JP2010144191A - 加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】C,N,Pの低減や、Ti添加量の低減をすることなく、安定して高い伸びを有するフェライト系ステンレス鋼板の製造方法を提案する。
【解決手段】mass%で、C:0.005〜0.015%、N:0.005〜0.015%、P:0.025〜0.050%、Cr:16.0〜19.5%を含有し、さらに、Tiを0.20〜0.40%の範囲で、Ti≧15×(C+N)およびTi×P×10≧70を満たして含有する鋼スラブを、1050〜1300℃で50hr以下かつ下記式;T≧−100×log・t+14000×√(Ti×P)(ここで、T:均熱温度(℃)、t:均熱時間(hr)、Ti,P:それぞれの元素の含有量(%))を満たす条件で均質化熱処理し、その後、熱間圧延する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用排気系部材や、建築物の外装材、厨房部材などに用いられる、16.0〜19.5mass%のCrを含有する加工性(延性)に優れたTi添加フェライト系ステンレス鋼板の製造方法に関するものである。
Type439鋼のような16.0〜19.5mass%のCrを含有するTi添加フェライト系ステンレス鋼板は、耐熱性や耐食性に優れるため、自動車の排気系部材の他、建築物の外装材、厨房部材などの幅広い分野で使用されている。しかし、このTi添加フェライト系ステンレス鋼板を常温で引張試験したときの伸び(全伸び)値は、30〜34%程度でしかない。この値は、拡管率や張出し量の大きな加工用途に用いるには必ずしも十分ではなく、延性不足に起因した割れがしばしば発生している。そこで、Ti添加フェライト系ステンレス鋼板における加工時の割れを防止するため、あるいは、Ti添加フェライト系ステンレス鋼板の用途拡大のため、延性の向上が強く求められている。
フェライト系ステンレス鋼板に関する従来の知見としては、C,N,PおよびTiの含有量を低減することが、延性の向上に有効であることがわかっている。それは、これらの元素は、固溶量が多いと、Ti(C,N)、Ti、FeTiPなどの微細なTi系析出物を形成して再結晶を阻害し、伸びを低下させるためと考えられている。例えば、特許文献1〜3などの実施例には、16.0mass%以上のCrを含有するステンレス鋼板において、35%以上の伸びあるいはそれに近い値の伸びを示す実施例が記載されているが、それらはいずれも、C,N,PおよびTiの何れかの元素の含有量を通常の量より低いレベルまで低減したものである。
特開平09−263903号公報 特開2002−249857号公報 特開2006−193771号公報
すなわち、従来技術では、Crを16.0mass%以上含有するTi添加フェライト系ステンレス鋼板において、35%以上の伸びを安定して確保するには、少なくともC,N,PおよびTiのいずれかの含有量を、C:0.005mass%未満、N:0.005mass%未満、P:0.02mass%以下、Ti:0.20mass%未満という低レベルまで低減することが必要とされていた。しかし、CやN,Pをこのような低レベルまで低減するには、原料としてのスクラップやダスト等の使用が制限されるほか、それ専用の精錬鍋を用いて極めて長時間の精錬を行う必要があるため、精錬負荷の増大による生産性の低下や製造コストの上昇を招く要因となっている。
Ti添加フェライト系ステンレス鋼板は、Tiを添加することによってCやN,Sを析出物として固定し、加工性や耐食性の向上を図ったものであるが、C,Nが通常の含有量である場合、Tiの含有量を0.20mass%未満、あるいは15×(C+N)未満まで低減してしまうと、加工性や耐食性の向上効果が得られなくなる。
また、精錬負荷を高めることなく伸び特性を向上させる方法として、長時間の熱延板焼鈍を行うことでTi系析出物の析出促進と粗大化を図る方法もあるが、生産性の低下やスケール除去のためのコスト増加が著しい。
さらに、冷間圧延後の仕上焼鈍を強化(高温長時間化)して軟質化する方法もあるが、この方法では、安定して高い伸びを得ることは難しいだけでなく、高い伸びを得ようとして軟質化し過ぎると、却って、加工時の強度不足を招いたり、結晶粒の粗大化により、肌荒れや破断が起こり易くなったりする。
そこで、本発明の目的は、フェライト系ステンレス鋼の精錬負荷を増大させるC,NおよびPの低減や、耐食性の低下を伴うTi添加量の低減を必要とすることなく、安定して高い伸びを確保することができるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法を提案することにある。
