JP2010141232A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】InP層内に形成されたInPよりも高い屈折率を持つInGaAsPからなる回折格子を備えた屈折率結合型DFBレーザ素子の信頼性を向上させる。
【解決手段】屈折率結合型DFBレーザ素子の回折格子層を構成するInGaAsPのバルク時における格子定数をInPの格子定数よりも短くすることにより、回折格子層に蓄積されたキャリアの自然放出過程による発光を容易に抑制し、キャリアの損失を低減させると同時に、ノッチ形成に起因する電気抵抗の上昇による消費電力の上昇を低減する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバの送信光源などに用いられる半導体レーザ素子に関し、特に、InGaAsP結晶を回折格子層に用いた分布帰還型レーザ素子に適用して有効な技術に関するものである。
近年、情報通信分野では、光を用いて大容量のデータを高速でやりとりする通信トラフィックの整備が急速に行われつつある。その中でも、インターネットの爆発的な普及に伴うアクセス回線のブロードバンド化が加速しており、FTTH(Fiber To The Home)サービスの顕著な市場立ち上がりが見られている。
上記FTTH光伝送方式の中で、現在需要が増えてきているのが、複数の加入者で1本の光ファイバを共有するPON(Passive Optical Network)方式である。同方式では、収容局から1本の光ファイバで送信されてきたデータをスプリッタで16本から32本の光ファイバへ分岐し、各加入者宅まで分配することで光ファイバ敷設コストの大幅な削減を可能としている。また、各加入者側にはONU(Optical Network Unit)と呼ばれる端末装置を敷設し、収容局から加入者側への下り信号(波長1.5μm)と、加入者側から収容局への上り信号(波長1.3μm)とを波長多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)することにより、上りと下りの信号を同一の光ファイバで伝送している。
現在のPON方式の上り側には直接変調レーザが用いられており、そのビットレートはおおよそ1Gbps程度であるが、すでに10Gbps以上のビットレートを取り扱う方式が検討されている。また、これとは別に、20〜25Gbps以上で動作可能な直接変調レーザを4〜5個用い、100Gbps以上の速度で情報をやり取りする方法も検討され始めている。
このように、直接変調レーザの使用範囲は多岐に渡っており、さらなる高速化、低消費電力化などの高性能化が求められている。また、このような高性能化の要求に伴い、通信用半導体レーザ素子の代表的材料の1つであるInGaAsP結晶に代わって、もう1つの代表的な材料であるInGaAlAs結晶を活性層に用いた半導体レーザ素子の開発が盛んになっている。
上記InGaAlAs結晶を用いた多重量子井戸(Multi-Quantum Well:MQW)構造は、InGaAsP結晶を使用したものよりも好ましい構造になる。すなわち、図4に示すように、量子井戸層の井戸層と障壁層の伝導帯の不連続と価電子帯側に不連続の割合(ΔEc:ΔEv)は、InGaAsP系MQW構造が4:6であるのに対して、InGaAlAs系MQW構造では7:3である。そのため、InGaAlAs系MQW構造の方が有効質量の小さい電子をMQW層内に閉じ込め易く、一方、有効質量の大きい正孔は、MQW層内の各井戸層に均一に分布し易い。
上記直接変調レーザには、主として分布帰還型(Distributed Feed-Back:DFB)レーザが使用されている。その理由として、DFBレーザは、単一モードでの発振が可能なため、特に距離が長い所では、多モードのファブリペロー(Fabry-Perot:FP)レーザに比べて伝送信号の波形が歪み難いからである。
DFBレーザ素子の一種として、特許文献1(特開2001−308451号公報)のような利得結合型DFBレーザ素子があり、例えば図2のような構造を有している。この特許文献に記載された利得結合型DFBレーザ素子は、n型InP結晶からなる基板4上にGaInAsP結晶からなるMQW層5を形成し、MQW層5の上部にp側クラッド層3を形成する。また、基板4の下部にはn電極2を形成し、p側クラッド層3上にはp電極1を形成する。
さらに、上記特許文献の一実施の形態では、上記MQW層5を、組成の異なるMQW−A層とMQW−B層とで構成し、MQW−A層を、光の伝搬方向に発振波長の半波長の整数倍の周期で分割する。そして、MQW−A層には引張歪を導入し、MQW−B層には圧縮歪を導入することによって、MQW層5の膜質を所望の状態に制御している。
