JP2010138329A - 塗料用重合体、塗料組成物および塗装物 - Google Patents

塗料用重合体、塗料組成物および塗装物 Download PDF

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Abstract

【課題】平滑性、耐摩耗性が良好で、光輝顔料を使用した場合には高輝度な外観が発現できる塗料用重合体ならびに塗料組成物、および平滑性、耐摩耗性が良好で、かつ高輝度な塗膜を有する塗装物を提供する。
【解決手段】
ビニル基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物(a1)由来の構成単位と、
下記条件(i)および条件(ii)を満足する、他の不飽和単量体(a2)由来の構成単位とを有する塗料用重合体(A)
(i)他の不飽和単量体(a2)の重合体のガラス転移温度(Tg)が、70〜130℃である。
(ii)他の不飽和単量体(a2)の重合体の溶解性パラメーター(δ)が、19.7〜20.4(J/cm1/2である。
【選択図】なし

Description

本発明は、平滑性、耐磨耗性が良好であり、光輝顔料を使用した場合には高輝度な外観が得られる塗料用重合体、それを含む塗料組成物および、その塗装物に関する。
ビニル系重合体は、耐候性、柔軟性、強度、接着性等に優れていることから、塗料、インキ、接着剤、合成皮革等の用途に広く用いられている。特に、塗料の用途においては、自動車、家庭電化製品、建材等の分野で、各種素材への塗装用として、それぞれの要求性能に合った種々のビニル系重合体を含む塗料組成物が提供されている。
また近年、塗装外観にメタリックやパール調の意匠性を付与するため、光輝顔料を含むメタリック塗料組成物が多く用いられている。メタリック塗料組成物から得られる塗膜は、光輝顔料を塗膜中に効率よく配向させることで輝度感を発現させている。
ビニル系重合体の特徴は、単量体の種類、分子量等を変更することで、光沢、耐候性等の様々な特性を塗膜に付与できることにある。しかし、ビニル系重合体を含む塗膜を最外層に形成する場合、耐スリキズ性や耐摩耗性の点から、塗膜を高硬度にしなければならず、そのために分子量やガラス転移温度を高くする手法をとった場合には塗膜表面の平滑性が低下してしまう問題があった。また、架橋性官能基と硬化剤を使用し成膜後に高密度で架橋させて高硬度を達成する方法もあるが、塗装形態によってはその方法の採用が困難な場合がある。
耐スリキズ性や耐摩耗性が向上した塗膜を形成し得る塗料組成物としては、下記のものが提案されている。
エポキシ基含有ビニル系単量体と、オルガノシロキサン側鎖を有するビニル系単量体とを重合して得られたビニル系重合体を含む塗料組成物(特許文献1)。
該組成物から得られる塗膜は、シリコーン成分(オルガノシロキサン側鎖)によって付与されたスリップ性により、耐スリキズ性が向上している。しかし、シリコーン成分は、アクリル成分(エポキシ基含有ビニル系単量体に由来する構成単位)との相溶性が劣るため、ビニル系重合体の流動性が低下し、塗料噴霧時に微粒化しにくい。それに伴い、光輝顔料を含む塗料の場合、光輝顔料の配向性が低下し、目的とする輝度感が得られない。

特開2005−290360号公報
本発明は、塗膜の平滑性、耐摩耗性が良好で、かつ光輝顔料を使用した場合においても高輝度な塗膜を形成できる塗料用重合体ならびに塗料組成物、および表面の平滑性、耐摩耗性が良好で、かつ高輝度な塗膜を有する塗装物を提供する。
本発明の塗料用重合体は、ビニル基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物(a1)由来の構成単位と、
下記条件(i)および条件(ii)を満足する、他の不飽和単量体(a2)由来の構成単位とを有することを特徴とする。
(i)他の不飽和単量体(a2)の重合体のガラス転移温度(Tg)が、70〜130℃である。
(ii)他の不飽和単量体(a2)の重合体の溶解性パラメーター(δ)が、19.7〜20.4(J/cm1/2である。
前記ポリエーテルは、ポリアルキレンオキサイドであることが好ましい。
本発明の塗料用重合体(A)の製造方法は、ビニル基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物(a1)および他の不飽和単量体(a2)を、有機溶剤(B)中にて、ラジカル重合開始剤(C)の存在下でラジカル重合させることを特徴とする。
本発明の塗料用重合体(A)の製造方法においては、前記ビニル基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物(a1)および有機溶剤(B)を含む混合物に、前記他の不飽和単量体(a2)およびラジカル重合開始剤(C)を連続的または断続的に添加することが好ましい。
