JP6556549B2 - アルデヒドの製造方法及び脱水素触媒 - Google Patents

アルデヒドの製造方法及び脱水素触媒 Download PDF

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Description

本発明は、アルデヒドの製造方法及び脱水素触媒に関する。
アルデヒドは、有機化学品、医薬、農薬などの原料として有用であるだけでなく、ブタジエンをはじめとする共役ジエン等の合成原料としても知られており、工業的に極めて重要な化合物である。
アルデヒドの製造方法としては、例えば、脱水素触媒を用いてアルコールを脱水素する方法が知られており、例えば特許文献1には、活性種として銅を含む特定の固体触媒を用いたアルデヒドの製造方法が開示されている。
特開2010−99635号公報
近年、アルデヒドの需要増加に伴い、より効率的にアルデヒドを製造する方法の開発が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、アルデヒドの新規製造方法として、第一級アルコールからアルデヒドを効率良く製造可能なアルデヒドの製造方法、及び当該製造方法に用いられる脱水素触媒を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係るアルデヒドの製造方法は、第一級アルコールを含む原料組成物を脱水素触媒に接触させて、アルデヒドを含む反応生成物を得る工程を備える。この製造方法において、上記脱水素触媒は、銅化合物及びケイ酸カルシウムを含む混合物の焼成体を還元処理してなる触媒である。
上記製造方法によれば、高い選択率で第一級アルコールの脱水素反応を行うことができ、アルデヒドを効率良く製造することができる。
一態様において、上記焼成体の比表面積は20m/g〜150m/gであってよい。この場合、第一級アルコールの脱水素反応におけるアルデヒド選択率が一層向上する傾向がある。
一態様において、上記焼成体の表面酸量は0.27mmol/g以下であってよい。この場合、第一級アルコールの脱水素反応におけるアルコール転化率及びアルデヒド選択率が一層向上する傾向がある。
一態様において、上記焼成体における、銅の酸化物換算での含有量Cに対するカルシウムの酸化物換算での含有量Cの比C/Cは、質量比で0.2〜2.2であってよい。この場合、第一級アルコールの脱水素反応におけるアルデヒド選択率が一層向上する傾向がある。
一態様において、上記焼成体における銅の酸化物換算での含有量Cは、上記焼成体の全量基準で、10質量%以上であってよい。この場合、第一級アルコールの脱水素反応におけるアルデヒド選択率が一層向上する傾向がある。
一態様において、上記第一級アルコールはエタノールであってよい。エタノールから製造されるアセトアルデヒドは、有機化学品、医薬、農薬などの原料として極めて有用であり、ブタジエンの原料にもなるなど工業的に極めて有用である。この態様では、工業的に極めて有用なアセトアルデヒドを効率良く製造することができる。
本発明の他の一側面に係る脱水素触媒は、第一級アルコールからアルデヒドを得るための脱水素触媒の前駆体であって、銅化合物及びケイ酸カルシウムを含む混合物の焼成体からなる触媒前駆体である。
本発明の他の一側面に係る脱水素触媒は、第一級アルコールからアルデヒドを得るための脱水素触媒であって、銅化合物及びケイ酸カルシウムを含む混合物の焼成体の還元処理物である。
本発明によれば、アルデヒドの新規製造方法として、第一級アルコールからアルデヒドを効率良く製造可能なアルデヒドの製造方法、及び当該製造方法に用いられる脱水素触媒を提供することができる。
実施例1及び比較例1における触媒前駆体のX線回折(XRD)パターンを示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
本実施形態に係るアルデヒドの製造方法は、第一級アルコールを含む原料組成物を脱水素触媒に接触させて、アルデヒドを含む反応生成物を得る工程を備える。また、本実施形態において、脱水素触媒は、銅化合物及びケイ酸カルシウムを含む混合物の焼成体を還元処理してなる触媒であってよい。すなわち、脱水素触媒は、銅化合物及びケイ酸カルシウムを含む混合物の焼成体の還元処理物であってよい。
第一級アルコールは、2以上の水素原子が結合した炭素原子にヒドロキシル基が結合した構造を有するアルコールである。
本実施形態に係る製造方法では、第一級アルコールを含む原料組成物が脱水素触媒に接触することにより、第一級アルコールの脱水素反応が進行し、アルデヒドが得られる。本実施形態に係る製造方法では、上記特定の脱水素触媒を用いることで、高いアルコール転化率及び高いアルデヒド選択率で第一級アルコールの脱水素反応を行うことができ、効率良くアルデヒドを得ることができる。
なお、本明細書において、アルコール転化率及びアルデヒド選択率は、下記式(1)及び式(2)で定義される。
= {1−(m/m)}×100 (1)
= {m/(m−m)}×100 (2)
式(1)において、rはアルコール転化率(%)を示し、mは原料組成物中の第一級アルコールの含有量(モル)を示し、mは反応生成物中に残存する第一級アルコールの含有量(モル)を示す。
式(2)において、rはアルデヒド選択率(%)を示し、m及びmは式(1)と同義であり、mは反応生成物中のアルデヒドの含有量(モル)を示す。
