JP2010150361A - シリカ系透明被膜形成用塗布液 - Google Patents

シリカ系透明被膜形成用塗布液 Download PDF

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Abstract

【課題】 本シリカ系塗布液は、透光性に優れ、クラックを生じることなく少ない回数で表面平坦性に優れた厚膜の透明被膜を形成することができる。
【解決手段】 シリカ系微粒子と有機珪素化合物とを塩基性触媒成分を用いて水−アルコール溶媒中で反応させた後、有機分散媒で溶媒置換して得られる珪素化合物を含有する塗布液であって、該塗布液の固形分濃度が30〜70重量%の範囲にあり、前記有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度が10ppm以下である。前記シリカ系微粒子はアルコキシシランを水−アルコール溶媒中で加水分解・重縮合して得られるシリカ系微粒子であり、前記有機珪素化合物はアルコキシシランとその部分加水分解物、およびハロゲン化シランとその部分加水分解物の中から選ばれる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子デバイス用マイクロレンズアレイ等に、透光性に優れ、クラックを生じることなく少ない回数で厚膜の透明被膜を形成することのできるシリカ系透明被膜形成用塗布液に関する。
さらに詳しくは、高濃度であっても安定性に優れ、透光性を阻害したりクラックの原因となる異物を生成することが無く、このため少ない回数で表面が平坦な厚膜の透明被膜を形成することのできるシリカ系透明被膜形成用塗布液に関する。
レンズ等の光学デバイスとして、例えば、マイクロレンズ、マイクロレンズアレイやレンチキュラーレンズアレイ等が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
特開2008−197523号公報(特許文献3)の図9には、そのような液晶表示素子が示されており、対向基板7とアクティブマトリックス基板11とがシール材9によって封入された液晶層10を介して張り合わされて構成されている。アクティブマトリックス基板11は透明基板上に図示されていない絵素電極、スイッチング素子、バス配線等が形成されたものである。対向基板7はマイクロレンズ基板4上の液晶層10側の面に、ブラックマトリクス5、透明電極6、配向膜8が順に形成されたものである。マイクロレンズ基板4は、透明基板上に複数のマイクロレンズが形成されたマイクロレンズアレイ1とカバーガラス3とが接着剤層2を介して張り合わされた構成であり、カバーガラス3の接着剤層2と接する面に密着処理が施されている。
しかしながら、このような接着剤層を有する液晶表示素子は、以下の問題を有していた。
曲面を有するマイクロレンズアレイは、熱膨張係数の大きく異なる接着剤で張り合わされていたため、表示素子が高温度で使用される場合はマイクロレンズアレイと接着剤層との間に応力や歪が発生し、マイクロレンズ基板が変形し平面度が悪化する問題があった。
接着剤はTg(ガラス転移点)温度が100℃以下のものが多く、製品の製造プロセス中で或いは製品使用中において150℃以上の環境条件下では接着剤層が軟化し、接着力の低下や変形を起こす場合があった。
また、接着剤の変色による透過率低下、接着剤収縮により、表示画面内の段差発生、液晶厚さの変化と色ムラが発生したり、パネル平行度低下によるコントラストムラが発生する場合があった。
このため、接着剤層とカバーガラスを無機材料層にすることが提案されている。(特許文献4:特開2004−317827号公報)
このとき、無機材料層を形成する方法として(1)ゾルーゲル法または(2)堆積法が提案されているが、堆積による方法のみである程度の厚みをもつ無機材料層を形成するには相当の時間を要し、コスト的に好ましくない。
一方、ゾル‐ゲル法を用いれば容易に膜厚の比較的厚い無機材料層を形成することができ、堆積による方法よりもコスト的に有利であるが、厚膜の無機材料層はクラックが生じる欠点があった。
そこで、前記特許文献4(特開2008−197523号公報)の図1Bには、前記(1)ゾルーゲル法と(2)堆積法を交互に採用して厚膜の無機材料層を形成することが提案されている。
当該方法によれば、表面が平坦化された厚膜が得られるものの、異なる方法で繰り返し薄膜を形成する方法はやはり生産効率、経済性に問題があった。
本願出願人は、層間絶縁膜等に好適に用いることのできる、アルコキシシランを加水分解重縮合して得られるシリカゾルとアルコキシシランの部分加水分解物との反応物とからなるシリカ系の透明被膜形成用塗布液を提案している(特許文献5:特開平3−263476号公報)。そこで、この塗布液を採用してマイクロレンズ上に透明被膜を形成したところ、依然として厚膜化することが困難であった。また、厚膜化するために濃度を高めることを検討したが、塗布液の安定性が不充分であったり、膜ムラを生じたり、特にシラン化合物に由来する異物が生成し、このためクラックを生じたり、さらに透明性、ヘイズ等に問題を生じる場合があった。
特開平8−328002号公報 特開平8−327986号公報 特開2008−197523号公報 特開2004−317827号公報 特開平3−263476号公報
本発明者らは、このような問題を解決することを目的として鋭意研究を続けたところ、前記シリカ系の透明被膜形成用塗布液を高濃度化する前に、塗布液中に残存するアルコキシシランの加水分解用触媒として用いたアンモニア(塩基性触媒成分)を極力低減することにより、前記異物の生成がなくなるとともにクラックの発生もなくなることを見出して本発明を完成するに至った。
本発明は、透光性に優れ、クラックを生じることなく少ない回数で表面平坦性に優れた厚膜の透明被膜を形成することのできるシリカ系透明被膜形成用塗布液を提供することを目的とする。
本発明のシリカ系透明被膜形成用塗布液は、シリカ系微粒子と有機珪素化合物とを塩基性触媒成分を用いて水−アルコール溶媒中で反応させた後、有機分散媒で溶媒置換して得られる珪素化合物を含有する塗布液であって、該塗布液の固形分濃度が30〜70重量%の範囲にあり、前記有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度が10ppm以下であることを特徴とするものである。
前記シリカ系微粒子が下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを水−アルコール溶媒中で加水分解・重縮合して得られるシリカ系微粒子であり、前記有機珪素化合物が下記一般式(I) で表されるアルコキシシランおよびその部分加水分解物および下記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
nSiX4-n ・・・ (II)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
前記溶媒置換の前に陽イオン交換樹脂または両イオン交換樹脂で処理したものであることが好ましい。
前記シリカ系微粒子が200〜1100重量ppmの範囲の塩基性触媒成分を含有し、該シリカ系微粒子を含む分散液の加熱によって放出される塩基性触媒成分が少なくとも存在する条件下、前記反応が行われることが好ましい。
前記分散液がさらに塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分を含むことが好ましい。
前記透明被膜の膜厚が5〜50μmの範囲にあることが好ましい。
前記シリカ系透明被膜形成用塗布液の固形分濃度が30〜70重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明によれば、透光性に優れ、クラックを生じることなく少ない回数で表面平坦性に優れた厚膜の透明被膜を形成することのできるシリカ系透明被膜形成用塗布液を提供することができる。
シリカ系透明被膜形成用塗布液
まず、本発明にかかるシリカ系透明被膜形成用塗布液について説明する。
本発明に係るシリカ系透明被膜形成用塗布液は、シリカ系微粒子と有機珪素化合物とを塩基性触媒成分を用いて水−アルコール溶媒中で反応させた後、有機分散媒で溶媒置換して得られる珪素化合物を含有する塗布液であって、該塗布液の固形分濃度が30〜70重量%の範囲にあり、前記有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度が10ppm以下であることを特徴とする。
シリカ系微粒子
前記シリカ系微粒子は、下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを水−アルコール溶媒中で加水分解・重縮合して得られるシリカ系微粒子であることが好ましい。
nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
また、該シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の量を調整したものであることが好ましい。
シリカ系微粒子は平均粒子径が5〜500nm、さらには10〜400nmの範囲にあることが好ましい。シリカ系微粒子の平均粒子径が5nm未満であると塗布液の安定性が不充分となり、塗布液の高濃度化が困難となるとともに、厚膜化が困難となり本願発明の効果が得られない場合がある。
シリカ系微粒子の平均粒子径が500nmを超えると、粒子が大きすぎて、得られる透明被膜の光透過性が不充分となる場合がある。
アルコキシシラン
