JP2010137780A - 電力伝送式無線通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】通信マスタから発信される駆動電波で通信端末を起動できる構成の上に、その無線通信の耐ノイズ性を向上することができる電力伝送式無線通信システムを提供する。
【解決手段】電子キーシステム3の通信環境下におけるCH1ノイズの発生有無を、チューナ10のノイズ監視部19で監視する。CH1ノイズが存在する場合、スマート通信においてリクエストコードSrcの発信(データ伝送)を、それまでのCH1からCH2に切り換える。電子キー2は、CH1とCH2に対応した受信機15a,15bを持ち、リクエストコードSrcをどちらで受信したかでノイズのチャネルを識別する。そして、電子キー2は、ノイズに影響を受けないCH2でID信号Sidを車両1に返信する。
【選択図】図3

Description

本発明は、通信マスタから発信される駆動電波で通信端末を起動して無線通信を実行する電力伝送式無線通信システムに関する。
近年、多くの機器では、機器間の各種情報の通信に無線通信が使用されている。この種の無線通信システムの一種には、例えばRFID(Radio Frequency IDentification)の通信規格を使用した技術(特許文献1等参照)が広く普及している。RFID通信は、各種情報を記録した微少のICタグ(Integrated Circuitタグ)を使用した近距離無線通信の一種で、タグが小サイズであることから、様々な機器や装置に広く使用される傾向にある。また、RFIDには、通信相手から受信した駆動電波によってICタグが起動するパッシブタイプがあり、この場合はICタグに電池(電源)を載せる必要がなくなるので、サイズを大きくできない小型機器に搭載される機会が多い。
特開2006−311415号公報
ところで、近年では多くの機器や装置において各種情報のやり取りに様々な種類の無線通信が使用されていることから、空間中には種々の電波(浮遊電波)が飛び交っている現状がある。よって、この浮遊電波の中には、RFID通信に悪影響を及ぼす周波数帯を持つ電波も存在し、RFID通信の通信実行下でこの帯域の電波が発生すると、これが機器にノイズとして影響を与え、例えば正規電波がノイズに打ち消されるなどして、RFID通信が成立しない可能性も否めない。この場合は、RFID通信の再実行をユーザに課すことになり、ユーザにストレスを感じさせてしまう問題に繋がっていた。
本発明の目的は、通信マスタから発信される駆動電波で通信端末を起動できる構成の上に、その無線通信の耐ノイズ性を向上することができる電力伝送式無線通信システムを提供することにある。
前記問題点を解決するために、本発明では、通信マスタが通信端末と無線通信を実行する際、そのデータ内容を伝える発信データに、前記通信端末の電力となる駆動電波も併せて発信することにより、当該駆動電波によって前記通信端末を動作させつつ、前記発信データに基づく動作を前記通信端末にとらせて前記無線通信を行う電力伝送式無線通信システムにおいて、前記無線通信の通信環境下におけるノイズの有無を前記通信マスタにおいて監視するノイズ監視手段と、前記ノイズ監視手段がノイズ有りと判断した際に、前記発信データのデータ伝送を、前記ノイズに影響を受けない他チャネルに切り換えるマスタ側発信チャネル切換手段とを備えたことを要旨とする。
この構成によれば、通信マスタが通信端末と無線通信を行う際、通信マスタからは、通信端末の電力として使用される駆動電波と、通信マスタが通信端末に伝達したいデータ内容として発信データとが発信される。通信端末は、通信マスタから発信された駆動電波を受信すると、この駆動電波を電力として起動する。そして、起動後の通信端末は、この駆動電波に続けて通信マスタから送信されてくる発信データを受信し、このデータに基づき動作する。よって、このように無線通信システムを電力伝送式とすれば、通信端末に例えば電池等の電源を搭載せずに済むので、その分だけ通信端末の小型化や低コスト化を図ることが可能となる。
また、通信マスタが通信端末と無線通信を行う通信環境下に、この通信に影響を与え得るノイズが発生しているか否かがノイズ監視手段によって監視される。そして、この通信環境下にノイズが発生していることをノイズ監視手段が検出すると、このノイズに影響を受けないチャネルに発信データの発信チャネルが切り換えられて、このチャネルで通信マスタから発信データが発信される。よって、このように無線通信システムをノイズ有無に応じて発信チャネルを切り換えるマルチチャネル式とすれば、無線通信の通信環境下にノイズが発生していても、通信マスタから発信される発信データを通信端末に伝送することが可能となる。以上により、通信端末の小型化を図りつつ、しかも無線通信の耐ノイズ性を高いものとすることが可能となる。
本発明では、前記通信端末には、当該通信端末が前記発信データに応答して発信する返信データの発信チャネルを、前記発信データの発信チャネルに設定する端末側発信チャネル切換手段が設けられていることを要旨とする。
この構成によれば、通信マスタから受信した発信データに応答して通信端末が返信データを通信マスタに発信する際、通信マスタから受け付けた発信データと同じチャネルで返信データが発信される。ところで、通信マスタから発信された発信データを通信端末が受信できたということは、無線通信の通信環境下には、発信データのチャネルに影響を与えるノイズは発生していないとみなせる。よって、通信端末から通信マスタに向けて発信される返信データを、データ受信時のチャネルで送り返すようにすれば、より確実に返信データを通信マスタに伝送することが可能となる。
本発明では、固有のキーコードを無線通信により発信する電子キーを前記通信端末として使用し、当該電子キーから発信される前記キーコードを前記通信マスタが受信すると、これを当該通信マスタのものと照らし合わせてキー照合を実行する電子キーシステムに適用されていることを要旨とする。
この構成によれば、本構成の電力伝送式無線通信システムを電子キーシステムに適用したので、電子キーが小型で、しかも耐ノイズ性の高い電子キーシステムを提供することが可能となる。
本発明では、前記マスタ側発信チャネル切換手段は、前記ノイズ監視手段がノイズ有りと判断した際、当該ノイズに影響を受けないチャネルの無線信号を発信可能な信号発信部から前記発信データを発信するとともに、当該ノイズに影響を受けるチャネルの無線信号を発信する信号発信部から前記駆動電波を発信したままで維持することを要旨とする。
