JP2010150369A - 表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムおよび表面保護フィルム - Google Patents

表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムおよび表面保護フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱寸法安定性や平面性に優れ、耐衝撃性や貼り合わせ加工性に優れ、フィッシュアイが少なく、透明性がよい、例えば、保護フィルムの基材フィルムとして好適である表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムおよび該表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムに粘着層を設けてなる保護フィルムを提供すること。
【解決手段】 実質的にポリプロピレン系樹脂を主成分とした表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムであって、20℃キシレン可溶部量が9%を超え16%未満であり、結晶核剤を100ppm以下の添加であり、かつ、フィルムの結晶化度が30〜65%、複屈折率(△n)が0.4×10−3〜2.5×10−3であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムおよび表面保護フィルムに関するものであり、詳しくは、高温時の熱変形耐性や平面性が高く、例えば、粘着加工等の加工適性に優れ、かつ添加剤の移行性が少なく、さらにフィッシュアイが少なく各種用途、特に、各種物品の表面保護用として好適である表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムおよび該表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムを用いた表面保護フィルムに関するものである。
ポリプロピレン系無延伸フィルムは、透明性が良好であり、かつ安価であるので、食品包装など種々の包装材料および各種物品の表面保護を目的とした表面保護フィルムの基材として広く使用されている。
例えば、表面保護フィルム分野においても、金属板、化粧板、樹脂板、ガラス板等の表面に表面保護フィルムを貼り付け、輸送や加工時等に発生しがちな表面傷、汚れおよび錆び等を防止する方法(例えば、特許文献1〜3等参照)、例えば、液晶パネルや偏光板等の関連材料等の電子、精密製品、部品および関連部材の加工や組み立て時における傷付きやゴミの付着、汚染などを防止する方法(例えば、特許文献4および5等参照)、例えば、自動車の輸送、保管時に、酸性雨、埃、塵等から自動車車体の塗膜を保護するための塗膜表面保護フィルムとしての使用(例えば、特許文献6および7等参照)、例えば、フレキシブル・プリント基板の接続端子部等を部分的にメッキする方法として、非メッキ部に粘着フィルムを貼り付けてマスクし、その後メッキする方法やシャドウマスク製造時のエッチング工程における非エッチング面上に設けられるレジスト膜あるいはエッチング抵抗膜を保護する方法等のメッキやエッチング処理における使用(例えば、特許文献8および9等参照)、半導体素子の回路がない面にフィルムを積層することにより半導体素子の表面を保護し、半導体装置を組み立てる場合のプロセスの簡略化を図る方法(例えば、特許文献10および11等参照)等広い分野で使用されている。
特開2003−119435号公報 特開2003−213229号公報 特開2005−281328号公報 特開平10−309781号公報 特開平11−165368号公報 特開平8−143829号公報 特開2001−121662号公報 特開平11−291411号公報 特開平11−302611号公報 特開2004−63551号公報 特開2004−142430号公報
上記の表面保護フィルムは、一般に基材フィルムの表面に粘着層を積層し、該粘着層の粘着力を利用して保護をする対象物品表面に固定して使用される。近年用途の拡大に伴い品質やコスト低減に対する要求が強くなってきており、該粘着加工性の優れた基材フィルムが求められている。特に、粘着加工の加工速度を上げる等の目的で、加工温度の高温化が進んでおり、高温で加工しても該加工温度による熱変形が小さく加工時の寸法安定性が良好であるとか、加工時の熱皺の発生を抑制した高温での寸法安定性(以下、単に耐熱寸法安定性と称することもある)が求められている。
また、ポリプロピレン系樹脂フィルムにはフィッシュアイと称される微小異物が含まれる。例えば、ポリマー編集委員会著、ポリマー辞典、大成社、平成12年、増刷6版、P337等に、フィッシュアイについての定義が書かれている。フィッシュアイとは、フィルムの製品中に生じる小さな球状形状等の塊をいう。魚の眼のような透明性をもつものが多いことからこのような名前が付けられた。成形材料の混練不足から来る未溶融の塊り、原料の一部がゲル化したための塊り、成形中の材料の部分的劣化による塊り、異物を核としたものなどいろいろなものがある。ここでいうフィッシュアイとは、異物を核にしたものは除外する。異物とは、例えは、セルロース、塵、金属片、樹脂の炭化物、種類の異なるプラスチック、糸くず、紙切れ等がある。保護フィルム用途においても、上記外観不良は保護されている商品の商品イメージを低下させるので混入抑制の強い要望がある。特に、例えば、メッキ用の保護フィルムの場合は、該フィッシュアイが存在するとフィルムのフィッシュアイが存在する部分に突起が生じ、該突起により保護すべき対象物との間に粘着不良を起こし粘着層と対象物の間に空間が生じ、該空間部にメッキ液が浸入し保護効果が低下するので極力低下させる必要がある。液晶板保護用のプロテクトフイルムなどの場合、プロテクトフィルム表面のフィッシュアイが液晶板と接する面で貼り付け時に押さえることにより、フィッシュアイによる凹凸や擦れにより損傷を受けるなど問題があり、フィッシュアイの存在そのものが問題となっている。最近は、さらに液晶板保護用プロテクトフィルムを貼り付けた状態で液晶板の検査が実施されており、フィッシュアイがあると液晶板そのものの欠点だと判定されてしまう可能性があり、ノンフィッシュアイグレード、低フィッシュアイグレードなどのフィルム開発が求められている。
また、フィルムの耐熱寸法安定性を向上させる目的で結晶核剤を多量に添加したポリプロピレン系樹脂フィルムを提案(特許文献19)しているが、経済性を考慮した生産設備レベルの大型装置では樹脂の押出し時における滞留時間が比較的長くなってしまうため、樹脂を冷却した際の結晶性を向上させる効果はあるものの、フィルム中に結晶核剤の凝集や分解によるフィッシュアイが発生してしまうため実用的でない。
特願2006−98227号
また、結晶核剤および2種類の酸化防止剤を含んだポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを成形してなる成型体が開示されている(特許文献20および21参照)。
特開2000−109519号公報 特開2000−248147号公報
上記特許文献20で開示されている技術において、熱変形温度の改善が示されている。また、特許文献21で開示されている技術において、低温での耐衝撃性の向上効果が示されている。しかし、本発明の目的としている効果については言及されていない。例えば、フィッシュアイについては全く言及されていないが、前記したフィッシュアイに対する高度な市場要求を満たしていないものと推察される。