本実施形態に係る製造方法では高いアルデヒド選択率で脱水素反応が進行し、効率良くアルデヒドを得ることができる。このような効果が奏される理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。すなわち、本触媒では、焼成前の混合物に、銅に加え、ケイ酸カルシウムを含有させることで、触媒の表面酸量が減少し、結果として、触媒に含まれる固体酸によって進行するエーテルやエステルの生成反応といった副反応を抑制できるため、高いアルデヒド選択率で脱水素反応が進行し、効率よくアルデヒドを得ることができると考えている。
(脱水素触媒)
本実施形態において、脱水素触媒は、銅化合物及びケイ酸カルシウムを含む混合物の焼成体(以下、場合により「触媒前駆体」ともいう。)を還元処理してなる触媒である。
脱水素触媒の製造方法は、例えば、上記焼成体を還元処理する工程(還元工程)を含んでいてよく、上記混合物を焼成して上記焼成体を得る工程(焼成工程)をさらに含んでいてよく、銅化合物及びケイ酸カルシウムを含む触媒原料を混合して上記混合物を得る工程(混合工程)をさらに含んでいてよい。
銅化合物としては、例えば、銅(金属銅)、銅酸化物、及び、焼成によって銅酸化物に変換され得る化合物(銅酸化物前駆体)等が挙げられる。銅酸化物前駆体としては、例えば、銅の水酸化物、銅を含む塩、有機銅化合物等が挙げられる。また、銅を含む塩としては、例えば、無機塩、有機酸塩及びこれらの水和物等が挙げられる。無機塩は、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩、炭酸塩、アンモニウム錯塩等であってよく、有機酸塩は、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩、アセチルアセトナート塩等であってよい。
ケイ酸カルシウムには、ゾノトライト、トバモライト、ジャイロライト等、種々の種類のものが知られており、本実施形態におけるケイ酸カルシウムは、これらのいずれであってもよい。
ケイ酸カルシウムは、化学的に合成されたものであることが好ましく、例えば、水溶性ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)と水溶性カルシウム塩(例えば、塩化カルシウム)とを水系溶媒(例えば、水)中で反応させて得られたものであってよい。
ケイ酸カルシウムとしては、Caに対するSiのモル比(Si/Ca)が0.5〜6.5であるものが好ましく、1.6〜4であるものがより好ましい。このようなケイ酸カルシウムによれば、成型触媒の力学強度を高めるという効果が奏される。なお、Si/Caのモル比は、蛍光X線分析の方法で測定される。
ケイ酸カルシウムの嵩比容積は、好ましくは4cc/g以上であり、より好ましくは7cc/g以上である。このようなケイ酸カルシウムによれば、濾過速度の向上及び触媒成型性の向上等の効果が奏される。
ケイ酸カルシウムとしては、吸油量が2.0cc/g以上のものが好ましく、3.0cc/g以上のものがより好ましい。このようなケイ酸カルシウムによれば、濾過速度の向上及び触媒成型性の向上等の効果が奏される。
触媒前駆体の成形性及び触媒強度がより向上する観点からは、ケイ酸カルシウムは、ジャイロライト型であることが好ましく、ジャイロライト型に属する花弁状のケイ酸カルシウムであることがより好ましい。
ここで、花弁状のケイ酸カルシウムは、例えば、水溶性ケイ酸塩と水溶性カルシウム塩とを、水溶性ケイ酸塩に対して5〜100質量倍の水系溶媒中で、150〜250℃の温度で反応させて得ることができる。このようにして得られる花弁状ケイ酸カルシウムは、例えば、Caに対するSiのモル比(Si/Ca)が1.6〜6.5、嵩比容積が4cc/g以上、吸油量が2.0cc/g以上となる。
より詳細には、例えば、塩化カルシウム水溶液とケイ酸ナトリウム水溶液とを、Si/Caのモル比2.6にて、大気圧下、常温で混合して混合液を得て、次いで混合液をオートクレーブ中、200℃で5時間反応させた後、得られた反応生成物をろ取、水洗及び乾燥することによって、2CaO・3SiO・2.20SiO・2.30〜2.60HOで表される組成を有する花弁状ケイ酸カルシウムを得ることができる。
花弁状のケイ酸カルシウムとしては、市販品を用いてよく、例えば、冨田製薬(株)製の「フローライト」を用いてよい。この花弁状のケイ酸カルシウムは、通常、2CaO・3SiO・mSiO・nHOで表され、mとnはそれぞれ、1<m<3及び2<n<3を満たす。
花弁状のケイ酸カルシウムの形状は、例えば電子顕微鏡観察によって確認することができ、例えば、3000〜10000倍の電子顕微鏡観察によって花弁状の形状と厚みを確認することができる。花弁状のケイ酸カルシウムの有する花弁の大きさや形状等は、製造に用いる原料の種類、それら原料の混合比のほか、製造条件等によっても異なるので、一概には限定することはできないが、通常、花弁は、長手方向の平均直径が0.1〜30μm、厚みが0.005〜0.1μm程度の円状や楕円状等をなしたものが多く、バラの花の花弁に類似するものが多い。なお、Si/Caのモル比が1.6より小さいときは、ケイ酸カルシウムは花弁状の形態をもたず、結晶形態もトバモライト型又はゾノトライト型となる傾向がある。他方、Si/Caのモル比が6.5を超えるときは、嵩比容積と吸油量が共に小さくなり、花弁状ケイ酸カルシウムの成長がみられなくなる傾向がある。
本実施形態において、得られる触媒前駆体の成形性及び触媒強度がより向上する観点から、ケイ酸カルシウムのうち、5質量%以上が花弁状のケイ酸カルシウムであることが好ましい。
混合工程における混合方法は特に制限されず、湿式又は乾式のいずれであってもよい。混合方法は、例えば、銅化合物、銅化合物を含む水溶液又は銅化合物を含むスラリーと、ケイ酸カルシウム又はケイ酸カルシウムを含む水溶液と、を混合する方法であってよい。なお、湿式混合した場合は、得られた混合物を乾燥した後、焼成工程を行うことが好ましい。