発明者らは、Crを16.0〜19.5mass%の範囲で含有するTi添加フェライト系ステレス鋼板において、引張強さが410MPa以上でかつ伸びが35.0%以上の特性を安定して得ることができる製造方法について鋭意検討した。具体的には、Crを16.0〜19.5mass%含有し、C,Nをそれぞれ0.005mass%以上、Pを0.025mass%以上、Tiを0.20mass%以上でかつCとNの合計量(C+N)の15倍以上含有するTi添加フェライト系ステンレス鋼板における鋼中析出物の形態と伸び特性との関係を詳細に調査した。その結果、Ti系析出物、中でも、微細なFeTiPの偏在が伸び特性の向上を妨げる主要因であるという知見を得た。
鋼溶製後の凝固時に起こるTiやPの偏析あるいはFeTiPの偏在は非常に強く、通常の製造方法における熱間圧延や熱延板焼鈍、冷間圧延、冷延板焼鈍などの工程を経た後でも解消することはない。例えば、熱延板焼鈍で、偏析中の析出物を完全に固溶させても、偏析自体は解消されずに残留するため、冷間圧延後の仕上焼鈍で、偏析に沿って微細な析出物が再析出して再結晶を阻害する。また、熱延板焼鈍を強化して析出物の形成を促進し、粗大化して無害化を図ったとしても、偏析自体は解消されないため、やはり仕上焼鈍で偏析に沿って微細な再析出が生じて再結晶が阻害される。その結果、何れの場合も、不均一な混粒組織が形成されて、十分な伸びが得られない。
そこで、発明者らは、スラブの段階で均質化熱処理を施すことにより、Ti,Pを固溶、拡散させることを考え、その条件についてさらに検討した。その結果、鋼板の伸び特性は、FeTiPの析出物を形成するTiとPの含有量によって大きく変化し、TiとPの含有量(mass%)の積(Ti×P×10)が70以上である場合には、従来技術だけでは35.0%以上の伸びを安定して得ることが難しくなること、そして、(Ti×P×10)が70以上であるフェライト系ステンレス鋼板において安定して35.0%以上の伸びを確保するためには、スラブの段階において、TiとPの含有量(mass%)の積の値に応じて適切な均質化熱処理を施す必要があることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、C:0.005〜0.015mass%、N:0.005〜0.015mass%、Si:0.5mass%以下、Mn:0.4mass%以下、P:0.025〜0.050mass%、S:0.01mass%以下、Al:0.01〜0.10mass%、Ni:0.02〜0.40mass%、Cr:16.0〜19.5mass%、Ca:0.0001〜0.0025mass%、B:0.0001〜0.0025mass%を含有し、さらに、Tiを0.20〜0.40mass%の範囲で、Ti≧15×(C(mass%)+N(mass%))およびTi(mass%)×P(mass%)×10≧70を満たして含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、1050〜1300℃で50hr以下かつ下記(1)式;
T≧−100×log・t+14000×√(Ti×P) ・・・(1)
ここで、T:均熱温度(℃)、t:均熱時間(hr)、Ti,P:それぞれの元素の含有量(mass%)
を満たす条件で均質化熱処理し、その後、熱間圧延することを特徴とする加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法である。
本発明の製造方法における上記鋼スラブは、Nb,V,Mo,W,Co,Cu,TaおよびZrのうちから選ばれる1種または2種以上をそれぞれ0.01〜0.05mass%含有することを特徴とする。
また本発明の製造方法における上記均質化熱処理を、1150〜1250℃で2hr以上かつ下記(1)式;
T≧−100×log・t+14000×√(Ti×P) ・・・(1)
ここで、T:均熱温度(℃)、t:均熱時間(hr)、Ti,P:それぞれの元素の含有量(mass%)
を満たす条件で施すことを特徴とする。
本発明によれば、CやN,Pを低減するための精錬負荷の増大や、Tiの過度の低減による耐食性の低下を招くことなく、従来材に比べて高い延性を有する16.0〜19.5mass%のCrを含有するTi添加フェライト系ステンレス鋼板を安定して製造することができる。また、原料としてスクラップやダストを有効に活用できるので原料コストの低減も可能となる。したがって、本発明により製造されるTi添加フェライト系ステンレス鋼板は、加工度の高い自動車排気系部材や建築物の外装材、厨房部材などに好適に用いることができる。
本発明のTi添加フェライト系ステンレス鋼板が有すべき成分組成について説明する。
C:0.005〜0.015mass%、N:0.005〜0.015mass%
