JP2010138283A - 重合性液晶組成物、位相差フィルム、画像表示装置用基板、及び液晶表示装置 - Google Patents

重合性液晶組成物、位相差フィルム、画像表示装置用基板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性が良好な位相差層、位相差フィルム及び画像表示装置用基板の作製に有用な重合性液晶組成物の提供。
【解決手段】重合性液晶化合物の少なくとも1種と、硬化性多分岐化合物の少なくとも1種とを含む重合性液晶組成物、前記硬化性多分岐化合物は、例えば、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー、及びスターバーストポリマー等からなる群から選択される多分岐化合物に7つ程度以上の硬化性反応基が結合した化合物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合性液晶組成物、該重合性液晶組成物から形成される位相差層を含む位相差フィルム又は画像表示装置用基板、及びそのような画像表示装置用基板を含む画像表示装置に関する。
薄型軽量及び低消費電力という大きな利点を持つ液晶表示装置は、近年、テレビ、パーソナルコンピューター、携帯電話、及び電子手帳等の表示装置に積極的に用いられている。液晶表示装置は、駆動液晶の複屈折性を利用して光のスイッチングを行っているため、駆動液晶の複屈折性に起因して視野角依存性がある。この視野角依存性を解決するために各種の位相差板が開発されている。位相差板は、例えば、フィルムを延伸すること、及び重合性液晶組成物を配向状態に固定化すること等によって作製されるものであり、通常、液晶セルの外側に設置されている。位相差板を液晶セルの外側に貼り付けると、貼り付け先の部材(例えば偏光板)に応力がかかり、位相差板の位相差が変形し、脱偏光を引き起こす場合がある。そのため、応力変形を受けた領域では黒状態での光漏れが発生する。また、偏光板と位相差板を貼合する際に発生する応力変形や、液晶パネルの動作中、バックライト熱で偏光板が変形して発生する応力変形によっても光漏れが生じるといった問題がしばしば起きる。また、偏光板と位相差板、あるいは位相差板と液晶セルを貼り合わせる際に接着剤を用いるが、接着剤の屈折率が、偏光板、位相差板、あるいは液晶セルのガラスの屈折率と異なるため、貼合界面で外光あるいはセルを通過した光の反射が生じ、コントラストの低下など画像品質を劣化させる場合がある。
これらの問題を解決する一つの方法として、液晶セルの内側に位相差機能を有する層(位相差層)を形成することが提案されている(例えば、特許文献1)。一方、位相差層を、セルの内側であって、ガラス基板とカラーフィルタ層との間に形成すると、カラーフィルタの製造における加熱工程によって位相差層の性能が劣化するといった問題がある。また、カラーフィルタ層の上に位相差層を形成しても、その後の透明導電膜ITOのスパッタリングによる電極設置工程によって、位相差層にクラックが発生するという、新たな問題があることがわかった。この問題を解決するため、特許文献2では、少なくとも重合性液晶材料と光重合開始剤と架橋剤と溶剤とを含む感光性組成物であって、前記架橋剤が、2つ以上のアルキロール基を有する化合物からなることを特徴とする感光性組成物を利用して、液晶セル内に位相差層を形成することが提案されている。
特開2000−221506号公報 特開2006−274093号公報
本発明は、位相差フィルムの作製に有用な新規の重合性液晶組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、該重合性液晶組成物から形成された位相差層を含む位相差フィルム又は画像表示装置用基板、及び位相差層又は位相差フィルム又はそのような画像表示装置用基板を含む画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らが、特許文献2に記載の感光性組成物を用いて位相差層を形成した後にITOをスパッタリングしたところ、クラックの発生は認められなかったものの、スパッタリング前後で位相差が変化したり、スパッタリング後に位相差のムラが発生したりする場合があった。従って、これらを改善する必要があると考えられた。本発明者らが鋭意研究を行った結果、重合性液晶化合物と少なくとも1種の硬化性多分岐化合物とを含む重合性液晶組成物を用いることによって、このようなムラも回避された耐久性が良好な位相差層の作製ができることを見出した。そしてこの知見を基に本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記[1]〜[14]を提供するものである。
[1]重合性液晶化合物の少なくとも1種と、多分岐化合物および該多分岐化合物の分岐枝末端の全部又は少なくとも一部に結合した硬化性反応基からなる硬化性多分岐化合物の少なくとも1種とを含む重合性液晶組成物。
[2]前記硬化性多分岐化合物が、前記硬化性反応基を7つ以上有する請求項1に記載の重合性液晶組成物。
[3]前記多分岐化合物が、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー、及びスターバーストポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含有する[1]または[2]に記載の重合性液晶組成物。
[4]前記硬化性多分岐化合物が、ラジカル重合性基、及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも1種の重合性基を有する[1]〜[3]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
[5]前記多分岐化合物が、2つ以上の分岐鎖延長単位に結合している多価の基核を中心としてなり、その基核は、連結基を形成するための反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物であり、且つ該分岐鎖延長単位が、該反応性基(a)と化学結合して連結基を形成する反応性基(b)を1つと、反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する分岐鎖延長化合物と、該基核との化学結合によって形成された化合物である[1]〜[4]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
[6]前記重合性液晶化合物が、前記硬化性反応基と結合可能な反応性基を有する[1]〜[5]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
[7]前記重合性液晶化合物と前記硬化性多分岐化合物との合計総質量に対する前記硬化性多分岐化合物の総質量が20%以下である[1]〜[6]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物
[8][1]〜[7]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層を含むフィルム。
[9][1]〜[7]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層を含む画像表示装置用基板。
[10]支持体、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層、カラーフィルタ層をこの順に有する画像表示装置用基板。
[11]支持体、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層、透明導電膜をこの順に有する画像表示装置用基板。
[12][9]〜[11]のいずれか一項に記載の画像表示装置用基板を含む画像表示装置。
[13]液晶表示装置である[12]に記載の画像表示装置。
[14]VAモード、IPSモード、またはFFSモードの液晶表示装置である[13]に記載の画像表示装置。
本発明により、新規の重合性液晶組成物が提供される。本発明の重合性液晶組成物を用いて、耐久性が良好な位相差層の作製が可能である。本発明の重合性液晶組成物は特に、セル内に位相差層が設けられている画像表示装置における位相差層を作製するための組成物として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本明細書において、例えば、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」等の記載は、それぞれ「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」の意味を表す。
〔重合性液晶組成物〕
本発明の重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物と少なくとも1種の硬化性多分岐化合物とを含有することを特徴とする。硬化性多分岐化合物は、多分岐化合物を核としその分岐枝末端に硬化性反応基を結合することにより得られる。
硬化性反応基は光硬化性及び/又は熱硬化性反応基であればよい
〔硬化性多分岐化合物〕
[核となる多分岐化合物]
本発明の重合性液晶組成物に用いられる硬化性多分岐化合物は、多分岐化合物を核(コア)とし、この核の分岐枝末端の全部又は少なくとも一部に硬化性反応基を結合させた、高度に『枝分れした(樹枝状)』巨大分子である。例示すれば、下記のような模式図(1)又は模式図(2)で示される化合物である。
Figure 2010138283
模式図(1)に示したように、硬化性多分岐化合物は、中心部より三次元放射状に分枝部が広がり、更にその末端から分枝を有する部位を含む化合物である。また、硬化性多分岐化合物は、模式図(2)に示すような、中心部より全ての方向に均一に分枝していない構造であってもよく、分枝部が放射状に広がっている構造を有する化合物であればよい。
