JP2010138034A - シリカ容器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (1)シリカ粒子である第一の原料粉、非晶質シリカからなり、平均粒径が第一の原料粉の平均粒径よりも小さい第二の原料粉、及び、結晶質シリカからなり、第一の原料粉及び第二の原料粉よりもシリカ純度が高い第三の原料粉を準備する工程、(2)第一の原料粉と第二の原料粉と水とを含有する基体形成用混合スラリーを作製する工程、(3)基体形成用混合スラリーを、回転対称性を有する鋳込み型枠の中に導入する工程、(4)鋳込み型枠に導入した基体形成用混合スラリーを加熱脱水して基体を仮成形する工程、(5)基体を酸素含有雰囲気下で焼成する工程、(6)基体の内側から第三の原料粉を散布して供給しながら溶融し、基体の内表面上に透明シリカガラス層を形成、の各工程を有し、(4)の後に(5)と(6)とのいずれかを先に行うシリカ容器の製造方法。
【選択図】 図1
Description
そこでその対策の1つとして従来、比較的安価なシリコン化合物やシリカ粉体原料を用いたシリカガラスの製造方法が考えられてきた。
しかし、これら従来のゾル−ゲル法では、作製されたシリカガラスの寸法精度や耐久性に問題があるばかりではなく、高温下での焼成工程が必要なことからエネルギーコストの面でもそれほど安価ではなかった。
しかし、これら従来のスリップキャスト法では、乾燥工程や焼結工程での水分の大量蒸発による成形体の収縮が大きく、寸法精度の高い肉厚のシリカガラス成形体を作ることは出来なかった。
シリカを主な構成成分とし、回転対称性を有するシリカ容器の製造方法であって、少なくとも、
(1)骨材となるシリカ粒子である第一の原料粉、非晶質シリカからなり、平均粒径が前記第一の原料粉の平均粒径よりも小さい第二の原料粉、及び、結晶質シリカからなり、前記第一の原料粉及び前記第二の原料粉よりもシリカ純度が高い第三の原料粉を準備する工程と、
(2)前記第一の原料粉と前記第二の原料粉と水とを含有する基体形成用混合スラリーを作製する工程と、
(3)前記基体形成用混合スラリーを、回転対称性を有する鋳込み型枠の中に導入する工程と、
(4)前記鋳込み型枠に導入した基体形成用混合スラリーを加熱脱水することにより基体を仮成形する工程と、
(5)前記基体を酸素含有雰囲気下で焼成する工程と、
(6)前記基体の内側から前記第三の原料粉を散布して供給しながら前記基体の内側に配置した加熱源により溶融することで、前記基体の内表面上に透明シリカガラス層を形成する工程と
を有し、前記(4)工程終了後、前記(5)工程及び前記(6)工程のいずれかを先に行うことを特徴とするシリカ容器の製造方法を提供する(請求項1)。
このように、第一の原料粉を、シリカ塊を粉砕、整粒することにより作製したものとすれば、より安価なシリカ原料から製造し、低コストのシリカ容器とすることができる。
またこのような、シリカ塊を粉砕、整粒することにより作製したシリカ粉を原料としても、本発明のシリカ容器の製造方法であれば、容器に収容する内容物への不純物汚染を十分に防止することができる。
このように、基体形成用混合スラリーを作製する工程よりも前に、第二の原料粉をバインダーコーティングされた顆粒体とし、該第二の原料粉の顆粒体を用いて前記基体形成用混合スラリーを作製するようにすれば、第二の原料粉の取り扱いが簡便になる。
このように、本発明のシリカ容器の製造方法の場合、原料とする第一の原料粉のシリカ純度を99.9〜99.999wt.%と比較的低純度のものとしても、収容する内容物への不純物汚染を十分に防止することができる。
このように、前記基体形成用混合スラリーの加熱脱水を、100〜200℃の温度範囲で行えば、本発明に係るシリカ容器の製造をより確実に行うことができる。
このように、基体形成用混合スラリーを作製する際の前記第一の原料粉と前記第二の原料粉との配合比を、(第二の原料粉)/{(第一の原料粉)+(第二の原料粉)}が10wt.%以上50wt.%未満とすれば、シリカ容器の製造コストを十分に低減しながらも、寸法精度や耐久性を十分に確保することができる。
このように、基体形成用混合スラリーを、アルミニウム元素を含有するものとすれば、不純物金属元素の容器内表面への拡散を防止する効果を付与することができる。
第三の原料粉を、上記のような不純物量のものとすれば、シリカ容器から収容した内容物への不純物拡散が効果的に防止されるものであり、特には太陽光発電用(ソーラー用、太陽電池用)シリコン単結晶引き上げルツボとして好適に使用することができる。
このように、透明シリカガラス層にOH基を1〜200wt.ppmの濃度で含有させれば、シリカ容器内表面のエッチングや溶解への耐性をさらに高くすることができる。