CおよびNは、鋼中に固溶し、あるいはTiと炭窒化物を形成して析出し、鋼の強度を高める反面、伸び特性を低下させる元素であるため、35.0%以上の伸びを安定して確保するには低いほど好ましい。しかし、精錬工程でCおよびNの含有量を0.005mass%未満に低減するには、それ専用の精錬鍋を使用し、極めて長時間の処理を行う必要があるため、生産効率の低下や製造コストの増加が著しい。そこで、本発明においては、C,Nの含有量は、それぞれ0.005mass%以上とする。一方、CおよびNは、それぞれ0.015mass%を超えて含有すると、本発明を適用しても35.0%以上の伸びを得ることが難しくなる。よって、CおよびNの含有量は、それぞれ0.005〜0.015mass%の範囲とする。なお、炭化物や窒化物の析出物の数あるいは量が多すぎると、加工性や耐食性の低下だけでなく、表面疵の増加も顕著となるため、CとNの合計量は0.02mass%以下とするのが好ましい。
Si:0.5mass%以下
Siは、脱酸剤として作用する他、耐高温酸化性を向上させる効果も有する元素であるため、0.02mass%以上含有するのが好ましい。しかし、過度に添加すると、伸びが低下するため、上限は0.5mass%とする。好ましくは、0.3mass%以下である。
Mn:0.4mass%以下
Mnは、脱酸剤として有効に作用し、また、SをMnSとして固定し、熱間加工性を向上させる効果があるため、0.05mass%以上添加するのが好ましい。しかし、過剰に添加すると、伸びが低下するため、上限は0.4mass%とする。好ましくは、0.3mass%以下である。
P:0.025〜0.050mass%
Pは、鋼中に固溶し、またはFeTiPのような析出物を形成して、伸びを低下させる元素である。Pは、通常の精錬では、原料鉱石やスクラップ等から混入して、0.03mass%程度が不可避的に残留する。このPを精錬工程で0.025mass%未満に低減するには精錬負荷が大きく、特に、スクラップを多く使用する場合には、負荷の増大が著しい。一方、Pの含有量が0.050mass%を超えると、本発明を適用しても伸びの向上を図ることが困難になるだけでなく、鋳造や熱間圧延などの熱間加工で割れが発生しやすくなり、製造性が低下する。よって、Pは、0.025〜0.050mass%の範囲とする。
S:0.01mass%以下
Sは、熱間加工性の低下や耐食性の低下を招く有害な元素であるため、できるだけ低減することが望ましく、本発明では0.01mass%以下とする。
Al:0.01〜0.10mass%
Alは、強力な脱酸剤として添加される元素である。また、Ti添加ステンレス鋼の鋳造において、介在物による鋳造ノズル詰りの防止や溶湯の流動性向上に有効な元素であるため、0.01mass%以上を添加する。一方、0.10mass%を超えて添加すると、逆にAl系介在物による表面欠陥の増加や打抜き加工性の低下が顕著になる。よって、本発明では、Alは0.01〜0.10mass%の範囲とする。
なお、Si:0.05mass%以上、Mn:0.05mass%以上、Ca:0.0001mass%の1種以上を添加する場合には、それらの効果とAlの効果が重複するため、Alは0.01〜0.05mass%の範囲とするのが好ましい。
Ni:0.02〜0.40mass%
Niは、耐食性の向上に有効な元素であり、その効果を得るためには、0.02mass%以上の添加が必要である。しかし、過剰に添加すると、伸びの低下をもたらすため、0.40mass%以下とする。
Cr:16.0〜19.5mass%
Crは、耐食性や耐熱性を向上する重要な元素であり、その効果を得るためには、16.0mass%以上の添加が必要である。しかし、19.5mass%を超えて添加すると、延性や靭性が低下するようになる。よって、Crは、16.0〜19.5mass%の範囲とする。なお、Crは、耐食性や耐熱性を重要視する場合には17.0mass%以上、延性や靭性を重要視する場合には18.5mass%以下であるのが好ましい。
Ti:0.20〜0.40mass%かつTi≧15×(C(mass%)+N(mass%))
Tiは、CやN,Sを析出物として固定し、加工性や耐食性を向上させる重要な元素であり、高い加工性と耐食性を確保するためには、0.20mass%以上かつ、C,Nの合計量(mass%)に対して15倍以上の添加が必要である。しかし、Tiを0.40mass%を超えて過剰に添加すると、固溶Ti量が増加し、伸びが低下するため、上限は0.40mass%とする。
Ca:0.0001〜0.0025mass%
Caは、Alと同様、Ti添加ステンレス鋼の鋳造性の確保に有効な元素であるため、0.0001mass%以上添加する。しかし、0.0025mass%を超えて添加すると、溶接性の低下が顕著になる。よって、Cuは、0.0001〜0.0025mass%の範囲とする。溶接性(溶け込み性)の観点からは、0.0015mass%以下が好ましく、より好ましくは0.0010mass%以下である。
