JP2010149664A - 格納式車両用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単かつ安価な構造でありながら、座部の格納位置への回転移動に連動させて背凭れ部を前傾位置まで回転させ、かつ、座部の使用位置への回転移動に連動させて背凭れ部を起立位置まで回転させることが可能な格納式車両用シートを提供する。
【解決手段】該座部27をシート設置面11の直上位置と格納用凹部12の内部とに回転しながら移動させる第1リンク23及び第2リンク33と、背凭れ部30に設けた係合ピン41と、第2リンクとに設けた、係合ピンが相対移動可能に係合し、座部が格納用凹部の内部に位置するときは背凭れ部を前傾位置まで回転させ、かつ座部がシート設置面の直上に位置するときは背凭れ部を起立位置まで回転させる案内溝37と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、格納式車両用シートに関する。
格納用凹部とシート設置面を前後位置をずらして形成した車両床面に、リンク機構を介して座部を回転可能に支持し、この座部に背凭れ部を回転可能に接続した格納式車両用シートは、座部をシート設置面の直上に位置させることにより着座可能にするときは、背凭れ部を座部に対して略直交する起立位置まで回転させ、座部を格納用凹部に収納するときは、背凭れ部を座部と略平行をなす前傾位置まで回転させ、背凭れ部も格納用凹部に収納する。
このように格納式車両用シートでは、座部の位置に応じて背凭れ部の回転位置を変えなければならないが、これを乗客が手作業で行うのは面倒である。
特許文献1の格納式車両用シートはこのような問題を解決した従来技術であり、座部をシート設置面の直上位置から格納用凹部の内部に回転移動させるときの回転動作に連動させて、起立位置に位置していた背凭れ部を前傾位置まで回転させる連動機構を備えている。
特開2008−62740号公報
特許文献1の格納式車両用シートは、座部を格納用凹部からシート設置面の直上位置まで回転移動させるときは、この回転動作と背凭れ部が連動しないので、この場合は乗客が手動で背凭れ部を起立位置まで回転させなければならない。
さらに、座部の回転移動動作と背凭れ部の回転動作を連動させるための連動機構が複雑なため、製造コストが高くなってしまうという欠点もある。
本発明の目的は、座部の格納位置への回転移動に連動させて背凭れ部を前傾位置まで回転させ、かつ、座部の使用位置への回転移動に連動させて背凭れ部を起立位置まで回転させることが可能であり、しかも簡単かつ安価な構造である格納式車両用シートを提供することにある。
本発明の格納式車両用シートは、座部、及び、該座部と略平行な前傾位置と略直交する起立位置との間を回転可能として座部に接続する背凭れ部と、互いの前後位置をずらしたシート設置面と格納用凹部とを備える車両床面と、座部とに、車幅方向に延びる回転軸回りに回転可能として接続し、該座部を上記シート設置面の直上位置と上記格納用凹部の内部とに回転しながら移動させる第1リンク及び第2リンクと、上記座部が上記シート設置面の直上位置と上記格納用凹部の内部にそれぞれ移動したときに、該座部を上記シート設置面と上記格納用凹部にそれぞれ固定するロック機構と、該第2リンクと上記背凭れ部の間に設けた、上記座部が上記格納用凹部の内部に位置するときは該背凭れ部を上記前傾位置まで回転させ、かつ上記座部が上記シート設置面の直上に位置するときは上記背凭れ部を上記起立位置まで回転させる連動機構と、を備えることを特徴としている。
上記連動機構は、例えば、上記第2リンクにおける上記座部との接続位置を挟んで車両床面側と反対側に位置する部分と上記背凭れ部の一方に設けた係合ピンと、上記第2リンクと上記背凭れ部の他方に設けた、上記係合ピンが相対移動可能に係合し、上記座部が上記格納用凹部の内部に位置するときは該背凭れ部を上記前傾位置まで回転させ、かつ上記座部が上記シート設置面の直上に位置するときは上記背凭れ部を上記起立位置まで回転させる案内溝と、を備えるものとして構成できる。
また、上記連動機構を、該第2リンクにおける上記座部との接続位置を挟んで車両床面側と反対側に位置する部分と上記背凭れ部とに、上記回転軸と平行な回転軸回りに回転可能に接続し、上記座部が上記格納用凹部の内部に位置するときは該背凭れ部を上記前傾位置まで回転させ、かつ上記座部が上記シート設置面の直上に位置するときは上記背凭れ部を上記起立位置まで回転させる連係リンクによって構成してもよい。
さらに、上記連動機構を、該第2リンクにおける上記座部との接続位置を挟んで車両床面側と反対側に位置する部分に設けた第1ギヤと、上記背凭れ部に設けた、上記第1ギヤと噛合することにより、上記座部が上記格納用凹部の内部に位置するときは該背凭れ部を上記前傾位置まで回転させ、かつ上記座部が上記シート設置面の直上に位置するときは上記背凭れ部を上記起立位置まで回転させる第2ギヤと、を備えるものとすることも可能である。