前記アルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシランなどが挙げられる。この中でも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランまたはその混合物を使用することが好ましい。さらに、これらの部分加水分解物を使用することもできる。
さらに、本発明では、アルコキシシランに加えて、珪素以外の有機金属化合物を用いることができる。例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、チタニウムエトキシド、チタニウムイソブトキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムオキシアセチルアセトナート、チタニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムアセチルアセトナート等が挙げられる。
このような珪素以外の有機金属化合物を用いるとシリカとの複合酸化物の微粒子となり、粒子の屈折率を調整できるほか、塗布液の安定性が向上する場合がある。
珪素以外の有機金属化合物の使用割合は、得られるシリカ系微粒子中の複合成分の酸化物としての含有量が10重量%以下、好ましくは5重量%以下であることが好ましい。
シリカ系微粒子中の複合成分の酸化物としての含有量が10重量%を越えると得られる透明被膜の光透過率が低下する場合がある。
塩基性触媒成分
前記塩基性触媒成分としてはアンモニア、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム化合物、有機アミンなどが挙げられる。この中でも、アンモニア、水酸化アンモニウムまたは第4級アンモニウム化合物を使用することが好ましい。
シリカ系微粒子は、前記アルコキシシランを前記塩基性触媒成分の存在下で加水分解・重縮合させてシリカ系微粒子の水−アルコール系分散液として調製するが、その調製方法については、従来公知の方法を採用することができる。例えば、前記アルコキシシランを含む水−アルコール分散液に塩基性触媒成分(例えば、アンモニア)の水溶液を添加した後、得られた加水分解・縮合物を熟成あるいは高温で水熱処理することによって調製することができる。
このとき得られるシリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の含有量は、200〜1100重量ppm、好ましくは400〜800重量ppmの範囲に調整することが好ましい。
前記含有量が200重量ppm未満であると、後述するように、前記シリカ系微粒子の外部表面付近や細孔内表面付近でアルコキシシランおよびその部分加水分解物、ハロゲン化シランおよびその部分加水分解物との反応が余り進まないため、最終的に得られる塗布液を用いてシリカ系透明被膜を形成した場合、塗布液の安定性が不充分となる他、膜の収縮が大きくクラックが生成する場合がある。
また前記含有量が1100重量ppmを超えると、部分加水分解物等との反応が進みすぎるため、得られる塗布液の保存安定性が不充分となったり、塗布液を高濃度化した際にシリカを主成分とする結晶性の粒子が生成し、クラックを生じたり、さらに透明性、ヘイズ等に問題を生じる場合がある。
シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の含有量の調整は、例えば、以下の方法で行うことができるが、これに限定されるものではない。
(1)先ず始めに、上記の方法で得られたシリカ系微粒子を含む水−アルコール系分散液を限外濾過装置にかけてその容量が約2分の1から約5分の1になるまで濃縮して、該分散液中に含まれる前記アルコキシシランの未反応物や中間反応物などを除去する。この場合、前記分散液中に含まれる水、アルコールおよび塩基性触媒成分(例えば、アンモニア)の一部が取り除かれる。
(2)次いで、前記(1)で得られた水−アルコール系分散液に約1〜3倍の容量の純水(温度が5〜25℃のものを使用し、以下同じ。)を加えて撹拌した後、限外濾過装置にかけてその容量が約2分の1になるまで濃縮して、該分散液中に含まれる塩基性触媒成分の一部を除去する。さらに必要に応じて、得られた水−アルコール系分散液と同容量の純水を加えて撹拌した後、限外濾過装置にかけて同様な操作を繰り返し行う。この操作を繰り返し行うことにより、前記シリカ系微粒子の中から塩基性触媒成分が徐々に前記分散液中に放出されるので、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の含有量を調整することができる。ここで行われる前記操作の回数は、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分やその含有量、さらには該シリカ系微粒子の性状などによっても異なるが、2〜5回行うことが好ましい。
(3)次に、前記(1)または(2)で得られた水−アルコール系分散液(アルコール濃度は低い)に、同容量のアルコール(温度が5〜25℃のものを使用し、以下同じ。)を加えて撹拌した後、限外濾過装置にかけてその容量が約2分の1になるまで濃縮して、該分散液中に含まれる水とアルコールとを溶媒置換する。さらに必要に応じて、得られた水−アルコール系分散液と同容量のアルコールを加えて撹拌した後、限外濾過装置にかけて同様な操作を繰り返し行う。この操作を2〜4回程度、繰り返し行うことにより、前記水−アルコール分散液中に含まれるアルコール濃度を約60〜90重量%に調整する。これにより、前記有機珪素化合物の水分散液との混合に適した水−アルコール分散液が得られる。また、この水−アルコール分散液中に含まれる前記シリカ系微粒子の濃度は、約5〜20重量%に調整することが望ましい。
これにより、前記塩基性触媒成分の含有量が200〜1100重量ppmの範囲に調整されたシリカ系微粒子を含む水−アルコール系分散液が得られる。
この時、アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等を使用することができるが、この中でもメチルアルコールまたはエチルアルコールを使用することが好ましい。
珪素化合物
本発明のシリカ系透明被膜形成用塗布液に含まれる珪素化合物は、前記シリカ系微粒子と、前記一般式(I) で表されるアルコキシシランおよびその部分加水分解物、前記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種の有機珪素化合物との反応物である。
ここでアルコキシシランとしては前記したと同様のアルコキシシランが用いられる。
ハロゲン化シラン
ハロゲン化シランとしては、例えば、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、n-プロピルトリクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチル-3,3,3-トリフルオロプロピルジクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルプロピルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどが挙げられる。この中でも、トリクロロシラン、メチルトリクロロシランまたはその混合物を使用することが好ましい。
さらに、前記有機珪素化合物は、アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランを予め部分加水分解させてから、前記塩基性触媒成分を含有する前記シリカ系微粒子の水−アルコール系分散液と混合して、さらに加水分解させてもよい。
この場合、前記アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランの部分加水分解は、酸性触媒成分の存在下で行うことが好ましい。これは、上記の場合と同様に、あらかじめ前記有機珪素化合物を酸性触媒成分の存在下で部分加水分解させた後、さらに塩基性触媒成分(前記シリカ系微粒子から放出された塩基性触媒成分など)の作用効果により加水分解させて得られた珪素化合物を含む塗布液を用いて被膜を形成すると、緻密なシリカ系被膜を得ることができるからである。
酸性触媒成分としては、硝酸、塩酸、酢酸および硫酸などが挙げられる。この中でも、硝酸または塩酸を使用することが好ましい。
前記シリカ系微粒子と前記有機珪素化合物との混合割合は、前記シリカ系微粒子の重量をAで表し、さらに前記有機珪素化合物の重量(SiO2換算基準)をBで表したとき、その重量比(A/B)が1/9〜9/1、好ましくは4/6〜6/4の範囲にあることが好ましい。
ここで、前記重量比が1/9未満であると、粒子が少なく、このため放出する塩基性触媒成分が少なく、一方でアルコキシシランおよびその部分加水分解物等が多いために、前記シリカ系微粒子の外部表面付近や細孔内表面付近で(後述する)アルコキシシランおよびその部分加水分解物、ハロゲン化シランおよびその部分加水分解物との反応が余り進まないため、最終的に得られる塗布液を用いてシリカ系透明被膜を形成した場合、塗布液の安定性が不充分となる他、膜の収縮が大きくクラックが生成する場合がある。
また前記重量比が9/1を超えると、粒子が多すぎて粒子間隙が生成するためか光散乱に伴いヘーズが悪化したり、珪素化合物(マトリックスあるいはバインダー機能を有する)が少ないために透明被膜の強度が不充分となったりクラックが発生する場合がある。
珪素化合物の具体的な調製方法、条件については、後述する。
