JP2010151770A - 光学式距離測定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成により高精度の測定を行うことができる光学式距離測定システムを提供すること。
【解決手段】光学式距離測定システム1は、放射用光ファイバ41の他端側の放射端41Eから放射した光をワークWに向けて出射するとともに、ワークWにより反射された光を受光用光ファイバ42の他端側の受光端42Eに入射する光学系部品群45と、この光学系部品群45が固定された筐体Cと、を備える。光学式距離測定システム1は、さらに、光源部31から放射した光を、光学系部品群45を迂回して光検出部32に入射する補正用光ファイバ43をさらに備え、この補正用光ファイバ43の少なくとも一部のファイバコイル43Cは、筐体Cに接して設けられる。演算装置6は、補正用光ファイバ43の伸縮量に基づいて測定距離の補正を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学式距離測定システムに関する。詳しくは、レーザやLEDなどの光源を用いて被検体までの距離を測定する光学式距離測定システムに関する。
従来、光を用い、被検体までの距離を非接触により測定する装置として、光学式距離測定システムが知られている。この光学式距離測定システムは、光を放射する光源と、光を検出する光センサとを備えており、光源より光を放射してから、被検体により反射された光を光センサで検出するまでの時間を測定し、この測定時間に基づいて被検体までの距離を測定する。
ところで、このような光学式距離測定システムでは、光源で放射した光を平行ビーム又は集光ビームにするとともに、このビームを被検体へ向けて出射したり、被検体で反射された光を光センサに入射したりするために、ミラーやレンズなどの複数の光学系部品を設ける必要がある。これら光学系部品は、通常、アルミ材などで構成された筐体に固定される。しかしながら、このような筐体は、室温に応じて若干伸縮する。このため、室温によって測定時の光の経路の全長が変わってしまい、測定精度が低下してしまう。
そこで、例えば特許文献1では、温度の変化により測定精度が低下するのを防止することを目的とした光測定装置が提案されている。この光測定装置では、より具体的には、光学系部品を固定した筐体の温度を計測する温度センサを設け、この温度センサにより計測された温度と、筐体の材料を形成する線膨張率とに基づいて、被検体までの距離を演算する。これにより、筐体の伸縮による影響を考慮した距離の測定が可能になる。
特開2007−17394号公報
しかしながら、特許文献1に示された光測定装置では、その測定精度は温度センサの性能に大きく依存する。つまり、この光測定装置において測定精度を向上するためには、高精度の温度センサが必要となるため、装置の製造にかかるコストが高くなったり、装置の部品点数が増え複雑な構造になったりするおそれがある。また、温度センサを用いると、測定できる範囲が検出部近傍に限られてしまうため、筐体全体の伸縮を正確に把握することが困難である。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成により高精度の測定を行うことができる光学式距離測定システムを提供することを目的とする。
本発明の光学式距離測定システム(例えば、後述の光学式距離測定システム1)は、光を放射する光源(例えば、後述の光源部31)と、光を検出する光検出手段(例えば、後述の光検出部32)と、前記光源に一端が接続された第1光ファイバ(例えば、後述の放射用光ファイバ41)と、前記光検出手段に一端が接続された第2光ファイバ(例えば、後述の受光用光ファイバ42)と、前記第1光ファイバの他端側(例えば、後述の放射端41E)から放射した光を被検体(例えば、後述のワーク)に向けて出射するとともに、当該被検体により反射された光を前記第2光ファイバの他端側(例えば、後述の受光端42E)に入射する複数の光学系部品(例えば、後述の光学系部品群45)と、前記第1光ファイバ、前記第2光ファイバ、および前記複数の光学系部品が固定された筐体(例えば、後述の筐体CおよびそのアルミベースCB)と、前記光源により光を放射してから、前記光検出手段により被検体で反射された光を検出するまでの時間を計測し、当該計測した時間に基づいて、被検体までの距離を算出する演算装置(例えば、後述の演算装置6)と、を備える光学式距離測定システムであって、前記光源から放射した光を、前記複数の光学系部品を迂回して前記光検出手段に入射する第3光ファイバ(例えば、後述の補正用光ファイバ43)をさらに備え、当該第3光ファイバの少なくとも一部(例えば、後述のファイバコイル43C)は、前記筐体に接して設けられ、前記演算装置は、前記第3光ファイバの伸縮量に基づいて測定距離の補正を行うことを特徴とする。