混合工程では、銅化合物及びケイ酸カルシウム以外の他の混合成分をさらに混合してもよい。すなわち、混合工程における触媒原料は、銅化合物及びケイ酸カルシウム以外の他の混合成分をさらに含んでいてもよい。他の混合成分としては、例えば、流動性調節剤、細孔付与剤、補強材、バインダー等が挙げられる。
焼成工程は、混合工程で得られた混合物を焼成して、焼成体(触媒前駆体)を得る工程である。
焼成工程に供される混合物は、所望の触媒形状に応じて適宜成形されていてよい。成形方法は特に制限されず、例えば、押出成形法、圧縮成形法、打錠成型法、転動造粒法等であってよい。
焼成工程における焼成は、例えば、空気雰囲気下又は酸素雰囲気下で行うことができる。焼成は一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。
焼成工程における焼成温度は、銅化合物(例えば、銅酸化物前駆体)を銅酸化物に変換可能な温度であればよく、例えば、300〜700℃であってよく、400〜600℃であってもよい。
焼成工程における焼成時間は、触媒原料の組成及び焼成温度等に応じて適宜調整できるが、例えば1〜12時間であってよく、2〜8時間であってもよい。
焼成工程で得られる触媒前駆体は、混合物を焼成後、所望の触媒形状に応じて適宜成形したものであってもよい。成形方法は特に制限されず、例えば、押出成形法、圧縮成形法、打錠成型法、転動造粒法等であってよい。
還元工程は、焼成工程で得られた触媒前駆体を還元処理する工程である。還元工程は、例えば、還元性ガスを触媒前駆体に接触させることにより、触媒前駆体中の酸化銅を還元する工程であってよい。
還元工程では、例えば、還元性ガス雰囲気下、80〜300℃の還元温度で、1〜50時間保持することにより還元処理を行ってよい。
酸化銅の還元は発熱反応であるため、急激な還元による過度の温度上昇を防ぐ観点から、還元温度、還元性ガスの濃度及び還元性ガスの接触量を徐々に上昇させることが好ましい。このような調整を行うことで、過度の温度上昇による銅の凝集を抑制し、触媒性能をより向上させることができる。
還元開始時の還元温度は、例えば、100〜130℃であってよく、還元終了時の還元温度は、例えば、190〜220℃であってよい。また、還元性ガスとして水素を含むガスを用いる場合、還元開始時における還元性ガスの水素濃度は、0.1〜50体積%程度であってよい。還元性ガスの濃度の調整は、例えば、水素ガスに窒素ガスを混合することにより行うことができる。具体的には、水素ガス及び窒素ガスの流量を調整することにより、還元性ガスの水素濃度を調整することができる。なお、「還元開始時」とは、還元性ガスが初めて焼成体に接触した時点を意味する。「還元終了時」とは、酸化銅の還元による触媒の発熱が起こらないことが確認された時点を意味する。
還元工程は、経時による銅の酸化を防ぐ観点からは、脱水素反応の直前に行うことが好ましい。また、還元工程を経て得られた脱水素触媒を保存する場合には、例えば不活性ガス雰囲気下など、銅の酸化が防止される環境下に保存されることが望ましい。
また、還元工程は、銅の酸化防止及び作業効率化の観点から、脱水素反応の反応器中で実施することが好ましい。すなわち、還元工程は、触媒前駆体が充填された反応器に還元性ガスを流通させて行ってもよい。
本実施形態においては、触媒原料としてケイ酸カルシウムを用いることにより、上述の効果が奏されると考えられる。この点につき、上記製造方法で得られた触媒前駆体について、X線回折装置を用いて測定されるX線回折パターンを解析すると、回折角2θ=26.2°、27.2°、29.4°及び33.1°付近にケイ酸カルシウムに由来する回折ピークが確認される。
触媒前駆体における銅の酸化物換算(CuO換算)での含有量Cは、第一級アルコールの脱水素反応におけるアルデヒド選択率が一層向上する観点からは、触媒前駆体の全量基準で、10質量%以上であってよく、20質量%以上であってよく、30質量%以上であってよい。また、含有量Cは、高いアルデヒド選択率を維持できる観点からは、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよく、60質量%以下であってよい。
触媒前駆体におけるカルシウムの酸化物換算(CaO換算)での含有量Cは、第一級アルコールの脱水素反応におけるアルデヒド選択率が一層向上する観点からは、触媒前駆体の全量基準で、3質量%以上であってよく、5質量%以上であってよく、10質量%以上であってよい。また、含有量Cは、高いアルデヒド選択率を維持できる観点からは、50質量%以下であってよく、40質量%以下であってよく、30質量%以下であってよい。
触媒前駆体におけるシリコンの酸化物換算(SiO換算)での含有量Cは、第一級アルコールの脱水素反応におけるアルデヒド選択率が一層向上する観点からは、触媒前駆体の全量基準で、10質量%以上であってよく、20質量%以上であってよく、30質量以上%であってよい。シリコンの酸化物換算での含有量Cは、高いアルデヒド選択率を維持できる観点からは、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよく、60質量%以下であってよい。
触媒前駆体において、銅の酸化物換算での含有量Cに対するカルシウムの酸化物換算での含有量Cの比C/C(質量比)は、第一級アルコールの脱水素反応におけるアルデヒド選択率が一層向上する観点からは、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.4以上であり、好ましくは2.2以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは0.8以下である。