得られる珪素化合物は、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物が部分加水分解および/または加水分解された反応物と前記シリカ系微粒子を含み、しかも前記反応物の少なくとも一部が前記シリカ系微粒子の外部表面およびその細孔内表面に結合している。これは、前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分が、該シリカ系微粒子の外部表面やその細孔内表面の付近で前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解することができるので、前記反応物と前記シリカ系微粒子との結合が十分に行われるためと考えられる。
また、前記分散液中に塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分を含むものを使用した場合には、前記分散液中に含まれる前記塩基性触媒成分および/または前記酸性触媒成分と前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物が部分加水分解および/または加水分解された反応物と、前記シリカ系微粒子とを含み、しかも前記反応物の少なくとも一部が前記シリカ系微粒子の外部表面およびその細孔内表面に結合している珪素化合物が得られる。
得られた珪素化合物を含む水−アルコール分散液は、必要に応じて、塩基性触媒成分を含まない水−アルコール分散液で溶媒置換し、塩基性触媒成分を低減することが好ましい。
ついで、陽イオン交換樹脂または両イオン交換樹脂にて処理して塩基性触媒成分を除去することが好ましい。
イオン交換樹脂で処理した後の塩基性触媒成分の濃度は、最終的に得られるシリカ系被膜形成用塗布液の有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度が10ppm以下となる範囲とすることが必要である。
この時の有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度とは、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分以外の塩基性触媒成分が有機分散媒中に存在するとした場合の濃度である。
シリカ系被膜形成用塗布液の有機溶媒中の塩基性触媒成分濃度が10ppmを越えると、厚膜の透明被膜を形成するために塗布液を高濃度化した際に、具体的には固形分濃度を概ね30重量%以上とした際にシリカを主成分とする結晶性の粒子が生成し、このような粒子を含む塗布液を用いて形成した透明被膜は耐クラック性が不充分となり、クラックが容易に生成するので好ましくない。
本発明では、後述する珪素化合物を調製する際に酸性触媒成分を用いた場合には、陰イオン交換樹脂により、陰イオンを低減、除去することが好ましい。
本発明のシリカ系被膜形成用塗布液は、ついで、有機分散媒に置換し、さらに濃縮することによって調製することができる。
有機分散媒としては、エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、等のエーテル類;酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセタート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル等のケトン類;トルエン、キシレン等が挙げられる。
有機分散媒に置換する方法としては、従来公知の方法、例えばロータリーエバポレーターによる蒸留法などが挙げられる。また、濃縮するには溶媒置換中あるいは溶媒置換後に加熱すればよい。
シリカ系透明被膜形成用塗布液の濃度は固形分として30〜70重量%、さらには35〜55重量%の範囲にあることが好ましい。
シリカ系被膜形成用塗布液の濃度は固形分として30重量%未満の場合は、塗布方法によっても異なるが、一回の塗布で形成できる透明被膜の膜厚が厚くないために繰り返し塗布、乾燥、硬化を行う必要があり、本発明の経済性、生産性の向上効果が充分得られない場合がある。
シリカ系被膜形成用塗布液の濃度は固形分として70重量%を越えては高濃度化が困難であり、得られたとしても塗布液の安定性が不充分となり、また、塗工性が低下し表面が平坦な透明被膜が得られない場合がある。
シリカ系透明被膜形成用塗布液の製造方法
ついで、シリカ系透明被膜形成用塗布液の好適な製造方法について説明する。
シリカ系透明被膜形成用塗布液は、例えば、以下の工程に処して得られる珪素化合物を含むシリカ系被膜形成用塗布液として製造される。
(a)下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを塩基性触媒成分の存在下で加水分解・重縮合させて得られたシリカ系微粒子の水−アルコール系分散液を限外濾過装置にかけて、前記塩基性触媒成分の含有量を調整したシリカ系微粒子の水−アルコール系分散液を調製する工程、
(b)前記シリカ系微粒子を含む水−アルコール系分散液に、下記一般式(I)で表されるアルコキシシランおよびその部分加水分解物および下記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種の有機珪素化合物を含む水分散液を混合する工程、
(c)前記混合液を30〜80℃の温度に加熱して、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解する工程、
(d)前記反応液を陽イオン交換樹脂または両イオン交換樹脂で処理して塩基性触媒成分を除去する工程、および
(e)前記イオン交換処理した分散液を有機分散媒で溶媒置換する工程
を含むものである。
nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
nSiX4-n ・・・ (II)
(式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
上記の各工程について具体的に述べれば、以下の通りである。
工程(a
この工程では、前記アルコキシシランを前記塩基性触媒成分の存在下で加水分解・重縮合させて前記シリカ系微粒子の水−アルコール系分散液を調製するが、その調製方法については、従来公知の方法を採用することができる。すなわち、1)前記アルコキシシランを含む水−アルコール分散液に塩基性触媒成分(例えば、アンモニア)の水溶液を添加した後、得られた加水分解・縮合物を熟成させる方法や、2)前記1)で得られたシリカ系微粒子を、さらにオートクレーブなどの圧力容器中で水熱処理して熟成させる方法などがある。しかし、前記シリカ系微粒子の平均粒子径は、5〜500nmの範囲にあることが好ましい。
前記シリカ系微粒子中に含まれる前記塩基性触媒成分の含有量は調整しておくことが好ましく、その方法については前述した通りである。
但し、前記塩基性触媒成分の必要量は、後段の工程(b)で使用される有機珪素化合物の種類や使用量、あるいはこれらを混合して得られる分散液中に含まれる触媒成分の種類やその含有量などによっても異なるので、これらの条件を考慮して前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の含有量を前記の範囲で調整することが望ましい。
なお、この水−アルコール系分散液中には、前記の加水分解・重縮合反応に使用された塩基性触媒成分が含まれている。すなわち、前記分散液中には、上記の限外濾過操作では除去されない塩基性触媒成分や、前記操作終了後に前記シリカ系微粒子から一部、放出された塩基性触媒成分を含んでいるが、後段の工程(b)で行われる部分加水分解および/または加水分解反応に利用することができるので、そのまま含ませておいてもよい。
この工程で使用される前記アルコキシシランについては、前記シリカ系微粒子を得ることができれば特に制限なく用いることができるが、エチルシリケートやメチルシリケートなどを使用することが好ましい。
さらに、前記したように本発明では、アルコキシシランに加えて、珪素以外の金属アルコキシドを用いることができる。
また、前記塩基性触媒成分としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム化合物、有機アミンから選ばれた少なくとも1種を使用することができるが、この中でもアンモニアまたは水酸化アンモニウムを使用することが好ましい。
さらに、前記アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等を使用することができるが、この中でもメチルアルコールまたはエチルアルコールを使用することが好ましい。
工程(b
この工程では、前記工程(a)で得られた前記シリカ系微粒子を含む水−アルコール分散液と、前記一般式(I)で表されるアルコキシシランおよびその部分加水分解物、前記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種の有機珪素化合物を含む水分散液とが混合される。これにより、前記シリカ系微粒子、前記有機珪素化合物などを含む水−アルコール分散液が得られる。
ここで、前記アルコキシシランおよび/またはハロゲン化シランは、上記で述べたように、例えば酸性触媒成分の存在下で予め部分加水分解させてから混合してもよい。
前記シリカ系微粒子と前記有機珪素化合物との混合割合は、前記シリカ系微粒子の重量をAで表し、さらに前記珪素化合物の重量(SiO2換算基準)をBで表したとき、その重量比(A/B)が1/9〜9/1、好ましくは4/6〜6/4の範囲にあることが好ましい。その理由は、上記した通りである。
また、この工程では、前記分散液中に、さらに塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分を含有させることができる。