このように、利得結合型DFBレーザ素子は、光の伝搬方向に周期的な利得を持たせることによって分布帰還を生じさせているが、周期的な利得を持たせるためには、MQW−B層だけでなくMQW−A層にも均一、かつ効率よく電流を注入させなくてはならない。なぜならば、もしMQW−A層に均一、かつ効率よく電流を注入できなければ、MQW−A層が光の吸収層となり、その分光損失が大きくなるので、特性が劣化してしまうからである。
また、利得結合型DFBレーザ素子の製造工程では、上記MQW−A層のような周期構造を形成する際にドライエッチングプロセスを適用すると、MQW−A層にダメージを与えてしまうので、特性および信頼性の低下を招く。他方、ウェットエッチングプロセスを適用すると、エッチング条件の制御が難しいため、周期構造を再現性良く形成することが困難となる。さらに、エッチング工程でMQW層が外気に触れてしまうため、特にInGaAlAs系MQW層の場合には、表面にアルミニウム酸化物などが形成され、信頼性が確保できなくなるという問題がある。
そこで、もう一種のDFBレーザ素子である屈折率結合型DFBレーザ素子がよく利用される。この素子は、例えば図3に示すように、n型InP結晶からなる基板4上にn側SCH(Separate Confinement Heterostructure)層6を形成し、n側SCH層6上に順次MQW層5、p側SCH層7、InPからなるスペーサ層8、回折格子層9、p側クラッド層3を形成する。また、基板4の下部にはn電極2を形成し、p側クラッド層3上にはp電極1を形成する。回折格子層9は、高屈折率(InGaAsP)層と低屈折率(InP)層とを光の伝搬方向に周期的に配置した構造になっており、これによって分布帰還が生じるようになっている。
上記のような構造を有する屈折率結合型レーザ素子の製法の一例を図6(a)〜(c)を用いて説明する。
まず、図6(a)に示すように、基板4上にMOVPE法などを用いてn側SCH層6、MQW層5、p側SCH層7、p型InP結晶からなるスペーサ層8、四元層12、p型InP層11を順次形成した後、p型InP層11上に所望の周期を持つエッチングマスク10を形成する。なお、ここではエッチングマスク10として、酸化シリコン膜を使用することを前提としている。
次に、図6(b)に示すように、p型InP層11をドライエッチング法でパターニングする。このとき、下層の四元層12が若干エッチングされてもよい。
次に、エッチングマスク10をフッ酸で除去した後、図6(c)に示すように、四元層12をウェットエッチング法でパターニングする。このとき、エッチング溶液として燐酸水溶液を用いることにより、p型InP層11およびスペーサ層(p型InP)8がエッチングされることなく、四元層12のみが選択的にエッチングされて回折格子層9が形成される。
その後、回折格子層9の表面にp型InP層を成長させることにより、このp型InP層と上記p型InP層11とが一体となったp側クラッド層3を形成する(図3)。
上記した製造方法の利点は、周期構造(回折格子層9)を形成する際にMQW層5が外気に触れないので、前述した利得結合型レーザのような信頼性の低下が生じないことにある。また、周期構造(回折格子層9)の周囲がp型InP層(p側クラッド層3)で囲まれた構造になるので、エッチング工程で回折格子層9を再現性よく形成できるという利点もある。
上記のような周期構造(回折格子層9)はn側に形成することも可能であるが、上記の例のようにp側に形成しているのは、所望の利得ピークと発振波長の差(デチューニング量)が得られるようにMQW層5を形成した後にそのフォトルミネッセンス波長などを調べ、その結果を用いて回折格子の周期を計算し、回折格子層9を形成できるという利点があるからである。
特開2001−308451号公報
図4は、前記図3に示した構造を有する屈折率結合型レーザ素子のA−B線に沿った模式的なバンド図である。また、図5は、回折格子層の周囲の価電子帯の拡大バンド図である。
これらの図から明らかなように、屈折率結合型レーザの回折格子層は、その周囲をInGaAsPよりもバンドギャップの大きいp−InP層で囲まれており、さらに価電子帯に至ってノッチが形成される。そのため、注入されたホールはノッチがあるために回折格子を避けながら伝導していくので回折格子層が無いときよりも電気抵抗が上昇することになる上、キャリアが回折格子に捕獲されるとノッチが高い障壁となり回折格子層から抜け出しにくく、蓄積され易くなる。
