JP2010150604A - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたBrとHcJと兼ね備えた希土類焼結磁石の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の製造方法は、希土類元素からなるR並びにFe及びCoの少なくとも1種の元素からなるTを含有する第1の合金と、R及びTを含有し、R全体に対する重希土類元素の質量比率が第1の合金よりも大きい第2の合金と、を混合し、第1の合金を主成分とする混合物を得る混合工程と、混合物を磁場中成形して焼成し、R、B、Al、Cu、Zr、Co、O、C及びFeを含有し、各元素の含有割合が、
R:26〜35質量%、
B:0.85〜0.98質量%、
Al:0.03〜0.25質量%、
Cu:0.01〜0.15質量%、
Zr:0.03〜0.25質量%、
Co:3質量%以下(但し、0質量%を含まず。)、
O:0.2質量%以下、
C:0.03〜0.15質量%、
である希土類焼結磁石を得る焼成工程と、を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、希土類焼結磁石の製造方法に関する。
R−T−B(RはYを含む希土類元素、TはFe及びCoの一方又は双方)系の組成を有する希土類焼結磁石は、優れた磁気特性を有していることから電子機器やモーターなど様々な分野に用いられている。
磁石の磁気特性を表す指標としては、一般に、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が用いられている。このため、BrとHcJの両方の特性に優れる希土類焼結磁石が求められている。
希土類焼結磁石の磁気特性を向上させるために、種々の検討がなされており、例えば、希土類焼結磁石の主相と粒界相とを互いに異なる所定の組成にすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2004/029995号パンフレット
希土類焼結磁石の用途は多岐にわたっており、従来よりも更に優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石が求められるようになってきている。このような状況の下、BrやHcJといった磁気特性を少しでも向上することができれば、工業的には極めて有用である。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、優れたBrと優れたHcJと兼ね備えた希土類焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、Yを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素からなるR並びにFe及びCoの少なくとも1種の元素からなるTを含有する第1の合金と、R及びTを含有し、R全体に対する重希土類元素の質量比率が第1の合金よりも大きい第2の合金と、を混合し、第1の合金を主成分とする混合物を得る混合工程と、混合物を磁場中成形して焼成し、R、B、Al、Cu、Zr、Co、O、C及びFeを含有し、各元素の含有割合が、
R:26〜35質量%、
B:0.85〜0.98質量%、
Al:0.03〜0.25質量%、
Cu:0.01〜0.15質量%、
Zr:0.03〜0.25質量%、
Co:3質量%以下(但し、0質量%を含まず。)、
O:0.2質量%以下、
C:0.03〜0.15質量%、
である焼結体を得る焼成工程と、を有する希土類焼結磁石の製造方法を提供する。
上記本発明の希土類焼結磁石の製造方法によれば、BrとHcJの両特性に優れた希土類焼結磁石を製造することができる。かかる効果が得られる理由を、本発明者らは以下の通り推察する。本発明の希土類焼結磁石の製造方法では、R全体に対する重希土類元素の質量比率が小さい第1の合金を主成分とし、該質量比率が第1の合金よりも大きい第2の合金を副成分として含有する混合物を用いて希土類焼結磁石を製造している。このため、希土類焼結磁石の結晶粒が主に第1の合金によって形成され、粒界相が主に第2の合金によって形成されることとなる。そして、焼成工程時の加熱による元素拡散によって、結晶粒の周縁付近(シェル部分)には、粒界相から第2の合金成分が拡散して侵入するため、結晶粒内のシェル部分の方が中心部分(コア部分)よりも第2の合金に由来する重希土類元素の含有量が高くなる。このように、本発明の希土類焼結磁石の製造方法によれば、シェル部分に高い異方性磁界(H)を有するDyやTbなどの重希土類元素が偏在し、コア部分に高い飽和磁化(I)を有する成分が偏在する結晶粒が形成される。また、このようにして形成されるシェル部分は、その厚みが十分に薄いために、逆磁区の発生を抑制することが可能となる。したがって、BrとHcJの両特性に優れた希土類焼結磁石を得ることができると考えている。