本発明によれば、座部が格納位置(格納用凹部に収納される位置)に回転移動したときは背凭れ部が前傾位置まで自動的に回転し、座部が使用位置(シート設置面の直上位置)まで回転移動したときは背凭れ部が起立位置まで自動的に回転する。
しかも、座部と背凭れ部の回転動作を連動させるための連動機構を、請求項2のように係合ピンと案内溝によって実現したり、請求項4のように第1ギヤと第2ギヤによって実現すれば、連動機構の構造を簡単にし、製造コストを低くすることが可能になある。さらに、請求項3ではピン、溝、ギヤ機構などを必要せず、リンク機構のみによって連動機構を構成しているので、連動機構の構造がさらに簡単であり、製造コストをさらに低くすることが可能である。
さらに、ロック機構によって座部をシート設置面と格納用凹部のいずれかに固定するだけで、座部のみならず背凭れ部も含むシート全体の姿勢を保持できる。
以下、本発明の第1の実施形態について図1から図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明中における前後方向は図中の各矢印方向を基準としている。
図示するように、車両床面10にはシート設置面11と格納用凹部12が前後位置をずらして形成してある。格納用凹部12は車両床面10に凹設した凹部であり、シート設置面11の後方に位置している。さらに、シート設置面11の前部と後部には共に正面視倒立U字形状をなすストライカ13とストライカ14が固定してあり、格納用凹部12の底面の後部には正面視倒立U字形状をなす格納用ストライカ15が固定してある(図7参照)。また、シート設置面11には、ストライカ13の上部を構成する水平な被ロック部との間に隙間を形成するクッション部材Cが固着してある。
続いて、車両床面10に取り付けた格納式車両用シート20の構造について説明する。
格納用凹部12の底面の前端部には左右一対の支持ブラケット21が固定してある。左右の支持ブラケット21の内側面には直線的に延びる第1リンク23の下端部が左右方向に延びる回転軸24を介して回転可能に接続している。左右の第1リンク23の他端部の間にはシートクッション(座部)27の後端部が位置しており、左右の第1リンク23はシートクッション27の両側面の後端部に、回転軸24と平行な回転軸25を介して回転可能に接続している。シートクッション27の内部には、図示を省略したシートクッションフレーム(座部)が左右一対として設けてあり、左右のシートクッションフレームの後端部はシートクッション27の上方に突出している。
左右のシートクッションフレームの後端部にはシートバッククッション29の下端部が接続している。左右のシートクッションフレームの後端部はシートバッククッション29の下端部の内部に相対回転可能に進入している。さらに、シートバッククッション29の両側面の下部には側面視L字形をなす接続部材(背凭れ部)30が固着してあり、左右のシートクッションフレームの後端部と左右の接続部材30の中間部とが、回転軸24と平行な回転接続軸31によって相対回転可能に接続している。そのため、シートバッククッション29(及び接続部材30)はシートクッション27(シートクッションフレーム)に対して、略直交する起立位置(図1の位置)と、略平行をなす前傾位置(図7の位置)との間を回転可能である。
また、左右の支持ブラケット21の外側面には第1リンク23の直前に位置する第2リンク33の下端部が回転軸24と平行な回転軸34によって回転可能に接続してあり、さらに第2リンク33の上端部近傍部がシートクッション27の両側面に回転軸24と平行な回転軸35によって回転可能に接続している。従って、このように第1リンク23と第2リンク33がシートクッション27を車両床面10に対して回転移動可能に支持しているので、シートクッション27はシート設置面11の直上に位置する使用位置(図1の位置)と、格納用凹部12の内部に収納される格納位置(図7の位置)との間を前後方向に移動可能である。さらに、図示するように、第1リンク23と、第2リンク33の下端部と回転軸35を設けた部分の間の部分とが、互いに平行をなす平行リンク機構を構成しているので、シートクッション27はいずれの位置を回転移動するときも車両床面10(シート設置面11)に対して平行(略水平)になる。
左右の第2リンク33の上端部は側面視略L字形の接続部36となっており、左右の接続部36は左右の接続部材30の外側に位置している。図示するように、左右の接続部36には接続部36と略相似形をなす案内溝37が貫通溝として形成してある。図示するように、案内溝37は、第1リンク23と平行な第1溝部38と、第1溝部38に対して略直交する円弧形状の第2溝部39とを有している。さらに、左右の接続部材30の前端部の外側面には左右方向に延び、かつ対向する案内溝37に相対移動可能に嵌合する係合ピン41が突設してある。係合ピン41は円柱形状であり、その径は案内溝37の幅と略同一なので、係合ピン41は案内溝37の内面に接触しながら(案内溝37に対してがたつくことなく)案内溝37の内部を移動可能である。
