーキ時に、本質的に力行パワーを発生させないために、制御装置が非常ブレーキ指令を受けた後、誘導主電動機の初励時間を確保するための僅かな時間が経過後に、制御装置と架線間に挿入されている遮断器を開放する事により、全面的に発電ブレーキ制御のみに移行する事によって、架線側からの力行パワーの供給が絶たれ本質的に安全な電気ブレーキと摩擦ブレーキに依る協働の非常ブレーキ制御の状態が得られる様になる。尚、ブレーキチョッパの応答は、十分に速く、架線と制御装置を接続する遮断器が開放された際に速やかに、ブレーキチョッパ側の通流率が拡大し、発電ブレーキ抵抗器側への全面切換において電気ブレーキ力の大幅な変化が生じ無い構成としておく。また、ブレーキチョッパの最大通流率において必要な非常ブレーキ力が得られる様なブレーキ抵抗値が選定されている前提とする。
非常ブレーキ制御に、粘着性能に優れた電気ブレーキの付加が可能になり、従来の摩擦ブレーキのみの非常ブレーキシステムよりも停車までのブレーキ距離を短く出来る可能性が高い。摩擦ブレーキは、ブレーキパッドとブレーキディスク間あるいは、制輪子と車輪踏面間など動摩擦による摩擦係数に依存しており、滑走制御の応答性も遅いなど、安定的に一定ブレーキ力を得るのが原理的に難しいブレーキシステムであり、電気ブレーキを主体とする事で、ブレーキ力の安定性が高まる。その結果、ブレーキ距離の短縮が図れる可能性が高まる。
以下、図1を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、ブレーキチョッパ付きの可変電圧可変周波数インバータ(VVVF制御インバータ)方式の電気車主回路接続図例である。
図1は、1 電車線、2 集電装置、3 高速度遮断器、4 主遮断器、5 充電抵抗器短絡用遮断器、6 充電抵抗器、 7 フィルタリアクトル、 8 フィルタコンデンサ、9 可変電圧可変周波(VVVF)インバータ、10 駆動用主電動機 であり一般的な、架線集電により走行可能な電気車の主回路例である。駆動用主電動機の制御個数、付帯の充電回路遮断器構成についても例を示したものである。
さらに、11 ブレーキチョッパ、12 発電ブレーキ抵抗器を付加して、回生ブレーキのほか、回生負荷が十分でない場合には、8 フィルタコンデンサの電圧によりブレーキチョッパ11 の通流率を制御して、ブレーキ抵抗器12に回生電流を分流させて発電ブレーキも動作する様にしたものである。11のブレーキチョッパ装置は、IGBT素子を使用した例であるが、GTO素子の使用でも構わない。また、図1では、ブレーキチョッパと発電ブレーキの順番が、ブレーキチョッパ不動作時にブレーキ抵抗器を接地電位とするために、図示の順番としているが、逆であっても構わない。
図1の動作について説明する。
先ず、運転準備として、集電装置2は上昇、高速度遮断器3も閉じている。力行指令を受けると、主遮断器4が閉じる事により、架線から充電抵抗器6を通して、フィルタコンデンサ8が充電され、充電がほぼ完了すると 充電抵抗短絡用遮断器5が閉じて、可変電圧可変周波(VVVF)インバータにゲート信号が出力され、駆動用主電動機10が回転し、電気車が動き出す。
力行指令がオフとなり、惰行する時は、可変電圧可変周波(VVVF)インバータ9のゲート出力が止まり、電気車は惰行状態となる。
次に、常用ブレーキ指令を受けると、可変電圧可変周波(VVVF)インバータ9は、主電動機が回生モードとなる様、ゲートが制御され、架線側の回生負荷がある場合は、電車線1へ、回生負荷が減ってフィルタコンデンサ8の電圧が上昇してくるとブレーキチョッパ11の通流率を大きくしてブレーキ抵抗器12に分流する電流を増やして回生・発電ブレンディングの状態となる。電気車は、減速して停車する。
次に、今回の発明が適用される非常ブレーキモードについて説明する。
