JP2010151909A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】画質調整処理を画像形成処理に先立って行なう場合の出力処理時間を短縮する。
【解決手段】初期調整処理期間Tbを特定する(S100)。初期調整処理期間Tbと初期調整処理期間Tbにおける第2温昇率Δ2bに基づき、初期調整処理期間Tbの温昇分C42を計算する(S110)。画像形成処理開始時点の第2温度C2bから温昇分C42を差し引いて第4温度C4aとする(S120)。定着部139を最初に第1温昇率Δ1で高速に温昇しておき(S130)、画質調整開始温度(第4温度C4a)に達したら電力消費の制約を超えないように第2温昇率Δ2bで低速に温昇しながら初期調整処理を開始する(S140,S142)。初期調整が完了したら用紙搬送を開始する(S162)。
【選択図】図5A
【解決手段】初期調整処理期間Tbを特定する(S100)。初期調整処理期間Tbと初期調整処理期間Tbにおける第2温昇率Δ2bに基づき、初期調整処理期間Tbの温昇分C42を計算する(S110)。画像形成処理開始時点の第2温度C2bから温昇分C42を差し引いて第4温度C4aとする(S120)。定着部139を最初に第1温昇率Δ1で高速に温昇しておき(S130)、画質調整開始温度(第4温度C4a)に達したら電力消費の制約を超えないように第2温昇率Δ2bで低速に温昇しながら初期調整処理を開始する(S140,S142)。初期調整が完了したら用紙搬送を開始する(S162)。
【選択図】図5A
Description
本発明は、画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体ドラム(静電潜像担持体の例)上に書込み形成された静電潜像を、現像器から供給されるトナーなどの現像剤により現像する。そして、そのトナー像(未定着現像剤像)を出力媒体上に転写ローラなどの転写部によって転写した後、この出力媒体上に転写されたトナー像を定着部によって定着することにより、画像情報を出力媒体上に形成する。
このような画像形成装置においては、定着部(特に定着ローラ)の表面温度を検出しながらその表面温度が決められた値になるように温度制御を行なう。画像形成処理を実施してない待機状態で出力指示を受けた場合も同様で、待機状態の表面温度から定着可能な温度になるように起動処理(ウォームアップ処理)を行なう。このような定着部の温度制御に関する仕組みが特許文献1〜4に開示されている。
本発明は、出力媒体上の画像情報の品質を決められた品質にするための画質調整処理を画像形成処理に先立って行なう場合に、出力指示を受けてから出力物を排出するまでの出力処理時間を従前よりも短縮することのできる仕組みを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、静電潜像担持体上の未定着現像剤による画像情報を出力媒体上に転写する転写部と、前記出力媒体の位置と前記静電潜像担持体上の画像情報の位置を合わせて前記出力媒体を搬送する搬送部と、前記転写部によって画像情報が転写された前記出力媒体に前記画像情報を溶融・固着する定着部と、前記定着部の前記出力媒体と接する部分の表面温度を検出しながら前記定着部の昇温動作を制御する温度制御部と、前記出力媒体上の画像情報の品質を決められた品質にするための画質調整処理を行なうように制御する画質調整制御部と、全体の動作を制御する主制御部と、を備え、前記主制御部は、前記画質調整処理を行なわないで画像形成処理を行なう第1の処理態様時には、画像形成処理を開始する前の第1温度から溶融・固着が可能な第3温度に向けて前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記出力媒体の搬送を開始してから当該出力媒体が前記定着部に到着する期間における前記表面温度の温度上昇分を前記第3温度から差し引いた第2温度に達した以降の時点で前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御し、前記画質調整処理を完了させてから画像形成処理を開始する第2の処理態様時には、画像形成処理を開始する前の第1温度から溶融・固着が可能な第3温度に向けて前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記第1の処理態様での前記第2温度よりも低い第4温度の時点で前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御する画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記主制御部は、前記第1の処理態様時には、画像形成処理の開始指示を受け付けたときに、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御し、前記表面温度が前記第2温度に達したときに、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、前記画質調整処理を開始してから当該画質調整処理が完了する期間における前記表面温度の温度上昇分を前記第2温度から差し引いた温度を前記第4温度に設定する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、画像形成処理の開始指示を受け付けたときに、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御し、前記表面温度が前記第4温度に達したときに、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、前記画質調整処理が完了したときに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する。
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、前記第4温度を前記第1温度に設定し、画像形成処理の開始指示を受け付けたときに、相対的に大きな第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、前記画質調整処理が完了したときに、前記第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御し、前記表面温度が前記第2温度に達したときに、前記第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する。
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、前記第4温度を前記第1温度に設定する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、画像形成処理の開始指示を受け付けたときに、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、前記画質調整処理が完了したときに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の発明において、前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、前記表面温度が前記第2温度に達したときに、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御する。
請求項9に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させた状態で前記画質調整処理を実施することが電力消費面から許容されるか否かを判定し、許容される場合には、前記第4温度を前記第1温度に設定し、前記第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、許容されない場合には、前記画質調整処理を開始してから当該画質調整処理が完了する期間における前記表面温度の温度上昇分を前記第2温度から差し引いた温度を前記第4温度に設定し、前記第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御し、前記表面温度が前記第4温度に達したときに、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、前記画質調整処理が完了したときに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する。
請求項10に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第2の処理態様時において、前記画質調整処理が複数の調整項目で構成される場合、前記主制御部は、前記第4温度を前記第1温度に設定し、前記調整項目ごとに、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させた状態で前記画質調整処理を実施することが電力消費面から許容されるか否かを判定し、許容される場合には、前記第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに当該調整項目の処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、許容されない場合には、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに当該調整項目の処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、各調整項目について順次実施して全ての調整項目の処理が完了したときに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する。
請求項11に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第2の処理態様時において、前記画質調整処理が複数の調整項目で構成される場合、前記主制御部は、前記第4温度を前記第1温度に設定し、前記調整項目ごとに、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させた状態で前記画質調整処理を実施することが電力消費面から許容されるか否かを判定し、許容される場合は、前記表面温度が前記第2温度に達しているか否かを判定し、達していない場合には、前記第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに当該調整項目の処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、許容されない場合および達している場合には、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに当該調整項目の処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、各調整項目について順次実施して全ての調整項目の処理が完了したときに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する。
請求項1に記載の発明によれば、出力媒体上の画像情報の品質を決められた品質にするための画質調整処理を画像形成処理に先立って行なう場合に、出力指示を受けてから出力物を排出するまでの出力処理時間を従前よりも短縮することができる。
請求項2に記載の発明によれば、第1の処理態様時にも、定着部の起動を早くしつつ、電力消費の制約を超えない範囲で画像形成処理を開始できる。
請求項3に記載の発明によれば、第2の処理態様時に、定着部を最初に高速に起動しておいてから画質調整を開始できる。
請求項4に記載の発明によれば、第2の処理態様時に、定着部を最初に高速に起動しておいてから画質調整処理と画像形成処理を順に不都合なく実施できる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項3,4に記載の発明よりも制御が簡単である。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明よりも出力処理時間を短縮することができる。
請求項7に記載の発明によれば、定着部を最初に低速に起動しておいても、画質調整処理と画像形成処理を順に不都合なく実施できる。
請求項8に記載の発明によれば、無駄な温昇動作を避けることができる。
請求項9に記載の発明によれば、電力消費の制約と出力処理時間の短縮のバランスをとることができる。
請求項10に記載の発明によれば、電力消費の制約と出力処理時間の短縮のバランス効果を請求項9に記載の発明よりも高めることができる。
請求項11に記載の発明によれば、無駄な温昇動作を避けることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像形成装置の構成>
図1は、画像形成装置をプリンタに適用した場合における構成例を示す図である。図示するように、画像形成装置1の標準構成は、メインユニット102と、第1の転写材として機能する無端ベルトである中間転写体ベルト136と、標準排出トレイ(CenterTray)154と、手差しトレイ(SMH)180と、メインユニット102の下部側に設置された第1の給紙トレイ(TRAY1 )190を備える。