触媒前駆体において、カルシウムの酸化物換算での含有量Cに対するシリコンの酸化物換算での含有量Cの比C/C(質量比)は、0.5以上であっても1.6以上であってもよく、6.5以下であっても4.0以下であってよい。
本明細書中、銅、カルシウム及びシリコンの酸化物換算での含有量(C、C及びC)は、触媒前駆体をJIS K 0119−87(蛍光X線分析方法通則)に記載されている分析方法によって分析して得られる値である。なお、これらの含有量は、混合工程における、銅化合物及びケイ酸カルシウムの使用量、並びに、ケイ酸カルシウムのSi/Ca比を調整すること等により、調整することができる。
触媒前駆体の形状は、特に限定されず、例えば、ペレット状、顆粒状、ハニカム状、スポンジ状、球状、ヌードル状等であってよい。
触媒前駆体は、銅、カルシウム及びシリコン以外の他の金属元素を含んでいてもよい。他の金属元素としては、アルミニウム、亜鉛、鉄等が挙げられる。なお、触媒前駆体においては、銅、カルシウム及びシリコンの酸化物換算での合計含有量(C、C及びCの合計)が、触媒前駆体の全量基準で、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、場合により100質量%であってもよい。
ところで、従来の脱水素触媒はクロムを含有することが多く、環境に対する負荷を低減する観点からはクロムを含有しない脱水素触媒が求められている。この観点からは、触媒前駆体は、クロムの酸化物換算(Cr換算)での含有量が、触媒前駆体の全量基準で1質量%以下であることが好ましく、測定限界以下であることがより好ましい。このような触媒前駆体から得られる脱水素触媒は、従来の触媒と比較して、環境に対する負荷が少ないという点においても優れているといえる。
また、触媒前駆体は、上述した、他の混合成分由来の成分をさらに含んでいてもよい。
触媒前駆体の比表面積は、第一級アルコールの脱水素反応におけるアルデヒド選択率が一層向上する観点で、150m/g以下であってよく、140m/g以下であってよく、130m/g以下であってよい。また、触媒前駆体の比表面積は、活性金属を高分散化できる観点で、20m/g以上であってよく、50m/g以上であってよく、70m/g以上であってよい。
触媒前駆体の表面酸量は、第一級アルコールの脱水素反応におけるアルコール転化率及びアルデヒド選択率が一層向上する観点で、0.27mmol/g以下であってよく、0.20mmol/g以下であってよく、0.15mmol/g以下であってよい。また、触媒前駆体の表面酸量は、高いアルデヒド選択率を維持できる観点で、0.03mmol/g以上であってよく、0.06mmol/g以上であってよく、0.10mmol/g以上であってよい。
触媒前駆体の表面酸量は、アンモニア昇温脱離法により測定される値である。なお、触媒前駆体の表面酸量は、例えばケイ酸カルシウムの含有量および焼成温度の調整等により、調整することができる。
本明細書中、触媒前駆体の比表面積は、窒素吸着BET法によって測定される値である。なお、上述した脱水素触媒の製造方法において、例えば焼成温度及び焼成時間を調整すること等により、触媒前駆体の比表面積を上記範囲に調整することができる。
本実施形態に係る製造方法では、上述した触媒前駆体を還元処理してなる脱水素触媒を用いることで、第一級アルコールからアルデヒドを効率良く製造することができる。
(脱水素方法)
本実施形態に係る製造方法において、原料組成物は第一級アルコールを含む。第一級アルコールの炭素数は、目的とするアルデヒドの炭素数と同じであってよい。第一級アルコールの炭素数は1〜10であってよく、2〜8であってよく、2〜6であってよい。第一級アルコールは、例えば、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−オクタノール等であってよい。これらの中でも、工業的に極めて有用なアセトアルデヒドを効率良く製造することができる観点で、エタノールが好ましく用いられる。エタノールは、温室効果ガス削減、石油資源枯渇問題解決の観点から、バイオエタノールを用いることが好ましい。なお、原料組成物は、第一級アルコールとして1種を単独で又は2種以上を含んでいてよい。
原料組成物は、第一級アルコール以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、水が挙げられる。すなわち、本実施形態に係る製造方法では、含水エタノールを原料組成物として用いることができる。含水エタノールとしては、例えば通常蒸留で得られる含水エタノールを用いることができる。通常、無水エタノールの製造時には、共沸蒸留工程が必要となるため、含水エタノールを用いる場合には、当該工程を短縮することできる。
原料組成物中の水の含有量は、例えば、原料組成物の全量基準で1〜20質量%であってよく、4〜5質量%であってよい。本実施形態に係る製造方法では、このような含有量範囲で水を含む原料組成物を用いた場合でも、脱水素反応が良好に進行し、効率良くアルデヒドを得ることができる。
また、原料組成物は脱水素反応が十分に進行する範囲でさらに他の成分を含んでいてよく、アルデヒド、エーテル、エステル等を含んでいてもよい。
本実施形態に係る製造方法において、反応生成物はアルデヒドを含む。本実施形態に係る製造方法により得られるアルデヒドとしては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、オクチルアルデヒド等が挙げられる。
本実施形態に係る製造方法では、上述した脱水素触媒が充填された反応器に原料組成物を供給する方法により、原料組成物を脱水素触媒に接触させてよい。反応器は公知の反応器であってよく、流通式又はバッチ式のいずれであってもよい。流通式の反応器としては、例えば、公知の反応管を用いることができる。