先にも述べたように、前記工程(a)で得られた水−アルコール系分散液中には、塩基性触媒成分が含まれていることが多い。しかし、前記工程(a)で得られるシリカ系微粒子に含まれる塩基性触媒成分の量が所望値より少ないときには、前記分散液中に、外部から前記塩基性触媒成分を添加してもよい。このような場合としては、以下のようなケースがある。
(1)前記アルコキシシランを加水分解・重縮合させたシリカ系微粒子をさらにオートクレーブなどの圧力容器中で水熱処理して熟成させたシリカ系微粒子を含む水−アルコール系分散液を使用した場合であり、このケースにおいては、得られるシリカ系微粒子が比較的緻密な構造となっているため、該シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分が幾分少なくなってしまうことがある。
(2)前記アルコキシシランを加水分解・重縮合させたシリカ系微粒子、あるいはこれをさらにオートクレーブなどの圧力容器中で水熱処理して熟成されたシリカ系微粒子を含む水−アルコール系分散液を限外濾過する際に、間違った操作(例えば、過度の操作回数等)などを行って、得られるシリカ系微粒子や水−アルコール分散液中に含まれる塩基性触媒成分の含有量が所望値より低下してしまった場合であり、このようなケースにおいては、前記塩基性触媒成分を外部から補ってやることが必要となるときがある。
また、高い被膜強度を有するシリカ系被膜を形成するためには、上記でも述べたように、前記水−アルコール系分散液に酸性触媒成分を添加することが望ましい。これは、初期の段階で前記有機珪素化合物を酸性触媒成分の存在下で部分加水分解および/または加水分解させた後、さらに塩基性触媒成分(前記シリカ系微粒子から放出された塩基性触媒成分など)の作用効果により部分加水分解および/または加水分解させて得られた珪素化合物を含む塗布液を用いて被膜を形成すると、緻密なシリカ系被膜を得ることができるからである。
なお、前記塩基性触媒成分および前記酸性触媒成分としては、上記のものから選択して使用することができる。
工程(c
この工程では、前記工程(b)で得られた混合液、すなわち水−アルコール分散液を30〜80℃の温度に加熱して、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物が部分加水分解および/または加水分解される。
前記水−アルコール分散液からなる混合液は、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分によっても異なるが、30〜80℃、好ましくは40〜70℃の温度に加熱することが望まれる。ここで、前記温度が30℃未満であると、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の放出速度が遅いため、前記有機珪素化合物を部分加水分解および/または加水分解させるための時間が長くなり、また前記温度が80℃を超えると、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の拡散が急速または急激に起こるため、前記分散液の安定性が悪くなるので、好ましくない。
このように、前記混合液を加熱することにより、前記シリカ系微粒子中に含まれる前記塩基性触媒成分は、前記シリカ系微粒子から徐々に放出されるが、場合によっては前記の加熱操作を段階的に行ってよい。
これにより、前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって前記有機珪素化合物は、前記シリカ系微粒子の外部表面やその細孔内表面の付近で部分加水分解および/または加水分解されるので、前記シリカ系微粒子と十分に結合した珪素化合物を得ることができる。この場合、前記有機珪素化合物は、前記混合液中に含まれる前記塩基性触媒成分によっても部分加水分解および/または加水分解されるが、本発明においては、少なくとも前記シリカ系微粒子から放出される前記塩基性触媒成分によって部分加水分解および/または加水分解させることが重要である。
このようにして得られた珪素化合物の水−アルコール分散液は、必要に応じて、塩基性触媒成分を含まない水−アルコール分散液で溶媒置換し、塩基性触媒成分を低減することが好ましい。
工程(d
ついで、前記部分加水分解および/または加水分解反応液を陽イオン交換樹脂または両イオン交換樹脂にて処理して塩基性触媒成分を除去する。
陽イオン交換樹脂、両イオン交換樹脂共に、イオン交換処理に通常用いられている市販品を使用することができる。
イオン交換樹脂で処理した後の塩基性触媒成分の濃度は、最終的に得られるシリカ系被膜形成用塗布液の有機分散媒中の塩基性触媒成分濃度が10ppm以下となる範囲であることが好ましい。
この時の有機分散媒中の塩基性触媒成分濃度とは、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分以外の塩基性触媒成分が有機分散媒中に存在するとした場合の濃度である。
シリカ系被膜形成用塗布液の有機溶媒中の塩基性触媒成分濃度が10ppmを越えると、厚膜の透明被膜を形成するために塗布液を高濃度化した際に、具体的には固形分濃度を概ね30重量%以上とした際にシリカを主成分とする結晶性の粒子が生成し、このような粒子を含む塗布液を用いて形成した厚膜の透明被膜は耐クラック性が不充分となり、クラックが容易に生成するので好ましくない。
なお、前記珪素化合物を調製する際に酸性触媒成分を用いた場合には、陰イオン交換樹脂により、陰イオンを低減、除去することが好ましい。
工程(e
(e)前記イオン交換処理した分散液を有機分散媒で溶媒置換する工程
このようにして得られた塩基性触媒成分を除去した水−アルコール分散液は、従来公知の方法、例えばロータリーエバポレーターによる蒸留法などを用いて、該分散液中に含まれる水分とアルコール成分を、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどから選ばれた少なくとも1種の有機分散媒と溶媒置換する。
その具体例(溶媒置換用の有機分散媒として、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)を使用した事例)を示せば、以下の通りである。
(i)上記で得られた水−アルコール分散液を、ロータリーエバポレーターのフラスコ中に入れ、さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテルをフラスコ中に入れる。
(ii)次いで、ロータリーエバポレーターを駆動して、50〜90℃、好ましくは60〜80℃の温度条件下、−0.05〜−0.1MPa、好ましくは−0.08〜−0.1MPaの減圧条件下で、前記フラスコを30〜120rpm、好ましくは60〜90rpmの速度で回転させる。すると、前記水−アルコール分散液中に含まれる水とアルコールが蒸発してくるので、これを冷却して系外に排出する。
(iii)前記操作(ii)を必要時間、続けて行うことにより、前記水およびアルコールとプロピレングリコールモノプロピルエーテルとが溶媒置換されたシリカ系被膜形成用塗布液が得られる。
さらに、これにより、前記シリカ系被膜形成用塗布液中に含まれる珪素化合物の量を、上記した所望の範囲に調整することができる。ここで、前記珪素化合物の含有量は、珪素化合物を固形分(SiO2)で表したとき、該塗布液中に30〜70重量%、好ましくは35〜55重量%の範囲となるように調整することが好ましい。
透明被膜の形成方法
つぎに、本発明のシリカ系透明被膜形成用塗布液を用いた透明被膜の形成方法について説明する。
本発明において前記シリカ系被膜形成用塗布液を用いて透明被膜を形成するには、従来公知の方法を採用することができる。例えば、次の方法を挙げることができる。
(1)前記シリカ系被膜形成用塗布液を基材、例えばマイクロレンズアレイ等の基材上に塗布した後、塗膜付基材を充分に乾燥できる温度で加熱処理し、さらに前記加熱温度より高く、膜が充分に硬化する温度で焼成する方法。
(2)前記シリカ系被膜形成用塗布液をマイクロレンズアレイ等の基材上に塗布した後、塗膜付基材を充分に乾燥できる温度で加熱処理し、さらにエレクトロンビーム、紫外線またはマイクロ波を照射してキュアする方法。
以下に、前記(1)の方法を例にとって、この透明被膜形成方法ついて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
塗布工程
一般に、被膜形成用塗布液を基板上に塗布するためには、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、スリットコーター法、転写法等の塗布方法が採用されているが、本発明においても、このような従来公知の方法を用いて前記シリカ系被膜形成用塗布液を塗布することができる。この中でも、本発明の透明被膜形成用塗布液を塗布する場合には、スピンコート法が好適で、塗布膜厚の均一性や低発塵性などにおいて優れている。
加熱工程
このようにして基材上に塗布された塗膜は、80〜200℃未満の温度にて加熱処理される。
ここで、この加熱処理を、200℃以上の温度で行うと、上記の塗布被膜中に含まれる有機溶媒が急激に蒸発して、透明被膜中に比較的大口径の細孔や空隙を形成してしまうこともあるので、透明被膜の強度が低下することがある。従って、この加熱処理は、必要に応じその温度を80〜200℃未満の範囲で段階的に上げて行うことが望ましい。たとえば、90℃の温度にて1分間、150℃の温度にて1分間、さらに200℃未満の最終温度にて1分間などの段階的温度で加熱処理する方法等である。また、この加熱処理を80℃未満の温度で行うと、上記の塗布被膜中に含まれる有機溶媒の殆どが蒸発せずにそのまま被膜中に残ってしまうことがあり、結果としてこの加熱処理の目的を達成することができないばかりでなく、形成される透明被膜の膜厚にムラが生じることがある。
