JP2010142778A - ジメチルエーテル製造用触媒 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ジメチルエーテル製造用触媒は、アルミナを主成分とするとともにシリカを含む触媒であって、マグネシウム元素を含有する。好ましくは、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対して、シリカの含有量はSiO2換算で0.5重量部以上、マグネシウム元素の含有量はMg換算で0.01〜1.2重量部である。ジメチルエーテルの製造方法は、前記ジメチルエーテル製造用触媒の存在下にメタノールを脱水反応させる。
【選択図】 なし
Description
例えば、これまでから、シリカ(ケイ素元素)を含有するアルミナを用いてジメチルエーテルを合成する方法が種々検討されている。その中で、1〜20重量%のシリカと80〜99重量%のアルミナとを含むアルミノケイ酸塩を触媒として使用すると、ジメチルエーテル合成の阻害要因となる触媒上への炭素の析出が抑制され、選択性が向上することが報告されている(特許文献1参照)。また、Si含有量が0.1〜10質量%、Na含有量が0.1質量%以下である触媒を用いると、より高い反応率で選択性よくジメチルエーテルを合成できることが報告されている(特許文献2参照)。また、主成分としてのアルミナと、ジルコニア、シリカ、チタニアのうち少なくとも1種とからなる合成触媒を用いると、触媒の固体酸強度が増大し、反応率および選択性が向上することが報告されている(特許文献3参照)。さらに、ケイ素化合物との反応により表面を変性させた活性アルミナでなる触媒を用いると、ケイ素を含まないアルミナ触媒では急激に脱水特性が低下するような高温水蒸気雰囲気にてエーテル合成を行なった場合にも、脱水特性を維持できることが報告されている(特許文献4参照)。
また、本発明のジメチルエーテルの製造方法は、上記本発明のジメチルエーテル製造用触媒の存在下にメタノールを脱水反応させることを特徴とする。
Al2O3・nH2O〔0≦n≦0.5〕 (1)
で示されるものであり、χ、γ、ηなどの結晶相を有する活性アルミナが用いられる。活性アルミナは、χ、γ、η以外の結晶相、例えばκ、δ、ρなどの結晶相を含んでいてもよい。
本発明の触媒におけるアルミニウム含有量は、触媒の全体を基準として酸化物(Al2O3)換算で、通常80重量%以上、好ましくは90重量%以上である。
本発明の触媒におけるシリカの含有量は、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対して、SiO2換算で、0.5重量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.8重量部以上である。シリカの含有量が前記範囲よりも少ないと、高温高圧水蒸気雰囲気下においてアルミナの水酸化アルミニウム化が進行し、触媒のBET比表面積が低下する傾向がある。一方、シリカの含有量の上限は、特に制限されないが、一定量を超えると、それ以上過剰に含有させてもBET比表面積の低下抑制効果のさらなる向上は期待できないので、経済的観点から、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対して、SiO2換算で、通常10重量部以下、好ましくは2重量部以下であるのがよい。
本発明の触媒におけるマグネシウム元素の含有量は、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対して、Mg換算で、0.01〜1.2重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.6重量部である。マグネシウム元素の含有量が前記範囲よりも少ないと、マグネシウム元素の含有効果が不充分となり、長時間反応に供すると充分に反応率を維持できないおそれがある。一方、マグネシウム元素の含有量が前記範囲よりも多いと、反応開始時(初期)の反応率が低下する傾向があり、効率的にジメチルエーテルを製造するうえでは不利となる場合がある。
本発明の触媒は、細孔半径1.8nm〜100μmの細孔の累積容積が、通常0.3cm3/g以上であり、通常は3.0cm3/g以下である。また、細孔半径100nm〜100μmの細孔の累積容積が、1.8nm〜100μmの細孔の累積容積に対して10%〜60%、さらには15%〜50%程度であることが好ましい。
なお、前記i)の方法と前記ii)の方法とは、適宜組合せることもでき、例えば、前記シリカ源および前記マグネシウム源の一方を粉体としてアルミナ前駆体と混合した後、得られた混合物に前記シリカ源および前記マグネシウム源のもう一方の溶液を吸収させるようにしてもよい。