脱水素反応の反応形式は、特に限定されず、固定床方式、流動床方式、懸濁床方式等であってよい。固定床方式では、例えば、反応管の上下(脱水素触媒の上下)にガラスビーズ等の充填材を設けることによって、脱水素触媒を反応管内に固定した反応器を用いてよい。
脱水素反応は、気相反応又は液相反応のいずれであってもよい。すなわち、ガス状の原料組成物を脱水素触媒に接触させて第一級アルコールの脱水素を行ってもよいし、液状の原料組成物を脱水素触媒に接触させて第一級アルコールの脱水素を行ってもよい。また、脱水素触媒の上下にガラスビーズ等の充填材が設けられた反応器(反応管)を用いる場合、加熱した状態の反応管に液状の原料組成物を供給することで、脱水素触媒からなる層より上流側、すなわち、充填材からなる層で気化させて、ガス状の原料組成物を脱水素触媒に接触させてもよい。
脱水素反応は平衡上高温が有利である反面、高温ではコーキング又は活性金属の凝集若しくは酸化による触媒劣化が進行しやすくなる。このような観点から、反応温度、すなわち、反応器内の温度は、200〜500℃であってよく、250〜450℃であってよく、300〜400℃であってよい。脱水素触媒の上下にガラスビーズ等の充填材が設けられた反応器(反応管)を用いる場合、ガラスビーズからなる層における、脱水素触媒からなる層の直前の部分の温度(触媒層入口温度)を反応器内の温度とみなすことができる。
反応圧力、すなわち、反応器の気圧は、安全性、経済性、平衡の観点から、常圧付近であることが好ましい。より詳細には、反応圧力は、−0.8〜0.5MPaGであってよく、常圧〜0.3MPaGであってよい。
重量空間速度(以下、「WHSV」という。)は、特に制限されないが、0.1〜80h−1の範囲であってよく、0.5〜60h−1の範囲であってよい。ここで、WHSVは、連続式の反応装置における、第一級アルコールの供給速度(供給量/時間)Fに対する触媒前駆体の質量Wの比(F/W)である。WHSVを上記範囲とすることで、反応器容積の拡大が抑えられ、プロセスの経済性が向上し、反応温度が制御しやすくなる。
反応器から取り出された反応生成物は、第一級アルコールの脱水素反応により生成したアルデヒドを含む。反応生成物からアルデヒドを単離精製する方法は特に制限されず、公知の単離精製方法を用いることができる。
また、反応生成物は、未反応の第一級アルコールを含んでいてよい。本実施形態では、反応生成物中の第一級アルコールを回収して、原料組成物として再利用することもできる。第一級アルコールの回収方法は特に制限されず、例えば、蒸留分離の方法が挙げられる。
本実施形態に係る製造方法で製造されたアルデヒドは、例えば、共役ジエンの合成原料等、種々の化成品の合成原料として好適に用いることができる。すなわち、本発明の一側面は、上記製造方法でアルデヒドを製造する工程と、アルデヒドから化成品を得る工程と、を備える化成品の製造方法ということもできる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<触媒前駆体の調製>
まず、水酸化ナトリウム90.0gを水1.6Lに溶解させて、水酸化ナトリウム水溶液を調製した。別途、ビーカーにイオン交換水2Lと硝酸銅三水和物222.5gを入れ、攪拌しながら温度を80℃に上昇させて、硝酸銅水溶液を調製した。この硝酸銅水溶液を、80℃に保ちながら、上記水酸化ナトリウム水溶液に滴下した。滴下終了後に得られたスラリーのpHは11.8であった。このスラリーを50℃まで冷却した後、沈殿物を吸引濾過によって集めた。この沈殿物をイオン交換水にて洗浄した。
このようにして洗浄した沈殿物をイオン交換水2L中にリパルプさせた後、得られた懸濁液を撹拌しながら、これにケイ酸カルシウム(冨田製薬(株)製、商品名:「フローライト」)80.4gを加えた。得られた固形物を濾取した後、110〜120℃の空気中で一晩乾燥した。乾燥後の固形物を軽く粉砕した後、押出成形機を用いて、直径2mmの円柱状物に成形した。この成形物を空気中、450℃で5時間焼成して、実施例1の触媒前駆体を得た。
<脱水素触媒の作製>
上記の方法で得られた触媒前駆体2.95gを固定床常圧流通系反応装置のSUS製反応管(外径12.7mm、内径10mm)に充填した。充填の際には、反応管の上下にガラスビーズ(1mmφ)を詰めて触媒前駆体を反応管内に固定した。なお、触媒前駆体からなる層(触媒前駆体層)とガラスビーズからなる層(ガラスビーズ層)との間に、石英ウールを設けることにより、触媒前駆体層とガラスビーズ層とを仕切った。
窒素ガスを約1L/minで反応管に流通させるとともに、反応管の加熱を開始した。触媒前駆体層の温度が約120℃に到達したところで、約10ml/minで水素ガスを導入し、触媒前駆体中の還元処理を開始した。触媒前駆体層の温度が約150℃に到達したところで、約90min保持した。酸化銅の還元による急激な発熱が起こっていないことを確認した上で、反応管を更に加熱することにより触媒前駆体層の温度を徐々に上げ、同時に水素ガスの流量を徐々に増やし、窒素ガスの流量を徐々に減らした。最終的には、触媒前駆体層の温度を約200℃、窒素ガスの流量を約400ml/min、水素ガスの流量を約100ml/minとし、この状態で約20min保持した。その後、反応管の加熱及び水素ガスの流通を停止して、触媒前駆体の還元処理を終了させた。上記操作により、実施例1の脱水素触媒を得た。なお、触媒前駆体の還元処理に要した時間は約3時間であった。還元処理の終了後は、窒素流通下で触媒を保持した。
<エタノールの脱水素反応>