従来、MQW層には歪を導入することによって特性を向上させていた。MQW層を形成する井戸層の歪の方向は圧縮歪、引張歪のいずれでも構わない。ただし、歪の方向によって偏波方向が変わり、圧縮歪が導入されたMQW層はTEモード、引張歪が導入されたMQW層はTMモードとなる。そのため、同一の回折格子層であっても、結合定数(κ)の大きさは、偏波方向によって異なってくる。
図7に結合定数(κ)のデューティ依存性を示す。この図は一例に過ぎないが、ここから分かるように、一般にTMモードの方がTEモードよりも結合定数が小さい。そのため、SCH層をn側とp側とで同一にした場合に、引張歪MQW層が圧縮歪MQW層と同程度の結合定数(κ)を得るためには、回折格子層の屈折率を大きくするか、または回折格子層を厚くする必要がある。しかし、回折格子層の屈折率を大きくするために発光波長のエネルギーと同程度以下のバンドギャップのInGaAsPを使用した場合は、発光光が吸収されて光損失が生じるので、屈折率を大きくするのには限界がある。
そこで、通常は、回折格子層を厚くする方法が考えられる。しかし、図8に示すように、回折格子に捕獲されたキャリアのエスケープタイムは、回折格子層を厚くするほど長くなるため、回折格子層を厚くした場合は、キャリアがより蓄積され易くなる。そして、蓄積されたキャリアは、自然放出過程により発光し、キャリアの損失を生じさせると同時に、消費電力の上昇を招く。
このように、回折格子層に蓄積されたキャリアは自然放出過程により発光し、キャリアの損失を生じさせると同時に、消費電力の上昇を招いてしまうという課題があり、特に引張歪MQW層では圧縮歪MQW層よりもその課題による影響が大きく出ていた。
本発明の目的は、InGaAsP結晶を回折格子層に用いた分布帰還型レーザ素子の信頼性を向上させる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本発明では、回折格子層を形成するInGaAsPのバルクの時の格子定数をInPの格子定数よりも短くなるように形成することにより、前記の課題を解決する。この解決法は、引張歪MQW層もしくは圧縮歪MQW層を持つレーザ素子に効果があるが、特に、引張歪MQW層を持つ半導体レーザ素子においてその効果が大きい。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
本発明によれば、これまでと作製方法と作製コストをあまり変えることなく、回折格子層に蓄積されたキャリアの自然放出過程による発光を容易に抑制し、キャリアの損失を低減させると同時に、ノッチ形成に起因する電気抵抗の上昇による消費電力の上昇を低減することが可能となる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施例を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。また、以下の実施例を説明する図面においては、構成を分かり易くするために、平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施例1)
図9は、本発明の実施例1である屈折率結合型レーザ素子の断面図である。なお、レーザ光の伝搬方向は、この断面に垂直な方向である。
本実施例の屈折率結合型レーザ素子は、n型InP結晶からなる基板4上にMOVPE法などを用いて厚さ50nmのInGaAsP結晶(組成波長:1.0μm)からなるn側SCH層6を形成し、n側SCH層6上にMQW層5、厚さ50nmのInAlAs結晶からなるp側SCH層7、InP結晶からなるスペーサ層8、高屈折率(InGaAsP)層と低屈折率(InP)層とを光の伝搬方向へ周期的に配置した回折格子層9、およびp側クラッド層3を順次形成した構成になっている。そして、これら各層によって幅1.5μmのハイメサリッジ構造が形成され、その両側にはFeドープInP結晶からなる埋込層14とこの埋込層14を覆う絶縁膜13とが形成されている。また、基板4の下部にはn電極2が形成され、p側クラッド層3および絶縁膜13の上部にはp電極1が形成されている。
上記MQW層5は、井戸層と障壁層との10周期構造になっている。井戸層は、室温のフォトルミネッセンス波長が1.3μm付近、かつバルクの時の格子定数が5.93Å(圧縮歪量1.0%)となるように構成された幅7nmのInGaAlAs結晶からなる。また、障壁層は、バルクの時の格子定数が5.84Å(引張歪量0.5%)となるように構成された幅10nmのInGaAlAs結晶(組成波長:1.0μm)からなる。