硬化性多分岐化合物の核となる多分岐化合物は、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー及びスターバーストポリマーからなる群から選択される少なくとも1種以上によって構成されることが好ましい。
また、核となる多分岐化合物は、多価の基核を中心として2つ以上の規則性樹枝状分岐である分岐鎖延長単位に結合している化合物であればよい。その多価の基核は、連結基を形成する反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物であり、この基核となる化合物の該反応性基(a)と化学結合して連結基を形成する反応性基(b)を1つと、反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物(分岐鎖延長化合物)との化学反応を繰り返すことによって延長された構造を有する高分岐化合物であることが好ましい。
多分岐化合物として具体的には、多分岐ポリ尿素、多分岐ポリウレタン、多分岐ポリアミドアミン、多分岐ポリアミド、多分岐ポリエステル、多分岐ポリカーボネート、多分岐ポリカルボシラン、多分岐ポリカルボシロキサン、多分岐ポリカルボシラゼン、多分岐ポリエーテル、多分岐ポリ(エーテルケトン)、多分岐ポリ(プロピレンイミン)、多分岐ポリアルキルアミン、これらのコポリマー等が挙げられる。
このような多分岐化合物としては、例えば、岡田鉦彦編集、「デンドリマーの科学と機能」pp29〜31、((株)アイピーシ、2000年刊)、同書、第2章、石津浩二編集、「分岐ポリマーのナノテクノロジー」第6章、((株)アイピーシ、2000年刊)、COMPREHENSIVE SUPERMOLECULAR、10、Chapter26(PeramonPress、NewYork、1995年刊)等に記載の化合物を挙げることができる。
好ましくは、多分岐ポリアミドアミン、多分岐ポリアミド、多分岐ポリエステル、多分岐ポリカルボシラン、多分岐ポリカルボシロキサン、多分岐ポリエーテル、多分岐ポリ(エーテルケトン)、多分岐ポリアルキルアミンが挙げられる。
核(コア)となる多分岐化合物の多価の基核は、有機残基、窒素原子、ケイ素原子又はリン原子を核とする多官能性化合物であれば、特に限定はない。有機残基としては、炭素原子、芳香族炭化水素環(ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フェナントレン環、トリフェニレン環等)、酸素、窒素、硫黄から選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含有する単環式もしくは多環式の環構造を有する複素環(例えば、ピラジン環、ヒドロピラジン環、ピペラジン環、トリアジン環、ヒドロトリアジン環、フェナジン環、キサンテン環、チオキサンテン環等)、カリックスアレン構造、アザクリプタント構造、クラウンエーテル構造、ポルフィリン構造等が挙げられる。これらもまた特に限定されるものではない。
多分岐化合物は、重縮合サイクルによって調製された分子であることが好ましい。各サイクルは、基核の反応性官能基の全てと、分岐鎖延長化合物の1当量とを反応させることを含む。サイクルの数(n)により「第n世代」の多分岐分子と称される。本発明では、第1世代〜第6世代のものが好ましい。特に好ましくは第2世代〜第4世代のものである。
多分岐化合物において、分岐鎖延長単位中に環状構造を含有することが好ましい。更には環状構造(環構造ともいう。)とアルキレン鎖構造とを含有することが特に好ましい。
構造は、脂環式環構造、芳香環構造、複素環構造から選ばれるものである。脂環式環構造としては、単環式、多環式、架橋環式の炭素数5〜22脂肪族環状炭化水素が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等が挙げられる。
芳香環構造としては、アリール環(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)が挙げられる。アリール環は炭素数6〜18のアリール環であることが好ましい。
複素環構造としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子の何れかを少なくとも1個含有する単環式もしくは多環式の環構造(例えば、フラン、テトラヒドロフラン、ピラン、ピロール、クロマン、フェノキサチン、インダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、インド―ル、イソインド―ル、キノリン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオフェン、ベンゾチオフェン)が挙げられる。
分岐鎖延長単位が含有するアルキレン鎖は、炭素数1〜22のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜12のアルキレン基である。また、上記の環状構造とアルキレン鎖は直接結合していてもよいし、他の2価の連結基を介して結合していてもよい。2価の連結基としては、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−NHCOO−、−NHCONH−、−SO2−、−CO−、−CON(Q1)−、−SO2N(Q1)−等が挙げられる。(ここで、Q1は水素原子又は炭素数1〜6の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、等)を表す。
多分岐化合物の、分岐鎖延長化合物との反応により構成される分岐鎖延長単位は、ポリエステル構造、ポリアミド構造、ポリアミンアミド構造から選ばれる態様であることが好ましい。これらの分岐鎖延長単位を含んでなる硬化性多分岐ポリマーは、形成される硬化膜の膜強度が一層向上するので好ましい。更には、これらの多分岐化合物は、逐次重合反応により容易に合成できることから、安価な材料として供給されることから好ましい。
多分岐化合物の分岐枝は、上記のように分岐延長化合物と反応性を有する反応性基(a)が末端構造となる。分岐枝末端の反応性基(a)としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また、本発明の核となる多分岐化合物は、分岐枝の末端の反応性基(a)の基数が7〜128個を有するものが好ましく、更には7〜64個を有するものが好ましい。
質量平均分子量は、一般に約1,000〜約50,000であり、好ましくは約1500〜約20,000を有するものが挙げられる。この範囲において、硬化反応が充分に進行し且つ得られた硬化膜の膜強度が保持できる。
多分岐化合物の平均の枝分れ度(DB)は、1分子当たりの分枝基の数平均率、すなわち「末端基、分枝基及び線状基の総数」に対する「末端基+分枝基」の割合として文献に定義されている。理想的なデンドロン(dendron)及びデンドリマーについては、枝分れ度は1である。理想的な線状ポリマーについては、枝分れ度は0に近い。枝分れ度は、ハウカー(Hawker)C.J.,;リー(Lee),R.;フレチェット(Frechet),J.M.J.,"J.Am. Chem. Soc.",(1991年)113巻4583頁において定義されているように、数学的に以下の数式(1)のように表される。
Figure 2010138283
(ここで、Ntは末端基の数を表し、Nbは分枝基の数を表し、NIは線状基の数を表す)
本発明で使用される多分岐化合物の分子の枝分れ度(DB)は、デンドリマー(理想的な場合、1の枝分れ度を有する)から0.25の範囲である。より典型的には0.25〜0.80の枝分れ度(DB)を有するような多分岐化合物は容易に製造することができ、デンドリマーと比べて比較的安価である。要するに、多分岐分子が放射状に拡がった形態を形成していることが好ましい。更に好ましい枝分れ度(DB)は、0.3〜0.8のものである。
[硬化性多分岐化合物]
本発明の重合性液晶組成物に用いられる硬化性多分岐化合物は、上記の多分岐化合物の分岐枝末端の少なくとも一部に結合する硬化性反応基を含むことを特徴とする。硬化性反応基は、光及び/又は熱により架橋反応する重合性基であればよい。
硬化性反応基としては、例えば活性水素原子を有する基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、ラジカル重合可能な不飽和2重結合を有する基、カチオン重合可能な基、酸無水物含有基、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)、イソシアナート基(保護されており、加熱によりイソシアナート基を発生するブロックイソシアナート基でもよい)等が挙げられる。特に、ラジカル重合性基、及びカチオン重合性基から選ばれることが好ましい。
核となる多分岐化合物(以下、単に「コア分子」と称することもある)の全分岐枝数中の50%以上の分岐枝が、硬化性反応基を含有することが好ましい。これにより膜の十分な強度が発現される。ただし、硬化性反応基比率が高くなり過ぎると、重合性液晶組成物中の混合比率にもよるが、液晶化合物との相溶性が低下して位相差層を形成した際の透明性や表面形状に悪影響を与えてしまう場合がある。全分岐枝中の硬化性反応基の比率は、より好ましくは60%〜90%である。
具体的には、1分子中に硬化性反応基は7〜115個程度あればよく、好ましくは7〜58個程度あればよい。
また、硬化性多分岐化合物分子中の硬化性反応基は同一でも異なってもよい。例えば、1つの分子が、ラジカル重合性基の少なくとも一種とカチオン重合性基の少なくとも1種の重合性基を含有してもよい。
(ラジカル重合性基)
ラジカル重合性基としては、下記の一般式(1)で示される基が挙げられる。
Figure 2010138283