本発明は、耐熱寸法安定性や平面性に優れ、耐衝撃性や貼り合わせ加工性に優れ、フィッシュアイが少なく、透明性がよい、例えば、保護フィルムの基材フィルムとして好適である表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムおよび該表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムに粘着層を設けてなる保護フィルムを提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の完成に到った。
すなわち、本発明は、実質的にポリプロピレン系樹脂を主成分とした表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムであって、20℃キシレン可溶部量が9%を超え16%未満であり、結晶核剤を100ppm以下の添加であり、かつ、フィルムの結晶化度が30〜65%、複屈折率(△n)が0.4×10−3〜2.5×10−3であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂フィルムである。
この場合において、前記フィルムの厚み変動率が±1〜10%であることが好ましい。
また、この場合においてフィルム中のアンチブロッキング剤の含有量が50ppm以
下であり、耐ブロッキング性が10mN以下であることが好ましい。
また、この場合においてフィルム中の滑剤の含有量が50ppm以下であることが好ましい。
さらにまた、この場合において、フィルム中の最大直径が0.2mm以上のフィシュアイが0個/mであり、かつ最大直径が0.2mm未満のフィシュアイが100個/m以下であることが好ましい。
さらにまた、この場合において、フィルムの23℃における縦方向のヤング率が500Mpa以上であることが好ましい。
さらにまた、この場合において、フィルムの23℃におけるインパクト強度が0.3J以上であることが好ましい。
さらにまた、本発明は上記の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を設けてなる表面保護フィルムである。
本発明は、耐熱寸法安定性や平面性に優れ、耐衝撃性や貼り合わせ加工性に優れ、フィッシュアイが少なく、透明性がよい。例えば、保護フィルムの基材フィルムとして好適である。
本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは耐熱寸法安定性に優れているので、例えば、粘着加工等の二次加工適正に優れており、特に130℃近辺の高温で乾燥等の処理を行っても熱皺やフィルムたるみの発生が抑制されるので、該二次加工の生産性の向上や熱皺やフィルムたるみ起因の不良品の発生抑制をすることができる。
また本発明は、厚み斑が小さい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムはアンチブロッキング剤を実質的に含んでいないのが好ましく、例えば、アンチブロッキング剤を含んだフィルムを走行させた場合に、磨耗等でアンチブロッキング剤の脱落が起こるという課題が回避できるので、該脱落物による汚染や障害発生等が抑制される。
また、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは滑剤を実質的に含んでいないのが好ましく、例えば保護フィルムの基材フィルムとして用いた場合に、被包装物や被保護体への滑剤の移行がないのでこれらの被包装物や被保護体の汚染が抑制される。
また、本発明は滑剤やアンチブロッキング剤を実質的に含まないにも拘らず、表面粗さが適切であり、フィルムの滑り性や耐ブロッキング性が良好で、かつ剛性に優れているので、フィルムの取り扱い性に優れている。
また、透明性に優れているので、被包装物や被保護体の視認性に優れる。
また、フィルムの強度があるため、取り扱い性に優れる。
また、上記の耐熱寸法安定性が向上しているにも拘らずインパクト強度に優れており、ブロックポリプロピレン系樹脂よりなることにより付加される耐衝撃性のよさが維持されており、保護フィルムとして用いた場合の信頼性が高い。
本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムはポリプロピレン系樹脂を主成分とするが、好ましくはフィルムにおいてポリプロピレン系樹脂を70重量%以上含有するのが好ましく、さらには80重量%以上含有するのが好ましい。
本発明において用いられるポリプロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレン樹脂、エチレンやその他のα−オレフィンを共重合されたランダム共重合ポリプロピレン樹脂、ブロック共重合ポリプロピレン樹脂から1種ないしは3種の混合により用いることができる。
透明性の点からはホモポリプロピレン樹脂またはエチレンやその他のα−オレフィンを共重合されたランダム共重合ポリプロピレン樹脂を主に用いることが好ましく、衝撃性や滑り性、特に耐ブロッキング性を向上させる場合はブロック共重合ポリプロピレン樹脂を主に用いることが好ましい。混合比は任意に調整することができる。
上記のポリプロピレン系樹脂の組成に関しては特に限定するものではないが、ランダム共重合ポリプロピレン樹脂であれば、耐熱寸法安定性の面からα−オレフィン含有量が5%以下であることが好ましい。またブロック共重合ポリプロピレン樹脂であれば、耐熱寸法安定性と滑り性、耐ブロッキング性の面から20℃キシレン可溶部量が3〜50%であるものが好ましく、さらに5〜30%の範囲が好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂全体の極限粘度が1.5〜4.0、20℃キシレン可溶部の極限粘度が1.0〜4.0、20℃キシレン不溶部の極限粘度が1.0〜4.0であるものが好ましい。また、本発明で使用するポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートは230℃において2〜20g/10分であるものが好ましい。
また、種々の目的により少量のα−オレフィンランダム共重合エラストマーやアイオノマー、その他マスターバッチ類を添加してもよい。
本発明に用いられるα−オレフィンランダム共重合体エラストマーとしては、エチレン−プロピレン、エチレン−ブテンあるいはプロピレン−ブテンの二元系、エチレン−プロピレン−ブテンの三元系共重合体またはそれらの混合体を用いることができる。また、その特性を損なわない範囲でさらに他のモノマーを共重合した共重合体を用いてもよい。特に、上記二元系共重合体の使用が好ましい。また、積層体に好ましい弾性力を付与できる点から、ビガット軟化点が60℃以下、かつ表面硬度が80°以下のものを用いるのが好ましい。
本発明のポリプロピレン樹脂フィルムは、20℃キシレン可溶部量が9%を超え16%未満とする必要がある。
9%以下だと高温加工時にフィルムが塑性変形しやすくかつ耐衝撃性に劣る。16%以上だと弾性フィルム変形率指標が大きくなり、加工適性が劣るため好ましくない。
また20℃キシレン可溶部量は、その下限はフィルムが曲がった際の白化防止の点から10%以上がより好ましく、またフィルムの耐ブロッキング特性の面から15%以下がより好ましい。
本発明においては、上記のごとく通常のポリプロピレン系樹脂フィルムにおいて実施されている滑剤やアンチブロッキング剤の配合をしないのが好ましいが、その場合はフィルムの滑り性やブロッキング性の悪化を抑制する必要がある。該対応は前述した樹脂組成、特にブロック共重合樹脂やエチレン系共重合エラストマーによる海/島構造によるフィルム表面突起により行うのが好ましい。
このとき、本発明のフィルムの耐ブロッキング特性としては、後述する評価で1〜10mN以下であることが好ましく。1〜7mN以下であることがさらに好ましい。
