JP2010138480A - 高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】Si、Mn、Al、Crの1種以上を含有する鋼板を下地鋼板として、不めっきのない美麗な外観を有し、めっき密着性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る。
【解決手段】Si、Mn、Al、Crの1種以上を含有する鋼板を下地鋼板とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、めっき層中及び下地鋼板表層に、酸化物が存在し、該酸化物の総量が0.25g/m以上で、かつそのうち下地鋼板側に存在する酸化物の割合が全酸化物量に対して質量比で40%以下であり、めっき層中に含まれるFeの割合が、質量比で13.0%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は自動車、建材および家電等の分野において好適に用いることができる合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関し、特にSi、Mn、Al、Crの1種以上を含有する鋼板を下地鋼板とした、美麗な表面外観と良好なめっき密着性を有する高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する。
近年、自動車等の分野において、素材鋼板に防錆性を付与した表面処理鋼板、中でも安価に製造できかつ防錆性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が多く使用されている。
一般的に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、スラブを熱間圧延した後に冷間圧延あるいは熱処理が施された薄鋼板を下地として用い、この下地鋼板の表面を前処理工程にて脱脂および/または酸洗して洗浄するか、あるいは前処理工程を省略して予熱炉内で下地鋼板表面の油分を燃焼除去した後、非酸化性雰囲気中または還元性雰囲気中にて再結晶焼鈍を施し、次いで非酸化性雰囲気中あるいは還元性雰囲気中で鋼板をめっきに適した温度まで冷却してから、大気に触れることなく微量Al(0.1〜0.2質量%程度)を添加した溶融亜鉛浴中に浸漬した後、引き続いて合金化炉内で熱処理することによって製造される。
近年、下地鋼板の高強度化が求められており、かような下地鋼板に溶融亜鉛めっきを施して防錆性を兼備させた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の使用量が増加している。鋼板の機械特性を確保するために、Si、Mn、Al、Cr等の合金元素の添加が行われているが、これらを多く含有する高強度鋼板を下地とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板には、以下のような問題がある。
上述したように、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、還元性雰囲気中にて600〜900℃程度の温度で焼鈍を行った後に、溶融亜鉛めっきされ、さらにめっき層が合金化される。しかしながら、上記の添加元素は、溶融亜鉛めっきに先立って行う鋼板の焼鈍において一般的に用いられる還元性雰囲気中でも選択的に酸化して表面に濃化し、表面で酸化物を形成する。かような酸化物は、めっき処理時の溶融亜鉛との濡れ性を低下させて不めっきを生じさせるため、下地鋼板と溶融亜鉛との濡れ性が急激に低下して不めっきが多発するようになる。また、不めっきに至らなかった場合でも、めっき密着性が悪いという問題がある。
さらに、鋼中の易酸化元素が選択的に酸化して表面に濃化すると、Zn−Fe合金化反応を阻害するため、溶融亜鉛めっき後の合金化過程において合金化が著しく遅延する。その結果、生産性が著しく阻害される。また、生産性を確保するために、より高温で合金化処理を行うと、過合金化に起因した耐パウダリング性の劣化という問題が生じ、高い生産性と良好な耐パウダリング性を両立させることは困難であった。
このような問題に対して、予め酸化性雰囲気中で鋼板を加熱して表面に酸化鉄を形成したのち還元焼鈍を行うか、事前の酸化なしに高露点で還元焼鈍することにより、鋼中の易酸化元素を内部酸化させることでめっき性を向上させる技術が公知となっている。
例えば、特許文献1〜3には、上記の手法により焼鈍時に生成した鋼中元素の酸化物がめっき層中および下地鋼板表層に残存することが述べられている。
