JP2010154199A - フィルタ回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】層状に複数積層された絶縁層2と、絶縁層同士の間に配置された複数のストリップ線路3と、を備えるフィルタ回路1において、複数のストリップ線路は互いの間に絶縁層を挟んでそれぞれ配置され、複数のストリップ線路のうち絶縁層を挟んで隣接して配置されるストリップ線路のそれぞれの組は、絶縁層を介して互いに電磁的に結合している。
【選択図】図1
Description
このように構成されたフィルタ回路は、ストリップ線路の対向する部分をそれぞれ電磁的に結合させることで、特定の周波数のみを通過させることが可能なバンドパスフィルタとなるとされる。
そして、ストリップ線路111aとストリップ線路111bとの電磁的結合部の上層及び下層、すなわち、誘電体基板113aと誘電体基板113bとの間、及び誘電体基板113cと誘電体基板113dとの間には、無給電素子114a、114bがそれぞれ設けられている。同様に、ストリップ線路111dとストリップ線路111eとの電磁的結合部の上層及び下層、すなわち、誘電体基板113aと誘電体基板113bとの間、及び誘電体基板113cと誘電体基板113dとの間には、無給電素子114c、114dがそれぞれ設けられている。
このフィルタ回路によれば、無給電素子によりストリップ線路同士の電磁的な結合を強め、ミリ波帯等においても低損失なフィルタ回路を実現することが可能とされている。
小西良弘著、マイクロ波回路の基礎とその応用(基礎知識から新しい応用まで)、総合電子出版社、1995年6月10日 第3版、第302〜305頁。
なお、本願発明者の解析によれば、図12に示した従来のカップルドライン型帯域通過フィルタ回路を、低温焼結セラミック基板(比誘電率εr=7.7)を用いて既存の製造プロセスルールで製造した場合、通過帯域特性は図9に点線で示すように、中心周波数61GHzに対し通過帯域は高々2.5GHzである。
本発明のフィルタ回路は、層状に複数積層された絶縁層と、該絶縁層同士の間に配置された複数のストリップ線路と、を備えるフィルタ回路において、前記複数のストリップ線路は互いの間に前記絶縁層を挟んでそれぞれ配置され、前記複数のストリップ線路のうち前記絶縁層を挟んで隣接して配置される前記ストリップ線路の組は、前記絶縁層を介してそれぞれが互いに電磁的に結合していることを特徴としている。
この発明によれば、ストリップ線路の面を互いに接近させることで、ストリップ線路の組におけるストリップ線路間の互いの電磁的な結合を強化させることができる。
この発明によれば、補助ストリップ線路も他方の前記ストリップ線路に電磁的に結合させることにより、ストリップ線路の組におけるストリップ線路間の互いの電磁的な結合をさらに強化させることができる。
この発明によれば、ストリップ線路の組において、他方のストリップ線路を一方のストリップ線路及び補助ストリップ線路で両側から挟むようにそれぞれ配置することで、ストリップ線路の組におけるストリップ線路間の互いの電磁的な結合をより強化させることができる。
この発明によれば、フィルタ回路を積層方向に薄く構成することができる。
この発明によれば、フィルタ回路のパラメータ数を少なく抑えることができ、フィルタ回路の設計を容易にすることが可能となる。
この発明によれば、フィルタ回路のパラメータ数を少なく抑えることができ、フィルタ回路の設計を容易にすることが可能となる。
以下、本発明に係るフィルタ回路の第1実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1(a)は本実施形態のフィルタ回路のストリップ線路の配置を示す平面図であり、図1(b)は本実施形態のフィルタ回路の断面構造を模式的に示す説明図である。そして、図2は本実施形態のフィルタ回路のストリップ線路を分解した平面図である。
なお、以下では、複数の誘電体基板(絶縁層)をまとめて示すときは数字のみを記し、複数の誘電体基板を構成するそれぞれの誘電体基板を区別して示すときは数字に英字を添えて示す。なお、ストリップ線路等についても同様の方式で示すものとする。
本実施形態では、フィルタ回路1はさらに、ストリップ線路3aに接続された入力端子4、ストリップ線路3eに接続された出力端子5、誘電体基板2aにおける誘電体基板2bとは反対側の面、及び誘電体基板2fにおける誘電体基板2eとは反対側の面にそれぞれ接続された地板6、7、をそれぞれ備えている。