このレーザ素子の共振器長は、200μmである。図示は省略するが、レーザ光の伝搬方向の前端面には反射率が約1%の反射防止膜がコーティングされ、後端面には反射率が約75%の高反射膜がコーティングされている。なお、上記埋込層14は、FeドープInP結晶に代えてRuドープInP結晶で構成することもできる。
本実施例では、上記回折格子層9を以下のようにして設計した。まず、回折格子層9は、組成波長が1.20μmの高屈折率(InGaAsP)層と、低屈折率(InP)層とのデューティが1:1となる均一な周期構造とした。
次に、回折格子層9に歪を導入するに当たっては、低屈折率(InP)層で挟まれた高屈折率(InGaAsP)層(組成波長:1.20μm)からのキャリアのエスケープタイムを、高屈折率層の厚さが10nm、20nm、30nmの場合についてそれぞれ計算した(図10参照)。ここで、図中のCバンドは伝導帯からのエスケープタイムであり、HHバンドとLHバンドは価電子帯からのエスケープタイムである。価電子帯にHHバンドとLHバンドとがあるのは、歪の大きさによって最もエネルギー的に安定したバンドが入れ替わるからであり、組成波長に大きく関係なく、およそ引張歪量が0.25%周辺でHHバンドとLHバンドとが入れ替わる(図11参照)。
この計算結果をみると、伝導帯のエスケープタイムは、引張歪量を大きくするにつれて単調に短くなっていく。一方、価電子帯のエスケープタイムは、0%から0.25%付近までは単調に短くなるが、0.25%付近でHHバンドとLHバンドとが入れ替わり、さらに引張歪量を大きくすると単調に長くなる。そして、引張歪量が1.0%に達すると、歪を導入しない場合よりもかえってエスケープタイムが長くなってしまう。また、回折格子層9の厚さが厚いほどエスケープタイムが長くなることが分かる。
本実施例の構造において、回折格子層9のTEモード光との結合定数(κ)を計算すると、厚さが10nmのときにκ〜56cm−1、厚さが20nmのときにκ〜70cm−1、厚さが30nmのときにκ〜102cm−1となった。以上のことを踏まえ、本実施例では、高屈折率(InGaAsP)層の厚さを20nm(κL〜1.4)とし、引張歪量を0.9%とした。
また、室温にて1.3μm付近で発振するように、その周期を202.4nmとした。このとき、低屈折率(InP)層で挟まれた高屈折率(InGaAsP)層(組成波長:1.20μm、厚さ20nm)の価電子帯のバンド構造を計算すると、図1のようになった。図1から、引張歪を導入することによって、ノッチが減少していることが分かる。ここで、高屈折率層の材料として組成波長が1.20μmのInGaAsPを選んだのは、室温にて1.3μm周辺で発光する半導体レーザ素子の利得の幅は100nm程度あり、従って1.25μmよりも長い組成波長の材料では吸収による光損失が大きくなるためである。言い換えると、回折格子層の組成波長を1.25μmよりも短くすれば光損失が生ずることはなく、引張歪を導入することも考慮すると、図12の斜線領域に示す領域内にある組成のInGaAsPを用いればよい。ただし、組成波長が長いほど屈折率は大きくなり、作製誤差によるわずかな厚さのずれによって結合定数が変わってくるので、本実施例では回折格子層の作製誤差があっても余り影響が大きくない組成波長1.20μmのInGaAsPを選んだ。
以上のようにして作製したレーザ素子と、特性比較のために回折格子層の格子定数を基板4に整合させたレーザ素子の静特性を比較したところ、本実施例のレーザ素子は、比較例のレーザ素子に比べて、25℃における電気抵抗が0.5Ω低下し、かつ閾値が1mA低下し、本発明が有効であることが確認された。
(実施例2)
図13は、本発明の実施例2である屈折率結合型レーザ素子の断面図である。なお、レーザ光の伝搬方向は、この断面に垂直な方向である。
本実施例の屈折率結合型レーザ素子は、n型InPからなる基板4上に厚さ50nmのInGaAsP(組成波長:1.0μm)からなるn側SCH層6が形成され、n側SCH層6上にMQW層5、厚さ50nmのInAlAsからなるp側SCH層7、InPからなるスペーサ層8、高屈折率(InGaAsP)層と低屈折率(InP)層とを光の伝搬方向へ周期的に配置した回折格子層9、p側クラッド層3が順次形成されている。そして、これら各層によって幅1.5μmのメサストライプ構造が形成されている。また、基板4の下部にはn電極2が形成され、p側クラッド層3および絶縁膜13の上部にはp電極1が形成されている。
上記MQW層5は、井戸層と障壁層との3周期構造になっている。井戸層は、室温のフォトルミネッセンス波長が1.3μm付近、かつバルクの時の格子定数が5.81Å(引張歪量1.0%)となるように構成された幅11nmのInGaAlAsからなり、障壁層は、格子定数を基板4に整合させた幅11nmのInGaAlAs(組成波長:1.0μm)からなる。また、このレーザ素子の共振器長は、160μmであり、その前端面には反射率が約1%のコーティングが施され、後端面には反射率が約75%のコーティングが施されている。