特許第3887308号公報 特開2004−315960号公報 特開2006―233333号公報
従来技術は、焼鈍時に鋼中の易酸化元素を内部酸化させることでめっき性を向上させるものであり、生成する酸化物量を制御することが重要であるとされている。しかしながら、特許文献1〜3では、ある程度のめっき品質は得られるものの、めっき密着性などの特性が大きくばらつくため、良好な特性を安定して得ることができない。
本発明の課題は、Si、Mn、Al、Crの1種以上を含有する鋼板を下地鋼板として、不めっきのない美麗な外観を有し、めっき密着性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることである。
発明者等は、焼鈍後に鋼板表面に存在する酸化物について、めっき層の合金化後における、それらの分布と合金化条件の関係について詳細に調査した。その結果、上記課題を解決するには、適正な合金化条件のもとで、めっき層中に存在する酸化物量と下地鋼板表層に残存する酸化物量のバランスを制御することが重要であると知見した。
本発明の要旨は次のとおりである。
(1)Si、Mn、Al、Crの1種以上を含有する鋼板を下地鋼板とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、めっき層中及び下地鋼板表層に、酸化物が存在し、めっき層中及び下地鋼板表層の酸化物の総量が0.25g/m以上で、かつそのうち下地鋼板側に存在する酸化物の割合が全酸化物量に対して質量比で40%以下であり、めっき層中に含まれるFeの割合が、質量比で13.0%以下であることを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(2)めっき層中に含まれるFeの割合が、質量比で8.0%以上13.0%以下であることを特徴とする(1)に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
本発明の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、下地鋼板がSi、Mn、Al、Crの1種以上を含有する鋼板であるにもかかわらず、不めっきのない美麗な表面外観を有し、さらにめっき密着性にも優れている。
以下、本発明について具体的に説明する。
先ず、本発明の鋼板成分について説明する。
本発明の課題は、Si、Mn、Al、Crの1種以上の元素を含有する鋼板を下地鋼板とした高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板におけるめっき性阻害を解決することである。そのため、本発明では、下地鋼板を、Si、Mn、Al、Crの1種以上の元素を含有する鋼板に限定した。
Si:3.0質量%以下
Siは、3.0質量%を超えて含有すると鋼板自体が硬くなりすぎるため3.0質量%以下が好ましい。また、Siは1.0質量%以上含有される場合に、本発明の効果を顕著に得ることができる。
Mn:5.0質量%以下
Mnは、5.0質量%を超えて含有すると溶接性や強度延性バランス(TS(Tensile strength)×El(Elongation))の確保に悪影響を及ぼすため、5.0質量%以下が好ましい。また、0.5質量%以上含有される場合に、本発明の効果を顕著に得ることができる。
Al:0.010質量%以上5.0質量%以下
Alは、製鋼中およびスラブ中の酸素を固定し、スラブ割れ等の欠陥発生を抑制する。その効果は0.010質量%の添加で認められる。しかし、Al含有量は、5.0質量%を超えると、鋼中の介在物量を増加させる点で好ましくないが、それ以下であれば本発明を阻害するものではない。
Cr:0.005質量%以上2.0質量%以下
Crは、0.005質量%以上含有することで、焼鈍温度からの冷却時にパーライトの生成を抑制して伸びを向上させたり、炭化物や析出物をより均一に析出させることで強度の向上に効果がある。しかし、2.0質量%を超えるとその効果は飽和し、コストアップの要因となるため、2.0質量%以下が好ましい。
なお、本発明では、Si、Mn、Al、Cr以外の元素については特に限定されることはなく、従来から公知の成分系を利用することができる。
C:0.01質量%以上2.0質量%以下
Cは、鋼板の高強度化に有効な元素であり、さらに残留オーステナイトや低温変態相の生成に効果があり、強度延性バランスの向上を確保するために有効な元素である。しかし、C含有量が0.01質量%未満では所望の強度延性バランスを得がたい。一方、2.0質量%を超えると、溶接性の劣化を招く。以上より、Cは0.01質量%以上2.0質量%以下の範囲が好ましい。
P:0.1質量%以下
