JP5638375B2 - アルデヒドの製造方法 - Google Patents

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本発明はアルデヒドの製造方法に関する。
アルデヒドは、化学反応用の原料や香料素材として有用な化合物であり、旧来よりアルコールを原料とした脱水素反応や酸化反応等により合成されている。この中でも、脱水素反応は、酸化反応が発熱反応であるのに対して、吸熱反応であるため、その反応の熱的制御の容易さからアルデヒドの製造方法として多用されている。例えば、特許文献1には、Cu/Fe/Al/(アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属)/Zn触媒を用いて、脱水素反応を行うことにより目的とするカルボニル化合物(アルデヒド又はケトン類)を得る方法が開示されている。
また、脱水素反応では、目的とするアルデヒド以外にも副生物としてエステル体などが生成する。そのため、これら副生物を抑えて高選択的に反応させるための技術改良が種々行われてきた。例えば、特許文献2には、アルコールを固定床の減圧系気相反応により脱水素してアルデヒドを高選択的に得る方法が開示されている。また、特許文献3には、フィルム型脱水素触媒の存在下でアルコールを脱水素してアルデヒドを高選択的に得る方法が開示されている。
特公平7−34865号公報 特表2004−501881号公報 特表2005−342675号公報
本発明は、アルコールを原料として、対応するアルデヒドを高選択的に製造する方法を提供することを課題とする。
本発明は、アルコールを含む反応流体を脱水素触媒に接触させ、該反応流体に含まれるアルコールを脱水素してアルコールのアルデヒドに対するモル組成比(アルコールのモル数/アルデヒドのモル数)を40/60〜80/20とする第1ステップと、該第1ステップで生成した反応流体中の水素を除去する第2ステップと、該第2ステップで水素を除去した反応流体を脱水素触媒に接触させ、該反応流体に含まれるアルコールを脱水素する第3ステップとを有するアルデヒドの製造方法である。
本発明によれば、副生成物のエステル体などの生成を抑えて、目的とするアルデヒドを高選択的に得ることができる。
装置構成1の反応装置を示すブロック図である。 装置構成2の反応装置を示すブロック図である。
以下、実施形態について詳細に説明する。
(アルデヒドの製造方法)
本実施形態に係るアルデヒドの製造方法は、アルコールを含む反応流体を脱水素触媒に接触させ、反応流体に含まれるアルコールを脱水素してアルコールのアルデヒドに対するモル組成比(アルコールのモル数/アルデヒドのモル数)を40/60〜80/20とする第1ステップと、その第1ステップで生成した反応流体中の水素を除去する第2ステップと、その第2ステップで水素を除去した反応流体を脱水素触媒に接触させ、反応流体に含まれるアルコールを脱水素する第3ステップとを有する。
本発明者らは、アルコールの脱水素反応及び逐次的にエステル体が生成する副反応の反応速度に着目して検討した結果、前者の反応は水素を生成する平衡反応であり、後者の反応の詳細は不明であるが、水素を生成する平衡反応を含むと考えられる。このような、平衡反応系において生成物の水素を除去することは、前者の反応に対しては目的生成物であるアルデヒドの生成を有利に行うことが期待できるが、続いて逐次的に起こるエステル体生成に関してもより進行することが予測され、本反応系のような目的物生成から更に逐次反応による副生物が生成するような場合には、一般的に選択性が向上するとは考えられない。ところが、驚くべきことにアルコールのアルデヒドに対するモル組成比(アルコールのモル数/アルデヒドのモル数)が40/60〜80/20の範囲に至った時点で水素を反応系から除去することによって、前者の反応速度を後者の反応速度に比べて相対的に大きくすることができることが判った。そのことから、アルコールを含む反応流体を脱水素触媒に接触させてアルコールを脱水素すると共に、そのとき生成した反応流体中の水素を除去し、そして、その水素を除去した反応流体を再び脱水素触媒に接触させてアルコールを脱水素することにより、副生成物のエステル体などの生成を抑え、目的とするアルデヒドを高選択的に得ることができることを見出した。
<第1ステップ>
第1ステップでは、アルコールを含む反応流体を脱水素触媒に接触させ、その反応流体に含まれるアルコールを脱水素する。このとき、下記化学反応式(1)に基づいて、アルコールからアルデヒドと水素との混合物が生成する。
CHOH→CCHO+H(1)