この構成によれば、通信環境下にノイズが発生している際、通信端末はこのノイズを電力として起動するが、もし仮にこのノイズが間欠的に発生する場合であっても、ノイズ間欠時の電力供給が駆動電波によって穴埋めされる。このため、通信端末に電力を常時付与することが可能となるので、通信端末への安定的な電力供給をサポートすることが可能となる。また、このときは、発信データの発信が駆動電波の発信に影響を受けなくなるので、例えば発信データを直ぐに発信することが可能となり、発信データの伝送時間の短時間化を図ることも可能となる。
本発明によれば、通信マスタから発信される駆動電波で通信端末を起動できる構成の上に、その無線通信の耐ノイズ性を向上することができる。
以下、本発明を具体化した電力伝送式電子キーシステムの一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、車両キーとして使用される電子キー2との間でキーコードによりキー照合を行う電子キーシステム3と、車両ドア(座席ドア及びラッゲージドアも含む)のドアロックを施解錠するドアロックシステム4と、車両1の電源状態(電源ポジション)及びエンジン始動停止を管理するエンジンシステム5とが設けられている。なお、電子キー2は、車両1との間で狭域無線通信が可能であって、電子キー2が固有に持つIDコードを無線通信により車両1に発信して車両1にキー照合を行わせることが可能なキーのことをいう。なお、車両1が通信マスタに相当し、電子キー2が通信端末に相当し、電子キーシステム3が電力伝送式無線通信システムに相当する。
電子キーシステム3には、電子キー2がIDコードを発信するときに個別のキー操作が不要であるキー操作フリーシステム6がある。キー操作フリーシステム6には、ドアロック施解錠操作の際にキー操作を必要としない機能としてスマートエントリーシステムがある。このスマートエントリーシステムでは、車両1に、電子キー2との間でキー照合(ID照合)を行う照合ECU(Electronic Control Unit)7が設けられている。照合ECU7には、車外にRF帯(Radio Frequency:約312MHz)の信号を発信すべく例えば車両ドア等に設置された車外発信機8と、車内に同じRF帯の信号を発信すべく車内床等に設置された車内発信機9と、RF帯の信号を受信可能なチューナ10とが接続されている。また、照合ECU7は、車内の一ネットワークである車内LAN(Local Area Network)11を介してドアロックシステム4及びエンジンシステム5に接続されている。
また、電子キー2には、電子キー2の各種動作を統括制御する通信制御部(制御IC:Integrated Circuit)12が設けられている。この通信制御部12は、CPU(Central Processing Unit)13やメモリ14等の各種デバイスを持ち、電子キー2が持つ固有のキーコードとしてIDコードがメモリ14に登録されている。通信制御部12には、RF帯の無線信号を受信可能なキー受信機15と、RF帯の無線信号を発信可能なキー発信機16とが接続されている。通信制御部12は、キー受信機15でどの種の無線信号を受け付けたか否かを逐次監視するとともに、キー発信機16からの信号発信の動作を管理する。
車両1が駐車状態の際、照合ECU7は、車外発信機8からRF帯のリクエスト信号Srqを断続的に発信させ、車両周辺にリクエスト信号Srqの車外通信エリアを形成して、狭域無線通信(以降、スマート通信と記す)の成立を試みる。電子キー2がこの車外通信エリアに入り込んでリクエスト信号Srqを受信すると、電子キー2はリクエスト信号Srqに応答する形で、自身のメモリ14に登録されたIDコードを乗せたID信号SidをRF帯の信号で返信する。照合ECU7は、チューナ10でID信号Sidを受信してスマート通信が確立すると、自身のメモリ17に登録されたIDコードと電子キー2のIDコードとを照らし合わせてID照合、いわゆるスマート照合(車外照合)を行う。照合ECU7は、この車外照合が成立したことを確認すると、ドアロックシステム4によるドアロック施解錠動作を許可又は実行する。なお、ID信号Sidが返信データに相当する。
また、キー操作フリーシステム6には、エンジン始動停止操作の際に実際の車両キー操作を必要とせずに単なるスイッチ操作のみでエンジン(図示略)の始動停止操作を行うことが可能な機能としてワンプッシュエンジンスタートシステムがある。このワンプッシュエンジンスタートシステムでは、例えばカーテシスイッチ(図示略)により運転者の車内への乗車が確認されると、照合ECU7はそれまでの車外発信機8からではなく、今度は車内発信機9からリクエスト信号Srqを発信して、車内全域に車内通信エリアを形成する。照合ECU7は、電子キー2がこの車内通信エリアに入り込んで返信してきたID信号Sidをチューナ10で受信すると、自身に登録されたIDコードと電子キー2のIDコードとを照らし合わせてID照合、いわゆるスマート照合(車内照合)を行う。照合ECU7は、この車内照合が成立したことを確認すると、エンジンシステム5による電源状態切り換えを許可する。
これにより、エンジンが停止状態の際、ブレーキペダルが踏み込まれた状態でプッシュモーメンタリ式のエンジンスイッチ(図示略)がプッシュ操作されると、停止状態であったエンジンが起動状態に切り換わる。また、エンジンが可動状態の際、セレクトレバーのレンジ位置が駐車位置(Pレンジ)の状態でエンジンスイッチがプッシュ操作されると、今度はエンジンが停止状態に切り換わる。更に、エンジンが停止状態の際、ブレーキペダルは踏み込み操作されずにエンジンスイッチのみがプッシュ操作されると、このプッシュ操作の度に電源状態が電源オフ→ACCオン→IGオンの順に繰り返し切り換わる。
また、本例の電子キーシステム3は、キー照合の無線通信の際に車両1から駆動電波Svvを電子キー2に発信して電力伝送を実行することにより、電池を持たない電子キー2を動作させる無線電力伝送システムに準じた通信形式がとられている。この場合、車外発信機8(車内発信機9)には、リクエスト信号Srqを発信する際にこれに電力電波を付加して発信させる電力伝送処理部18が設けられている。この電力伝送処理部18は、リクエスト信号Srqを電子キー2に発信するに際して、電池を持たない電子キー2を起動させ得る電力電波として駆動電波Svvをまず最初に発信しつつ、これに続けてリクエスト信号Srqの主データであるリクエストコードSrcを発信する。また、この電力伝送の通信規格には、例えばRFIDが採用されている。なお、リクエストコードSrcが発信データに相当する。
キー受信機15は、車両1から発信された駆動電波Svvを受信すると、これを通信制御部12に出力する。通信制御部12は、キー受信機15から駆動電波Svvに基づく電圧(起動電圧)を受け付けると、これによってそれまでの待機状態から起動状態に動作状態が切り換わり、駆動電波Svvの後に続けて送られてくるリクエストコードSrcの受け付けを実行する。そして、通信制御部12は、このリクエストコードSrcに従って動作することにより、リクエストに応答する動作として、ID信号Sidをキー発信機16から車両1に向けて発信するように動作する。