一方、該ブロック共重合樹脂による海/島構造によるフィルム表面突起の形成はフィルムの透明性の低下を引き起こすので、該方法においては、表面突起の形成による滑り性や耐ブロッキング性の改善効果と透明性の確保とは二律背反事象となる。従って、フィルムのヘーズ値が重要な要因となる。
従って、本発明においては、フィルムのヘーズ値を40%以下にすることが重要となる。35%以下が好ましく、30%以下がよりに好ましい。ヘーズ値を40%以下にすることにより被包装物や被保護体の視認性が向上し、包装袋材料として用いた場合には、被包装物の内容確認が容易となる。また、表面保護フィルム用材料として用いた場合には、表面保護フィルムを貼り付けたままで、例えば、被保護体の検査等を行うことが可能となる。逆に、ヘーズ値が40%を超えた場合は、透明性が悪化し、被包装物や被保護体の視認性が低下するので好ましくない。一方、ヘーズ値の下限は低い方が透明性が向上するので好ましいが、上記方法により滑り性を付与する点との関連において、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
また、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは、フィルム中の無機及び/又は有機の微粒子等のアンチブロッキング剤の含有量が50ppm以下であることが好ましい。アンチブロッキング剤の含有量は10ppm以下がより好ましく、特に好ましくは、灰分や元素分析等の通常の定量方法で検出限界以下であることが好ましい。すなわち、アンチブロッキング剤を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、アンチブロッキング剤を実質的に含有しないとは、上記の滑剤の場合と同じ意味である。該対応によりフィルムの製造および二次加工工程におけるフィルムの磨耗によるアンチブロッキング剤の脱落が抑制されるので、該脱落物による汚染や障害発生等が抑制される。
本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは、フィルム中のポリエチレンワックス、ステアリン酸カルシウム、エルカ酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等の滑剤の含有量が50ppm以下であることが好ましい。滑剤の含有量は10ppm以下がより好ましく、特に好ましくは、元素分析や抽出法等の通常の定量方法で検出限界以下であることが好ましい。すなわち、滑剤を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、滑剤を実質的に含有しないとは、滑剤を積極的に添加せず製膜することを意味している。上記範囲は積極的に滑剤を添加しなくても、原料ポリマーやフィルム製造時に銘柄切り替え等により微量に混入する場合があることを含めるためであり、滑剤を実質的に含有しないこと好ましい実施態様である。該対応により該滑剤を配合しフィルムの滑り性を向上させる方法において起こる該滑剤のフィルム表面へのマイグレーションおよび引き続き起こる被保護体への移行による被保護体の汚染が阻止され被保護体の清澄度が保持される。
本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは、後述する測定方法によるフィルムの結晶化度が34〜65%である。結晶化度が34%未満では耐熱寸法安定性を発現しにくく、後工程での加工を実施する際にフィルムのタルミや伸びが発生し易いため平面性不良となるため好ましくない。一方、結晶化度が65%を越える場合は、フイルムの透明性が著しく劣化するため好ましくない。また、結晶化度を65%を超える場合は、ヤング率が大きくなり、貼り合わせ加工適性が悪くなり。
フィルムの結晶化度の下限は40%以上がより好ましく、50%以上が耐熱寸法安定性の観点から最も好ましい。一方、フィルムの結晶化度の上限は60%以下が透明性の観点から好ましい。
また、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは、結晶核剤を実質的に含まなくても製造方法によって所望の結晶化度(34〜65%)に達したポリプロピレン系樹脂フィルムであることが好ましい。製造方法としては溶融樹脂を引取り・冷却固化する際の冷却ロール温度を高温化したり、熱処理(アニール)により達成してもよい。
本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは、結晶核剤を100ppm以下の範囲であれば、添加することができる。結晶核剤を添加することにより、フィルムの耐熱寸法安定性を向上することが出来る。一方、結晶核剤を100ppmを超えて添加すると樹脂の溶融押出条件にもよるが、フィルム中のフィッシュアイが増加する傾向にあり問題となるケースが発生する。また、樹脂中の異物を除去する目的で押出機に備え付けたフィルターが目詰まりすることにより昇圧するなどの生産性を低下させるなどの問題も発生するため好ましくない。また、製品となった後も高温に曝されると結晶化が進んでしまうという問題もある。
該結晶核剤は限定されなくロジン類の金属塩を主成分とする結晶核剤、ソルビトール系の結晶核剤および芳香族有機リン酸エステル金属塩よりなる結晶核剤等が挙げられる。
また、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは、複屈折率(△n)が0.4×10−3〜2.5×10−3である。複屈折率が0.4×10−3未満ではフィルムのタルミや伸びが発生し易いため平面性不良となり耐熱寸法安定性が劣るため好ましくない。一方、複屈折率が2.5×10−3を超える場合は、耐衝撃性が著しく低下してしまいフィルム自体の力学特性が低下する問題があるので好ましくない。耐熱寸法安定性と平面性の維持の観点からは、フィルムの複屈折率は0.6×10−3以上にすることが好ましく、また0.8×10−3以上にすることがより好ましい。一方、フィルムの力学特性の維持の観点からは、フィルムの複屈折率は2.3×10−3以下にすることが好ましく、また2.2×10−3以下にすることがより好ましい。
本発明においては、弾性フィルム変形率は、7.0×10%・MPa未満であることが好ましい。
ここでいう弾性フィルム変形率とは、フィルムの流れ方向に一定荷重をかけて昇温・降温した際の変形率に常温での流れ方向のフィルム弾性率を掛け合わしたものであり、より好ましくは6.0×10%・MPa未満である。
20℃キシレン可溶部量が小さすぎたり、結晶化度や複屈折率が大きすぎると、フィルム弾性率が大きくなりすぎて弾性フィルム変形率は好ましい範囲を外れる。この時フィルムは塑性変形したり取扱いが難しくなる。逆に20℃キシレン可溶部量が大きすぎたり結晶化度や複屈折率が小さすぎたりすると、変形率が大きくなりすぎて弾性フィルム変形率は好ましい範囲を外れる。この時フィルムは粘着加工時に寸法安定性が悪化する。
また、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは、フィルムの厚み変動率が1〜10%の範囲であることが好ましい。厚み変動率を1%未満にする場合は品質面での問題は発生しないが、厚み調整時の要する時間が膨大となるため経済性が著しく低下するため現実的でない。一方、厚み変動率が10%を越える場合は、厚み斑に比例して耐熱寸法安定性や透明性が変動してしまい、フィルムの平面性(波打ちやカール)が悪化するため好ましくない。厚み変動率は1.5〜8%がより好ましく、2〜5%の範囲が最も好ましい。
本発明においては、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは、フィルム中の最大直径が0.2mm以上のフィシュアイが0個/mであることが好ましい。さらに、最大直径が0.2mm未満のフィシュアイが100個/m以下であることが好ましい。最大直径が0.2mm未満のフィシュアイも0個/m以下が最も好ましいが、経済性や市場の要求度等より上記範囲が好ましい。2〜80個/m以下がより好ましく、2〜60個/m以下がさらに好ましい。尚、目視判定できるフィッシュアイの最小直径は