図1は、画像形成装置をプリンタに適用した場合における構成例を示す図である。図示するように、画像形成装置1の標準構成は、メインユニット102と、第1の転写材として機能する無端ベルトである中間転写体ベルト136と、標準排出トレイ(CenterTray)154と、手差しトレイ(SMH)180と、メインユニット102の下部側に設置された第1の給紙トレイ(TRAY1 )190を備える。
画像形成装置1は、図示しない接続ケーブルやネットワークを介して外部機器に接続可能になっている。たとえば、接続ケーブルは、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)型LAN(Local Area Network;たとえばIEEE802.3 )やギガビット(Giga Bit)ベースのLAN(以下纏めて有線LANという)により図示しないパーソナルコンピュータ(パソコン)などの画像入力端末に接続される。
なお、画像形成装置1は、ページプリンタ機能を持つプリンタの本体部分として利用されるだけでなく、複写機能を持つ複写装置、ファクシミリ送受信機能を持つFAX装置、ページプリンタ機能、複写機能、およびファクシミリ送受信機能などの複数の機能を備えたいわゆる複合機(マルチファンクション機)としての本体部分としても利用され得る。
たとえば、図示を割愛するが、原稿を読み取る画像読取部(スキャナ部)を設けることで、複写機能を持つ複写装置を構成することもできる。一般加入電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network )やISDN(Integrated Switched Digital Network )、またはインターネットを含む他の通信媒体を介して、FAX装置やパソコンなどの画像入力端末と接続するようにすることで、通信インタフェースを介して取得したFAXデータに基づいて印刷出力するFAX装置を構成することもできる。
[基本構成]
画像形成装置1は、画像入力端末から入力される画像形成データ(たとえばスキャナで読み取られた画像データやパソコンから入力された印刷データなど)により表される画像を、電子写真式の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙などの記録媒体上に可視画像を形成する(印刷する)すなわち複写する。このため、画像形成装置1のメインユニット102は、画像形成装置1をデジタル印刷システムとして稼働させる電子写真方式のプリントエンジンを備える。
画像形成装置1は、画像入力端末から入力される画像形成データ(たとえばスキャナで読み取られた画像データやパソコンから入力された印刷データなど)により表される画像を、電子写真式の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙などの記録媒体上に可視画像を形成する(印刷する)すなわち複写する。このため、画像形成装置1のメインユニット102は、画像形成装置1をデジタル印刷システムとして稼働させる電子写真方式のプリントエンジンを備える。
画像形成装置1は、カラー画像形成対応に構成されており、メインユニット102の内部には、記録用紙をプリントエンジンの走査出力系103側に搬入したり、走査出力系103、Y,M,C,Kの各色用のトナーカートリッジ(Toner Cartridge)が配されたカートリッジ部105、および走査出力系103にて印刷された記録紙を標準排出トレイ154や手差しトレイ180に排紙させるための、各種のロール部材(回転体)108などからなる標準搬送系107が収容されている。
手差しトレイ180には、各種のロールや各種の用紙センサ(手差しトレイ用紙残量レベルセンサ182aと手差しトレイ用紙有無検知センサ182bおよび手差しトレイレベルセンサ182c)が設けられている。
ロール部材108としては、たとえば、手差しトレイフィードロール108a、手差しフィードロール対108b、手差しテイクアップロール対108c、レジストロール対108d、用紙取出ロール対108eなどが設けられている。
図示を割愛するが、標準排出トレイ154の下部には、画像形成装置1と組み合わされてオプション的に使用される周辺機器の一例であるトレイキャビネットを設けることが可能になっている。
メインユニット102の下部に配設された第1の給紙トレイ190は、各種のロール192(ピックアップロール192aとフィードロール対192b)や各種の用紙センサ194(用紙残量レベルセンサ194aと用紙有無検知センサ194b)からなるフィーダ部(Feeder)196と、トレイテーブル199を有し、決められたサイズ(ストッパの位置切替えにより複数サイズに対応することも可能)の記録用紙を収容するための用紙カセット198とから構成されている。
フィーダ部196は、用紙カセット198から記録用紙を1枚ずつ捲りだしてメインユニット102内の標準搬送系107に送り出す。
走査出力系103は、第1の像担持体の一例であって感光性部材であるドラムと一次バイアス転写ロールとで第1の転写材の一例である中間転写体ベルトに画像を転写し、この中間転写体ベルトを第2の像担持体として用いて中間転写体ベルトの転写画像部分と第2の転写材である出力媒体の一例としての記録用紙とを二次バイアス転写ロール対で挟み付けることにより画像を記録用紙に転写することで記録媒体上に画像を印刷(形成)する構成である。
走査出力系103は先ず、一方向に順次一定間隔をおいて並置されたY,M,C,Kの各色の印刷実行部130(それぞれにY,M,C,Kを付す;その他の部材についても同様;纏めていうときには色を省略して示す)を有する。
中間転写体ベルト136は、図中Xで示すベルト搬送方向に回転するようになっており、その全長(周長)Tに対して、各印刷実行部130の間隔は約1/10に設定されている。
印刷実行部130は、第1の像担持体である感光体ドラム131上に形成されたトナー像を第1の転写材でありかつ第2の像担持体である中間転写体ベルト136に接触転写する第1転写部として機能するようになっている。
印刷実行部130の中央部には、感光体ドラム131が配され、感光体ドラム131の周囲には、感光体ドラム131上に転写されずに残ったトナーを回収するクリーナ132と、感光体ドラム131の表面をトナーと同極性電位に均一に帯電する一次帯電器133と、感光体ドラム131上に形成された潜像をトナー像として顕像化させる現像器134と、トナー出力信号に基づいて潜像を感光体ドラム131に記録するための図示しないレーザ光源、ポリゴンミラー176やその他のミラー177a,177b,177cなどからなる書込走査光学系179が配されている。
つまり、Y,M,C,Kの出力色に対応する複数のエンジン(印刷実行部130)を、Y→M→C→Kの順にインライン状に配列し、Y,M,C,Kの画像を4つのエンジンで並列的(同時進行的)に処理する、すなわち配置位置に応じた時間を隔てて、1色ずつ中間転写体ベルト136に感光体ドラム131のトナー像を転写(特に一次転写という)させ、その後、中間転写体ベルト136上のトナー像を用紙に転写(特に二次転写という)させるように構成した中間転写方式かつタンデム型のカラー画像形成装置にしている。
各色用の印刷実行部130の図中上部には、中間転写体ベルト136を挟持するように感光体ドラム131に対向して一次バイアス転写ロール135が配設されている。
一次バイアス転写ロール135は、たとえばアルミ芯金に樹脂からなる誘電体表面層を設けたものである。一次バイアス転写ロール135は、図示しない電荷供給源から電荷が供給されることで、その表面電位は決められたバイアス電位に帯電されるようになっている。
中間転写体ベルト136は、複数のベルト搬送ロール137に架けられている。たとえば、図ではアイドルロール137a、ドライブ・ステアリングロール137b、バックアップロール137c、プリロール137d、およびテンションロール137eの5つが設けられている。
複数のベルト搬送ロール137のうちのバックアップロール137cと対向する位置には、二次バイアス転写ロール138が配設されている。図中右側に配されたベルト搬送ロール137b近傍には、中間転写体ベルト136上に転写されずに残ったトナーを回収するベルトクリーニングユニット140が配されている。
二次バイアス転写ロール138は、一次バイアス転写ロール135と同様に、たとえばアルミ芯金に樹脂からなる誘電体表面層を設けたもので、感光体ドラム131に対し加圧されている。誘電体層としては、一次バイアス転写ロール135と同様のものを使用することができる。
バックアップロール137cと二次バイアス転写ロール138とが圧接して、第1の転写材でありかつ第2の像担持体である中間転写体ベルト136上に形成されたトナー像を第2の転写材でありかつ出力媒体である印刷用紙に接触転写する第2転写部が構成される。中間転写体ベルト136の回転につれてトナー像が第2転写部位に到来すると、これにタイミングを合わせて標準搬送系107から第2の転写材である印刷用紙が第2転写部に供給され、同時に図示しない電荷供給源(たとえば転写高圧用電源)によって二次バイアス転写ロール138に転写バイアスが印加されて、中間転写体ベルト136側のトナー像は第2の転写材(出力媒体/印刷用紙)に転写される。
このため、たとえば二次バイアス転写ロール138には、一次バイアス転写ロール135と同様に、図示しない電荷供給源から電荷が供給されることで、二次バイアス転写ロール138の表面電位は決められたバイアス電位に帯電されるようになっている。
なお、第2転写部に印加される転写出力を制御する電圧制御部を設け、無端ベルトで構成された中間転写体ベルト136のベルト周回方向の決められた範囲に亘って、電圧制御部による定電圧制御時の出力電流値を検出し、検出した出力電流値に基づいて電圧制御部が制御する第2転写部への転写出力電圧を決定することで、第2転写部における転写バイアスを制御するようになっている。帯電部の構成としては、一次バイアス転写ロール135と同様のものを使用することができる。
メインユニット102内の図中左側には、二次バイアス転写ロール138から送り出された印刷済みの記録用紙を機外に排出するために、二次バイアス転写ロール138の記録用紙の搬送方向下流側に、たとえば定着ロール139a、定着排出ロール139bなどの種々の搬送ロールが設けられている。定着ロール139aと定着排出ロール139bとで定着部139が構成されている。定着ロール139aは、詳細には、互いに圧接され、定着位置を通過する用紙を加熱加圧する加熱ロール139a1および加圧ロール139a2を有する。
ここで、本実施形態の定着部139としては、電磁誘導加熱方式を利用した定着装置や転写同時定着装置を使用するなどして、加熱準備時間(定着部139のウォームアップ処理時間)を短縮する高速起動型の仕組みを採用する。加熱準備時間とは、非稼働状態から用紙に転写された画像を定着可能な状態となるまでに必要な定着部139の準備時間を意味する。以下では、特段の断りのない限り、定着部139は電磁誘導加熱方式のものであるとする。
電磁誘導加熱方式を利用した定着部139は、基本的には、被加熱体が有する金属などの導電性材料からなる導電層性層に発生する渦電流で発熱させる。たとえば、加圧ロール139a2に被加熱体を使用し、その被加熱体の近傍に導電層性層を貫く変動磁界を発生する励磁コイルを有する加熱ロール139a1を対向配置し、その励磁コイルに交流電圧を印加することにより励磁コイルから発生する変動(交番)磁界が貫かれる導電性層部分を渦電流により電磁誘導加熱させ、そのときの熱で未定着像(トナー像)を加熱する。
このように、電磁誘導加熱方式を利用する定着部139とすれば、加熱対象部位(その部位にある導電層部分)が直接に素早く加熱されるし、高温となる範囲が極めて限られた範囲となり、加熱対象部位が短い時間で決められた温度まで加熱されるので、少量の電力で加熱される。このため、加熱源としてハロゲンランプなどの発熱体を用いる低速起動型に比べ、装置のウォームアップ時間の短縮や消費電力の低減が期待される。ハロゲンランプなどの発熱体を用いる場合に比べ、効率良く短時間で装置のウォームアップがなされるからである。
標準排出トレイ154の定着部139の後流側には、メインユニット102から送られた記録用紙を機外に排出するための排出ロール152が設けられている。
画像形成装置1の中間転写体ベルト136の周回に沿って、パッチ(MOB;Mark On Belt)・自動濃度制御センサ(以下MOB&ADCセンサ182という)がテンションロール137eと印刷実行部130Kとの間に、またホームポジションセンサ184が印刷実行部130Y,130Mの間に、またエッジセンサ186が印刷実行部130M,130Cの間に、それぞれ設けられている。
MOB&ADCセンサ182は、安定した画像を得るべく、中間転写体ベルト136上に形成された任意の濃度の参照画像(トナーパッチ/Mark On Belt)である未定着トナー像を検知し、その検知結果に基づいて、露光量や現像バイアスなどのプロセス条件にフィードバックをかけて濃度制御を行なうことで、装置各部の変動が起こっても一定の階調−濃度特性が得られるように制御するために設けられている。
ホームポジションセンサ184は、中間転写体ベルト136における周回の基準位置(ホームポジション)を検出し、その検出結果に基づいて、描画位置補正や色ズレ補正(つまり縦方向移動補正と副走査倍率誤差補正)を制御するべく、中間転写体ベルト136の回転速度や位相を決められた値に維持するために設けられている。
