JP2006103017A - ポリエステル製管の接合方法及びそのための接着剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリエステル製管とポリエステル製継手またはポリエステル製管とポリ塩化ビニル製継手またはポリ塩化ビニル製管とポリエステル製継手を接合する際に、継手受け口出口内径(D1)≧受け口奥内径(D2)であり、且つ管外径(D)がD1≧D≧D2であって、ポリウレタン系、変性シリコーン系、エポキシ系またはシリコーン系のいずれか一つ以上の成分を含む接着剤を、管および継手あるいはいずれか一方に塗布し、継手受け口に管を挿入して接着することを特徴とする少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法及びそのための接着剤。
【選択図】 図1
Description
しかし、ポリ塩化ビニルは塩素を含有することから、焼却する場合には塩素系の廃ガス発生のリスクがあり、埋立あるいは特殊な高温燃焼炉での焼却といったことが必要で環境負荷が高い。
ポリエチレン製管、ポリプロピレン製管は、樹脂中に塩素を含有しない点で、廃棄処理における環境の汚染は低いが、接着剤での接着は極めて困難であり、エレクトロフージョン法や、特殊なゴム輪を用いた接続法をとらざるを得ず施工性や経済性の面で課題があった。
PETボトルは、廃棄処理において環境汚染物質の発生をもたらすものではなく、また特に学校、自治体などの廃棄物リサイクル運動に実績のある材料であるため、回収品の用途として繊維やシート材料、雑貨、エクステリアなどいろいろな方面で再生品の用途開発が研究されている。又リサイクルPET樹脂の配管材料として実用化の研究も行われている。
特に、排水管の施工は、現場施工が主体で、施工性に関するニ−ズが高く、加熱する等の手間をかけることは、敬遠されている。さらに、接着剤の粘度が高いと、ハケ塗りが難くし、作業性の低下、接着剤の塗りムラ、ハケへの接着剤成分の糸引き等の不具合が発生した。
塩ビ管においては、接着剤自身が塗布した塩ビ管の接着面を一部溶解・膨潤させ接合する性質を持つため、継手の受け口をテーパー構造とし、なおかつ直管の先端部の外径寸法を受け口テーパーの中央部の寸法に合うように設計してあり、接着面の溶解・膨潤を利用して直管先端部を継手口底部まで押込むことによって接合部の水密性と継手と直管の接合保持性(継手と直管が、がたつくことなく接合すること。)を担保している。
[1] ポリエステル製管とポリエステル製継手またはポリエステル製管とポリ塩化ビニル製継手またはポリ塩化ビニル製管とポリエステル製継手を接合する際に、ポリウレタン系、変性シリコーン系、エポキシ系またはシリコーン系のいずれか一つ以上の成分を含む接着剤を、管および継手あるいはいずれか一方に塗布し、継手受け口に管を挿入して接着することを特徴とする少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法、
[3] 継手受け口出口内径(D1)がD1=(1.00〜1.01)Dであり、受け口奥内径(D2)がD2=(0.99〜1.00)Dである上記[1]又は[2]に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法、
[4] せん断剥離強度が50kgf/cm以上である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法、
[5] ポリエステル製管又はポリエステル製継手が、リサイクルされたポリエステルボトルから製造されたものである上記[1]〜[4]のいずれかに記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法、
[7] 接着剤の溶剤として、沸点が50〜130℃の溶剤を用いた上記[6]に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合用ポリウレタン系接着剤、
[8] 溶剤が酢酸エチルまたはメチルエチルケトンである上記[6]又は[7]に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合用ポリウレタン系接着剤、
[10] ポリ塩化ビニル系配管システムの継手又は管とポリエステル製管又はポリエステル製継手の双方、あるいはいずれか一方に、ポリウレタン系、変性シリコーン系、エポキシ系またはシリコーン系のいずれか一つ以上の成分を含む接着剤を塗布し、継手受け口に管を挿入して接続したことを特徴とするポリ塩化ビニル系配管システムに接続したポリエステル系配管システム、
[11] 幅0.5cmあたりの接合部の0℃での引張り衝撃強度が、5kgf・cm以上である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法、を開発することにより上記の課題を解決した。