この発明によれば、光を放射する光源および光を検出する光検出手段に、それぞれ接続された第1光ファイバおよび第2光ファイバの他、筐体に固定された複数の光学系部品を迂回する第3光ファイバを設けた。また、演算装置では、この第3光ファイバの伸縮量に基づいて測定距離の補正を行う。したがって、筐体の伸縮量が第3光ファイバの伸縮量に反映するように第3光ファイバを設定することにより、筐体の伸縮量に応じた測定距離の補正を行うことができる。これにより、筐体が設けられた環境の温度によらず、高い精度で距離を測定することができる。
また、第3光ファイバのうち少なくとも一部を筐体に接するように設けることにより、筐体の温度による伸縮の影響を、第3光ファイバの伸縮量に直に反映させることができる。すなわち、本発明の光学式距離測定システムでは、高精度の温度センサを用いることなく、筐体の伸縮による影響を補正することができる。このため、温度センサを用いた場合と比較して、かかるコストを低くでき、かつ、簡易な構成にできる。
また、光ファイバは自在に曲げることができる。したがって、複数の光学系部品が設けられた筐体に対し、広範囲の面にわたって接するように第3光ファイバを設けることにより、筐体の温度による伸縮の影響を、第3光ファイバの伸縮量に、より正確に反映させることができる。
この場合、前記第3光ファイバは、前記第1光ファイバの中間部に設けられた光スイッチ(例えば、後述の光スイッチ41S)に接続され当該第1光ファイバから分岐し、前記第2光ファイバの中間部に至ることが好ましい。
この発明によれば、光スイッチを介して第3光ファイバを設けた。これにより、部品点数を不要に増やすことなく、筐体の温度による伸縮の影響を補正することができる。したがって、光学式距離測定システムをより簡易な構成にすることができる。
本発明の光学式距離測定システムによれば、第3光ファイバの伸縮量に基づいて測定距離の補正を行う。これにより、筐体が設けられた環境の温度によらず、高い精度で距離を測定することができる。また、第3光ファイバのうち少なくとも一部を筐体に接するように設けることにより、高精度の温度センサを用いることなく、筐体の伸縮による影響を補正することができる。このため、温度センサを用いた場合と比較して、かかるコストを低くでき、かつ、簡易な構成にできる。また、複数の光学系部品が設けられた筐体に対し、広範囲の面にわたって接するように第3光ファイバを設けることにより、筐体の温度による伸縮の影響を、第3光ファイバの伸縮量に、より正確に反映させることができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る光学式距離測定システム1の構成を示す模式図である。
光学式距離測定システム1は、光測定装置2と、この光測定装置2に接続された演算装置6と、を備える。この光学式距離測定システム1では、光の速度を既知として、光を出射してからワークWで反射された光を検出するまでの時間に基づいて、光学式距離測定システム1の基点(後述の回転ミラーMの回転中心O)と被検体としてのワークWとの間の距離LOWを測定する。
光測定装置2は、光源部31および光検出部32を有する距離計3と、距離計3から放射された光をワークWに向けて出射したり、ワークWにより反射された光を距離計3に入射したりするスキャナヘッド4と、を含んで構成される。
演算装置6は、各種プログラムが格納された記憶装置と、距離計3から出力された各種信号が入力される入力回路と、上記プログラムおよび上記各種信号に基づいて演算を実行するCPU、およびこの演算結果を表示する表示装置などを備えたコンピュータにより構成される。演算装置6は、光測定装置2の距離計3を制御し、光源部31から光を放射してから、ワークWで反射された光を光検出部32により検出するまでの時間を計測し、この計測した時間に基づいて、ワークWまでの距離を算出する。なお、この演算装置6により、距離LOWを測定する手順については、後に図4を参照して詳述する。
光源部31は、例えば、半導体レーザやLEDなどの発光装置や、この発光装置を駆動する駆動回路などを含んで構成され、スキャナヘッド4へ光を放射する。