走行中に非常ブレーキ指令を受けると力行モードでは、可変電圧可変周波(VVVF)インバータ9のゲート指令が、回生ブレーキモードになると共に、非常ブレーキのトルクが得られる様に駆動用主電動機10が制御される。その後、非常ブレーキ指令から僅かな時間遅れ(主電動機の初励時間が確保出きる時間)後に、主遮断器4が開放され、駆動用主電動機からの回生電流は、すべてがブレーキチョッパ11、ブレーキ抵抗器12の回路に流れる様にブレーキチョッパ11が制御される。
次に、惰行モードでも、主遮断器4は、動作頻度低減の観点から投入状態を維持する制御が一般的である。非常ブレーキ指令を受け付けると可変電圧可変周波(VVVF)インバータ9のゲート指令が、回生ブレーキモードになると共に、非常ブレーキのトルクが得られる様に駆動用主電動機10が制御される。常用ブレーキモードからは、同様に、非常ブレーキのトルクが得られる様に駆動用主電動機10が制御される。また、非常ブレーキ指令から僅かな時間遅れ(主電動機の初励時間が確保出きる時間)後に、主遮断器4が開放され、駆動用主電動機からの回生電流は、すべてがブレーキチョッパ11、ブレーキ抵抗器12の回路に流れる様にブレーキチョッパ11が制御される。
常用ブレーキモードからは、同様に、非常ブレーキのトルクが得られる様に駆動用主電動機10が制御される。次に、非常ブレーキ指令から僅かな時間遅れ(主電動機の初励時間が確保出きる時間)後に、主遮断器4が開放され、駆動用主電動機からの回生電流は、すべてがブレーキチョッパ11、ブレーキ抵抗器12の回路に流れる様にブレーキチョッパ11が制御される。
尚、非常ブレーキ指令を受け付けた時は、基本的に停車まで、非常ブレーキモードを維持するものとする。
前記の通り、非常ブレーキ時には、モータへの初励磁の僅かな時間を除いて、架線との接続が絶たれ、全発電ブレーキモードとなる事で、力行パワーの供給がない事から、極めて安全性の高い、非常発電ブレーキモードが構成される。また、ブレーキチョッパを使用する事で、駆動用主電動機への初励磁、回生、発電モードへの円滑な切換が可能で、一時的な電気ブレーキの不足などの遷移状態が発生する事なく安定的な電気ブレーキ力を得る事が出きる。所要非常ブレーキ力は、常用ブレーキでも使用されている電気ブレーキと摩擦ブレーキとの補足ブレーキシステムにより連続的に 所要非常ブレーキ力―電気ブレーキ力=補足摩擦ブレーキ力 の演算による摩擦ブレーキによる補足ブレーキを受けて、仮に、電気ブレーキ力が何等かの故障等で得られなかった場合にも、これまでの摩擦ブレーキのみに依る非常ブレーキ同様のブレーキ力が得られる。
以上の説明の通り、ブレーキチョッパを有したごく一般的な主回路構成のまま、非常ブレーキ時に主遮断器の開放制御を行う事で、安全性の高い電気ブレーキ併用の非常ブレーキ制御を電気車制御に適用できる様にしたものである。
ブレーキチョッパを有する電気車主回路例の説明図である。(実施例1)
符号の説明
1 電車線
2 集電装置
3 高速度遮断器
4 主遮断器
5 充電抵抗器短絡用遮断器
6 充電抵抗器
7 フィルタリアクトル
8 フィルタコンデンサ
9 可変電圧可変周波(VVVF)インバータ
10 駆動用主電動機
11 ブレーキチョッパ
12 ブレーキ抵抗器

Claims (1)

  1. ブレーキチョッパを有した直流電気車において、非常ブレーキ制御に電気ブレーキを併用し、非常ブレーキ指令で、モータへの初励磁時間後に架線と接続している遮断器を開放することにより、回生・発電ブレンディングブレーキから、全発電ブレーキ制御に移行させ、非常ブレーキモードでの架線からのパワー供給を絶ち、非常発電ブレーキと摩擦ブレーキとを併用して非常ブレーキを作用させることを特徴とする電気車の非常ブレーキ制御方法。
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