なお、シェル部分の厚みは薄い方が好ましい。これは、シェル部分の厚みが大きくなるにつれてシェル部分に偏在する重希土類元素の含有量が相対的に低下し、十分に優れた磁気特性が損なわれる傾向があるためである。
また、通常、希土類焼結磁石の主相はR14Bで表される基本組成を有するが、本発明では当該基本組成の化学量論比よりも、Bの含有量が僅かに少ないことから、Bリッチ相が低減され、希土類焼結磁石全体に対する主相の体積比率を大きくすることが可能となる。これも、高い残留磁束密度と高い保磁力とを兼ね備えた希土類焼結磁石が得られる要因である。なお、本明細書における「T」は、Fe及び/又はCoを意味する。
なお、通常、Bの量が少ないと、軟磁性のR17相が形成されてHcJの低下を招き易くなる。しかしながら、本発明の製造方法では、微量のCuを用いているため、R17相の析出が抑制され、むしろHcJ及びBrの向上に有効なR14C相の析出が促進されると考えられる。また、希土類焼結磁石のOの含有割合が0.2質量%以下と少ないことから、焼成時に液相が潤沢に存在することができ、これによりCuの分散が良好となることや、HcJの向上に有効なRリッチ相が多くなると推察される。以上の要因によって、優れたBrとHcJとを兼ね備えた希土類焼結磁石を得ることができる。
本発明において、第1の合金のR全体(TRE)に対する軽希土類元素の質量比率が第2の合金よりも大きいことが好ましい。このような第1の合金と第2の合金とを用いると、希土類焼結磁石のコア部分の軽希土類元素の含有量をシェル部分よりも高くすることができる。したがって、高い飽和磁化(Is)を有するNdやPrなどの軽希土類元素(LR)がコア部分に偏在した構造とすることが可能となり、一層優れたBrを有する希土類焼結磁石を製造することが可能となる。
本発明では、第1の合金におけるBの質量比率が第2の合金よりも大きいことが好ましい。これによって、粒界相におけるBリッチ相(RFe)の析出を抑制しつつ結晶粒内におけるR17相の析出を抑制することができる。
なお、第1の合金又は第2の合金にBリッチ相が存在する場合、その少なくとも一部は、焼成工程においてR及びFeと反応し、R14B相を形成する。しかしながら、第1の合金にBリッチ相が過剰に存在すると、このBリッチ相と第2の合金に由来するR及びTとが反応して、重希土類元素の質量比率が高いR14B相が結晶粒の周縁部に形成されることとなる。この場合にもコアシェル構造が形成されることとなるが、結果的にシェル部分の厚みが大きくなる傾向があるため、十分に優れた磁気特性が損なわれる場合がある。このため、希土類焼結磁石のB含有量を満足する範囲で、第1の合金のBリッチ相の含有量を調整することによって、最適なコアシェル構造を形成することができる。
本発明では、焼成工程において、第1の合金が焼結体の主相を形成し、第2の合金が焼結体の粒界相を形成することが好ましい。これによって、一層優れたBrとHcJとを兼ね備えた希土類焼結磁石を得ることができる。
本発明によれば、優れたBrと優れたHcJと兼ね備えた希土類焼結磁石の製造方法を提供することができる。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
本実施形態に係る希土類焼結磁石の製造方法は、Yを含む希土類元素からなるR並びにFe及びCoの少なくとも1種の元素からなるTを含有する第1の合金粉末と、R及びTを含有し、第1の合金粉末よりもR全体に対する重希土類元素の質量比率が大きく且つ軽希土類元素の質量比率が小さい第2の合金粉末と、をそれぞれ調製する原料調製工程と、第1の合金粉末と第2の合金粉末とを混合して、主成分として第1の合金粉末を含み、副成分として第2の合金粉末を含む混合粉末を得る混合工程と、混合粉末を磁場中成形して成形体を得る成形工程と、成形体を焼成して、R、B、Al、Cu、Zr、Co、O、C及びFeを含有し、各元素の含有割合が下記の通りであるR−T−B系希土類焼結磁石を得る焼成工程と、を有する。以下各工程について詳細に説明する。
R:26〜35質量%
B:0.85〜0.98質量%
Al:0.03〜0.25質量%
Cu:0.01〜0.15質量%
Zr:0.03〜0.25質量%
Co:3質量%以下(但し、0質量%を含まず。)
O:0.2質量%以下
C:0.03〜0.15質量%
Fe:残部
(原料調製工程)
原料調製工程では、まず、希土類焼結磁石の各構成元素の原料金属を準備し、これらを用いてストリップキャスティング法を行なうことにより、希土類焼結磁石の主相用の第1の合金と粒界相用の第2の合金とをそれぞれ調製する。第1の合金及び第2の合金の原料金属又は原料合金としては、例えば、Rからなる希土類金属や希土類合金、純鉄、フェロボロン、またはこれらの合金が挙げられる。
