JP2010138282A - 重合性液晶組成物、位相差フィルム、画像表示装置用基板、及び液晶表示装置 - Google Patents

重合性液晶組成物、位相差フィルム、画像表示装置用基板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性が良好な位相差フィルム及び画像表示装置用基板の作製に有用な重合性液晶組成物の提供。
【解決手段】重合性液晶化合物と、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の熱重合開始剤とを含む重合性液晶組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合性液晶組成物、該重合性液晶組成物から形成される位相差層を含む位相差フィルム又は画像表示装置用基板、及びそのような画像表示装置用基板を含む画像表示装置に関する。
薄型軽量及び低消費電力という大きな利点を持つ液晶表示装置は、近年、テレビ、パーソナルコンピューター、携帯電話、及び電子手帳等の表示装置に積極的に用いられている。液晶表示装置は、駆動液晶の複屈折性を利用して光のスイッチングを行っているため、駆動液晶の複屈折性に起因して視野角依存性がある。この視野角依存性を解決するために各種の位相差板が開発されている。位相差板は、例えば、フィルムを延伸すること、及び重合性液晶組成物を配向状態に固定化すること等によって作製されるものであり、通常、液晶セルの外側に設置されている。位相差板を液晶セルの外側に貼り付けると、貼り付け先の部材(例えば偏光板)に応力がかかり、位相差板の位相差が変形し、脱偏光を引き起こす場合がある。そのため、応力変形を受けた領域では黒状態での光漏れが発生する。また、偏光板と位相差板を貼合する際に発生する応力変形や、液晶パネルの動作中、バックライト熱で偏光板が変形して発生する応力変形によっても光漏れが生じるといった問題がしばしば起きる。また、偏光板と位相差板、あるいは位相差板と液晶セルを貼り合わせる際に接着剤を用いるが、接着剤の屈折率が偏光板、位相差板、あるいは液晶セルのガラスの屈折率と異なるため、貼合界面で外光あるいはセルを通過した光の反射が生じ、コントラストの低下など画像品質を劣化させる場合がある。
これらの問題を解決する一つの方法として、液晶セルの内側に位相差機能を有する層(位相差層)を形成することが提案されている(例えば、特許文献1)。一方、位相差層を、セルの内側であって、ガラス基板とカラーフィルタ層との間に形成すると、カラーフィルタの製造における加熱工程によって位相差層の性能が劣化するといった問題がある。また、カラーフィルタ層の上に位相差層を形成しても、その後の透明導電膜ITOのスパッタリングによる電極設置工程によって、位相差層にクラックが発生するという、新たな問題があることがわかった。この問題を解決するため、特許文献2では、少なくとも重合性液晶材料と光重合開始剤と架橋剤と溶剤とを含む感光性組成物であって、前記架橋剤が、2つ以上のアルキロール基を有する化合物からなることを特徴とする感光性組成物を利用して、液晶セル内に位相差層を形成することが提案されている。
特開2000−221506号公報 特開2006−274093号公報
本発明は、位相差フィルムの作製に有用な新規の重合性液晶組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、該重合性液晶組成物をから形成された位相差層を含む位相差フィルム又は画像表示装置用基板、及び位相差フィルム又は画像表示装置用基板を含む画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らが、特許文献2に記載の感光性組成物を用いて位相差層を形成した後にカラーフィルタ層を塗設し加熱処理を行ったところ、位相差層とカラーフィルタ層との界面が粗面化され、それを起因とするヘイズが発生した。このようなヘイズがあると、液晶表示装置に組み立てた際の表示性能を大幅に低下させることがある。また、特許文献2に記載の感光性組成物を用いて位相差層を形成した後にITOをスパッタリングしたところ、クラックの発生は認められなかったものの、スパッタリング前後で位相差が変化したり、スパッタリング後に位相差のムラが発生する場合があった。従って、これらを改善する必要があると考えられた。本発明者らが鋭意研究を行った結果、重合性液晶化合物と、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の熱重合開始剤とを含む重合性液晶組成物を用いることによって、耐久性が良好な位相差層の作製ができることを見出した。そしてこの知見を基に本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記[1]〜[10]を提供するものである。
[1]重合性液晶化合物と、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の熱重合開始剤とを含むことを特徴とする重合性液晶組成物。
[2]前記熱重合開始剤の10hr半減期(溶液中)が65℃以上である[1]に記載の重合性液晶組成物。
[3]前記熱重合開始剤の10hr半減期(溶液中)が90℃以上である[1]又は[2]に記載の重合性液晶組成物。
[4][1]〜[3]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層を含むフィルム。
[5][1]〜[3]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層を含む画像表示装置用基板。
[6]支持体、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層、カラーフィルタ層をこの順に有する画像表示装置用基板。
[7]支持体、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層、透明導電膜をこの順に有する画像表示装置用基板。
[8][5]〜[7]のいずれか一項に記載の画像表示装置用基板を含む画像表示装置。
[9]液晶表示装置である[8]に記載の画像表示装置。
[10]VAモード、IPSモード、またはFFSモードの液晶表示装置である[9]に記載の画像表示装置。