本発明の塗料組成物は、塗料用重合体(A)を含有した塗料であり、表面平滑性、耐摩耗性が良好で、光輝顔料を含んだメタリック塗料として使用した場合でも高輝度な塗膜が形成されることを特徴とする。
本発明の塗装物は、本発明の塗料組成物から得られる塗膜を有することを特徴とする。
本発明の塗料用重合体および塗料組成物は、平滑性、耐摩耗性が良好であり、光輝顔料を含んだメタリック塗料として使用した場合は高輝度な塗膜を形成できる。
本発明の塗装物は、表面の平滑性、耐摩耗性が良好であり、光輝顔料を含んだメタリック塗料として塗布した場合は高輝度な塗膜を有するものとなる。
<塗料用重合体(A)>
本発明の塗料用重合体は、ビニル基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物(a1)(以下、化合物(a1)と記す。)由来の構成単位と、下記条件(i)および条件(ii)を満足する、他の不飽和単量体(a2)由来の構成単位とを有する塗料用重合体(A)である。
(i)他の不飽和単量体(a2)の重合体のガラス転移温度(Tg)が、70〜130℃である。
(ii)他の不飽和単量体(a2)の重合体の溶解性パラメーター(δ)が、19.7〜20.4(J/cm1/2である。
塗料用重合体(A)の質量平均分子量は、20,000〜200,000が好ましく、30,000〜100,000がより好ましい。塗料用重合体(A)の質量平均分子量が20,000以上であれば、塗膜の硬度、耐摩耗性、耐溶剤性が良好となる。塗料用重合体(A)の質量平均分子量が200,000以下であれば、塗膜の平滑性が良好となる。
(化合物(a1))
化合物(a1)は、ビニル基を少なくとも1つ有し、かつポリエーテルで変性されたシリコーン化合物である。化合物(a1)としては、ビニル基を少なくとも1つ有し、かつポリアルキレンオキサイドで変性されたシリコーン化合物が好ましい。中でも、末端(メタ)アクリロイル基を有し、分子内にポリアルキレンオキサイドセグメントを有するポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等のポリオルガノシロキサンが好ましい。
ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド等が挙げられる。
化合物(a1)は、例えば、公知の方法によって、ビニル基を有するシリコーン化合物を、ポリアルキレンオキサイド等のポリエーテルで変性することで得られる。
化合物(a1)の市販品としては、末端アクリロイル基のポリエーテル変性シリコーンであるダイセルUCB社製のエベクリル350(商品名)、ビックケミー・ジャパン社製のBYK−UV3500(商品名)、モメンティブ社製のCOATOSIL3503(商品名)等が挙げられる。
化合物(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(他の不飽和単量体(a2))
他の不飽和単量体(a2)は、化合物(a1)を除く不飽和単量体であり、かつ化合物(a1)と共重合可能な不飽和単量体である。
他の不飽和単量体(a2)は、下記条件(i)および条件(ii)を満足する。
(i)他の不飽和単量体(a2)の重合体のガラス転移温度(Tg)が、70〜130℃である。
(ii)他の不飽和単量体(a2)の重合体の溶解性パラメーター(以下、SP値と記す。)(δ)が、19.7〜20.4(J/cm1/2である。
なお、TgおよびSP値は、他の不飽和単量体(a2)がニ以上の不飽和単量体からなる場合は化合物(a1)を除く全ての重合体の値を意味する。
他の不飽和単量体(a2)の重合体のガラス転移温度(Tg)が70℃以上であれば、塗膜の硬度、耐摩耗性、耐溶剤性が良好となる。他の不飽和単量体(a2)の重合体のガラス転移温度(Tg)が130℃以下であれば、塗膜の平滑性が良好となる。
他の不飽和単量体(a2)の重合体のSP値(δ)が19.7(J/cm1/2以上であれば、ABS樹脂等のプラスチック基材への付着性が良好となる。他の不飽和単量体(a2)の重合体のSP値(δ)が20.4(J/cm1/2以下であれば、溶剤への溶解性が良好で樹脂溶液が低粘度となり、塗膜の平滑性が向上する。
他の不飽和単量体(a2)の重合体のSP値(δ)は、19.7〜20.0(J/cm1/2がより好ましい。他の不飽和単量体(a2)の重合体のSP値(δ)が20.0以下であれば、さらに塗膜の平滑性が向上し、塗膜外観が著しく良好となる。
他の不飽和単量体(a2)の重合体のガラス転移温度(Tg)は、他の不飽和単量体(a2)が1種類の場合は、他の不飽和単量体(a2)の単独重合体のTg(文献値)をそのまま採用する。他の不飽和単量体(a2)が2種類以上の場合は、下記式(1)から求める。