式(1)中、V11は−COO−、−OCO−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、−CONHCOO−、−CONHCO−、−SO2−、−CO−、−CON(Q11)−、−SO2N(Q11)−又はフェニレン基(以下フェニレン基をPhで表すこともある。ただしPhは1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン基を含む)を表す。ここで、Q11は、水素原子又は炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、フロロベンジル基、メチルベンジル基、シクロヘキシルメチル基、2−エトキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を表す。V11は好ましくは、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH2OCO−、−CH2COO−、−O−、又はフェニレン基であればよい。a11及びa12は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)又は−CH2COOR11基(R11はアルキル基を表す。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等)を表す。
これらの重合性基は、コア分子の分岐枝の末端の反応性基(a)と化学結合反応した有機残基に直接結合してもよいし、連結基を介して結合してもよい。ここで連結基とは、総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子又はケイ素原子に結合する水素原子を除く)を表す。連結基としては炭素原子−炭素原子結合(一重結合又は二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。例えば、原子団としては下記のものが挙げられる。好ましくは直接結合又は総原子数1〜12の連結基である。
Figure 2010138283
ここで、z11、z12は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)等を示す。z13、z14は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、トリル基等)などを示す。z15は、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基(例えば、上記のz13と同様のもの)を表す。
(カチオン重合性基)
カチオン重合性基は、活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下、活性エネルギー線を照射したときに重合反応及び/又は架橋反応を生ずる重合性基を含有する官能基が挙げられる。具体的には、エポキシ基、環状エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル化合物、ビニルオキソ基等が挙げられる。
これらの光カチオン重合性基は、上記したと同様に、コア分子の分岐枝に直接結合しても連結基を介して結合しても何れでもよい。
硬化性多分岐化合物は、全分岐枝中の一部に非重合性の炭化水素基が結合した構造、すなわち、他の非重合性の結合基で化学修飾された構造であってもよい。このような末端結合基としては、−OR01、−OCOR01、−COOR01、−CONHR01、−NHCOR01、−NHSO201、−N(R01)(R02)、−OOCNHR01、−NHCONHR01等が挙げられる。
ここで、R01、R02は炭素数1〜32の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表す。脂肪族基としては、炭素数1〜32の直鎖状又は分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜32の直鎖状又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状又は分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等);炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
これらの中で、炭素数1〜18の直鎖状、炭素原子数3〜18の分岐状、及び炭素原子数5〜16の環状の脂肪族基がより好ましい。
上記の脂肪族基は置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。非金属原子団の具体的な例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、−OH基、−OR011、−SR011、−COR011、−COOR011、−OCOR011、−SO2011、−NHCONHR011、−N(R012)COR011、−N(R012)SO2011、−N(R013)(R014)、−CON(R013)(R014)、−SO2N(R013)(R014)、−P(=O)(R015)(R016)、−OP(=O)(R015)(R016)、−Si(R017)(R018)(R019)、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜18のアリール基(アリール環としては、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)、酸素原子、硫黄原子、窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式又は多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
これらのアルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の脂肪族基に導入し得る基として例示したものと同様のものが挙げられる。
ここで、前記R011は、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜18のアリール基、又は複素環基を表す。R011における脂肪族基は前記R01で表される脂肪族基と同義である。R011におけるアリール基としては、前記R01で表される、脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記R01において、脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。R012は、水素原子又はR011基と同様のものを表す。
前記R013及びR014は、それぞれ独立に、水素原子、又はR011と同様のものを表し、R013とR014とは互いに結合して、N原子を含有する5員又は6員の環を形成してもよい。
前記R015及びR016は、それぞれ独立に、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜14のアリール基、又は−OR011を表す。R015及びR016における脂肪族基は前記R01で表される脂肪族基と同義である。R015及びR016におけるアリール基としては、前記R01において、脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記R01において脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記R017、R018及びR019は、それぞれ独立に、炭素数1〜22の炭化水素基又は−OR020を表すが、これらの置換基の内少なくとも1つは炭化水素基を表す。炭化水素基は前記R01で示される脂肪族基及びアリール基と同様のものを表し、−OR020は前記−OR011と同様の内容を表す。
前記の極性基におけるR01、R02のアリール基としては、前記R01において脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と、同様のものが挙げられる。また、かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、前記R01において脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記の極性基においてR01、R02で表される複素環基としては、前記R01において脂肪族基に導入し得る置換基として例示した複素環基と、同様のものが挙げられる。また、かかる複素環基は更に置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、前記R01で表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
末端結合基、[−N(R01)(R02)]におけるR02は、水素原子又は上記でR01として例示した基と同一の基を表す。
硬化性多分岐化合物は、従来公知の段階的合成法(Divergent法)、ABx型化合物の重縮合反応等の合成方法で、核となる多分岐化合物を合成し、これの分岐枝末端の極性基を、従来公知の合成方法に従って特定の置換基で修飾することにより得ることができる。
核となる多分岐化合物としては、D.A.Tomalia、etal.,"Angew. Chem. Int. Ed. Engl.",29巻138頁(1990年);Roovers,J.,"Advances in Polymer Science",143巻1頁(Springer,New York刊)(1999年);J.C.Salamone,Ed.,"Polymeric Materials Encyclopedia,"5巻3049頁(CRC Press,New York刊(1996年);柿本雅明、「高分子」、47巻804頁(1998年)、及び前記の成書記載の引用文献等に記載の内容が挙げられる。