本発明により、新規の重合性液晶組成物が提供される。本発明の重合性液晶組成物を用いて、耐久性が良好な位相差フィルムの作製が可能である。本発明の重合性液晶組成物は特に、セル内に位相差層が設けられている画像表示装置における位相差層を作製するための組成物として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本明細書において、例えば、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」等の記載は、それぞれ「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」の意味を表す。
〔重合性液晶組成物〕
本発明の重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物と、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の熱重合開始剤とを含有することを特徴とする。
〔重合性液晶化合物〕
一般的に、液晶化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶化合物を用いることもできるが、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を用いるのが好ましい。2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、又は棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
作製する位相差層に耐久性を付与させるために、重合性基を有する棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を用いることが好ましく、少なくとも1つは1液晶分子中の重合性基が2以上あることがより好ましい。液晶化合物は二種類以上の混合物でもよく、その場合少なくとも1つが2以上の重合性基を有していることが好ましい。前記位相差層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましい。
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。上記高分子液晶化合物は、低分子の重合性基を有する棒状液晶化合物が重合した高分子化合物である。特に好ましく用いられる上記低分子の重合性基を有する棒状液晶化合物としては、下記一般式(2)で表される棒状液晶化合物である。
一般式(1):Q1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に、重合性基であり、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2はそれぞれ独立に、炭素原子数2〜20のスペーサ基を表す。Mはメソゲン基を表す。
以下に、上記一般式(1)で表される重合性基を有する棒状液晶化合物についてさらに詳細に説明する。式中、Q1およびQ2は、それぞれ独立に、重合性基を示す。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。換言すれば、重合性基は付加重合反応または縮合重合反応が可能な重合性基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2010138282
1、L2、L3およびL4で表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、およびNR−CO−NR−からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。前記式(1)中、Q1−L1およびQ2−L2−は、CH2=CH−CO−O−、CH2=C(CH3)−CO−O−およびCH2=C(Cl)−CO−O−CO−O−が好ましく、CH2=CH−CO−O−が最も好ましい。
1およびA2は、炭素原子数2〜20を有するスペーサ基を表す。炭素原子数2〜12のアルキレン基、アルケニレン基、およびアルキニレン基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。スペーサ基は鎖状であることが好ましく、隣接していない酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい。また、前記スペーサ基は、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基が挙げられる。特に下記一般式(2)で表される基が好ましい。
一般式(2):−(−W1−L5n−W2
式中、W1およびW2は各々独立して、二価の環状アルキレン基もしくは環状アルケニレン基、二価のアリール基または二価のヘテロ環基を表し、L5は単結合または連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(1)中、L1〜L4で表される基の具体例、−CH2−O−、および−O−CH2−が挙げられる。nは1、2または3を表す。
1およびW2としては、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体およびシス体の構造異性体があるが、どちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。トランス体であることがより好ましい。W1およびW2は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基などが挙げられる。
前記一般式(1)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
Figure 2010138282
以下に、前記一般式(1)で表される化合物の例を示すが、これらに限定されるものではない。なお、一般式(1)で表される化合物は、特表平11−513019号公報に記載の方法で合成することができる。
Figure 2010138282
Figure 2010138282
Figure 2010138282
Figure 2010138282
Figure 2010138282
Figure 2010138282