本発明において使用するPET管は、バージン樹脂製であっても、あるいはPETボトルなどからの回収樹脂製の管であっても良い。本発明のPET管は従来の排水管、水道管、換気管等の広い分野にわたって使用されてきた塩ビ管に代えて使用するものであり、太さ、管肉厚は自由であるが、塩ビ管に代えて使用するのであるから、塩ビ管配管系に匹敵する各種の性能が必要である。
継手受け口出口内径(D1)は1.00〜1.01、好ましくは1.002〜1.007、継手受け口奥内径(D2)は0.99〜1.00、好ましくは0.992〜0.997である。継手はインジェクション又は注型によって製造されるため、受け口出口内径、受け口奥内径にやむを得ない製作誤差が避けられないがこの範囲内に納めることが施工上及びせん断剥離強度を保持するために好ましい。
また、引張り衝撃強度は、管接合部を幅0.5cmに切り出して測定するとき、実用上5kgf・cm以上、好ましくは8kgf・cm以上、より好ましくは10kgf・cm以上であることが必要である。引張り衝撃強度が5kgf・cmを下回っても問題ないこともあるが、場合によっては温度の上昇、下降による管の伸長、収縮などにより、接合部の切断が起こる危険がある。塩ビ管の接合システムでは、肉厚が厚く、管長の長い縦管接合システムにおいては、切断を防止するためにゴム輪接合をとらざるを得ないが、本発明のポリエステル製管およびまたはポリエステル製継手システムでは、破断による危険は塩化ビニル系よりも小さいと言える。
この場合の塗布量としては、固形分換算として接着面単位面積あたり5〜600g/m2、好ましくは20〜300g/m2程度を塗布することが必要である。
これは、ハケなどの刷毛類を使用する場合の施工性の点で必要不可欠であり、かつせん断剥離強度を確保するためにもこの範囲にあるものが好ましい。
本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤には、更に必要に応じて、硬化促進触媒、充填剤、着色剤、揺変付与剤、接着性付与剤などの添加剤を加えて使用できる。これらのうち、硬化促進触媒と充填剤のうちいずれか一方或いは両方を併用するのが好ましい。
又塩ビ管、排水管、水道管、換気管等として塩ビ継手は市販のものであってよい。しかし本発明の接着剤は少なくとも一方がPET管又はPET継手であることが必要であって、塩ビ同士の接着に使用した場合には、接合部の低温での良好な引張衝撃強度を確保することはできない。
これらの柔軟成分を配合したポリエステル製管および継手を用いると、特に、本発明における管と継手の低温での引張り衝撃強度が高くなる点で好ましい。
特に従来の塩化ビニル管と継手の接合部分は、温度が急激に低下するによる管収縮に伴い発生する引張り衝撃のために、切断する不具合が発生したが、上記ポリエステル製管および/あるいは継手および本発明記載の接着剤を組み合わせることで、破断しにくくなった。
[引張り試験用接着体の作成]
管と継手の接着体を、23℃の恒温室中に72時間状態調整したのち、継手の受け口に対して垂直方向に短冊状に切断し、曲率を有する、内側(短い側)の幅 1.0cmの短冊状の引張りせん断剥離試験用サンプルを得た。
RIENTEC社製 UCT−10Tを使用し、試験体をチャックで挟み、チャック間距離90mmとし、引張り速度10mm/分の条件で引張り試験測定を実施した。せん断剥離強度は最大点荷重(kgf)を接着体の幅1.0cmで除した値(kgf/cm)とし、評価サンプルとして5サンプルを測定し、各実施例あるいは比較例における強度は5つの平均値として示した。
継手を円周と平行方向に受け口奥から、3.0cmになるように切断した。次に、切断した継手および管に各実施例記載の接着剤を塗布し、管を継手受け口に対して、奥側から1cm手前(管と継手の接着部分長さが2cm)になる位置で固定されるように挿入した。得られた管と継手の接着体を、23℃の恒温室中に72時間状態調整したのち、継手の受け口に対して垂直方向に短冊状に切断し、曲率を有する、内側(短い側)の幅0.5cmの短冊状の引張りせん断剥離試験用サンプルを得た。さらに、継手受け口奥側(ストッパー部分)を切断し、さらに、全長が4cmになるように管を切断することで、幅0.5cm、管と継手の接着部分2cm、未接着の継手部分1cm、未接着の管部分1cmの全長4cmの接着体を得た。
ハンマの両側にチャックを有し、仕様がハンマの重量1.868kg、軸心より打撃点までの距離35.7cm、容量60kg・cm、ハンマの持ち上げ角135度、周期1.200秒の東洋精機製作所社製 テンサイルインパククト試験機を使用した。
接着試験体は予め0℃に冷却した後、未接着部分をすばやくチャック部分に挟み、135度に持ち上げたサンプルを挟んだハンマを振り下ろし、角度0℃の位置になる打撃点にて打撃し、破断した、または接着部分が剥離した、または挟んだチャック部分からサンプルがはずれた(未破断)ときに失われた位置エネルギーを、衝撃エネルギーとしこれを引張り衝撃強度とした。サンプル数は5点とし、その平均値を各実施例および比較例に記載した。未破断時は本来、衝撃強度は、失われた位置エネルギーよりも高いが、本実施例、比較例では、その数値を使用してあるため、未破断が含まれる実施例の衝撃強度は、示した数値よりもさらに高いことを示す。