更に、図2〜図5に示すように、電子キーシステム3は、もし仮にキー照合の通信環境下にノイズが発生しても、ノイズに影響を受けない帯域の周波数(チャネル)に通信周波数を切り換えてノイズに対応するマルチチャネルシステムに準じた通信形式がとられている。本例のマルチチャネルは、チャネル1(以降、CH1と記す)の周波数を通常使用する周波数(チャネル)として使用し、電子キーシステム3の通信環境下にCH1のノイズが発生する場合に、使用周波数をチャネル2(以降、CH2と記す)に切り換えるシステムである。
図2及び図3に示すように、チューナ10には、リクエスト信号Srqに影響を与えるノイズの有無を監視するノイズ監視部19が設けられている。本例のノイズ監視部19は、リクエスト信号Srqの通常発信周波数であるCH1に影響を与えるノイズの有無を監視する。ところで、チューナ10は、例えば図4及び図5に示すように、無線信号を受信する際に実行する最初の受信動作として、どの周波数の無線信号が通信環境下に存在するのかを探査する受信準備動作を、所定のポーリング周期で繰り返し実行する。このポーリング周期は、例えば数百msに設定されている。また、電子キーシステム3がマルチチャネルシステムをとる場合、この種のチューナ10は、前述した受信準備動作として、CH1の無線信号の受信有無を探査するCH1受信準備動作と、CH2の無線信号の受信有無を探査するCH2受信準備動作を連続的に実行する。そして、チューナ10は、CH1受信準備動作のときにCH1の無線信号を受信すると、CH1の無線信号を取り込む動作に入り、一方でCH2受信準備動作のときにCH2の無線信号を受信すると、CH2の無線信号を取り込む動作に入る。なお、ノイズ監視部19がノイズ監視手段に相当する。
ノイズ監視部19は、CH1受信準備動作時においてCH1の無線信号を受信した際に、これを正常に受け付けることができずに受信時間がタイムアップしたときや、或いは受信信号のフォーマットが異なることを確認したときなどに、通信環境下に対CH1のノイズが発生していると判定する。ノイズ監視部19は、このノイズ監視を逐次実行し、ノイズ監視結果を照合ECU7に出力する。なお、チューナ10は、1つの受信アンテナを共用するもののCH1用の受信回路とCH2用の受信回路との2受信回路を持ち、これら回路の一方が選択的に動作することにより、CH1及びCH2の一方の無線信号が受信可能となっている。
図2及び図3に示すように、照合ECU7には、ノイズ監視部19の監視結果を基に、リクエスト信号Srq(リクエストコードSrc)の発信周波数をノイズに影響を受けないチャネルに設定する車側発信周波数設定部20が設けられている。本例の車側発信周波数設定部20は、CH1及びCH2のうちノイズを受けない側のチャネルで信号発信を行う。車側発信周波数設定部20は、例えばノイズ監視部19からノイズ無しの通知を取得すると、リクエスト信号Srqの発信周波数を新たに切り換えることなく、それまで通りチャネルCH1の周波数で通信を実行する。また、車側発信周波数設定部20は、ノイズ監視部19からノイズ有りの通知を取得すると、リクエスト信号Srqの発信周波数を、ノイズ(本例はCH1)に影響を受けないCH2に切り換えて通信を実行させる。ここで、本例の電子キー2は、CH1の帯域を持つノイズ又は駆動電波Svvによって起動するので、駆動電波Svvが車両1からCH1で発信されても、電子キー2への電力供給に関しては何ら問題ない。よって、駆動電波SvvはそのままCH1で発信され、リクエストコードSrcのみ発信周波数がCH2に切り換えられて発信される。なお、車側発信周波数設定部20がマスタ側発信チャネル切換部に相当する。
車外発信機8は、各々異なるチャネルの無線信号を発信すべく複数(本例は2つ)設けられている。なお、本例の車外発信機8は、CH1の無線信号を発信可能なCH1車外発信機8aと、CH2の無線信号を発信可能なCH2車外発信機8bとからなる。また、これら車外発信機8a,8bには、それぞれが持つ固有のCHで駆動電波Svvが発信可能となるように、電力伝送処理部18が各々設けられている。なお、車内発信機9も車外発信機8と同様に、CH1の無線信号を発信可能なC1車内発信機と、CH2の無線信号を発信可能なCH2車内発信機とからなる。なお、発信機8a,8bが信号発信部に相当する。
よって、車側発信周波数設定部20は、例えば車外照合の際に電子キーシステム3の通信環境下にCH1のノイズが発生していないことを確認すると、CH1車外発信機8aに駆動電波SvvのデータとリクエストコードSrcのデータとの両方を出力し、CH1車外発信機8aから駆動電波Svv及びリクエストコードSrcの両方を発信させる。また、車側発信周波数設定部20は、例えば車外照合の際に電子キーシステム3の通信環境下にCH1のノイズが発生していることを確認すると、まずは最初に駆動電波SvvのデータをCH1車外発信機8aに出力してCH1車外発信機8aから駆動電波Svvを発信させる。そしてこの後、照合ECU7は、CH2車外発信機8bにリクエストコードSrcのデータを出力してCH2車外発信機8bからリクエストコードSrcを発信させ、CH1のノイズが発生する状況下においてリクエストコードSrcを電子キー2に受け取らせる。
一方、キー受信機15は、各々異なるチャネルの無線信号を受信すべく複数(本例は2つ)設けられている。なお、本例のキー受信機15は、CH1の無線信号を受信可能なCH1キー受信機15aと、CH2の無線信号を受信可能なCH2キー受信機15bとからなる。これらキー受信機15a,15bは、各々個別の回路群(部品ユニット)として構成され、例えばバンドパスフィルタ21及び整流回路22からなる。このように、これらキー受信機15a,15bが独立した回路群からなるのは、電子キー2が電池を持たず電波で取り込む駆動電波Svvにより動くものであるので、例えば1つの受信機においてその受信周波数を切り換えるには、これではパワー不足となるからである。
また、キー受信機15aは、リクエストコードSrcの取り出し線であるリクエストコード用配線Haと、駆動電波Svvの取り出し線である駆動電波用配線Hbとによって通信制御部12に接続されている。リクエストコード用配線Haは、バンドパスフィルタ21と整流回路22との間から通信制御部12に延びている。また、駆動電波用配線Hbは、整流回路22から直接通信制御部12に延びている。また、キー受信機15bも、キー受信機15aと同様の配線構造をとっている。