Figure 2010138282
液晶化合物は円盤状化合物であってもよい。円盤状化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記円盤状化合物は、一般的にこれらを分子中心の円盤状の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等の基(L)が放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的に円盤状液晶化合物とよばれるものが含まれる。ただし、このような分子の集合体が一様に配向した場合は負の一軸性を示すが、この記載に限定されるものではない。また、本発明において、円盤状化合物から形成したとは、最終的にできた物が前記化合物である必要はなく、例えば、前記低分子円盤状液晶化合物が熱、光等で反応する基を有しており、結果的に熱、光等で反応により重合または架橋し、高分子量化し液晶性を失ったものも含まれる。
本発明では、下記一般式(3)で表わされる円盤状液晶化合物を用いることが好ましい。
一般式(3): D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記式(3)中、円盤状コア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)が挙げられ、同公報に記載される円盤状コア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)に関する内容をここに好ましく適用することができる。
上記円盤状化合物の好ましい例を下記に示す。
Figure 2010138282
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Figure 2010138282
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Figure 2010138282
Figure 2010138282
Figure 2010138282
Figure 2010138282
Figure 2010138282
重合性液晶化合物と、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の熱重合開始剤とを含む本発明の重合性液晶組成物(例えば塗布液)を用いて位相差層を形成することができる。例えば、重合性液晶組成物を後述する支持体又は配向層の表面に塗布し、所望の液晶相を示す配向状態とした後、該配向状態を電離放射線の照射及び熱により、固定して位相差層を形成することができる。
液晶化合物として、重合性基を有する円盤状液晶化合物を用いる場合、水平配向、垂直配向、傾斜配向、及びねじれ配向のいずれの配向状態で固定されていてもよい。水平配向とは円盤状液晶化合物のコアの円盤面と支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。
本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差層は2層以上の層からなっていてもよい。本発明の重合性液晶組成物からなる層を2層以上積層する場合、重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の組み合わせについては特に限定されず、全て重合性円盤状液晶化合物からなる層の積層体、全て重合性棒状液晶化合物からなる層の積層体、重合性円盤状液晶化合物からなる層と重合性棒状液晶化合物からなる層の積層体であってもよい。また、各層の配向状態の組み合わせも特に限定されず、同じ配向状態の位相差層を積層してもよいし、異なる配向状態の層を積層してもよい。
〔溶媒〕
位相差層は、重合性液晶化合物と、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の熱重合開始剤とを含む塗布液を、後述する所定の配向層の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン)、エーテル(例、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセロソルブ)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
〔重合開始剤〕
配向させた重合性液晶組成物は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、重合性液晶化合物の重合性基の重合反応(硬化)により実施すればよい。本発明の重合性液晶組成物は、いわゆるIn−Cell型液晶表示装置の液晶セル基板等の光学部材の作製に有用である。In−Cell型では、セル基板の内面に光学補償等に利用される位相差層を形成するが、セル内には位相差層以外にも、カラーフィルタ及びITO膜などの導電膜を形成する必要がある。カラーフィルタの形成には、通常、加熱処理工程が必要であるので、カラーフィルタを形成する前に位相差層を基板上に形成すると、当該加熱処理工程によって位相差層は熱に曝される。従来、この加熱処理による位相差層の光学特性の低下(例えば面内レターデーションReの絶対値の低下)が問題になっていた。また、カラーフィルタ形成後に位相差層を形成したとしても、さらにその上にITO膜を形成する場合は、スパッタリング処理に曝されるので、該膜中にクラック等が発生することが問題になっていた。本発明では、上記したように、光重合開始剤とともに熱重合開始剤を用いているので、加熱処理工程においてもその熱重合開始剤の寄与により十分な硬膜性を維持し、耐久性にも優れる位相差層を形成することができる。その結果、熱に曝されても光学特性の低下がない。さらにスパッタリング処理等の過酷な処理に曝されても膜中にクラック等が発生し難く、その結果、形成されるITO膜等の面質も良好になる。
(光重合開始剤)
本発明に用いられる光重合開始剤としては、ラジカル光重合開始剤、カチオン光重合開始剤のいずれでも構わない。ラジカル光重合開始剤の例としては、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が挙げられる。