核となる多分岐化合物の具体例として、例えばポリアミノ系多分岐化合物としては、例えばブチレンジアミンとアクリロニトリルを反応させ、末端のニトリル基をアミンに還元する反応を1ステップとし、この反応を繰り返すことにより得られるプロピレンイミン系多分岐化合物(WO093/14147号公報、US5,530,092号明細書、特公平7−330631号公報);アミンを求核成分にし、パラジウム触媒を用いた開環重合反応によるアミン系多分岐化合物{M.Suzuki, et al.,"Macromolecules",31巻1716頁(1998年)};アンモニアやエチレンジアミンにメチルアクリレートをマイケル付加し、更にエステルアミド交換反応により末端に2級アミノ基を導入する反応を1ステップとし、必要に応じて、繰り返し反応させることにより得られるアミドアミン系多分岐化合物(WO084/02705号公報、特公平6−70132号公報);ポリアミド系多分岐化合物{S.C.E.Backson, et al.,"Macromol. Symp.",77巻1頁(1994年)、特開2000−86758号公報、特開2000−256459号公報等};ポリフェニレンエステル系多分岐化合物{K.L.Wooley, et al.,"Polymer Journal",26巻187頁(1994年)};ポリエーテルケトン系多分岐化合物{C.J.Hawker,"Macromolecules",29巻4370頁(1996年)};ポリウレタン又はポリウレア系多分岐化合物{R.Spindler,"Macromolecules",26巻4809頁(1993年)、A.Kumar,"Chem. Commun.",1629頁(1998年)等};ポリエーテル系多分岐化合物{V.Percec et al."Macromolecules",27巻4441頁(1994年)、C.J.Hawker, et al."J.Am. Chem. Soc.",112巻7638頁(1990年)、特開2001−206886号公報、特開2002−37823号公報等};ヒドロキシル基で終結するポリエステル系多分岐化合物(US5,418,301号明細書、WO096/12754号公報、特表2003−522266号公報等);カルボキシル基で終結するポリエステル系多分岐化合物(S.R.Turner, et al."Macromolecules",27巻1611頁(1994年)、特開平11−60540号公報等);エポキシ基を含む基で終結するポリエステル系多分岐化合物(US5,663,247号明細書、WO096/13558号公報等)などを例示できる。本発明はこれらに限定されるものではない。
核となる多分岐化合物として、例えば、脂肪族ポリエステル系多分岐化合物類の"BOLTORN"(商品名、Perstorp社製)、ポリプロピルアミノ系多分岐化合物類(DSM社製)、ポリ(アミドアミン)多分岐化合物類の"STARBURST"(PAMAN社製)、"Dendrimer"(商品名、Aldrich社製)等の市販されているものを用いることができる。
硬化性多分岐化合物として硬化性反応基を有する化合物は、コアとなる多分岐化合物の分岐枝末端の極性基−すなわち前記のように、多分岐化合物の中心の基核から分岐鎖延長単位が、反応性基(b)の残基を基核方向にし、複数の反応性基(a)の残基を外側にして、何世代かにわたって化学結合することにより延びてきた末端の未反応の反応性基(a)−(−OH、−NH2、−COOH、エポキシ基等)と反応して共有結合する反応性基と、硬化性反応基を有する化合物との高分子反応により容易に合成することができる。これらの反応の組み合わせは従来公知のものが挙げられ、特に限定されない。具体的には、例えば、下記表1に記載のような反応性基の組み合わせで、特定の極性基に修飾変化を加えることができる。
Figure 2010138283
硬化性多分岐化合物は、例えば、日本化学会編「新実験化学講座14、有機化合物の合成と反応〔II〕、〔III〕」、丸善(株)、(1977年刊)等に詳細に記載された方法を用いて合成することができる。
また、非重合性の末端結合基を分岐枝の末端に導入する方法も同様にして行うことができる。
〔重合性液晶化合物〕
一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできるが、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を用いるのが好ましい。2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、又は棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
作製する位相差層に耐久性を付与させるために、重合性基を有する棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を用いることが好ましく、少なくとも1つは1液晶分子中の重合性基が2以上あることがより好ましい。液晶化合物は二種類以上の混合物でもよく、その場合少なくとも1つが2以上の重合性基を有していることが好ましい。前記位相差層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましい。
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。上記高分子液晶化合物は、低分子の重合性基を有する棒状液晶化合物が重合した高分子化合物である。特に好ましく用いられる上記低分子の重合性基を有する棒状液晶化合物としては、下記一般式(2)で表される棒状液晶化合物である。
一般式(2):Q1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に、重合性基であり、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサ基を表す。Mはメソゲン基を表す。
以下に、上記一般式(2)で表される重合性基を有する棒状液晶化合物についてさらに詳細に説明する。式中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基を示す。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。換言すれば、重合性基は付加重合反応または縮合重合反応が可能な重合性基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2010138283
1、L2、L3およびL4で表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、およびNR−CO−NR−からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。前記式(2)中、Q1−L1およびQ2−L2−は、CH2=CH−CO−O−、CH2=C(CH3)−CO−O−およびCH2=C(Cl)−CO−O−CO−O−が好ましく、CH2=CH−CO−O−が最も好ましい。
1およびA2は、炭素原子数2〜20を有するスペーサ基を表す。炭素原子数2〜12のアルキレン基、アルケニレン基、およびアルキニレン基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。スペーサ基は鎖状であることが好ましく、隣接していない酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい。また、前記スペーサ基は、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基が挙げられる。特に下記一般式(3)で表される基が好ましい。
一般式(3):−(−W1−L5n−W2
式中、W1およびW2は各々独立して、二価の環状アルキレン基もしくは環状アルケニレン基、二価のアリール基または二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合または連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(2)中、L1〜L4で表される基の具体例、−CH2−O−、および−O−CH2−が挙げられる。nは1、2または3を表す。
1およびW2としては、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体およびシス体の構造異性体があるが、どちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。トランス体であることがより好ましい。W1およびW2は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基などが挙げられる。
前記一般式(3)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
Figure 2010138283
以下に、前記一般式(2)で表される化合物の例を示すが、これらに限定されるものではない。なお、一般式(2)で表される化合物は、特表平11−513019号公報に記載の方法で合成することができる。
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
液晶化合物は円盤状化合物であってもよい。円盤状化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記円盤状化合物は、一般的にこれらを分子中心の円盤状の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等の基(L)が放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的に円盤状液晶化合物とよばれるものが含まれる。ただし、このような分子の集合体が一様に配向した場合は負の一軸性を示すが、この記載に限定されるものではない。また、本発明において、円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物が前記化合物である必要はなく、例えば、前記低分子円盤状液晶化合物が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。