エッジセンサ186は、中間転写体ベルト136における側縁(エッジ)を検出し、その検出結果に基づいて、中間転写体ベルト136の描画位置補正(横方向移動補正と主走査倍率誤差補正)を制御するために設けられている。
[基本構成の動作]
このような構成の走査出力系103においては先ず、感光体ドラム131はその表面を一次帯電器133によってトナーと同極性の負に帯電され、VD電位となる。その後、露光光源としてのイエロー(Y)用のレーザ光源(図示せず)は、イエローのトナー出力信号(たとえばオンオフ2値化信号)によって駆動されることで、イエローのトナー出力信号を光信号に変換し、この変換されたレーザ光で感光体ドラム131Yに向けて照射する。これによりレーザ光は、クリーナ132Yによってクリーニングされた後に一次帯電器133Yによって帯電された感光体ドラム131Y上を走査することで、感光体ドラム131Y上に静電潜像を形成する。すなわち、像露光され感光体ドラム131上の露光された部分は電位の絶対値が小さくなり、VL電位となり静電潜像を形成する。
このような構成の走査出力系103においては先ず、感光体ドラム131はその表面を一次帯電器133によってトナーと同極性の負に帯電され、VD電位となる。その後、露光光源としてのイエロー(Y)用のレーザ光源(図示せず)は、イエローのトナー出力信号(たとえばオンオフ2値化信号)によって駆動されることで、イエローのトナー出力信号を光信号に変換し、この変換されたレーザ光で感光体ドラム131Yに向けて照射する。これによりレーザ光は、クリーナ132Yによってクリーニングされた後に一次帯電器133Yによって帯電された感光体ドラム131Y上を走査することで、感光体ドラム131Y上に静電潜像を形成する。すなわち、像露光され感光体ドラム131上の露光された部分は電位の絶対値が小さくなり、VL電位となり静電潜像を形成する。
静電潜像は、イエローのトナーが供給される現像器134Yによってトナー像として顕像化される。すなわち、現像器134に回転自在に取り付けられた図示しないスリーブ上にトナーが薄層コートされており、このトナーは負に帯電している。スリーブには感光体ドラム131の暗電位VDと明電位VLの間の電位が外部電源によって与えられているので、スリーブ上のトナーは感光体ドラム131の明電位VLの部分のみ転移して静電潜像が顕像化される。
この後、感光体ドラム131Yと一次バイアス転写ロール135Yとが対をなし中間転写体ベルト136を狭持搬送することで、トナー像は中間転写体ベルト136に転写される。すなわち、中間転写体ベルト136を狭持搬送する過程で、中間転写体ベルト136には一次バイアス転写ロール135から感光体ドラム131の帯電電荷(本例では負電荷)と逆極性の電荷(本例では正電荷)が与えられ、感光体ドラム131上のトナー像は電気的引力によって第1の転写材である中間転写体ベルト136に転移し転写されることで、中間転写体ベルト136が第2の像担持体として機能するようになる。そして転写後は、クリーナ132によって感光体ドラム131Y上から余分なトナーが除去(クリーニング)される。
同様に、イエローのトナー出力信号に対して順次一定間隔をおいて得られる対応するM,C、Kの各色のトナー出力信号に基づいて一次帯電器133M,133C,133Kによって帯電された感光体ドラム131M,131C,131K上を走査することで、感光体ドラム131M,131C,131K上に静電潜像を順次形成する。
各静電潜像は、各色のトナーが供給される現像器134M,134C,134Kによって順次トナー像とされ、各トナー像は、一次バイアス転写ロール135M,135C,135Kによって中間転写体ベルト136上に順次転写される。そして転写後は、クリーナ132によって感光体ドラム131M,131C,131K上から余分なトナーが除去される。
一次転写後は、中間転写体ベルト136の画像が転写された部位(転写画像部分)が、二次バイアス転写ロール138の方向に搬送される。一方、標準搬送系107はレジストロール対108dなどにより、ベルト搬送ロール137cと二次バイアス転写ロール138との当接部に向けて、記録用紙を搬送する。そして、中間転写体ベルト136上の転写画像部分と記録用紙とを二次バイアス転写ロール138で挟み付けながら下流側に搬送することにより、画像を記録用紙に印刷する。
そして、このようにY,M,C,Kの各色のトナー像が順次多重転写された記録用紙は、中間転写体ベルト136から剥離され、定着ロール139aを有する定着部139まで搬送され、定着ロール139aによってトナー像が熱定着されることでトナー像が記録用紙上に固着され、その後、標準排出トレイ154などの機外に排出される。
<制御機能>
図2は、画像形成装置1の初期調整処理を伴う起動処理に関わる制御機構を示すブロック図である。制御部400は、画像形成装置1の全体を制御する主制御部420(ESS )、画像形成部100を制御する画像形成制御部430(MCU )、給紙トレイ190を制御する給紙制御部440(TRAY)を有する。主制御部420は、標準搬送系107を制御する機能も備える。また、制御部400は、温度制御部480と画質調整制御部490を有する。
図2は、画像形成装置1の初期調整処理を伴う起動処理に関わる制御機構を示すブロック図である。制御部400は、画像形成装置1の全体を制御する主制御部420(ESS )、画像形成部100を制御する画像形成制御部430(MCU )、給紙トレイ190を制御する給紙制御部440(TRAY)を有する。主制御部420は、標準搬送系107を制御する機能も備える。また、制御部400は、温度制御部480と画質調整制御部490を有する。
制御部400には、リフタ22を駆動するリフトモータ30や各種のセンサ(図ではトレイサイズセンサ42、トレイレベルセンサ44、用紙有無検知センサ46)や、装置内部で使用する比較的電圧レベルの低い電源を生成する低電圧電源60(LVPS:Low Voltage Power Supply)が接続されている。
各制御部(主制御部420、画像形成制御部430、給紙制御部440、温度制御部480、画質調整制御部490)は、コンピュータと同様にCPU(Central Processing Unit :図示せず)を利用した構成のものとなっている。各制御部は、当該制御部だけでなくその他の機能部とともに基板アッシィ(PWBA:Printed Wire Board Assembly )に搭載されている。たとえば、主制御部420は基板アッシィ5A(PWBA-ESS)に、画像形成制御部430は基板アッシィ5B(PWBA-MCU)に、給紙制御部440は基板アッシィ5C(PWBA-TRAY )に、それぞれ搭載されている。
主制御部420が搭載される基板アッシィ5Aには、各種の情報を記憶する記憶部450、時間を計測するためのタイマ部460(計測部)、トレイサイズセンサ42用の SNR電源を生成するローカル電源470、用紙有無検知センサ46用の電源を生成するローカル電源472が搭載されている。タイマ部460は、装置本体から給紙トレイ20が抜かれている時間や装置本体から給紙トレイ20が抜かれた後に装置本体に装着されてからの時間を計測する計測部の一例である。
記憶部450は、たとえば、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶媒体の一例であるRAM452(Random Access Memory:随時書き込み読み出しメモリ)、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに不揮発性(Non-Volatility)の記憶部の一例であるNVRAM454、読出し専用の記憶媒体の一例であるROM456(Read Only Memory)などを有する。なお、当該基板アッシィ5A外に、記憶部450の一例であるハードディスク装置458(HDD)を設けてもよい。
“揮発性の記憶媒体”とは、画像形成装置1のメイン電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶媒体”とは、画像形成装置1のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶媒体を意味する。記憶内容を保持し続け得るものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体(たとえばハードディスク装置458)を利用して構成してもよい。
たとえば、給紙トレイ20への給紙操作や用紙残量を検知するためのタイマ部460で計測された計測時間データや各種信号処理されたデータなどはRAM452に記憶される。各種計測時間データに基づき、給紙トレイ20へ用紙Pが補給されたときのリフタ22の上昇動作や用紙Pの残量を検知するための必要な各種データやテーブル、あるいはリフタ22の上昇動作を制御したり給紙トレイ20の用紙Pの残量を検知したりするための各種処理プログラムなどはROM456やハードディスク装置458に記憶される。本実施形態では、出力媒体の一例である用紙Pの残量の情報を記憶する記憶部としてNVRAM454を機能させる。
なお、用紙残量の情報は、通常の動作時には画像形成制御部430側で管理されるが、節電モード突入時には、画像形成制御部430から主制御部420に用紙残量情報が入力され、主制御部420がNVRAM454に記憶することで退避するようにする。節電モードから復帰するときには、主制御部420はNVRAM454に退避させておいた用紙残量情報を読み出して画像形成制御部430に渡す。
低電圧電源60は、メイン電源がオン時に、先ず主制御部420へ ESS電源を供給する。主制御部420は、メイン電源がオンである限り動作し続ける部分であり、各部を適正な状態に制御する。たとえば、主制御部420は、低電圧電源60から ESS電源の供給を受けてローカル電源470によりトレイサイズセンサ42用や用紙有無検知センサ46用の SNR電源を生成してトレイサイズセンサ42や用紙有無検知センサ46に供給させ、メイン電源がオンである限りトレイサイズセンサ42からトレイサイズ検知信号S1(SIZE SNR)を取得可能になっている。また、主制御部420は、ローカル電源472から用紙有無検知センサ46に電源供給があるときには用紙有無検知センサ46から用紙有無検知信号S2を取得可能になっている。
また、主制御部420は、通常の動作時には、低電圧電源60から各部への電源供給を許可するべく、たとえば、画像形成制御部430への電源供給を指示する MCU電源信号C1や給紙制御部440への電源供給を指示するTRAY電源信号C2を低電圧電源60に送る。低電圧電源60は、 MCU電源信号C1がアクティブであれば MCU電源を画像形成制御部430に供給し、TRAY電源信号C2がアクティブであればTRAY電源を給紙制御部440に供給する。 MCU電源が画像形成制御部430に供給されると、画像形成制御部430は主制御部420や給紙制御部440と通信可能な状態となる。
給紙制御部440には、主制御部420からリフトアップモード信号C3が入力され、トレイサイズセンサ42からトレイサイズ検知信号S1が入力され、トレイレベルセンサ44からレベル検知信号S3(LEVEL SNR )が入力されるようになっている。
給紙制御部440が搭載される基板アッシィ5Cには、低電圧電源60からTRAY電源を受けてトレイレベルセンサ44用の電源を生成するローカル電源474や、リフタ22のリフトモータ30を動作させるためのモータドライバ476が搭載されている。なお、トレイレベルセンサ44と用紙有無検知センサ46の稼働時期が同じでよい場合は、主制御部420が搭載される基板アッシィ5A側のローカル電源472を取り外して、給紙制御部440が搭載される基板アッシィ5C側のローカル電源474がローカル電源472の機能を兼用する構成としてもよい。
給紙制御部440は、低電圧電源60からTRAY電源が供給されている状態で主制御部420からのリフトアップモード信号C3がアクティブなときには、節電モード中であってもトレイサイズセンサ42からのトレイサイズ検知信号S1やトレイレベルセンサ44からのレベル検知信号S3を確認しながらリフトモータ30を制御してリフタ22(の底面プレート24)を上昇させ、用紙Pの最上部が基準高さ位置まで上昇したら上昇を停止させる。なお、トレイレベルセンサ44による監視を行なわずに、予め決められている時間だけリフタ22の上昇動作を行なうようにしてもよい。
定着部139から温度制御部480には、定着ロール139aの表面温度Cを監視した情報が通知される。温度制御部480は、温昇率Δで定着ロール139aの表面温度Cが上昇するように昇温動作を制御する。つまり、定着部139のウォームアップ処理においては、用紙加熱部の一例である定着ロール139aの表面温度Cを検出しながら、表面温度が決められた温度になるように、定着ロール139aを温度制御部480により発熱駆動する。
画質調整制御部490は、用紙上の画像情報の品質を決められた品質にするための画質調整処理を行なうように制御する。具体的には、画質調整制御部490は、調整項目に応じて、稼働が必要となる各部の動作を主制御部420との連携により制御する。
温度制御部480や画質調整制御部490は、何れの基板アッシィに搭載するかは自由である。一例としては、基板アッシィ5Aに搭載するとよい。
<初期調整処理を伴う起動処理>
図3〜図3Bは、画像形成装置1の画質調整のための初期調整処理を伴う起動処理を説明する図である。ここで、図3は、初期調整項目を纏めた図表である。図3Aは、転写ロール電位測定を説明する図である。図3Bは、カラーレジストレーション調整を説明する図である。初期調整項目の実施における電力消費を5段階で表わし、レベル1が最も低消費電力でレベル5が最も消費電力が大きいとする。