第1の合金及び第2の合金に含まれるRは、少なくとも1種の希土類元素を含む。希土類元素とは、長周期型周期表の第3族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及びランタノイド元素のことをいい、ランタノイド元素には、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビニウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が含まれる。また、希土類元素は、軽希土類元素及び重希土類元素に分類することができる。本明細書における「重希土類元素」とはGd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luをいい、「軽希土類元素」とはSc,Y,La,Ce,Pr,Nd、Sm,Euをいう。
第1の合金及び第2の合金の調製は、ストリップキャスティング法に限定されるものではなく、公知の溶解法等で行ってもよい。なお、第1の合金及び第2の合金の調製は、真空又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、Arガス雰囲気下で行うことがより好ましい。
次に、得られた第1の合金及び第2の合金を粉砕して、第1の合金粉末及び第2の合金粉末をそれぞれ作製する。第1の合金及び第2の合金の粉砕は、粗粉砕及び微粉砕の順番で行うことが好ましい。
粗粉砕は、例えば、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用いて、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。また、水素を吸蔵させた後、粉砕を行う水素吸蔵粉砕を行ってもよい。粗粉砕によって、粒径が数百μm程度である第1の合金粉末と第2の合金粉末とを調製することができる。
次に、第1の合金粉末と第2の合金粉末とを、ジェットミル等を用いて、平均粒径が3〜5μmとなるまで微粉砕する。なお、第1の合金と第2の合金の粉砕は、必ずしも粗粉砕と微粉砕との2段階で行なう必要はなく、1段階で行ってもよい。また、第1の合金と第2の合金とは、別々に粉砕してもよく、併せて粉砕してもよい。第1の合金と第2の合金とを混合して粉砕することによって、原料調製工程と後述する混合工程とを同時に行ってもよい。
第1の合金は、後述する工程を経て得られる希土類焼結磁石において、主に結晶粒の主相を形成するものであり、R−T−B系の組成(例えばR14B)を有するものが挙げられる。ここで「主相」とは、希土類焼結磁石の結晶粒における主な結晶相をいう。本実施形態の製造方法によって得られる希土類焼結磁石の結晶粒は、主相のみで形成されていてもよく、本発明の効果が損なわれない範囲で、主相とは異なる結晶相を含んでいてもよい。
第1の合金は、軽希土類元素を含有することが好ましく、Ndを含有することがより好ましい。この他に、Co,Al,Zr,B及びFeを含有することが好ましい。第1の合金の好適な組成は以下の通りである。
R:26〜35質量%
B:0.87〜1.05質量%
Co:3質量%以下(0質量%を含む)
Al:0.03〜0.25質量%
Zr:0.03〜0.25質量%
O:0.2質量%以下
Fe:60〜72質量%
第1の合金に含まれるRのうち、軽希土類元素の含有量は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。第1の合金は上述の元素以外に、例えば、Cuを含有してもよい。第1の合金のO含有量は、O含有量が十分に低減された希土類焼結磁石を得る観点から0.2質量%以下であることが好ましい。
第1の合金におけるBリッチ相(R)の含有量は、好ましくは0.5〜2質量%であり、より好ましくは0.8〜1.2質量%である。第1の合金におけるBリッチ相の含有量が0.5質量%未満であると、結晶粒内においてR17相の生成量が増加する傾向があり、2質量%を超えると、希土類焼結磁石の結晶粒内にBリッチ相が残留してしまう傾向がある。また、コアシェル構造を構成するシェル部分の厚みが大きくなり、シェル部分における重希土類元素の含有量が低下して磁気特性が低下する傾向がある。
第2の合金は、後述する工程を経て得られる希土類焼結磁石において、主に粒界相を形成するものであり、例えばR−T−B系(例えばR14B)又はR−T系の組成を有するものが挙げられ、Bを含まないRTの組成を有することが好ましい。第2の合金は、重希土類元素を含有しており、なかでもDyを含有することがより好ましい。第2の合金は、重希土類元素の他に、Co,Al,Zr,B及びFeを含有することが好ましい。第2の合金の好適な組成は以下の通りである。
R:26〜35質量%
Al:0.03〜0.25質量%
Fe:60〜72質量%
