JP2010138949A - 防振ゴムブッシュ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒状の樹脂製の外筒12と、剛性の内筒14と、ゴム弾性体16とを有する防振ゴムブッシュ10において、外筒12の軸方向両端間の中間部に一対の係合突部36を設けて、これを筒形の相手部材38の係合凹部42に対し軸方向と回転方向とのそれぞれに位置固定状態に係合させるようにする。その係合突部36は、突出側の先端を係合凹部42に対して小径、基端を係合凹部42に対して大径となして、その外周面を先端から基端に向って漸次大径化する形状のテーパ面44となし、係合突部36の係合凹部42への係入時にテーパ面44が相手部材38の内周面側の角部Kに対し、外筒12の弾性復元力に基づいて全周に亘り接触し押圧されるものとなしておく。
【選択図】 図5
Description
図10はその具体例を示している。
同図において200は防振ゴムブッシュで、円筒状をなす樹脂製の外筒202と、金属製の内筒204と、それら外筒202及び内筒204を弾性連結する状態に一体に加硫接着されたゴム弾性体206とを有している。
樹脂製の外筒202は、軸方向の一端側(図中下端側)に環状をなす鍔部210を有しており、その鍔部210の相手部材208の軸端面への当接によって、図10中上方向への防振ゴムブッシュ200の抜けが防止される。
更にこの防振ゴムブッシュ200の場合、必然的にその軸方向長が相手部材208よりも長くなければならず、形状的な制約を受ける問題がある。
しかしながらこの特許文献3に開示のものは、相手部材側の突出部が防振ゴムブッシュの圧入前に予め形成されているものではなく、これもまた本発明とは別異のものである。
しかしながらこの場合、相手部材に対する加工が面倒となって、このことがコストを高める要因となる。
そしてそのことによって、防振ゴムブッシュを相手部材に対し軸方向にもまた回転方向にも厳格に固定状態となすことができる利点を有している。
この係合突部の外周面はまた、かかる係合突部を相手部材の係合凹部に係入させるに際してもガイド面として働き、係合突部を係合凹部に対し円滑に係入させることができる。
従って特許文献3に開示のもののように、防振ゴムブッシュの圧入後において、相手部材の一部を径方向内方に突出させるような加工を必要としない。
また相手部材の内面形状を複雑な形状に予め加工形成しておかなくてもよいので、防振ゴムブッシュと相手部材とを含む全体の防振装置を安価に構成することができる。
このようにしておくことで、防振ゴムブッシュを相手部材に対して軸方向,回転方向のみならず、係合突部に対する平面視においてその他の全ての方向に厳格に位置決状態に固定でき、全ての方向にがたつきを無くすことができる。
ここで上記係合突部の外周面は湾曲形状その他の形状となしておくこともできるが、かかる外周面をテーパ形状の面となしておくのが好適である。
この窪み部は主として次のような2つの意味を有している。
樹脂製の外筒を相手部材に圧入する際、係合突部には応力が加わる。このとき係合突部を取り囲むように強度的な弱点部となる窪み部を設けておくことで、係合突部の局部的な変形を助長し、以てその応力を窪み部へと逃し、係合突部に加わる力を緩和することができる。
またそのことによって、係合突部を相手部材に対し内周側に乗り上げ易くすることができる。即ち相手部材への防振ゴムブッシュの圧入性を高めることができる。
このときにもその窪み部に向けて係合突部の外周部分の変形を助長することができ、これにより係合凹部の角部から加わる力を緩和することができる。
更に係合突部の外周部分の肉を、その窪み部に逃がすことによって、請求項3に従い外周面の形状を角部の形状に倣った形状に変形させる際に、これを助長することができる。
図1〜図4において、10は本実施形態の防振ゴムブッシュで、円筒状をなす外筒12と、同じく円筒状をなす内筒14と、それら外筒12及び内筒14を弾性連結する状態に一体に加硫接着されたゴム弾性体16とを有している。
内筒14は金属製、ここではアルミニウム合金の押出材にて構成されており、周方向に沿って軸方向に貫通の複数の空所18が形成されている。
但し他の材質の樹脂にて外筒12を構成することも可能である。
この外筒12には、軸方向一端側(図3中右端側)に、径方向外方に張り出した周方向に円環状をなす鍔部20が一体に成形されている。
詳しくは、周方向に180°隔たった位置の2個所にすぐり部22が設けられている。
