JP2010149288A - 合成樹脂製管と合成樹脂製継手の接合方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合成樹脂製管1および合成樹脂製継手2の接合部の両方またはいずれか一方に、ポリウレタン系、変性シリコーン系、エポキシ系およびシリコーン系のうちのいずれか1種以上の成分を含む接着剤(A)を塗布した後、瞬間接着剤(B)を塗布して、前記管1と継手2を接着して、接合する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、塩化ビニル樹脂は、廃棄焼却処理において有害なダイオキシンが発生するとされ、配管材として、環境への負荷の少ない代替材料が求められていた。
なお、ポリエチレン樹脂管やポリプロピレン樹脂管の中には、接着剤の使用を可能とするために、前記管の樹脂成分をカルボキシル基、水酸基等の官能基を有するラジカル重合性モノマーと共重合したり、前記官能基を有するポリマーをブレンドしたりする等の方法により改質した変性ポリマー組成物が用いられているものもある。
このように、ポリエステル樹脂も、前記塩ビ管の代替材料として用いられつつある。
しかしながら、このような方策は、配管が仮固定され、接着剤がある程度硬化するまでの間、施工者が監督のために現場を離れられず、煩わしく、無駄な時間およびコストが生じることが課題となっていた。
上記接合方法によれば、合成樹脂製管の接着工法による配管施工において、嵌合直後の接合部でのズレやガタツキを簡便に防止することができる。
すなわち、本発明に係る接合方法は、塩ビ管の代替材料として、環境への負荷の少ないポリエステル樹脂管を用いる場合の接合にも好適である。
PETは、PETボトル等のリサイクルによるPET管も実用化されており、このような再生PETであってもよい。
一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤は、特に、管および継手の少なくとも一方がPETからなる場合に、優れた接着力を発揮することができる。
したがって、前記接合部において、施工の際の寸法精度の向上が図られ、また、水密性も保持され、施工の信頼性の向上を図ることができる。
また、施工現場においても、配管が仮固定され、接着剤がある程度硬化するまでの長時間の監視も不要となり、時間やコストの点で施工者の負担を軽減することが可能となる。
本発明に係る合成樹脂製管と合成樹脂製継手の接合方法は、合成樹脂製管と合成樹脂製継手とを接着して接合する方法であり、その際、前記管および継手の接合部の両方またはいずれか一方に、ポリウレタン系、変性シリコーン系、エポキシ系およびシリコーン系のうちのいずれか1種以上の成分を含む接着剤(A)を塗布した後、瞬間接着剤(B)を塗布することを特徴としている。
すなわち、本発明に係る接合方法は、合成樹脂製管の接着工法による配管施工において、接着剤として、ポリウレタン系、変性シリコーン系、エポキシ系およびシリコーン系のうちのいずれか1種以上の成分を含む接着剤(A)と瞬間接着剤(B)とを併用することを特徴とするものである。
このような2種の接着剤を併用することにより、管と継手の嵌合直後の接合部でのズレやガタツキを簡便に防止することができるため、施工現場において、配管が仮固定されるまでの長時間の監視が不要となる。
これらの材質の中でも、特に、前記管および継手が、ともにポリエステル樹脂、または、一方がポリエステル樹脂で他方が塩化ビニル樹脂からなる場合において、本発明に係る接合方法は好適である。
塩化ビニル樹脂よりも環境への負荷の少ない代替材料である合成樹脂は、一般に、塩化ビニル樹脂よりも通常の接着剤による接着性に劣るが、本発明によれば、このような代替材料による合成樹脂製管または合成樹脂製継手を用いた接合においても、接合部での嵌合後の接着初期段階、すなわち、接着剤(A)の硬化前に、該接合部でのズレやガタツキを防止することができる。
特に、PETは、PETボトル等のリサイクルによるPET管も実用化されており、本発明においては、このような再生PETからなる管または継手も好適に用いることができる。
再生ポリエステルを原料とする場合、管を製造する際の成形性に劣るが、上記のようなポリエステル組成物とすることにより、成形性を向上させることができ、かつ、耐熱性、耐衝撃性等の向上も図られ、優れた物性を有する管を得ることができる。
なお、このようなポリエステル組成物によるPET管として、「ショウワエコパイプ」(昭和電工建材株式会社製)が市販されている。
このような成分を含む接着剤は、塩化ビニル樹脂以外の合成樹脂からなる管と継手の接合においても、強度および水密性に優れた接着力を得ることができるため好ましい。
配管施工の現場においては、接着剤はハケ塗り等の方法により塗布するため、塗布時の接着剤の液垂れや伸び等を考慮して施工を容易とし、また、剪断接着強度を確保する観点から、上記のような粘性を有していることが好ましい。
前記一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤中には、必要に応じて、硬化促進触媒、充填剤、着色剤、揺変付与剤、接着性付与剤等の添加剤が添加されていてもよい。
なお、本発明においては、前記一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤としては、上記特許文献2(特開2006−103017号公報)に記載されているような組成、態様のものを好適に用いることができる。
前記有機溶剤としては、イソシアネート基に対する反応性がなく、揮発性がある公知の有機溶剤を1種または2種以上混合して用いることができる。例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン等が好適に用いられる。
一方、前記瞬間接着剤(B)のみを用いた場合は、十分な強度での接着は可能ではあるが、塗布後直ちに硬化することから、接合部に全体的に塗布するには作業性に劣り、また、接着剤の価格が高いため、コストの点からも好ましくない。