この案内溝37と係合ピン41は、第2リンク33の回転動作とシートクッション27に対するシートバッククッション29の回転動作を連動させるための連動機構の構成要素である。
シートクッション27の下面の前部には、ストライカ13の上記被ロック部とクッション部材Cの間への進入及び脱出が可能で、進入することによりストライカ13の上記被ロック部と係合する略水平(車両床面10と略平行)な先端係合片を備えるロック部材45が固定してある。
一方、シートクッション27の下面の後部には、ストライカ14及び格納用ストライカ15とそれぞれ係脱可能なロック機構47が設けてある(図2及び図4参照)。ロック機構47は、シートクッション27の下面に固定したロック用ブラケット48と、ロック用ブラケット48に回転軸51回りに回転可能に取り付けたフック52と、フック52の直前に位置しかつロック用ブラケット48に回転軸56回りに回転可能に取り付けたポール57と、フック52とポール57の上端部どうしを互いに近づく方向に付勢する引張バネS1と、を備えている。ロック用ブラケット48の下端部には上方に向かって延びるストライカ進入溝49と、回転軸56を中心とする円弧である円弧溝50が設けてある。フック52は係合溝53と係合突部54とを具備しており、ポール57は係合突部54と係脱可能な係合突部58と、円弧溝50に移動可能に嵌合する嵌合ピン59と、を備えている。図2及び図4に示すように、ポール57には連係ワイヤWの一端が固着してあり、連係ワイヤWの他端はシートクッション27の側面に設けたロック解除スイッチSWに接続している。ロック解除スイッチSWは図1に示すロック許容位置と図示を省略したロック解除位置との間をスライド可能であり、常時は付勢手段(図示略)の付勢力によってロック許容位置に保持されている。ロック解除スイッチSWがロック許容位置に位置するときは連係ワイヤWからポール57に外力が及ばないので、ストライカ進入溝49及び係合溝53にストライカ14又は格納用ストライカ15が進入しているとき、ロック機構47は、フック52の係合突部54がポール57の後面の下部に接触するロック状態(図1、図2及び図7に示す状態)となる。一方、ロック解除スイッチSWをロック解除位置までスライドさせると連係ワイヤWによってポール57が引張バネS1の付勢力に抗して反時計方向に回転するので、係合突部58と係合突部54が非係合状態となる。その結果、フック52が反時計方向に回転しフック52の係合突部54がポール57の側面に係合するので、ロック機構47は図3から図6に示すアンロック状態となる。
次に格納式車両用シート20の動作について説明する。
まず、格納式車両用シート20が図1の位置から図7の位置まで後方に回転移動するときの動作について説明する。
図1に示すように格納式車両用シート20が使用位置に位置し、かつロック解除スイッチSWがロック許容位置に位置すると、ロック部材45がストライカ13の上記被ロック部とクッション部材Cの間に位置しながら該被ロック部に係合するので、第1リンク23及び第2リンク33はこれ以上反時計方向に回転することは出来ない。さらに、ロック機構47はロック状態となってストライカ14をロックする。
この状態でロック解除スイッチSWをロック解除位置までスライドさせると、ロック機構47がアンロック状態になるので、図3に示すようにロック機構47(フック52)がストライカ14を解放する。従って、シートクッション27またはシートバッククッション29を後方に押圧すると(その後にロック解除スイッチSWをロック許容位置まで戻す)、第1リンク23及び第2リンク33が時計方向に回転するので、ロック部材45がストライカ13とクッション部材Cの間からストライカ13の後方に脱出し、シートクッション27が使用位置から後方に回転移動する。さらに、図1のときは案内溝37の第2溝部39の先端部に位置していた係合ピン41が、案内溝37の内部を第2溝部39の他端側(第1溝部38との接続端部側)に移動するので、起立位置に位置していたシートバッククッション29がシートクッション27に対して僅かに前傾位置側に回転する(図3参照)。
シートクッション27(及びシートバッククッション29)を図5に示す位置まで後方に回転移動させると、係合ピン41は第2溝部39と第1溝部38の接続部(案内溝37の中間屈曲部)を通過して第1溝部38の中間部まで移動し、シートバッククッション29が図3の位置よりもさらに前傾位置側に回転する。シートクッション27をさらに図6に示す位置まで後方に回転移動させると、係合ピン41は図5とほぼ同じ位置において回転するので、シートバッククッション29が図5の位置よりもさらに前傾位置側に回転する。