本発明では、下記一般式(4)で表わされる円盤状液晶化合物を用いることが好ましい。
一般式(4): D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記式(4)中、円盤状コア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)が挙げられ、同公報に記載される円盤状コア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)に関する内容をここに好ましく適用することができる。
上記円盤状化合物の好ましい例を下記に示す。
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
Figure 2010138283
重合性液晶化合物の少なくとも1種と上記の硬化性多分岐化合物の少なくとも1種とを含有する本発明の重合性液晶組成物(例えば塗布液)を用いて位相差層を形成することができる。例えば、重合性液晶組成物を後述する支持体又は配向層の表面に塗布し、所望の液晶相を示す配向状態とした後、配向状態を熱又は電離放射線の照射により、固定して位相差層を形成することができる。
液晶化合物として、重合性基を有する円盤状液晶化合物を用いる場合、水平配向、垂直配向、傾斜配向、及びねじれ配向のいずれの配向状態で固定されていてもよい。水平配向とは円盤状液晶化合物のコアの円盤面と支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。
本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差層は2層以上の層からなっていてもよい。重合性液晶化合物と少なくとも1種の硬化性多分岐化合物とを含有する重合性液晶組成物からなる層を2層以上積層する場合、重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の組み合わせについては特に限定されず、全て重合性円盤状液晶化合物からなる層の積層体、全て重合性棒状液晶化合物からなる層の積層体、重合性円盤状液晶化合物からなる層と重合性棒状液晶化合物からなる層の積層体であってもよい。また、各層の配向状態の組み合わせも特に限定されず、同じ配向状態の位相差層を積層してもよいし、異なる配向状態の層を積層してもよい。
位相差層は、重合性液晶化合物の少なくとも1種と硬化性多分岐化合物の少なくとも1種、及び下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、後述する所定の配向層の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン)、エーテル(例、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセロソルブ)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
本発明の重合性液晶組成物における、重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物と硬化性多分岐化合物との混合比率は、重合性液晶化合物と硬化性多分岐化合物との合計質量に対し、硬化性多分岐化合物の質量が20%以下となる混合比率が好ましい。硬化性多分岐化合物混合比率が高い程、位相差層としたときの耐久性は向上していくが、液晶化合物との相溶性が低下して透明性や表面形状に悪影響が出てしまう。重合性液晶化合物と硬化性多分岐化合物との合計質量に対する硬化性多分岐化合物の質量は、好ましくは2〜15%、より好ましくは5〜10%である。
〔重合性液晶性組成物の配向状態の固定化〕
配向させた重合性液晶組成物は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、重合性液晶化合物の重合性基と硬化性多分岐化合物の硬化性反応基との重合反応(硬化)により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合のいずれでも構わない。ラジカル光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。カチオン光重合開始剤の例には、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系等を例示する事ができる。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェートなどが好ましく用いられる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。重合性液晶組成物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、25〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は10〜1000mW/cm2であることが好ましく、20〜500mW/cm2であることがより好ましく、40〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、窒素雰囲気下あるいは加熱条件下で光照射を実施してもよい。
〔偏光照射による光配向〕
前記位相差層は、偏光照射による光配向で面内のレターデーションが発現した層であってもよい。この偏光照射は、上記配向固定化における光重合プロセスと同時に行ってもよいし、先に偏光照射を行ってから非偏光照射でさらに固定化を行ってもよいし、非偏光照射で先に固定化してから偏光照射によって光配向を行ってもよい。大きな面内レターデーションを得るためには、偏光照射は重合性液晶組成物塗布、配向後に最初に行うことが好ましい。偏光照射は、酸素濃度0.5%以下の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は20〜1000mW/cm2であることが好ましく、50〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。偏光照射によって硬化する重合性液晶化合物の種類については特に制限はないが、反応性基としてエチレン不飽和基を有する液晶性化合物が好ましい。照射波長としては300〜450nmにピークを有することが好ましく、350〜400nmにピークを有することがさらに好ましい。
偏光照射による光配向によって発生した面内のレターデーションを示す位相差層は、特にVAモードの液晶表示装置の光学補償に適している。
〔偏光照射後の紫外線照射による後硬化〕
前記位相差層は、最初の偏光照射(光配向のための照射)の後に、偏光もしくは非偏光紫外線をさらに照射することで反応性基の反応率を高め(後硬化)、耐久性等を改良すると共に、大きな搬送速度で生産できるようになる。後硬化は偏光でも非偏光でも構わないが、偏光であることが好ましい。また、2回以上の後硬化をすることが好ましく、偏光のみでも、非偏光のみでも、偏光と非偏光を組み合わせてもよいが、組み合わせる場合は偏光より先に非偏光を照射することが好ましい。紫外線照射は、不活性ガス置換してもしなくてもよいが、酸素濃度0.5%以下の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は20〜1000mW/cm2であることが好ましく、50〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。照射波長としては偏光照射の場合は300〜450nmにピークを有することが好ましく、350〜400nmにピークを有することがさらに好ましい。非偏光照射の場合は200〜450nmにピークを有することが好ましく、250〜400nmにピークを有することがさらに好ましい。
〔配向制御剤(水平配向剤)〕
重合性液晶化合物と硬化性多分岐化合物とを含む重合性液晶組成物の位相差層形成用塗布液中に、下記一般式(5)〜(7)で表される化合物および一般式(8)のモノマーを用いた含フッ素ホモポリマーまたはコポリマーの少なくとも一種を含有させることで、液晶化合物の分子を実質的に水平配向させることができる。尚、本明細書において「水平配向」とは、棒状液晶化合物の場合、分子長軸と透明支持体の水平面が平行であることをいい、円盤状液晶化合物の場合、円盤状液晶化合物のコアの円盤面と透明支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
以下、下記一般式(5)〜(8)について、順に説明する。
Figure 2010138283
式中、R1、R2およびR3は各々独立して、水素原子又は置換基を表し、X1、X2およびX3は単結合又は二価の連結基を表す。R1〜R3で各々表される置換基としては、好ましくは置換もしくは無置換の、アルキル基(中でも、無置換のアルキル基またはフッ素置換アルキル基がより好ましい)、アリール基(中でもフッ素置換アルキル基を有するアリール基が好ましい)、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子である。X1、X2およびX3で各々表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−CO−、−NRa−、−O−、−S−およびSO2−からなる群より選ばれる二価の連結基又は該群より選ばれる基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがより好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。二価の芳香族基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
Figure 2010138283