反応により得られたジメチルエーテルは、そのまま使用することもできるが、必要に応じて、蒸留などの通常の方法で精製して使用してもよい。
<シリカ(SiO2)含有量、マグネシウム元素(Mg)含有量>
触媒を粉砕し、炭酸ナトリウムおよびホウ酸を加えて1050℃で焼成した後、硝酸を加えてサンプル液を作製した。このサンプル液についてICP発光分析を実施することにより、ケイ素元素量およびマグネシウム元素量を求め、当該触媒がAl2O3、MgおよびSiO2のみからなるものとして、シリカ含有量については、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対するSiO2の含有量を、マグネシウム元素含有量については、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対するMgの含有量を、それぞれ算出した。
全自動BET比表面積測定装置((株)マウンテック製「Macsorb Model−1201」を用いて、1点法により測定した。
ベーマイト結晶水酸化アルミニウム(アルマティス社製「HIQ−40」)を振動ミルで中心粒径7.5μmまで粉砕し、粉砕品を得た。この粉砕品を600℃で2時間焼成したところ、得られたアルミナの結晶形はγアルミナで、Na2O量は0.001重量%以下であった。
次に、上記粉砕品にアルミナゾル(日産化学製「アルミナゾル520」:ゾル中のアルミナ当たりのNa2O量は0.001重量%以下)を10倍に希釈した液をスプレーして加えながらミキサーを用いて造粒して、直径2〜4mmの球状の成形体とし、この成形体を200℃で乾燥させて、水酸化アルミニウム成形体を得た。
得られた触媒(1)は、アルミナを主成分とするものであり、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してSiO2換算で0.91重量部のシリカを含有するとともに、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してMg換算で0.16重量部のマグネシウム元素を含有するものであった。また、この触媒(1)のBET比表面積は177m2/gであった。
実施例1と同様にして得た水酸化アルミニウム成形体122gに、硝酸マグネシウム・6水和物〔Mg(NO3)2・6H2O〕4.3gとシリカゾル(日産化学工業(株)製「スノーテックスO」)5.1gとを水24.0gに混合、溶解させたゾル液を充分に吸収させ、6時間程度室温で放置して乾燥させた後、得られた成形体を600℃で焼成して、触媒(2)を得た。
得られた触媒(2)は、アルミナを主成分とするものであり、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してSiO2換算で0.95重量部のシリカを含有するとともに、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してMg換算で0.42重量部のマグネシウム元素を含有するものであった。また、この触媒(2)のBET比表面積は199m2/gであった。
実施例1と同様にして得た水酸化アルミニウム成形体122gに、シリカゾル(日産化学工業(株)製「スノーテックスN」)5.1gと水25.2gとを混合したシリカゾル液を充分に吸収させた後、乾燥機にて200℃で2時間程度乾燥させた。次いで、乾燥させた成形体に、酢酸マグネシウム・4水和物〔Mg(CH3COO)2・4H2O〕6.2gを水27.2gに溶解させた水溶液を充分に吸収させ、6時間程度室温で放置して乾燥させた後、得られた成形体を600℃で焼成して、触媒(3)を得た。
得られた触媒(3)は、アルミナを主成分とするものであり、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してSiO2換算で1.02重量部のシリカを含有するとともに、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してMg換算で0.57重量部のマグネシウム元素を含有するものであった。また、この触媒(3)のBET比表面積は184m2/gであった。
実施例1と同様にして得た水酸化アルミニウム成形体122gに、硝酸マグネシウム・6水和物〔Mg(NO3)2・6H2O〕7.4gとシリカゾル(日産化学工業(株)製「スノーテックスO」)5.1gとを水23.1gに混合、溶解させたゾル液を充分に吸収させ、6時間程度室温で放置して乾燥させた後、得られた成形体を600℃で焼成して、触媒(4)を得た。