このように、所定の温度域を徐冷することにより歪除去を行えばシリカガラスの仮想温度(Fictive Temperature)を低下させることができ、その結果、シリカ容器の耐エッチング性や耐熱変形性をさらに向上させることができる。
このように、本発明のシリカ容器の製造方法によって製造されたシリカ容器は、シリコン単結晶引上げ用ルツボとして好適に使用することができる。その結果、シリコン単結晶製造のための総投入エネルギーや総コストを低減することができる。
このように、上記のいずれかのシリカ容器の製造方法によって製造されたシリカ容器であれば、少ないエネルギー消費量で、高生産性かつ低コストで製造されたシリカ容器であり、収容する内容物への不純物汚染を十分に防止できる能力を有し、高寸法精度、高耐久性を有するシリカ容器とすることができる。
このように、基体が、アルミニウム元素を10〜1000wt.ppm含有するか、OH基を10〜1000wt.ppm含有すれば、シリカ容器内表面への不純物の拡散を効果的に防ぐことができる。
このように、基体のリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの合計濃度が10〜1000wt.ppmとすれば、シリカ容器の耐熱変形性をさらに向上させることができる。
このように、透明シリカガラス層にOH基を1〜200wt.ppm含有すれば、シリカ容器内表面のエッチングや溶解への耐性をさらに高くすることができる。
また、本発明に従うシリカ容器であれば、低コスト、低エネルギー消費量で得られるシリカ容器でありながらも、収容する内容物への不純物汚染を十分に防止できる能力を有するのみならず、高温で長時間使用しても熱変形しにくく、内容物による容器内表面のエッチングや溶解の少ない、高寸法精度、高耐久性を有する安価なシリカ容器とすることができる。
本発明に係るシリカ容器71は回転対称性を有し、その基本構造は、外層の基体51、内層の透明シリカガラス層56の2層構造から成る。
図1に、本発明に係るシリカ容器の製造方法の一例を示す。
まず、図1の(1)に示すように、シリカ容器を製造するにあたって原料となるシリカ粉を準備する。なお、それぞれの原料粉は、少なくとも該原料粉を使用する工程の前に準備すれば良い。
ここで準備する原料粉は以下の通りである。
(a)骨材となるシリカ粒子である第一の原料粉11、
(b)非晶質シリカからなり、平均粒径が第一の原料粉の平均粒径よりも小さい(好ましくは球状である)第二の原料粉12、
(c)結晶質シリカからなり、第一の原料粉及び第二の原料粉よりもシリカ純度が高い第三の原料粉13。
なお、本明細書中では、シリカ純度(SiO2純度)とは材料中のシリカ(SiO2)分の割合を意味する。ただし、金属元素は不純物とするが、OH基やO2ガス、N2ガス、COガス、CO2ガス等のガス成分は不純物としては考えない。
以下では、第一、第二、第三のそれぞれの原料粉の準備について一つずつ説明する。
第一の原料粉11は、本発明に係るシリカ容器のうち、不透明シリカ層からなる基体の骨材となるものであり、基体の主な構成材料となるものである。
この第一の原料粉は例えば以下のようにしてシリカ塊を粉砕、整粒することにより作製することができるが、これに限定されない。
次いで、この天然シリカ粉を傾斜角度を有するシリカガラス製チューブから成るロータリーキルンの中に投入し、キルン内部を塩化水素(HCl)又は、塩素(Cl2)ガス含有雰囲気とし、700〜1100℃にて1〜100時間程度加熱することにより高純度化処理を行う。ただし高純度を必要としない製品用途では、この高純度化処理を行わずに次処理へ進んでもよい。
第一の原料粉の粒径は、上記のように、0.01〜5mmとすることが好ましく、0.1〜1mmとすることがより好ましい。
第一の原料粉のシリカ純度は、99.5wt.%以上とすることが好ましく、99.99wt.%以上とすることがさらに好ましい。また、本発明のシリカ容器の製造方法であれば、第一の原料粉のシリカ純度は99.999%以下と比較的低純度のものとしても、製造されるシリカ容器は、収容する内容物への不純物汚染を十分に防止することができる。そのため、従来よりも低コストでシリカ容器を製造することができることになる。
第二の原料粉12は、本発明に係るシリカ容器のうち、不透明シリカ層からなる基体を第一の原料粉11とともに構成する材料となるものである。この第二の原料粉12に必要な条件は非晶質シリカからなること(非晶質シリカ粉)と、平均粒径が第一の原料粉の平均粒径よりも小さいことである。また、さらに球状であること(球状非晶質シリカ粉)が好ましい。
このアルミニウムの含有方法は特に限定されず、水やアルコールに可溶性のアルミニウム化合物溶液に原料粉を浸漬して含浸させ、次いで一定速度で引き上げて乾燥するなどの方法を用いることができる。
また、このアルミニウムのドープは、後述する、第一の原料粉と第二の原料粉(または第二の原料粉の顆粒体)とを基体形成用混合スラリーとする際に行ってもよい。