1/Tg=Σ(wi/Tgi) ・・・(1)。
式(1)中、wiは不飽和単量体iの質量分率を表し、Tgiは不飽和単量体iの単独重合体のTg(文献値)を表す。単独重合体のTg(文献値)は、「POLYMER HANDBOOK,FOURTH EDITION,VI/193〜VI/253」に記載の値とする。
他の不飽和単量体(a2)の重合体のSP値(δ)は、他の不飽和単量体(a2)が1種類の場合は、他の不飽和単量体(a2)の単独重合体のδを下記文献に記載の下記式(2)から求める。
δi={Σ(njEj)/Σ(njVj)}1/2 ・・・(2)。
式(2)中、njは単量体iを構成する原子団jの個数を表し、Ejは原子団jの凝集エネルギー(J/mol)を表し、Vjは原子団jのモル体積(cm/mol)を表す。なお、EjおよびVjは、下記文献中に記載されている値とする。
R.F.Fedors,「Polym.Eng.Sci.」,(1974),14(2),p.147,p.472。
他の不飽和単量体(a2)の重合体のSP値(δ)は、他の不飽和単量体(a2)が2種類以上の場合は、下記式(3)から求める。
δ=Σ(miδi) ・・・(3)。
式(2)中、miは単量体iのモル分率を表し、δiは単量体iの単独重合体のδを表す。単量体iの単独重合体のδiは、前記式(2)から求める。
他の不飽和単量体(a2)として、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が高く、溶解性パラメーター(SP値)が低いものを使用すれば、硬度を低下させず、平滑性の良い塗膜が形成出来る。
また、ホモポリマーの溶解性パラメーター(SP値)が高いものを使用すれば、基材との付着性が発揮出来る。
他の不飽和単量体(a2)はホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が高く、溶解性パラメーター(SP値)が低いものと、ホモポリマーの溶解性パラメーター(SP値)が高いものの両者を含んでいることが好ましい。
ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が高く、溶解性パラメーター(SP値)が低いものとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体や、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびアダマンチル(メタ)アクリレート等炭素数4以上のアルキル基を有する単量体で、特に、分岐型または脂環式のアルキル基を分子内に含む単量体が挙げられる。
ホモポリマーの溶解性パラメーター(SP値)が高いものとしては、メチル(メタ)アクリレートまたはエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
他の不飽和単量体(a2)としては、総体として上記条件(i)および条件(ii)を満たしていれば、以下に挙げる単量体を含んでいてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート等。);カルボキシル基含有ビニル系単量体((メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、5−メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルシュウ酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルシュウ酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ソルビン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等。);酸無水基含有ビニル系単量体(無水マレイン酸、無水イタコン酸等。):エポキシ基含有ビニル系単量体((メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシへプチル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシへプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等。);水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等。);2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等との付加物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の二量体または三量体;ビニル系単量体(ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等。);重合性不飽和有機シラン化合物(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等。)等。