また、この加熱処理時間は、透明被膜の膜厚などによっても異なるが、1〜10分、好ましくは2〜5分をかけて行うことが望ましい。
さらに、この加熱処理は、不活性ガスとしての窒素ガス雰囲気下または空気雰囲気下で行うことができる。
このようにして加熱処理を施すと、上記の塗布被膜中に含まれる有機溶媒などが蒸発・脱離し、また一方では固形成分であるシリカ系透明被膜形成成分の重合が進んで硬化するとともに、加熱の過程で重合体の溶融粘度が低下して被膜のリフロー性が増大し、得られる透明被膜の平坦性が向上する結果となる。なお、この加熱処理は、前記の塗布工程で得られた基板を枚葉式のホットプレート上に載置して行うことが好ましい。
焼成工程
次いで、前記の加熱処理が施された透明被膜は、不活性ガスの雰囲気下で、前記加熱温度より高い200〜450℃の温度にて焼成処理される。
前記不活性ガスとしては、窒素ガスを用いることが望ましく、さらに必要に応じて、これに酸素ガスまたは空気を加えて、少量の酸素(例えば、500〜10000容量ppm程度の酸素)を含む不活性ガスを用いてもよい。(国際公開WO 01/48806 A1 公報などに記載。)
前記焼成温度は、上記の塗布液中に含まれる珪素化合物(すなわち、シリカ系被膜形成成分)の性状などによっても異なるが、耐吸湿性(疎水性)と高被膜強度を有するシリカ系被膜を得るためには、200〜450℃の温度範囲から選択することが望まれる。
ここで、焼成処理の温度が200℃未満であると、前記シリカ系被膜形成成分の前駆体の架橋が進みにくいので充分な被膜強度を有する被膜が得られず、またこの焼成処理の温度が450℃を越えると、珪素に直接結合した炭化水素基を有する有機珪素化合物を用いた場合に炭化水素基が炭化したり、分解してクラックが生成する場合がある。
また、この焼成処理は、被膜形成用塗布液の種類や透明被膜の膜厚などによっても異なるが、5〜90分、好ましくは10〜60分かけて行うことが望ましい。
さらに、この焼成処理は、前記加熱工程の場合と同様に、枚葉式のホットプレート上に基板を載せて行うことが好ましい。
このようにして得られるシリカ系透明被膜の膜厚は、塗布液の濃度、塗布方法等によっても異なるが、一回の塗布で2〜10μmである。
従って、本発明のシリカ系透明被膜形成用塗布液を用いると、概ね1〜20回の少ない回数で、概ね5〜50μmの膜厚の透明性、表面平坦性、強度、密着性等に優れた透明被膜を形成することができる。
以下、本発明における各種特性の測定方法は以下の通りである。
(1)シリカ系微粒子の平均粒子径
水−アルコール分散液(試料)中に含まれるシリカ系微粒子の10万倍拡大画像を透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテック社製H−800)にて撮影したTEM写真をルーゼックス自動画像処理解析装置(ニコレ社製LUZEX−AP)で解折し、さらに付属の解析ソフトを使用して前記シリカ微粒子の平均粒子径を算出する。
(2)シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の含有量
(a)塩基性触媒成分を含むシリカ系微粒子が分散された水−アルコール分散液(試料)中に含まれる塩基性触媒成分の全量(例えば、アンモニア量)を測定するため、水酸化ナトリウム水溶液を添加して前記シリカ系微粒子を溶解した後、加熱して発生した塩基性ガスを、希硫酸(H2SO4:0.05mol/L)を含む水溶液に吸収させる。次いで、これにメチルレッド溶液を2〜3滴たらして、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:0.1mol/L)で滴定し、該分散液中に含まれる塩基性触媒成分の全量(Q1)を測定する。
(b)次に、前記水−アルコール分散液(試料)を3000rpmの回転速度で遠心分離(遠心濃縮器:アズワン社製VS2001、遠心分離機:KUBOTA社製 KUBOTA6930)して、該分散液中に含まれるシリカ系微粒子を分離する。次いで、得られた分散媒中に含まれる塩基性触媒成分の量(例えば、アンモニア量)を、前記(a)と同様な方法で、該分散媒中に含まれる塩基性触媒成分の全量(Q2)を測定する。
(c)前記(a)で測定された塩基性触媒成分量(Q1)から前記(b)で測定された塩基性触媒成分量(Q2)を差し引き、前記シリカ系微粒子中に含まれる塩基性触媒成分の量(QSi)を算出する。
(3)シリカ系透明被膜形成用塗布液の有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度
前記(2)において、試料としてシリカ系微粒子が分散された水−アルコール分散液の代わりにシリカ系透明被膜形成用塗布液を用いる以外は同様にして塩基性触媒成分の全量(Q3)を求め、前記で求めたシリカ系微粒子中の塩基性触媒成分の量(QSi)を用い、塗布液の組成を勘案して、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度(QOS)を算出する。
または、シリカ系透明被膜形成用塗布液を3000rpmの回転速度で遠心分離(遠心濃縮器:アズワン社製VS2001、遠心分離機:KUBOTA社製 KUBOTA6930)して、塗布液中に含まれる珪素化合物を分離する。次いで、得られた有機分散媒中に含まれる塩基性触媒成分の濃度(QOS)を、前記(a)と同様な方法で測定する。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
シリカ系微粒子(1)分散液の調製
99.9重量%濃度のメタノール(関東化学(株)製)508gと純水760gからなる敷き水1268gを調製した。99.9重量%濃度のメタノール16048gとエチルシリケート(多摩化学工業(株)製)を8452g加えて撹拌したエチルシリケート溶液24500gを調製した。
次に、前記敷き水1268gを65℃の温度に加熱して保持し、これに前記エチルシリケート溶液24500gおよび1.9重量%濃度のアンモニア水9490gを同時に5時間かけて撹拌下で添加した。添加終了後、さらに前記温度に保って3時間、熟成操作を行い、7.4重量%のシリカ系微粒子を含む水−メタノール分散液(以下、「水−メタノール分散液」という。)35258gを得た。
次いで、得られた水−メタノール分散液を室温まで冷却し、該水−メタノール分散液のうち31860gに、純水20340gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタ(旭化成(株)製、ACP−2013)を用いて、その重量が18711gになるまで濃縮した。これにより、該水−メタノール分散液中に含まれる前記エチルシリケートの未反応物や中間反応物などを除去した水−メタノール分散液(以下、「水−メタノール精製液」という。)18711gを得た。
次に、調製した前記水―メタノール精製液を10150g取り出し、29重量%濃度のアンモニア水47gを加えて撹拌した後、オートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製、TAS−13型)に入れて、150℃の温度で15時間、処理して、該水―メタノール精製液中に含まれるシリカ系微粒子の熟成を行った。
次に、これを室温まで冷却して得られた水―メタノール精製液(熟成液)を10045g取り出し、純水13020gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。更に純水13020gを加えて攪拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮する作業を2回繰り返した。これにより、前記シリカ系微粒子中に含まれるアンモニアを一部除去した水―メタノール精製液9998gを得た。
次いで、上記で得られた水―メタノール精製液9998gに、エタノール(和光純薬工業(株)製)13331gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて濾過し、その重量が9998gになるまで濃縮した。さらに、エタノール13331gを加えて撹拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。これにより、前記水―メタノール分散液中に含まれる水とメタノールを溶媒置換させた水―エタノール分散液9998gを得た。
この水―エタノール分散液にエタノール2600gを加えて該分散液中に含まれるシリカ系微粒子の濃度を10重量%に調整し、さらにロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)を用いて濃縮して、SiO2濃度19.4重量%のシリカ系微粒子(1)水−エタノール分散液6494gを得た。
このようにして得られたシリカ系微粒子(1)の平均粒子径は25nmであった。
また、シリカ系微粒子(1)水−エタノール分散液中の塩基性触媒成分(ここではNH4OH)の濃度は700ppmであった。シリカ系微粒子(1)中の塩基性触媒成分の含有量は670ppmであった。
珪素化合物(1)分散液の調製
シリカ系微粒子(1)水−エタノール分散液6050gにメチルトリメトキシシラン(MTMS、信越化学工業(株)製)1778gと0.44重量%濃度の硝酸(関東化学(株)製)の水溶液1409gとを混合した。この時、分散液のpHは2.4であった。ついで、室温から徐々に50℃の温度まで加熱した。さらに、この温度(50℃)に保って200rpmの速度で15時間、攪拌しながら、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解および/または加水分解を行って珪素化合物(1)分散液の調製を調製した。分散液のpHは8.0であった。