第三の原料粉13として、透明シリカガラス層用の高純度のシリカ粉を準備する。
この第三の原料粉13の材質としては、高純度化処理された天然石英粉、天然水晶粉、又は合成クリストバライト粉、合成シリカガラス粉が考えられる。透明シリカガラス層の気泡量を少なくする目的であれば結晶質シリカ粉が好ましい。また、より高純度な透明シリカガラス層とする目的であれば、合成シリカガラス粉や合成クリストバライト粉が好ましい。粒径は10〜500μm、好ましくは50〜200μmである。
次に、上記した工程1において準備した第二の原料粉12をバインダーコーティングされた顆粒体とすることができる。このように顆粒体とすることで、第二の原料粉の取り扱いが簡便になるので好ましい。
第二の原料粉をバインダーコーティングされた顆粒体とするには、例えば以下のような手順により行うことができる。
また、有機バインダーはその他ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル系バインダー、エチルセルロース等を適宜複数種類混合してもよい。
次に、図1の(2)に示すように、第一の原料粉11と第二の原料粉12と水とを含有する基体形成用混合スラリー31を作製する。第二の原料粉12は顆粒体の状態から混合されてもよい。
まず、第一の原料粉11を主原料とし、第二の原料粉12を10wt.%以上50wt.%未満、好ましくは20〜40wt.%範囲で均一に混合する。製造コストを低減させる目的からは、なるべく比較的低コストの第一の原料粉11の主原料を多くする必要がある。第二の原料粉12の混合比率が10wt.%未満では、成形、焼成後のシリカ容器の基体の空隙が多くなり、密度が高くならず、その結果、シリカ容器の寸法精度、強度や耐熱性が悪くなる。また、第二の原料粉12の混合比率が50wt.%以上では、成形、焼成後のシリカ容器の基体の空隙が少なくなり密度がシリカガラスの値の2.2(g/cm3)に近づくものの、製造コストが上昇するので好ましくない。混合手法としては、比較的量が少ない場合、V型ミキサーを用いることもできるが、この手法に限定されるわけではない。
上記で作製した第一の原料粉11、第二の原料粉12の混合粉を主原料として95〜80wt.%、純水を5〜20wt.%とする。シリカ容器の基体中のNa、K、Li、Ca、Mgの合計値が10〜1000wt.ppm好ましくは20〜200wt.ppmとなる様に調整する。調整方法はこれらアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の硝酸塩、炭酸塩、塩化物のいずれかを微量、純水に溶解混合することで可能である。しかし、最初から原料粉に含まれている場合は、これら元素の濃度調整は行わなくてもよい。
円筒状シリカガラス容器及びシリカガラスボールから成るボールミルの中に混合液を投入し1〜2時間混合する。作製されたスラリーの密度は1.7〜2.1g/cm3好ましくは1.8〜2.0g/cm3とし、粘性度は1〜10/secのせん断速度において300〜3000mPa・secとする。
シリカガラスチャンバー内にスラリーを設置し、室温下にて102Pa以下の真空度で1〜30min真空脱ガス処理を行う。ただし、この処理は作製されるシリカ容器の用途によっては行わない場合もある。
次に、図1の(3)に示すように、基体形成用混合スラリー31を成形するための回転対称性を有する鋳込み型枠に導入する。
この鋳込み型枠の様子を模式的に図4に示す。鋳込み型枠110は、基本的には石膏等の多孔質セラミックまたは多孔質プラスチック等の材質からなる、鋳込み内型111と鋳込み外型112とから成り、鋳込み外型112にはスラリーを注入するためのスリップ鋳込み口113が開口している。
この鋳込み型枠110の、スラリーを導入する空間(鋳込み内型111と鋳込み外型112の間の空間)の形状が、形成する基体51の形状、さらに最終的に製造するシリカ容器71の形状に影響する。例えば、図4(a)に示すように形成する基体内部の底面が略平面状になるようにしても、図4(b)に示すように基体内部の底面が曲面状になるようにしてもよく、製造するシリカ容器の用途等によって適宜選択することができる。
次に、図1の(4)に示すように、上記の工程3で鋳込み型枠に導入した基体形成用混合スラリー31を、型に入ったスラリーをクリーンオーブン内に入れ、室温から5〜20℃/時間で昇温後、100〜200℃にて10〜100時間保持して、水分を蒸発させ乾燥する。これにより、基体51を仮成形する。
この工程では、まず、基体51を酸素含有雰囲気下で焼成することにより基体51を不透明シリカ層からなるものとする。
図5を参照しながら説明する。
