JP2010150963A - スクロール型圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】旋回スクロール側のストッパピン41と、主軸31側の凹部42との間に、周囲弾性体51と、主軸31の軸線方向に圧縮状態とされた底部弾性体52と、を介在させることで、旋回スクロールを、各部の加工誤差を吸収して常時固定スクロールに接触させて圧縮室のシール性を維持する。
【選択図】図2
Description
また、主軸4には、主軸4に対して偏心した旋回スクロール3Bによるアンバランスを解消するため、バランサ6が設けられている。バランサ6は、主軸4のボス4aに対し、旋回スクロール3Bが偏心した方向とは反対方向に延びる扇状のプレート部6aの外周部に、ウェイト部6bが一体に形成されている。
これらの寸法誤差が存在しても、固定スクロール3Aと旋回スクロール3Bとの相対回転に支障の生じないよう、旋回スクロール3Bは、主軸4に対し、一定の範囲内で可動する構造とされている(例えば、特許文献1参照。)。具体的には、旋回スクロール3Bおよびバランサ6は、主軸4のボス4aに対し、ボス4aの中心軸周りに、一定角度の旋回が許容される構造となっている。すなわち、バランサ6のプレート部6aにストッパピン7が設けられ、主軸4において、このストッパピン7に対向する位置には、ストッパピン7を収容する凹部8が形成されている。ストッパピン7の外径に対し、凹部8の内径を一定寸法大きく形成することで、ストッパピン7と凹部8との間にクリアランスが形成され、バランサ6に設けられたストッパピン7が、ボス4aを中心として凹部8の内部で前記のクリアランスの範囲内で移動可能となっている。これにより、旋回スクロール3Bおよびバランサ6は、主軸4のボス4aを中心として回転したときに、ストッパピン7と凹部8とのクリアランス範囲内において旋回が許容される。このように、旋回スクロール3Bを一定の許容範囲内で可動とすることで、各部の製造誤差等を吸収し、固定スクロール3Aに対して常に密着させる。
そこで、上記のようにして主軸4に対して旋回スクロール3Bが可動する構造において、主軸4と旋回スクロール3Bとの間に、弾性体を備えることで、固定スクロール3Aと旋回スクロール3Bとの衝突時の衝撃を緩衝するものも提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
ここで、図7に示すように、主軸4や旋回スクロール3B等、各部の加工精度が規定の公差内であったとしても、初期の状態(無負荷の状態)では、弾性体からの反力、すなわち旋回スクロール3Bの固定スクロール3Aへの押し付け荷重にはバラツキが生じる。例えば、凹部8に対しストッパピン7が相対的に大きい場合には、凹部8に対しストッパピン7が相対的に小さい場合に比較すると、弾性体ではより初期の状態から大きな反力を生じ、押し付け荷重が大きい状態となっている。逆に、凹部8に対しストッパピン7が相対的に小さい場合、弾性体ではより初期の状態から反力が小さく、押し付け荷重も小さい。したがって、圧縮機1が作動し始めると、旋回スクロール3Bが固定スクロール3Aに押し付けられる荷重が大きくばらつくことになる。
しかし、このような旋回スクロール3Bの固定スクロール3Aへの押し付け荷重のバラツキは、なるべく抑えるのが好ましいのは言うまでもない。押し付け荷重が過大になると、固定スクロール3A、旋回スクロール3Bの接触部分の発熱、摩耗等が生じる。このため、一つには、各部の加工精度を高める手法があるが、これは加工コストの上昇に直結するので好ましくない。
このとき、第一の弾性体は、凸部の先端部と凹部の底部との間に、軸線方向に圧縮状態で設けられているため、凸部が凹部内で主軸の軸線に直交する方向に変位しても、発揮する摩擦力はほぼ一定であり、変位量や、各部の寸法誤差の影響を受けにくい。
なおここで、凸部やバランサ、旋回スクロールの変位とは、旋回スクロールが固定スクロールに常時接触した状態を維持するため、旋回スクロールの旋回中に、旋回スクロールがボスを中心として旋回したときの変位を示す。
ここで、凸部が凹部内で軸線に直交する方向に移動したときに、第一の弾性体で発揮する摩擦力が、第二の弾性体で発揮する反発力よりも大きくなるようにするのが好ましい。
なお、第二の弾性体は、凸部の外周面と凹部の内周面との間の全周に設けるのではなく、旋回スクロールの旋回半径外周側にのみ設けるようにしてもよい。これにより、組み付け性が向上する。
また、第一の弾性体と第二の弾性体とは、互いに異なる材料で形成しても良いし、互いに厚さが異なるものとしても良い。
図1は、本実施の形態における圧縮機10の構成を示すための図である。
この図1に示すように、圧縮機10は、スクロール型で、ハウジング11内に、主軸31と、主軸31とともに回転する旋回スクロール32と、ハウジング11に固定された固定スクロール33と、を備える。
このような圧縮機10においては、ハウジング11の一端側に形成された冷媒導入ポートからハウジング11内に冷媒が導入され、旋回スクロール32と固定スクロール33との間に形成された圧縮室において冷媒が圧縮される。そして、圧縮された冷媒は、ハウジング11の他端側に形成された冷媒吐出ポートから吐出される。
底部弾性体52は、凹部42の底部42bとストッパピン41の先端面41bとの間で、圧縮状態で介在するよう設けられている。このため、バランサ40が、主軸31に設けられたストッパリング43により旋回スクロール32側への移動が拘束されており、これにより凹部42の底部42bとストッパピン41の先端面41bとの間隔が、底部弾性体52の厚さ方向の自然長よりも小さく設定されている。
凹部42の内周面とストッパピン41の外周面との間に介在する周囲弾性体51は、ストッパピン41が、凹部42内でストッパピン41の軸線に直交する方向に変位したときに弾性変形し、ストッパピン41に対して反力を作用させる。すなわち、旋回スクロール32が、固定スクロール33との接触により主軸31の径方向に変位した場合、周囲弾性体51が反力を作用させる。