[ウレタンプレポリマーの合成]
攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた加温反応容器に、窒素ガス気流下で、ポリオキシプロピレントリオール(旭硝子社製プレミノール3012、数平均分子量12,000)400gを仕込み、この中に2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(BASFINOACポリウレタン社製ルプラネートMI、質量比:2,4′−体/4,4′−体=1/1、分子量250)75gとオクチル酸ジルコニウム0.05gを攪拌しながら徐々に添加し、70〜80℃で1時間攪拌して、イソシアネート基含有量が理論値以下となった時点で反応を終了し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを合成した。このイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの滴定による実測イソシアネート基含有量は4.4質量%であった。
温度計、窒素シール管及び加熱・冷却装置の付いた混練容器に、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー416.6gを仕込み、この中に、乾燥した炭酸カルシウム378.9gと、脂肪酸処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製カルファイン200M)78.0gと、イソシアヌレート基含有イソホロンジイソシアネート三量化変性体(ヒュルスジャパン社製、VESTANAT T 1890E、70質量%n−ブチルアセテート溶液、イソシアネート基含有量12質量%)44.6gと、溶剤として酢酸エチル19.2gと、触媒としてジブチル錫ジラウレート1.7gを攪拌しながら添加して混練し、接着剤ベースを調製した。
[実施例1]
接着剤ベースの調製例1で得られた接着剤ベースを酢酸エチル(沸点76.8℃)にて、粘度が350mPa・sになるまで希釈し、ウレタン系接着剤1とした。次にこの接着剤を、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする外径89mm、肉厚3mm(硬質塩化ビニル管 JISK−6741 VU75に相当)の管、およびポリエチレンテレフタレートを主成分とする受け口出口内径89.5mm、受け口ストッパー側奥内径88.7mmの硬質塩ビ継手規格のDS75(D1=1.0056D,D2=0.9966D)に相当する継手の受け口にハケを用いて塗布した。この際のハケ塗り性は良好で、一度塗りでも塗りムラを起こさず、管や継手表面へのなじみも良好で、接着剤の糸引きも少なかった。次に接着剤の塗布された管を接着剤の塗布された継手受け口に挿入し、受け口のストッパーにあたる位置まで挿入した。23℃の恒温室中に72時間状態調整したのち、管と継手を継手の受け口に対して垂直方向に短冊状に切断し、引張りせん断剥離試験を実施した。せん断剥離強度は、102kgf/cmであった。結果を表1に示す。
接着剤ベースの調製例1で得られた接着剤ベースを酢酸エチルにて、粘度が100mPa・sになるまで希釈し、ウレタン系接着剤2とした。ウレタン系接着剤1の代わりに接着剤2を用いる以外は実施例1と同様の方法で行った。この際のハケ塗り性は良好で、一度塗りでも塗りムラを起こさず、管や継手表面へのなじみも良好で、接着剤の糸引きも少なかった。得られた接着体のせん断剥離強度は、105kgf/cmであった。結果を表1に示す。
接着剤ベースの調製例1で得られた接着剤ベースを酢酸エチルにて、粘度が6800mPa・sになるまで希釈し、ウレタン系接着剤3とした。ウレタン系接着剤1の代わりに接着剤3を用いる以外は実施例1と同様の方法で行った。ただし、接着剤塗布にあたるハケ塗り工程では、1度では、全部を塗りムラなく塗ることは困難で、何度かの重ね塗りを必要としたが、塗れないレベルではなかった。 得られた接着体のせん断剥離強度は、52kgf/cmであった。結果を表1に示す。
接着剤ベースの調製例1で得られた接着剤ベースをメチルエチルケトン(沸点79.5℃)にて、粘度が350mPa・sになるまで希釈し、ウレタン系接着剤4とした。ウレタン系接着剤1の代わりに接着剤4を用いる以外は実施例1と同様の方法で行った。この際のハケ塗り性は良好で、一度塗りでも塗りムラを起こさず、管や継手表面へのなじみも良好で、接着剤の糸引きも少なかった。得られた接着体のせん断剥離強度は、92kgf/cmであった。結果を表1に示す。
接着剤ベースの調製例1で得られた接着剤ベースをp−キシレン(沸点138.4℃)にて、粘度が350mPa・sになるまで希釈し、ウレタン系接着剤5とした。ウレタン系接着剤1の代わりに接着剤5を用いる以外は実施例1と同様の方法で行った。この際のハケ塗り性は良好で、一度塗りでも塗りムラを起こさず、管や継手表面へのなじみも良好で、接着剤の糸引きも少なかった。ただし、溶剤の蒸発が遅いために、接着剤の強度発現は遅く、得られた接着体のせん断剥離強度は、53kgf/cmであった。結果を表1に示す。