第2の合金に含まれるRのうち、重希土類元素の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。第2の合金粉末は上述の元素以外に、例えば、B,Zr,Co及びCuから選ばれる少なくとも1種の元素を含有してもよい。第2の合金におけるBの含有量は、希土類焼結磁石のボロンリッチ相の析出を十分に抑制する観点から、0.98質量%以下であることが好ましい。第2の合金におけるZr,Co及びCuの含有量は、それぞれ、5質量%以下、3質量%以下及び3質量%以下であることが好ましい。第2の合金のO含有量は、O含有量が十分に低減された希土類焼結磁石を得る観点から0.2質量%以下であることが好ましい。
第1の合金及び第2の合金の少なくとも一方は、Cuを含有することが好ましい。この場合、それぞれの合金のCuの含有量は、希土類焼結磁石のCu含有量の上限を超えないように調整する必要がある。これによって、R17相の析出を抑制し、R14C相の析出を促進することが可能となる。第1の合金及び第2の合金は、それぞれ、第1の合金粉末及び第2の合金粉末と同じ組成を有している。第1の合金粉末及び第2の合金粉末の組成、及び混合比を変えることによって、最終的に得られる希土類焼結磁石の組成を調整することができる。
第1の合金及び第2の合金は、上述の元素以外の元素を含んでいてもよい。また、第2の合金のR全体(TRE)に対する重希土類元素の質量比率は、第1の合金の当該質量比率よりも大きく、第2の合金のTREに対する軽希土類元素の質量比率は、第1の合金よりも小さい。
混合工程では、上述の通り調製した第1の合金粉末と第2の合金粉末とを混合する。第1の合金粉末と第2の合金粉末との混合比率は、第1の合金粉末と第2の合金粉末との合計を基準(100質量%)として、第2の合金粉末を好ましくは1〜10質量%配合し、より好ましくは3〜7質量%配合する。第2の合金粉末の配合量が1質量%未満であると、粒界相となる第2の合金粉末の量が少なすぎて、結晶粒の中心部分と周縁部分とで互いに異なる組成を有するコアシェル構造が形成され難くなる傾向がある。一方、第2の合金粉末の配合量が10質量%を超えると、結晶粒におけるシェル部分の厚みが厚くなりすぎて、逆磁区の発生が十分に抑制され難くなる傾向がある。
第1の合金粉末と第2の合金粉末とを、上述の質量比率で混合して、主成分として第1の合金粉末を含み、副成分として第2の合金粉末を含む混合粉末を得ることができる。第1の合金粉末と第2の合金粉末との混合は、例えばボールミルを用いて行うことができる。なお、上述の原料調製工程における粉砕と、混合工程における混合とを同時に行うことも可能である。
成形工程では、上述の混合粉末を磁場中で成形して、成形体を得る。より具体的には、混合粉末を電磁石中に配置された金型内に充填した後、電磁石により磁場を印加して原料粉末の結晶軸を配向させながら、原料粉末を加圧することにより磁場中で成形を行なう。この磁場中成形は、例えば、12.0〜17.0kOeの磁場中、0.7〜1.5t/cm程度の圧力で行えばよい。
焼成工程では、磁場中成形によって得られた成形体を、真空又は不活性ガス雰囲気中で焼成して焼結体を得る。焼成条件は、組成、粉砕方法、粒度等の条件に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、焼成温度を1000〜1100℃、焼成時間を1〜5時間とすることができる。
第1の合金粉末におけるBの含有量をR14Bで表される基本組成の化学量論量よりも小さくすることによって、Bリッチ(R)相の生成を抑制することができる。また、O含有量を低減することによって焼成時の液相量が増加し、焼成時の焼結性を良好なものとすることができる。このため、本実施形態の製造方法によって得られる希土類焼結磁石は、焼結後の結晶粒径が微細であり、これによってHcJを一層高くすることができる。
得られた焼結体に対して、必要に応じて時効処理を施してもよい。時効処理を行うことによって、得られる希土類焼結磁石のHcJをさらに向上することが可能となる。時効処理は、例えば、2段階に分けて行うことができ、800℃近傍、及び600℃近傍の2つの温度条件で時効処理を行うと好ましい。このような条件で時効処理を行うと、特に優れたHcJが得られる傾向にある。なお、時効処理を1段階で行う場合は、600℃近傍の温度とすることが好ましい。
このようにして得られる希土類焼結磁石は、R、B、Al、Cu、Zr、Co、O、C及びFeを含有し、各元素の含有割合が、R:26〜35質量%、B:0.85〜0.98質量%、Al:0.03〜0.25質量%、Cu:0.01〜0.15質量%、Zr:0.03〜0.25質量%、Co:3質量%以下(但し、0質量%を含まず。)、O:0.2質量%以下、C:0.03〜0.15質量%、Fe:60〜72質量%である。
希土類焼結磁石は、上述の元素以外に、Mn、Ca、Ni、Si、Cl、S、F等の不可避不純物を、0.001〜0.5質量%程度含有していてもよい。ただし、これらの不純物の含有量は、合計で2質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましい。