カチオン光重合開始剤の例としては、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系等が挙げられる。これら化合物の対イオンとしては、アンチモネート、フォスフェートなどが好ましく用いられる。
光重合開始剤の使用量は、重合性液晶化合物の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜6質量%であることがさらに好ましい。重合性液晶組成物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、25〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は10〜1000mW/cm2であることが好ましく、20〜500mW/cm2であることがより好ましく、40〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。光重合反応を促進するためには、窒素置換等の方法により酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましく、3%以下がよりさらに好ましい。
(熱重合開始剤)
本発明に用いられる熱重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤、熱酸発生剤のいずれでも構わない。ラジカル熱重合開始剤の例としては、アミン化合物、オニウム塩化合物、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン化合物等が挙げられる。特にアゾ系重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)等)が好ましい。
熱酸発生剤の例としては、オニウム塩化合物、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が挙げられる。
熱重合開始剤の使用量は、重合性液晶化合物の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜6質量%であることがさらに好ましい。
位相差層を形成する場合、重合性液晶組成物が所望の液晶相を取り得る状態で配向を固定化させることが重要である。そのため、熱重合開始剤としては、重合性液晶組成物が液晶相を取り得る温度領域(通常100℃以下)で活性を示すものが望ましい。他方、位相差層形成後にカラーフィルタを形成する場合は、カラーフィルタ形成のための加熱処理工程(通常200℃以上)においても活性を維持できるものが望ましい。具体的には、熱重合開始剤としては、10hr半減期(溶液中)が65℃以上のものが好ましく、さらには10hr半減期(溶液中)90℃以上のものがより好ましい。
(光重合開始剤と熱重合開始剤との使用量比率)
光重合開始剤と熱重合開始剤との使用比率は、光重合開始剤と熱重合開始剤との合計質量に対し、熱重合開始剤の質量が10〜90%となる使用量比率が好ましく、20〜80%となる使用量比率がより好ましく、30〜70%となる使用量比率がもっとも好ましい。
〔偏光照射による光配向〕
前記位相差層は、偏光照射による光配向で面内のレターデーションが発現した層であってもよい。この偏光照射は、上記配向固定化における光重合プロセスと同時に行ってもよいし、先に偏光照射を行ってから非偏光照射でさらに固定化を行ってもよいし、非偏光照射で先に固定化してから偏光照射によって光配向を行ってもよい。大きな面内レターデーションを得るためには、偏光照射は重合性液晶組成物塗布、配向後に最初に行うことが好ましい。偏光照射は、酸素濃度0.5%以下の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は20〜1000mW/cm2であることが好ましく、50〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。偏光照射によって硬化する重合性液晶化合物の種類については特に制限はないが、反応性基としてエチレン不飽和基を有する液晶性化合物が好ましい。照射波長としては300〜450nmにピークを有することが好ましく、350〜400nmにピークを有することがさらに好ましい。
偏光照射による光配向によって発生した面内のレターデーションを示す位相差層は、特にVAモードの液晶表示装置の光学補償に適している。
〔配向制御剤(水平配向剤)〕
本発明の重合性液晶組成物(例えば位相差層形成用塗布液)の中に、下記一般式(4)〜(6)で表される化合物および一般式(7)のモノマーを用いた含フッ素ホモポリマーまたはコポリマーの少なくとも一種を含有させることで、液晶化合物の分子を実質的に水平配向させることができる。尚、本明細書において「水平配向」とは、棒状液晶化合物の場合、分子長軸と透明支持体の水平面が平行であることをいい、円盤状液晶化合物の場合、円盤状液晶化合物のコアの円盤面と透明支持体の水平面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
以下、下記一般式(4)〜(7)について、順に説明する。
Figure 2010138282
式中、R1、R2およびR3は各々独立して、水素原子又は置換基を表し、X1、X2およびX3は単結合又は二価の連結基を表す。R1〜R3で各々表される置換基としては、好ましくは置換もしくは無置換の、アルキル基(中でも、無置換のアルキル基またはフッ素置換アルキル基がより好ましい)、アリール基(中でもフッ素置換アルキル基を有するアリール基が好ましい)、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子である。X1、X2およびX3で各々表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−CO−、−NRa−、−O−、−S−およびSO2−からなる群より選ばれる二価の連結基又は該群より選ばれる基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがより好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。二価の芳香族基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
Figure 2010138282