反応流体には原料のアルコールが含まれる。原料のアルコールとしては、例えば、炭素数4〜36の直鎖状若しくは分岐鎖状の、飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールが挙げられ、それらのうち好ましくは炭素数6〜22の、特に好ましくは炭素数6〜18の脂肪族アルコールである。具体的には、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコールなどの他、チーグラー法によって得られたチーグラーアルコール、オキソ法によって得られたオキソアルコール及びゲルベアルコール等が挙げられる。反応流体に含まれるアルコールは、単一種であってもよく、また、複数種であってもよい。
反応流体には、反応性や収率を損なわない範囲で、アルコール以外の物質が適宜含まれていてもよい。かかる物質としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の上記化学反応に不活性なガス(不活性ガス)が挙げられる。また、本質的な反応性を損なわない炭化水素などの有機物等も挙げられる。この場合、アルコールの生成したアルデヒドとの副反応を抑え、アルコールの脱水素反応によるアルデヒド生成の選択性をより高める効果を得ることができることから、反応性を損なわない範囲で、なるべくアルコール以外の物質の含有比を高くすることが好ましい。
この第1ステップにおける反応流体中のアルコールの含有量は、反応開始時のアルコールの分圧が101.3kPa以下となる量であることが好ましく、50kPa以下となる量であることがより好ましく、20kPa以下となる量であることがさらに好ましい。
脱水素触媒としては、一般に脱水素用途に使用されるCu系の金属触媒が挙げられる。かかる脱水素触媒としては、例えば、Cu単独、CuにCr、Co、Ni、Fe、Mnなどの遷移金属元素を加えた2成分或いは3成分以上の金属を、シリカ、アルミナ、チタニア、ゼオライトなどの担体に担持させたもの等が挙げられる。脱水素触媒は、その形態が特に限定されるものではなく、例えば、ペレット状、ヌードル状、タブレット状などの粒状触媒であってもよく、また、オープンセル型フォーム、ハニカムなどの構造体の成形触媒であってもよく、さらに、支持体表面に固定化されたフィルム型触媒であってもよい。使用する脱水素触媒は、単一種であってもよく、また、複数種であってもよい。
第1ステップは、常圧条件下で行ってもよく、また、減圧条件下で行ってもよく、さらに、加圧条件下で行ってもよいが、反応開始時のアルコールの分圧が101.3kPa以下とすることが好ましく、50kPa以下とすることがより好ましく、20kPa以下とすることがさらに好ましい。
第1ステップは100〜400℃の温度雰囲気下で行うことが好ましく、200〜300℃の温度雰囲気下で行うことがより好ましい。
第1ステップでのアルコールからアルデヒドへの転化は、副反応を抑え、アルコールの脱水素反応によるアルデヒド生成の選択性を高める観点から、アルコールのアルデヒドに対するモル組成比(アルコールのモル数/アルデヒドのモル数)が40/60〜80/20であるときに終了することが好ましく、45/55(=0.82)〜80/20であるときに終了することがより好ましく、50/50(=1.0)〜75/25(=3.0)であるときに終了することが更に好ましい。このアルコールとアルデヒドを含む反応流体は生成した水素と共に次の第2ステップに供される。
第1ステップは、内部に脱水素触媒が設けられた反応器内で行うが、反応器には、予熱した反応流体を供給することが好ましい。反応器に供給される前の反応流体の相状態は、液体、気体、超臨界流体のいずれの状態であってもよく、また、これらが混相する状態であってもよい。反応器への供給後の反応流体の相状態は気体状態、つまり、反応流体が反応気体であることが好ましい。この反応流体の相状態は、反応流体中のアルコール以外の物質の含有量、反応器内の圧力、及び反応流体の温度により調整することができる。
反応器内での反応流体の滞留時間、つまり、反応時間は0.01〜10秒とすることが好ましく、0.1〜5秒とすることがより好ましい。
<第2ステップ>
第2ステップでは、第1ステップで生成した反応流体中の水素を除去する。
水素の除去方法としては、第1ステップと同じ反応器内で水素を除去する場合、例えば、生成した水素を反応器内においてさらに反応させ、第3成分へ変換することにより水素を分離除去する方法、水素のみを選択的に透過するパラジウム膜や有機膜などの水素選択透過膜を用いて、生成した水素を連続的に分離除去する方法等が挙げられる。第1ステップの反応器とは別の水素除去器内で独立して水素を除去する場合、上記方法の他、反応流体を冷却又は加圧することで相分離させ、水素を気体として分離除去した後、反応流体を加熱又は減圧する方法等が挙げられる。