基体51を鋳込み型枠110から取り出した後、高純度アルミナボードを保温材とし、二珪化モリブデンをヒーター306とする電気抵抗加熱炉301内に設置する。なお、電気抵抗加熱炉301は、その他、雰囲気ガスを供給するガス供給口302、雰囲気ガスを排出するガス排出口303、ガス供給口302、ガス排出口303を通過するガスをそれぞれ制御する開閉バルブ304、305等を具備している。
なお、後述の工程6(透明シリカガラス層形成)をこの工程5(基体焼成、歪除去)よりも先に行う場合には、図5の基体51には既に透明シリカガラス層56が形成されていることになる。
例えば、焼成完了後、1150℃程度(シリカガラスの除冷点付近)まで降温し、次いで1000℃程度(シリカガラスの歪点付近)まで5℃/時間〜20℃/時間で徐々に降温を行い、シリカ容器基体51の残留歪を除去し、室温まで放冷させればよい。
また、この徐冷による歪除去処理は、後述の透明シリカガラス層を形成する工程(工程6)よりも後に行ってもよい。
この工程では、基体51の内側から第三の原料粉13を散布して供給しながら基体51の内側に配置した加熱源により溶融することで、基体51の内表面上に、透明シリカガラス層56を形成する。基本的な形成方法は、例えば特公平4−22861及び特公平7−29871に示される内容に従う。図6を参照しながら説明する。
シリカ基体の内表面上への透明シリカガラス層を形成する装置は、回転軸対称性を有する回転可能な回転枠201、回転モーター(図示せず)、及び透明シリカガラス層56形成用の第三の原料粉13が入ったホッパー203、ホッパー203内で第三の原料粉13を攪拌する攪拌用スクリュー204、計量フィーダ205、及び放電溶融(アーク溶融)の熱源となるカーボン電極212、電線、高圧電源ユニット211等から成る。放電溶融に耐えるため、回転枠201は、カーボン等の材料から成る。また、放電溶融雰囲気の制御のため、回転枠201を取り囲むように、雰囲気ガスシールド用(回転枠保護を兼ねる)カバー214、蓋213等を備え、雰囲気ガスを供給するための雰囲気ガス供給装置215等を備える。
この場合、透明シリカガラス層56が高温で焼成されることになるので、工程5を工程6よりも先に行うことが好ましい場合が多い。
例えば、フッ化水素酸水溶液(HF)1〜10%程度にて、5〜30分間の表面エッチングを行い、次いで純水で洗浄し、クリーンエア中で乾燥させてシリカ容器を得る。
さらに、本発明では、透明シリカガラス層56の表面にカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)の少なくとも一種を含む溶液を塗布する工程を設けることができる。
作製されたシリカ容器71の内表面部分に、結晶化促進剤としてCa、Sr、Baの少なくとも1種以上をコーティングする。これらCa、Sr、Baの硝酸塩、酸化物、炭酸塩のいずれかの水溶液又はアルコール溶液を作製し、これを透明シリカガラス層56の内表面に塗布し、乾燥させる。このCa、Sr、Baの合計濃度は、5〜500μg/cm2とすることが好ましい。
この処理は、シリカ容器の用途に応じて行わない場合もある。
シリカ容器71を構成する各層のうち、基体51は、気泡を含有し、白色不透明であり、不透明シリカ層からなる。また、基体51のかさ密度は典型的には1.90〜2.15g/cm3であり、このようなかさ密度であれば、基体51の耐熱変形性をより高くすることができる。
また、本発明のシリカ容器71の場合、基体51はシリカ純度が99.9〜99.999wt.%のような比較的低純度であっても、収容する内容物への不純物汚染を十分に防止することができる。
そして、このようにCO、CO2ガスの含有が少ないために、シリカ容器71に収容する内容物(シリコン等)への汚染をより効果的に防止できる。
(実施例1)
図1に示した本発明のシリカ容器の製造方法に従い、シリカ容器を以下のように製造した。
天然珪石を100kg準備し、大気雰囲気下で、1000℃、10時間の条件で加熱後、純水の入った水槽へ投入し、急冷却した。これを乾燥後、クラッシャーを用いて粉砕し、粒径0.1〜1mm、シリカ(SiO2)純度99.999wt.%、総重量80kgのシリカ粉(天然珪石粉)とした。
溶融法によって球状非晶質シリカ粉(第二の原料粉)を合成した。この球状非晶質シリカ粉は、粒径0.2〜5μm、平均粒径1μm、平均比表面積4m2/g、重量20kgであった。
第二の原料粉12の20kgに対して、パラフィン系バインダー(融点55℃)200g、ステアリン酸系バインダー(融点100℃)200g、純水10kgを混合して、顆粒体形成用混合スラリーを作製した。この混合スラリーを、スプレードライヤーにより乾燥させ、バインダーコーティングされた顆粒体を作製した。このバインダーコーティングされた球状非晶質シリカガラスの顆粒体の、顆粒径は10〜100μmであり、平均は50μmであった。