ここで、pHの変化はシリカ系微粒子から塩基性触媒成分としてのアンモニアが放出され、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解反応および/または加水分解反応に寄与していることを示している。
シリカ系透明被膜形成用塗布液(1)の調製
珪素化合物(1)分散液に両イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオン SMNUPB)727gを加え、15分間撹拌して塩基性触媒成分を除去した。
次いで、珪素化合物(1)分散液をロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製:RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP、日本乳化剤(株)製)と溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で50重量%に調整して、シリカ系被膜形成用塗布液(1)を調製した。
シリカ系被膜形成用塗布液(1)について、塩基性触媒成分を測定し、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度を求め、結果を表に示した。また、塗布液の安定性について下記の方法および評価基準により評価し、結果を表に示す。
塗布液の安定性
シリカ系被膜形成用塗布液(1)を室温(25℃)で静置し、24時間ごとに粘度を測定し、調製直後の粘度の1.2倍となった日数で評価した。
2週間以上安定であった : ◎
1週間以上〜2週間未満安定であった : ○
1日以上から7日未満安定であった : △
1日未満で増粘した : ×
透明被膜付マイクロレンズアレイ(1)の調製
マイクロレンズアレイの調製
特開2008−197523号公報記載の実施例に準拠してマイクロレンズを調製した。
マイクロレンズアレイ材料として屈折率1.52のネオセラムガラスの平行平板基板を用意し、その表面に熱可塑性材料層32としてフォトレジスト(商品名:OFPR800)をスピンコートした後、プリベークして厚さ10μmに形成した。
次に、マスクを用いて熱可塑性材料層を露光する。マスクは、透明ガラス基板の片面にクロムなどの金属薄膜で形成された直径19.7μmの黒円(概略円形状である)がピッチ20μmで碁盤の目状に配列されたものである。
その後、光照射された部分を現像して除去することにより、熱可塑性材料層を1以上のレンズパターン(黒円に対応する円形)に応じてレリーフ状にパターニングした。
パターニングされた熱可塑性材料層を熱処理し、熱可塑性材料の熱流動と表面張力により、熱可塑性材料の表面形状を、レンズパターンごとに凸曲面形状としたところ、高さが9.2μmの凸球面形状が得られた。
続いて行なうECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチングにおいて、選択比を1.1に設定して熱可撓性材料のパターンをネオセラム基板に転写したところ、ネオセラム基板の表面に、直径19.7μm、高さ10.12μmの凸球面を20μmピッチで形成したマイクロレンズアレイを得た。
このエッチング工程では、途中段階において選択比を経時的に変更することにより、製作後の形状を非球面形状とした。このときのドライエッチングの条件は、以下の通りである。選択比を1.1にするために、導入ガスは、O2:1.8sccM(経時的に変更し時間と共に減少させる。)、CHF3:25.0sccMとし、反応室内圧力:3〜4×10-4 Torr、マイクロ波実行電力:620W、RF実行電力:480W、エッチング時間:25分とした。
シリカ系被膜形成用塗布液(1)をマイクロレンズアレイにスピンコート法(2000rpm・30sec)で塗布し、90℃で2分間乾燥し、ついで250℃で30分間焼成し、これを10回繰り返して透明被膜付マイクロレンズアレイ(1)を調製した。
得られた透明被膜付マイクロレンズアレイ(1)の透明被膜について膜厚(レンズ凸部−被膜表面)の測定、クラックの有無および表面平坦性を下記の方法および評価基準で評価し、結果を表に示した。なお、透明被膜の膜厚、クラックの有無および表面平坦性については、以下に示す実施例と比較例についても、同様に測定した。
膜厚
膜厚は、(株)東京精密社製:SURFCOM1400Dにて測定した。
なお、本発明において透明被膜の膜厚は、マイクロレンズの凸部の頂点から透明被膜の表面までの距離とする。
クラック
クラックの有無を目視観察した。
クラック無し : ○
クラック有り : ×
表面平坦性
別途、上記と同様にして調製した透明被膜付マイクロレンズアレイについて、透明被膜の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を撮影し、透明被膜表面を観察した。
表面が直線であった : ○
表面に湾曲または凹凸が認められた : ×
透明被膜付マイクロレンズアレイを備えた液晶表示素子(1)の作成
上記で得た透明被膜付マイクロレンズアレイ(1)とブラックマトリックスと透明電極と配向膜とからなる対向基板とアクティブマトリックス基板と張り合わせ、配向膜とアクティブマトリックス基板間に液晶を封入して液晶表示素子(1)を作成した。
液晶表示素子(1)を温度50℃の環境下で100時間稼働させ、透光性、色ムラ、コントラストムラを観察したがいずれも良好で変化もなかった。
シリカ系透明被膜形成用塗布液(2)の調製
実施例1と同様にして調製した珪素化合物(1)分散液に両イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオン SMNUPB)1543gを加え、70分間撹拌してイオン性塩基性窒素化合物を除去した。
次いで、珪素化合物(1)分散液をロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製:RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP、日本乳化剤(株)製)と溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で50重量%に調整して、シリカ系被膜形成用塗布液(2)を調製した。
シリカ系被膜形成用塗布液(2)について、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度を測定し、また、塗布液の安定性を評価し、結果を表に示す。
透明被膜付マイクロレンズアレイ(2)の調製
実施例1において、シリカ系被膜形成用塗布液(2)を用いた以外は同様にして透明被膜付マイクロレンズアレイ(2)を調製した。
透明被膜付マイクロレンズアレイを備えた液晶表示素子(2)の作成
実施例1において、透明被膜付マイクロレンズアレイ(2)を用いた以外は同様にして液晶表示素子(2)を作成した。
液晶表示素子(2)について透光性、色ムラ、コントラストムラを観察したがいずれも良好で変化もなかった。
シリカ系透明被膜形成用塗布液(3)の調製
実施例1と同様にして調製した珪素化合物(1)分散液に両イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオン SMNUPB)363gを加え、15分間撹拌してイオン性塩基性窒素化合物を除去した。
次いで、珪素化合物(1)分散液をロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製:RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP、日本乳化剤(株)製)と溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で50重量%に調整して、シリカ系被膜形成用塗布液(3)を調製した。
シリカ系被膜形成用塗布液(3)について、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度を測定し、また、塗布液の安定性を評価し、結果を表に示す。
透明被膜付マイクロレンズアレイ(3)の調製
実施例1において、シリカ系被膜形成用塗布液(3)を用いた以外は同様にして透明被膜付マイクロレンズアレイ(3)を調製した。
透明被膜付マイクロレンズアレイを備えた液晶表示素子(3)の作成
実施例1において、透明被膜付マイクロレンズアレイ(3)を用いた以外は同様にして液晶表示素子(3)を作成した。液晶表示素子(3)について透光性、色ムラ、コントラストムラを観察したがいずれも良好で変化もなかった。
シリカ系透明被膜形成用塗布液(4)の調製
実施例1において、SiO2基準で35重量%に調整した以外は同様にしてシリカ系被膜形成用塗布液(4)を調製した。
シリカ系被膜形成用塗布液(4)について、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度を測定し、また、塗布液の安定性を評価し、結果を表に示す。
透明被膜付マイクロレンズアレイ(4)の調製
実施例1において、シリカ系被膜形成用塗布液(4)を用い、15回塗布、乾燥、硬化を繰り返した以外は同様にして透明被膜付マイクロレンズアレイ(4)を調製した。
透明被膜付マイクロレンズアレイを備えた液晶表示素子(4)の作成
実施例1において、透明被膜付マイクロレンズアレイ(4)を用いた以外は同様にして液晶表示素子(4)を作成した。液晶表示素子(4)について透光性、色ムラ、コントラストムラを観察したがいずれも良好で変化もなかった。