B:0.0001〜0.0025mass%
Bは、炭窒化物が粒界に不均一に形成されて結晶粒が混粒化するのを抑制する元素である。また、熱間加工性や2次加工性の向上に有効な元素でもある。上記効果を得るには、0.0001mass%以上の添加が必要である。しかし、過剰に添加すると、鋳造性や溶接性の低下を招くため、上限は0.0025mass%とする。好ましくは、0.0002〜0.0015mass%の範囲である。
Ti(mass%)×P(mass%)×10≧70
Ti,Pの含有量が上述した範囲内でも、それぞれが下限に近い含有量であれば、TiやPの偏析も弱く、また、FeTiPの析出も少ないため、従来技術の熱延板焼鈍によるTi系析出物の析出促進と粗大化や仕上焼鈍の強化などによっても、35.0%以上の伸びが得られる可能性がある。そこで、本発明が目的とする35.0%以上の伸びを得ることが、従来技術では極めて困難である、TiとPをTi(mass%)×P(mass%)×10≧70以上含有する鋼板を本発明の対象とする。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、上記必須とする成分に加えてさらに、Nb,V,Mo,W,Co,Cu,TaおよびZrの中から選ばれる1種または2種以上を含有することができる。これらの元素は、固溶しあるいは析出物を形成して、加工性や耐熱性、耐食性を向上させる効果を有する。これらの効果を得るには、上記成分の中から選ばれる1種または2種以上をそれぞれ0.01〜0.05mass%の範囲で添加するのが好ましい。しかし、過剰に添加すると、逆に加工性の低下や製造性の低下をもたらすため、それらの合計量は、0.01〜0.3mass%の範囲とするのが好ましい。
上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。ただし、本発明の効果を損ねない範囲内の量であれば、上記以外の成分を、適宜添加してもあるいはいずれかの製造工程で混入させてもよい。例えば、靭性を改善する観点から、希土類元素(REM)やHf,Yを、また、耐食性を改善する観点から、SbやSnをそれぞれ0.01mass%以下の範囲で含有させてもよい。また、耐火物やスラグから不可避に混入するMgも、0.003mass%以下であれば含有していてもよい。
次に、本発明のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法について説明する。
発明者らは、上述した成分組成を有する鋼スラブ(鋼片)を用いて、均質化熱処理温度条件を1050〜1300℃の範囲でかつ均熱保持時間を50hr以内に限定し、その条件内において、本発明が目的とする引張強さが410MPa以上で伸びが35.0%以上の特性を有するフェライト系ステンレス鋼板を得るための均質化熱処理条件を検討した。なお、均質化熱処理温度および保持時間を上記範囲に限定した理由は、上記温度、時間内であれば、生産性の低下や大幅な製造コストの上昇を招くことがないからである。
その結果、上記特性を確保するためには、均質化熱処理の均熱温度と保持時間を、図1に示した太い実線の枠内の範囲とする必要があることがわかった。なお、温度と時間の下限値は、TiとPの含有量の積(Ti(mass%)×P(mass%)×10)の値によって変化し、下記(1)式;
T≧−100×log・t+14000×√(Ti×P) ・・・(1)
ここで、T:均熱温度(℃)、t:均熱時間(hr)、Ti,P:それぞれの含有量(mass%)
で示される。
(1)式からわかるように、Ti,Pの含有量が多いほど、高温、長時間の均質化処理が必要となる。それよりも低温、短時間側では、スラブ中に存在するTi,Pの強い偏析(既に、FeTiPとして析出しているものも含む)は解消されず、熱延板焼鈍や冷間圧延後も展伸したままで残留するため、仕上焼鈍後の鋼板組織は極めて混粒化したものとなり、伸びの低下が大きくなる。これは、TiやPの偏析と、微細なFeTiPが均一な再結晶と粒成長を阻害するためと考えられる。一方、均熱温度が1300℃超え、あるいは均熱保持時間が50hrを超えると、スケール損失が増大したり、生産効率が大きく低下したりするため好ましくない。好ましくは、均熱温度が1150℃以上1250℃以下、均熱時間が0.5時間以上、好ましくは2時間以上50時間以下の範囲(図1中、太い破線で示した矩形の範囲)である。なお、均質化熱処理以外の熱間圧延前の製造条件は、スラブの製造方法、製造条件をも含めて、特に限定する必要はなく、通常のCr含有鋼やステンレス鋼の製造方法、製造条件を採用することができる。