通信制御部12には、リクエストコードSrc(リクエスト信号Srq)を2つのキー受信機15a,15bのうちどちらで受信したのかを基に、ID信号Sidの発信周波数を設定するキー側発信周波数設定部23が設けられている。キー側発信周波数設定部23は、CH1キー受信機15aでリクエストコードSrcを受信したことを確認すると、電子キーシステム3の通信環境下には対CH1のノイズは発生していないと認識して、ID信号Sidの発信周波数をCH1に設定する。一方、キー側発信周波数設定部23は、CH2キー受信機15bでリクエストコードSrcを受信したことを確認すると、電子キーシステム3の通信環境下には対CH1のノイズが発生していると認識して、ID信号Sidの発信周波数をこのノイズに影響を受けないCH2に設定する。なお、キー側発信周波数設定部23が端末側発信チャネル切換手段に相当する。
キー発信機16は、1つの発信アンテナを共用するもののCH1用の発信回路とCH2用の発信回路との2発信回路を持ち、これら回路の一方が選択的に動作することにより、CH1及びCH2の一方の無線信号が発信可能となっている。キー側発信周波数設定部23は、電子キー2がリクエストコードSrcをCH1で受信したことを確認すると、CH1用の発信回路でID信号Sidの発信動作を実行することにより、ID信号Sidを電子キー2からCH1の周波数で発信させる。また、キー側発信周波数設定部23は、電子キー2がリクエストコードSrcをCH2で受信したことを確認すると、CH2用の発信回路でID信号Sidの発信動作を実行することにより、ID信号Sidを電子キー2からCH2の周波数で発信させる。
次に、本例の電子キーシステム3の動作を図2〜図5を用いて説明する。
まずは、図2及び図4に示すように、電子キーシステム3の通信環境下に対CH1のノイズが発生していない場合を想定する。照合ECU7は、キー操作フリーシステム6で行う動作として、スマート通信(車外照合、車内照合)の通信エリア内に電子キー2が存在するか否かを確認すべく、車外発信機8(車内発信機9)からウェイク信号(ウェイクパターン)24をRF帯の信号で断続的に発信させて、ウェイク信号24の通信エリアを形成する。
例えば、車外照合を行う際は、車外発信機8からウェイク信号24を車外周囲に断続的に発信して、車両周囲にウェイク信号24の通信エリアを形成する。また、車内照合を行う際は、車内発信機9からウェイク信号24を車内全域に発信して、車内全域にウェイク信号24の通信エリアを形成する。なお、以降の説明では、車外照合の例を挙げることとする。また、このウェイク信号24は、待機状態(スリープ状態)にある電子キー2を起動状態とする指令であって、所定の一定間隔をおいて車外発信機8から繰り返し発信される。
また、本例のウェイク信号24には、電子キー2の電力として電子キー2に伝送する駆動電波Svvと、自信号がウェイク信号24であるという機能コードとしてウェイクコードとが含まれている。更に、本例の場合、CH1ノイズが発生していない通常状態において使用するチャネルがCH1に設定されているので、電子キーシステム3の通信環境下にCH1ノイズが発生していないときには、駆動電波Svv及びウェイクコードの両方がCH1車外発信機8aからCH1で発信される。そして、電子キー2は、このウェイク信号24の中の駆動電波Svvを受信することができれば、それまでの停止状態から、電子キー2の各種部品に電力が供給された電力供給状態に切り換わる。
また、照合ECU7は、チューナ10が今現在どのチャネルの無線信号を受け付けているのかを確認する受信準備動作を、ウェイク信号24の発信動作に合わせて、即ちポーリング周期の周期サイクルで繰り返し実行する。本例の照合ECU7は、ポーリングの受信準備動作として、まずは最初に待機中のチューナ10を起動させるスタートアップ動作を行い、その後、CH1受信準備動作を行うとともに、これに連続してCH2受信準備動作を行う。そして、照合ECU7は、このように連続するスタートアップ動作→CH1受信準備動作→CH2受信準備動作の一連の動作を、ウェイク信号24の発信に合わせて繰り返し行う。
ポーリングの受信準備動作(スタートアップ動作、CH1受信準備動作、CH2受信準備動作)は、受信有無確認動作中に電子キー2からの返信を受け付けることができるように、ウェイクパターン発信から予め決められた一定時間をおいた時刻に開始されるように設定されている。また、スタートアップ動作は、非常に短い時間の処理であり、例えば数msという短い処理時間に設定されている。また、CH1受信準備動作及びCH2受信準備動作は、受信の確認時間が同じ時間に設定され、例えばアック返信のビット長よりも所定時間だけ長く(例えば十数ms)設定されている。
電子キー2がウェイク信号24の通信エリアに入り込み、ウェイク信号24をCH1キー受信機15aで受信すると、電子キー2がウェイク信号24内の駆動電波Svvによってそれまでの停止状態から電力供給状態に切り換わる。そして、電子キー2は、駆動電波Svvの後に続いて読み込むウェイクコードに従って動作して、電子キー2の電源がオンした状態として起動状態に入る。このとき、電子キー2はウェイクコードをCH1で受信したことを確認するので、キー側発信周波数設定部23は、電子キー2から車両1に発信する各種信号のチャネルをCH1に設定する。よって、通信制御部12は、ウェイクコードを受け取って起動状態に入ると、その通知として車両1に第1アック信号25を返信するが、これをCH1で発信する。また、この第1アック信号25は、チューナ10がポーリングでCH1受信準備動作をとるときに車両1に到達する発信タイミングに設定されている。
CH1ノイズが発生していない場合、このときの照合ECU7は、ウェイク信号24を発信した後、続いて行うポーリングのCH1受信準備動作の際に第1アック信号25を受信する。なお、照合ECU7は、第1アック信号25内のビットを確認することで、アック受信を確認する。照合ECU7は、ウェイク信号24を発信した後に正常にアック返信を受け付けると、電子キー2がスマート通信の通信エリア内に存在すると判断する。また、照合ECU7は、ウェイク信号24に応答したアック返信を正常に受け付けると、その周期でポーリングを終了し、これ以降はこのとき通信が確立したチャネル(ここでは、CH1)により、電子キー2が正規のものであるのかを実際に確認する認証動作に移行する。なお、この認証動作における受信準備動作は、CH1で実行される。
また、照合ECU7は、ウェイクパターン発信の後に電子キー2からアック返信を受け付けると、続いては自身の車両コードとしてビークルID信号26を、CH1車外発信機8aからCH1で発信させる。このビークルID信号26には、前述した駆動電波Svvと、車両が持つ固有のIDコードであるビークルIDとが含まれている。電子キー2は、ビークルID信号26をCH1キー受信機15aで受信した際、このビークルID信号26に含まれる駆動電波Svvによって電力が補充され、続く動作の継続が確保される。そして、通信制御部12は、この駆動電波Svvに続くビークルIDの読み込み動作を実行する。