また、底部弾性体52は、凹部42の底部42bとストッパピン41の先端面41bとの間で圧縮状態で介在することで、常にストッパピン41に対し摩擦力を作用させている。そして、ストッパピン41が、凹部42内でストッパピン41の軸線に直交する方向に変位したときには、底部弾性体52はストッパピン41に対して摩擦抵抗力を作用させる。すなわち、旋回スクロール32が、固定スクロール33との接触により主軸31の径方向に変位した場合、底部弾性体52が摩擦抵抗力を作用させる。
ここで、底部弾性体52による初期押し付け荷重F1の割合を増やしていくと、各部の加工公差を考慮した上で凹部42内においてストッパピン41が変位する範囲(図5中で「公差」と示した範囲)内における、変位押し付け荷重F2の増減量を抑えられる。すなわち、図5において、旋回スクロール32が変位したときの押し付け荷重変化の傾きを小さくすることができる。すると、旋回スクロール32、固定スクロール33、主軸31等の加工公差の範囲内でストッパピン41と凹部42とのクリアランスに誤差があっても、その範囲内において弾性部材50により旋回スクロール32に作用させる押し付け荷重のバラつきを小さくすることができる。
したがって、旋回スクロール32が最大に変位(加工公差を考慮したうえで、凹部42内におけるストッパピン41の最大の変位)したときに旋回スクロール32に作用する押し付け荷重の最大値(初期押し付け荷重F1+変位押し付け荷重F2)に対する、底部弾性体52による初期押し付け荷重F1の割合は大きくするのが好ましく、例えば50%以上、より好ましくは70%程度とするのが良い。
この割合を100%、つまり周囲弾性体51を備えず底部弾性体52のみとすることも可能ではあるが、旋回スクロール32と固定スクロール33の回転中は、凹部42内におけるストッパピン41の変位が高速に生じ得るため、その変動成分を周囲弾性体51で担うようにするのが好ましい。
これには、周囲弾性体51と底部弾性体52とで、弾性係数を異ならせたり(材質を異ならせる)、厚さを異ならせれば良い。これらの設定については、要求性能に応じ、適宜設計すればよいものである。
その結果、圧縮機10の起動時において、非接触状態にあった旋回スクロール32が固定スクロール33に衝突して騒音を発生させるのを避けることができ、圧縮機10を低騒音なものとすることができる。
また、底部弾性体52を組み込む位置については、主軸31とバランサ40との間であれば、上記に示した位置に限るものではない。例えば、主軸31の先端面31cとバランサ40のプレート部40aの背面40cとの間に底部弾性体52を介在させても良い。
さらに、周囲弾性体51は筒状としたが、これに限るものではなく、凹部42の内周面とストッパピン41の外周面との間の全周に設けるのではなく、凹部42の内周面とストッパピン41の外周面との間に介在するにおいて、旋回スクロール32の旋回半径外周側にのみ設けるようにしてもよい。これによっても、起動時の衝撃音は抑制できる。これにより、組み付け性が向上する。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
Claims (7)
- スクロール型の圧縮機であって、
外殻を形成するハウジング内に回転自在に支持された主軸と、
前記主軸の中心に対してオフセットした位置に回転自在に連結された旋回スクロールと、
前記旋回スクロールと対向することで冷媒を圧縮する圧縮室を形成し、前記ハウジングに固定された固定スクロールと、
前記旋回スクロールと一体に設けられ、前記旋回スクロールのアンバランスを軽減するバランサと、
前記主軸または前記バランサの一方に設けられ、前記主軸の軸線と平行な方向に突出する凸部と、
前記主軸または前記バランサの他方に設けられ、前記凸部の外径よりも大きな内径を有して前記凸部が挿入される凹部と、
前記主軸と前記バランサとの間に、前記軸線方向に圧縮状態で設けられ、前記凹部内における前記軸線に直交する方向への前記凸部の移動に対して抵抗力を発揮する第一の弾性体と、
を備えることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - 前記凸部の外周面と前記凹部の内周面との間に設けられた第二の弾性体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のスクロール型圧縮機。
- 前記第二の弾性体が、前記凸部の外周面と前記凹部の内周面との間において、前記旋回スクロールの旋回半径外周側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のスクロール型圧縮機。
- 前記凸部が前記凹部内で前記軸線に直交する方向に移動したときに、前記第一の弾性体で発揮する摩擦力が、前記第二の弾性体で発揮する反発力よりも大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスクロール型圧縮機。
- 前記第一の弾性体と前記第二の弾性体とが、一体成形されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスクロール型圧縮機。
- 前記第一の弾性体と前記第二の弾性体とが、互いに異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスクロール型圧縮機。
- 前記第一の弾性体と前記第二の弾性体は、互いに厚さが異なることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のスクロール型圧縮機。
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