他の不飽和単量体(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の不飽和単量体(a2)は、化合物(a1)と他の不飽和単量体(a2)の合計100質量%中、メチルメタクリレートが40〜85質量%、t−ブチルメタクリレートが10〜30質量%、イソボルニルメタクリレートが1〜30質量%、メタクリル酸が0.1〜1質量%であることがより好ましい。
以上説明した本発明の塗料用重合体(A)にあっては、シリコーン成分である化合物(a1)由来の構成単位を有するため、塗膜に良好なスリップ性を付与できる。その結果、耐摩耗性が良好な塗膜を形成できる。
また、他の不飽和単量体(a2)の重合体のガラス転移温度(Tg)が70℃以上であるため、塗膜の硬度、耐摩耗性、耐溶剤性が良好となり、ガラス転移温度(Tg)が130℃以下であるため、溶剤への溶解性が良好で樹脂溶液が低粘度となり、塗膜の平滑性が良好となる。
さらには、他の不飽和単量体(a2)の重合体のSP値(δ)が19.7(J/cm1/2以上であるため、ABS樹脂等のプラスチック基材への付着性が良好であり、SP値(δ)が20.4(J/cm1/2以下であるため、溶剤への溶解性が良好で樹脂溶液が低粘度となり、塗膜の平滑性が向上する。
さらに、ポリアルキレンオキサイド等のポリエーテルで変性された化合物(a1)由来の構成単位(シリコーン成分)は、他の不飽和単量体(a2)由来の構成単位(アクリル成分)との相溶性が良好であるため、塗料用重合体(A)の流動性が向上し、塗料噴霧時に微粒化しやすくなる。それに伴い、光輝顔料を配合した場合に光輝顔料の配向性が向上し、高輝度な塗膜が得られる。
<塗料用重合体(A)の製造方法>
化合物(a1)および他の不飽和単量体(a2)の重合方法としては、公知の重合方法が挙げられ、塗料用として用いることを考慮した場合、化合物(a1)および他の不飽和単量体(a2)を、有機溶剤(B)中にて、ラジカル重合開始剤(C)の存在下でラジカル重合させる、いわゆる溶液重合法が好ましい。
溶液重合法としては、下記の方法(I)または方法(II)が好ましい。なお、方法(I)では、化合物(a1)が混合物の表層に相分離することが考えられ、重合体中に効率よく共重合されない可能性があるため、本発明においては、方法(II)が特に好ましい。
(I)有機溶剤(B)中に、化合物(a1)、他の不飽和単量体(a2)、ラジカル重合開始剤(C)および必要に応じて有機溶剤(B)を、所定時間にわたって連続的または断続的に添加し(例えば、滴下し)、化合物(a1)および他の不飽和単量体(a2)を重合させる方法。
(II)化合物(a1)および有機溶剤(B)を含む混合物に、他の不飽和単量体(a2)、ラジカル重合開始剤(C)、および必要に応じて有機溶剤(B)を含む混合物を所定時間にわたって連続的または断続的に添加し(例えば、滴下し)、化合物(a1)および他の不飽和単量体(a2)を重合させる方法。
方法(I)または方法(II)いずれにおいても、化合物(a1)、他の不飽和単量体(a2)およびラジカル重合開始剤(C)は混合して添加することが好ましい。
化合物(a1)の使用量は、化合物(a1)と他の不飽和単量体(a2)との合計100質量%中、0.1〜1質量%が好ましく、0.15〜0.5質量%がより好ましい。化合物(a1)の使用量が0.1質量%以上であれば、スリップ性が発現される。化合物(a1)の使用量が1質量%以下であれば、塗料用重合体(A)を含む塗膜と、他の塗膜との付着性や、塗料用重合体(A)を含む塗膜の表面に印刷等を行った場合のインキの付着性等が良好となる。
有機溶剤(B)としては、芳香族系溶剤(トルエン、キシレン、その他高沸点の芳香族化合物等。);エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等。);ケトン系溶剤(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等。);アルコール系溶剤(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等。);炭化水素系溶剤(スーパーゾール100(新日本石油社製、製品名)、シクロヘキサン等。)等が挙げられ、建物の室内や自動車室内の濃度規制等、環境問題の点から、芳香族溶剤以外の溶剤が好ましい。