第2ステップは、常圧条件下で行ってもよく、また、減圧条件下で行ってもよく、さらに、加圧条件下で行ってもよい。
第2ステップは、反応流体を冷却することで相分離する場合、水素が気体の状態であり、原料アルコール及び生成アルデヒドが液体又は固体の状態となる条件であれば、圧力及び温度は特に制限されるものではないが、0〜200℃の温度雰囲気下で行うことが好ましく、10〜120℃の温度雰囲気下で行うことがより好ましい。但し、第2ステップを第1ステップと同一の反応器で実施する場合、温度条件は第1ステップの条件に従う。
<第3ステップ>
第3ステップでは、第2ステップで水素を除去した反応流体を脱水素触媒に接触させ、その反応流体に含まれるアルコールを脱水素する。このとき、上記化学反応式(1)に基づいて、アルコールからアルデヒドと水素との混合物が生成する。
第3ステップは、常圧条件下で行ってもよく、また、減圧条件下で行ってもよく、さらに、加圧条件下で行ってもよい。
第3ステップは100〜400℃の温度雰囲気下で行うことが好ましく、200〜300℃の温度雰囲気下で行うことがより好ましい。
第3ステップを終了した時点でのアルコールの転化率は、生産性、生成するアルデヒドの精製等の後処理の観点から、60%を超え100%であることが好ましく、62〜100%であることがより好ましい。
<第1〜第3ステップの相互関係等>
本実施形態に係るアルデヒドの製造方法は、上記の通り、第1ステップを反応器内で行い、第2ステップをその反応器とは別の水素除去器内で行ってもよい。その場合、第3ステップを第1ステップを行った同一の反応器内で行ってもよく、また、第1ステップを行った反応器内とは別の反応器内で行ってもよい。
本実施形態に係るアルデヒドの製造方法は、第1〜第3ステップの全てを同一の反応器内で同時進行で行ってもよい。
本実施形態に係るアルデヒドの製造方法は、第3ステップの後に、第3ステップで生成した反応流体中の水素を除去する第4ステップ、及び第4ステップで水素を除去した反応流体を脱水素触媒に接触させ、その反応流体に含まれるアルコールを脱水素する第5ステップを有してもよく、さらに水素除去及び脱水素の組合せを1ユニットとしてそれを複数回繰り返してもよい。この場合、少なくとも1回はアルコールのアルデヒドに対するモル組成比が40/60〜80/20(mol/mol)のときに水素を除去し、そのアルコールの脱水素反応を行うことが必要である。
本実施形態に係るアルデヒドの製造方法は、回分式、半回分式、及び連続槽型反応器や管型反応器を用いた連続式のいずれでも行うことができる。これらのうち連続式で行うことが好ましく、管型反応器を用いた連続式で行うことがより好ましい。
本実施形態に係るアルデヒドの製造方法は、生成したアルデヒドを含む反応流体を冷却して液体生成物として回収することが好ましい。
(反応装置)
本実施形態に係るアルデヒドの製造方法において使用することができる反応装置について説明する。なお、本実施形態に係るアルデヒドの製造方法において使用可能な反応装置は以下に示すものに限定されない。
<装置構成1>
図1は装置構成1の反応装置10を示す。
この反応装置10は、内部に脱水素触媒(図示せず)が設けられた反応器14を備えており、その上流端には原料アルコール供給部11から延びる原料アルコール供給管31が接続されている。原料アルコール供給管31には、上流側から順に原料供給ポンプ12及び原料予熱部13が介設されている。
原料アルコール供給管31における原料予熱部13の下流側部位には、ガス供給部21から延びるガス供給管32が接続されている。ガス供給管32には、上流側から順にガス流量調節器22及びガス予熱部23が介設されている。
反応器14の下流端からは生成物回収管33が延びて水素除去器17に接続されている。生成物回収管33には冷却器16が介設されている。
水素除去器17からは液体生成物回収管34及び排ガス排出管35がそれぞれ延びている。
この反応装置10は、反応器14、原料予熱部13、及びガス予熱部23の熱源として温度調節が可能な加熱部15を備えている。
この反応装置10によれば、原料のアルコールは、原料アルコール供給部11から原料供給ポンプ12によって連続的に原料予熱部13に供給される。このとき、原料のアルコールは、原料予熱部13において、加熱部15を熱源として加熱されて気体状態となる。
不活性ガスは、ガス供給部21から連続的にガス予熱部23に供給される。このとき、不活性ガスは、ガス予熱部23において、加熱部15を熱源として加熱される。