得られた触媒(4)は、アルミナを主成分とするものであり、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してSiO2換算で0.87重量部のシリカを含有するとともに、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してMg換算で0.62重量部のマグネシウム元素を含有するものであった。また、この触媒(4)のBET比表面積は199m2/gであった。
実施例1において、水酸化アルミニウム成形体に、酢酸マグネシウム・4水和物を水に溶解させた水溶液およびシリカゾル液の両方を吸収させなかったこと以外は、実施例1と同様にして、触媒(C1)を得た。
得られた触媒(C1)は、アルミナを主成分とするものであり、シリカの含有量は、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してSiO2換算で0.03重量部であり、マグネシウム元素の含有量は、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してMg換算で0.00重量部であった。また、この触媒(C1)のBET比表面積は171m2/gであった。なお、シリカゾル液を用いていないにも拘わらず触媒(C1)に微量のシリカが含有されているのは、不純物に由来するものである。
実施例1と同様にして得た水酸化アルミニウム成形体122gに、シリカゾル(日産化学工業(株)製「スノーテックスN」)5.0gと水25.2gとを混合したシリカゾル液を充分に吸収させ、6時間程度室温で放置して乾燥させた後、得られた成形体を600℃で焼成して、触媒(C2)を得た。
得られた触媒(C2)は、アルミナを主成分とするものであり、シリカの含有量は、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してSiO2換算で0.97重量部であり、マグネシウム元素の含有量は、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対してMg換算で0.00重量部であった。また、この触媒(C2)のBET比表面積は178m2/gであった。
各触媒をそれぞれ使用して、固定床流通式の反応装置にて、温度290℃、圧力1MPaGの条件で、メタノール液(和光純薬(株)製、特級)を気化させて空間速度(SV)2000h-1で供給することにより、メタノールの脱水反応を行ってジメチルエーテルを連続製造した。そして、反応開始から約2時間後(初期)と7日間経過後の反応率を次のようにして求めた。すなわち、反応開始から約2時間後および7日間経過後に、反応装置の出口ガスを採取して、出口ガスのメタノール濃度OMeOH(モル濃度)を測定し、反応装置の入口ガスのメタノール濃度IMeOHを100%とし、これらのメタノール濃度から下式(1)に従い、初期および7日後のメタノール反応率(%)をそれぞれ求めた。そして、得られた初期および7日後のメタノール反応率から下式(2)に従い算出される維持率(%)によって、ジメチルエーテル連続製造時の触媒活性の維持率を評価した。
メタノール反応率(%)=〔(IMeOH−OMeOH)/IMeOH〕×100 (1)
維持率(%)=〔(7日後のメタノール反応率)/(初期のメタノール反応率)〕
×100 (2)
各触媒をそれぞれ、高圧オートクレーブ(楠本化成(株)製「PCT−200−10」)を用いて150℃で24時間、飽和水蒸気中で処理した。そして、処理前後のBET比表面積から下式(3)に従い算出される低下率(%)によって、高温高圧水蒸気雰囲気下におけるBET比表面積の低下率を評価した。
低下率(%)=〔(処理前のBET比表面積―処理後のBET比表面積)/(処理
前のBET比表面積)〕×100 (3)
Claims (4)
- アルミナを主成分とするとともにシリカを含む触媒であって、マグネシウム元素を含有することを特徴とするジメチルエーテル製造用触媒。
- シリカの含有量は、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対して、SiO2換算で0.5重量部以上である請求項1記載のジメチルエーテル製造用触媒。
- マグネシウム元素の含有量は、Al2O3換算で100重量部のアルミナに対して、Mg換算で0.01〜1.2重量部である請求項1または2記載のジメチルエーテル製造用触媒。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のジメチルエーテル製造用触媒の存在下にメタノールを脱水反応させることを特徴とするジメチルエーテルの製造方法。
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