本実施例では、上記回折格子層9を前記実施例1と同じ方法で設計した。すなわち、回折格子層9は、組成波長が1.20μmの高屈折率(InGaAsP)層と、低屈折率(InP)層とのデューティが1:1となる均一な周期構造とした。
ただし、本実施例の構造において、回折格子層9のTMモード光との結合定数(κ)を計算すると、厚さが10nmのときにκ〜50cm−1、厚さが20nmのときにκ〜61cm−1、厚さが30nmのときにκ〜90cm−1となった。このことを踏まえ、本実施例では、高屈折率(InGaAsP)層の厚さを30nm(κL〜1.4)とし、引張歪量を0.3%とした。
また、室温にて1.3μm付近で発振するように、その周期を203.1nmとした。このとき、低屈折率(InP)層で挟まれた高屈折率(InGaAsP)層(組成波長:1.20μm、厚さ30nm)の価電子帯のバンド構造を計算した結果、前記実施例1と同様に引張歪を導入することにより、ノッチが減少していることを確認した。
以上のようにして作製したレーザ素子と、特性比較のために回折格子層の格子定数を基板4に整合させたレーザ素子の静特性を比較したところ、本実施例のレーザ素子は、比較例のレーザ素子に比べて、25℃における電気抵抗が1.1Ω低下し、かつ閾値が0.5mA低下し、本発明が有効であることが確認された。
(実施例3)
図14は、本発明の実施例3である屈折率結合型レーザ素子の断面図である。なお、レーザ光の伝搬方向は、この断面に垂直な方向である。
本実施例の屈折率結合型レーザ素子は、n型InPからなる基板4上に高屈折率(InGaAsP)層と低屈折率(InP)層とを光の伝搬方向へ周期的に配置した回折格子層9が形成されている。この回折格子層9の上部には、厚さ20nmのInPからなるスペーサ層8、厚さ50nmのInGaAsP(組成波長:1.0μm)からなるn側SCH層6、MQW層5、厚さ50nmのInAlAsからなるp側SCH層7、p側クラッド層3が順次形成されている。
そして、上記p側クラッド層3によって幅1.5μmのメサストライプ構造が形成されており、このp側クラッド層3の側壁とp側SCH層7の上部には絶縁膜13が形成されている。また、基板4の下部にはn電極2が形成され、p側クラッド層3および絶縁膜13の上部にはp電極1が形成されている。
上記MQW層5は、井戸層と障壁層との10周期構造になっている。井戸層は、室温のフォトルミネッセンス波長が1.3μm付近、かつバルクの時の格子定数が5.93Å(圧縮歪量1.0%)となるように構成された幅7nmのInGaAlAsからなり、障壁層は、バルクの時の格子定数が5.84Å(引張歪量0.5%)となるように構成された幅10nmのInGaAlAs(組成波長:1.0μm)からなる。また、このレーザ素子の共振器長は、200μmであり、その前端面には反射率が約1%のコーティングが施され、後端面には反射率が約75%のコーティングが施されている。
本実施例では、上記回折格子層9を前記実施例1と同じ方法で設計した。すなわち、回折格子層9は、組成波長が1.20μmの高屈折率(InGaAsP)層と、低屈折率(InP)層とのデューティが1:1となる均一な周期構造とした。
ただし、本実施例の構造において、回折格子層9のTEモード光との結合定数(κ)を計算すると、厚さが10nmのときにκ〜62cm−1、厚さが20nmのときにκ〜73cm−1、厚さが30nmのときにκ〜110cm−1となった。このことを踏まえ、本実施例では、高屈折率(InGaAsP)層の厚さを20nm(κL〜1.5)とし、引張歪量を0.3%とした。
また、室温にて1.3μm付近で発振するように、その周期を201.8nmとした。このとき、低屈折率(InP)層で挟まれた高屈折率(InGaAsP)層(組成波長:1.20μm、厚さ20nm)の価電子帯のバンド構造を計算した結果、前記実施例1と同様に引張歪を導入することにより、ノッチが減少していることを確認した。
以上のようにして作製したレーザ素子と、特性比較のために回折格子層の格子定数を基板4に整合させたレーザ素子の静特性を比較したところ、本実施例のレーザ素子は、比較例のレーザ素子に比べて、25℃における電気抵抗が0.1Ω低下し、かつ閾値が0.1mA低下し、本発明が有効であることが確認された。
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、InP、InGaAsPもしくはInGaAlAsからなる分布帰還型レーザ素子に適用することができる。