実施例1のポリエステルを主成分とする継手のかわりに、塩化ビニル製継手を使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。この際のハケ塗り性は良好で、一度塗りでも塗りムラを起こさず、管や継手表面へのなじみも良好で、接着剤の糸引きも少なかった。得られた接着体のせん断剥離強度は、104kgf/cmであった。結果を表1に示す。
実施例1のポリエステルを主成分とする管のかわりに、塩化ビニル製管を使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。この際のハケ塗り性は良好で、一度塗りでも塗りムラを起こさず、管や継手表面へのなじみも良好で、接着剤の糸引きも少なかった。得られた接着体のせん断剥離強度は、101kgf/cmであった。結果を表1に示す。
接着剤ベースの調製例1で得られた接着剤ベースを酢酸エチルにて、粘度が 5mPa・sになるまで希釈し、ウレタン系接着剤6とした。ウレタン系接着剤1の代わりに接着剤6を用いる以外は実施例1と同様の方法で行った。接着剤塗布にあたるハケ塗り工程では、実施例1同様に、作業性は良好であったが、塗布後の接着剤の垂れが大きく、接着予定以外の部分への接着剤の付着量は最も多かった。得られた接着体のせん断剥離強度は、22kgfであった。結果を表1に示す。
接着剤ベースの調製例1で得られた接着剤ベースを酢酸エチルにて、粘度が 20000mPa・sになるまで希釈し、ウレタン系接着剤7とした。ウレタン系接着剤1の代わりに接着剤7を用いる以外は実施例1と同様の方法で行った。ただし、接着剤塗布にあたるハケ塗り工程では、ハケ塗りは困難で均一に塗布することは非常に困難であった。得られた接着体のせん断剥離強度は、39kgfであった。結果を表1に示す。
接着剤として、セメダイン社製 硬質塩化ビニル管用接着剤(固形成分 塩化ビニル、溶剤:シクロヘキサノン/アセトン/メチルエチルケトン混合物) 粘度200mPa・sを用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。接着剤塗布にあたるハケ塗り工程では、実施例1同様に、作業性は良好であった。 得られた接着体のせん断剥離強度は、10kgfであった。結果を表1に示す。
ポリエステル製管、継手の代わりに、硬質塩化ビニル管、継手を用い、接着剤として、セメダイン社製 硬質塩化ビニル管用接着剤(固形成分 塩化ビニル、溶剤:シクロヘキサノン/アセトン/メチルエチルケトン混合物)粘度200mPa・sを用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。接着剤塗布にあたるハケ塗り工程では、実施例1同様に、作業性は良好であった。得られた接着体のせん断剥離強度は、108kgf/cmであった。結果を表1に示す。
[比較例5]
ポリエチレンテレフタレートを主成分とする外径88mm、肉厚3mmの管、およびポリエチレンテレフタレートを主成分とする受け口出口内径89.5mm、受け口ストッパー側奥内径88.7mmの硬質塩ビ継手規格のDS75に相当する継手を用いた以外は実施例1と同様の方法で、同じ接着剤を用いて行った。この際のハケ塗り性は良好で、一度塗りでも塗りムラを起こさず、管や継手表面へのなじみも良好で、接着剤の糸引きも少なかった。次に接着剤の塗布された管を接着剤の塗布された継手受け口に挿入し、受け口のストッパーにあたる位置まで挿入した。管は継手からの締め付けを受けず、すぐに引き抜けるような状態であった。得られた接着体のせん断剥離強度は、40kgf/cmであった。結果を表1に示す。
実施例8および比較例6の比較により、本発明のポリエステル製管および/またはポリエステル製継手、接着剤の組み合わせは、塩ビ管と継手、ポリ塩化ビニル用接着剤の組み合わせよりも低温(0℃)での引張り衝撃強度に優れていることがわかる。
接着剤ベースの調製例1で得られた接着剤ベースを酢酸エチルにて、粘度が350mPa・sになるまで希釈し、ウレタン系接着剤1とした。次にポリエチレンテレフタレートを主成分とする受け口出口内径89.5mm、受け口ストッパー側奥内径88.7mmの硬質塩ビ継手規格のDS75(D1=1.0056D,D2=0.9966D)に相当する継手の受け口を、受け口奥側から3cmになるように受け口円周方向と平行に切断し、ウレタン系接着剤を受け口手前側から2cm(受け口奥側1cmは接着剤未塗布)に塗布し、さらにポリエチレンテレフタレートを主成分とする外径89mm、肉厚 3mm(硬質塩化ビニル管 JISK−6741 VU75に相当)管 の先端から2cmに塗布し、継手受け口に対して、奥から1cm手前(手前から2cm)になるように管を挿入した(接着部分が2cm)。引張り衝撃強度を測定したところ、5サンプル中2サンプルは、破断、3サンプルはチャック部分からサンプルが外れる未破断であり(接着部分は剥離しなかった)、引張り衝撃強度は、20kg・cmであった。