0.03〜0.05mmといわれている。該対応により、外観不良や、例えば、保護フィルムの基材フィルムとして用いた場合に、前述した粘着不良によるメッキ液の保護部分への浸透による障害発生等を抑制することができる。
上記特性を達成する手段は限定されないが、後述するように酸化防止剤の配合を最適に行なうことがある。
本発明においては、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは、フィルムの23℃における縦方向のヤング率が500Mpa以上であることが好ましい。680Mpa以上がより好ましく、720Mpa以上がさらに好ましい。500Mpa未満ではフィルムの取り扱い性が低下するので好ましくない。該対応により、前述した滑剤やアンチブロッキング剤の配合をしないことによるフィルムの取り扱い性の低下を抑制することができる。上限は他の特性とのバランスより1000Mpa程度が好ましい。
本発明においては、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは、フィルムの23℃におけるインパクト強度が0.3J以上であることが好ましい。0.5J以上がより好ましい。一般に上述した剛性や耐熱寸法安定性を向上するとインパクト強度は低下する方向に動く。該インパクト強度が低下すると包装袋や保護フィルム等として用いた場合の使用時の耐衝撃性に対する信頼性が低下するので、前述した特性を付与した上で本特性を満たすことが好ましい。上限は他の特性とのバランスより0.8J程度が好ましい。
上記インパクト強度を付与する方法は限定されないが、前記した20℃キシレン可溶部量の影響を大きく受ける。該20℃キシレン可溶部量を含めた本明細書に記述する好ましい実施態様の総合効果として達成するのが好ましい。
本発明においては、アクリレート系酸化防止剤とリン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤の中から選ばれた少なくとも1種より選ばれた少なくとも2種の酸化防止剤を含んでなることが好ましいが、アクリレート系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤の3種を併用するのがより好ましい実施態様である。
上記3種の酸化防止剤はそれぞれ1種づつの併用には限定されない。各種類の中の2種以上を併用してもいし、上記3種の酸化防止剤に加えて、例えば、硫黄系酸化防止剤等の他の構造の酸化防止剤をさらに併用してもよい。
本発明のアクリレート系酸化防止剤とは、分子内にアクリレート残基を含むフェノール誘導体を有する酸化防止剤である。アクリレート化合物としては、例えば、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ブチル]フェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)プロピル]フェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
好ましくは、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート及び2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートである。
上記アクリレート化合物としては、市販のものから適宜選択して使用することができる。例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートである住友化学(株)製スミライザーGM(登録商標)、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレートである住友化学(株)製スミライザーGS(登録商標)等を挙げることができる。特に、スミライザーGS(登録商標)の使用が好ましい。
本発明における上記アクリレート系酸化防止剤の配合量は限定されないが前記した全ポリプロピレン系樹脂組成物に対して100〜1000ppmの範囲が好ましい。200〜800ppmがより好ましく、300〜700ppmがさらに好ましい。1000ppmを超えた場合は、製膜工程において、冷却ロールの汚染が増大するので好ましくない。フィルムも酸化防止剤特有の薄い黄色に染まるので好ましくない。逆に、100ppm未満では後述の併用効果が減少するので好ましくない。上記アクリレート系酸化防止剤のみ前記した2種の酸化防止剤よりも配合量の上限を低くすることが好ましいのは、該アクリレート系酸化防止剤は他の酸化防止剤に比べてポリプロピレン系樹脂のゴム成分に対する溶解性が高いために、フィルム中のゴム成分へより多く分配され、かつ該ゴム成分部分はベース樹脂よりも冷却ロールによる結晶化速度が遅いために、冷却ロールと接触した場合に該ゴム成分に分配された上記のアクリレート系酸化防止剤が冷却ロールへ移行し易いために冷却ロールの汚染度を高めことに起因しているものと推察される。
例えば、前述の特許文献23等で開示されているホモポリプロピレン樹脂を用いた製膜においては発生しない本発明において発生する特有の現象である。
上記のリン系酸化防止剤の具体例としては、例えば、分子中に3価のリン原子を含有し、そのリン原子が少なくとも1つのP−O−C結合を有する熱安定剤が挙げられる。例えば、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリラウリルチオホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(3,5−ジ−t―ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス[4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)]ホスファイト、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、2−エチルヘキシルジフェニルホスファイト、デシルジフェニルホスファイト、フェニルジ−2−エチルヘキシルホスファイト、フェニルジデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルノニルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロゲンホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールアルキル(C12〜C15)ホスファイト、4,4’―ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジ−トリデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)・エチルフォスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル・4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−ビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、テトラキス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、テトラキス(2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、9、10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−[{2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ(D,F)(1,3,2)−ジオキサホスフェフィン−6−イル}オキシ]−N,N−ビス〔2−[{2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ(D,F)(1,3,2)−ジオキサホスフェフィン−6−イル}オキシ]エチル〕エタンアミン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、3,4,5,6−テトラベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド等が挙げられる。