光検出部32は、例えば、フォトダイオードなどの受光素子や、この受光素子で受光したことに応じて検出信号を出力する検出信号出力回路などを含んで構成され、スキャナヘッド4からの光を検出する。
スキャナヘッド4は、第1光ファイバとしての放射用光ファイバ41と、第2光ファイバとしての受光用光ファイバ42と、複数の光学系部品により構成された光学系部品群45と、これら光ファイバ41,42,43および光学系部品群45が固定された筐体Cと、を含んで構成される。
放射用光ファイバ41の一端側は、距離計3の光源部31に接続され、他端側は、光学系部品群45側に向けられた放射端41Eに接続されている。これにより、光源部31から放射された光を、放射端41Eから光学系部品群45へ向けて放射することができる。
受光用光ファイバ42の一端側は、距離計3の光検出部32に接続され、他端側は、光学系部品群45側に向けられた受光端42Eに接続されている。これにより、光学系部品群45から受光端42Eに入射した光を、光検出部32に入射することができる。
この他、スキャナヘッド4には、光源部31から放射された光を、上述の光学系部品群45を迂回して光検出部32に入射する第3光ファイバとしての補正用光ファイバ43が設けられている。図1に示すように、この補正用光ファイバ43は、放射用光ファイバ41の中間部から分岐し、受光用光ファイバ42の中間部に至る。より具体的には、放射用光ファイバ41の中間部には、光スイッチ41Sが設けられており、補正用光ファイバ43の一端側は、この光スイッチ41Sに接続されている。また、補正用光ファイバ43の他端側は、受光用光ファイバ42の中間部に接続されている。
なお、以下では、光源部31から放射端41Eに至る放射用光ファイバ41のうち、中間部から光源部31側を光源側光ファイバ411とし、中間部より放射端41E側を放射端側光ファイバ412とする。また、受光端42Eから光検出部32に至る受光用光ファイバ42のうち、中間部から受光端42E側を受光端側光ファイバ421とし、中間部より光検出部32側を検出部側光ファイバ422とする。
また、補正用光ファイバ43の中間部分はコイル状に巻回されている。以下では、補正用光ファイバ43の全長のうち、コイル状に束ねられた部分のみをファイバコイル43Cという。
光学系部品群45は、筐体Cに対し回転可能に設けられた回転ミラーMの他、図示しないレンズやミラーなどの複数の光学系部品を含んで構成され、各光学系部品は、それぞれ、筐体Cの所定の位置に固定される。
放射端41Eから放射された光は、この光学系部品群45において、平行ビームに整形された後、回転ミラーMの回転中心Oに入射する。ここで、回転ミラーMの角度を調整し、ワークWに対する姿勢を適切に調整しておくことにより、放射端41Eから放射し、回転ミラーMで透過又は反射した光をワークWに向けて出射することができる。なお、放射端41Eから放射された光は、平行ビームに限らず集光ビームに整形してもよい。
また、このようにして回転ミラーMから出射した光は、ワークWにより反射され、再び回転ミラーMの回転中心Oに入射する。回転ミラーMの回転中心Oに入射し、この回転ミラーMで透過又は反射した光は、光学系部品群45を構成するレンズやミラーにより進行方向を変えられた後、受光端42Eに入射する。
また、本実施形態の光学式距離測定システム1では、回転ミラーMの回転中心Oを基点とする。すなわち、光学式距離測定システム1では、この基点OとワークWとの間の距離LOWを測定する。
図2は、スキャナヘッド4の筐体Cの構成を示す側面図である。
筐体Cは、平板状のアルミベースCBを備える。このアルミベースCBには、光学系部品群45としての回転ミラーMおよび複数のレンズLN1,LN2,LN3や、放射端41Eおよび受光端42E(図2には放射端41Eのみを示す)が、それぞれ所定の間隔を空けて固定される。また、光スイッチ41Sから延びる補正用光ファイバ43のうちファイバコイル43Cは、アルミベースCBの表面に接して設けられる。
次に、図1および図3を参照して、光学式距離測定システム1における光の経路について説明する。
図3は、光学式距離測定システム1における光の経路を模式的に示す図である。なお、この図3において、矢印が示す方向は光の進行方向を示す。また、実線の矢印(区間1,2,7,8,9,10,11)は光ファイバ中の経路を示し、一点鎖線の矢印(区間3,6)は筐体C内のアルミベースCB上に設定された経路を示し、破線の矢印(区間4,5)は筐体C外の空気中の経路を示す。