管および継手の材質をポリ塩化ビニルに接着剤を塩化ビニル用接着剤に変更した以外は実施例8と同様に実施した。引張り衝撃強度を測定したところ、5サンプル中全サンプルは、破断し(接着部分は剥離しなかった)、引張り衝撃強度は、2.1kg・cmであった。
大量に回収されているリサイクルPETボトルなどから製造されるPET管は、焼却などにおいてもダイオキシンなどの発生がない利点はあるが、これに対して適切な接着剤、接合方法が確立していなかった。
本発明方法によるときは溶解・膨潤接着性のある、溶解性接着剤が開発されていないPET管(耐火被覆管であっても同じ様に適用できる。)を用いた配管材料であっても、従来の塩ビ管工法と類似した工法で、水密性と管受け口の保持性の両面に優れかつ許容通水量又は許容通気量を減殺させない配管施工が可能となり、非熟練者でも容易にかつ確実に配管の接合ができることとなった。本発明は、配管時の施工性を容易にし、かつ信頼性の高い接合方法を提供することに成功したものであり、PET管の配管材料としての地位を高めたものである。
2 継手(曲管)
21 継手受け口
22 曲管管部
D ポリエステル製管外径
D1 継手受け口出口内径
D2 継手受け口奥内径
Claims (11)
- ポリエステル製管とポリエステル製継手またはポリエステル製管とポリ塩化ビニル製継手またはポリ塩化ビニル製管とポリエステル製継手を接合する際に、ポリウレタン系、変性シリコーン系、エポキシ系またはシリコーン系のいずれか一つ以上の成分を含む接着剤を、管および継手あるいはいずれか一方に塗布し、継手受け口に管を挿入して接着することを特徴とする少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法。
- 請求項1に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合において、継手受け口出口内径(D1)≧受け口奥内径(D2)であり、且つ管外径(D)がD1≧D≧D2である請求項1に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法。
- 継手受け口出口内径(D1)がD1=(1.00〜1.01)Dであり、受け口奥内径(D2)がD2=(0.99〜1.00)Dである請求項1又は2に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法。
- せん断剥離強度が50kgf/cm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法。
- ポリエステル製管又はポリエステル製継手が、リサイクルされたポリエステルボトルから製造されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法。
- 少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合に、接着剤としての粘度が、10〜7000mPa・s(25℃ B8M型粘度測定計、ローターNo.4、12rpm 2分)であることを特徴とする少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合用接着剤。
- 接着剤の溶剤として、沸点が50〜130℃の溶剤を用いた請求項6に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合用ポリウレタン系接着剤。
- 溶剤が酢酸エチルまたはメチルエチルケトンである請求項6又は7に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合用ポリウレタン系接着剤。
- ポリエステル製管とポリエステル製継手、ポリエステル製管とポリ塩化ビニル製継手またはポリ塩化ビニル管とポリエステル製継手を接合する際に、ポリウレタン系、変性シリコーン系、エポキシ系またはシリコーン系のいずれか一つ以上の成分を含む接着剤を、管および継手あるいはいずれか一方に塗布し、継手受け口に管を挿入して接着したことを特徴とする少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手からなる配管システム。
- ポリ塩化ビニル系配管システムの継手又は管とポリエステル製管又はポリエステル製継手の双方、あるいはいずれか一方に、ポリウレタン系、変性シリコーン系、エポキシ系またはシリコーン系のいずれか一つ以上の成分を含む接着剤を塗布し、継手受け口に管を挿入して接続したことを特徴とするポリ塩化ビニル系配管システムに接続したポリエステル系配管システム。
- 幅0.5cmあたりの接合部の0℃での引張り衝撃強度が、5kgf・cm以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の少なくとも一方がポリエステル製管またはポリエステル製継手の接合方法。
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