Pは、鋼の強化に有効な元素であるが、0.1質量%を超えて過剰に添加すると、粒界偏析により脆化を引き起こし、耐衝撃性を劣化させる。また0.1質量%を超えると合金化速度を大幅に遅延させる。従って、P量を0.1質量%以下とする。
S:0.07質量%以下
Sは、MnSなどの介在物となって、耐衝撃性の劣化や溶接部のメタルフローに沿った割れの原因となるので極力低い方がよいが、製造コストの面から0.07質量%以下とする。
N:0.008質量%以下
Nは、鋼の耐時効性を最も大きく劣化させる元素であり、少ないほどよく、0.008質量%を超えると耐時効性の劣化が顕著となる。従って、N量を0.008質量%以下とする。
また、上記に加え、さらにTi、Nb、V、Mo、Cu、Ni、B、Ca、およびSbから選ばれる1種または2種以上を、合計含有量が3質量%以下の範囲であれば含有されていてもよい。残部はFeおよび不可避的不純物である。
次に、めっき層中及び下地鋼板表層に存在する酸化物、めっき層Fe%について説明する。
すでに前述したように、Si、Mn、Al、Crの1種以上を含有する鋼板の焼鈍工程において、予め酸化性雰囲気中で鋼板を加熱して表面に酸化鉄を形成したのち還元焼鈍を行うか、事前の酸化処理なしに高露点で還元焼鈍することにより、鋼中の易酸化元素を内部酸化させることができ、鋼板表層にSi、Mn、Al、Crの1種以上よりなる酸化物を主体とする酸化物が形成される。この焼鈍後に溶融めっきして合金化処理すると、焼鈍後に原板表層に存在していた酸化物は、一部はめっき層中に取り込まれ、残りは地鉄中に残存する。この合金化処理後のめっき層中に取り込まれた酸化物と地鉄中に残存した酸化物の総量は、焼鈍後に鋼板表層に形成された酸化物の総量と殆ど変化しない。
めっき層中及び下地鋼板表層に存在する酸化物の総量が、0.25g/m未満になると、不めっきのない美麗なめっき外観が安定して得られなくなる。また、めっき後の合金化反応も抑制されるため、所望の合金化度を得るためには合金化温度を高くするか、保持時間を長くしなければならず、経済的にも好ましくない。そのため、めっき層中及び下地鋼板表層に存在する酸化物の総量を0.25g/m以上に規定する。酸化物の総量の上限は特に規定しないが、酸化物量そのものが多い場合、めっき界面の酸化物が密着性を劣化させたり、下地鋼板に残存した酸化物が、鋼の機械特性を劣化させることがあるため、酸化物の総量は、1.0g/m以下とするのが好ましい。
良好なめっき性を得るには、焼鈍後に原板表層に存在していた酸化物総量と、酸化物のうち、どの程度が合金化処理によってめっき層中へ取り込まれるかが重要である。めっき層の合金化後、地鉄に残存している酸化物の割合を、全酸化物量に対して質量比で40%以下とすることで、良好なめっき密着性が得られる。酸化物が40%を超えて地鉄に残存することは、界面近傍にも酸化物が多いことを意味し、めっき密着性に悪影響を及ぼす。
また、溶融亜鉛系めっきでは、一般的に、めっき浴に添加されていたAlにより、めっき後のめっき表面に厚さ10nm以下程度の酸化膜が形成される。本発明では、前記したように焼鈍後に下地鋼板表層に存在する酸化物を対象とするため、めっき表面のAl系酸化物は、除外して考える。
合金化後、めっき層中のFe濃度が質量比で13.0%以下となるようにする。13.0%超では、めっき/地鉄界面にFe濃度の高い脆い相が形成されるため、パウダリング性などに悪影響が出る。また、Fe濃度は質量比で8.0%以上とすることが好ましい。8.0%未満であれば、Fe濃度の低い低融点の相が表層に残存し、プレス成型時の摺動性が劣化する。
次に本発明の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について説明する。
上記組成を有する鋼スラブを熱間圧延し、酸洗工程で熱延板表層のスケールを除去し、またはさらに冷間圧延を行い、めっき原板となる鋼板を作製する。鋼スラブの作製から冷間圧延までの各工程の条件は特に限定されない。常法でよい。
作製した鋼板を、連続溶融亜鉛めっき設備に装入し、焼鈍し、その後溶融亜鉛めっきし、さらにめっき層の合金化処理を行う。
焼鈍工程では、予め酸化性雰囲気中で鋼板を加熱して表面に酸化鉄を形成したのち還元焼鈍を行うか、事前の酸化処理なしに高露点で還元焼鈍することにより、鋼中の易酸化元素を内部酸化させ、鋼板表層に酸化物を総量で0.25g/m以上形成する。