なお、図1(a)では、地板6、7を省略して示している。また、フィルタ回路1において、地板6、7は、いずれか一方のみを備えられるだけでも良い。
また、積層方向Dから見たときに、5つのストリップ線路3は一方向Eに順に並ぶように配置されるとともに、5つのストリップ線路3のうちの一方向Eの一端側から3番目のストリップ線路3cの中心点における一方向Eに直交する仮想中心線Lに対し、5つのストリップ線路3が全体として線対称の形状となるように配置されている。
すなわち、積層方向Dから見たときに、仮想中心線Lに対し、ストリップ線路3cは線対称の形状に形成されている。そして、ストリップ線路3aとストリップ線路3e、ストリップ線路3bとストリップ線路3d、はそれぞれ仮想中心線Lに対して線対称の形状となるように配置されている。
同様に、ストリップ線路3bとストリップ線路3c、ストリップ線路3cとストリップ線路3d、及びストリップ線路3dとストリップ線路3eは、互いの間に誘電体基板2c、2d、2eをそれぞれ挟み、電磁的に結合した部分が電磁的結合部11b、11c、11dとなっている。そして、ストリップ線路3bとストリップ線路3c、ストリップ線路3cとストリップ線路3d、及びストリップ線路3dとストリップ線路3eとで、ストリップ線路3の組をそれぞれ構成している。
すなわち、本実施形態では4つの電磁的結合部11が形成されている。
なお、本実施形態では、主としてストリップ線路3の間の対向する縁及び対向する面が電磁的結合部11として機能するように構成した。しかし、これに限定されることなく、例えばストリップ線路3同士が互いに交差するように配置されている場合であっても、ストリップ線路間で電磁波の授受に寄与する領域を電磁的結合部とすれば良い。
外部の高周波信号源(図示なし)から、入力端子4に高周波信号が印加されると入力端子4に接続されたストリップ線路3aが給電され、このストリップ線路3aから電磁波が放射される。この電磁波は、電磁的結合部11aを介して、ストリップ線路3aと電磁的に結合されたストリップ線路3bを励振し、ストリップ線路3bに高周波電流が誘導される。
このとき、ストリップ線路3aに印加された高周波信号は、ストリップ線路3a、3bにおけるインダクタの効果と、誘電体基板2bにおけるキャパシタの効果を受ける。
また、積層方向Dから見たときに、ストリップ線路3の組は、互いの一部が重畳するようにそれぞれ配置されているので、ストリップ線路3の面を互いに接近させることで、ストリップ線路3の組におけるストリップ線路3間の互いの電磁的な結合を強化させることができる。
そして、積層方向Dから見たときに、5つのストリップ線路3a、3b、3c、3d、3eは、それぞれの仮想軸線8a、8b、8c、8d、8eに対して線対称形状にそれぞれ形成され、それぞれの仮想軸線8は互いに重畳する位置に配置されている。さらに、5つのストリップ線路3は、積層方向Dから見たときに一方向Eに順に並ぶように配置されるとともに、5つのストリップ線路3のうちの一方向Eの一端側から3番目のストリップ線路3cの中心点における一方向Eに直交する仮想中心線Lに対し、5つのストリップ線路3が全体として線対称の形状となるように配置されている。
より詳しくは、例えば、ストリップ線路が、一方向に順に並ぶように3つ備えられた場合には、一方向の一端側から2番目のストリップ線路の中心点における一方向に直交する仮想中心線Lに対し、3つのストリップ線路が全体として線対称の形状となるように配置されていても良い。
このように構成することでも、フィルタ回路1の設計変数を少なく抑えることができ、フィルタ回路1の設計を容易にすることが可能となる。
このようにそれぞれ構成しても、フィルタ回路1の設計は可能だからである。
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図3に示すように、本実施形態のフィルタ回路21は、4層積層された誘電体基板2a、2b、2c、2dを備えている。
誘電体基板2aと誘電体基板2bとの間にストリップ線路23a、23eが配置され、誘電体基板2bと誘電体基板2cとの間にストリップ線路23b、23dが配置され、誘電体基板2cと誘電体基板2dとの間にストリップ線路23cが配置されている。
そして、ストリップ線路23aとストリップ線路23b、ストリップ線路23bとストリップ線路23c、ストリップ線路23cとストリップ線路23d、ストリップ線路23dとストリップ線路23eが、積層方向Dから見て互いに重畳する部分でそれぞれ電磁的に結合している。