電子キー2は、車両1からビークルIDを受け付けると、このビークルIDが正常コードであるか否かを見る確認としてビークルID照合を行い、このときにスマート通信を行っている車両1が正規車両であるのか否かの判定を行う。このように、車両1から電子キー2にビークルIDを発信して電子キー2に車両の種別判定を行わせるのは、電子キー2の周囲に複数車両が存在してこれらから無線信号を受け付ける状況になっても、この中において正規車両のみとスマート通信を行うためである。電子キー2は、このビークルID照合が成立したことを認識すると、その旨を通知すべくキー発信機16からCH1で車両1に向けてアック返信を行う。この第2アック信号27は、第1アック信号25と同じビットをとるものである。
照合ECU7は、ビークルID信号26を発信した後、認証動作時における受信準備動作として、所定時間後に対アック受信準備動作を行う。この対アック受信準備動作は、CH1の無線信号を受け付ける受信準備動作であって、スタートアップ動作とCH1受信準備動作とからなり、電子キー2から発信される第2アック信号27を受信可能なタイミングに起動時刻が設定されている。照合ECU7は、ビークルID信号26を発信した後、対アック受信準備動作のCH1受信準備動作のときに第2アック信号27を受信すると、電子キー2との間でビークルID照合が成立したと認識し、スマート通信の通信エリア内に存在する電子キー2が自身とペアをなすものであると認識する。
照合ECU7は、ビークルID照合が成立したことを確認すると、続いてチャレンジレスポンス認証用の認証信号28を、CH1車外発信機8aからCH1で発信させる。この認証信号28には、前述した駆動電波Svvと、認証時の乱数として使用するチャレンジコードと、車両1側に登録された電子キー2のキー番号(数bitデータ)とが含まれている。電子キー2は、第2アック信号27を発信してから所定時間の間に認証信号28をCH1キー受信機15aで受信することができれば、アック返信がCH1で成功したことを認識する。そして、電子キー2は、車両1から認証信号28を受信すると、この認証信号28に含まれる駆動電波Svvによって電力が補充され、続く動作の継続が確保される。
また、このチャレンジレスポンス認証の際に、車両1から電子キー2のキー番号を電子キー2に発信して電子キー2側でキー番号の照合を行わせるのは、周囲にマスターキー及びサブキーの両方が存在することも想定され、これらが同時にスマート通信を行ってしまうと混信が生じる可能性もあることから、車両1側からキー番号を送ってその時々のスマート通信の通信対象を指定することで、この種の混信を防止している。通信制御部12は、認証信号28を受信すると、この中に含まれるキー番号を、自身のものと照らし合わせて番号照合を行い、自身がこの時のスマート通信の通信対象であるか否かを判断する。
更に、この番号照合成立を確認することができた電子キー2は、続いてチャレンジコードに対するレスポンスの作成に移行する。このとき、通信制御部12は、認証信号28に含まれるチャレンジコードに、電子キー2に登録された暗号鍵を使用して特別な計算を加え、これをレスポンスコードとして生成する。そして、通信制御部12は、このレスポンスコードと電子キー2に登録されたIDコードとを含んだレスポンス信号29を、キー発信機16からCH1で発信する。
照合ECU7は、認証信号28を発信した後、認証動作時における受信準備動作として、所定時間後に対レスポンス受信準備動作を開始する。この対レスポンス受信準備動作は、前述したスタートアップ動作と、対CH1の信号受信を確認するCH1受信準備動作とからなり、電子キー2から発信されるレスポンス信号29を受信可能なタイミングに起動時刻が設定されている。照合ECU7は、認証信号28を発信した後、対レスポンス受信準備動作のときにレスポンス信号29を受信すると、レスポンス信号29に含まれるIDコードを、車両1に登録されたものと照らし合わせてIDコード照合を行う。そして、これらIDコードが一致すれば、IDコード照合が成立すると認識する。
また、照合ECU7は、チャレンジコードを電子キー2に発信するに際して、自身もこのチャレンジコードに特別な計算を加えてレスポンスを計算する。そして、照合ECU7は、チューナ10でレスポンス信号29を受信した際、レスポンス信号29内のレスポンスコードを、自身が自ら計算したものと照らし合わせてレスポンス照合を行うことにより、通信相手の電子キー2がペアをなすものかを確認する。照合ECU7は、これらレスポンスコードが一致すると、レスポンス照合が成立することを確認する。照合ECU7は、以上の一連の照合が全て成立することを確認すると、スマート照合を成立とみなし、ドアロック施解錠やエンジン始動の各種操作を許可又は実行する。
照合ECU7は、スマート照合が成立したことを確認すると、その旨を通知する終了コード信号30を、CH1車外発信機8aからCH1で発信させる。この終了コードには、前述した駆動電波Svvと、電子キー2にスマート通信を終了させる機能コードとして終了コードとが含まれている。電子キー2は、レスポンス信号29を発信してから所定時間の間に終了コード信号30をCH1キー受信機15aで受信すれば、スマート通信が成立したと認識して、スマート通信を終了する。また、電子キー2は、終了コード信号30を受信した際、この終了コード信号30に含まれる駆動電波Svvによって電力が補充される。
一方、図3及び図5に示すように、電子キー2が車両1とスマート通信を行う際に、CH1に影響を及ぼすノイズとして、例えばCH1と同一の周波数であってCH1の無線信号を打ち消してしまうような強度を持つランダムノイズ(アンフォーマットノイズとも言う)が発生した場合を想定する。ここで、通信環境下にCH1ノイズが発生している場合、チューナ10はポーリングのCH1受信準備動作のときにCH1ノイズを受信する動作状態をとる。このため、ノイズ監視部19は、CH1に準ずる無線信号を正常に受信できない動作をとることを以て、通信環境下においてCH1ノイズ有りと判定し、CH1ノイズ有りの通知を車側発信周波数設定部20に出力する。
車側発信周波数設定部20は、ノイズ監視部19からCH1ノイズ有りの通知を入力すると、データ送信で使用するチャネルを、ノイズに影響を受けない他チャネルに切り換える。本例の場合、車側発信周波数設定部20は、駆動電波Svvの発信周波数をCH1のままとするものの、リクエストコードSrcに関係する信号群をCH2に切り換えて発信する。なお、このリクエストコードSrcは、上記したウェイクコード、ビークルID、チャレンジコード、キー番号及び終了コードに相当する。このため、照合ECU7は、ノイズ監視部19からCH1ノイズ有りの通知を入力した場合、ウェイク信号24としてウェイクコードのみをCH2車外発信機8bからCH2で発信させる。これにより、電子キーシステム3の通信環境下にCH1ノイズが発生していても、このときのウェイク信号24はこれに影響を受けないCH2で発信されるので、ウェイク信号24が電子キー2に問題なく届く。