光スイッチ41Sで光源側光ファイバ411と放射端側光ファイバ412とを接続することにより、区間1,2,3,4,5,6,7,8で構成された測定用の光の経路が形成される。
この場合、光源部31から放射された光は、光源側光ファイバ411(区間1)および放射端側光ファイバ412(区間2)を通過し、放射端41Eから回転ミラーMを経由してワークWに到達する(区間3,4)。ワークWで反射された光は、再び回転ミラーMを経由して受光端42Eに入射し(区間5,6)、受光端側光ファイバ421(区間7)および検出部側光ファイバ422(区間8)を通過し、光検出部32により検出される。
また、光スイッチ41Sで光源側光ファイバ411と補正用光ファイバ43とを接続することにより、区間1,9,10,11,8で構成されたオフセットリセット回路が形成される。
この場合、光源部31から放射された光は、光源側光ファイバ411(区間1)、補正用光ファイバ43の直線区間(区間9)、ファイバコイル43C(区間10)、補正用光ファイバ43の直線区間(区間11)、および検出部側光ファイバ422(区間8)を通過し、光検出部32により検出される。
ところで、光ファイバやアルミベースCBは、その温度に応じて伸縮する。このため、上述の区間1〜11のうち、光ファイバにより形成された区間1,2,7,8,9,10,11の長さ、およびアルミベースCB上の区間3,6の長さは、それぞれの温度によって伸縮する。
ここで、光ファイバおよびアルミベースの基準温度を設定し、この基準温度における各区間1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11の長さを、それぞれ、L,L,L,L,L,L,L,L,L,L10,L11とする。なお、区間4の長さLおよび区間5の長さLは、それぞれ、上述のワークの距離LOWと等しくなっている。
また、基準温度からずれた場合における区間1,2,3,6,7,8,9,10,11の伸縮量を、それぞれ、ΔL,ΔL,ΔL,ΔL,ΔL,ΔL,ΔL,ΔL10,ΔL11とする。
次に、本実施形態における補正用光ファイバ43の設定について説明する。
上述のように、光学式距離測定システム1における光の経路の長さは、光学式距離測定システム1が設けられた環境の温度に応じて伸縮する。補正用光ファイバ43は、距離LOWの測定時における構成部品の伸縮による影響を相殺し、温度によらず安定した測定を行うことを目的として設けられる。より具体的には、以下、詳細に説明するように、補正用光ファイバ43の長さは、測定時におけるこれら光ファイバの伸縮(ΔL,ΔL,ΔL,ΔL)およびアルミベースCBの伸縮(ΔL,ΔL)による影響を、自身の伸縮(ΔL,ΔL10,ΔL11)により相殺できるように設定される。
また、以下では、理解の便宜のために、光ファイバの屈折率を「1」とした場合、すなわち、光ファイバ中の光の速度と空気中の光の速度が等しいとした場合における、補正用光ファイバ43の設定について説明する。なお、光ファイバ中の光の速度と空気中の光の速度とが異なるものとした場合の設定については、後に説明する。
補正用光ファイバ43は、ファイバコイル43Cで構成された区間10と、ファイバコイル43Cよりも放射用光ファイバ41側の直線部分で構成された区間9と、ファイバコイル43Cよりも受光用光ファイバ42側の直線部分で構成された区間11と、で構成される。
基準温度では、下記式(1)に示すように、区間9の長さLと区間11の長さL11との和は、区間2の長さLと区間7の長さLとの和に等しくなるように設定する。
+L11=L+L ・・・(1)
また、放射用光ファイバ41および受光用光ファイバ42と、補正用光ファイバ43とで同じ材質のものを用いることにより、これら光ファイバ41,42,43の温度変化による単位長さ当たりの伸縮量を等しくできる。したがって、下記式(2)が成立する。
+ΔL+L11+ΔL11=L+ΔL+L+ΔL ・・・(2)
このようにして、補正用光ファイバ43の区間9,11の長さを設定しておくことにより、後に詳述するように、距離LOWの測定時における放射端側光ファイバ412および受光端側光ファイバ421の伸縮による影響を相殺することができる。
ファイバコイル43Cについては、下記式(3)に示すように、その伸縮量ΔL10が、アルミベースCB上に設定された区間3の伸縮量ΔLと、同じくアルミベースCB上に設定された区間6の伸縮量ΔLとの和に等しくなるように設定する。