そして、シートクッション27が図7に示す格納位置まで回転移動すると、格納用ストライカ15がアンロック状態にあるロック機構47のストライカ進入溝49に進入し、かつ係合溝53に係合しながらフック52を引張バネS1の付勢力に抗して時計方向に回転させる。すると、係合突部54が係合突部58を上方に乗り越えた時に引張バネS1の付勢力によってポール57が時計方向に回転し、係合突部58が係合突部54の下面に係合するので、ロック機構47がロック状態となる。そのため、ロック機構47が格納用ストライカ15をロックし、シートクッション27が格納位置に保持される。さらに、係合ピン41が第2溝部39と第1溝部38の接続部(案内溝37の中間屈曲部)まで移動することにより、シートバッククッション29が前傾位置まで回転し、シートバッククッション29も格納用凹部12の内部に収納される格納位置まで移動する。
次いで、格納式車両用シート20が図7の位置から図1の位置まで前方に回転移動するときの動作について説明する。
この場合も、先ずは使用位置に位置するロック解除スイッチSWをロック解除位置までスライドさせる。すると、ロック状態にあったロック機構47がアンロック状態になり、ロック機構47(フック52)が格納用ストライカ15を解放する。従って、シートクッション27またはシートバッククッション29を前方に押圧すると(その後にロック解除スイッチSWをロック許容位置まで戻す)、第1リンク23及び第2リンク33が反時計方向に回転するので、格納式車両用シート20の各構成部材が上記と逆の動作を行い、シートクッション27が図6、図5及び図3の位置を経て図1に示す使用位置まで回転移動する。すると、ロック部材45がストライカ13の上記被ロック部とクッション部材Cの間に位置しながら該被ロック部に係合し、かつ、ロック機構47がロック状態となってストライカ14をロックする。
以上説明したように本実施形態の格納式車両用シート20は、シートクッション27が使用位置から格納位置まで回転移動するときはシートバッククッション29が前傾位置まで自動的に回転し、かつ、シートクッション27が格納位置から使用位置まで回転移動するときはシートバッククッション29が起立位置まで自動的に回転するので、乗客が手動でシートバッククッション29を回転させる必要がない。
しかも、シートクッション27とシートバッククッション29の回転動作を連動させるための連動機構が、案内溝37と係合ピン41を利用した簡単な構造なので、低コストで製造可能である。
さらに、格納式車両用シート20がいずれの回転移動位置に位置するときも、シートクッション27は車両床面10(シート設置面11)と平行(略水平)な状態を維持するので、回転移動位置に応じてシートクッション27の車両床面10に対する傾斜角度が変化する場合に比べて、格納式車両用シート20の車両床面10に対する回転移動動作を安定した状態で行うことが可能である。
また、シートクッション27が格納位置側から使用位置まで移動するとき、及び、使用位置から格納位置側に移動するときもシートクッション27は水平状態を維持するので、ロック部材45をストライカ13とクッション部材Cの隙間に円滑に係脱させることが出来る。このように、シートクッション27を水平状態に維持することによって、シートクッション27の前側のロック手段としてロック機構47に比べて構造が簡単で製造コストが低いロック部材45を利用できるので、前側のロック手段としてロック機構47を利用した場合に比べて製造コストを低くすることが可能である。
さらに、シートクッション27が使用位置に位置するときにロック機構47がストライカ14をロックすると(図1の状態)、回転接続軸31を中心としかつ係合ピン41を通る円弧形状が第2溝部39の円弧形状と一致せず、かつ、シートクッション27が格納位置に位置するときにロック機構47が格納用ストライカ15をロックすると(図7の状態)、回転接続軸31を中心としかつ係合ピン41を通る円弧形状が第2溝部39の円弧形状及び第1溝部38の形状と一致しない。そのため、シートクッション27が使用位置と格納位置に位置するとき、シートクッション27を使用位置と格納位置に固定できるだけでなく、シートバッククッション29を起立位置と前傾位置とに保持できる。
次に、本発明の第2の実施形態について図8から図12を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
格納用凹部12の底面の前端部には左右一対の支持ブラケット61が固定してあり、左右の支持ブラケット61の外側面には直線的に延びる第1リンク63の下端部が左右方向に延びる回転軸64を介して回転可能に接続している。左右の第1リンク63の上端部の間にはシートクッション27の後端部が位置しており、左右の第1リンク63はシートクッション27の両側面の後端部に、回転軸64と平行な回転軸65を介して回転可能に接続している。