このとき、照合ECU7は、CH2車外発信機8bからのウェイク信号24の発信の傍ら、図5に示すように、CH1車外発信機8aからの駆動電波Svvの発信をそのまま継続させる。ところで、スマート通信の通信環境下にCH1ノイズが発生する場合、電子キー2はCH1ノイズにより電力を常に取得する状態をとる。このため、CH1ノイズが発生している際には、電力供給をCH1ノイズに頼り、リクエストコードSrcの信号群のみを発信する動作をとれば問題はない。よって、この通信形式をとれば、電力伝送の時間が省略されるので、通信時間の短時間化に効果が高い。しかし、場合によってはCH1ノイズが断続的に発生する可能性もあるので、このときも電子キー2に電力が付与されるように、本例では発信機8aからの駆動電波Svvの発信が継続される。このため、スマート通信の通信時間の短時間化と、電子キー2への安定した電力供給との両立が図られる。
電子キー2は、このウェイク信号24をCH2キー受信機15bで受信すると、受信したCH2のウェイク信号24に従って動作することにより、それまでの待機状態から起動状態に状態が切り換わる。また、キー側発信周波数設定部23は、ウェイク信号24をCH2キー受信機15bで受信したことを確認すると、スマート通信の通信環境下にCH1ノイズが発生していると判断し、電子キー2から車両1へ各種信号を発信するときの発信周波数を、それまでのCH1からCH2に切り換える。
通信制御部12は、ウェイク信号24の受信によって起動状態に入ると、これを車両1に通知すべく第1アック信号25を車両1に返信するが、このときの第1アック信号25をCH2で発信する。よって、スマート通信の通信環境下にCH1ノイズが発生していても、これに影響を受けないCH2で第1アック信号25は発信されるので、問題なく車両1に届く。また、この第1アック信号25は、チューナ10がポーリングでCH2受信準備動作をとるときに車両1に到達する発信タイミングに設定されている。
CH1ノイズが発生している場合、照合ECU7は、ウェイク信号24を発信した後、続いて行うポーリングのCH2受信準備動作の際に第1アック信号25を受信する。照合ECU7は、ウェイク信号24を発信した後に正常にアック返信を受け付けると、電子キー2がスマート通信の通信エリア内に存在すると判断する。また、照合ECU7は、ウェイク信号24に応答したアック返信を正常に受け付けると、その周期でポーリングを終了し、これ以降はこのとき通信が確立したチャネル(ここでは、CH2)により、電子キー2が正規のものであるのかを実際に確認する認証動作に移行する。なお、このときの認証動作における受信準備動作は、CH2で実行される。
そして、照合ECU7は、CH1車外発信機8aから駆動電波Svvを発信させながら、ビークルID信号26としてビークルIDのみをCH2車外発信機8bから発信させる。よって、スマート通信の通信環境下にCH1ノイズが発生していても、これに影響を受けないCH2で第2アック信号27は発信されるので、問題なく車両1に届く。また、車両1からは駆動電波Svvの伝送を待たずにビークルID信号26が直ぐに発信されるので、電子キー2は第1アック信号25を発信してから時間を置かずにビークルID信号26を受信する。電子キー2は、車両1から発信されたビークルID信号26をCH2キー受信機15bで受信すると、ビークルID照合を実行し、この照合が成立すれば、照合成立を通知する旨として第2アック信号27をキー発信機16からCH2で発信する。
また、照合ECU7は、ビークルID信号26を発信した後、認証動作時における受信準備動作として、所定時間後に対アック受信準備動作を行う。このときの対アック受信準備動作は、スタートアップ動作とCH2受信準備動作とからなり、電子キー2から発信される第2アック信号27を受信可能なタイミングに起動時刻が設定されている。照合ECU7は、ビークルID信号26を発信した後、対アック受信準備動作のCH2受信準備動作のときに第2アック信号27を受信すると、電子キー2との間でビークルID照合が成立したと認識し、スマート通信の通信エリア内に存在する電子キー2が自身とペアをなすものであると認識する。
照合ECU7は、ビークルID照合が成立したことを確認すると、CH1車外発信機8aから駆動電波Svvを発信させながら、認証信号28としてチャレンジコード及びキー番号の信号群をCH2車外発信機8bから発信させる。よって、スマート通信の通信環境下にCH1ノイズが発生していても、これに影響を受けないCH2で認証信号28は発信されるので、問題なく電子キー2に届く。電子キー2は、この認証信号28をCH2キー受信機15bで受信すると、まずは番号照合を行い、この番号照合が成立すると、チャレンジコードからレスポンスコードを生成する。そして、通信制御部12は、レスポンスコード及びIDコードからなるレスポンス信号29をキー発信機16からCH2で発信する。よって、スマート通信の通信環境下にCH1ノイズが発生していても、これに影響を受けないCH2でレスポンス信号29は発信されるので、問題なく車両1に届く。
照合ECU7は、認証信号28を発信した後、認証動作時における受信準備動作として、所定時間後に対レスポンス受信準備動作を開始する。この対レスポンス受信準備動作は、前述したスタートアップ動作と、対CH2の信号受信を確認するCH2受信準備動作とからなり、電子キー2から発信されるレスポンス信号29を受信可能なタイミングに起動時刻が設定されている。照合ECU7は、認証信号28を発信した後、対レスポンス受信準備動作のときにレスポンス信号29を受信すると、まずはレスポンス信号29に含まれるIDコードを、車両1に登録されたものと照らし合わせてIDコード照合を行い、これらIDコードが一致すれば、IDコード照合が成立すると認識する。また、照合ECU7は、IDコード照合の成立を確認すると、続いてはレスポンス照合を行い、電子キー2から受信したレスポンスコードが、自身が生成したものと一致すれば、レスポンス照合を認識する。照合ECU7は、以上の一連の照合が全て成立することを確認すると、スマート照合を成立とみなし、ドアロック施解錠やエンジン始動の各種操作を許可又は実行する。