式中、Rは置換基を表し、mは0〜5の整数を表す。mが2以上の整数を表す場合、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。Rとして好ましい置換基は、R1、R2、およびR3で表される置換基の好ましい範囲として挙げたものと同じである。mは、好ましくは1〜3の整数を表し、特に好ましくは2又は3である。
Figure 2010138283
式中、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。R4、R5、R6、R7、R8およびR9でそれぞれ表される置換基は、好ましくは一般式(5)におけるR1、R2およびR3で表される置換基の好ましいものとして挙げたものである。本発明に用いられる水平配向剤については、特開2005−99248号公報の段落番号[0092]〜[0096]に記載の化合物を用いることができ、それら化合物の合成法も該明細書に記載されている。
Figure 2010138283
式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子を表し、Zは水素原子またはフッ素原子を表し、mは1以上6以下の整数、nは1以上12以下の整数を表す。一般式(8)を含む含フッ素ポリマー以外にも、塗布におけるムラ改良ポリマーとして特開2005−206638号公報および特開2006−91205号公報に記載の化合物を水平配向剤として用いることができ、それら化合物の合成法も該明細書に記載されている。
水平配向剤の添加量としては、液晶性化合物の質量の0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。なお、前記一般式(5)〜(8)にて表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
〔配向層〕
上記した様に、位相差層の形成には、配向層を利用してもよい。配向層は、一般に透明仮支持体上又は該透明仮支持体に塗設された下塗層上に設けられる。配向層は、その上に設けられる液晶化合物の配向方向を規定するように機能する。配向層は、位相差層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でもよい。配向層の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、無機化合物の斜方蒸着層、およびマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。
配向層用の有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート等のポリマーおよびシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
配向層の形成には、ポリマーを使用するのが好ましい。利用可能なポリマーの種類は、液晶化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶化合物を水平に配向させるためには配向層の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは光学補償シートについて種々の文献に記載がある。例えば、ポリビニルアルコールもしくは変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸もしくはポリアクリル酸エステルとの共重合体、ポリビニルピロリドン、セルロースもしくは変性セルロース等が好ましく用いられる。配向層用素材には液晶化合物の反応性基と反応できる官能基を有してもよい。反応性基は、側鎖に反応性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶化合物と化学結合を形成する配向層を用いることがより好ましく、かかる配向層としては特開平9−152509号公報に記載されており、酸クロライドやカレンズMOI(昭和電工(株)製)を用いて側鎖にアクリル基を導入した変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。配向層の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。配向層は酸素遮断膜としての機能を有していてもよい。
また、液晶表示装置の配向層として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向層として好ましい。これはポリアミック酸(例えば、日立化成工業(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を支持体面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
また、前記ラビング処理は、液晶表示装置の液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向層の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
また、無機斜方蒸着膜の蒸着物質としては、SiO2を代表とし、TiO2、ZnO2等の金属酸化物、あるいやMgF2等のフッ化物、さらにAu、Al等の金属が挙げられる。尚、金属酸化物は、高誘電率のものであれば斜方蒸着物質として用いることができ、上記に限定されるものではない。無機斜方蒸着膜は、蒸着装置を用いて形成することができる。フィルム(支持体)を固定して蒸着するか、あるいは長尺フィルムを移動させて連続的に蒸着することにより無機斜方蒸着膜を形成することができる。
位相差層、配向層の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。
〔支持体〕
本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差層を含む画像表示装置用基板又は本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差フィルムは支持体を有していてもよい。支持体は、画像表示装置にそのまま用いられるフィルム又は画像表示装置用基板の場合は透明であることが好ましい。支持体は、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板でも、ポリマーからなる透明基板でもよい。画像表示装置用基板は、その作製工程に、カラーフィルタや配向膜のベークのために180℃以上の高温プロセスを含むため、支持体も耐熱性を有することが好ましい。そのような耐熱性を有する支持体としては、ガラス板もしくはポリイミド、ポリエーテルスルホン、耐熱性ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、特に価格、透明性、耐熱性の観点からガラス板が好ましい。また、支持体は、予めカップリング処理を施しておいてもよい。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報に記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、支持体の膜厚としては、100〜1200μmが一般的に好ましく、300〜1000μmが特に好ましい。
〔その他の層〕
本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差層を含む画像表示装置用基板は、その他の層、例えばカラーフィルタ層、透明導電膜(透明電極膜)などを含んでいてもよい。カラーフィルタ層及び透明導電膜はそれぞれ、公知の方法で形成することができる。
カラーフィルタ層は、例えば、FUJIFILM RESEARCH & DEVELOPMENT No.44(1999)の25頁に記載のトランサーシステム(富士写真フイルム(株)製)を用い、表面処理された層の、表面処理した表面に直接、ブラックマトリクスおよびR、G、Bのカラーフィルタを形成することにより形成することができる。
また、カラーフィルタ層は、感光性樹脂層を露光及び現像することにより作製してもよい。
透明導電膜は、通常のスパッタ法やイオン・プレーティング法、真空蒸着法等により成膜することができる。その電気抵抗値は好ましくは500Ω/□以下、好ましくは50Ω/□ 以下である。
本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差層は耐熱性が高く、例えば、該位相差層の上に、加熱工程を含むカラーフィルタの形成や、ITOのスパッタリングによる透明導電膜の形成を行った場合でも、位相差層の性能が劣化しにくい。
〔液晶表示装置(液晶モード)〕
本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差層が二軸性を示すと、液晶セル、特にVAモードの液晶セルを正確に補償できるので好ましい。液晶化合物として、重合性棒状液晶化合物を用いる場合、二軸性を発現させるためにはコレステリック配向もしくは傾斜角は厚み方向に徐々に変化しながらねじれたハイブリッドコレステリック配向を、偏光照射によって歪ませることが必要である。偏光照射によって配向を歪ませる方法としては、二色性液晶性重合開始剤を用いる方法(EP1389199 A1)や分子内にシンナモイル基等の光配向性官能基を有する棒状液晶化合物を用いる方法(特開2002−6138号公報)が挙げられる。本発明においては、いずれも利用できる。
前記位相差層が正のa−plateの場合、VAモード、または半透過型の液晶セルを正確に光学補償できるので好ましい。
前記位相差層が正のc−plateの場合、IPSモード、またはFESモードの液晶セルを正確に光学補償できるので好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
〔硬化性多分岐化合物〕
(合成例11:硬化性多分岐化合物(RHB―11))