ΔL10=ΔL+ΔL ・・・(3)
ファイバコイル43Cをこのように設定することにより、ファイバコイル43Cの伸縮量に基づいてアルミベースCBの伸縮量を知ることができる。また、これにより、後に詳述するように、距離LOWの測定時におけるアルミベースの伸縮による影響を相殺することができる。
次に、図4を参照して、ワークの距離LOWを測定する手順について説明する。
図4は、ワークの距離LOWを算出する手順を示すフローチャートであり、演算装置により実行される。図4に示すように、光学式距離測定システムによる距離LOWの測定の手順は、ステップS1における前測定と、ステップS2における本測定と、ステップS3における距離演算との3つの工程を含んで構成される。
ステップS1の前測定では、区間1,9,10,11,8の距離LPREを測定する。具体的には、先ず、光スイッチにより光源側光ファイバと補正用光ファイバとを接続してオフセットリセット回路を形成した後、距離計を制御して、光源部で光を放射してから、この光が区間1,9,10,11,8を経由して光検出部で検出されるまでの時間を測定する。次に、測定した時間を光の速度で除算することにより、区間1,9,10,11,8の距離LPREを算出する。
ステップS2の本測定では、区間1,2,3,4,5,6,7,8の距離LOPEを測定する。具体的には、先ず、光スイッチにより光源側光ファイバと放射端側光ファイバとを接続した後、距離計を制御して、光源部で光を放射してから、この光が区間1,2,3,4,5,6,7,8を経由して光検出部で検出されるまでの時間を測定する。次に、測定した時間を光の速度で除算することにより、区間1,2,3,4,5,6,7,8の距離LOPEを算出する。
ステップS3の距離演算では、下記式(4)に示すように、距離(LOPE−L−L)から距離(LPEE−L10)を減算した値[(LOPE−L−L)−(LPEE−L10)]を、「2」で除算した距離LOW_MESを算出し、この距離LOW_MESを本実施形態の光学式距離測定システムによる距離LOWの測定値とする。ここで、L、L、L10には予め測定しておいた値を用いる。
OW_MES
=[(LOPE−L−L)−(LPRE−L10)]/2 ・・・(4)
ここで、上記式(4)に示す距離LOW_MESが、アルミベースの伸縮量に応じた補正を含んだ距離LOWの測定値に相当するものであることは、以下に示す通りである。
先ず、本測定において測定した距離LOPEの内訳は、基準温度からの伸びを含めて下記式(5)により示される。
OPE≒(L+ΔL)+(L+ΔL)+(L+ΔL)+L+L
+(L+ΔL)+(L+ΔL)+(L+ΔL) ・・・(5)
一方、前測定において測定した距離LPREの内訳は、基準温度からの伸びを含めて下記式(6)により示される。
PRE≒(L+ΔL)+(L+ΔL)+(L10+ΔL10
+(L11+ΔL11)+(L+ΔL) ・・・(6)
これら式(5)および式(6)を、上記式(4)に代入し、さらに、上記式(2)および(3)に示す式を用いると、上記式(5)に示すように、区間1,2,3,6,7,8のそれぞれの伸びを含む距離が相殺されて、下記式(7)が導出される。
OW_MES≒[L+L+L+ΔL+ΔL+ΔL+L+ΔL
−L−ΔL−ΔL10−L11−ΔL11]/2
=(L+L)/2 ・・・(7)
また、上記式(7)において、区間4の光の往路の長さL、および区間5の光の復路の長さLは、それぞれ距離LOWと略等しいと仮定すると、下記式(8)に示すように、測定値LOW_MESが距離LOWに略等しいことが示される。
OW_MES≒LOW ・・・(8)
以上のように、LPREからLOPEを減算することにより、光ファイバで構成された区間1,2,7,8およびアルミベース上に構成された区間3,6の長さを、その伸縮量とともに相殺することができる。特に、上記式(3)を満たすようにファイバコイルの長さを設定することにより、アルミベースの伸縮による影響を相殺すること、すなわち、アルミベースの伸縮量に応じた補正を行うことができる。