原料予熱部13からの気体状態のアルコール及びガス予熱部23からの不活性ガスは、原料アルコール供給管31及びガス供給管32の結合部において合流して反応流体を構成する。そして、反応流体は、反応器14に供給される。
反応器14に供給される反応流体は、反応器14内において、加熱部15を熱源として加熱され、脱水素触媒に接触することにより、反応流体に含まれるアルコールが脱水素される。なお、脱水素後の反応流体には、アルコールが脱水素されて生成したアルデヒド、水素、未反応アルコール、及び不活性ガスが含まれることとなる。
反応器14から出た反応流体は、冷却器16を経由して水素除去器17に供給される。反応流体は、冷却器16において凝縮し、水素除去器17において、アルデヒド及び未反応アルコールを含む液体成分と水素及び不活性ガスの気体成分とに分離され、前者が液体生成物回収管34を介して回収されると共に、後者が排ガス排出管35を介して排出される。
本実施形態に係るアルデヒドの製造方法では、この装置構成1の反応装置10を用い、反応器14における第1ステップ、及び水素除去器17における第2ステップを経由して液体生成物回収管34からアルデヒド及び未反応アルコールを含む液体生成物を回収した後、その液体生成物を再度原料アルコール供給部11に仕込み、そして、反応器14における第3ステップ、及び水素除去器17における第4ステップを経由して液体生成物回収管34から目的生成物であるアルデヒドを含む液体生成物を得ることができる。
<装置構成2>
図2は装置構成2の反応装置10を示す。なお、装置構成1と同一名称の部分は図1と同一符号で示す。
この反応装置10は、内部が水素選択透過膜18によって脱水素触媒(図示せず)が設けられた反応部14aと水素ガス収容部14bとに仕切られた反応器14を備えている。反応器14の反応部14aには、その上流端に原料アルコール供給部11から延びる原料アルコール供給管31が接続されている。原料アルコール供給管31には、上流側から順に原料供給ポンプ12及び原料予熱部13が介設されている。また、反応器14の水素ガス収容部14bには、その上流端にスイープガス供給部24から延びるスイープガス供給管36が接続されている。スイープガス供給管36にはスイープガス流量調節器25が介設されている。
原料アルコール供給管31における原料予熱部13の下流側部位には、ガス供給部21から延びるガス供給管32が接続されている。ガス供給管32には、上流側から順にガス流量調節器22及びガス予熱部23が介設されている。
反応器14の反応部14aの下流端からは生成物回収管33が延びている。反応器14の水素ガス収容部14bの下流端からは排ガス排出管35が延びている。
この反応装置10は、反応器14、原料予熱部13、及びガス予熱部23の熱源として温度調節が可能な加熱部15を備えている。
この反応装置10によれば、原料のアルコールは、原料アルコール供給部11から原料供給ポンプ12によって連続的に原料予熱部13に供給される。このとき、原料のアルコールは、原料予熱部13において、加熱部15を熱源として加熱されて気体状態となる。
不活性ガスは、ガス供給部21から連続的にガス予熱部23に供給される。このとき、不活性ガスは、ガス予熱部23において、加熱部15を熱源として加熱される。
原料予熱部13からの気体状態のアルコール及びガス予熱部23からの不活性ガスは、原料アルコール供給管31及びガス供給管32の結合部において合流して反応流体を構成する。そして、反応流体は、反応器14の反応部14aに供給される。
反応器14の反応部14aに供給される反応流体は、反応部14a内において、加熱部15を熱源として加熱され、脱水素触媒に接触することにより、反応流体に含まれるアルコールが脱水素される。反応部14a内で生成した水素は水素選択透過膜18を透過して水素ガス収容部14bに移行することにより反応部14aから分離除去される。反応流体は、水素が除去されることにより、平衡が脱水素反応を促進する方向にずれることから、脱水素触媒に接触することにより、反応流体に含まれる未反応アルコールが脱水素される。これらの現象が同時進行的に起こる。
反応器14の反応部14aから出たアルデヒド及び未反応アルコールを含む生成物は生成物回収管33を介して回収される。反応器14の水素ガス収容部14bには、スイープガス供給部24からスイープガス供給管36を介してスイープガスが供給され、反応器14の水素ガス収容部14bからは、水素選択透過膜18によって分離除去された水素がスイープガスと共に流出し、それらは排ガス排出管35を介して排出される。なお、スイープガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが挙げられる。