還元焼鈍後、溶融亜鉛めっき浴に浸漬して溶融亜鉛めっきし、めっき浴から引き上げてガスワイパーで付着量調整し、その後めっき層の合金化を行う。溶融亜鉛めっき、ガスワイパーの工程は特に限定されず、常法でよい。合金化処理により、還元焼鈍後に鋼板表面に形成していた酸化物が、めっき中に移動するが、酸化物の総量に対する下地鋼板側に存在する酸化物の割合を質量比で40%以下になるように制御することが必要である。制御する方法は特に限定するものではないが、例えば、事前の酸化処理や高露点での還元焼鈍の条件や原板組成に応じて、合金化温度や合金化時間を調整すればよい。生産ラインで、合金化時間の変更が困難な場合は、合金化時間を一定とし、合金化温度を適宜選択すればよい。
具体的には、例えば、還元工程が、事前の酸化処理で鋼板を加熱して表面に酸化鉄を形成したのち還元焼鈍を行う場合、事前酸化処理の鋼板温度To(℃)と原板Si濃度Csi(質量%)を用いて、合金化温度Ta(℃)が下式;
Ta<a×To+b×Csi+c
を満足する範囲内の温度で、さらにFe%が13.0%以下の範囲になる温度を選んで合金化することで、酸化物の総量に対する下地鋼板側に存在する酸化物の割合を質量比で40%以下になるように制御することができる。ここで、係数a〜cは、ライン/装置毎にあらかじめ求めておけばよく、例えば、直火バーナーを利用した事前酸化処理を行った場合では、a=0.4、b=−40、c=280といった値が得られている。この関係式の意味するところは、合金化温度が高いと下地鋼板に酸化物が残存する割合が高くなるため、適正な合金化温度に上限があるということである。
また、上式に鋼中Si濃度の項が含まれるのは、事前酸化処理における酸化のし易さが鋼中Si濃度の影響を受け、事前酸化処理の鋼板温度の効果が変わることによるためである。
ただし、ここまで述べてきたとおり、本発明では、製造された高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、めっき層中及び下地鋼板表層の酸化物の総量が0.25g/m以上、かつ下地鋼板側に存在する該酸化物の割合が40%以下であることが重要なのであり、そのためのプロセス条件や制御方法の違いは本質ではない。
表1に示すA〜Eの鋼組成の冷延鋼板を供試材として、予め酸化性雰囲気中で鋼板を加熱して表面に酸化鉄を形成する酸化処理後、還元焼鈍を行い、さらに溶融亜鉛めっき、合金化処理を施した。
Figure 2010138480
酸化処理は、直火バーナーを使用し、空燃比を1以上の条件とすることで酸化条件とし、直火バーナーの出力を制御することで最高到達温度(酸化温度)を変化させた。還元焼鈍は、5vol%水素+窒素雰囲気中(露点:−35℃)で板温:830℃、保持時間:30〜60秒の条件で行った。めっき条件は、Alを0.14質量%含む(Fe飽和)460℃の亜鉛めっき浴を用い、侵入板温:460℃および浸漬時間:1秒であり、めっき後、窒素ガスワイパーで付着量を片面45g/mに調整した。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板は、インダクション加熱炉にて合金化温度と合金化時間を変化させた、めっき層Fe%(質量%)を評価した。
各評価方法および判定基準は以下の通りである。
<めっき層中/下地鋼板中の酸化物の定量評価>
供試材をアルカリ溶液に浸漬し、めっき表層のAl系酸化膜を除去した。その後、めっき層を溶解して酸化物を採取し重量を測定した後、地鉄部分に対して同様に溶解して酸化物を採取し重量を測定した。なお、めっき層および地鉄部分の溶解にはそれぞれアルカリ(NaOH)および酸(HCl)を用いた。両者の合計を合計酸化量とし、それに対する地鉄中の残存物量の割合を算出した。なお、採取した酸化物が、Si、Mn、Al、Crの1種以上を含む酸化物が主体であることは、エネルギー分散X線分析(EDS)及びX線回折(XRD)で確認した。
<めっき密着性(パウダリング性)評価>
合金化溶融亜鉛めっき鋼板から幅:25mm、長さ:40mmの試験片を切出し、セロハンテープ(ニチバン製、幅:24mm)を長さ:20mmの位置に貼り、テープ面を90°内側に曲げた後、曲げ戻しを行ってセロハンテープを剥がした時に付着したZn量を蛍光X線によりカウント数として測定した。測定したZnカウント数を試験片幅:単位長さ(1m)当りのカウント数に補正して、以下の基準で評価した。
○:良好(カウント数:0〜5000)
×:不良(カウント数:5000超)
<めっき外観>
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を用いて目視および10倍のルーペにて外観観察を行い、不めっきが全くない場合を不めっき無しとし、10倍のルーペにて観察可能な微小の不めっきがある場合を微小不めっき有りとし、目視にて不めっきが観察できる場合を不めっき有りとした。
○:不めっき無し
△:微小不めっき有り