また、左右の支持ブラケット61の外側面には第2リンク67の下端部が回転軸64と平行な回転軸68によって回転可能に接続してあり、さらに第2リンク67の上端部近傍部が、シートクッションフレームの後端部の外側面に回転軸64と平行な回転軸69によって回転可能に接続している。このように第1リンク63と第2リンク67がシートクッション27を車両床面10に対して回転移動可能に支持しているので、本実施形態でもシートクッション27は使用位置(図8の位置)と格納位置(図12の位置)との間を前後方向に回転移動可能である。さらに、図示するように、第1リンク63と、第2リンク67の下端部と回転軸69を設けた部分の間の部分とは、互いに平行をなす平行リンク機構を構成しているので、シートクッション27はいずれの位置を回転移動するときも車両床面10(シート設置面11)に対して平行(略水平)になる。第2リンク67の回転軸68側と反対側の端部は側面視略L字形の接続部70となっている。図示するように左右の接続部70には、側面視略L字形をなす案内溝71が貫通溝として形成してある。案内溝71は、第1リンク63と略平行な第1溝部72と、第1溝部72に対して略直交する第2溝部73とを有している。
シートバッククッション29の両側面の下部には接続部材(背凭れ部)75が固定してあり、左右のシートクッションフレームの後端部には、左右の接続部材75が回転軸64と平行な回転接続軸76によって相対回転可能に接続している。そのため、シートバッククッション29はシートクッション27に対して、略直交する起立位置(図8の位置)と、略平行をなす前傾位置(図12の位置)との間を回転可能である。さらに、左右の接続部材75の外側面には左右方向に延び、かつ対向する案内溝71に相対移動可能に嵌合する係合ピン41が突設してある。案内溝71の幅は係合ピン41の径と略同一なので、係合ピン41は案内溝71の内面に接触しながら(案内溝71に対してがたつくことなく)案内溝71の内部を移動可能である。
このように本実施形態の格納式車両用シート60は、支持ブラケット61とシートクッション27に接続する第1リンク63を、支持ブラケット61、シートクッション27及びシートバッククッション29(接続部材75)に接続する第2リンク67の前方に位置させているが、基本動作は第1の実施形態の格納式車両用シート20と同じである。
即ち、図8の位置に位置する格納式車両用シート60を図12の位置まで後方に回転移動するときは、ロック解除スイッチSWを一旦ロック解除位置までスライドさせてロック機構47をアンロック状態にし、ロック機構47(フック52)によるストライカ14のロックを解除する。そして、シートクッション27またはシートバッククッション29を後方に押圧すれば(その後にロック解除スイッチSWをロック許容位置まで戻す)、第1リンク63及び第2リンク67が時計方向に回転するので、ロック部材45がストライカ13とクッション部材Cの間からストライカ13の後方に脱出する。従って、シートクッション27またはシートバッククッション29をさらに後方に押圧すれば、シートクッション27は図12に示す格納位置まで移動し、格納用ストライカ15に押圧されることによりロック状態となったロック機構47(フック52)及びストライカ進入溝49が格納用ストライカ15をロックする。
そして、シートクッション27が図8の使用位置から図12の格納位置まで回転移動する間に、図8において第1溝部72の先端部に位置していた係合ピン41が、シートクッション27が図9の位置まで移動したときには第1溝部72の第2溝部73側の端部まで移動し、シートクッション27が図10の位置まで移動したときには第2溝部73の先端部まで移動し、シートクッション27が図11の位置まで移動したときには第2溝部73の先端部内において回転し、シートクッション27が図12の格納位置まで移動したときには案内溝71の中間屈曲部まで移動する。そして、係合ピン41が案内溝71の内部をこのように移動することによって、図8に示すときには起立位置に位置していたシートバッククッション29が徐々に前傾位置側に回転し、シートクッション27が図12に示す格納位置まで移動したときにシートバッククッション29が前傾位置に到達する。
一方、図12の位置に位置する格納式車両用シート60を図8の位置まで前方に回転移動するときは、ロック解除スイッチSWを一旦ロック解除位置までスライドさせてロック機構47をアンロック状態にし、ロック機構47(フック52)による格納用ストライカ15のロックを解除する。そして、シートクッション27またはシートバッククッション29を前方に押圧すれば(その後にロック解除スイッチSWをロック許容位置まで戻す)、第1リンク63及び第2リンク67が反時計方向に回転するので、やがてシートクッション27が図8に示す使用位置まで移動し、ロック部材45がストライカ13の上記被ロック部とクッション部材Cの間に位置しながら該被ロック部に係合し、かつ、ロック機構47がロック状態となってストライカ14をロックする。