この第一の原料粉と第二の原料粉の顆粒体の混合粉90wt.%に対して純水10wt.%、分散剤(ポリアクリル酸アンモニウム)を少量混合してスラリー状とした。次に、円筒型シリカガラス製容器、及びシリカガラスボールから成るボールミルにて1時間、このスラリーを均一混合した。この均一混合したスラリーに、密度が1.9g/cm3、粘度が1〜10/secせん断速度にて約500〜1000mPa・secになる様に、純水を適量加えて調整した。次に、このスラリーを容器に入れ、シリカガラスチャンバー内に設置し、室温にて102Pa以下の真空にて3分間真空脱ガス処理を行った。
このようにして基体形成用混合スラリー31とした。
二珪化モリブデンヒータ306を具備する、炉内寸法1m×1m×1mの高純度アルミナボードの耐熱材からなる電気抵抗加熱炉301内に基体51を設置した。そして、室温から1000℃まで200℃/時間の昇温速度で約5時間かけて昇温、1350℃まで20℃/時間の昇温速度で昇温した後、1350℃にて3時間保持した。
次いで放冷して室温に戻した。
回転枠201に基体51の内部にカーボン電極212を挿入し、第三の原料粉供給口、蓋213を設定した。その後、回転枠201を回転しながら、第三の原料粉を徐々に投入しつつ窒素ガス100%雰囲気下で、カーボン電極212を用いて放電加熱(電気アーク加熱)した。
基本的には実施例1と同様にシリカ容器の製造を行ったが、以下の点が異なる。
まず一つは、第二の原料粉12を顆粒体にする際にアルミニウム元素をドープした。具体的には、顆粒体形成用混合スラリーに塩化アルミニウム(AlCl3)を追加で含有させ、これをスプレードライヤー装置により乾燥処理を行うことにより、顆粒径10〜100μm、平均粒径50μmのバインダーコーティング付アルミニウムドープ球状シリカ粉の顆粒体を作成した。
また、第三の原料粉13にバリウムをドープした。まず、第三の原料粉13として、粒径50〜300μm、シリカ純度99.9999wt.%以上の高純度処理したクリストバライト粉を2kg準備した。また、硝酸バリウム(Ba(NO3)2)を、エチルアルコールC2H5OH50wt.%を含む水溶液5Lに入れ、溶解させてバリウム含有溶液を作製した。その後、円筒型シリカガラス製容器の中に上記高純度処理したクリストバライト粉を入れ、次いでバリウム含有溶液を入れ、撹拌し、クリーンオーブン内で100℃にて乾燥し、バリウムドープクリストバライト粉を作製した。なおこのバリウムドープの工程により第三の原料粉のシリカ純度は99.97wt.%となった。
以下のようにシリカ容器の製造を行った。
まず、第一の原料粉11を以下のように準備した。
天然珪石を100kg準備し、大気雰囲気下で、1000℃、10時間の条件で加熱後、純水の入った水槽へ投入し、急冷却した。これを乾燥後、クラッシャーを用いて粉砕し、シリカ(SiO2)純度99.999wt.%、総重量80kgのシリカ粉(天然珪石粉)とした。この天然珪石粉に、非晶質のシリカガラススクラップを5wt.%混入し、これらの混合物を第一の原料粉11とした。第一の原料粉11全体の粒径は0.5〜2mm、シリカ純度は99.99wt.%であった。
溶融法によって球状非晶質シリカ粉(第二の原料粉12)を合成した。この球状非晶質シリカ粉は、粒径0.2〜5μm、平均粒径1μm、平均比表面積4m2/g、重量30kgであった。
この第二の原料粉12に、塩化アルミニウム(AlCl3)を含む溶液に原料粉を浸漬して含浸させ、次いで一定速度で引き上げて乾燥することにより、アルミニウムをドープさせ、アルミニウムドープ球状非晶質シリカ粉とした。
この第一の原料粉と第二の原料粉の顆粒体の混合粉90wt.%に対して純水10wt.%、分散剤(ポリアクリル酸アンモニウム)を少量混合してスラリー状とした。次に、円筒型シリカガラス製容器、及びシリカガラスボールから成るボールミルにて1時間、このスラリーを均一混合した。この均一混合したスラリーに、密度が1.9g/cm3、粘度が1〜10/secせん断速度にて約500〜1000mPa・secになる様に、純水を適量加えて調整した。次に、このスラリーを容器に入れ、シリカガラスチャンバー内に設置し、室温にて102Pa以下の真空にて3分間真空脱ガス処理を行った。
このようにして基体形成用混合スラリー31とした。
二珪化モリブデンヒータ306を具備する、炉内寸法1m×1m×1mの高純度アルミナボードの耐熱材からなる電気抵抗加熱炉301内に基体51を設置した。そして、室温から1000℃まで200℃/時間の昇温速度で約5時間かけて昇温、1350℃まで20℃/時間の昇温速度で昇温した後、1350℃にて1時間保持した。
次いで放冷して室温に戻した。
回転枠201に基体51の内部にカーボン電極212を挿入し、第三の原料粉供給口、蓋213を設定した。その後、回転枠201を回転しながら、第三の原料粉を徐々に投入しつつ、水素ガスを10%と水蒸気を含む窒素ガス雰囲気下で、カーボン電極212を用いて放電加熱(電気アーク加熱)した。