式中、Rは置換基を表し、mは0〜5の整数を表す。mが2以上の整数を表す場合、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。Rとして好ましい置換基は、R1、R2、およびR3で表される置換基の好ましい範囲として挙げたものと同じである。mは、好ましくは1〜3の整数を表し、特に好ましくは2又は3である。
Figure 2010138282
式中、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。R4、R5、R6、R7、R8およびR9でそれぞれ表される置換基は、好ましくは一般式(4)におけるR1、R2およびR3で表される置換基の好ましいものとして挙げたものである。本発明に用いられる水平配向剤については、特開2005−99248号公報の段落番号[0092]〜[0096]に記載の化合物を用いることができ、それら化合物の合成法も該明細書に記載されている。
Figure 2010138282
式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子を表し、Zは水素原子またはフッ素原子を表し、mは1以上6以下の整数、nは1以上12以下の整数を表す。一般式(7)を含む含フッ素ポリマー以外にも、塗布におけるムラ改良ポリマーとして特開2005−206638号公報および特開2006−91205号公報に記載の化合物を水平配向剤として用いることができ、それら化合物の合成法も該明細書に記載されている。
水平配向剤の添加量としては、液晶性化合物の質量の0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。なお、前記一般式(4)〜(7)にて表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
〔配向層〕
上記した様に、位相差層の形成には、配向層を利用してもよい。配向層は、一般に透明仮支持体上又は該透明仮支持体に塗設された下塗層上に設けられる。配向層は、その上に設けられる液晶化合物の配向方向を規定するように機能する。配向層は、位相差層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でもよい。配向層の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、無機化合物の斜方蒸着層、およびマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。
配向層用の有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート等のポリマーおよびシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
配向層の形成には、ポリマーを使用するのが好ましい。利用可能なポリマーの種類は、液晶化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶化合物を水平に配向させるためには配向層の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは光学補償シートについて種々の文献に記載がある。例えば、ポリビニルアルコールもしくは変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸もしくはポリアクリル酸エステルとの共重合体、ポリビニルピロリドン、セルロースもしくは変性セルロース等が好ましく用いられる。配向層用素材には液晶化合物の反応性基と反応できる官能基を有してもよい。反応性基は、側鎖に反応性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶化合物と化学結合を形成する配向層を用いることがより好ましく、かかる配向層としては特開平9−152509号公報に記載されており、酸クロライドやカレンズMOI(昭和電工(株)製)を用いて側鎖にアクリル基を導入した変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。配向層の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。配向層は酸素遮断膜としての機能を有していてもよい。
また、液晶表示装置の配向層として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向層として好ましい。これはポリアミック酸(例えば、日立化成工業(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を支持体面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
また、前記ラビング処理は、液晶表示装置の液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向層の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さおよび太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
また、無機斜方蒸着膜の蒸着物質としては、SiO2を代表とし、TiO2、ZnO2等の金属酸化物、あるいやMgF2等のフッ化物、さらにAu、Al等の金属が挙げられる。尚、金属酸化物は、高誘電率のものであれば斜方蒸着物質として用いることができ、上記に限定されるものではない。無機斜方蒸着膜は、蒸着装置を用いて形成することができる。フィルム(支持体)を固定して蒸着するか、あるいは長尺フィルムを移動させて連続的に蒸着することにより無機斜方蒸着膜を形成することができる。
位相差層、配向層の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。
〔支持体〕