窒素ガスの流通下でヒータ温度を400℃まで上げて反応管を加熱した後、窒素ガスの流通を停止し、液体ポンプにて、液状の原料組成物のみを加熱した反応管に導入した。この際、ガラスビーズ層における、触媒層の直前の部分の温度(触媒層入口温度)は325℃であった。原料組成物には、無水エタノール(和光純薬工業株式会社製)に水を添加して調製した水溶液(水の含有量=4質量%)を用いた。WHSVは40h−1とした。なお、本反応において、原料組成物は、脱水素触媒からなる層(触媒層)の上流側であるガラスビーズ層で気化されて、触媒層に供給される。
上記操作により、アセトアルデヒドを含む反応生成物を得た。反応生成物は1Lガスバッグに採取した。採取は、ドライアイス/メタノール冷媒でガスバッグを冷却しながら行った。
得られた液状の反応生成物についてGC−FIDによる組成分析を行った。組成分析の結果に基づき、反応生成物における、エタノールの含有割合(モル/L)及びアセトアルデヒドの含有割合(モル/L)を算出した。これらの算出結果に基づき、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。なお、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率は、それぞれ下記式(4)及び式(5)により求めた。
= {1−(M/M)}×100 (4)
= {M/(M−M)}×100 (5)
式(4)において、Rはエタノール転化率(%)を示し、Mは原料組成物中のエタノールの含有割合(モル/L)を示し、Mは反応生成物中のエタノールの含有割合(モル/L)を示す。式(5)において、Rはアルデヒド選択率(%)を示し、M及びMは式(1)と同義であり、Mは反応生成物中のアルデヒドの含有割合(モル/L)を示す。
(実施例2)
水酸化ナトリウム水溶液の調製において、水酸化ナトリウムの使用量を75.6gとしたこと、硝酸銅水溶液の調製において、硝酸銅三水和物の使用量を187.0gとしたこと、及び、ケイ酸カルシウムの使用量を91.8gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の触媒前駆体を得た。なお、硝酸銅水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下した後に得られたスラリーのpHは11.7であった。
得られた触媒前駆体1.76gを実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、実施例2の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が270℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを51h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2において、焼成時の温度を500℃としたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例3の触媒前駆体を得た。
得られた触媒前駆体1.94gを実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、実施例3の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が295℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを36h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例4)
水酸化ナトリウム水溶液の調製において、水酸化ナトリウムの使用量を58.2gとしたこと、硝酸銅水溶液の調製において、硝酸銅三水和物の使用量を143.9gとしたこと、及び、ケイ酸カルシウムの使用量を107.1gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の触媒前駆体を得た。なお、硝酸銅水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下した後に得られたスラリーのpHは11.9であった。
得られた触媒前駆体1.20gを実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、実施例4の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が277℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを40h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例5)
水酸化ナトリウム水溶液の調製において、水酸化ナトリウムの使用量を106.7gとしたこと、硝酸銅水溶液の調製において、硝酸銅三水和物の使用量を263.8gとしたこと、及び、ケイ酸カルシウムの使用量を68.9gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の触媒前駆体を得た。なお、硝酸銅水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下した後に得られたスラリーのpHは12.0であった。
得られた触媒前駆体2.94gを実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、実施例5の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が301℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを38h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例6)