また、照合ECU7は、スマート照合が成立したことを確認すると、CH1車外発信機8aからの駆動電波Svvの発信を止めつつ、終了コード信号30として終了コードをCH2車外発信機8bから発信させる。よって、スマート通信の通信環境下にCH1ノイズが発生していても、これに影響を受けないCH2で終了コード信号30は発信されるので、問題なく車両1に届く。電子キー2は、この終了コード信号30をCH2キー受信機15bで受信すると、スマート照合が成立したと認識して、このスマート通信を終了する。なお、以上は無線通信環境下にCH1ノイズが発生した例を挙げたが、CH2ノイズが発生した場合も動作原理は同じであるので、これについては説明を省略する。
さて、電子キー2が自ら電源(電池)を持たず、車両1から発信される電力用の駆動電波Svvで電子キー2が動く本例のような電子キーシステム3において、車両1のチューナ10のノイズ監視部19でCH1ノイズを定期的にモニタし、スマート通信の通信環境下にCH1ノイズが発生している場合には、電力伝送は変わらずCH1で行うものの、データ送信はノイズに影響を受けていないCH2に切り換えて実行する。このため、各種通信データが互いに通信相手先に届くので、通信環境下にノイズが発生してもスマート通信を確立させることが可能となる。
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)電子キーシステム3は、車両1から発信された駆動電波Svvを電力として電子キー2が起動する電力伝送式である。このため、電子キー2に電池等の電源を搭載せずに済むので、その分だけ電子キー2の小型化や低コスト化を図ることができる。また、電子キーシステム3は、通常時の使用チャネルであるCH1に対するノイズが通信環境下に発生している場合に、ノイズに影響を受けないCH2に発信チャネルを切り換えるマルチチャネル式でもある。よって、電子キーシステム3の通信環境下にCH1ノイズが発生していても、車両1のリクエストコードSrcを電子キー2に受け取らせることもできる。以上により、本例においては、電子キー2の小型化を図りつつ、しかも無線通信の耐ノイズ性が高い電子キーシステム3を提供することができる。
(2)電子キー2がリクエストコードSrcを受信してID信号Sidを車両1に返信する際には、リクエストコードSrcのチャネルと同じチャネルでリクエストコードSrcを発信する。ところで、車両1から発信されたリクエストコードSrcを電子キー2が受信できたということは、スマート通信の通信環境下に、リクエストコードSrcのチャネルに影響を及ぼすノイズは発生していないとみなせる。よって、電子キー2がリクエストコードSrcに応答してID信号Sidを車両1に返信する際、リクエストコードSrcと同じチャネルでこれを送り返すようにすれば、車両1がID信号Sidを受信するその受信精度をより高いものとすることができる。
(3)車両1の発信機8,9を多チャネル対応とする場合、これら発信機8,9を、各々が単独部品(部品ユニット)として製造された発信機8a,8bにより構成した。このため、リクエストコードSrcの発信周波数を切り換える際には、これら発信機8,9のうちのどちらを使用するのかを単に選択するという簡素な処理によって、リクエストコードSrcの発信チャネルの切り換えを実行することができる。また、この場合は、スマート通信の通信環境下にCH1ノイズが発生している際、駆動電波SvvとリクエストコードSrcとの同時発信も可能となるので、リクエストコードSrcの発信が駆動電波Svvの発信完了に寄らずに済む。よって、スマート通信時においてリクエストコードSrcを直ちに発信することが可能となるので、通信時間の短時間化を図ることができる。
(4)リクエストコードSrcの発信チャネルをCH1からCH2に切り換えた際、発信機8aからの駆動電波Svvの発信を継続させる。このため、スマート通信の通信環境下にCH1ノイズが発生している際、電子キー2はこのCH1ノイズを電力に起動する状態をとるが、もし仮にこのノイズが間欠的に発生する場合であっても、ノイズ間欠時には駆動電波Svvによって電力供給がなされるので、電力供給の穴埋めが可能となる。このため、電子キー2に電力を常時付与することが可能となるので、電子キー2への安定的な電力供給をサポートすることができる。
(5)キー受信機15を多チャネル対応とする場合、このキー受信機15を、各々が単独部品(部品ユニット)として製造された受信機15a,15bにより構成した。ところで、例えば1つの受信機において受信チャネルを切り換えるには、この切り換えに大パワーが必要となり、電池を持たない本例のような電子キー2では、動作に不安定さが発生する可能性も否めない。しかし、本例のように、単独した2つの受信機15a,15bを用意し、これらで多チャネルの受信に対応するものであれば、大パワーを要せずとも受信チャネルを多チャネル化することができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ CH1ノイズ発生下において、駆動電波SvvとリクエストコードSrcとは、必ずしも同時に発信されることに限定されない。例えば、CH1ノイズ非発生下のときと同様に、先に駆動電波Svvを発信して、その後にリクエストコードSrcを発信する通信形式をとってもよい。
・ 車両1の発信機8(9)は、必ずしも各々が部品として独立した2つの発信機8a,8bから構成されることに限定されない。即ち、車両1の発信機8(9)は、1つの機器からなるとともに、その中の発信回路の発信周波数を切り換えることにより多チャネル対応可となっているものでもよい。この場合は、駆動電波SvvとリクエストコードSrcとの同時発信が不可となるので、これらを順番に発信する通信形式をとることになる。なお、これはキー受信機15についても同様に言える。
・ 車両1のチューナ10と電子キー2のキー発信機16は、必ずしも1つの機器からなることに限定されず、発信機8(9)やキー受信機15のように各々独立した複数の部品群からなるものでもよい。
・ 電子キー2は、必ずしも電池等の電源を持たないことに限定されず、二次電池を持ってこれにより起動するものでもよい。この場合、電子キー2が駆動電波Svvを受信した際、この駆動電波Svvの電力により二次電池が充電されるようにしてもよい。
・ 電子キー2がID信号Sidを車両1に発信する際、このときの発信チャネルは、必ずしもリクエストコードSrcの受信チャネルと同じであることに限定されない。即ち、リクエストコードSrcとは異なるチャネルでID信号Sidが発信されてもよい。
・ 電子キーシステム3は、必ずしもキー操作フリーシステム6に限定されず、機能コード発信の際に電子キー2でボタン操作を要するワイヤレスキーシステムでもよい。また、電子キーシステム3は、これら両システムを持つものでもよい。
・ 電子キーシステム3で使用する信号周波数は、必ずしもRF帯のものに限らず、RF以外の他のUHF帯の信号を使用してもよいし、或いはLF帯を使用してもよい。