本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差層を含む画像表示装置用基板又は本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差フィルムは支持体を有していてもよい。支持体は、画像表示装置にそのまま用いられるフィルム又は画像表示装置用基板の場合は透明であることが好ましい。支持体は、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板でも、ポリマーからなる透明基板でもよい。画像表示装置用基板作製工程においてカラーフィルタや配向膜のベークのために180℃以上の高温プロセスを要するため、耐熱性を有することが好ましい。そのような耐熱性基板としては、ガラス板もしくはポリイミド、ポリエーテルスルホン、耐熱性ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、特に価格、透明性、耐熱性の観点からガラス板が好ましい。また、支持体は、予めカップリング処理を施しておいてもよい。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報に記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、支持体の膜厚としては、100〜1200μmが一般的に好ましく、300〜1000μmが特に好ましい。
〔その他の層〕
本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差層を含む画像表示装置用基板は、その他の層、例えばカラーフィルタ層、透明導電膜(透明電極膜)などを含んでいてもよい。カラーフィルタ層及び透明導電膜はそれぞれ、公知の方法で形成することができる。
カラーフィルタ層は、例えば、FUJIFILM RESEARCH & DEVELOPMENT No.44(1999)の25頁に記載のトランサーシステム(富士写真フイルム(株)製)を用い、表面処理された層の、表面処理した表面に直接、ブラックマトリクスおよびR、G、Bのカラーフィルタを形成することにより形成することができる。
また、カラーフィルタ層は、感光性樹脂層を露光及び現像することにより作製してもよい。
透明導電膜は、通常のスパッタ法やイオン・プレーティング法、真空蒸着法等により成膜することができる。その電気抵抗値は好ましくは500Ω/□以下、好ましくは50Ω/□ 以下である。
本発明の重合性液晶組成物から形成される位相差層は耐熱性が高く、例えば、該位相差層の上に、加熱工程を含むカラーフィルタの形成や、ITOのスパッタリングによる透明導電膜の形成を行った場合でも、位相差層の性能が劣化しにくい。
〔液晶表示装置(液晶モード)〕
本発明の方法において、上記のように得られる位相差層が二軸性を示すと、液晶セル、特にVAモードの液晶セルを正確に補償できるので好ましい。液晶化合物として、重合性棒状液晶化合物を用いる場合、二軸性を発現させるためにはコレステリック配向もしくは傾斜角は厚み方向に徐々に変化しながらねじれたハイブリッドコレステリック配向を、偏光照射によって歪ませることが必要である。偏光照射によって配向を歪ませる方法としては、二色性液晶性重合開始剤を用いる方法(EP1389199 A1)や分子内にシンナモイル基等の光配向性官能基を有する棒状液晶化合物を用いる方法(特開2002−6138号公報)が挙げられる。本発明においては、いずれも利用できる。
前記位相差層が正のa−plateの場合、VAモード、または半透過型の液晶セルを正確に光学補償できるので好ましい。
前記位相差層が正のc−plateの場合、IPSモード、またはFESモードの液晶セルを正確に光学補償できるので好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
〔配向層付きガラス基板〕
(配向層用塗布液AL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────―
配向層用塗布液組成(wt%)
──────────────────────────────────―
ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.21
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.48
蒸留水 52.10
メタノール 43.21
──────────────────────────────────―
(配向層付きガラス基板G−1の作製)
100mm角、厚さ1.1mmの無アルカリガラス(#1737、コーニング社製)の上に、配向層用塗布液AL−1をスピンコート塗布、乾燥した。乾燥膜厚は1.6μmであった。次いで、配向層表面に対し、ラビング処理を施した。
〔位相差層用塗布液〕
(位相差層用塗布液LC−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、位相差層用塗布液LC−1として用いた。
水平配向剤(H−1)はTetrahedron Lett.誌、第43巻、6793頁(2002)に記載の方法に準じて合成した。
──────────────────────────────────―
位相差層用塗布液組成(wt%)
──────────────────────────────────―
重合性棒状液晶化合物(I−23) 17.97
水平配向剤(H−1) 0.03
光重合開始剤(Irgacure907、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.75
光増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン、東京化成(株)製) 0.25
熱重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
和光純薬工業(株)製) 1.00
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート 80.00
──────────────────────────────────―
Figure 2010138282
(位相差層用塗布液LC−2〜5の調製)
位相差用塗布液LC−1において、熱重合開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを下表1に記載したように2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)へ変更する以外には位相差層用塗布液LC−1と同様にして、位相差層用塗布液LC−2〜5を調製した。