図3〜図3Bは、画像形成装置1の画質調整のための初期調整処理を伴う起動処理を説明する図である。ここで、図3は、初期調整項目を纏めた図表である。図3Aは、転写ロール電位測定を説明する図である。図3Bは、カラーレジストレーション調整を説明する図である。初期調整項目の実施における電力消費を5段階で表わし、レベル1が最も低消費電力でレベル5が最も消費電力が大きいとする。
画像形成装置1の初期調整処理を伴う起動処理は、セットアップ調整とも称されるもので、複数の初期調整項目(セットアップ)から構成されるのが一般的である。初期調整項目としては、様々なものが考えられ、それらを任意に組み合わせて初期調整を行なう。以下では、その一例について概要を説明する。
なお、初期調整は、印刷開始ごと、前回の初期調整からの一定経過時間、電源オン直後、その他調整が必要なとき、などに実施し、その他のときには実施しない。
図3には、セットアップ調整の対象項目(初期調整項目)と処理時間(特に最短経過時間)を纏めた表が示されている。初期調整項目1の「転写ロールクリーニング」は、二次バイアス転写ロール138に付着したトナーを除去するもので、たとえば、二次バイアス転写ロール138のバイアス電位を調整して、中間転写体ベルト136にトナーを付着させることで実現する。
転写ロールクリーニング調整のための最短経過時間は500msecである。また、転写ロールクリーニング調整は、二次バイアス転写ロール138と中間転写体ベルト136を稼働させればよく、そのための電力消費は中程度(レベル4)である。
初期調整項目2の「中間転写体ベルトクリーニング」は、中間転写体ベルト136に残留したり、前記の転写ロールクリーニングで付着したトナーを除去するもので、ベルトクリーニングユニット140により実現する。通常の動作時にもベルトクリーニングユニット140が稼働することでクリーニングが行なわれているがより完全にクリーニングを行なうことや、転写ロールクリーニングを行なったときの後工程としての中間転写体ベルト136のクリーニングに使用される。
中間転写体ベルトクリーニング調整のための最短経過時間は150msecである。また、中間転写体ベルトクリーニング調整は、中間転写体ベルト136とベルトクリーニングユニット140を稼働させればよく、そのための電力消費は中程度(レベル3)である。
初期調整項目3の「転写ロール電位測定」は、二次バイアス転写ロール138を主要部とする第2転写部における転写バイアスを調整するものである。図3Aには、その仕組みの概要が示されている。
画像形成装置1は、第2転写部210と、印刷制御部220を備える。第2転写部210は、バックアップロール137cと二次バイアス転写ロール138とを有し、中間転写体ベルト136上に形成されたトナー像を第2の転写材である印刷用紙に接触転写する。印刷制御部220は、無端ベルトとして構成された中間転写体ベルト136におけるベルト周回方向の決められた範囲に亘って第2転写部210における転写バイアス状態を検知して画像形成条件を制御する。
なお図では、特に、バックアップロール137cおよび二次バイアス転写ロール138で構成される第2転写部210と、中間転写体ベルト136と、ベルトクリーニングユニット140を抜き出して示している。
印刷制御部220は、二次バイアス転写ロール138に高電圧を印加する転写高電圧電源222と、第2転写部210における転写バイアスを制御する転写バイアス制御部230とを有している。
転写バイアス制御部230は、基本的には、転写電圧制御手法として、転写挟持部内に転写材がない非通紙状態で一定電流値を二次バイアス転写ロール138に流し、そのときの発生電圧から転写時に印加する転写電圧を決定する手法を採る。このように非通紙状態で転写の系全体のインピーダンス(抵抗値)を検知することで転写ローラの抵抗値が変化してもそれに応じた適正転写バイアスを印加できるようにする。
このため転写バイアス制御部230は、第2転写部210の転写高電圧電源222に印加される転写出力を制御する電圧制御部232と、電圧制御部232による定電圧制御時の転写高電圧電源222の出力電流値を検出する出力電流検出部234とを有している。
また転写バイアス制御部230は、出力電流検出部234で検知された出力電流が決められた値に達しているか否かを判断する判断部236と、出力電流検出部234が検出した出力電流値に基づき電圧制御部232が制御する第2転写部210(詳しくは転写高電圧電源222)への転写出力電圧を決定する転写出力電圧決定部238を有している。
電圧制御部232は、転写高電圧電源222を制御することで、二次バイアス転写ロール138に印加する電圧をデジタル的に増減させる機能を持つ。
出力電流検出部234は、二次バイアス転写ロール138からバックアップロール137cに流入する電流を検出する機能を持つ。良好な転写性を常に得るべく、常時安定した転写バイアスを印加することが求められる。このための一手法としては、転写材の裏面に与える電荷量を制御するべく、転写ローラの出力電流値を検出し、検出した出力電流が所望の値に達しているか否かに応じてフィードバック制御を掛ける電流制御の仕組みが考えられている。
この電流制御の一例としては、中間転写体と転写ローラの定電圧制御のための電流モニタ機能を有する仕組みがある。たとえば転写動作以前に通紙時に流す電流を推定した転写ローラが一定電流を転写ローラに流し必要する電圧(発生電圧)を保持し、転写時に印加するというバイアス制御方式(ATCV制御方式:Active Transfer Voltage Control )がある。出力電流検出部234において、電流を検出するタイミングは、ATCV方式同様に非通紙時とし、中間転写体ベルト136の周方向ムラを補正するために、中間転写体ベルト136の1周分発生電圧(その結果としての電流モニタ値)を電流モニタの範囲としてサンプリングして平均化する。
なお、電流モニタを要する範囲は、1周分に限らず、画像形成範囲(周回方向の出力サイズに相当)と対応した範囲でよく、たとえば位相同期を取ることで、出力サイズごとに中間転写体ベルト136における一定範囲を転写範囲とする場合には、その転写範囲(周回方向の出力サイズに相当)のみを電流モニタの範囲にしてもよい。
転写出力電圧決定部238は、流入する電流が決められた値に達しているか否かを判断する判断部236の判断結果を用いて、二次バイアス転写ロール138からバックアップロール137cに流入する電流を一定値に収束させ、ATCV方式の定電流回路と同等の制御を可能としている。
すなわち転写出力電圧決定部238は、判断部236の判断結果CN3に基づく定電圧出力値と中間転写体ベルト136の周回方向の決められた範囲に亘って検知される出力電流検出部234からの入力演算結果に基づいて、第2転写部210への転写出力電圧を決定するように構成されている。電流と電圧との関係から、結果的には、印字動作前の第2転写部210の抵抗値を検知することと等価となる。
たとえば、転写出力電圧決定部238は、判断部236の判断結果を参照して、デジタル的に電圧を変化させる制御情報CN1を電圧制御部232に供給する。このようにして電圧制御部232に転写出力電圧決定部238からの制御情報CN1が入力されると、電圧制御部232は転写高電圧電源222に対してデジタル的に電圧を変化させる動作を始める。一例として、電圧制御部232では0〜5Vのアナログ電圧に変換され、さらに転写高電圧電源222の出力電圧が0〜5kVの範囲で制御されるようになる。
つまり、転写バイアス制御部230は、中間転写体ベルト136の周回方向の決められた範囲に亘って出力電流を監視することで、二次バイアス転写ロール138からバックアップロール137cに流入する電流を一定値に収束させ、第2転写部210の転写バイアスを制御するPTVC(Programmable Transfer Voltage Control )方式を採用する。
このような転写バイアスを制御(調整)する転写ロール電位測定調整のための最短経過時間は100msecである。また、転写ロール電位測定調整は、転写バイアス制御部230を稼働させればよく、そのための電力消費は中程度(レベル2)。
なお、ここで示した転写バイアスを制御(調整)する仕組みは一例に過ぎず、その他様々な方式も提案されており、それらも本実施形態で採用し得る。
初期調整項目4の「カラーレジストレーション調整」は、MOB&ADCセンサ182とホームポジションセンサ184を使用した描画位置補正(縦方向移動補正と副走査倍率誤差補正)や色ズレ補正、およびエッジセンサ186を使用した描画位置補正(横方向移動補正と主走査倍率誤差補正)である。図3Bには、その仕組みの概要が示されている。図示しないが、カラーレジストレーション初期調整処理を伴う起動処理を実現するために、主走査方向や副走査方向の画像幅の基準となる線(レジストパターンという)を中間転写体ベルト136に形成するための信号を発生するレジストパターン発生部を有する。
MOB&ADCセンサ182としては、中間転写体ベルト136上に形成されるレジストパターンを検出するためのパターン検出部が設けられる。配設される。パターン検出部が得た検出結果に基づいて各色の入力画像データを補正するため、色ずれ補正部がY,M,C,Kのそれぞれに対応して設けられる。
レジストパターン発生部で発生したY,M,C,Kのレジストパターンデータに基づいて中間転写体ベルト136上にレジストパターンが形成される。パターン検出部は、各色に対応するレジストパターンを順に検出し、検出結果を色別の色ずれ補正部にそれぞれ与える。色別の色ずれ補正部では、レジストパターンの検出結果に基づいて入力画像データに対しそれぞれ補正を行ない、補正後画像データを出力する。
図3B(1)の各図に模式的に示すように各種の要因により色ずれが生じる。たとえばK,Y,M,Cの各トナーの現像タイミングは、各色の感光体ドラム131が中間転写体ベルト136に対してほぼ等間隔で配置されているため、感光体ドラム131の間隔に応じた時間だけずれて行なわれる。したがって、副走査遅延モジュールを用いて、K,Y,M,Cごとに副走査方向に感光体ドラム131間隔に応じた量だけ遅延制御をする。
しかし、図3B(2a)に示すように、各色のビーム走査による主走査方向印字開始位置がずれると、色ずれが生じる。この他にも、主走査部分倍率歪み図3B(2d)、副走査方向のボー歪み図3B(2c)や、感光体ドラム131の配置とビーム走査の平行度ずれによるスキュー歪み図3B(2b)が生じ、色ずれ原因になる。さらに、図3B(2e)に示すように、副走査方向にたとえばCの描画位置(副走査方向の倍率も含む)がずれると、色ずれが生じる。これらの現象を、描画位置制御部にて、K,Y,M,Cデータに対して、位置補正や画像補正を行なうことで色ずれを防止する。
図3B(2a)に示す主走査方向印字開始位置ずれに関する主走査方向の描画位置調整の仕組みが図3B(2)に示されている。中間転写体ベルト136上の両側部に形成されるレジストパターンを検出するための1対のパターン検出部が配設されている。
主走査倍率補正においては、たとえば、画素換算主走査倍率誤差を求め、その結果に応じて、画素点を増減させることで、倍率補正を実現する。たとえば、図3B(2a)に示すように、感光体ドラム131からトナー像が転写される中間転写体ベルト136の搬送方向(副走査方向)に対して直角に交わる線上の両端付近にパターン検出部が配置されている。パターン検出部は、中間転写体ベルト136上に形成されたトナー像の主走査方向における位置を検出する。主走査方向の画像幅が各色ごとにどのように違うかを調べるため、トナー像が形成される目標位置であるトナー像期待位置538a,538b,539a,539b,540a,540b,541a,541bと実際のトナー像の形成位置とを比較する。
トナー像期待位置538a,538bは、それぞれブラックの主走査開始位置および主走査終了位置に設定されており、中間転写体ベルト136の搬送方向に沿う一定長さの直線である。同様に、トナー像期待位置539a,539bはイエロー、トナー像期待位置540a,540bはマゼンタ、およびトナー像期待位置541a,541bはシアンのそれぞれの主走査開始位置および主走査終了位置に設置されており、中間転写体ベルト136の搬送方向に沿う一定長さの直線である。
図3B(2b)および図3B(2c)は、ブラックの走査開始位置のずれおよび走査終了位置のずれをそれぞれ示しており、中間転写体ベルト136上に形成されたレジストパターンのトナー像542a,542bは、トナー像期待位置538a,538bに対して走査開始ずれXk1および走査終了ずれXk2をそれぞれ有する。
走査開始ずれXk1および走査終了ずれXk2の正の方向をそれぞれ図中の矢印の方向とすると、Xk1−Xk2が目標の画像幅と実際の画像幅との差(以下主走査倍率誤差という)となる。さらに、主走査方向の解像度と主走査方向の画素数との関係に基づいて、ブラックの主走査倍率誤差Xk1−Xk2を画素数に変換した画素換算主走査倍率誤差Ekが求められる。
図3B(2d)および図3B(2e)は、イエローの走査開始位置のずれおよび走査終了位置のずれ、図3B(2f)および図3B(2g)は、マゼンタの走査開始位置のずれおよび走査終了位置のずれ、図3B(2h)および図3B(2i)は、シアンの走査開始位置のずれおよび走査終了位置のずれをそれぞれ示している。ブラックの主走査倍率誤差Xk1−Xk2と同様に、Xy1−Xy2がイエローの主走査倍率誤差、Xm1−Xm2がマゼンタの主走査倍率誤差、およびXc1−Xc2がシアンの主走査倍率誤差となり、各々の主走査倍率誤差を画素数に変換することにより画素換算主走査倍率誤差Ey,Em,Ecが求められる。色別の画像データ出力部はクロック信号に同期して画像データを出力するようになっており、画素換算主走査倍率誤差Ek,Ey,Em,Ecに応じた周波数のクロック信号を各色の画像データ出力部に入力することで主走査倍率誤差が補正される。