有機溶剤(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤(C)としては、有機過酸化物、アゾ系化合物等の公知のラジカル重合開始剤が挙げられる。
有機過酸化物としては、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤(C)の使用量は、目的とする分子量によって決定されるが、通常、化合物(a1)と他の不飽和単量体(a2)との合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
重合温度は、常圧状態での重合を行う場合、初期段階では、反応容器にあらかじめ仕込んでおく有機溶剤(B)の沸点以下であり、通常、70〜160℃である。加圧下での重合を行う場合、これ以上の温度にて重合を行うことができるため、ラジカル重合開始剤(C)の低減、重合時間の短縮、低分子量化等を目的として高温加圧重合法を用いることもできる。適切な分子量の塗料用重合体(A)を得る点からは、70〜120℃が好ましい。
以上説明した本発明の塗料用重合体(A)の製造方法にあっては、化合物(a1)および他の不飽和単量体(a2)を、有機溶剤(B)中にて、ラジカル重合開始剤(C)の存在下でラジカル重合させるため、平滑性、耐摩耗性が良好で、かつ高輝度な塗膜を形成できる塗料用重合体(A)を容易に製造できる。
<塗料組成物>
本発明の塗料組成物は、塗料用重合体(A)を含有した塗料であり、塗料用重合体(A)のみを樹脂成分としたクリヤ塗料として、または、他の樹脂成分を配合したクリヤ塗料として好適に使用できる。
また、光輝顔料を含んだ場合にはメタリック塗料として好適に使用できる。
本発明の塗料組成物は、塗装後に、熱や光等のエネルギーによる後架橋を行わない、いわゆる熱可塑性塗料として好適である。
(光輝顔料)
光輝顔料としては、アルミニウムフレーク、パール、マイカ等が挙げられる。
光輝顔料の配合量は、塗料用重合体(A)の100質量部に対して、2〜30質量部が好ましい。
(化合物(a1’))
本発明の塗料組成物は、ビニル基を有さないポリエーテル変性シリコーン化合物(a1’)(以下、化合物(a1’)と記す。)を含んでいてもよい。化合物(a1’)の添加方法としては、塗料組成物にブレンドする方法、化合物(a1’)の存在下で、化合物(a1)および他の不飽和単量体(a2)を重合する方法等が挙げられる。
化合物(a1’)としては、東レ・ダウコーニング社製のL−77、L−720、L−722、L―7001、L−7002、L―7602、L−7604、L−7605、L―7607N、Y―7006、FZ―2104、FZ−2110、FZ―2161、FZ―2162、FZ―2163、FZ―2164、FZ―2165、FZ―2166およびFZ―2171、ペインタッド29、32、54、57、8142、8417、8388A、8353および8336、ビックケミー・ジャパン社製のBYK−302、306、307、320、325、330、331、337、344および377(いずれも商品名)等が好ましい。
化合物(a1’)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しもよい。
(他の成分)
本発明の塗料組成物は、必要に応じて、他の樹脂(セルロース系樹脂等。)、顔料(光輝顔料を除く。)、塗料用添加剤(充填剤、可塑剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤等。)、軟質付与剤(ポリウレタン等。)、ポリオレフィン基材への付着性向上を目的とした付着付与剤(塩素化ポリオレフィン、無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン等。)等を含んでいてもよい。中でも、セルロース系樹脂(ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート等。)は、塗料中に配合することで高い表面強度、表面硬度を発現できることに加え、顔料分散性、メタリックの配向性向上等に効果があるため好ましい。セルロース系樹脂の使用量は、特に制限はないが、塗料用重合体(A)(固形分)100質量部に対して10〜200質量部が好ましい。
顔料としては、有機系顔料、無機系顔料(酸化チタン、酸化鉄、チタンコート等)が挙げられる。
(塗料組成物の調製方法)
本発明の塗料組成物は、例えば、本発明の塗料用重合体(A)の製造方法で得られた塗料用重合体(A)の溶液に、必要に応じて光輝顔料や他の成分を添加し、さらに必要に応じて希釈剤を加えて所望の粘度に調整することにより調製できる。
希釈剤としては、塗料用重合体(A)の製造方法で挙げた有機溶剤(B)と同様のものが挙げられる。