好ましくは、ペンタエリスリトール骨格を有さないものであり、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3,5−ジ−t―ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)・エチルフォスファイト、テトラキス(2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイトである。
本発明で用いられるリン系酸化防止剤としては、市販品を使用することもでき、例えば、イルガフォス168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、イルガフォス38(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、GSY−P101(吉富ファインケミカル社製)、ウルトラノックス641(ジーイー・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
本発明における上記リン系酸化防止剤の配合量は限定されないが前記した全ポリプロピレン系樹脂組成物に対して500〜5000ppmの範囲が好ましい。1000〜4000ppmがより好ましく、1500〜3000ppmがさらに好ましい。500ppm未満では後述の酸化防止剤を併用する効果が減少するので好ましくない。逆に、5000ppmを超えた場合は、後述の酸化防止剤を併用する効果が飽和し、該酸化防止剤のフィルム表面への移行によるフィルム白化や製膜工程における冷却ロールの汚染等が引き起こされるので好ましくない。
本発明で用いられるフェノール系酸化防止剤とは、分子内にフェノール誘導体を有する酸化防止剤であり、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−2−エチル−6−t−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−t−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、dl−α−トコフェロール、t−ブチルヒドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデンビス(2−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)テレフタレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2−ビス[4−(2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ))エトキシフェニル]プロパン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルエステル等が挙げられる。
好ましくは、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルエステル、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、dl−α−トコフェロール、トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンである。
本発明で用いられるフェノール系酸化防止剤としては、市販品を使用することもでき、例えば、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、イルガノックス1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、イルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、イルガノックス3114(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、イルガノックス1425WL(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
本発明における上記フェノール系酸化防止剤の配合量は限定されないが前記した全ポリプロピレン系樹脂組成物に対して500〜5000ppmの範囲が好ましい。1000〜4000ppmがより好ましく、1500〜3000ppmがさらに好ましい。500ppm未満では後述の酸化防止剤を併用する効果が減少するので好ましくない。逆に、5000ppmを超えた場合は、後述の酸化防止剤を併用する効果が飽和し、該酸化防止剤のフィルム表面への移行によるフィルム白化や製膜工程における冷却ロールの汚染等が引き起こされるので好ましくない。
フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤は前記した原料樹脂組成物の各成分に対する酸化防止効果の選択性は少ないが、アクリレート系酸化防止剤は、ポリプロピレン系ブロック共重合体のゴム部との親和性が強くゴム部の劣化を優先的に抑制する傾向が知られている。一方、フィッシュアイの生成に関してはゴム部の劣化の寄与が大きい。そのために、上記の複数の酸化防止剤を併用することによりフィッシュアイの大幅な低減につながったものと推察している。
本発明で用いられる上記酸化防止剤や前記した結晶核剤を配合したポリプロピレン系樹脂組成物の調製方法は、特に制限されるものでなく、公知の方法が挙げられる。例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等の混練機を用いて加熱溶融混練する方法、一軸又は二軸押出機等を用いて加熱溶融混練する方法等が挙げられる。また、各種の樹脂ペレットをドライブレンドしてもよい。該組成物の調製方法においては、該酸化防止剤や結晶核剤はそれぞれの粉末を直接添加してもよいし、予め前記したポリプロピレン系樹脂に混合したマスターバッチとして添加してもよい。マスターバッチとして添加する場合は添加剤別に調製しても、2種以上を混合して調製してもよい。また、上記添加剤が配合された市販樹脂をうまく組み合わせて実施してもよい。また、上記組成物は予め製膜工程に供給する組成物を調製しておき製膜用の押し出し機に供給してもよいし、該組成物を構成する成分を該製膜用の押し出し機に供給して調製して製膜してもよい。
本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムの製造方法の特徴は、
溶融樹脂の冷却条件制御における結晶化度のコントロール
溶融樹脂の引取り・冷却固化時のドラフト比制御
である。
〔冷却条件制御における結晶化度のコントロール〕