×:不めっき有り
これらの評価結果を、処理条件と共に表2に示す。
Figure 2010138480
表2から、本発明例のめっき鋼板は、高Si、Mn、Al、Cr含有鋼板を下地とする場合であっても、不めっきが無くめっき密着性に優れた、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得られていることがわかる。
表1に示すFの鋼組成の冷延鋼板を供試材として、予め酸化性雰囲気中で鋼板を加熱して表面に酸化鉄を形成する酸化処理後、還元焼鈍を行い、さらに溶融亜鉛めっき、合金化処理を施した。
酸化処理は、赤外加熱炉を用いて酸素+窒素雰囲気中(露点:+20℃)で、酸素濃度と最高到達温度(酸化温度)を変化させることで酸化状態を変化させ、最高到達温度に達したら保持することなく窒素ガス冷却した。その後、還元焼鈍は、赤外加熱炉を用いて10vol%水素+窒素雰囲気中(露点:−35℃)で板温:850℃、保持時間:30秒の条件で行った。めっき条件は、Alを0.14質量%含む(Fe飽和)460℃の亜鉛めっき浴を用い、侵入板温:460℃および浸漬時間:1秒であり、めっき後、窒素ガスワイパーで付着量を片面45g/mに調整した。
得られた溶融亜鉛めっき鋼板は、通電加熱炉にて580℃の合金化温度で15秒間保持することで合金化処理を実施し、めっき層Fe%(質量%)を評価した。
各評価方法および判定基準は以下の通りである。
<めっき層中/下地鋼板中の酸化物の定量評価>
得られためっき鋼板について、AA系電解液中で亜鉛めっき層を定電位電解によってめっき層を選択的に溶解させた。本実施例で用いたAA系電解液は10%アセチルアセトン−1%テトラメチルアンモニウムクロライド−メタノールであり、電解電位は地鉄が溶解せずにめっき層だけが溶解する電位に設定した。更に、めっき層を溶解させた後に、同様のAA系電解液中で表層5μmが溶解する電気量にて、地鉄表層を定電流電解によって溶解させた。それぞれの電気化学的処理によって得られた残渣を50nmの径を有するニュークリポアフィルターでろ過した後に、フィルターに捕捉された残渣をアルカリ融解後にICP分析によって、SiおよびMnの定量を行った。本実施例では、これらの定量値からSi量をSiO量、Mn量をMnO量に換算することで、酸化物量とした。なお、本実施例に用いた供試材の鋼組成では、AlおよびCrの含有量は小さいために、SiおよびMn量から求められる換算値を酸化量とした。また、本実施例では、採取した酸化物がSiおよび/またはMnの酸化物が主体であることを、エネルギー分散X線分析(EDS)及びX線回折(XRD)で確認した。
<めっき密着性(パウダリング性)評価>と<めっき外観>は、実施例1と同様にして評価した。
これらの評価結果を、処理条件と共に表3に示す。
Figure 2010138480
表3から、本発明例のめっき鋼板は、高Si、Mn含有鋼板を下地とする場合であっても、不めっきが無くめっき密着性に優れた、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得られていることがわかる。また、本発明の範囲から外れた比較例では合金化反応が抑制されて、所望のFe%が得にくいことも分かる。
本発明の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、不めっきが無く美麗な外観を有し、めっき密着性にも優れる。本発明の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車、建材および家電等の分野において好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. Si、Mn、Al、Crの1種以上を含有する鋼板を下地鋼板とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、めっき層中及び下地鋼板表層に、酸化物が存在し、めっき層中及び下地鋼板表層の酸化物の総量が0.25g/m以上で、かつそのうち下地鋼板側に存在する酸化物の割合が全酸化物量に対して質量比で40%以下であり、めっき層中に含まれるFeの割合が、質量比で13.0%以下であることを特徴とする高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. めっき層中に含まれるFeの割合が、質量比で8.0%以上13.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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