すなわち、ストリップ線路23cは、隣接する誘電体基板2bと誘電体基板2cとの間に配置された2つのストリップ線路23b、23dとそれぞれ電磁的に結合している。
このように構成された本実施形態のフィルタ回路21によれば、ストリップ線路23cが電磁的に結合される2つのストリップ線路23b、23dを隣接する誘電体基板2bと誘電体基板2cとの間に配置することで、フィルタ回路21を積層方向Dに薄く構成することができる。
このように構成された本実施形態の変形例のフィルタ回路26によれば、フィルタ回路26を積層方向Dにより薄く構成することができる。
次に、本発明に係る第3実施形態について説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に示すように、本実施形態のフィルタ回路31は、4層積層された誘電体基板2a、2b、2c、2dを備えている。
そして、ストリップ線路28の組を構成するストリップ線路28aとストリップ線路28bにおいて、ストリップ線路28aには、誘電体基板2c、2dの間に配置されるとともにストリップ線路28aと電気的に接続された補助ストリップ線路32aが設けられている。この補助ストリップ線路32aは、誘電体基板2b、2cに形成されたビアホール33aを介してストリップ線路28aに接続されている。そして、補助ストリップ線路32aは、ストリップ線路28bとの間に誘電体基板2cを挟んで配置されるとともに、ストリップ線路28bと誘電体基板2cを介して互いに電磁的に結合している。
また、補助ストリップ線路32aは、ストリップ線路28bに対してストリップ線路28aとは反対側に位置するとともに、積層方向Dから見たときに、ストリップ線路28bの一部に重畳するように配置されている。
また、補助ストリップ線路32bは、ストリップ線路28dに対してストリップ線路28eとは反対側に位置するとともに、積層方向Dから見たときに、ストリップ線路28dの一部に重畳するように配置されている。
ストリップ線路28aだけでなく補助ストリップ線路32aもストリップ線路28bに電磁的に結合させることにより、ストリップ線路28a、28bの組における互いの電磁的な結合をさらに強化させることができる。同様に、ストリップ線路28eだけでなく補助ストリップ線路32bもストリップ線路28dに電磁的に結合させることにより、ストリップ線路28e、28dの組における互いの電磁的な結合をさらに強化させることができる。
また、ストリップ線路28bをストリップ線路28a及び補助ストリップ線路32aで両側から挟むように配置することで、ストリップ線路28aとストリップ線路28bとの間の電磁的な結合をより強化させることができる。同様に、ストリップ線路28dをストリップ線路28e及び補助ストリップ線路32bで両側から挟むように配置することで、ストリップ線路28eとストリップ線路28dとの間の電磁的な結合をより強化させることができる。
補助ストリップ線路32は、自身が電気的に接続されているストリップ線路28と同じ側に配置されていても電磁的な結合を強化させることができるからである。
次に、本発明に係る第4実施形態について説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示すように、本実施形態のフィルタ回路41は、8層積層された誘電体基板2a〜2hと、誘電体基板2の間に配置された7つのストリップ線路43a〜43gを備えている。そして、本実施形態では、6箇所の電磁的結合部44a〜44fが設けられている。
このように構成された本実施形態のフィルタ回路41によれば、ストリップ線路43が電磁的に結合する電磁的結合部44の数を6箇所に増加させることにより特性曲線の極の数も増加させ、より広帯域、急峻は特性を有するフィルタ回路41を構成することが可能となる。
本願発明者の解析によれば、本変形例による60GHz帯帯域通過フィルタ回路を低温焼結セラミック基板(比誘電率εr=7.7)を用いて既存の製造プロセスルールで製造した場合、反射特性S11を−10dB未満とすることができる通過帯域を10GHz以上にすることが可能である。本変形例では、ストリップ線路48bにおいて、他のストリップ線路48との電磁的結合の小さい線路区間R2の線路の長さを長く取ることで、急峻な通過特性、つまり帯域外減衰量を大きく、通過帯域幅を狭く調整することが可能である。