尚ゴム弾性体16には、図3及び図4に示しているように外筒12における鍔部20に重なる状態で、ゴム鍔部24が設けられている。
ここで一対のすぐり部22は、図2において上下対称形状をなしている。
またそれぞれのすぐり部22おいて、各端部26及びスリット状部25も図2において左右対称形状をなしている。
これら内周側ゴムストッパ部28と外周側ゴムストッパ部30とは、内筒14と外筒12とが図2において上下方向に相対変位したとき、それらの当接によるストッパ作用にて同方向の過大な相対変位を規制する。
尚図中P1は、そのすぐり部の対向方向を表しており、またP2はこれと直交する軸直角方向を表している。
詳しくは、周方向に180°隔たった位置の2個所において、一対の係合突部36が外筒12の外周面から起立する状態に設けられている。
これら一対の係合突部36は、防振ゴムブッシュ10を図5に示す相手部材38に圧入した後において、防振ゴムブッシュ10を相手部材38に対し軸方向にも、また回転方向にも強固に固定する働きをなすものである。
相手部材38には、軸方向の中間部且つ周方向に180°隔たった位置の2個所に、円形且つ貫通の係合凹部42が設けられている。ここで係合凹部42は、相手部材38の溶接の際の位置決用としてもともと備えられているもので、内周面が軸直角方向に起立した面をなしている。
この実施形態では、これを防振ゴムブッシュ10における上記係合突部36の係合用の係合凹部42として利用している。
尚、外筒12はゴム弾性体16の加硫前の形状において、図7に示す外径D1(D1=φ71.9mm)が相手部材38の内径D0(D0=φ69mm)に対して略3mm(厳密には2.9mm)大径とされている。
詳しくは、係合突部36は突出側の先端と基端とがそれぞれ円形状をなしており、そしてその外周面が先端から基端に向けて漸次拡径するテーパ面44とされている。
そしてその先端面の直径d1は相手部材38の係合凹部42の内径d0に対して小径をなし、また基端の直径d2は係合凹部42の内径d0に対して大径をなしている。
尚この実施形態において、係合突部36の先端面の直径d1は、係合凹部42の内径d0=φ10.25mmに対してφ8mmであり、先端面の直径は係合凹部42に対して小径をなしている。
一方係合突部36の基端の直径d2=φ11.5mmで、係合凹部42の内径d0よりも大径をなしている。
d1とd0との差は2.25mmであり、またd2とd0との差は1.25mmである。
ここで係合突部36の基端とは、係合突部36における外筒12の外周面と同じ径方向位置に位置している部位である。図3中のQはその基端を表している。
尚図3(B)において係合突部の突出高さh1=1mmであり、窪み部46の深さh2=0.5mmである。
これら係合部48は、図2に示しているようにP1方向において互いに対向して位置している。
一方ゴム弾性体16を加硫成形した後においては、冷却によるゴム弾性体16の収縮によって、その形状が(B)に示しているように楕円形状化する。
図7(B)に示しているように、外筒12の外周面の係合突部36は、そのP2方向即ち短径方向において外筒12の外周面に位置している。
このとき、外筒12は軸端側から相手部材38に圧入されるにつれて、相手部材38の円形の内周面に倣った形状に形状復元し、その形状が漸次真円形状化して行く。
そして最終の圧入状態即ち組付状態で、相手部材38への圧入部分が全長に亘って真円形状となる。
その際、図8(A)に示しているように係合突部36は、外周面のテーパ面44の一部が、係合凹部42の内周側の角部Kに全周に亘り接触し、且つ外筒12の弾性復元力に基づいて図中上方向に押圧される。
その後、係合突部36はテーパ面44の部分で角部Kに倣った形状に変形し、最終的に図8(B)に示すようにその変形部分において、角部Kに全周に亘り密着状態に嵌合した状態となる。
即ち強度的な弱点部となる窪み部46は、係合突部36が相手部材38の軸端に当って内周側に乗り上げる際、係合突部36に加わる応力を窪み部46へと逃すことによって、係合突部36を相手部材38の内周側に乗り上げ易くし、且つまた同時に係合突部36自体に加わる応力を小さくする。
尚、係合突部36のテーパ面44が、角部Kに倣った形状に形状変化することで、外筒12の外周面は図8(B)に示しているように相手部材38の内周面に密着した状態となる。
またこの係合部48は、ゴム弾性体16を加硫成形するに際して外筒12を成形型にセットする際、一対の係合突部36がゴム弾性体16におけるすぐり部22の対向方向であるP1方向と直交方向に正しく位置するように、これを位置決めする働きをなす。