図1は、本実施形態の製造方法によって製造される希土類焼結磁石の断面のEPMA(Electron Prove Micro Analyzer)による元素マッピングを示す写真に結晶粒を示す線を書き入れた図である。図1では、粒界と結晶粒内におけるコア部分とシェル部分とを、コントラストの差異によって特定することができる。図1中、白色の実線が粒界を示し、結晶粒の内部の濃い部分がコア部分を、薄い部分がシェル部分をそれぞれ示している。
図1の希土類焼結磁石は、R14Bで表される正方晶系の結晶構造を主相として有する結晶粒と、この結晶粒の間の粒界相とから構成される。粒界相は、主に第2の合金粉末によって形成されるものであり、例えば、R元素の含有割合が大きいRリッチ相、R17相、R相又はBの含有割合が大きいBリッチ相等を含んでいてもよい。希土類焼結磁石に含まれるその他の元素は、添加成分として結晶粒及び粒界の一方又は双方に含まれる場合がある。
結晶粒内におけるコア部分及びシェル部分は、例えば、以下の方法によって特定することができる。希土類焼結磁石の断面における100μm×100μmの範囲で、EPMA(Electron Prove Micro Analyzer)を用いて、図1に示すような元素マッピングを行う。そして、元素マッピングの結果に基づき、希土類焼結磁石の結晶粒の周縁部における重希土類元素(例えばDy)の特性X線強度を重希土類元素の濃度の基準値とする。そして、結晶粒の中心部に向かって重希土類元素の特性X線強度を測定し、当該基準値からの低下割合が30%未満である部分をシェル部分とし、当該基準値からの低下割合が30%以上の部分をコア部分とする。
希土類焼結磁石の構成元素のうち、Rは、希土類元素から選ばれる1種以上の元素からなり、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYからなる群より選ばれる1種以上の元素を含む。Rは、好ましくは、Nd及びDyを必須成分として含む。
希土類焼結磁石におけるRの含有割合は、26〜35質量%である。Rの含有割合が26質量%未満であると、主相であるR14B相が形成され難くなって、軟磁性を有するα−Fe相が形成され易くなり、HcJが低下する。一方、Rの含有割合が35質量%を超えると、R14B相の体積比率が低くなり、Brが低下する。また、余剰のRが酸素と反応しやすくなり、酸素の含有割合が過度に増加してHcJに寄与するRリッチ相が減少し、HcJも低下する。優れたBr及びHcJを有する希土類焼結磁石を得る観点から、Rの含有割合の下限値は28質量%、上限値は30質量%であることがより好ましい。Rの含有割合が28〜30質量%であると、希土類焼結磁石において主相であるR14B相の体積比率が特に高くなり、Brを一層向上させることができる。
上述のように、RはNd及びDyを含むことが好ましい。特に、Dy14B相は、高い異方性磁界を有することから、HcJを向上させる効果がある。しかしながら、Dy14B相が多すぎる場合はBrが低下する傾向にあることから、Dyの含有割合を0.1〜8質量%として、Rの残部を他の希土類元素(例えばNd)とすることが好ましい。高いBrを有する希土類焼結磁石とする場合には、Dyの含有割合を0.1〜3.5質量%とすることが好ましい。一方、高いHcJを有する希土類焼結磁石とする場合には、Dyの含有割合を3.5〜8質量%とすることが好ましい。
また、希土類焼結磁石におけるB(ホウ素)の含有割合は、0.85〜0.98質量%である。Bの含有割合が0.85質量%未満であると、粒界相に軟磁性のR17相が析出し易くなり、HcJが低下する。一方、0.98質量%を超えると、Bリッチ相(例えばNd1.1)が過度に形成されて、Brが不十分となる。これらの観点から、Bの含有割合は、0.86〜0.98質量%であると好ましく、0.89〜0.93質量%であるとより好ましい。
本実施形態の製造方法によって得られる希土類焼結磁石では、Bの含有割合をR14Bで表される基本組成の化学量論比よりもわずかに小さくすることで、Bリッチ相が殆ど形成されないようにし、主相の体積比率を向上させることで、高いBrを得ることが可能となる。なお、従来、R−T−B系の希土類焼結磁石の製造においては、異常粒成長を抑制するためにあえてBリッチ相を形成させることも多かった。しかしながら、本実施形態の製造方法では、適量のZrが含まれるとともに、Oの含有割合が通常よりも小さくなるようにすることによって、Bリッチ相を形成させなくても異常粒成長を抑制することができる。その結果、より均一且つ微細な構造を有しており、しかも優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることが可能となる。
上記希土類焼結磁石は、R14Bの基本組成におけるTで表される元素としてFe(鉄)及びCo(コバルト)を含有する。Coの含有量は、0質量%を超え3質量%以下である。CoはFeと同様の相を形成するが、Coを含む相を含むことで、希土類焼結磁石のキュリー温度及び粒界相の耐食性を向上させることができる。