例えば、以下のような製造方法が好ましい。上記成分組成に適合する鋼を、転炉あるいは電気炉などで溶製し、その溶鋼をVODやAODなどで二次精錬した後、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法で、厚さが100〜250mmの鋼スラブし、次いで、この鋼スラブに上述した均質化熱処理を施した後、熱間圧延して板厚が2〜6mmの熱延板とする。その後、800〜1050℃の範囲で熱延板焼鈍を施した後、ショットブラストや酸洗、研削などで鋼板表面のスケールを除去してから、圧下率が30〜80%の冷間圧延と、850〜1050℃で焼鈍する一連の冷延・焼鈍工程を1回または2回以上行うことにより、板厚が0.4〜2.0mmの鋼板とするのが好ましい。さらに、形状矯正や表面仕上げ等を目的として、伸び率が2%以下の範囲でスキンパス圧延を行ってもよい。
表1に示した成分組成を有する鋼記号A〜Eの鋼を溶製し、厚さが約200mmの鋼塊とした。次いで、それらの鋼塊を、表2に示す温度と時間で均質化熱処理した後、1050〜1100℃に再加熱し、熱間圧延して、板厚3mmの熱延板とした。その後、860〜1000℃の間で連続焼鈍による熱延板焼鈍を施し、酸洗後、冷間圧延して板厚1.2mmの冷延板とした。さらに、850〜1000℃の間の温度で仕上焼鈍と酸洗を行い、材料No.1〜17の冷延焼鈍板を得た。
Figure 2010144191
Figure 2010144191
上記のようにして得た冷延焼鈍板について、それぞれからJIS Z2201に規定されたJIS13号B試験片を、圧延方向および圧延直角方向に対して平行にそれぞれ各5本ずつ採取し、JIS Z2241に準拠して常温で引張試験を行い、引張強さ、破断伸び(全伸び)を測定した。引張強さおよび伸びの評価は、各方向5本のうちの最大値と最小値を除く3本×2方向の計6本の平均値で評価した。また、JIS G0552の切断法に準拠して、鋼板の圧延方向断面の平均結晶粒度番号も測定した。
上記測定の結果を表2中に併記して示した。この結果から、TiおよびPの含有量の積の値に応じた本発明の均質化熱処理条件を満たした鋼板は、いずれも35.0%以上の優れた伸びが得られていることがわかる。これに対して、本発明の均質化熱処理条件を満たさない鋼板は、いずれも35.0%未満の伸びしかなく、例えば、No.4の鋼板のように、仕上焼鈍条件を強化して加工時に肌荒れや破断が生じるような結晶粒度番号が5.5以下まで粗粒化・軟質化した場合でも、35.0%以上の伸びは得られていない。
本発明の均質化熱処理条件の範囲を説明する図である。

Claims (3)

  1. C:0.005〜0.015mass%、N:0.005〜0.015mass%、Si:0.5mass%以下、Mn:0.4mass%以下、P:0.025〜0.050mass%、S:0.01mass%以下、Al:0.01〜0.10mass%、Ni:0.02〜0.40mass%、Cr:16.0〜19.5mass%、Ca:0.0001〜0.0025mass%、B:0.0001〜0.0025mass%を含有し、さらに、Tiを0.20〜0.40mass%の範囲で、Ti≧15×(C(mass%)+N(mass%))およびTi(mass%)×P(mass%)×10≧70を満たして含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、1050〜1300℃で50hr以下かつ下記(1)式を満たす条件で均質化熱処理し、その後、熱間圧延することを特徴とする加工性に優れるフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。

    T≧−100×log・t+14000×√(Ti×P) ・・・(1)
    ここで、T:均熱温度(℃)、t:均熱時間(hr)、Ti,P:それぞれの元素の含有量(mass%)
  2. 上記鋼スラブは、Nb,V,Mo,W,Co,Cu,TaおよびZrのうちから選ばれる1種または2種以上をそれぞれ0.01〜0.05mass%含有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記均質化熱処理を、1150〜1250℃で2〜50hrかつ下記(1)式を満たす条件で施すことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。

    T≧−100×log・t+14000×√(Ti×P) ・・・(1)
    ここで、T:均熱温度(℃)、t:均熱時間(hr)、Ti,P:それぞれの元素の含有量(mass%)
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