本実施形態に係るアルデヒドの製造方法では、この装置構成2の反応装置10を用い、反応器14における第1〜第3ステップが同時進行的に起こり、生成物回収管33から目的生成物であるアルデヒドを含む液体生成物をワンパスで得ることができる。
<その他の装置構成>
装置構成1の反応装置10では、第3ステップを第1ステップを行った同一の反応器14内で行う構成としたが、液体生成物回収管34を脱水素触媒が設けられた別の反応器14に接続し、第3ステップを、第1ステップを行った反応器14内とは別の反応器14内で行う、従って、第1〜第3ステップをワンパスで行う装置構成としてもよい。
図1及び2に示す装置構成1及び2では、反応器14への原料の供給をダウンフローで行う構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、アップフローで行う装置構成であってもよく、また、サイドフローで行う装置構成であってもよい。
以下に説明する実施例1及び比較例1のアルデヒドの製造実験のそれぞれについて、アルコールの転化率及びアルデヒドの選択率を求めた。なお、実施例1の中間段階の製造例1についてもそれらを求めた。アルコールの転化率及びアルデヒドの選択率は、それぞれ次のようにして求めた。
―アルコールの転化率―
反応器14から回収した反応流体を凝縮し、捕集した液体生成物についてガスクロマトグラフ分析にてアルコール濃度を定量した。そして、原料として供給したアルコール量を100%として、(100−アルコール濃度)(%)で算出される値を転化率とした。
―アルデヒドの選択率―
反応器14から回収した反応流体を凝縮し、捕集した液体生成物についてガスクロマトグラフ分析にてアルデヒド濃度及びアルコール濃度を定量し、((アルデヒド濃度)/(100−アルコール濃度))×100(%)で算出される値を選択率とした。
なお、アルコールの転化率及びアルデヒドの選択率でのガスクロマトグラフ分析には、キャピラリーカラムDB−1(30m×0.25mm×0.25μm、Agilent technologies社製)を付帯した、Agilent technologies社製の6890を用いた。昇温条件は100〜200℃では10℃/min、及び200〜280℃では2℃/minで昇温し、280℃にて10分間保持した。
(製造例1)
上記実施形態における装置構成1と同様の反応装置10を構成した。原料供給ポンプ12にはプランジャーポンプ(島津製作所社製 型番:LC−10AT)、及びガス流量調節器22にはマスフローコントローラー(KOFLOC社製 型番:MC−10A)をそれぞれ用いた。また、原料予熱部13及びガス予熱部23には内径2.2mm及び長さ800mmのSUS316製の管、反応器14には容量10mL(内径:28mm、管長:16mm)のSUS304製の管、冷却器16にはガラス製の2重管冷却器、並びに水素除去器17にはウィットマー分留受器をそれぞれ用いた。加熱部15により原料予熱部13及びガス予熱部23を加熱する手段にはリボンヒーターを、また、反応器14を加熱する手段にはマントルヒーターをそれぞれ用いた。冷却器16のガラス製の2重管冷却器には内管に反応流体が、また、外管に水道水が流れる構造とした。反応器14には、脱水素触媒として、Cu/Ca/Si(堺化学社製 品番:ST−301H−33、Lot.090114)を10g仕込んだ。
原料供給部及びガス供給部21より、それぞれオクチルアルコール(花王社製 商品名:カルコール0898)を0.52g/min及び窒素を816mL/min供給した。そして、反応器14の入口において、反応流体の温度を240℃、及び圧力を常圧(101.3kPa、オクチルアルコールの分圧10kPa)とし、入口組成基準での反応器14での滞留時間が0.35secとなるように流量設定した。
反応器14を出た反応流体は冷却器16において凝縮され、水素除去器17において液体生成物と排ガスとに分離された。液体生成物には、生成したアルデヒド、未反応アルコール、及びその他の副生物が含まれた。排ガスには、水素及び窒素が含まれた。
回収した液体生成物において、アルコールのアルデヒドに対するモル組成比は60/39(=1.5)であった。また、転化率は40.4%であり、選択率は96.4%であった。なお、これらは、第1ステップの脱水素反応、及び第2ステップの水素除去の終了後、従って、1回の脱水素反応終了時点での転化率及び選択率である。
(実施例1)