水酸化ナトリウム水溶液の調製において、水酸化ナトリウムの使用量を33.0gとしたこと、硝酸銅水溶液の調製において、硝酸銅三水和物の使用量を81.5gとしたこと、及び、ケイ酸カルシウムの使用量を125.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の触媒前駆体を得た。なお、硝酸銅水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下した後に得られたスラリーのpHは11.7であった。
得られた触媒前駆体1.47gを実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、実施例6の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が278℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを20h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例7)
ケイ酸カルシウムとしてケイ酸カルシウム(和光純薬工業(株)製、試薬特級)を使用したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例7の触媒前駆体を得た。
得られた触媒前駆体1.58gを実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、実施例7の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が366℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを40h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例8)
ケイ酸カルシウムとしてケイ酸カルシウム(和光純薬工業(株)、製試薬特級)を使用したこと以外は、実施例4と同様にして、実施例8の触媒前駆体を得た。
得られた触媒前駆体1.55gを実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、実施例8の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が297℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを40h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。結果を表1に示す。
(比較例1)
水酸化ナトリウム77.6gを水1.6Lに溶解させて、水酸化ナトリウム水溶液を調製した。別途、ビーカーにイオン交換水2Lと硝酸銅三水和物191.8gを入れ、攪拌しながら温度を80℃に上昇させて、硝酸銅水溶液を調製した。この硝酸銅水溶液を、80℃に保ちながら、上記水酸化ナトリウム水溶液に滴下した。滴下終了後に得られたスラリーのpHは11.8であった。このスラリーを50℃まで冷却した後、沈殿物を吸引濾過によって集めた。この沈殿物をイオン交換水にて洗浄した。
このようにして洗浄した沈殿物をイオン交換水2L中にリパルプさせた後、得られた懸濁液を撹拌しながら、これに酸化ケイ素(和光純薬工業(株)製、試薬特級)32.5gと酸化カルシウム(和光純薬工業(株)製、試薬特級)57.8gを加えた。得られた固形物を濾取した後、110〜120℃の空気中で一晩乾燥した。乾燥後の固形物を軽く粉砕した後、押出成形機を用いて、直径2mmの円柱状物に成形した。この成形物を空気中、450℃で5時間焼成して、比較例1の触媒前駆体を得た。
得られた触媒前駆体1.20gを実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、比較例1の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が313℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを20h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノールの転化率及びアセトアルデヒドの選択率を求めた。結果を表2に示す。
(比較例2)
水酸化ナトリウム83.1gを水1.6Lに溶解させて、水酸化ナトリウム水溶液を調製した。別途、ビーカーにイオン交換水2L、硝酸銅三水和物151.9g、硝酸亜鉛六水和物98.7g、及び、硝酸アルミニウム九水和物529.8gを入れ、攪拌しながら温度を80℃に上昇させて、硝酸塩水溶液を調製した。この硝酸塩水溶液を、80℃に保ちながら、上記水酸化ナトリウム水溶液に滴下した。滴下終了後に得られたスラリーのpHは7.3であった。このスラリーを50℃まで冷却した後、沈殿物を吸引濾過によって集めた。この沈殿物をイオン交換水にて洗浄した。
得られた沈殿物(固形物)を濾取した後、110〜120℃の空気中で一晩乾燥した。乾燥後の固形物を軽く粉砕した後、押出成形機を用いて、直径2mmの円柱状物に成形した。この成形物を空気中、450℃で5時間焼成して、比較例2の触媒前駆体を得た。