なお、以上の実施形態の説明では、理解を容易にするために、LやLOWなどの記号「L」に添え字を付したものを、物理的な長さとして説明したが、これは演算装置6の実際の演算において使用される数の単位を限定するものではない。演算装置6における実際の演算では、例えば、発光装置から放射された光のパルス数や時間などの、長さに略比例した数を単位としてもよい。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)光を放射する光源部31および光を検出する光検出部32に、それぞれ接続された放射用光ファイバ41および受光用光ファイバ42の他、筐体CのアルミベースCBに固定された光学系部品群45を迂回する補正用光ファイバ43を設けた。また、演算装置6では、この補正用光ファイバ43の伸縮量に基づいて測定距離の補正を行う。したがって、アルミベースCBの伸縮量が補正用光ファイバ43の伸縮量に反映するように補正用光ファイバ43を設定することにより、アルミベースCBの伸縮量に応じた測定距離の補正を行うことができる。これにより、筐体Cが設けられた環境の温度によらず、高い精度でワークまでの距離LOWを測定することができる。
また、補正用光ファイバ43のうち少なくとも一部をアルミベースCBに接するように設けることにより、アルミベースCBの温度による伸縮の影響を、補正用光ファイバ43の伸縮量に直に反映させることができる。すなわち、本実施形態の光学式距離測定システム1では、高精度の温度センサを用いることなく、アルミベースCBの伸縮による影響を補正することができる。このため、温度センサを用いた場合と比較して、かかるコストを低くでき、かつ、簡易な構成にできる。
また、光ファイバは自在に曲げることができる。したがって、光学系部品群45が設けられたアルミベースCBに対し、広範囲の面にわたって接するように補正用光ファイバ43を設けることにより、アルミベースCBの温度による伸縮の影響を、補正用光ファイバ43の伸縮量に、より正確に反映させることができる。
(2)光スイッチ41Sを介して補正用光ファイバ43を設けた。これにより、部品点数を不要に増やすことなく、アルミベースCBの温度による伸縮の影響を補正することができる。したがって、光学式距離測定システム1の構成をより簡易な構成にすることができる。
以上のように構成された本実施形態の光学式距離測定システム1を用い、検査治具の長さを測定する検査を行った。以下では、図5および図6を参照して、本実施形態の検査結果と、本実施形態に対する比較例の検査結果について説明する。
図5は、比較例の光学式距離測定システム1Xの構成を示す模式図である。図5に示すように、比較例の光学式距離測定システム1Xは、光測定装置2Xの補正用光ファイバ43Xおよび演算装置6Xの構成が、上記実施形態の光学式距離測定システム1の構成と異なる。なお、図5において、上記実施形態の光学式距離測定システム1と同じ構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
補正用光ファイバ43Xは、上記実施形態と異なり、コイル状に束ねられた部分を含まない。また、その図示を省略するが、補正用光ファイバ43Xは、上記実施形態と異なり、筐体Cに接していない。
演算装置6Xでは、上記実施形態と同様に、補正用コイルを含んで構成されたオフセットリセット回路で前測定を行った後、本測定を行い、本測定の結果から前測定の結果を減算することにより、ワークWまでの距離を算出する。
すなわち、比較例の光学式距離測定システム1XでワークWの距離を測定した場合、その測定結果には、上記実施形態と異なり、筐体の伸縮による影響が考慮されない。
図6は、本実施形態および比較例の検査結果を示す図である。この検査では、具体的には、所定の温度における両端側の長さが1500mmである検査治具を用意し、この検査治具の温度を、5℃から40℃まで5℃刻みで変化させながら、各温度における長さを測定した。また、図6では、検査治具の長さの比較例による測定結果を一点鎖線で示し、本実施形態による測定結果を破線で示した。また、これら測定結果に対する真値を実線で示す。
先ず、検査治具の長さは、約30℃において1500.0mmであり、また、温度が上昇するに従い伸びる。また、図6の実線で示すように、検査治具の長さは、その温度にかかわらず略一定の割合で増加する。つまり、検査治具の長さの伸びの温度変化率は略一定である。
このような温度変化を示す真値に対して、図6の一点鎖線で示す比較例による測定結果によれば、約25℃において真値とほぼ等しい値を示すものの、検査治具の長さの温度変化率は、真値よりも大きい。すなわち、約25℃よりも大きくなると、検査治具の長さは真値よりも大きな値を示し、約25℃よりも小さくなると、検査治具の長さは真値よりも小さな値を示す。より具体的には、比較例の測定結果は、真値に対して約0,0247mm/℃程度の誤差が確認された。また、誤差の最大値は、0.44mmであった。