また、この希土類焼結磁石は、必須の添加元素としてAl(アルミニウム)及びCu(銅)を含有している。これらの元素を含むことによって、希土類焼結磁石のHcJ、耐食性及び温度特性を向上させることができる。
また、希土類焼結磁石は、Cuを含有することによって、例えばR14C相が析出し易くなり、R17相の析出が抑制されて、その結果HcJが良好に維持されるようになる。このようなCuによる効果は、本実施形態におけるBの含有割合の場合に特に顕著に得られる傾向にある。そして、Cuの含有量が0.01質量%未満であったり0.15質量%を超えたりすると、このような効果が十分に得られない。また、Cuの含有量が0.01質量%未満であるとBrの低下も生じる。Cuの含有割合は、0.03〜0.11質量%であるとより好ましい。
また、希土類焼結磁石のO(酸素)の含有割合は、0.2質量%以下であり、Oを含有していなくてもよい。Oの含有割合が0.2質量%を超えると、非磁性の酸化物相の割合が増大してBrやHcJが低下する。特に、本実施形態の希土類焼結磁石のように、Bの含有割合が化学量論量よりも小さく、且つCuを含む組成とした場合に、上記のような低酸素とすることによる磁気特性の向上効果が顕著に得られる。
なお、磁気特性を向上させる観点からは、第1の合金粉末及び第2の合金粉末のOの含有割合をできるだけ低くし、且つ各工程を低酸素雰囲気下で行うことによって、希土類焼結磁石のOの含有割合をできるだけ低減することが好ましい。通常、製造時等に大気中の酸素等に由来するOが不可避的に希土類焼結磁石に取り込まれるため、Oを完全に排除することは困難である。そのため、希土類焼結磁石のOの含有割合の下限値は、通常0.03質量%程度、より好ましくは0.005質量%程度となる。なお、Oを含むことで、過焼結を防止し、且つ優れた角形性が得られる場合もあることから、このような特性を良好に得る観点からは、Oの含有割合の下限値を上記範囲とすることが好ましい。Oのより好適な含有割合は、0.03〜0.1質量%である。
希土類焼結磁石は、Zr(ジルコニウム)を0.03〜0.25質量%含有する。Zrは、希土類焼結磁石の製造過程での結晶粒の異常成長を抑制することができ、得られる焼結体(希土類焼結磁石)の組織を均一且つ微細にして磁気特性の向上に寄与する。特に、本実施形態のようなOの含有割合が小さい(0.2質量%以下)場合に、このようなZrの効果が顕著となる。
Zrの含有割合が0.03質量%未満であると、焼成工程における結晶粒の異常成長を抑制する効果が十分に得られなくなり、希土類焼結磁石の角形比が低下する。また、0.25質量%を超えると、希土類焼結磁石のBr及びHcJが不十分となる。ここで、角形比とは、Hk/HcJで表される値であり、Hkとは、磁気ヒステリシスループ(4πI−Hカーブ)の第2象限における磁化がBrの90%となるときの磁界強度である。この角形比は、外部磁界の作用や温度上昇による減磁のし易さを表すパラメータであり、角形比が小さいと、減磁の程度が大きい性質があることを意味する。
また、本実施形態の希土類焼結磁石は、上述した元素に加えて、第1の合金及び第2の合金の少なくとも一方に主たる構成元素としてGaを更に含むものであってもよい。この場合、Gaの含有割合は、0質量%を超え0.2質量%以下であると好ましく、0.05〜0.15質量%であるとより好ましい。なお、Gaを含む場合も、その他の構成元素の含有割合は上述の通りとすることができる。希土類焼結磁石がGaを含む組成を有する場合、このGaが主相の異方性磁界を向上させることができると考えられ、これによってHcJが向上する傾向にある。また、Gaを含むことで、最適なBの含有割合の範囲内でのBの含有量の変動に対して、HcJが高いレベルで安定する傾向にもある。なお、Gaの含有割合が多すぎる場合、上述の好適範囲とした場合に比べて飽和磁化が低くなりBrが低下する傾向にある。なお、Gaは比較的高価であるため、コスト低減の観点から、その使用量はできだけ少ない方が好ましい。
図1に示すように、本実施形態の製造方法によって得られる希土類焼結磁石は、結晶粒の外周近傍に配置されるシェル部分と、シェル部分の内側に配置されるコア部分とを有する。図1に示す構造においては、シェル部分は、コア部分よりも重希土類元素(例えばDy)の含有量が高くなっている。一方、コア部分は、シェル部分よりも軽希土類元素(例えばNd)の含有量が高くなっている。このように、コア部分とシェル部分とで軽希土類元素及び重希土類元素の含有量が異なる構造が得られるのは、これらの元素の含有量が互いに異なる第1の合金粉末と第2の合金粉末とを用いていることによるものである。
すなわち、第1の合金粉末から形成される結晶粒には、焼成工程時の加熱に伴う元素拡散によって、第2の合金粉末によって形成される粒界相から重希土類元素が拡散して侵入し、結晶粒の中心部分に配置されるコア部分の周囲に、厚みが十分に薄いシェル部分が形成される。このため、結晶粒のシェル部分の方がコア部分よりも第2の合金粉末に由来する重希土類元素の含有量が高くなる。