本発明の押出フィルムは、Tダイ法によって製膜された未延伸フィルムであり、フィルムの厚みは特に限定しないが、1〜500μmであるのが一般的であり、好ましい厚みのものが必要に応じ選択される。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物を押出フィルムとして利用するための製膜条件としては、ダイス温度200℃〜250℃、冷却ロール温度40〜65℃で行うのが好ましい。45〜60℃がより好ましい。冷却ロール温度が40℃未満では、耐熱寸法安定性に十分な結晶化度が得られないため好ましくない。逆に、65℃を超えた場合は、冷却ロールのタッチロールマークが発生するので好ましくなく、また透明性が極端に低下することもある。また、冷却時間については特に限定されるものではないが、0.5秒以上の範囲が好ましい。冷却時間が0.5秒未満では冷却効果が不十分なため、冷却ロールのタッチロールマークが発生するので好ましくない。一方、冷却時間の上限は、フィルムの結晶化度の観点からは特に制限されるものではないが、経済性・生産性の観点から5秒以下がより好ましく、3秒以下がより好ましい。
結晶化度を任意に調整する手段として結晶核剤を併用する場合は、前述の通りフィルムのフィッシュアイ増加が懸念されるため100ppm以下の添加にする必要がある。そこで冷却条件による溶融樹脂の冷却条件制御による結晶化度のコントロールを見出した。
〔ドラフト比の制御〕
本発明の押出フィルムは、溶融押出し後の引取り工程でのドラフト比が0.4〜3.0の範囲に調整することによりフィルムの複屈折率が所定の範囲に達することができる。ドラフト比は以下の製膜条件により算出することが一般的に知られている。
ドラフト比=(フィルム引取速度/ダイス出口溶融樹脂速度)÷エアーギャップ
エアーギャップとはダイス出口から引取(冷却)ロールに溶融樹脂が接するまでの距離(cm)を意味する。
ドラフト比が0.4未満の場合、フィルムの厚み斑が増大し、粘着加工の際にフィルムの平面性が低下するため好ましくない。また、ドラフト比が3.0を超える場合は複屈折率が所定の範囲を超えてしまい耐衝撃性が著しく低下してしまいフィルム自体の力学特性が低下する問題があるので好ましくない。
従来の未延伸ポリプロピレンフィルムでは耐熱寸法安定性を向上させる目的でフィルム引取速度を高める(ドラフト比を小さくすることで)傾向にあるが、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは前述のフィルム結晶化度のコントロールと、フィルムの製膜・引取時のドラフト比を一定の範囲に制御し、かつ20℃キシレン可溶部の量を一定範囲にすることで耐熱寸法安定性やフィルムの平面性、耐衝撃性のバランスがよくかつ粘着剤塗布工程においてフィルム変形しにくい表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムを提供できるに至った。
本発明の押出フィルムを通常工業的に採用されている方法によってコロナ放電処理、或いは火炎処理等の表面処理を施すこともできる。
本発明においては、上記した表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を設けてなる表面保護フィルムであることが重要である。該対応により上述した本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムの特徴を有効に活かすことができ、保護フィルムとして広い分野における適用性が向上する。特に、例えば、液晶パネルや偏光板等の関連材料等の電子、精密製品、部品および関連部材の加工や組み立て時における傷付きやゴミの付着、汚染などを防止する用途やフレキシブル・プリント基板の接続端子部等を部分的にメッキする方法として、非メッキ部に粘着フィルムを貼り付けてマスクし、その後メッキする方法やシャドウマスク製造時のエッチング工程における非エッチング面上に設けられるレジスト膜あるいはエッチング抵抗膜を保護する方法等のメッキやエッチング処理における使用、半導体素子の回路がない面にフィルムを積層することにより半導体素子の表面を保護し、半導体装置を組み立てる場合のプロセスの簡略化を図る方法等の特に汚染や欠点の抑制要求の強い各種精密製品や部品の保護および該製品や部品の加工や組み立て工程における保護フィルムとして好適に用いることができる。また、本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムは、耐熱寸法安定性に優れており、上記粘着加工において、例えば、乾燥工程の乾燥温度を高めても熱皺やフィルムたるみの発生が抑制されるので、該粘着加工の生産性を上げることが可能となる。また、熱皺やフィルムたるみ起因の不良品の発生抑制をすることができる。
上記粘着剤層の種類、厚みおよび粘着力等は限定されない。市場要求により適宜選択すればよい。また、該粘着剤層の積層方法も限定されない。塗布法および押し出しラミ法のいずれで行ってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
尚、本明細書中で採用した測定、評価方法は次の通りである。
1.メルトフローレート[MFR]
JIS K7210に従い、条件−14の方法(荷重2.16kg、温度230℃
で測定した。
2.エチレン含有量
高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616ページに記載され
ている方法により13C−NMR法で測定した
3.ヘーズ
JIS−K−6714に準拠し、東洋精機製作所製の「ヘーズテスターJ」を用い
て測定した。
4.フィルムの結晶化度
広角エッスス線回析 透過法(RIGAKU RINT2500)を用い測定した。
5.複屈折率(△n)
アッベ屈折計を用いて、フィルム流れ方向の屈折率Nxとフィルム流れ方向と直行方向の屈折率Nyを測定し、下記式を用いて計算した。
△n=│Nx−Ny│
6.厚み変動率
1m幅のフィルムサンプル1枚を幅方向3cmピッチに測定し、平均厚みを算出した。次に、測定したフィルムサンプルの中での最大値または最小値のうち平均厚みとの差が大きいいずれかを用い、以下の計算式にて算出した。
厚み変動率(%)=|(平均厚み)―(最大値または最小値)|/(平均厚み)×100
7.耐ブロッキング性
ATM−D1893−67に準じて、90Nの荷重をA4サイズの面積にかけ、60℃雰囲気下で2時間放置後に荷重を取り除いてから、φ5のアルミ棒による剥離抵抗を移動速度100mm/分の条件で測定した。
8.ヤング率
JIS K7127に準拠し、サンプル形状は1号形試験片に準拠したもの(サンプル長さ200mm、サンプル幅15mm、チャック間距離100mm)を用い、クロスヘッド速度500mm/分の条件にてMD方向(フィルム長手方向)について23℃にて測定した。
9、インパクト強度
ASTM D3420準拠し、サンプルは、縦方向に55〜60cm横方向に9〜10cmにカットする。23℃の部屋でインパクトテスターを使い打ち抜いた時の強度値を小数点以下第1位まで読み取る。その操作を10回繰り返して、その平均値を求める。
10、フィッシュアイ
成型されたフィルムを流れ方向に33.3cm×流れ方向に対して横方向に30cm切り取り、フィルムの下から蛍光灯を照射した板の上に置き、透過光で目視により観察し、0.1mm以上のフィッシュアイを計測する。次に、カウントしたフィッシュアイを液体窒素中に浸して、硬くした状態で、剃刀で半分に切りそのフィッシュアイの断面を顕微鏡で50〜300倍で観察することにより、核となる物質が無ければ、例えば、セルロースなどを代表とする異物が無ければ、それは未溶融の塊り、原料の一部がゲル化したための塊り、成形中の材料の部分的劣化による塊り等のゲル起因のフィッシュアイと判定する。核がある場合は、異物起因のフィッシュアイと判定しカウントから除外する。
11.20℃におけるキシレン可溶部の比率(%)