・ 電子キー2側のチャネル切り換え機能は、必ずしも必要ではなく、これを省略してもよい。
・ 電子キーシステム3においてID照合が成立したときに許可又は実行される車両操作は、必ずしもドアロックの施解錠やエンジン始動に限定されず、これら以外の操作でもよい。
・ 通信環境下にCH1のノイズがないことが分かった場合や、通信環境下にCH2のノイズがあることが分かった場合、リクエストコードSrcをCH1で発信し、駆動電波SvvをCH2で発信するようにしてもよい。更には、CH2のノイズ有無に拘わらず、駆動電波SvvをCH2で発信するようにしてもよい。
・ 選択可能なチャネルは、必ずしも2種類(CH1、CH2)に限定されず、3種類以上でもよい。
・ 本例の電力伝送式無線通信システムの搭載対象は、必ずしも電子キーシステム3に限定されず、これ以外の各種システム、機器、装置に搭載可能であることは言うまでもない。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1〜4のいずれかにおいて、前記通信端末には、当該通信端末が前記発信データに応答して発信する返信データの発信チャネルを、前記発信データに基づき前記ノイズに影響を受けないチャネルで発信させる端末側発信チャネル指定手段が設けられている。この構成によれば、無線通信の通信環境下にノイズが発生していても、通信端末から発信される返信データを通信マスタに受信させることが可能となる。
(2)請求項1〜4、前記技術的思想(1)のいずれかにおいて、前記通信マスタの信号発信機は、前記発信データのチャネルごとに各々個別に設けられている。この構成によれば、各々一つひとつが単独部品として機能する信号発信機を各々の発信チャネルごとに複数設け、これらの中の特定の1つを選択することにより、通信マスタの発信チャネルを複数の中から特定の1つに設定する。このため、通信マスタの発信チャネルの切り換えを、各々が単独部品として機能する複数の発信機のどれを選択するのかという簡素な処理により実行することが可能となる。
(3)請求項1〜4、前記技術的思想(1),(2)のいずれかにおいて、前記通信端末の信号受信機は、前記発信データのチャネルごとに各々個別に設けられている。この構成によれば、通信端末の受信チャネルを切り換える際には、各々が単独部品として機能する複数の信号受信機のうちのどれを使用するのかを選択的に切り換えるだけで済むので、通信端末を少ないパワーで複数チャネル受信対応のものとすることが可能となる。
(4)請求項1〜4、前記技術的思想(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記通信マスタは、前記通信端末と通信の往復を複数回やり取りすることにより、当該通信端末との間で1無線通信を実行する。この場合、例えば電子キーシステムの一種であるキー操作フリーシステムに、本構成のシステムを適用することが可能となる。
(5)通信マスタが通信端末と無線通信を実行する際、そのデータ内容を伝える発信データに、前記通信端末の電力となる駆動電波も併せて発信することにより、当該駆動電波によって前記通信端末を動作させつつ、前記発信データに基づく動作を前記通信端末にとらせて前記無線通信を行う電力伝送式無線通信方法において、前記無線通信の通信環境下におけるノイズの有無を前記通信マスタにおいて監視し、前記ノイズ監視手段がノイズ有りと判断した際に、前記発信データのデータ転送を、前記ノイズに影響を受けない他チャネルに切り換えることを備えたことを特徴とする電力伝送式無線通信方法。
(6)請求項1〜4、前記技術的思想(1)〜(4)の電力伝送式無線通信システムで使用される通信マスタ又は通信端末。
一実施形態における電子キーシステムの概略構成を示すブロック図。 CH1ノイズが発生していないときのシステムの動作状態を示すブロック図。 CH1ノイズが発生しているときのシステムの動作状態を示すブロック図。 CH1ノイズが発生していないときのシステムの動作推移を示すタイミングチャート。 CH1ノイズが発生しているときのシステムの動作推移を示すタイミングチャート。
符号の説明
1…通信マスタとしての車両、2…通信端末としての電子キー、3…電力伝送式無線通信システムとしての電子キーシステム、8a,8b…信号発信部としての発信機、19…ノイズ監視手段としてのノイズ監視部、20…マスタ側発信チャネル切換手段としての発信周波数設定部、23…端末側発信チャネル切換手段としてのキー側発信周波数設定部、CH1,CH2…チャネル、Src…発信データ(データ内容)としてのリクエストコード、Svv…駆動電波、Sid…返信データとしてのID信号。

Claims (4)

  1. 通信マスタが通信端末と無線通信を実行する際、そのデータ内容を伝える発信データに、前記通信端末の電力となる駆動電波も併せて発信することにより、当該駆動電波によって前記通信端末を動作させつつ、前記発信データに基づく動作を前記通信端末にとらせて前記無線通信を行う電力伝送式無線通信システムにおいて、
    前記無線通信の通信環境下におけるノイズの有無を前記通信マスタにおいて監視するノイズ監視手段と、
    前記ノイズ監視手段がノイズ有りと判断した際に、前記発信データのデータ伝送を、前記ノイズに影響を受けない他チャネルに切り換えるマスタ側発信チャネル切換手段と
    を備えたことを特徴とする電力伝送式無線通信システム。
  2. 前記通信端末には、当該通信端末が前記発信データに応答して発信する返信データの発信チャネルを、前記発信データの発信チャネルに設定する端末側発信チャネル切換手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電力伝送式無線通信システム。
  3. 固有のキーコードを無線通信により発信する電子キーを前記通信端末として使用し、当該電子キーから発信される前記キーコードを前記通信マスタが受信すると、これを当該通信マスタのものと照らし合わせてキー照合を実行する電子キーシステムに適用されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力伝送式無線通信システム。
  4. 前記マスタ側発信チャネル切換手段は、前記ノイズ監視手段がノイズ有りと判断した際、当該ノイズに影響を受けないチャネルの無線信号を発信可能な信号発信部から前記発信データを発信するとともに、当該ノイズに影響を受けるチャネルの無線信号を発信する信号発信部から前記駆動電波を発信したままで維持することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の電力伝送式無線通信システム。
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