製造例1で用いたのと同一構成の反応装置10を用い、原料供給部から製造例1で得られた液体生成物を0.52g/minで供給し、液体生成物回収管34から液体生成物を捕集した。その他の条件は製造例1と同一とした。この実施例1では、反応器14における第1ステップ、及び水素除去器17における第2ステップを経由して回収した、アルコールのアルデヒドに対するモル組成比が60/39(=1.5)で且つ脱水素した液体生成物を、再度原料アルコール供給部11に仕込み、そして、反応器14における第3ステップ、及び水素除去器17における第4ステップを経由して液体生成物を得たものである。
回収した液体生成物において、アルコールのアルデヒドに対するモル組成比は35/61(=0.57)であった。また、転化率は64.8%であり、選択率は94.2%であった。なお、これらは、第1ステップの脱水素反応、第2ステップの水素除去まで行った製造例1に続けて、第3ステップの脱水素反応、及び第4ステップの水素除去の終了後、従って、水素除去を挟んだ2回の脱水素反応終了時点での転化率及び選択率である。
(比較例1)
製造例1で用いたのと同一構成の反応装置10を用いた。反応器14には、脱水素触媒として、Cu/Ca/Si(堺化学社製 品番:ST−301H−33、Lot.090114)を30g仕込んだ。
原料供給部及びガス供給部21より、それぞれオクチルアルコール(花王社製 商品名:カルコール0898)を0.54g/min及び窒素を854mL/min供給した。そして、反応器14の入口において、反応流体の温度を240℃、及び圧力を常圧(101.3kPa、オクチルアルコールの分圧10kPa)とし、入口組成基準での反応器14での滞留時間が1.0secとなるように流量設定した。
反応器14を出た反応流体は冷却器16において凝縮され、水素除去器17において液体生成物と排ガスとに分離された。液体生成物には生成したアルデヒド、未反応アルコール、及びその他の副生物が含まれた。排ガスには水素及び窒素が含まれた。
回収した液体生成物において、アルコールのアルデヒドに対するモル組成比は37/59(=0.63)であった。また、転化率は63.4%であり、選択率は92.4%であった。なお、これらは、第1ステップの脱水素反応、及び第2ステップの水素除去の終了後、従って、1回の脱水素反応終了時点での転化率及び選択率の結果である。
(まとめ)
表1は、製造例1、実施例1、及び比較例1の転化率及び選択率の結果を示す。
Figure 0005638375
実施例1と比較例1との比較によれば、実施例1では、第1ステップと第3ステップの2回の脱水素反応の間で第2ステップの水素除去を行ったことにより、同じ転化率においてアルデヒドを高い選択率で得られたことが分かる。
アルコールの脱水素反応によって生成する水素を除去すれば、脱水素反応が促進されると共に、同時に生じるアルコールとアルデヒドとが反応して副生成物及び水素を生成する副反応も促進されることとなる。上記結果は、アルコールの転化率が特定の範囲に於いて水素を除去することによって、アルコールの脱水素反応の反応速度が副反応の反応速度よりも速くなり、そのため前者の促進効果が後者の促進効果よりも大きく現れたためであると考えられる。
本発明はアルデヒドの製造方法について有用である。
10 反応装置
11 原料アルコール供給部
12 原料供給ポンプ
13 原料予熱部
14 反応器
14a 反応部
14b 水素ガス収容部
15 加熱部
16 冷却器
17 水素除去器
18 水素選択透過膜
21 ガス供給部
22 ガス流量調節器
23 ガス予熱部
24 スイープガス供給部
25 スイープガス流量調節器
31 原料アルコール供給管
32 ガス供給管
33 生成物回収管
34 液体生成物回収管
35 排ガス排出管
36 スイープガス供給管

Claims (2)

  1. アルコールを含む反応流体を脱水素触媒に接触させ、該反応流体に含まれるアルコールを脱水素してアルコールのアルデヒドに対するモル組成比(アルコールのモル数/アルデヒドのモル数)を40/60〜80/20とする第1ステップと、
    上記第1ステップで生成した反応流体中の水素を除去する第2ステップと、
    上記第2ステップで水素を除去した反応流体を脱水素触媒に接触させ、該反応流体に含まれるアルコールを脱水素する第3ステップと、
    を有し、
    上記第1ステップを反応器内で行い、上記第2ステップを該反応器とは別の水素除去器内で行うアルデヒドの製造方法。
  2. 上記第3ステップを上記第1ステップを行った反応器内で行う請求項に記載されたアルデヒドの製造方法。
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