以上説明した本発明の塗料組成物にあっては、本発明の塗料用重合体(A)を含むため、平滑性、耐摩耗性が良好で、かつ高輝度な塗膜を形成できる。
<塗装物>
本発明の塗装物は、表面の平滑性、耐摩耗性が良好で、光輝顔料を含んだメタリック塗料として塗布した場合でも高輝度な塗膜を有するものである。
本発明の塗装物は、基材の表面に本発明の塗料組成物を塗布し、乾燥させて塗膜を形成することにより製造できる。
基材の材料としては、プラスチック、金属、無機系材料、木材、紙、繊維、FRP等が挙げられ、本発明においては、プラスチックまたは金属が好ましい。
プラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート等。)、ABS樹脂、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン等。)等が挙げられる。
金属としては、鉄、ステンレススチール、アルミニウム等が挙げられる。
無機系材料としては、ガラス、スレート板、コンクリート、珪酸カルシウム、石膏、石綿、セラミック等が挙げられる。
塗装方法としては、スプレー塗装法、刷毛塗り塗装法、浸漬塗装法、ロール塗装法、流し塗装法等が挙げられる。
乾燥条件は、本発明の塗料組成物の種類、有機溶剤の種類、含有量等によって適宜設定すればよい。乾燥温度は、通常、室温〜200℃であり、プラスチック基材の場合、プラスチックの耐熱温度以下が好ましい。また、乾燥時間は、1〜120分が好ましく、有機溶剤の蒸発速度、乾燥温度等に応じて適宜設定すればよい。
塗膜は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
本発明のメタリック塗料組成物からは意匠性に優れたベース層が得られる。また、本発明の塗料組成物を用いたクリヤ塗料からは、光沢、平滑性、耐摩耗性の良好なトップコート層が得られる。これらを積層することにより、優れた2層の塗膜が得られる。ただし、本発明の塗料組成物から得られる塗膜は、1層のみで平滑性と耐摩耗性を両立できるため、必ずしも2層とする必要がない。
また、本発明の塗料組成物をクリヤ塗料として用いる場合においては、ベース層は、他の塗料用組成物を用いてもよいし、アルミ蒸着層などの塗装以外の方法で形成してもよい。
さらには、本発明の塗料組成物を用いたベース塗料を塗装し、その他の塗料をトップコート層として塗装し、2層または、3層以上の積層塗膜とすることも出来る。
以上説明した本発明の塗装物にあっては、本発明の塗料組成物から得られる塗膜を有するため、平滑性、耐摩耗性が良好で、光輝顔料を含んだメタリック塗料として塗布した場合には高輝度な塗膜を有するものとなる。
以下、実施例により本発明を説明する。なお、「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
(加熱残分)
重合体溶液を105℃で乾燥させ、重合体溶液に含まれる加熱残分(固形分)を求めた。
(質量平均分子量)
重合体溶液にテトラヒドロフランを加え、溶液濃度が0.4%になるよう調整した後、東ソー社製カラム(GE4000HXLおよびG2000HXL)を備えた東ソー社製ゲルパーミェーションクロマトグラフィ装置に、サンプルの100μLを注入し、流量:1mL/分(溶離液:テトラヒドロフラン)、カラム温度:40℃にて、ゲルパーミエーションクロマトグラム法により、ポリスチレンを基準として重合体の質量平均分子量を測定した。
(ガラス転移温度(Tg))
他の不飽和単量体(a2)の重合体のガラス転移温度(Tg)は、前記式(1)を用いて求めた。
(SP値(δ))
他の不飽和単量体(a2)の重合体のSP値(δ)は、前記式(3)を用いて求めた。
(表面平滑性)
塗膜の表面を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:平滑である。
△:やや凹凸があるが、使用可能なレベル。
×:凹凸があり、使用に耐えない。
(輝度感)
塗膜の表面を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:アルミフレークの粒子が確認されず、輝度感良好。
×:アルミフレーク粒子の存在が確認され、輝度感不良。
(耐摩耗性)
塗膜の表面に2cm角に切り出したコピー用紙(三菱製紙社製、三菱再生PPC用紙)を載せ、コピー紙上に500gの荷重がかかるように学振型染色物摩擦堅牢度試験機に取り付け、往復50回運転した後、塗膜の表面の傷つき具合を、下記の基準で評価した。
◎:まったく傷が見られない。
○:わずかな傷が見られる。
△:傷が見られるが、使用可能レベル。
×:明らかな傷が見られ、使用に耐えない。
(付着性)
カミソリを用いて、塗膜に縦、横それぞれ11本の傷を、1.5mm間隔で基材に達するまで入れて100個のマス目をつくり、セロハンテープ(ニチバン社製、巾:25mm)をマス目に対して圧着させ、上方に急激にはがし、基材に残存するマス目数を数えた。