基核となる化合物として1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸0.1モルをフラスコに仕込み、攪拌下に窒素置換しながら温度120℃に加温した。これに、分岐鎖延長化合物としての5−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン−1,3−ジカルボン酸0.9モルと、メタンスルホン酸1.2ミリモルを投入し、発生する水を除去しながら温度140℃で2時間反応させた。更に、減圧度2.0kPaで減圧しながら30分間反応させ多分岐化合物(HB−1)を得た。次に、この反応生成物に、2−ヒドロキシエチルアクリレート1.2モル及びt−ブチルヒドロキノン1.0質量部を加えて3時間反応した。反応物を冷却し、クロロホルムに溶解してアルカリ水で洗浄、1%塩酸水溶液で洗浄した後十分に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。クロロホルムを留去して化合物を得た。得られた硬化性多分岐化合物(RHB−11)は、以下の構造を有していた。
Figure 2010138283
(合成例12〜14:硬化性多分岐化合物(RHB―12〜14))
合成例11において、2−ヒドロキシエチルアクリレート及びt−ブチルヒドロキノンの使用量を変更し、連鎖停止化合物(末端基形成用化合物)としてメタノールを加える以外には合成例11と同様にして、硬化性多分岐化合物12〜14を合成した。
(合成例21:硬化性多分岐化合物(RHB―21))
多分岐化合物(HB−2)としてのポリエステル型デンドリマー"BOLTORN(RTM)2G"(商品名)(16個の表面ヒドロキシル基を含む;Perstorp社製)10質量部、テトラヒドロフラン23質量部の混合溶液に、室温下、攪拌しながら水素化ナトリウム3.3質量部を加えた。これにエピブロモヒドリン18.6質量部及びテトラヒドロフラン43.4質量部の混合溶液を1時間で滴下し、更に温度50℃で6時間攪拌した。室温に冷却し、反応混合物を水1リットルに投入し、トルエン500mlで抽出した後、十分に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。トルエンを減圧留去して化合物を得た。得られた硬化性多分岐化合物(RHB−21)は、以下の構造を有していた。
Figure 2010138283
(合成例22〜26:硬化性多分岐化合物(RHB―22〜26))
合成例21において、エピブロモヒドリンの使用量を変更し、連鎖停止化合物(末端基形成用化合物)として臭化メチルを加える以外には合成例21と同様にして、硬化性多分岐化合物22〜26を合成した。
Figure 2010138283
〔配向層付きガラス基板〕
(配向層用塗布液AL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────―
配向層用塗布液組成(wt%)
──────────────────────────────────―
ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.21
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.48
蒸留水 52.10
メタノール 43.21
──────────────────────────────────―
(配向層付きガラス基板G−1の作製)
100mm角、厚さ1.1mmの無アルカリガラス(#1737、コーニング社製)の上に、配向層用塗布液AL−1をスピンコート塗布、乾燥した。乾燥膜厚は1.6μmであった。次いで、配向層表面に対し、ラビング処理を施した。
〔位相差層用塗布液〕
(位相差層用塗布液LC−11−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、位相差層用塗布液LC−11−1として用いた。
水平配向剤(H−1)はTetrahedron Lett.誌、第43巻、6793頁(2002)に記載の方法に準じて合成した。
──────────────────────────────────―
位相差層用塗布液組成(wt%)
──────────────────────────────────―
重合性棒状液晶化合物(I−23) 16.53
硬化性多分岐化合物(RHB−11) 1.84
水平配向剤(H−1) 0.03
ラジカル光重合開始剤(Iragacure907、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1.20
増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン、東京化成(株)製) 0.40
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート 80.00
──────────────────────────────────―
Figure 2010138283
(位相差層用塗布液LC−11−2〜6の調製)
位相差用塗布液LC−11−1において、重合性棒状液晶化合物(I−23)と硬化性多分岐化合物(RHB−11)との混合質量比率を下記表3に示すように変更する以外には位相差層用塗布液LC−11−1と同様にして、位相差層用塗布液LC−11−2〜6を調製した。
(位相差層用塗布液LC−12〜14の調製)
位相差用塗布液LC−11−1において、硬化性多分岐化合物RHB−11をRHB−12〜14へ変更する以外には位相差層用塗布液LC−11−1と同様にして、位相差層用塗布液LC−12〜14を調製した。
(比較用位相差層用塗布液LC−10の調製)
位相差用塗布液LC−11−1において、硬化性多分岐化合物(RHB−11)を混合せず、重合性棒状液晶化合物(I−23)のみとして同様に調製し、比較用位相差層用塗布液LC−10を調製した。
(比較用位相差層用塗布液LC−15の調製)
位相差用塗布液LC−11−1において、硬化性多分岐化合物RHB−11を6官能化合物ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)へ変更する以外には位相差層用塗布液LC−11−1と同様にして、比較用位相差層用塗布液LC−15を調製した。
(位相差層用塗布液LC−21の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、位相差層用塗布液LC−21として用いた。
水平配向剤(H−1)はTetrahedron Lett.誌、第43巻、6793頁(2002)に記載の方法に準じて合成した。
──────────────────────────────────―
位相差層用塗布液組成(wt%)
──────────────────────────────────―
重合性棒状液晶化合物(I−23) 16.53
硬化性多分岐化合物(RHB−21) 1.84
水平配向剤(H−1) 0.03
カチオン光重合開始剤(Cyracure UVI6974、
ダウ・ケミカル(株)製) 1.20
増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン、東京化成(株)製) 0.40
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート 80.00
──────────────────────────────────―
(位相差層用塗布液LC−22〜26の調製)
位相差用塗布液LC−21において、硬化性多分岐化合物RHB−21をRHB−22〜26へ変更する以外には位相差層用塗布液LC−21と同様にして、位相差層用塗布液LC−22〜26を調製した。
(比較用位相差層用塗布液LC−20の調製)
位相差用塗布液LC−21において、硬化性多分岐化合物(RHB−21)を混合せず、重合性棒状液晶化合物(I−23)のみとして同様に調製し、比較用位相差層用塗布液LC−20を調製した。
〔実施例11−1〕
配向層付きガラス基板G−1にワイヤーバーを用いて位相差層用塗布液LC−11−1を塗布、膜面温度85℃で2分間乾燥し、液晶相状態として配向させた後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度25mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射してその配向状態を固定化した。その後、クリーンオーブンDE410(ヤマト科学(株)製)にて230℃で60分間の焼成を行なった。厚さ1.8μm、正面レターデーションRe159.7nm、ヘイズ0.5%の位相差層を形成し、位相差層付きガラス基板G−11−1を作製した。
得られた位相差層付きガラス基板G−11を、さらにクリーンオーブンにて230℃で180分間焼成し、同様に位相差層の正面レターデーションを測定したところ147.4nmであった。
〔実施例11−2〜11−6〕
実施例11−1において、位相差層用塗布液LC−11−1の代わりに位相差用塗布液LC−11−2〜11−6を用いる以外には実施例11−1と同様にして、位相差層付きガラス基板G−11−2〜11−6を作製し、性能評価、追加焼成、追加性能評価を行なった。結果を、下記表3に記載する。
〔比較例10〕
実施例11−1において、位相差層用塗布液LC−11−1の代わりに比較用位相差用塗布液LC−10を用いる以外には実施例11−1と同様にして、位相差層付きガラス基板G−10を作製し、性能評価、追加焼成、追加性能評価を行なった。結果を、下記表3に記載する。
〔性能評価方法〕
(位相差測定)
正面レターデーションRe(λ)は、KOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をガラス基板法線方向に入射させて測定した。本明細書におけるReは、特に記載がなければ545±5nmの波長で測定されたもの意味する。
(透明性(ヘイズ))
透明性としては、ヘイズメーターNDH 2000(日本電色工業(株)製)を用いてヘイズを測定した。
(表面形状)
位相差層表面の平滑性を目視観察にて判断した。
◎:目視では異常感全く無し.