図3B(2e)に示す副走査方向の描画位置(副走査方向の倍率も含む)のずれに関する副走査方向の描画位置調整は、次のように行なう。レジストパターン発生部で発生したレジストパターンデータRy,Rm,Rc,Rkに基づいて中間転写体ベルト136上にK,Y,M,C同時に転写させ、MOB&ADCセンサ182のパターン検出部によって、各色に対応するレジストパターンを順に検出し、検出結果を色ずれ補正部にそれぞれ与える。
色ずれ補正部では、パターン検出部により検出された検知結果に基づいて副走査方向の色ずれ量を検出し、この検出した色ずれ量に基づいて、入力画像データに対しそれぞれ副走査方向に関する補正を行ない、補正後画像データを対応する印刷実行部130(画像形成部)に出力する。すなわち、各感光体ドラム131間隔に応じた現像タイミングのずれを補正するため、最上流に配置されている印刷実行部130(この例ではY)での描画位置を用紙基準にY成分の位置補正をし、他の色成分はY成分に対して副走査側の位置補正を行なう。この際、色ずれ補正部は、副走査方向の倍率誤差を補正するために、画像データをサブライン単位で挿脱する処理を行ない、印刷実行部130に送られるデータのライン数を増減する。
このような主走査方向および副走査方向のカラーレジストレーション調整のための最短経過時間は1500msecである。また、カラーレジストレーション調整は、印刷実行部130の用紙搬送系と定着部139を除く各部が稼働するので、そのための電力消費は大きい(レベル5)。
なお、ここで示したカラーレジストレーション調整の仕組みは一例に過ぎず、その他様々な方式も提案されており、それらも本実施形態で採用し得る。
初期調整項目5の「トナー送り量調整」は、カートリッジ部105から印刷実行部130に供給されるトナー(現像剤)の供給量を調整するものである。この調整は、中間転写体ベルト136上に像を理論値で書いて、それを濃度センサで検出ることで、理論と事実の差異(ずれ)を特定し、その差異に基づいてトナーの送り量を決めるもので、具体的には次のようにして行なう。すなわち、MOB&ADCセンサ182を使用して、中間転写体ベルト136上に形成された任意の濃度の参照画像(トナーパッチ)である未定着トナー像を検知し、その検知結果に基づいて、露光量や現像バイアスなどのプロセス条件にフィードバックをかけて濃度制御を行なうことで、装置各部の変動が起こっても一定の階調−濃度特性が得られるように制御することで実現する。
このトナー送り量調整のための最短経過時間は2000msecである。また、トナー送り量調整は、印刷実行部130の用紙搬送系と定着部139を除く各部が稼働し、画像形成とその後の測定を行なうので、そのための電力消費は大きい(レベル5)。
初期調整項目6の「像担持体一周→電位安定化」は、一次帯電器133によって感光体ドラム131に帯電されるVD電位を決められた値に調整するものである。たとえば、直近の「トナーの送り量調整」にて決まった出力電位を掛けて一周させることで実現する。
「像担持体一周→電位安定化」のための最短経過時間は250msecである。また、「像担持体一周→電位安定化」は、前記のような処理で実現されるので、そのための電力消費は小さい(レベル1)。
前述のように、初期調整処理を伴う起動処理は複数の初期調整項目から構成され、調整対象項目に応じて複数連結して実施するが、その際の待ち時間は、その連結した時間のうち、最も短く終わる場合(最短経過時間)を合算した値とする。
図3に示したように、個々の初期調整項目*ごとに最短経過時間を保持する。なお、別途、不揮発性メモリなどにより、初期調整項目による待ち時間が変化する場合は、不揮発性メモリの設定値に応じて変化させてもよい。
因みに、図3に示した各初期調整項目の最短経過時間や電力消費量は後述する実施形態の説明のために一例を示したに過ぎず、実際のものと異なることもある。
<出力処理時間と初期調整処理を伴う起動処理の関係>
図4は、出力指示を受けてから出力物を排出するまでの出力処理時間Tz(印刷指示→印刷成果物完成までの時間)と初期調整処理を伴う起動処理との関係を説明する図である。ここで、図4(1)は、初期調整処理を伴う起動処理を実行しない第1の処理態様(通常の画像形成処理:第1モードと称する)における出力処理時間Tz1を説明する図である。図4(2)は、初期調整処理を伴う起動処理を実行してから画像形成処理を行なう第2の処理態様(第2モードと称する)における比較例の出力処理時間Tz2を説明する図である。初期調整処理期間Tbでは、図3に示した初期調整項目1、初期調整項目2、および初期調整項目6を実施するものとする。
図4は、出力指示を受けてから出力物を排出するまでの出力処理時間Tz(印刷指示→印刷成果物完成までの時間)と初期調整処理を伴う起動処理との関係を説明する図である。ここで、図4(1)は、初期調整処理を伴う起動処理を実行しない第1の処理態様(通常の画像形成処理:第1モードと称する)における出力処理時間Tz1を説明する図である。図4(2)は、初期調整処理を伴う起動処理を実行してから画像形成処理を行なう第2の処理態様(第2モードと称する)における比較例の出力処理時間Tz2を説明する図である。初期調整処理期間Tbでは、図3に示した初期調整項目1、初期調整項目2、および初期調整項目6を実施するものとする。
画像形成装置1が待機状態にある時点で出力指示を発してから出力物が排出されるまでには、各部が画像形成処理を行なうことができる状態にする装置全体の準備(いわゆるウォームアップ)処理が必要である。このウォームアップ処理時には、たとえば給紙トレイ190のトレイテーブル199により、最上面の出力媒体を印刷実行部130に搬送可能な高さまで上昇させる処理(給紙トレイ190のウォームアップ処理)が行なわれる。また、定着部139の定着ロール139aの温度を決められた値にまで上昇させる処理(定着部139のウォームアップ処理)が行なわれる。一般的に、定着部139のウォームアップ処理が最も時間の掛る処理になっており、出力処理時間Tz短縮の障害となる。そこで、ここでは、定着部139のウォームアップ処理に着目する。
定着部139のウォームアップ処理においては、用紙加熱部の一例である定着ロール139aの表面温度を検出しながら、表面温度が決められた温度になるように、定着ロール139aを温度制御部480により発熱駆動する。
このとき、先ず、定着ロール139aの表面温度は、画像形成を行なう前の待機時である第1温度C1(待機状態の定着ロール139aの表面温度)にある。この第1温度C1は、定着部139が予熱処理を行なうものであれば予熱状態における定着ロール139aの表面温度であるし、定着部139が予熱処理を行なわないものであれば画像形成装置1の筐体内(特に定着部139の周囲)の温度とほぼ等しい温度である。
画像形成開始前に初期調整処理を実施しない第1モードでは、図4(1)に示すように、主制御部420は、第1温度C1の状態で主制御部420が出力指示を受け付けると(t10)、定着ロール139aの発熱駆動を開始するように温度制御部480を制御する。発熱駆動を開始すると定着ロール139aの表面温度が、比較的急峻な第1温昇率Δ1(第1温度勾配)で上昇し、やがて、画像形成処理(特に用紙走行)を開始できる第2温度C2a(用紙走行開始可能温度)に達する(t14)。第2温度C2aに達するまでの第1温昇率Δ1を比較的急峻にしているのは、この間(t10〜t14)は、定着部139や給紙トレイ190などのウォームアップ処理が作用する期間であり、その他の機能部(特に印刷実行部130)は機能しておらず、許容電力(一般的に1.5kVA)内で比較的多くを使用できるからである。
定着ロール139aの表面温度が第2温度C2aに達すると(t14)、主制御部420は画像形成処理(特に給紙トレイ190からの用紙搬送)を開始させる。画像形成処理が開始しても、温度制御部480は定着ロール139aの発熱駆動を継続する。ただし、画像形成処理を開始すると印刷実行部130が起動するため、一般的に定着部139が使用できる電力量を減らす必要が生じるので、第1温昇率Δ1よりも緩やかな第2温昇率Δ2aで温度上昇を継続する。
つまり、画質調整処理を行なわないで画像形成処理を行なう第1モード時には、主制御部420は、画像形成処理を開始する前の第1温度C1から溶融・固着が可能な第3温度C3(定着温度)に向けて定着ロール139aの表面温度を上昇させるように温度制御部480を制御する。加えて、主制御部420は、画像形成開始のため用紙の搬送を開始してから当該用紙が定着ロール139aに到着するまでの搬送開始後定着開始期間Taにおける定着ロール139aの表面温度が上昇する分(温昇分C23)を定着温度C3から差し引いた第2温度C2の時点(t14)で用紙の搬送を開始するように標準搬送系107を制御する。
第2温昇率Δ2aは、少なくとも、印刷実行部130の処理が進み用紙の先端が定着ロール139aに到達したときには(t18)、画像情報が転写された用紙を定着ロール139aによって加熱してその用紙上にその画像情報を溶融・固着することが可能な温度(定着温度C3)にするものであることが必要で、その範囲で、第1温昇率Δ1よりも小さいものとする。温度制御部480は、時刻t18以降は、定着ロール139aの表面温度が定着温度C3に維持されるように温度制御を行なう。時刻t14(用紙搬送開始)から時刻t18(定着開始)までの期間を搬送開始後定着開始期間Taと称する。
つまり、第1モードでは、印刷指示を受け付けた時点(t10)で許容される範囲内で、できるだけ急峻な第1温昇率Δ1で定着ロール139aの昇温を開始し、搬送開始後定着開始期間Taを見越した時間経過後の時刻t14(第2温度C2aのとき)に昇温勾配を第2温昇率Δ2a(<Δ1)に変更して給紙を開始するのである。
換言すると、定着部139(定着ロール139a)に用紙先端が達する時点(t18)で、定着可能な温度(定着温度C3)になっているように、用紙走行開始〜定着開始に要する搬送開始後定着開始期間Taと第2温昇率Δ2aに基づき、用紙走行開始可能温度(第2温度C2)を設定するのである。
画像形成処理が完了してから一定期間(予め決められた期間)が経過すると、主制御部420は、装置を待機状態に移行させる。このときには、たとえば、定着部139への電力供給が停止され定着ロール139aの表面温度は第1温度C1へ向かう。また、給紙トレイ190への電力供給が停止され、トレイテーブル199が下降する。
なお、第2温昇率Δ2aは、時刻t14と時刻t18との間の時刻t16の時点で定着ロール139aの表面温度が定着温度C3に達するような温度勾配であってもよい。この場合でも、搬送開始後定着開始期間Taでの温昇分C23は、定着温度C3から第2温度C2aを差し引いた値である。この場合、温度制御部480は、定着ロール139aの表面温度が定着温度C3に達した時点(t16)以降は、定着ロール139aの表面温度が定着温度C3に維持されるように温度制御を行なう。
換言すると、第1モード時には、画像形成処理用の用紙搬送を開始するとき(t14)の温度が少なくとも第2温度C2a以上であればよく、典型例として、搬送開始後定着開始期間Taの第2温昇率Δ2aを(C3−C2a)/Taに設定し、搬送開始後定着開始期間Taでの温昇分C23=(C3−C2a)を定着温度C3から差し引いた第2温度C2aのとき(t14)に用紙搬送を開始する。搬送開始後定着開始期間Taの第2温昇率Δ2aが、Δ1>Δ2a>(C3−C2a)/Taのときは定着ロール139aの表面温度が定着温度C3に到達した時点では用紙先端が未だ定着ロール139aに達していないだけに過ぎない。
画像形成開始前に初期調整処理を実施する第2モードでは、図4(2)に示すように、第1温度C1の状態で主制御部420が出力指示を受け付けると(t20)、温度制御部480は、定着ロール139aを発熱駆動を開始する。発熱駆動を開始すると定着ロール139aの表面温度が、比較的急峻な第1温昇率Δ1(第1温度勾配)で上昇し、やがて、初期調整処理を開始できる第2温度C2b(画質調整開始温度)に達する(t22)。第2温度C2bに達するまでの第1温昇率Δ1を比較的急峻にしているのは、第1モードの場合と同様である。
定着ロール139aの表面温度が第2温度C2bに達すると(t22)、主制御部420は画質調整制御部490との連携により初期調整処理を開始させる。初期調整処理が開始しても、温度制御部480は定着ロール139aの発熱駆動を継続する。ただし、初期調整処理を開始すると印刷実行部130が起動するため、第1モード時と同様に、第1温昇率Δ1よりも緩やかな第2温昇率Δ2bで温度上昇を継続する。そして、初期調整処理が完了すると(t24)、主制御部420は、画像形成処理の開始を指示し、用紙の位置と感光体ドラム131上の画像情報の位置を合わせて給紙トレイ190からその用紙の搬送を開始させる。以下、第1モードと同様である。
ここで、第2温昇率Δ2bは、少なくとも、初期調整処理が完了した時点で画像形成処理を開始した後に用紙の先端が定着ロール139aに到達したときには(t28)、画像情報が転写された用紙を定着ロール139aによって加熱してその用紙上にその画像情報を溶融・固着することが可能な温度(定着温度C3)にするものであることが必要で、その範囲で、第1温昇率Δ1よりも小さいものとする。