そして、シートクッション27が図12の格納位置から図8の使用位置まで回転移動する間に、係合ピン41が案内溝71の内部を上記とは逆の軌跡で移動するので、シートクッション27が図12に示す格納位置に位置するときには前傾位置に位置していたシートバッククッション29が徐々に起立位置側に回転し、シートクッション27が図8に示す使用位置まで移動したときにシートバッククッション29は起立位置に到達する。
以上説明した第2の実施形態の格納式車両用シート60も、第1の実施形態の格納式車両用シート20と同じ作用効果を発揮することが可能である。
続いて、本発明の第3の実施形態について図13から図15を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
従前の実施形態と比べたときの本実施形態の大きな特徴は、車両床面80に凹設した格納用凹部82をシート設置面81の前方に位置させた点にある。シート設置面81の前端部近傍にはストライカ13が突設してあり、格納用凹部82の後端部近傍には格納用ストライカ15が突設してある。
車両床面80に取り付けた格納式車両用シート90は以下の構成である。
格納用凹部82の底面の後端部近傍には格納用ストライカ15の左右両側に位置する一対の支持ブラケット91が固定してあり、左右の支持ブラケット91の外側面の前端部には左右一対の第1リンク93の下端部が左右方向に延びる回転軸95によって回転可能に接続している。左右の第1リンク93の上端部の間にはシートクッション27の前端部近傍部が位置しており、第1リンク93の上端部は回転軸95と平行な回転軸96によってシートクッション27に回転可能に取り付けてある。
左右の支持ブラケット91の外側面の後端部には左右一対の第2リンク98の下端部が左右方向に延びる回転軸97によって回転可能に接続している。左右の第2リンク98の先端部近傍部は屈曲してあり、該屈曲部より先端側の部分は接続部99を構成している。さらに、接続部99の屈曲部は回転軸97と平行な回転軸101によってシートクッション27の両側面の前端部近傍部に回転可能に取り付けてある。図示するように、第1リンク93と、第2リンク98の回転軸101を設けた部分より支持ブラケット91側に位置する部分とは、互いに平行をなす平行リンク機構を構成しているので、シートクッション27はいずれの位置を回転移動するときも車両床面80(シート設置面81)に対して平行(略水平)になる。
シートバッククッション29の両側面の下部には接続部材(背凭れ部)103が固定してあり、左右のシートクッションフレームの後端部には、左右の接続部材103が回転軸95と平行な回転接続軸104回りに回転可能として接続している。そのため、シートバッククッション29はシートクッション27に対して、略直交する起立位置(図13の位置)と、略平行をなす前傾位置(図15の位置)との間を回転可能である。
左右の第2リンク98の支持ブラケット91側と反対側の端部と左右の接続部材103とには、中間部の2箇所が屈曲した形状の連係リンク106の前後両端部が回転軸95と平行な回転軸107と回転軸108によってそれぞれ回転可能に取り付けてある。
続いて格納式車両用シート90の動作について説明する。
第1リンク93と第2リンク98からなる平行リンク機構は、図13の位置から時計方向に回転することが出来ない構造である。そのため、シートクッション27にはロック部材45を設けておらず、シート設置面81にはロック部材45が係脱するストライカを設けていないものの、ロック部材45とストライカ13によってシートクッション27及びシートバッククッション29が図13の位置より後方に移動するのを確実に規制できる。
図13の位置に位置する格納式車両用シート90を図15の位置まで前方に回転移動するときは、ロック解除スイッチSWを一旦ロック解除位置までスライドさせてロック機構47をアンロック状態にし、ロック機構47(フック52)によるストライカ13のロックを解除する。そして、シートクッション27またはシートバッククッション29を前方に押圧すれば(その後にロック解除スイッチSWをロック許容位置まで戻す)、第1リンク93及び第2リンク98が反時計方向に回転するので、ストライカ13がストライカ進入溝49及び係合溝53から脱出する。従って、シートクッション27またはシートバッククッション29をさらに前方に押圧すれば、シートクッション27は図14に示す状態を経た後に図15に示す格納位置まで移動し、格納用ストライカ15に押圧されることによりロック状態となったロック機構47(フック52)及びストライカ進入溝49が格納用ストライカ15をロックする。
そして、シートクッション27が図13の使用位置から図15の格納位置まで回転移動する間に、連係リンク106を介して第2リンク98と連係している接続部材103が回転接続軸104を中心に反時計方向に回転するので、図13において起立位置に位置していたシートバッククッション29が反時計方向に回転するので、シートクッション27が図15の格納位置に達したときに、シートバッククッション29は前傾位置に到達する。