試料5gを沸騰キシレン500mlに完全溶融した後、20℃に降温し、4時間以上放置した。その後、析出物と溶液にろ別し、ろ液を乾固して減圧下70℃にて乾燥した。得られた乾燥物の質量から20℃キシレン可溶部量を測定し、その比率を求めた。
12.極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について
還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。ポリプロピレンについては、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で評価した。
20℃キシレン可溶部の極限粘度:[η]EP
20℃キシレン不可溶部の極限粘度:[η]Pと全体の極限粘度:[η]Tをそれぞれ測定し、20℃キシレン可溶部の全体に対する重量比率:Xを用いて次式から計算により求めた。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
13.熱変形耐性
成型されたフィルムを流れ方向に5cm×流れ方向に対して横方向に25cmに切り出し、金枠にて両端部を保持した状態で水平にフィルム片を120℃の乾熱オーブン内で5分間加熱処理した。加熱処理後直ちにオーブンより取り出して室温下にて30分間放冷却後、フィルムの自体の重さによる垂れ下り(伸び)状態を以下の範囲で目視観察した。
○:垂れ下りがない、または殆どない。
△:僅かに垂れ下り状態が観察される。
×:垂れ下り状態が観察される。
14.加工適性
成型されたフィルムを1300mm幅でロール状にスリッター((株)東伸製 SXR−140型)でフィルム長100mを巻き取った際のシワ・タルミの発生状況を目視観察した。
○:走行中及び巻取り時にシワ・タルミの発生がない。
△:僅かに走行中又は巻取り時にシワ・タルミの発生が観察された。
×:走行中又は巻取り時にシワ・タルミの発生が明らかに観察された。
15.弾性フィルム変形率
成形されたフィルムを流れ方向10mm×流れ方向に対して横方向に3mmで切り出し、島津製作所社製熱分析装置TMA−60を用い、荷重5g、10℃/minの加熱速度で110℃まで昇温し、その後10分間かけて120℃まで昇温後、30℃に冷却した後の寸法変化率[%]を求めた。
この値に、ヤング率を掛けた物を弾性フィルム変形率とした。
◎:弾性フィルム変形率が6.0×10の3乗未満
○:弾性フィルム変形率が7.0×10の3乗から7.0×10の3乗未満
△:弾性フィルム変形率が7.0×10の3乗から8.0×10の3乗未満
×:弾性フィルム変形率が8.0×10の3乗以上
(実施例1)
ホモポリプロピレン樹脂(MFR=7)69重量部、ゴム成分量が13.0%・エチレン含有量が6.5%のブロック共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=2)22重量部、三井化学(株)製 エラストマー(商品名:タフマー P0480)7重量部およびアクリレート系酸化防止剤であるスミライザーGS(住友化学(株)社製)5重量%を含むホモポリプロピレン樹脂(MFR=7)よりなるアクリレート系酸化防止剤を含むマスターバッチ樹脂2重量部を樹脂温度250℃となるようTダイ製膜機にて溶融押出しを行い、冷却ロール温度60℃で冷却時間2.0秒(製膜速度60m/分)、溶融樹脂の引取り時のドラフト比1.56(ダイスリップギャップ:0.5mm、ダイスリップ出口溶融樹脂速度:4.8m/分、エアーギャップ:8cm)の製膜条件にて厚み40μmの未延伸フィルムを得た。なお、上記押し出し機の供給ゾーン、混練ゾーンおよび計量ゾーンのそれぞれの樹脂温度を230、240および235℃とした。その結果を表1に示す。
本実施例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、表1に示したいずれの特性も良好であり高品質であった。
(実施例2)
リン系酸化防止剤としてイルガホス168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.15質量%およびフェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.18質量%を含有したゴム成分量が13.0%、エチレン含有量が6.5%のブロック共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=2)95重量部、エチレン含有量3.0%のランダム共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=7)5重量部を配合し、冷却ロール温度45℃とした以外は実施例1と同様の方法で実施例2のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表1に示す。
本実施例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、表1に示したいずれの特性も良好であり高品質であった。
(実施例3)
リン系酸化防止剤としてイルガホス168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.15質量%およびフェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.15質量%を含有したホモポリプロピレン樹脂(MFR=7)86重量部、三井化学(株)製 エラストマー(商品名:タフマー P0480)14重量部を配合し、冷却ロール温度50℃、溶融樹脂の引取り時のドラフト比2.50(ダイスリップギャップ:0.8mm、ダイスリップ出口溶融樹脂速度:3.0m/分、エアーギャップ:8cm)とした以外は実施例1と同様の方法で実施例3のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表1に示す。
本実施例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、実施例1で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムと同等の特性を有しており高品質であった。
(比較例1)
エチレン含有量が0.5質量%のランダム共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=7)30重量部、およびリン系酸化防止剤としてイルガホス168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.22質量%およびフェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.28質量%を含有したゴム成分量が8.5%・エチレン含有量が5.0%のブロック共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=2)70重量部を配合した以外は実施例1と同様の方法で比較例2のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表1に示す。
本比較例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、弾性フィルム変形率が大きく、粘着加工時に塑性変形を起こしやすい。
(比較例2)