因みに、比較例の第2モードでは、第2温度C2bは第2温度C2aと同じであり、「t14−t10=t22−t20」の関係がある。また、比較例の第2モードでは、第2温昇率Δ2bは第2温昇率Δ2aと同じである。
ここで、画像形成装置1では、出力指示を受けてから出力物を排出するまでの出力処理時間を短縮し、高速に処理成果物を得ることが求められている。しかしながら、従来、出力処理時間は、最も好適な条件が揃った特定の時点のみに発揮、発現され、好適な条件以外では、出力処理時間が長くなる難点がある。たとえば、出力媒体上の画像情報の品質を決められた品質にするための画質調整処理を出力処理に先立って行なうと、大きく出力処理時間が悪化する。
たとえば、図4(1)と図4(2)の比較から分かるように、第2モードでは、画像形成処理開始前に初期調整処理が入るので、出力処理時間Tz2が初期調整処理期間Tbの分だけ長くなる。一例として、初期調整項目1(転写ロールクリーニング)、初期調整項目2(中間転写体ベルトクリーニング)、および初期調整項目6(像担持体一周→電位安定化)を実施すると、出力処理時間Tz2が第1モードよりも900msec長く掛る。
この対処のため、本実施形態では、初期調整による待ち時間による定着ロール139aの表面温度の上昇を見越して、初期調整処理を伴う起動処理を実施しない第1モードでの第2温度C2aよりも低い温度に第2モードでの画質調整開始温度を設定することにする。こうすることで、初期調整処理を比較例よりも早く開始させる。その結果、第1枚目の印刷物は比較例よりも早く出力される。つまり、初期調整処理を伴う起動処理を実施する第2モードでの出力処理時間は、比較例よりも短くなる。次に、本実施形態の仕組みの具体例を示す。
<第1実施形態>
図5〜図5Aは、第1実施形態を説明する図である。ここで、図5は、初期調整処理を伴う起動処理を実行してから画像形成処理を行なう第2モードにおける第1実施形態の出力処理時間Tz3を説明する図である。対比のため、図4(2)に示した比較例の場合を図5(1)に示し、第1実施形態の場合を図5(2)に示す。初期調整処理期間Tbでは、図3に示した初期調整項目1、初期調整項目2、および初期調整項目6を実施するものとする。図5Aは、第1実施形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図5〜図5Aは、第1実施形態を説明する図である。ここで、図5は、初期調整処理を伴う起動処理を実行してから画像形成処理を行なう第2モードにおける第1実施形態の出力処理時間Tz3を説明する図である。対比のため、図4(2)に示した比較例の場合を図5(1)に示し、第1実施形態の場合を図5(2)に示す。初期調整処理期間Tbでは、図3に示した初期調整項目1、初期調整項目2、および初期調整項目6を実施するものとする。図5Aは、第1実施形態の処理手順を説明するフローチャートである。
先ず、図5(2)中の矢指Aに着目する。第1実施形態における画質調整開始温度を第4温度C4aとする。ここで、主制御部420は、第4温度C4aを、次のようにして決定する。図3に従い初期調整処理期間Tbを特定する(S100)。予定している初期調整処理に要する時間(初期調整処理期間Tb)と、初期調整処理期間Tbにおける定着ロール139aの単位時間当たりの温昇率(第2温昇率Δ2b=Δ2a)に基づき、初期調整処理期間Tbに定着ロール139aの表面温度が上昇する分(温昇分C42)を計算(推測)する(S110)。
さらに、初期調整処理が完了した時点(t34)で画像形成処理を開始しその後に用紙の先端が定着ロール139aに到達したときには(t38)、画像情報が転写された用紙を定着ロール139aによって加熱してその用紙上にその画像情報を溶融・固着することが可能な温度に到達するであろうと推測される画像形成処理開始時点(つまり初期調整処理完了時点:t34)の温度(第2温度C2b=C2a)から、温昇分C42を差し引いて第4温度C4aとする(S120)。
主制御部420は、第1温度C1の状態で主制御部420が出力指示を受け付けると(t30)、第1温昇率Δ1で定着ロール139aの発熱駆動を開始するように温度制御部480を制御する(S130)。発熱駆動を開始すると定着ロール139aの表面温度が、比較的急峻な第1温昇率Δ1で上昇を開始する。定着ロール139aの表面温度が画質調整開始温度(第4温度C4a)に達したら、主制御部420は、温度勾配を第2温昇率Δ2bに設定するように温度制御部480を制御するとともに、初期調整処理を実施するように画質調整制御部490を制御する(S140,S142)。
つまり、第2モード時にも、急峻な第1温昇率Δ1で定着ロール139aの表面温度を上昇させ、初期調整処理を完了させた後に画像形成処理用の用紙搬送を開始するとき(t34)の温度を第2温度C2b以上とするべく、初期調整処理期間Tbでの温昇分C42を第2温度C2bから差し引いた第4温度C4aに定着ロール139aの表面温度が達したとき(t32)に第2温昇率Δ2b(<第1温昇率Δ1)に設定して初期調整処理を開始することにする。
そして、初期調整処理が完了すると(t34:定着ロール139aの表面温度が第2温度C2bに達したとき)、主制御部420は、画像形成処理の開始を指示し、用紙の位置と感光体ドラム131上の画像情報の位置を合わせて給紙トレイ190からその用紙の搬送を開始させる(S160,S162)。以下、第1モードと同様で、定着ロール139aの表面温度が定着温度C3に達したら、主制御部420は、定着ロール139aの表面温度が定着温度C3を維持するように温度制御部480を制御する(S190,S192)。
これにより、初期調整処理は比較例よりもTc(=t28−t38)だけ早く開始される。その結果、第1枚目の印刷物は比較例よりもTcだけ早く出力される。つまり、第1実施形態では、初期調整処理を伴う起動処理を実施する第2モードでの出力処理時間Tz3は、比較例よりもTcだけ短くなる。
なお、第2温昇率Δ2bは、時刻t32と時刻t34との間の時刻t33の時点(図5(2)中の矢指Bの場合)や時刻t34と時刻t38との間の時刻t36の時点(図5(2)中の矢指Cの場合)で定着ロール139aの表面温度が定着温度C3に達するような温度勾配であってもよい。この場合でも、搬送開始後定着開始期間Taでの温昇分C23は、定着温度C3から第2温度C2bを差し引いた値である。この場合、温度制御部480は、定着ロール139aの表面温度が定着温度C3に達した時点(t36)以降は、定着ロール139aの表面温度が定着温度C3に維持されるように温度制御を行なう。
換言すると、第2モード時にも、画像形成処理用の用紙搬送を開始するとき(t34)の温度が少なくとも第2温度C2b(=C2a)以上であればよく、典型例として、搬送開始後定着開始期間Taの第2温昇率Δ2bを(C3−C2b)/Taに設定し、搬送開始後定着開始期間Taでの温昇分C23=(C3−C2b)を定着温度C3から差し引いた第2温度C2bのとき(t34)に用紙搬送を開始する。搬送開始後定着開始期間Taの第2温昇率Δ2bが、Δ1>Δ2b>(C3−C2a)/Taのときは定着ロール139aの表面温度が定着温度C3に到達した時点では用紙先端が未だ定着ロール139aに達していないだけに過ぎない。
また、前記説明では、搬送開始後定着開始期間Taと初期調整処理期間Tbの各温度勾配を何れも第2温昇率Δ2bに設定しているが、図5(2)中の矢指Dに示すように、各期間の温度勾配は異なっていてもよい。その場合、各期間の温度勾配は、少なくとも第1温昇率Δ1よりも小さく、かつ、用紙先端が定着ロール139aに到達したときに定着ロール139aの表面温度を定着温度C3にするものであればよい。換言すれば、(C42+C23)=(C3−C4)を満たす限り、搬送開始後定着開始期間Taと初期調整処理期間Tbでの温度勾配を自由に設定してよい。
<第1実施形態:変形例>
図5B〜図5Cは、第1実施形態の変形例を説明する図である。ここで、図5Bは、初期調整処理を伴う起動処理を実行してから画像形成処理を行なう第2モードにおける第1実施形態の変形例の出力処理時間Tz3を説明する図である。対比のため、図4(2)に示した比較例の場合を図5B(1)に示し、第1実施形態の変形例の場合を図5B(2)に示す。初期調整処理期間Tbでは、図3に示した初期調整項目1、初期調整項目2、および初期調整項目6を実施するものとする。図5Cは、第1実施形態の変形例の処理手順を説明するフローチャートである。
図5B〜図5Cは、第1実施形態の変形例を説明する図である。ここで、図5Bは、初期調整処理を伴う起動処理を実行してから画像形成処理を行なう第2モードにおける第1実施形態の変形例の出力処理時間Tz3を説明する図である。対比のため、図4(2)に示した比較例の場合を図5B(1)に示し、第1実施形態の変形例の場合を図5B(2)に示す。初期調整処理期間Tbでは、図3に示した初期調整項目1、初期調整項目2、および初期調整項目6を実施するものとする。図5Cは、第1実施形態の変形例の処理手順を説明するフローチャートである。
第1実施形態では、最初に、温昇分C42を算出してから第4温度C4aを決定し、第1温昇率Δ1で温昇を開始し、定着ロール139aの表面温度が第4温度C4aに達してから温度勾配を第2温昇率Δ2bに変更し初期調整処理を開始していた。これに対して、この変形例は、画質調整開始温度(第4温度C4a2)を第1温度C1と同じに設定する(S112)。
主制御部420は、第1温度C1の状態で出力指示を受け付けると(t30)、第2温昇率Δ2b(=第2温昇率Δ2a)で定着ロール139aの発熱駆動を開始するように温度制御部480を制御するとともに(S122)、初期調整処理を行なうように画質調整制御部490を制御する(S132)。発熱駆動を開始すると定着ロール139aの表面温度が、第1温昇率Δ1よりも緩やかな第2温昇率Δ2bで上昇を開始する。
初期調整処理が完了すると(t33:定着ロール139aの表面温度は第2温度C2b未満にある)、主制御部420は、第1温昇率Δ1で定着ロール139aを発熱駆動するように温度制御部480を制御する(S136−YES,S138)。
主制御部420は、定着ロール139aの表面温度が第2温度C2bに達したときには(t34)、第2温昇率Δ2bで定着ロール139aの表面温度を上昇させるように温度制御部480を制御する(S150,S152)。また、主制御部420は、画像形成処理の開始を指示し、用紙の位置と感光体ドラム131上の画像情報の位置を合わせて給紙トレイ190からその用紙の搬送を開始させる(S160,S162)。以下、第1実施形態と同様である。
このような第1実施形態の変形例でも、初期調整処理は比較例よりもTc(=t28−t38)だけ早く開始される。その結果、第1枚目の印刷物は比較例よりもTcだけ早く出力される。第1実施形態の変形例でも、第1実施形態と同様に、初期調整処理を伴う起動処理を実施する第2モードでの出力処理時間Tz3は、比較例よりもTcだけ短くなる。
第1実施形態では、定着部139を最初に第1温昇率Δ1で高速に温昇しておき画質調整開始温度(第4温度C4a)に達してから電力消費の制約を超えないように第2温昇率Δ2bで低速に温昇しながら初期調整処理を開始する。これに対して、その変形例では、電力消費の制約を超えないように第2温昇率Δ2bで低速に定着部139を温昇しながら初期調整処理を開始し、調整完了後に搬送開始可能温度(第2温度C2b)になるまで第1温昇率Δ1で高速に定着部139を温昇する。
初期調整処理期間Tbの動作には相違がなく、第1温昇率Δ1で高速に温昇する動作が、初期調整処理期間Tbの前であるのか後であるのかの相違に過ぎない。出力処理時間の短縮度合いは第1実施形態と同じであるが、変形例では、第1実施形態のように、温昇分C42を算出してから第4温度C4aを決定することは不要であり、制御が容易になる。
<第2実施形態>
図6〜図6Aは、第2実施形態を説明する図である。ここで、図6は、初期調整処理を伴う起動処理を実行してから画像形成処理を行なう第2モードにおける第2実施形態の出力処理時間Tz4を説明する図である。対比のため、図4(2)に示した比較例の場合を図6(1)に示し、第2実施形態の場合を図6(2)に示す。初期調整処理期間Tbでは、図3に示した初期調整項目1、初期調整項目2、および初期調整項目6を実施するものとする。図6Aは、第2実施形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図6〜図6Aは、第2実施形態を説明する図である。ここで、図6は、初期調整処理を伴う起動処理を実行してから画像形成処理を行なう第2モードにおける第2実施形態の出力処理時間Tz4を説明する図である。対比のため、図4(2)に示した比較例の場合を図6(1)に示し、第2実施形態の場合を図6(2)に示す。初期調整処理期間Tbでは、図3に示した初期調整項目1、初期調整項目2、および初期調整項目6を実施するものとする。図6Aは、第2実施形態の処理手順を説明するフローチャートである。
先ず、図6(2)中の矢指Aに着目する。第2実施形態における画質調整開始温度を第4温度C4bとする。ここで、主制御部420は、第2実施形態での画質調整開始温度(第4温度C4b)を、第1温度C1と同じに設定する(S210)。第1実施形態のように、温昇分C42を算出してから第4温度C4aを決定することは不要であり、制御が容易になる。