また、希土類焼結磁石のコア部分の方は、シェル部分よりも第1の合金粉末に由来する軽希土類元素の含有量が高くなる。したがって、高い飽和磁化(Is)を有するNdやPrなどの軽希土類元素がコア部分に偏在した構造とすること可能となり、一層優れたBrを有する希土類焼結磁石を製造することが可能となる。すなわち、本実施形態の製造方法では、所定の微細構造と元素分布とを兼ね備えた希土類焼結磁石とすることによって、特に優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石とすることができる。なお、本実施形態の希土類焼結磁石におけるコアシェル構造は、シェル部分の重希土類元素の含有量が高く、シェル部分の厚さが小さい構造であることが好ましい。また、コア部分にNdやPrなどの軽希土類元素のみが偏在し、コア部分の体積が十分に大きい構造であることが好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
下記の実施例及び比較例を用いて本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜18、比較例1〜11)
希土類焼結磁石の主相用の原料合金1として、表1に示す合金A1〜A16を準備した。合金A1〜A16は、各成分を表1に示す質量比率で配合し、ストリップキャスティング法を用いて調製した。各実施例及び比較例におけるストリップキャスティング法による鋳造条件は、下記表1に示す通りとした。すなわち、回転するロールの周速を遅くしてロール上の合金厚みを厚くしたもの(厚み=0.45mm)を「徐冷」、ロールの周速を早くしてロール上の合金厚みを薄くしたもの(厚み=0.25mm)を「急冷」、ロールの周速を更に早くしてロール上の合金厚みを更に薄くしたもの(厚み=0.12mm)を「超急冷」とした。
調製した合金A1〜A16を、それぞれ平均粒径が50μm以下になるまでスタンプミルを用いて粉砕した。粉砕した試料のX線回折(XRD)分析を行い、リートベルト解析を行ってBリッチ相(NdFe)の量を定量した。その結果は表1に示すとおりであった。
また、上記合金A1〜A16とは別に、希土類焼結磁石の粒界相用の合金2として、表2に示す合金B1〜B12を調製した。合金B1〜B12は、各成分を表2に示す質量比率で配合し、ストリップキャスティング法を用いて調製した。なお、ストリップキャスティング法のロールの周速は、全て「急冷」とした。
上述の通り調製した合金A1〜A16及び合金B1〜B12の水素粉砕処理をそれぞれ行って合金粉末を調製した。具体的には、それぞれの合金に、水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気下、600℃、1時間の脱水素を行って合金粉末を調製した。
次に、水素粉砕を施したそれぞれの合金粉末を、表3に示す質量比率で配合した。配合後の粉末全体を基準として、粉砕助剤(オレイン酸アミド)を0.15質量%添加し、ナウターミキサーを用いて5〜30分間混合した後、ジェットミルを用いて微粉砕を行い、平均粒径が3μmである混合粉末を得た。
混合粉末を、電磁石中に配置された金型内に充填し、磁場中で成形して成形体を作製した。成形は、15kOeの磁場を印加しながら1.2t/cmで加圧して行った。その後、成形体を、真空中、1000〜1050℃で4時間焼成した後、急冷して焼結体を得た。得られた焼結体に、850℃で1時間、及び、540℃で2時間(ともにAr雰囲気中)の2段階の時効処理を施し、実施例1〜18及び比較例1〜11の希土類焼結磁石をそれぞれ作製した。
なお、各実施例及び比較例1〜5,10,11では、水素粉砕から焼成までの各工程を、100ppm未満の酸素濃度の雰囲気下で行なった。一方、比較例6〜9では、水素粉砕から焼成までの工程を、1500〜3500ppmの酸素濃度雰囲気下で行った。
[組成評価]
調製した各実施例及び各比較例の希土類焼結磁石の組成を、ICP(Inductively Coupled Plasma)法を用いて測定した。また、各実施例及び各比較例で用いた混合粉末と同一組成のものを用いて、無磁場で成形及び焼成して、各実施例及び各比較例と同一組成を有する焼結体を作製した。この焼結体のX線回折分析(XRD)を行い、リートベルト解析を行ってBリッチ相(NdFe)の量を定量した。このように無磁場で成形及び焼成した焼結体を用いるのは、磁場配向させた焼結体では、正確なBリッチ相の定量が困難であるためである。Bリッチ相の定量結果は表4に示すとおりであった。
[構造評価]
各希土類焼結磁石を鏡面研磨し、走査型電子顕微鏡観察用の試料を作製した。作製した試料の走査型電子顕微鏡による観察画面において、無作為に10個の結晶粒を選択し、EPMAによりマッピング分析と定量分析を行った。