シリカ系透明被膜形成用塗布液(5)の調製
実施例1において、SiO2基準で60重量%に調整した以外は同様にしてシリカ系被膜形成用塗布液(5)を調製した。
シリカ系被膜形成用塗布液(5)について、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度を測定し、また、塗布液の安定性を評価し、結果を表に示す。
透明被膜付マイクロレンズアレイ(5)の調製
実施例1において、シリカ系被膜形成用塗布液(5)を用い、8回塗布、乾燥、硬化を繰り返した以外は同様にして透明被膜付マイクロレンズアレイ(5)を調製した。
透明被膜付マイクロレンズアレイを備えた液晶表示素子(5)の作成
実施例1において、透明被膜付マイクロレンズアレイ(5)を用いた以外は同様にして液晶表示素子(5)を作成した。液晶表示素子(5)について透光性、色ムラ、コントラストムラを観察したがいずれも良好で変化もなかった。
シリカ系微粒子(2)分散液の調製
99.5重量%濃度のエタノール(関東化学(株)製)43916g、エチルシリケート(多摩化学工業(株)製)8452gと純水29189gからなる敷き水81557gを調製した。
次に、前記敷き水81557gを65℃の温度に加熱して保持し、これに5重量%濃度のアンモニア水1998gを30分かけて撹拌下で添加した。添加終了後、さらに前記温度に保って3時間、熟成操作を行い、3.1重量%のシリカ系微粒子を含む水−エタノール分散液(以下、「水−エタノール分散液」という。)83555gを得た。
次いで、得られた水−エタノール分散液を室温まで冷却し、該水−エタノール分散液のうち83555gに、純水53343gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタ(旭化成(株)製、ACP−2013)を用いて、その重量が18711gになるまで濃縮した。これにより、該水−エタノール分散液中に含まれる前記エチルシリケートの未反応物や中間反応物などを除去した水−エタノール分散液(以下、「水−エタノール精製液」という。)18711gを得た。
次に、調製した前記水―エタノール精製液を10150g取り出し、29重量%濃度のアンモニア水47gを加えて撹拌した後、オートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製、TAS−13型)に入れて、150℃の温度で15時間、処理して、該水―エタノール精製液中に含まれるシリカ系微粒子の熟成を行った。
次に、これを室温まで冷却して得られた水―エタノール精製液(熟成液)を10045g取り出し、純水13020gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。更に純水13020gを加えて攪拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮する作業を2回繰り返した。これにより、前記シリカ系微粒子中に含まれるアンモニアを一部除去した水―エタノール精製液9998gを得た。
次いで、上記で得られた水―エタノール精製液9998gに、エタノール(和光純薬工業(株)製)13331gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて濾過し、その重量が9998gになるまで濃縮した。さらに、エタノール13331gを加えて撹拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。これにより、前記水―エタノール分散液中に含まれる水を溶媒置換させた水―エタノール分散液9998gを得た。
この水―エタノール分散液にエタノール2600gを加えて該分散液中に含まれるシリカ系微粒子の濃度を10重量%に調整し、さらにロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)を用いて濃縮して、SiO2濃度19.4重量%のシリカ系微粒子(2)水−エタノール分散液6494gを得た。
このようにして得られたシリカ系微粒子(2)の平均粒子径は12nmであった。
また、シリカ系微粒子(2)水−エタノール分散液中の塩基性触媒成分(ここではNH4OH)の濃度は690ppmであった。シリカ系微粒子(2)中の塩基性触媒成分の含有量は660ppmであった。
珪素化合物(2)分散液の調製
シリカ系微粒子(2)水−エタノール分散液6050gにメチルトリメトキシシラン(MTMS、信越化学工業(株)製)1778gと0.44重量%濃度の硝酸(関東化学(株)製)の水溶液1409gとを混合した。この時、分散液のpHは2.4であった。ついで、室温から徐々に50℃の温度まで加熱した。さらに、この温度(50℃)に保って200rpmの速度で15時間、攪拌しながら、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解および/または加水分解を行って珪素化合物(2)分散液の調製を調製した。分散液のpHは8.0であった。
シリカ系透明被膜形成用塗布液(6)の調製
珪素化合物(2)分散液に両イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオン SMNUPB)727gを加え、15分間撹拌して塩基性触媒成分を除去した。
次いで、珪素化合物(2)分散液をロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製:RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP、日本乳化剤(株)製)と溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で50重量%に調整して、シリカ系被膜形成用塗布液(6)を調製した。
シリカ系被膜形成用塗布液(6)について、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度を測定し、また、塗布液の安定性を評価し、結果を表に示す。
透明被膜付マイクロレンズアレイ(6)の調製
実施例1において、シリカ系被膜形成用塗布液(6)を用い、10回塗布、乾燥、硬化を繰り返した以外は同様にして透明被膜付マイクロレンズアレイ(6)を調製した。
透明被膜付マイクロレンズアレイを備えた液晶表示素子(6)の作成
実施例1において、透明被膜付マイクロレンズアレイ(6)を用いた以外は同様にして液晶表示素子(6)を作成した。液晶表示素子(6)について透光性、色ムラ、コントラストムラを観察したがいずれも良好で変化もなかった。
シリカ系微粒子(3)分散液の調製
99.5重量%濃度のエタノール(関東化学(株)製)380gと純水256gからなる敷き水636gを調製した。99.5重量%濃度のエタノール16051gとエチルシリケート(多摩化学工業(株)製)を8452g加えて撹拌したエチルシリケート溶液24503gを調製した。
次に、前記敷き水636gを65℃の温度に加熱して保持し、これに前記エチルシリケート溶液24503gおよび1.9重量%濃度のアンモニア水8715gを同時に10時間かけて撹拌下で添加した。添加終了後、さらに前記温度に保って3時間、熟成操作を行い、7.7重量%のシリカ系微粒子を含む水−エタノール分散液(以下、「水−エタノール分散液」という。)33854gを得た。
次いで、得られた水−エタノール分散液を室温まで冷却し、該水−エタノール分散液のうち31860gに、純水20340gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタ(旭化成(株)製、ACP−2013)を用いて、その重量が18711gになるまで濃縮した。これにより、該水−メタノール分散液中に含まれる前記エチルシリケートの未反応物や中間反応物などを除去した水−メタノール分散液(以下、「水−エタノール精製液」という。)18711gを得た。
次に、調製した前記水―エタノール精製液を10150g取り出し、29重量%濃度のアンモニア水47gを加えて撹拌した後、オートクレーブ(耐圧ガラス工業(株)製、TAS−13型)に入れて、150℃の温度で15時間、処理して、該水―エタノール精製液中に含まれるシリカ系微粒子の熟成を行った。
次に、これを室温まで冷却して得られた水―エタノール精製液(熟成液)を10045g取り出し、純水13020gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。更に純水13020gを加えて攪拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮する作業を2回繰り返した。これにより、前記シリカ系微粒子中に含まれるアンモニアを一部除去した水―エタノール精製液9998gを得た。
次いで、上記で得られた水―エタノール精製液9998gに、エタノール(和光純薬工業(株)製)13331gを加えて撹拌した後、25℃の温度条件下で限外濾過フィルタを用いて濾過し、その重量が9998gになるまで濃縮した。さらに、エタノール13331gを加えて撹拌した後、再度、前記限外濾過フィルタを用いて、その重量が9998gになるまで濃縮した。これにより、前記水―エタノール分散液中に含まれる水を溶媒置換させた水―エタノール分散液9998gを得た。
この水―エタノール分散液にエタノール2600gを加えて該分散液中に含まれるシリカ系微粒子の濃度を10重量%に調整し、さらにロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製 RE20EU)を用いて濃縮して、SiO2濃度19.4重量%のシリカ系微粒子(3)水−エタノール分散液6494gを得た。