主制御部420は、第1温度C1の状態で出力指示を受け付けると(t40)、第1温昇率Δ1で定着ロール139aの発熱駆動を開始するように温度制御部480を制御するとともに(S220)、初期調整処理を行なうように画質調整制御部490を制御する(S230)。発熱駆動を開始すると定着ロール139aの表面温度が、第2温昇率Δ2bよりも急峻な第1温昇率Δ1で上昇を開始する。
主制御部420は、定着ロール139aの表面温度が第2温度C2bに達したときには(t42)、第2温昇率Δ2bで表面温度を上昇させるように温度制御部480を制御する(S240,S242)。
初期調整処理が完了すると(t44:定着ロール139aの表面温度は第2温度C2b以上にある)、主制御部420は、画像形成処理の開始を指示し、用紙の位置と感光体ドラム131上の画像情報の位置を合わせて給紙トレイ190からその用紙の搬送を開始させる(S260,S262)。以下、第1実施形態と同様である。
なお、図6(2)中の矢指Bのように、ステップS240,S242の処理を割愛してもよい。ただし、ステップS240,S242の処理を実施した方が無駄な温昇動作が避けられる。
第1実施形態では、電力消費の制約を考慮して、初期調整処理期間Tbおよび搬送開始後定着開始期間Taの間(t32〜t38)は第1温昇率Δ1よりも緩やかな第2温昇率Δ2b(=第2温昇率Δ2b)で温度上昇を継続していたが、電力消費の制約がなければ、または、電力消費の制約内であれば、初期調整処理期間Tbの昇温率を第1温昇率Δ1と同じにしてもよい。第2実施形態はこのような観点から創出されたものである。
たとえば、図3にて示した初期調整項目は何れも定着部139の動作を必要としないので、原理的には(電力消費の制約を無視すれば)、定着ロール139aの表面温度に関わらず初期調整処理を開始してもよい。
また、初期調整項目の中には、稼働部が少なく電力消費の少ないものもある。その場合、初期調整処理期間Tbの昇温率を第1温昇率Δ1と同じにしても、電力消費の制約内で不都合なく初期調整処理が実現される。
これにより、初期調整処理は比較例よりもTdだけ早く開始される。その結果、第1枚目の印刷物は比較例よりもTd(=t28−t48)だけ早く出力される。つまり、第2実施形態では、初期調整処理を伴う起動処理を実施する第2モードでの出力処理時間Tz4は、比較例よりもTdだけ短くなる。Td>Tcであり、第2実施形態の方が第1実施形態よりも、出力処理時間の短縮効果は高い。特に、初期調整処理期間Tbがt40〜t44内に収まるものであれば、出力処理時間Tz4は、第1モードの出力処理時間Tz1と同じになる利点がある。加熱源がハロゲンランプなどのように定着部139が低速起動型のものである場合に、この点が顕著に現われる。
<第2実施形態:変形例>
図6Bは、第2実施形態の変形例の処理手順を説明するフローチャートである。図6〜図6Aに示した第2実施形態の場合、電力消費量の大きい初期調整項目であると、破綻を来たす虞れがある。第2実施形態の変形例は、その対処の一例であり、電力消費の制約と出力処理時間の短縮のバランスをとるものである。
図6Bは、第2実施形態の変形例の処理手順を説明するフローチャートである。図6〜図6Aに示した第2実施形態の場合、電力消費量の大きい初期調整項目であると、破綻を来たす虞れがある。第2実施形態の変形例は、その対処の一例であり、電力消費の制約と出力処理時間の短縮のバランスをとるものである。
この問題を避けるため、第2実施形態の変形例では、主制御部420は、第2温昇率Δ2bを第1温昇率Δ1と同じに設定したときに電力消費の制約内で初期調整を実施できるか否かを判断する(S200)。そして、できる(つまり電力消費面から許容される)ときは第2温昇率Δ2bを第1温昇率Δ1と同じに設定して第2実施形態を採用し(S200−YES)、できない(つまり電力消費面から許容されない)ときは第1実施形態を採用する(S200−NO)。
初期調整処理期間Tbで複数の初期調整項目を実施する場合、全ての初期調整項目が電力消費の制約内で実施できるときは第2温昇率Δ2bを第1温昇率Δ1と同じに設定して第2実施形態を採用し、何れか1つでもできないときは第1実施形態を採用する。
<第3実施形態>
図7〜図7Aは、第3実施形態を説明する図である。ここで、図7は、初期調整処理を伴う起動処理を実行してから画像形成処理を行なう第2モードにおける第3実施形態の出力処理時間Tz5を説明する図である。対比のため、図4(2)に示した比較例の場合を図7(1)に示し、第3実施形態の場合を図7(2)に示す。初期調整処理期間Tbでは、図3に示した初期調整項目1、初期調整項目2、および初期調整項目6を実施するものとする。図7Aは、第3実施形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図7〜図7Aは、第3実施形態を説明する図である。ここで、図7は、初期調整処理を伴う起動処理を実行してから画像形成処理を行なう第2モードにおける第3実施形態の出力処理時間Tz5を説明する図である。対比のため、図4(2)に示した比較例の場合を図7(1)に示し、第3実施形態の場合を図7(2)に示す。初期調整処理期間Tbでは、図3に示した初期調整項目1、初期調整項目2、および初期調整項目6を実施するものとする。図7Aは、第3実施形態の処理手順を説明するフローチャートである。
図6〜図6Aに示した第2実施形態の場合、電力消費量の大きい初期調整項目であると、破綻を来たす虞れがある。第3実施形態は、その対処の他の一例である。第2実施形態の変形例と同様に、電力消費の制約と出力処理時間の短縮のバランスをとるものであるが、その効果をより高めようとするものである。
先ず、図7(2)中の矢指Aに着目する。第3実施形態は、初期調整処理期間Tbにて複数の初期調整項目を実施する場合に、電力消費の制約を考慮した第1実施形態の考え方と初期調整処理期間Tbでの温度勾配(第2温昇率Δ2b)を第1温昇率Δ1と同じに設定する第2実施形態の考え方を併用するものである。第3実施形態における画質調整開始温度を第4温度C4cとする。ここで第2実施形態のように、出力指示を受けたら定着ロール139aの温昇と初期調整処理を開始する。この際に、主制御部420は、初期調整項目ごとに電力消費に破綻を来たさないか否かを判定し、それぞれに応じた昇温勾配となるように温度制御部480を制御する点に特徴がある。
具体的には、主制御部420は、第3実施形態での第4温度C4cを、第1温度C1と同じに設定する(S300)。また、主制御部420は、初期調整項目*ごとに、第2温昇率Δ2b_*(*は項目番号)を第1温昇率Δ1と同じに設定したときに電力消費の制約内で初期調整を実施できるか否かを判断する(S310)。そして、できるものは第2温昇率Δ2b_*を第1温昇率Δ1と同じに設定し(S320)、できないものは第2温昇率Δ2b_*を電力消費の制約内に収まるように第1温昇率Δ1よりも小さく設定する(S322)。ここでは、理解を容易にするため、できない場合の第2温昇率Δ2b_*を第2温昇率Δ2a(=(C3−C2b)/Ta)とする。
ここで、本実施形態の場合、第1温昇率Δ1で昇温しながら調整を行なうことがあり得るので、初期調整項目*の調整処理開始時に既に定着ロール139aの表面温度が第2温度C2bに達していることがあり、この場合、第1温昇率Δ1にする必要性はない。そこで、無駄な温昇動作を避けるべく、第2温昇率Δ2b_*を第1温昇率Δ1と同じに設定する前に定着ロール139aの表面温度が第2温度C2bに達しているか否かを判定し(S312)、達していないときにのみ第2温昇率Δ2b_*を第1温昇率Δ1と同じに設定するようにする(S312−NO,S320)。
なお、ステップS312の判定処理を割愛してもよい。その場合、第2温度C2b以上で調整が行なわれ、また、調整完了後に第3温度C3に達する時点が早まるだけである。
主制御部420は、第1温度C1の状態で主制御部420が出力指示を受け付けると(t50)、前述のように初期調整項目*に応じた温度勾配で定着ロール139aの発熱駆動を開始するように温度制御部480を制御するとともに、初期調整項目*についての初期調整処理を行なうように画質調整制御部490を制御する(S330)。発熱駆動を開始すると定着ロール139aの表面温度が、第2温昇率Δ2aや第1温昇率Δ1で上昇を開始する。
このような処理を全ての初期調整項目*についての初期調整処理が完了するまで繰り返す(S350,S352)。この間に定着ロール139aの表面温度が第2温度C2bに達したときには、主制御部420は、ステップS320を通っているときには第2温昇率Δ2bで表面温度を上昇させるように温度制御部480を制御する(S340,S342)。ステップS322を通っているときにはその時点の温度勾配設定(第2温昇率Δ2b)を維持していればよい。
全ての初期調整処理が完了すると(t53:定着ロール139aの表面温度が第2温度C2b以上にあるか否かは未定)、主制御部420は、定着ロール139aの表面温度が第2温度C2bに達しているか否かを判定する(S354)。達していれば、主制御部420は、画像形成処理の開始を指示し、用紙の位置と感光体ドラム131上の画像情報の位置を合わせて給紙トレイ190からその用紙の搬送を開始させる(S354−YES,S362)。達していないときには、主制御部420は、第1温昇率Δ1で表面温度を上昇させるように温度制御部480を制御する(S354−NO,S356)。そして、定着ロール139aの表面温度が第2温度C2bに達したら(t54)、主制御部420は、画像形成処理の開始を指示し、用紙の位置と感光体ドラム131上の画像情報の位置を合わせて給紙トレイ190からその用紙の搬送を開始させる(S354−YES,S362)。以下、第1実施形態と同様である。
たとえば、初期調整項目1(電力消費レベル4)、初期調整項目2(電力消費レベル3)、および初期調整項目6(電力消費レベル1)をこの順で実施する場合において、初期調整項目1,2は電力消費の制約から第2温昇率Δ2b_1,Δ2b_2を第2温昇率Δ2aに設定し、初期調整項目6は電力消費の制約内に収まるので第2温昇率Δ2b_6を第1温昇率Δ1に設定するものと仮定する。
この場合、主制御部420は、印刷指示を受け付けると(t50=t52_1)、第2温昇率Δ2b_1を第2温昇率Δ2aに設定して第1温度C1から定着温度C3に向けて定着ロール139aの表面温度を上昇させるように温度制御部480を制御するとともに、初期調整項目1を開始するように画質調整制御部490を制御する。初期調整項目1が完了すると(t52_2)、主制御部420は、第2温昇率Δ2b_2を第2温昇率Δ2aに設定(維持)するように温度制御部480を制御するとともに、初期調整項目2を開始するように画質調整制御部490を制御する。初期調整項目2が完了すると(t52_6)、主制御部420は、第2温昇率Δ2b_6を第1温昇率Δ1に設定するように温度制御部480を制御するとともに、初期調整項目6を開始するように画質調整制御部490を制御する。
初期調整項目6が完了すると(t53)、主制御部420は、第1温昇率Δ1で表面温度を上昇させるように温度制御部480を制御し(本例の場合は第1温昇率Δ1を維持するように制御し)、第2温度C2bに達したら(t54)、画像形成処理の開始を指示し、用紙の位置と感光体ドラム131上の画像情報の位置を合わせて給紙トレイ190からその用紙の搬送を開始させる。以下、第1実施形態と同様である。
これにより、初期調整処理は比較例よりもTeだけ早く開始される。その結果、第1枚目の印刷物は比較例よりもTeだけ早く出力される。つまり、第3実施形態では、初期調整処理を伴う起動処理を実施する第2モードでの出力処理時間Tz5は、比較例よりもTeだけ短くなる。出力処理時間Tz5の短縮効果を第1・第2実施形態と対比すると、Td>te>Tcになる。第2実施形態が最も効果が高いことが分かる。
また、初期調整項目*ごとに、各初期調整項目での電力消費量に応じた温度勾配で定着ロール139aの表面温度を上昇させるので、何れの初期調整項目の実施においても、電力消費面で破綻を来たすことはない。第2実施形態の場合、電力消費量の大きい初期調整項目の場合、破綻を来たす虞れがあるのと異なる。
<電子計算機による構成>
図8は、画像形成装置1における初期調整処理を伴う起動処理に関わる制御機構の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して、初期調整処理を伴う起動処理に関わる制御機構を、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築されるより現実的なハードウェア構成を示している。
図8は、画像形成装置1における初期調整処理を伴う起動処理に関わる制御機構の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して、初期調整処理を伴う起動処理に関わる制御機構を、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築されるより現実的なハードウェア構成を示している。
すなわち、本実施形態において、初期調整処理を伴う起動処理に関わる制御機構の仕組みは、ハードウェア処理回路により構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づき電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現される。よって、本実施形態に係る仕組みを、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体が抽出される。ソフトウェアにより実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などが容易に変更されることとなる。