以下のようにシリカ容器の製造を行った。
まず、第一の原料粉11として、粒径1〜4mm、シリカ純度99.99wt.%の非晶質のシリカガラススクラップ粉を準備した。
溶融法によって球状非晶質シリカ粉(第二の原料粉12)を合成した。この球状非晶質シリカ粉は、粒径5〜50μm、平均粒径10μm、平均比表面積4m2/g、重量20kgであった。
この第二の原料粉12に、塩化アルミニウム(AlCl3)を含む溶液に原料粉を浸漬して含浸させ、次いで一定速度で引き上げて乾燥することにより、アルミニウムをドープさせ、アルミニウムドープ球状非晶質シリカ粉とした。
このようにして基体形成用混合スラリー31とした。
二珪化モリブデンヒータ306を具備する、炉内寸法1m×1m×1mの高純度アルミナボードの耐熱材からなる電気抵抗加熱炉301内に基体51を設置した。そして、室温から1000℃まで200℃/時間の昇温速度で約5時間かけて昇温、1250℃まで20℃/時間の昇温速度で昇温した後、1250℃にて1時間保持した。
次いで放冷して室温に戻した。
回転枠201に基体51の内部にカーボン電極212を挿入し、第三の原料粉供給口、蓋213を設定した。その後、回転枠201を回転しながら、第三の原料粉を徐々に投入しつつ、水素ガスを10%と水蒸気を含む窒素ガス90%雰囲気下で、カーボン電極212を用いて放電加熱(電気アーク加熱)した。
概ね従来法に従ってシリカ容器(シリカルツボ)を作製した。すなわち、本発明のシリカ容器の基体に相当する部分も放電溶融(アーク溶融)によって形成した。
まず、第一の原料粉に相当する原料粉としてシリカ純度99.9999wt.%以上の高純度である天然石英粉(粒径50〜300μm)を準備した。また、本発明のシリカ容器の基体に相当する部分を作製する原料として第二の原料粉に相当するものを用いず、上記第一の原料粉に相当する高純度処理した天然石英粉のみを用いた。
また、第三の原料粉に相当する原料粉として、粒径10〜100μm、シリカ純度99.9999wt.%の高純度クリストバライト粉を準備した。
比較例1と同様に、ただし、第一の原料粉に相当する原料粉として、低コスト化のために、粒径50〜300μm、シリカ純度99.97wt.%の非晶質のシリカガラススクラップを用いた。
また、上記のように第一の原料粉に相当する原料粉として低純度のシリカガラススクラップを用いるので、この不純物拡散を防止するため、第三の原料粉に相当する原料粉に、粒径10〜100μmの高純度天然石英粉を用い、アルミニウムをドープした(ドープ後のシリカ純度99.99wt.%)。
これらの原料粉を用いて比較例1と同様にシリカ容器の製造を行った。
各実施例及び比較例において製造したシリカ容器の物性、特性評価を以下のようにして行った。
透明シリカガラス層と、不透明シリカ層からなる基体の不純物金属元素濃度を以下のように測定した。
不純物金属元素濃度が比較的低い(高純度である)場合は、プラズマ発光分析法(ICP−AES、Inductively Coupled Plasma − Atomic Emission Spectroscopy)又はプラズマ質量分析法(ICP−MS、Inductively Coupled Plasma − Mass Spectroscopy)で行い、不純物金属元素濃度が比較的高い(低純度である)場合は、原子吸光光度法(AAS、Atomic Absorption Spectroscopy)で行った。
水槽と精密重量計を使用して、アルキメデス法により測定した。
光学顕微鏡又は電子顕微鏡で各原料粉の二次元的形状観察及び面積測定を行った。次いで、粒子の形状を真円と仮定し、その面積値から直径を計算して求めた。この手法を統計的に繰り返し行い、粒径の範囲の値とした(この範囲の中に99wt.%以上の粒子が含まれる)。
赤外線吸収分光光度法で行った。OH基濃度への換算は、以下文献に従う。
Dodd,D.M. and Fraser,D.B.(1966) Optical determination of OH in fused silica. Journal of Applied Physics, vol.37, P.3911.
基体部分から10×50×厚さt5mmの寸法の測定用サンプルを作製し、これを真空チャンバー内に設置し、1000℃真空下におけるガス放出量を測定した。詳細は以下の文献に従う。
Nasu,S.et al.(1990) “Gas release of various kinds of vitreous silica”, Journal of Illuminating Engineering Institute of Japan, vol. 74, No.9, pp 595−600.