一方、図15に示す格納位置に位置する格納式車両用シート90を図13に示す使用位置まで後方に回転移動するときは、ロック解除スイッチSWを一旦ロック解除位置までスライドさせてロック機構47をアンロック状態にし、ロック機構47(フック52)による格納用ストライカ15のロックを解除する。そして、シートクッション27またはシートバッククッション29を後方に押圧すれば(その後にロック解除スイッチSWをロック許容位置まで戻す)、第1リンク93及び第2リンク98が時計方向に回転するので、やがてシートクッション27が図13に示す使用位置まで移動し、ロック機構47がロック状態となってストライカ14をロックする。
そして、シートクッション27が格納位置から使用位置まで回転移動する間に、連係リンク106と連係する接続部材103が時計方向に回転するので、シートクッション27が図13に示す使用位置まで移動したときにシートバッククッション29は図13に示す起立位置に位置する。
以上説明した第3の実施形態の格納式車両用シート90も、第1及び第2の実施形態と同じ作用効果を発揮することが可能である。
しかもシートクッション27とシートバッククッション29の回転動作を連動させるための連動機構を連係リンク106によって構成しているので、回転軸35(案内溝71)と係合ピン41によって連動機構を構成する場合に比べて、構造が簡単であり、かつ低コストで製造可能である。
以上本発明を各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な態様での実施が可能である。
例えば、第1及び第2の実施形態において格納用凹部12をシート設置面11の前方に位置させたり、第3の実施形態において格納用凹部82をシート設置面81の後方に位置させてもよい。
また、第1の実施形態において第1リンク23と第2リンク33からなる平行リンク機構を図1の位置より反時計方向に回転できない構造にしたり、第2の実施形態において第1リンク63と第2リンク67からなる平行リンク機構を図8の位置より反時計方向に回転できない構造にすることにより、第1及び第2の実施形態からストライカ13、ロック部材45及びクッション部材Cを省略してもよい。
さらに、ストライカ(被ロック部材)13をシートクッション27側に設けて、ロック部材45を車両床面10、80側に設けてもよい。
また、第1及び第2の実施形態においてシートクッション27が使用位置に位置するとき(図1、図8のとき)に、各平行リンクがそれ以上反時計方向に回転できないようにすることにより、第3の実施形態のように、シートクッション27からロック部材45を省略し、シート設置面11からロック部材45が係脱するストライカを省略してもよい。
さらに、連動機構を図16に示すようなギヤ機構によって構成してもよい。
図16は本変形例のギヤ機構を第1の実施形態に適用したものであり、第2リンク33の一方の端部(回転軸34と反対側の端部)には第1ギヤG1が形成してあり、接続部材30の前端部には第1ギヤG1と噛合する第2ギヤG2が形成してある。この第1ギヤG1と第2ギヤG2によって第2リンク33と接続部材30の回転動作を連動させることにより、シートクッション27が使用位置に位置するときにシートバッククッション29を起立位置に位置させ、かつシートクッション27が格納位置に位置するときにシートバッククッション29を前傾位置に位置させてもよい。
同様に、第2の実施形態の第2リンク67と接続部材75に第1ギヤG1と第2ギヤG2を形成してもよい。また、第3の実施形態において、第2リンク98と接続部材103の少なくとも一方を他方に向かって延ばした上で、両者の端部に第1ギヤG1と第2ギヤG2を形成し、かつ、連係リンク106を省略してもよい。
本発明の第1の実施形態の格納式車両用シートの使用位置に位置するときの側面図である。 ロック状態にあるロック機構とストライカの一部を断面視して示す拡大側面図である。 使用位置から格納位置側に回転した格納式車両用シートの側面図である。 アンロック状態にあるロック機構の拡大側面図である。 さらに格納位置側に回転したときの格納式車両用シートの側面図である。 さらに格納位置側に回転したときの格納式車両用シートの側面図である。 格納位置まで回転した格納式車両用シートの側面図である。 本発明の第2の実施形態の格納式車両用シートの使用位置に位置するときの側面図である。 使用位置から格納位置側に回転した格納式車両用シートの側面図である。 さらに格納位置側に回転したときの格納式車両用シートの側面図である。 さらに格納位置側に回転したときの格納式車両用シートの側面図である。 格納位置まで回転した格納式車両用シートの側面図である。 本発明の第3の実施形態の格納式車両用シートの使用位置に位置するときの側面図である。 使用位置から格納位置側に回転した格納式車両用シートの側面図である。 格納位置まで回転した格納式車両用シートの側面図である。 連係機構の変形例の拡大側面図である。