たとえば、初期調整処理を伴う起動処理に関わる制御機構を構築するコンピュータシステム900は、CPU(Central Processing Unit )やマイクロプロセッサ(microprocessor)で構成された中央制御部910と、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)、あるいは随時読出し・書込みが可能なメモリであるRAM(Random Access Memory)などを具備する記憶部912と、操作部914と、図示を割愛したその他の周辺部材を有している。
中央制御部910は、コンピュータが行なう演算と制御の機能を超小型の集積回路に集約させたCPUを代表例とする電子計算機の中枢をなすものと同様のものである。ROMには初期調整処理を伴う起動処理用の制御プログラムなどが格納される。記憶部612のROMがその機能を備えるものとしてもよい。操作部914は、利用者による操作を受け付けるためのユーザインタフェースである。
コンピュータシステム900の制御系としては、メモリカードなどの図示を割愛した外部記録媒体を挿脱可能に構成し、またインターネットなどの通信網との接続が可能に構成するとよい。このためには、制御系は、中央制御部910や記憶部912の他に、可搬型の記録媒体の情報を読み込むメモリ読出部920や外部との通信インタフェース手段としての通信I/F922を備えるようにするとよい。メモリ読出部920を備えることで外部記録媒体からプログラムのインストールや更新ができる。通信I/F922を備えることで、通信網を介しプログラムのインストールや更新ができる。基本的な初期調整処理を伴う起動処理の仕組みは前記実施形態と同様である。
ここでは、初期調整処理を伴う起動処理に関わる制御機構をコンピュータにてソフトウェア上で実現する構成例で説明しているが、本実施形態の初期調整処理を伴う起動処理を実現するための制御機構の各部(機能ブロックを含む)の具体的手段は、ハードウェア、ソフトウェア、通信手段、これらの組み合わせ、その他の手段を用いることができ、このこと自体は当業者において自明である。また、機能ブロック同士が複合して1つの機能ブロックに集約されてもよい。また、コンピュータにプログラム処理を実行させるソフトウェアは、組合せの態様に応じて分散してインストールされる。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で前記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、前記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、図9および図9Aは、その変形態様の一例を説明する図である。前記実施形態では、電磁誘導加熱方式を利用した定着装置や転写同時定着装置を使用するなどして、加熱準備時間を短縮する高速起動型の定着部139の例で説明したが、定着部139は、加熱源としてハロゲンランプなどの発熱体を用いる低速起動型のものでもよい。その場合でも、図9や図9Aに示すように、初期調整処理を伴う起動処理を実施する第2モードでの出力処理時間Tz3,Tz4は、比較例よりも短くなる。因みに、図9Aに示すように、第2実施形態を採用した場合には、初期調整処理期間Tbが最初の立上げ期間(t40〜t44)内に収まる可能性が高くなり、出力処理時間Tz4は、第1モードの出力処理時間Tz1と同じになる可能性が高くなる。
前記実施形態では、中間転写方式かつタンデム型のカラー画像形成装置の場合で説明したが、カラー画像形成対応にする場合の構成は中間転写方式やタンデム型のものに限定されない。たとえば、エンジン部の構成としては、たとえば、K,Y,M,Cの出力色ごとに同様の画像形成プロセスを繰り返してカラー画像を形成するもの、たとえば単一のエンジンで各色の画像を順に形成しつつ、これを1色ずつ中間転写体に重ね転写してカラー画像を形成するマルチパス型(サイクル型/ロータリー型)の構成でもよい。中間転写体ベルト136を搬送ベルトに置き換え、搬送ベルト上で用紙を搬送させ、その用紙に直接に転写する方式でもよい。カラー画像形成対応に限らず単色(モノクロ)画像形成対応のものでもよい。
1…画像形成装置、103…走査出力系、105…カートリッジ部、107…標準搬送系、130…印刷実行部、131…感光体ドラム、134…現像器、135…一次バイアス転写ロール、136…中間転写体ベルト、139…定着部、139a…定着ロール、198…用紙カセット、400…制御部、420…主制御部、440…給紙制御部、480…温度制御部、490…画質調整制御部
Claims (11)
- 静電潜像担持体上の未定着現像剤による画像情報を出力媒体上に転写する転写部と、
前記出力媒体の位置と前記静電潜像担持体上の画像情報の位置を合わせて前記出力媒体を搬送する搬送部と、
前記転写部によって画像情報が転写された前記出力媒体に前記画像情報を溶融・固着する定着部と、
前記定着部の前記出力媒体と接する部分の表面温度を検出しながら前記定着部の昇温動作を制御する温度制御部と、
前記出力媒体上の画像情報の品質を決められた品質にするための画質調整処理を行なうように制御する画質調整制御部と、
全体の動作を制御する主制御部と、
を備え、
前記主制御部は、
前記画質調整処理を行なわないで画像形成処理を行なう第1の処理態様時には、画像形成処理を開始する前の第1温度から溶融・固着が可能な第3温度に向けて前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記出力媒体の搬送を開始してから当該出力媒体が前記定着部に到着する期間における前記表面温度の温度上昇分を前記第3温度から差し引いた第2温度に達した以降の時点で前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御し、
前記画質調整処理を完了させてから画像形成処理を開始する第2の処理態様時には、画像形成処理を開始する前の第1温度から溶融・固着が可能な第3温度に向けて前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記第1の処理態様での前記第2温度よりも低い第4温度の時点で前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御する
画像形成装置。 - 前記主制御部は、前記第1の処理態様時には、
画像形成処理の開始指示を受け付けたときに、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御し、
前記表面温度が前記第2温度に達したときに、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する
請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、前記画質調整処理を開始してから当該画質調整処理が完了する期間における前記表面温度の温度上昇分を前記第2温度から差し引いた温度を前記第4温度に設定する
請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、
画像形成処理の開始指示を受け付けたときに、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御し、
前記表面温度が前記第4温度に達したときに、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、
前記画質調整処理が完了したときに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する
請求項3に記載の画像形成装置。 - 前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、
前記第4温度を前記第1温度に設定し、
画像形成処理の開始指示を受け付けたときに、相対的に大きな第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、
前記画質調整処理が完了したときに、前記第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御し、
前記表面温度が前記第2温度に達したときに、前記第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する
請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、前記第4温度を前記第1温度に設定する
請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、
画像形成処理の開始指示を受け付けたときに、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、
前記画質調整処理が完了したときに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する
請求項6に記載の画像形成装置。 - 前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、
前記表面温度が前記第2温度に達したときに、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御する
請求項6または7に記載の画像形成装置。 - 前記主制御部は、前記第2の処理態様時には、
相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させた状態で前記画質調整処理を実施することが電力消費面から許容されるか否かを判定し、
許容される場合には、前記第4温度を前記第1温度に設定し、前記第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、
許容されない場合には、前記画質調整処理を開始してから当該画質調整処理が完了する期間における前記表面温度の温度上昇分を前記第2温度から差し引いた温度を前記第4温度に設定し、前記第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御し、前記表面温度が前記第4温度に達したときに、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに、前記画質調整処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、前記画質調整処理が完了したときに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する
請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記第2の処理態様時において、前記画質調整処理が複数の調整項目で構成される場合、
前記主制御部は、
前記第4温度を前記第1温度に設定し、
前記調整項目ごとに、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させた状態で前記画質調整処理を実施することが電力消費面から許容されるか否かを判定し、
許容される場合には、前記第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに当該調整項目の処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、
許容されない場合には、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに当該調整項目の処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、
各調整項目について順次実施して全ての調整項目の処理が完了したときに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する
請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記第2の処理態様時において、前記画質調整処理が複数の調整項目で構成される場合、
前記主制御部は、
前記第4温度を前記第1温度に設定し、
前記調整項目ごとに、相対的に大きな第1温昇率で前記表面温度を上昇させた状態で前記画質調整処理を実施することが電力消費面から許容されるか否かを判定し、
許容される場合は、前記表面温度が前記第2温度に達しているか否かを判定し、達していない場合には、前記第1温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに当該調整項目の処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、
許容されない場合および達している場合には、前記第1温昇率よりも小さな第2温昇率で前記表面温度を上昇させるように前記温度制御部を制御するとともに当該調整項目の処理を開始するように前記画質調整制御部を制御し、
各調整項目について順次実施して全ての調整項目の処理が完了したときに、前記出力媒体の搬送を開始するように前記搬送部を制御する
請求項1または2に記載の画像形成装置。
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