一方、図6の破線で示す本実施形態による測定結果によれば、検査治具の長さの温度変化率は概ね等しく、また、真値に近い値を示す。より具体的には、本実施形態では、今回測定した全ての温度範囲にわたり、最大でも0.05mmの誤差の範囲内に収まっている。したがって、本実施形態におけるファイバコイルの有効性が確認された。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、補正用光ファイバ43の一部をコイル状に束ねてファイバコイル43Cを形成するとともに、このファイバコイル43Cが筐体CのアルミベースCBに接するように設けたが、これに限るものではない。補正用光ファイバのうちアルミベースに接する部分の形状は、どのような形状であってもよい。
また、上記実施形態では、理解の便宜のために、光ファイバの屈折率を「1」とした場合について説明した。実際には、光ファイバの屈折率は「1」よりもやや大きい。したがって、この場合、以下に示すように、補正用光ファイバの設定に関する上記式(3)を、下記式(9)で書き換えることが好ましい。
上述のように、距離LPREおよび距離LOPEは、直接測定せずに、光を放射してから検出するまでの時間を測定し、光の速度で除算することにより算出する。したがって、上記式(7)に示すように、LOPEからLPEEを減算することでアルミベースの伸縮による影響を相殺するためには、光が区間10を通過するのにかかった時間と、区間3および区間6を通過するのにかかった時間とが等しくなるように設定する必要がある。したがって、光ファイバ中の光の速度をvとし、空気中の光の速度をcとすると、下記式(9)が導出される。
(L10+ΔL10)/v=(L+ΔL+L+ΔL)/c
(L10+ΔL10)=(L+ΔL+L+ΔL)v/c
(L10+ΔL10)=(L+ΔL+L+ΔL)/n ・・・(9)
ここで、c/nを光ファイバの屈折率nとした。
本発明の一実施形態に係る光学式距離測定システムの構成を示す模式図である。 上記実施形態に係るスキャナヘッドの筐体の構成を示す側面図である。 上記実施形態に係る光学式距離測定システムにおける光の経路を模式的に示した図である。 上記実施形態に係る測定手順を示すフローチャートである。 比較例の光学式距離測定システムの構成を示す模式図である。 上記実施形態および比較例の検査結果を示す図である。
符号の説明
1…光学式距離測定システム
2…光測定装置
3…距離計
31…光源部(光源)
32…光検出部(光検出手段)
4…スキャナヘッド
41…放射用光ファイバ(第1光ファイバ)
41E…放射端
41S…光スイッチ
42…受光用光ファイバ(第2光ファイバ)
42E…受光端
43…補正用光ファイバ(第3光ファイバ)
43C…ファイバコイル
45…光学系部品群(光学系部品)
C…筐体
CB…アルミベース
6…演算装置

Claims (2)

  1. 光を放射する光源と、
    光を検出する光検出手段と、
    前記光源に一端が接続された第1光ファイバと、
    前記光検出手段に一端が接続された第2光ファイバと、
    前記第1光ファイバの他端側から放射した光を被検体に向けて出射するとともに、当該被検体により反射された光を前記第2光ファイバの他端側に入射する複数の光学系部品と、
    前記第1光ファイバ、前記第2光ファイバ、および前記複数の光学系部品が固定された筐体と、
    前記光源により光を放射してから、前記光検出手段により被検体で反射された光を検出するまでの時間を計測し、当該計測した時間に基づいて、被検体までの距離を算出する演算装置と、を備える光学式距離測定システムであって、
    前記光源から放射した光を、前記複数の光学系部品を迂回して前記光検出手段に入射する第3光ファイバをさらに備え、
    当該第3光ファイバの少なくとも一部は、前記筐体に接して設けられ、
    前記演算装置は、前記第3光ファイバの伸縮量に基づいて測定距離の補正を行うことを特徴とする光学式距離測定システム。
  2. 前記第3光ファイバは、前記第1光ファイバの中間部に設けられた光スイッチに接続され当該第1光ファイバから分岐し、前記第2光ファイバの中間部に至ることを特徴とする請求項1に記載の光学式距離測定システム。
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