例えば、上記第1実施形態から第4実施形態では、誘電体基板として低温焼成セラミック基板を用いた。しかし、これに限らず他の誘電体基板を用いても良い。また、絶縁層として、ストリップ線路間の電磁的及び容量的結合部を構成する誘電体基板を用いたが、これに限らず、電磁的及び容量的結合部を構成する空気層を用いても良い。
ここで、比較例の帯域通過フィルタ回路については、本実施例と同様に、誘電体基板として低温焼成セラミック基板(εr=7.7)を想定した。そして、4つ積層された誘電体基板のそれぞれの厚さを0.05mm(50μm)として多層基板の厚さを0.2mmとし、図12に示すようにストリップ線路111a〜111e及び無給電素子114a〜114dの形状を設定した。なお、図12に示すストリップ線路111a〜111e及び無給電素子114a〜114dの形状は、従来技術による構成のフィルタ回路において通過帯域幅が最も広くなるように選定されている。
従来技術では、広い通過帯域を得ることはそもそも不可能であったが、本発明では広い通過帯域を得ることが可能になる。図9の特性曲線では、本発明のフィルタ回路の帯域外減衰量が従来技術によるフィルタ回路に比べて小さくなっているが、帯域外減衰量はフィルタ回路を多段に接続することにより大きくすることが可能であるため、問題はない。
なお、各誘電体基板2の材質(比誘電率)や厚さ等は、本実施例における設定値には限定されず、必要とするフィルタ特性に応じて適切に定めれば良い。
2 誘電体基板(絶縁層)
3、23、28、43、48 ストリップ線路
8 仮想軸線
32 補助ストリップ線路
D 積層方向
E 一方向
L 仮想中心線
Claims (7)
- 層状に複数積層された絶縁層と、該絶縁層同士の間に配置された複数のストリップ線路と、を備えるフィルタ回路において、
前記複数のストリップ線路は互いの間に前記絶縁層を挟んでそれぞれ配置され、
前記複数のストリップ線路のうち前記絶縁層を挟んで隣接して配置される前記ストリップ線路の組は、前記絶縁層を介してそれぞれが互いに電磁的に結合していることを特徴とするフィルタ回路。 - 請求項1に記載のフィルタ回路において、
複数の前記絶縁層が積層された積層方向から見たときに、
前記ストリップ線路の組は、少なくとも互いの一部が重畳するようにそれぞれ配置されていることを特徴とするフィルタ回路。 - 請求項1又は請求項2に記載のフィルタ回路において、
前記ストリップ線路の組において、
一方の前記ストリップ線路には、前記絶縁層同士の間に配置されるとともに前記一方のストリップ線路と電気的に接続された補助ストリップ線路が設けられ、
該補助ストリップ線路は、他方の前記ストリップ線路との間に前記絶縁層を挟んで配置されるとともに、前記他方のストリップ線路と前記絶縁層を介して互いに電磁的に結合していることを特徴とするフィルタ回路。 - 請求項3に記載のフィルタ回路において、
前記補助ストリップ線路は、
前記他方のストリップ線路に対して前記一方のストリップ線路とは反対側に位置するとともに、
複数の前記絶縁層が積層された積層方向から見たときに、前記他方のストリップ線路の少なくとも一部に重畳するように配置されていることを特徴とするフィルタ回路。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のフィルタ回路において、
一の前記ストリップ線路は、隣接する二つの前記絶縁層の間に配置された複数のストリップ線路とそれぞれ電磁的に結合していることを特徴とするフィルタ回路。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載のフィルタ回路において、
複数の前記絶縁層が積層された積層方向から見たときに、
前記複数のストリップ線路は、それぞれの仮想軸線に対して線対称形状に形成され、
前記それぞれの仮想軸線は互いに重畳する位置に配置されていることを特徴とするフィルタ回路。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載のフィルタ回路において、
前記ストリップ線路は(2×N+1)備えられ、
前記複数の絶縁層が積層された積層方向から見たときに、
前記複数のストリップ線路は一方向に順に並ぶように配置されるとともに、
前記複数のストリップ線路のうちの前記一方向の一端側から(N+1)番目の前記ストリップ線路の中心点における前記一方向に直交する仮想中心線に対し、前記複数のストリップ線路が全体として線対称の形状となるように配置されていることを特徴とするフィルタ回路。
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