○:目視では異常感なし.
△:目視で微かに凹凸が感知される.
×:一目で凹凸が認識される.
(耐久性)
クリーンオーブンにて追加で180分間焼成をかける前後での正面レターデーションの変化率(レターデーション残存率=追加焼成後レターデーション/追加焼成前レターデーション[%])を算出した。
Figure 2010138283
表3に示す結果からわかるように、位相差層に硬化性多分岐化合物を混合することにより、耐久性が大幅に向上した。混合比率が高い程、耐久性もより向上していた。
ただし、硬化性多分岐化合物の混合比が高くなるとヘイズは高くなり、表面形状は悪化する傾向にあった。
また、硬化性多分岐化合物の混合比が少ないと追加焼成後の表面形状はやや悪化の傾向があった。
〔実施例12〜14〕
実施例11−1において、位相差層用塗布液LC−11−1の代わりに位相差用塗布液LC−12〜14を用いる以外には実施例11−1と同様にして、位相差層付きガラス基板G−12〜14を作製し、性能評価、追加焼成、追加性能評価を行なった。結果を、下記表4に記載する。
〔比較例15〕
実施例11−1において、位相差層用塗布液LC−11−1の代わりに比較用位相差用塗布液LC−15を用いる以外には実施例11−1と同様にして、位相差層付きガラス基板G−15を作製し、性能評価、追加焼成、追加性能評価を行なった。結果を、下記表4に記載する。
Figure 2010138283
表4に示される結果から分かるように、多分岐化合物を核としていない6官能化合物ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)では、十分な耐久性が得られていないのに対して、硬化性多分岐化合物を加えた例では耐久性が大幅に上昇した。硬化性多分岐化合物を加えた例では、ヘイズが若干上昇し、表面形状が悪化する傾向があったが、硬化性多分岐化合物の全分岐枝中の硬化性反応基の数が少ないと、硬化性多分岐化合物混合によるヘイズ上昇と表面形状悪化とが抑えられ、透明性の良好な位相差層が得られる傾向があった。
硬化性多分岐化合物の全分岐枝中の硬化性反応基の数が多い程、耐久性もより向上していた。
〔実施例21〜26〕
実施例11−1において、位相差層用塗布液LC−11−1の代わりに位相差用塗布液LC−21〜26を用いる以外には実施例11−1と同様にして、位相差層付きガラス基板G−21〜26を作製し、性能評価、追加焼成、追加性能評価を行なった。結果を、下記表5に記載する。
〔比較例20〕
実施例11−1において、位相差層用塗布液LC−11−1の代わりに比較用位相差用塗布液LC−20を用いる以外には実施例11−1と同様にして、位相差層付きガラス基板G−20を作製し、性能評価、追加焼成、追加性能評価を行なった。結果を、下記表5に記載する。
Figure 2010138283
表5に示される結果から分かるように、硬化性多分岐化合物を加えた例ではヘイズが若干上昇し、表面形状が悪化する傾向があったが、耐久性が大幅に上昇した。硬化性多分岐化合物の全分岐枝中の硬化性反応基の数が少ないと、硬化性多分岐化合物混合によるヘイズ上昇と表面形状悪化とが抑えられ、透明性の良好な位相差層が得られたが、耐久性の向上度合いは低かった。硬化性反応基の数が全分岐枝数の半分以下の場合は、耐久性の向上度合いはかなり低かった。
硬化性多分岐化合物の全分岐枝中の硬化性反応基の数が多い程、耐久性もより向上していた。ただし、全分岐枝が硬化性反応基に置き換わっていると、ヘイズが高く、表面形状はやや悪化の傾向が観られた。
表3〜5に示されるように、重合性液晶化合物の少なくとも1種と、硬化性多分岐化合物の少なくとも1種とを含む重合性液晶組成物を調製することにより、耐久性が良好な位相差層を作製することができた。
さらに、本発明の実施例の位相差層付きガラス基板に対して、アルバック製スパッタ装置(SV9540)を用いて200℃で、圧力6.0×10-13Torr、アルゴンガス流量78.0sccm、酸素ガス流量0.9sccm、印加電力を5kWでITOスパッタリングを15分間行い、膜厚1400Å、表面抵抗30Ω/□のITO膜を、位相差層上に成膜した。得られたITO膜にクラックは発生せず、良好な面質だった。

Claims (14)

  1. 重合性液晶化合物の少なくとも1種と、多分岐化合物および該多分岐化合物の分岐枝末端の全部又は少なくとも一部に結合した硬化性反応基からなる硬化性多分岐化合物の少なくとも1種とを含む重合性液晶組成物。
  2. 前記硬化性多分岐化合物が、前記硬化性反応基を7つ以上有する請求項1に記載の重合性液晶組成物。
  3. 前記多分岐化合物が、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー、及びスターバーストポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載の重合性液晶組成物。
  4. 前記硬化性多分岐化合物が、ラジカル重合性基、及びカチオン重合性基から選ばれる少なくとも1種の重合性基を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
  5. 前記多分岐化合物が、2つ以上の分岐鎖延長単位に結合している多価の基核を中心としてなり、その基核は、連結基を形成するための反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する化合物であり、且つ該分岐鎖延長単位が、該反応性基(a)と化学結合して連結基を形成する反応性基(b)を1つと、反応性基(a)を少なくとも2つ以上有する分岐鎖延長化合物と、該基核との化学結合によって形成された化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
  6. 前記重合性液晶化合物が、前記硬化性反応基と結合可能な反応性基を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物。
  7. 前記重合性液晶化合物と前記硬化性多分岐化合物との合計総質量に対する前記硬化性多分岐化合物の総質量が20%以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層を含むフィルム。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層を含む画像表示装置用基板。
  10. 支持体、請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層、カラーフィルタ層をこの順に有する画像表示装置用基板。
  11. 支持体、請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層、透明導電膜をこの順に有する画像表示装置用基板。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項に記載の画像表示装置用基板を含む画像表示装置。
  13. 液晶表示装置である請求項12に記載の画像表示装置。
  14. VAモード、IPSモード、またはFFSモードの液晶表示装置である請求項13に記載の画像表示装置。
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