しかるに本実施形態ではこれら係合突部36の存在に起因して防振ゴムブッシュ10の圧入の際の抵抗力が増大するのを、また係合突部36に働く応力を可及的に小さく抑えることができる。
そしてそのことによって、一対の係合突部36の存在にも拘らず、防振ゴムブッシュ10を筒形の相手部材38に対して円滑に軸方向に圧入操作することができる。
従って圧入完了状態において、外筒12の一対の係合突部36が設けられた部分もまた真円形状化し、そしてその真円形状化によって、一対の係合突部36が径方向外方へと押し出され、相手部材38の側に設けられた一対の係合凹部42のそれぞれに、目的とする位置まで深く係入した(嵌り込んだ)状態となる。
仮に一対の係合突部36を、P1方向において樹脂製の外筒12の外周面に突出状に設けた場合、外筒12を相手部材38に圧入する際に、係合突部36に対し相手部材38から応力が加わったとき、樹脂製の外筒12の、係合突部36の径方向内側の部分にはすぐり部22による空洞が生じているため、外筒12が局部的に変形を生じ易く、そしてその変形に基づいて外筒12に割れが発生する恐れがある。
そしてそのことによって防振ゴムブッシュ10を相手部材38に対し、軸方向にもまた回転方向にも厳格に固定状態となすことができる。
この係合突部36のテーパ面44はまた、係合突部36を相手部材38の係合凹部42に係入させるに際してもガイド面として働き、係合突部36を係合凹部42に対し円滑に係入させることができる。
従って特許文献3に開示のもののように、防振ゴムブッシュ10の圧入後において、相手部材38の一部を径方向内方に突出させるような加工を必要としない。
また相手部材38の内面形状を複雑な形状に予め加工形成しておかなくてもよいので、防振ゴムブッシュ10と相手部材38とを含む全体の防振装置を安価に構成することができる。
例えば係合突部36の形状については、これを図9に示すような平面4角形状(断面形状は台形状)その他の多角形状若しくはそれ以外の形状とし、また係合凹部をこれに対応する平面形状で形成することも可能である。
更に上例では係合突部36及び係合凹部42を、それぞれ対応する位置に一対設けているが、場合によってこれら係合突部36,係合凹部42を3個以上の複数個設けておくといったことも可能である。
また上記実施形態ではゴム弾性体16がすぐり部22を有する形状をなしているが、本発明はゴム弾性体がこのようなすぐり部を有していない防振ゴムブッシュに適用することも可能である。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
12 外筒
14 内筒
16 ゴム弾性体
36 係合突部
38 相手部材
42 係合凹部
46 窪み部
K 角部
Claims (4)
- 円筒状の樹脂製の外筒と、剛性の内筒と、それら外筒と内筒とを弾性連結する状態に一体に加硫接着されたゴム弾性体とを有し、該外筒の外周面において円形の内周面を有する筒形の金属製の相手部材に軸方向に圧入されて組み付けられる防振ゴムブッシュであって
前記外筒には、軸方向両端間の中間部において該外筒の外周面から突出する少なくとも一対の係合突部が設けられており、
該係合突部は、前記筒形の相手部材の内周面に該係合突部に対応した数及び平面形状で設けられた係合凹部に係入して軸方向と回転方向とのそれぞれに位置固定状態に係合するものとなしてあり、
更に該係合突部は、突出側の先端が前記係合凹部に対して小径で、基端が該係合凹部よりも大径をなしていて、該係合突部の外周面が該先端から該基端に向って漸次大径化する形状をなしており、
該係合突部の該係合凹部への係入時に、該外周面が該係合凹部における前記相手部材の内周面側の角部に対し、前記外筒の弾性復元力に基づいて全周に亘り接触し押圧されるものとなしてあることを特徴とする防振ゴムブッシュ。 - 請求項1において、前記係合突部が円形であることを特徴とする防振ゴムブッシュ。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記係合突部の前記外周面が前記相手部材の内周側の角部を食い込ませるものとなしてあることを特徴とする防振ゴムブッシュ。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記外筒の外周面には、前記係合突部を環状に取り囲む窪み部が径方向内方に凹陥する形状で設けてあることを特徴とする防振ゴムブッシュ。
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