シリカ容器の中に純度99.99999wt.%の金属ポリシリコンを投入し、昇温を行いシリコン融液とし、次いでシリコン単結晶の引上げを10回繰り返して行い(マルチ引上げ)、単結晶育成の成功率として評価した。引上げ条件は、CZ装置内を103Paアルゴン(Ar)ガス100%雰囲気で、引上げ速度0.5mm/分、シリコン単結晶寸法、直径100mm、長さ100mmとした。また、1バッチの操業時間は約20時間とした。単結晶育成10回繰り返しの成功率の評価分類は以下の通りとした。
8回以上 ◎(特に良好)
6回以上〜8回未満 ○(良好)
4回以上〜6回未満 △(やや不良)
4回未満 ×(不良)
前記のシリコン単結晶連続引き上げにおいて、5回目終了後のシリカ複合体容器の側壁上端部の内側への倒れ込み量を評価した。
内側への倒れ込み量が1cm未満 ○(良好)
内側への倒れ込み量が1cm以上3cm未満 △(やや不良)
内側への倒れ込み量が3cm以上 ×(不良)
前記のシリコン単結晶連続引き上げ時におけるシリコン融液表面の湯面振動量を目視により相対的に評価した。
湯面振動が極めて少ない ○(良好)
湯面振動が少しある △(やや不良)
湯面振動が大きい ×(不良)
シリカ容器の製造コストを評価した。特に、シリカ原料費、鋳込み型枠と成形費、シリカ仮成形体の焼結、溶融エネルギー費等の合計値を相対的に評価した。
コストが低い ○(従来製法コストの50%未満)
コストが中程度 △(従来製法コストの90〜50%)
コストが大きい ×(従来製法コストの100%)
製造したシリカ容器を、高純度アルミナボードの耐熱材とし、二珪化モリブデンをヒーターとする電気炉内に設置し、大気雰囲気、1450℃、12時間加熱処理を行った。次いで、該容器の内表面部分100μmをフッ化水素酸(HF)水溶液で洗浄除去した。次いで、該容器の内表面部分の厚さ100μmをフッ化水素酸(HF)50%水溶液にて溶解エッチング処理を行い、このエッチング溶液のアルカリ金属元素濃度値を分析することにより、シリカ純度の低い容器基体から高純度透明シリカガラス層への不純物金属元素の拡散が多かったか、少なかったかを評価した。
内表面厚さ100μm部分におけるLi、Na、Kの合計濃度値による分類は以下の通りとした。
0.1wt.ppm未満 ○(良好)
0.1以上〜1wt.ppm未満 △(やや不良)
1wt.ppm以上 ×(不良)
製造したシリカ容器を、高純度アルミナボードを耐熱材とし二珪化モリブデンをヒーターとする電気炉内に設置し、大気雰囲気、1450℃、12時間加熱処理を行う。次いで該容器内表面部分の白色失透(クリストバライト結晶)部分を目視観察することにより再結晶化効果を評価した。再結晶化効果の評価分類は以下の通りとした。
全内表面積の80%以上が白色失透化 ○(良好)
全内表面積の50%以上〜80%未満が白色失透化 △(やや不良)
全内表面積の50%未満が白色失透化 ×(不良)
シリカ容器の側壁の全高さの半分部分における容器断面をスケールで測定することにより、基体及び透明シリカガラス層の厚さを決めた。
そして、このようにCO、CO2ガスの含有が少ないために、作製したシリコン単結晶の気泡や構造欠陥の生成をより効果的に防止できるシリカ容器とすることができた。
31…基体形成用混合スラリー、
51…基体、 56…透明シリカガラス層、 71…シリカ容器、
110…鋳込み型枠、 111…鋳込み内型、 112…鋳込み外型、
113…スリップ鋳込み口、
201…回転枠、
203…ホッパー、 204…攪拌用スクリュー、 205…計量フィーダ、
211…高電圧電源ユニット、 212…カーボン電極、 213…蓋、
214…雰囲気ガスシールド用カバー、 215…雰囲気ガス供給装置、
301…電気抵抗加熱炉、 302…ガス供給口、 303…ガス排出口、
304、305…開閉バルブ、 306…ヒーター。
Claims (27)
- シリカを主な構成成分とし、回転対称性を有するシリカ容器の製造方法であって、少なくとも、
(1)骨材となるシリカ粒子である第一の原料粉、非晶質シリカからなり、平均粒径が前記第一の原料粉の平均粒径よりも小さい第二の原料粉、及び、結晶質シリカからなり、前記第一の原料粉及び前記第二の原料粉よりもシリカ純度が高い第三の原料粉を準備する工程と、
(2)前記第一の原料粉と前記第二の原料粉と水とを含有する基体形成用混合スラリーを作製する工程と、
(3)前記基体形成用混合スラリーを、回転対称性を有する鋳込み型枠の中に導入する工程と、
(4)前記鋳込み型枠に導入した基体形成用混合スラリーを加熱脱水することにより基体を仮成形する工程と、
(5)前記基体を酸素含有雰囲気下で焼成する工程と、
(6)前記基体の内側から前記第三の原料粉を散布して供給しながら前記基体の内側に配置した加熱源により溶融することで、前記基体の内表面上に透明シリカガラス層を形成する工程と
を有し、前記(4)工程終了後、前記(5)工程及び前記(6)工程のいずれかを先に行うことを特徴とするシリカ容器の製造方法。 - 前記第一の原料粉を、シリカ塊を粉砕、整粒することにより作製したものとすることを特徴とする請求項1に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記基体形成用混合スラリーを作製する工程よりも前に、前記第二の原料粉を、少なくとも有機質バインダー及び純水と混合して顆粒体作製用混合スラリーとし、該顆粒体作製用混合スラリーを乾燥させることにより、前記第二の原料粉をバインダーコーティングされた顆粒体とし、該第二の原料粉の顆粒体を用いて前記基体形成用混合スラリーを作製することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記第一の原料粉のシリカ純度を99.9〜99.999wt.%とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記第一の原料粉の粒径を0.01〜5mmとすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記第二の原料粉の粒径を0.1〜10μmとすることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記基体形成用混合スラリーの加熱脱水を、100〜200℃の温度範囲で行うことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記基体形成用混合スラリーを作製する際の前記第一の原料粉と前記第二の原料粉との配合比を、(第二の原料粉)/{(第一の原料粉)+(第二の原料粉)}が10wt.%以上50wt.%未満とすることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記基体形成用混合スラリーを、アルミニウム元素を含有するものとすることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記第三の原料粉として、不純物量が、リチウム、ナトリウム、カリウムについては各々10wt.ppb以下、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、金については各々1wt.ppb以下のものを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記透明シリカガラス層を形成する工程の際の溶融雰囲気に水素ガス及び水蒸気を含有させ、該透明シリカガラス層にOH基を1〜200wt.ppmの濃度で含有させることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記第三の原料粉にカルシウム、ストロンチウム、バリウムの少なくとも一種を含有させる工程を有することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記第三の原料粉に含有させるカルシウム、ストロンチウム、バリウムの合計濃度を、50〜5000wt.ppmとすることを特徴とする請求項12に記載のシリカ容器の製造方法。
- 請求項1ないし請求項13のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法において、さらに、前記透明シリカガラス層の表面にカルシウム、ストロンチウム、バリウムの少なくとも一種を含む溶液を塗布する工程を有することを特徴とするシリカ容器の製造方法。
- 前記透明シリカガラス層の表面に塗布する溶液中のカルシウム、ストロンチウム、バリウムの合計濃度を、5〜500μg/cm2とすることを特徴とする請求項14に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記透明シリカガラス層の厚さを0.1〜5mmとして形成することを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記基体を焼成する工程よりも後に、前記基体を徐冷点から歪点までの温度域を徐冷することにより歪除去する工程を有することを特徴とする請求項1ないし請求項16のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 前記シリカ容器を、シリコン単結晶引上げ用ルツボとして使用することを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法。
- 請求項1ないし請求項18のいずれか一項に記載のシリカ容器の製造方法によって製造されたことを特徴とするシリカ容器。
- 回転対称性を有するシリカ容器であって、少なくとも、
前記シリカ容器は、気泡を含有し、白色不透明であり、かさ密度が1.90〜2.15g/cm3であり、シリカ純度が99.9〜99.999wt.%である不透明シリカ層からなる基体を有し、
該基体の内側に、実質的に気泡を含有せず、無色透明であり、かさ密度が2.19〜2.21g/cm3であり、厚さが0.1〜5mmである透明シリカガラス層を有するものであり、
前記基体の含有するガスの分子濃度が、該基体から測定用試料を切り出し、該測定用試料のガス放出量を真空下において1000℃に加熱して測定した場合に、COガスについて1×1017分子/cm3以下であり、CO2ガスについて5×1016分子/cm3以下であることを特徴とするシリカ容器。 - 前記基体が、アルミニウム元素を10〜1000wt.ppm含有すること、及び、OH基を10〜1000wt.ppm含有することの少なくともいずれか一方を満たすものであることを特徴とする請求項20に記載のシリカ容器。
- 前記基体のリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムの合計濃度が10〜1000wt.ppmであることを特徴とする請求項20または請求項21に記載のシリカ容器。
- 前記透明シリカガラス層がOH基を1〜200wt.ppm含有するものであることを特徴とする請求項20ないし請求項22のいずれか一項に記載のシリカ容器。
- 前記透明シリカガラス層がカルシウム、ストロンチウム、バリウムの少なくとも一種を含有するものであることを特徴とする請求項20ないし請求項23のいずれか一項に記載のシリカ容器。
- 前記透明シリカガラス層が含有するカルシウム、ストロンチウム、バリウムの合計濃度が50〜5000wt.ppmであることを特徴とする請求項24に記載のシリカ容器。
- 前記透明シリカガラス層の内側に、さらに、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの少なくとも一種を含有する塗布層を有することを特徴とする請求項20ないし請求項25のいずれか一項に記載のシリカ容器。
- 前記塗布層に含有されるカルシウム、ストロンチウム、バリウムの合計濃度が5〜500μg/cm2であることを特徴とする請求項26に記載のシリカ容器。
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