リン系酸化防止剤としてイルガホス168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.15質量%およびフェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.18質量%を含有したゴム成分量が13.0%、エチレン含有量が6.5%のブロック共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=2)92重量部、三井化学(株)製 エラストマー(商品名:タフマー P0480)20重量部を配合し、冷却ロール温度60℃とした以外は実施例1と同様の方法で比較例2のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。エ本比較例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、熱変形耐性に劣る。
(比較例3)
実施例2の方法において、冷却ロール温度を20℃に変更する以外は、実施例2と同様の方法で参考例1のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表2に示す。
本比較例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、透明性が良好になるものの、フィルムの結晶化度が低下してしまい耐熱寸法安定性に劣ったり、加工適性に劣るなど低品質であった。
(比較例4)
実施例2の方法において、冷却ロール温度を80℃に変更する以外は、実施例2と同様の方法で参考例2のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表2に示す。
本比較例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、極度の結晶化が進むため透明性及びインパクト強度が低下したり、加工適正に劣るなど低品質であった。また、製膜時における熱負けにより、タッチロール跡が発生したりフィルム自体の平面性が損なわれたりのフィルム品位の低下するものであった。
(比較例5)
実施例2の方法において、 ランダム共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=7)の代わりに、環状有機リン酸エステル化合物としてビス(2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−ターシャリ−ブチルフェニル)フォスフェート)−水酸化アルミニウム塩(旭電化工業(株)社製、アデカスタブNA−21)1重量%含むホモポリプロピレン樹脂(MFR=7)よりなる結晶核剤を含むマスターバッチ樹脂5重量部添加すること、冷却ロール温度を30℃にする以外は、実施例2と同様の方法で比較例5のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表2に示す。
本比較例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、フィッシュアイが実施例2で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムに比べ大幅に増大し低品質であった。
(比較例6)
実施例2の方法において、溶融樹脂の引取り時のドラフト比を0.25(ダイスリップギャップ:2.0mm、ダイスリップ出口溶融樹脂速度:1.2m/分、エアーギャップ:8cm)に変更する以外は、実施例2と同様の方法で比較例6のポリプロピレン系樹脂フィルムを得た。その結果を表2に示す。
本比較例で得られたポリプロピレン系樹脂フィルムは、厚み変動率が悪化し、フィルムの平面性が低下するとともに、複屈折率が下限より小さいため耐熱寸法安定性や加工適性に劣るため低品質であった。
上記結果を表1、表2に示す。
Figure 2010150369
Figure 2010150369
本発明は、耐熱寸法安定性や平面性に優れ、耐衝撃性や貼り合わせ加工性に優れ、例えば、保護フィルムの基材フィルムとして好適である。
本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは耐熱寸法安定性に優れているので、例えば、粘着加工等の二次加工適正に優れており、特に130℃近辺の高温で乾燥等の処理を行っても熱皺やフィルムたるみの発生が抑制されるので、該二次加工の生産性の向上や熱皺やフィルムたるみ起因の不良品の発生抑制をすることができる。
また本発明は、厚み斑が小さい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムはアンチブロッキング剤を実質的に含んでいないのが好ましく、例えば、アンチブロッキング剤を含んだフィルムを走行させた場合に、磨耗等でアンチブロッキング剤の脱落が起こるという課題が回避できるので、該脱落物による汚染や障害発生等が抑制される。
また、本発明は滑剤やアンチブロッキング剤を実質的に含まないにも拘らず、表面粗さが適切であり、フィルムの滑り性や耐ブロッキング性が良好で、かつ剛性に優れているので、フィルムの取り扱い性に優れている。
また、本発明の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムは滑剤やアンチブロッキング剤を実質的に含んでいないため、保護フィルムの基材フィルムとして用いた場合に、被包装物や被保護体への滑剤やアンチブロッキング剤の移行がないのでこれらの被包装物や被保護体の汚染が抑制される。
また、透明性に優れているので、被包装物や被保護体の視認性に優れる。
また、フィルムの強度があるため、取り扱い性に優れる。
また、上記の耐熱寸法安定性が向上しているにも拘らずインパクト強度に優れており、ブロックポリプロピレン系樹脂よりなることにより付加される耐衝撃性のよさが維持されており、保護フィルムとして用いた場合の信頼性が高い。

Claims (8)

  1. 実質的にポリプロピレン系樹脂を主成分としたポリプロピレン系樹脂フィルムであって、20℃キシレン可溶部量が9%を超え16%未満であり、結晶核剤の含有率が100ppm以下であり、かつ、フィルムの結晶化度が34〜65%、複屈折率(△n)が0.4×10−3〜2.5×10−3であることを特徴とする表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
  2. 前記フィルムの厚み変動率が±1〜10%であることを特徴とする請求項1記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
  3. 前記フィルム中のアンチブロッキング剤の含有量が50ppm以下であり、耐ブロッキング性が10mN以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
  4. 前記フィルム中の滑剤の含有量が50ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
  5. 前記フィルム中の最大直径が0.2mm以上のフィシュアイが0個/mであり、かつ最大直径が0.2mm未満のフィシュアイが100個/m以下であることを特徴とする請求項1記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
  6. 前記フィルムの23℃における縦方向のヤング率が500Mpa以上であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
  7. 前記フィルムの23℃におけるインパクト強度が0.3J以上であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の表面保護用ポリプロピレン系樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着剤層を設けてなることを特徴とする表面保護フィルム。
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