○:残存するマス目数が100個である。
×:残存するマス目数が0〜99個である。
(凝集破壊)
付着性の評価にて、塗膜の表面が破壊的に剥がれ、塗膜中のアルミフレークがセロハンテープ(ニチバン社製)に付着した度合いを評価した。
○:付着なし。
△:わずかに付着があるが、使用可能なレベル。
×:付着があり、使用に耐えない。
(不飽和単量体)
実施例で用いた化合物(a1)、化合物(a1’)、化合物(a1”)(ポリエーテルで変性されていない、ビニル基を有するシリコーン化合物)、他の不飽和単量体(a2)、ラジカル重合開始剤(C)を表1に示す。
Figure 2010138329
〔実施例1〕
冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を備えた四つ口フラスコに、有機溶剤(B)として、酢酸ブチルの16部とイソブタノールの45部を仕込み、フラスコの内温を100℃に昇温した。ついで、表2に示す量の化合物(a1)、他の不飽和単量体(a2)、ラジカル重合開始剤(C)、および酢酸ブチルの43部を混合して得た混合液を、フラスコの内温を100℃に保持したまま、240分かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内温を100℃に1時間保持した。ついで、パーブチルOの0.5部および酢酸ブチルの16部の混合液を1時間かけて添加し、さらにフラスコの内温を100℃に2時間保持した。ついで、固形分が40%になるように酢酸ブチルの30部を添加し、冷却して、重合体(A−1)溶液を得た。得られた重合体の特性を表2に示す。
重合体(A−1)溶液、ニトロセルロース(SNPEジャパン社製、HIG1/4)を酢酸ブチル/酢酸エチル=50/50(質量比)の混合溶剤で固形分が33%となるように溶解したニトロセルロース溶液、光輝顔料(東洋アルミニウム社製、アルペースト1700NL、アルミニウム固形分:64%)を、表3に示す量で配合し、希釈剤で希釈する前のメタリック塗料組成物を得た。これに、酢酸エチル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/スーパーゾール100(新日本石油社製、炭化水素系高沸点溶剤)/酢酸ブチル=10/30/40/20(質量比)からなる希釈剤によりフォードカップ#4にて11秒となるように希釈調製し、メタリック塗料組成物(B−1)を得た。
ABS樹脂基材の表面にメタリック塗料組成物(B−1)を乾燥膜厚が15μm程度となるようにスプレー塗装した。ついで、20分間放置した後、80℃で30分加熱乾燥して塗膜を形成し、塗装物を得た。得られた塗装物の評価結果を表4に示す。
〔実施例2〜7〕
仕込み原料および量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして重合体(A−2)〜(A−7)溶液を得た。得られた重合体の特性を表2に示す。
重合体(A−1)溶液を、重合体(A−2)〜(A−7)溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてメタリック塗料組成物(B−2)〜(B−7)を得た。
メタリック塗料組成物(B−1)を、メタリック塗料組成物(B−2)〜(B−7)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜7の塗装物を評価した。得られた塗装物の評価結果を表4に示す。
〔実施例8〕
冷却器、温度計、滴下ロートおよび撹拌機を備えた四つ口フラスコに、有機溶剤(B)として、酢酸ブチルの16部とイソブタノールの45部と表2に示す量の化合物(a1)を仕込み、フラスコの内温を100℃に昇温した。ついで、表2に示す量の他の不飽和単量体(a2)、ラジカル重合開始剤(C)、および酢酸ブチルの43部を混合して得た混合液を、フラスコの内温を100℃に保持したまま、240分かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内温を100℃に1時間保持した。ついで、パーブチルOの0.5部および酢酸ブチルの16部の混合液を1時間かけて添加し、さらにフラスコの内温を100℃に2時間保持した。ついで、固形分が40%になるように酢酸ブチルの30部を添加し、冷却して、重合体(A−8)溶液を得た。得られた重合体の特性を表3に示す。
重合体(A−1)溶液を、重合体(A−8)溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてメタリック塗料組成物(B−8)を得た。