本発明の実施例1である屈折率結合型レーザ素子における価電子帯のバンド構造を計算した結果を示すグラフである。 従来の利得結合型DFBレーザ素子の断面構造を示す図である。 従来の屈折率結合型DFBレーザ素子の断面構造を示す図である。 図3に示した構造を有する屈折率結合型レーザ素子のA−B線に沿った模式的なバンド図である。 図3に示した構造を有する屈折率結合型レーザ素子における回折格子層の周囲の価電子帯の拡大バンド図である。 (a)〜(c)は、図3に示した構造を有する屈折率結合型レーザ素子の製造方法の一例を示す断面図である。 結合定数(κ)のデューティ依存性を示すグラフである。 回折格子に捕獲されたキャリアのエスケープタイムと回折格子層の厚さとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例1である屈折率結合型レーザ素子の断面図である。 本発明の実施例1である屈折率結合型レーザ素子における回折格子層の歪量とキャリアのエスケープタイムとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例1である屈折率結合型レーザ素子における回折格子層の歪量とバンドエネルギーとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例1である屈折率結合型レーザ素子における回折格子層の組成波長の最適範囲を説明するグラフである。 本発明の実施例2である屈折率結合型レーザ素子の断面図である。 本発明の実施例3である屈折率結合型レーザ素子の断面図である。
符号の説明
1 p電極
2 n電極
3 p側クラッド層
4 基板
5 MQW層
6 n側SCH層
7 p側SCH層
8 スペーサ層
9 回折格子層
10 エッチングマスク
11 p型InP層
12 四元層
13 絶縁膜
14 埋込層

Claims (4)

  1. InP基板と、
    前記InP基板上に形成され、InP、InGaAsPおよびInGaAlAsの少なくとも一種を含む単一もしくは複数の層からなる下部クラッド層と、
    前記下部クラッド層上に形成され、InGaAsPおよびInGaAlAsの少なくとも一種を含む多重もしくは単一の量子井戸層と、
    前記量子井戸層上に形成され、InP、InGaAsPおよびInGaAlAsの少なくとも一種を含む単一もしくは複数の層からなる上部クラッド層と、
    前記上部クラッド層上に形成されたInPからなるスペーサ層と、
    前記スペーサ層上に形成されたInPとInGaAsPとからなる回折格子層とを含み、
    前記回折格子層にInPからなるクラッド層が形成された半導体レーザ素子において、
    前記回折格子層を構成する前記InGaAsPのバンドギャップ波長の大きさが1.25μmよりも短波長側にあり、かつ前記InGaAsPのバルク時の格子定数が前記InP基板の格子定数よりも短いことを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. InP基板と、
    前記InP基板上に形成されたInPからなるスペーサ層と、
    前記スペーサ層上に形成されたInPとInGaAsPとからなる回折格子層と、
    前記回折格子層上に形成され、InP、InGaAsPおよびInGaAlAsの少なくとも一種を含む単一もしくは複数の層からなる下部クラッド層と、
    前記下部クラッド層上に形成され、InGaAsPおよびInGaAlAsの少なくとも一種を含む多重もしくは単一の量子井戸層と、
    前記量子井戸層上に形成され、InP、InGaAsPおよびInGaAlAsの少なくとも一種を含む単一もしくは複数の層からなる上部クラッド層とを含む半導体レーザ素子において、
    前記回折格子層を構成する前記InGaAsPのバンドギャップ波長の大きさが1.25μmよりも短波長側にあり、かつ前記InGaAsPのバルク時の格子定数が前記InP基板の格子定数よりも短いことを特徴とする半導体レーザ素子。
  3. 請求項1または2記載の半導体レーザ素子であって、前記回折格子層を構成する前記InGaAsPのバルク時の格子定数(A)が5.81Å<A<5.87Åであることを特徴とする半導体レーザ素子。
  4. 請求項1または2記載の半導体レーザ素子であって、前記量子井戸層を構成する井戸層のバルク時の格子定数(B)がB<5.87Åであることを特徴とする半導体レーザ素子。
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