このようにして得られたシリカ系微粒子(3)の平均粒子径は52nmであった。
また、シリカ系微粒子(3)水−エタノール分散液中の塩基性触媒成分(ここではNH4OH)の濃度は710)ppmであった。シリカ系微粒子(3)中の塩基性触媒成分の含有量は680ppmであった。
珪素化合物(3)分散液の調製
シリカ系微粒子(3)水−エタノール分散液6050gにメチルトリメトキシシラン(MTMS、信越化学工業(株)製)1778gと0.44重量%濃度の硝酸(関東化学(株)製)の水溶液1409gとを混合した。この時、分散液のpHは2.4であった。ついで、室温から徐々に50℃の温度まで加熱した。さらに、この温度(50℃)に保って200rpmの速度で15時間、攪拌しながら、前記メチルトリメトキシシランの部分加水分解および/または加水分解を行って珪素化合物(3)分散液の調製を調製した。分散液のpHは8.0であった。
シリカ系透明被膜形成用塗布液(7)の調製
珪素化合物(3)分散液に両イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオン SMNUPB)727gを加え、15分間撹拌して塩基性触媒成分を除去した。
次いで、珪素化合物(3)分散液をロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製:RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP、日本乳化剤(株)製)と溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で50重量%に調整して、シリカ系被膜形成用塗布液(7)を調製した。
シリカ系被膜形成用塗布液(7)について、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度を測定し、また、塗布液の安定性を評価し、結果を表に示す。
透明被膜付マイクロレンズアレイ(7)の調製
実施例1において、シリカ系被膜形成用塗布液(7)を用い、10回塗布、乾燥、硬化を繰り返した以外は同様にして透明被膜付マイクロレンズアレイ(7)を調製した。
透明被膜付マイクロレンズアレイを備えた液晶表示素子(7)の作成
実施例1において、透明被膜付マイクロレンズアレイ(7)を用いた以外は同様にして液晶表示素子(7)を作成した。液晶表示素子(7)について透光性、色ムラ、コントラストムラを観察したがいずれも良好で変化もなかった。
比較例1
シリカ系透明被膜形成用塗布液(R1)の調製
実施例1と同様にして調製した珪素化合物(1)分散液を両イオン交換樹脂処理することなく、ロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製:RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP)(日本乳化剤(株)製)と溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で50重量%を目標に濃縮を進めたが途中で増粘したので被膜形成用塗布液(R1)の調製を中止した。
比較例2
シリカ系透明被膜形成用塗布液(R2)の調製
実施例1と同様にして調製した珪素化合物(1)分散液に両イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:ダイヤイオン SMNUPB)182gを加え、5分間撹拌してイオン性塩基性窒素化合物を除去した。
次いで、珪素化合物(1)分散液をロータリーエバポレーター(柴田科学(株)製:RE20EU)に供して、該分散液中に含まれる水やエタノールなどをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(PGP、日本乳化剤(株)製)と溶媒置換した。さらに、この溶媒置換されたPGP溶液中に含まれる珪素化合物の含有量を、SiO2基準で50重量%に調整して、シリカ系被膜形成用塗布液(R2)を調製した。
シリカ系被膜形成用塗布液(R2)について、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度を測定し、また、塗布液の安定性を評価し、結果を表に示す。
透明被膜付マイクロレンズアレイ(R2)の調製
実施例1において、シリカ系被膜形成用塗布液(R2)を用いた以外は同様にして透明被膜付マイクロレンズアレイ(R2)を調製した。
透明被膜付マイクロレンズアレイを備えた液晶表示素子(R2)の作成
透明被膜にクラックの生成が認められたため液晶表示素子(R2)の作成はしなかった。
比較例3
シリカ系透明被膜形成用塗布液(R3)の調製
実施例1において、SiO2基準で20重量%に調整した以外は同様にしてシリカ系被膜形成用塗布液(R3)を調製した。
シリカ系被膜形成用塗布液(R3)について、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度を測定し、また、塗布液の安定性を評価し、結果を表に示す。
透明被膜付マイクロレンズアレイ(R3)の調製
実施例1において、シリカ系被膜形成用塗布液(R3)を用い、25回塗布、乾燥、硬化を繰り返した以外は同様にして透明被膜付マイクロレンズアレイ(R3)を調製した。
透明被膜付マイクロレンズアレイを備えた液晶表示素子(R3)の作成
実施例1において、透明被膜付マイクロレンズアレイ(R3)を用いた以外は同様にして液晶表示素子(R3)を作成した。液晶表示素子(R3)について透光性、色ムラ、コントラストムラを観察したがいずれも良好で変化もなかった。
比較例4
シリカ系透明被膜形成用塗布液(R4)の調製
比較例1において、SiO2基準で20重量%に調整した以外は同様にしてシリカ系被膜形成用塗布液(R4)を調製した。
シリカ系被膜形成用塗布液(R4)について、有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度を測定し、また、塗布液の安定性を評価し、結果を表に示す。
透明被膜付マイクロレンズアレイ(R4)の調製
実施例1において、シリカ系被膜形成用塗布液(R4)を用い、25回塗布、乾燥、硬化を繰り返した以外は同様にして透明被膜付マイクロレンズアレイ(R4)を調製した。
透明被膜付マイクロレンズアレイを備えた液晶表示素子(R4)の作成
実施例1において、透明被膜付マイクロレンズアレイ(R4)を用いた以外は同様にして液晶表示素子(R4)を作成した。液晶表示素子(R4)について透光性、色ムラ、コントラストムラを観察したがいずれも良好で変化もなかった。
Figure 2010150361

Claims (7)

  1. シリカ系微粒子と有機珪素化合物とを塩基性触媒成分を用いて水−アルコール溶媒中で反応させた後、有機分散媒で溶媒置換して得られる珪素化合物を含有する塗布液であって、該塗布液の固形分濃度が30〜70重量%の範囲にあり、前記有機分散媒中の塩基性触媒成分の濃度が10ppm以下であることを特徴とするシリカ系透明被膜形成用塗布液。
  2. 前記シリカ系微粒子が下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを水−アルコール溶媒中で加水分解・重縮合して得られるシリカ系微粒子であり、前記有機珪素化合物が下記一般式(I) で表されるアルコキシシランおよびその部分加水分解物および下記一般式(II)で表されるハロゲン化シランおよびその部分加水分解物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のシリカ系透明被膜形成用塗布液。
    nSi(OR’)4-n ・・・ (I)
    nSiX4-n ・・・ (II)
    (式中、Rは水素原子、フッ素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、フッ素置換アルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、R’は水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ビニル基もしくはフェニル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。また、nは0〜3の整数である。)
  3. 前記溶媒置換の前に陽イオン交換樹脂または両イオン交換樹脂で処理したものであることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカ系透明被膜形成用塗布液。
  4. 前記シリカ系微粒子が200〜1100重量ppmの範囲の塩基性触媒成分を含有し、該シリカ系微粒子を含む分散液の加熱によって放出される塩基性触媒成分が少なくとも存在する条件下、前記反応が行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシリカ系透明被膜形成用塗布液。
  5. 前記分散液がさらに塩基性触媒成分および/または酸性触媒成分を含むことを特徴とする請求項4記載のシリカ系透明被膜形成用塗布液。
  6. 前記透明被膜の膜厚が5〜50μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5に記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
  7. 固形分濃度が30〜70重量%の範囲にある請求項1〜5に記載のシリカ系透明被膜形成用塗布液。
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