(比較用位相差層用塗布液LC−Aの調製)
位相差用塗布液LC−1において、熱重合開始剤を使用しない以外には位相差層用塗布液LC−1と同様にして、比較用位相差層用塗布液LC−Aを得た。
(比較用位相差層用塗布液LC−Bの調製)
位相差用塗布液LC−1において、光重合開始剤と光増感剤とを使用しない以外には位相差層用塗布液LC−1と同様にして、比較用位相差層用塗布液LC−Bを得た。
Figure 2010138282
〔実施例1〕
配向層付きガラス基板G−1にワイヤーバーを用いて位相差層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度85℃で2分間乾燥し、液晶相状態として配向させた後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度25mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射してその配向状態を固定化した。その後、クリーンオーブンDE410(ヤマト科学(株)製)にて230℃で60分間の焼成を行なった。厚さ1.8μm、正面レターデーションRe159.7nm、ヘイズ0.5%の位相差層を形成し、位相差層付きガラス基板G−1を作製した。
得られた位相差層付きガラス基板G−1を、さらにクリーンオーブンにて230℃で180分間焼成し、同様に位相差層の正面レターデーションを測定したところ147.4nmであった。
また、得られた位相差層付きガラス基板G−1を、アルバック製スパッタ装置(SV9540)を用いて200℃で、圧力6.0×10-13Torr、アルゴンガス流量78.0sccm、酸素ガス流量0.9sccm、印加電力を5kWでITOスパッタリングを15分間行い、膜厚1400Å、表面抵抗30Ω/□のITO膜を、位相差層上に成膜した。得られたITO膜にクラックは発生せず、良好な面質だった。
〔実施例2〜5〕
実施例1において、位相差層用塗布液LC−1の代わりに位相差用塗布液LC−2〜5を用いる以外には実施例1と同様にして、位相差層付きガラス基板G−2〜5を作製し、性能評価、追加焼成、追加性能評価、ITOスパッタリング−面質評価を行なった。結果を、下記表2に記載する。
〔比較例A,B〕
実施例1において、位相差層用塗布液LC−1の代わりに比較用位相差用塗布液A,Bを用いる以外には実施例1と同様にして、位相差層付きガラス基板G−A,Bを作製し、性能評価、追加焼成、追加性能評価、ITOスパッタリング−面質評価を行なった。結果を、下記表2に記載する。
〔性能評価方法〕
(位相差測定)
正面レターデーションRe(λ)は、KOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をガラス基板法線方向に入射させて測定した。本明細書におけるReは、特に記載がなければ545±5nmの波長で測定されたもの意味する。
(透明性(ヘイズ))
透明性としては、ヘイズメーターNDH 2000(日本電色工業(株)製)を用いてヘイズを測定した。
(表面形状)
位相差層表面の平滑性を目視観察にて判断した。
◎:目視では異常感全く無し.
○:目視では異常感なし.
△:目視で微かに凹凸が感知される.
×:一目で凹凸が認識される.
(耐久性(追加焼成後))
クリーンオーブンにて追加で180分間焼成をかける前後での正面レターデーションの変化率(レターデーション残存率=追加焼成後レターデーション/追加焼成前レターデーション[%])を算出した。
(面質評価(ITOスパッタリング後))
位相差層を目視観察にて判断した。
◎:目視では異常感全く無し.
○:目視では異常感なし.
△:目視で微かにムラが感知される.
×:一目でムラが認識される.
Figure 2010138282
表2に示される結果から分かるように、位相差層作製に対して、光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することにより、耐久性が大幅に向上した。使用する熱重合開始剤の10hr半減期(溶液中)温度が高い程、元々のヘイズはやや高くなる傾向が見受けられたが、耐久性はより向上していた。また、追加焼成後の表面形状、ITOスパッタリング後の面質についても、改良されていた。
以上のように、重合性液晶化合物と、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の熱重合開始剤とを含む本発明の重合性液晶組成物を用いることにより、耐久性が良好な位相差フィルムを作製することができた。

Claims (10)

  1. 重合性液晶化合物と、少なくとも1種の光重合開始剤と、少なくとも1種の熱重合開始剤とを含むことを特徴とする重合性液晶組成物。
  2. 前記熱重合開始剤の10hr半減期(溶液中)が65℃以上である請求項1に記載の重合性液晶組成物。
  3. 前記熱重合開始剤の10hr半減期(溶液中)が90℃以上である請求項1又は2に記載の重合性液晶組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層を含むフィルム。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層を含む画像表示装置用基板。
  6. 支持体、請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層、カラーフィルタ層をこの順に有する画像表示装置用基板。
  7. 支持体、請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合性液晶組成物より形成された位相差層、透明導電膜をこの順に有する画像表示装置用基板。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の画像表示装置用基板を含む画像表示装置。
  9. 液晶表示装置である請求項8に記載の画像表示装置。
  10. VAモード、IPSモード、またはFFSモードの液晶表示装置である請求項9に記載の画像表示装置。
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