マッピング分析を行った各結晶粒において、その周縁部から中心部までを最短距離で結ぶ線上に沿って定量分析を行った。周縁部のDy濃度を基準とし、該基準に対してDy濃度が30%低下する位置を境界として、当該境界よりも内側の部分をコア部分とし外側の部分をシェル部分とした。そして、各結晶粒の周縁からコア部分とシェル部分との境界までの最短の距離(L)を求めた。
一方、コア部分及びシェル部分を有する各結晶粒の断面積より円相当径(r)を求め、それぞれの結晶粒についてrに対するLの比率(L/r)を算出した。そして、10個の結晶粒について同様の測定を行って、各試料におけるL/rの平均値を求めた。この平均値をシェル比率とした。結果は表4に示すとおりであった。
[磁気特性評価]
各実施例及び各比較例で得られた希土類焼結磁石について、B−Hトレーサーを用いてBr(残留磁束密度)、HcJ(保磁力)及びHk/HcJ(角形比)をそれぞれ測定した。得られた結果を表4にまとめて示す。
実施例1〜18では、Br14.3kG以上且つHcJ15.4kOe以上という優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることができた。一方、実施例4の希土類焼結磁石と同様の組成を有するが、R全体(TRE)に対するDyの比率が粒界相用の合金粉末よりも高い主相用の合金粉末を用いて作製した比較例1では、優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることができなかった。EPMA分析によって、比較例1の希土類焼結磁石の元素分布を確認したところ、結晶粒のコア部分の方がシェル部分よりもDyの含有量が高くなっていた。また、実施例1及び実施例4の希土類焼結磁石と同様の組成を有し、1種類の原料合金を用いる所謂1合金法で作製した比較例2及び比較例3も、優れた磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることができなかった。EPMA分析によれば、比較例2及び比較例3の希土類焼結磁石はコアシェル構造を有していなかった。
また、B含有量が本発明の範囲外である比較例4は、Bの含有量が本発明で規定する範囲よりも高いため、Bリッチ相が多く存在している。また第1の合金におけるBリッチ相が多いため、焼結工程時に粒成長が進行してシェル比率が大きくなっており、磁気特性が低かった。比較例5はBの含有量が本発明で規定する範囲よりも少ないために、Bリッチ相が少なくシェル比率も小さくなっているが、R17相が存在するために磁気特性が低かった。O含有量が本発明の範囲外である比較例6〜9、及びCu含有量が本発明の範囲外である比較例10,11は、いずれも磁気特性が低かった。特に、O含有量が0.5質量%であった比較例9の希土類焼結磁石は、密度が低く、磁気特性を測定することができなかった。
本実施形態の製造方法によって製造される希土類焼結磁石の断面のEPMA(Electron Prove Micro Analyzer)による元素マッピングを示す写真に結晶粒を示す線を書き入れた図である。

Claims (4)

  1. Yを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素からなるR並びにFe及びCoの少なくとも1種の元素からなるTを含有する第1の合金と、R及びTを含有し、R全体に対する重希土類元素の質量比率が前記第1の合金よりも大きい第2の合金と、を混合し、前記第1の合金を主成分とする混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を磁場中成形して焼成し、
    R、B、Al、Cu、Zr、Co、O、C及びFeを含有し、各元素の含有割合が、
    R:26〜35質量%、
    B:0.85〜0.98質量%、
    Al:0.03〜0.25質量%、
    Cu:0.01〜0.15質量%、
    Zr:0.03〜0.25質量%、
    Co:3質量%以下(但し、0質量%を含まず。)、
    O:0.2質量%以下、
    C:0.03〜0.15質量%、
    である焼結体を得る焼成工程と、を有する希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 前記第1の合金のR全体に対する軽希土類元素の質量比率が前記第2の合金よりも大きい請求項1記載の製造方法。
  3. 前記第1の合金におけるBの質量比率が前記第2の合金よりも大きい請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記焼成工程では、前記第1の合金が前記焼結体の主相を形成し、前記第2の合金が前記焼結体の粒界相を形成する請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。

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