メタリック塗料組成物(B−1)を、メタリック塗料組成物(B−8)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例8の塗装物を評価した。得られた塗装物の評価結果を表5に示す。
〔実施例9、10〕
仕込み原料および量を表2に示すように変更した以外は、実施例8と同様にして重合体(A−9)、(A−10)溶液を得た。得られた重合体の特性を表3に示す。
重合体(A−1)溶液を、重合体(A−9)、(A−10)溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてメタリック塗料組成物(B−9)、(B−10)を得た。
メタリック塗料組成物(B−1)を、メタリック塗料組成物(B−9)、(B−10)に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例9、10の塗装物を評価した。得られた塗装物の評価結果を表5に示す。
〔比較例1〜3〕
仕込み原料および量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして重合体(A’−1)〜(A’−3)溶液を得た。得られた重合体の特性を表3に示す。
重合体(A−1)溶液を、重合体(A’−1)〜(A’−3)溶液に変更した以外は、実施例1と同様にしてメタリック塗料組成物(B’−1)〜(B’−3)を得た。
メタリック塗料組成物(B−1)を、メタリック塗料組成物(B’−1)〜(B’−3)に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1〜3の塗装物を評価した。得られた塗装物の評価結果を表5に示す。
Figure 2010138329
Figure 2010138329
Figure 2010138329
Figure 2010138329
表4および表5から明らかなように、本発明のメタリック塗料用組成物を用いて形成された塗膜は、平滑性、付着性、輝度感、耐摩耗性に優れる。特に、実施例8〜9は、他の不飽和単量体(a2)の重合体のSP値(δ)が、19.7〜20.0(J/cm1/2
の範囲である為、特に平滑性が優れており、高意匠の求められる用途への塗料に適している。
比較例1は、メタリック塗料用重合体がシリコーン成分を含んでいないため、耐摩耗性が低位であり、さらに付着性試験での凝集破壊が生じた。
比較例2は、メタリック塗料用重合体がポリエーテルで変性されていないシリコーン成分を含むため、アクリル成分との相溶性が低位となり、輝度感が低位な結果となった。
比較例3は、ビニル基を有さないポリエーテル変性シリコーンを用いたため、アクリル成分との相溶性が低位となり、輝度感が低位な結果となった。
本発明の塗料用重合体および塗料組成物は、自動車外装部品(バンパー、ホイールキャップ、マッドガード、ランプハウジング等。)、自動車内装部品(インストルメントパネル、コンソールボックス等。)、家電品等の用途に好適であり、高意匠性塗料の用途の拡大展開に大きく貢献するものである。

Claims (7)

  1. ビニル基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物(a1)由来の構成単位と、
    下記条件(i)および条件(ii)を満足する、他の不飽和単量体(a2)由来の構成単位とを有する塗料用重合体(A)
    (i)他の不飽和単量体(a2)の重合体のガラス転移温度(Tg)が、70〜130℃である。
    (ii)他の不飽和単量体(a2)の重合体の溶解性パラメーター(δ)が、19.7〜20.4(J/cm1/2である。
  2. 前記ポリエーテルが、ポリアルキレンオキサイドである、請求項1に記載の塗料用重合体(A)。
  3. ビニル基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物(a1)および他の不飽和単量体(a2)を、有機溶剤(B)中にて、ラジカル重合開始剤(C)の存在下でラジカル重合させる、塗料用重合体(A)の製造方法。
  4. 前記ビニル基を有するポリエーテル変性シリコーン化合物(a1)および有機溶剤(B)を含む混合物に、前記他の不飽和単量体(a2)およびラジカル重合開始剤(C)を連続的または断続的に添加する、請求項3に記載の塗料用重合体(A)の製造方法。
  5. 請求項1〜2のいずれかに記載の塗料用重合体(A)を含む塗料組成物。
  6. 請求項1〜2のいずれかに記載の塗料用重合体(A)と、
    光輝顔料と
    を含むメタリック塗料組成物。
  7. 請求項5または6に記載の塗料組成物から得られる塗膜を有する塗装物。
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