したがって、本発明においては、接着剤(A)を塗布後、瞬間接着剤(B)を塗布する。
このような異なるタイプの接着剤を併用することにより、瞬間接着剤(B)による仮固定の効果が得られ、管と継手の嵌合直後の接合部でのズレやガタツキを簡便に防止することができるとともに、接着剤(A)の硬化後には、水密性に優れた接着強度が得られる。
シアノアクリレート系接着剤は、接合部表面に存在する微量の水分と反応し、重合、硬化してシアノアクリレートポリマーとなることにより接着する。すなわち、湿気硬化型であり、硬化速度が非常に速く、高い剪断接着強度が得られる。
前記シアノアクリレートポリマーは硬くて脆いため、弾力性、耐衝撃性等に劣るという短所を有するが、シアノアクリレート系接着剤は、上述したような仮固定効果を得る上では好適であるため、本発明においては、接着剤(A)の接着性能を補完する役割を果たすものである。
図1に、合成樹脂製管と合成樹脂製継手の接合部の構造の概略断面図を示す。また、図2に、曲管継手の斜視図を示す。
なお、図1および2に示す管および継手は、本発明を説明するための代表例として記載したものにすぎず、本発明の適用は、これらの形態の管および継手のみに限定されるものではない。
接着剤(A)を塗布する箇所は、具体的には、管1の外周面のうち継手2に嵌合されて覆われる部分と、継手2の受け口21の内周面である。
前記塗布量が多すぎると、管と継手の嵌合時に余分な接着剤がはみ出すこととなる。一方、前記塗布量が少なすぎると、接合部において十分な接着強度および水密性が得られない。
したがって、上記範囲内の量の接着剤を塗布することが好ましい。
瞬間接着剤(B)を塗布する箇所は、管1と継手2を嵌合する際に、塗布した瞬間接着剤(B)が擦れて伸ばされたり、広げられたり、ズレたりすることが、できるだけ少ない箇所であることが好ましい。具体的には、管1に塗布する場合は、継手2の受け口21のストッパ部22に当接する先端断面部または受け口22の開口部23付近に塗布することが好ましい。一方、継手2に塗布する場合は、ストッパ部22または開口部23付近に塗布することが好ましい。
また、仮固定を目的として用いられるため、塗布面積は、接着剤(A)よりも小さくてよく、上記のようにズレたりすること等のない箇所に、ビード状また点状に塗布すればよい。
嵌合する際は、塗布した瞬間接着剤(B)が擦れて伸ばされたり、広げられたり、ズレたりすると、該瞬間接着剤(B)の接着性能が発揮されない場合があるため、できるだけ、捻ったり、曲がったりすることなく、スムーズに挿入させることが好ましい。
なお、前記瞬間接着剤(B)は、接着剤(A)を塗布して、管1と継手2を嵌合した後に、管1と継手2の開口部23との接点部分に塗布してもよい。この場合にも、瞬間接着剤(B)による接合部の仮固定効果を上記と同様に得ることができる。
[実施例1]
PET直管(呼び径100A;外径114mm、標準厚さ4mm)およびPET継手((呼び径100×75;受け口外径124mm)の接合部に、接着剤(A)として一液硬化型ポリウレタン系接着剤(ショウワエコパイプ接着剤;昭和電工建材株式会社製、以下、EPBと略称する)を塗布した。
次に、前記継手受け口のストッパ部付近に、瞬間接着剤(B)としてシアノアクリレート系接着剤Xを2滴着滴させた。
そして、前記直管を前記継手受け口のストッパ部に当接する位置まで挿入して、直管と継手を嵌合した。
嵌合して1分保持後、15分放置後、30分放置後の接合状態を評価した。
下記表1に示す条件にて、実施例1と同様にして、直管と継手を接合し、その接合状態を評価した。
なお、実施例2において用いたシアノアクリレート系接着剤Yは、実施例1とは異なる種類の接着剤である。
瞬間接着剤(B)を用いずに、それ以外については実施例1と同様にして、直管と継手を接合し、その接合状態を評価した。
表1において、接合状態の評価は、直管と継手とを手で互いに引っ張った際、◎:全く動かない、○:ほとんど動かない、△:力を加えるとズレやガタツキが生じる、×:抜けてしまう、との基準で表した。
2 継手
21 受け口
22 ストッパ部
23 開口部
Claims (6)
- 合成樹脂製管と合成樹脂製継手を接合する際に、前記管および継手の接合部の両方またはいずれか一方に、ポリウレタン系、変性シリコーン系、エポキシ系およびシリコーン系のうちのいずれか1種以上の成分を含む接着剤(A)を塗布した後、瞬間接着剤(B)を塗布して、前記管と継手を接着することを特徴とする合成樹脂製管と合成樹脂製継手の接合方法。
- 前記管と継手は、ともにポリエステル樹脂、または、一方がポリエステル樹脂で他方が塩化ビニル樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製管と合成樹脂製継手の接合方法。
- 前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項2記載の合成樹脂製管と合成樹脂製継手の接合方法。
- 前記合成樹脂製管のポリエステル樹脂が、再生ポリエステルと、MFR(メルトフローレート)≦5g/10min(280℃、2.16kg荷重)、かつ、HLMFR(高荷重メルトフローレート)≧0.1g/10min(280℃、21.6kg荷重)であるポリエチレンと、エポキシ基を有するポリエチレンとからなるポリエステル組成物であることを特徴とする請求項2記載の合成樹脂製管と合成樹脂製継手の接合方法。
- 前記接着剤(A)として一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の合成樹脂製管と合成樹脂製継手の接合方法。
- 前記瞬間接着剤(B)としてシアノアクリレート系接着剤を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の合成樹脂製管と合成樹脂製継手の接合方法。
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