得られた触媒前駆体2.00gを実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、比較例2の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が275℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを10h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。結果を表2に示す。
(比較例3)
市販の銅ジルコニウム触媒CuZ−1(堺化学工業(株))4.13gを実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、比較例3の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が307℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを12h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。結果を表2に示す。
(比較例4)
市販の銅クロム触媒Cu0203T(エヌ・イー ケムキャット(株))6.73gを、実施例1と同様の方法で充填し、実施例1と同様の方法により、還元処理し、比較例4の脱水素触媒を得た。次いで、触媒層入口温度が370℃となるように反応管を加熱したこと、WHSVを3.5h−1としたこと以外は、実施例1と同様にして、エタノールの脱水素反応を行った。得られたアセトアルデヒドを含む反応生成物を、実施例1と同様の方法により分析し、エタノール転化率及びアセトアルデヒド選択率を求めた。結果を表2に示す。
<触媒前駆体及び脱水素触媒の分析>
[触媒前駆体の組成]
実施例1〜8及び比較例1〜3の触媒前駆体をJIS K 0119−87(蛍光X線分析方法通則)に記載されている分析方法によって分析することにより、実施例1〜8及び比較例1〜3の触媒前駆体における、金属成分(Cu、Ca、Cu、Zn、Cr及びZr)の酸化物換算での含有量を求めた。結果を表1及び表2に示す。比較例4の触媒前駆体における上記金属成分の酸化物換算での含有量には、銅クロム触媒Cu0203Tのカタログ値を酸化物換算した数値を記載した。なお、これら金属成分の含有量は、触媒前駆体の全質量を基準とした含有量である。
また、実施例1〜8及び比較例1について、Cuの酸化物換算での含有量CとCaの酸化物換算での含有量Cとの比(C/C)を求めた。結果を表1及び表2に示す。
[触媒前駆体の比表面積]
実施例1〜8及び比較例1の触媒前駆体の比表面積(単位:m/g)を、窒素吸着BET法により測定した。結果を表1に示す。
[触媒前駆体の表面酸量]
実施例1〜8及び比較例1の触媒前駆体の表面酸量(単位:mmol/g)を、アンモニア昇温脱離法により測定した。結果を表1に示す。
[触媒前駆体のX線回折パターン]
X線回折装置を用いて、実施例1及び比較例1の触媒前駆体のX線回折パターンを測定した。X線回折装置としては、粉末X線回折装置(理学電機(株)社製、商品名:RINT−TTR3)を用いた。実施例1及び比較例1の触媒前駆体のX線回折パターンを図1に示す。実施例1の触媒前駆体のX線回折パターンでは、回折角2θ=26.2°、27.2°、29.4°及び33.1°にケイ酸カルシウムに由来する回折ピーク(図1中「A1」、「A2」、「A3」及び「A4」)が存在することが確認された。一方、比較例1の触媒前駆体のX線回折パターンでは、ケイ酸カルシウムに由来する回折ピークの存在を確認されなかった。なお、実施例1及び比較例1の触媒前駆体のX線回折パターンにおいて、回折角2θ=35.5°及びに38.6°に存在するピーク(図1中「B1」及び「B2」)は酸化銅(CuO)に由来するピークである。また、比較例1の触媒前駆体のX線回折パターンにおいて、回折角2θ=29.6°に存在するピーク(図1中「C」)はシリカに由来するピークであり、回折角2θ=32.5°に存在するピーク(図1中「D」)は酸化カルシウム(CaO)に由来するピークである。

Claims (7)

  1. エタノール及び/又は1−プロパノールを含む原料組成物を脱水素触媒に接触させて、アルデヒドを含む反応生成物を得る工程を備え、
    前記脱水素触媒が、銅化合物及びケイ酸カルシウムを含む混合物の焼成体を還元処理してなる、アルデヒドの製造方法。
  2. 前記焼成体の比表面積が20m/g〜150m/gである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記焼成体の表面酸量が0.27mmol/g以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記焼成体における、銅の酸化物換算での含有量Cに対するカルシウムの酸化物換算での含有量Cの比C/Cが、質量比で0.2〜2.2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記焼成体における銅の酸化物換算での含有量Cが、前記焼成体の全量基準で、10質量%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. エタノール及び/又は1−プロパノールからアルデヒドを得るための脱水素触媒の前駆体であって、
    銅化合物及びケイ酸カルシウムを含む混合物の焼成体からなる、触媒前駆体。
  7. エタノール及び/又は1−プロパノールからアルデヒドを得るための脱水素触媒であって、
    銅化合物及びケイ酸カルシウムを含む混合物の焼成体の還元処理物である、脱水素触媒。
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