符号の説明
10 車両床面
11 シート設置面
12 格納用凹部
13 ストライカ(被ロック部材)
14 ストライカ
15 格納用ストライカ
20 格納式車両用シート
21 支持ブラケット
23 第1リンク
24 25 回転軸
27 シートクッション(座部)
29 シートバッククッション
30 接続部材(背凭れ部)
31 回転接続軸
33 第2リンク
34 35 回転軸
36 接続部
37 案内溝(連動機構)
38 第1溝部
39 第2溝部
41 係合ピン(連動機構)
45 ロック部材
47 ロック機構
48 ロック用ブラケット
49 ストライカ進入溝
50 円弧溝
51 回転軸
52 フック
53 係合溝
54 係合突部
56 回転軸
57 ポール
58 係合突部
59 嵌合ピン
60 格納式車両用シート
61 支持ブラケット
63 第1リンク
64 65 回転軸
67 第2リンク
68 69 回転軸
70 接続部
71 案内溝(連動機構)
72 第1溝部
73 第2溝部
75 接続部材(背凭れ部)
76 回転接続軸
80 車両床面
81 シート設置面
82 格納用凹部
90 格納式車両用シート
91 支持ブラケット
93 第1リンク
95 96 97 回転軸
98 第2リンク
99 接続部
101 回転軸
103 接続部材(背凭れ部)
104 回転接続軸
106 連係リンク(連動機構)
107 108 回転軸
C クッション部材
G1 第1ギヤ(連動機構)
G2 第2ギヤ(連動機構)
S1 引張バネ
SW ロック解除スイッチ
W 連係ワイヤ

Claims (4)

  1. 座部、及び、該座部と略平行な前傾位置と略直交する起立位置との間を回転可能として座部に接続する背凭れ部と、
    互いの前後位置をずらしたシート設置面と格納用凹部とを備える車両床面と、座部とに、車幅方向に延びる回転軸回りに回転可能として接続し、該座部を上記シート設置面の直上位置と上記格納用凹部の内部とに回転しながら移動させる第1リンク及び第2リンクと、
    上記座部が上記シート設置面の直上位置と上記格納用凹部の内部にそれぞれ移動したときに、該座部を上記シート設置面と上記格納用凹部にそれぞれ固定するロック機構と、
    該第2リンクと上記背凭れ部の間に設けた、上記座部が上記格納用凹部の内部に位置するときは該背凭れ部を上記前傾位置まで回転させ、かつ上記座部が上記シート設置面の直上に位置するときは上記背凭れ部を上記起立位置まで回転させる連動機構と、
    を備えることを特徴とする格納式車両用シート。
  2. 請求項1記載の格納式車両用シートにおいて、
    上記連動機構が、
    上記第2リンクにおける上記座部との接続位置を挟んで車両床面側と反対側に位置する部分と上記背凭れ部の一方に設けた係合ピンと、
    上記第2リンクと上記背凭れ部の他方に設けた、上記係合ピンが相対移動可能に係合し、上記座部が上記格納用凹部の内部に位置するときは該背凭れ部を上記前傾位置まで回転させ、かつ上記座部が上記シート設置面の直上に位置するときは上記背凭れ部を上記起立位置まで回転させる案内溝と、
    を備える格納式車両用シート。
  3. 請求項1記載の格納式車両用シートにおいて、
    上記連動機構が、
    該第2リンクにおける上記座部との接続位置を挟んで車両床面側と反対側に位置する部分と上記背凭れ部とに、上記回転軸と平行な回転軸回りに回転可能に接続し、上記座部が上記格納用凹部の内部に位置するときは該背凭れ部を上記前傾位置まで回転させ、かつ上記座部が上記シート設置面の直上に位置するときは上記背凭れ部を上記起立位置まで回転させる連係リンクである格納式車両用シート。
  4. 請求項1記載の格納式車両用シートにおいて、
    上記連動機構が、
    該第2リンクにおける上記座部との接続位置を挟んで車両床面側と反対側に位置する部分に設けた第1ギヤと、
    上記背凭れ部に設けた、上記第1ギヤと噛合することにより、上記座部が上記格納用凹部の内部に位置するときは該背凭れ部を上記前傾位置まで回転させ、かつ上記座部が上記シート設置面の直上に位置するときは上記背凭れ部を上記起立位置まで回転させる第2ギヤと、
    を備える格納式車両用シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012071789A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Honda Motor Co Ltd 車両用着脱部品の取付構造

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