JP2010135726A - 電気特性に優れた基板接続構造を有する電子装置 - Google Patents

電気特性に優れた基板接続構造を有する電子装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高速デジタル信号の伝送特性に優れた電子装置(基板接続構造)を提供する。
【解決手段】信号線層とグランド層とを有し、片面に信号線接続用の信号端子が形成されている屈曲性のある基板と、信号線層とグランド層とを有し、片面に信号線接続用の信号端子が形成されている剛性のある基板とが、両基板の信号端子が互いに電気的に接続されるように接着剤で接合された電子装置であって、両基板のそれぞれに形成された少なくとも1本の信号線が特性インピーダンスコントロールされており、屈曲性のある基板のグランド層が、剛性のある基板と重なった領域にグランド層を有さないか、又は、剛性のある基板と重なった領域の屈曲性のある基板のグランド層が、剛性のある基板と重なっていない領域にあるグランド層に比べ、相対的に導体面積の割合が低い電子装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気特性、特に高速デジタル信号の伝送特性に優れた電子装置(基板接続構造)に関する。
電子機器の小型化のためには、基板や搭載部品の小型化・薄型化が必要であるが、基板間の接続部品についても同様のことが求められる。そのため、コネクタ部品を用いるのではなく、基板の端子同士を異方導電フィルムやペーストで接続することが検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。ここでいう基板とは、プリント配線板、フレキシブル配線板、ディスプレイ用で表面に配線電極が形成されたガラス基板などを指している。
一方で、電子機器のデータ伝送の高速化が進み、基板やコネクタの信号線を伝搬する高速デジタル信号の品質確保が困難になっている。具体的には、ノイズ、伝送損失や放射損失が無視できなくなってきている。ノイズは、デジタル信号の高周波成分が増大したため、信号経路に寄生するキャパシタ成分やインダクタ成分がリアクタンスとして現れて、インピーダンス不整合を起こすことにより発生する。信号経路が伝送線路の挙動を示すため、特性インピーダンスの不整合でも同様にノイズが発生する。伝送損失は、表皮効果や誘電体損失が原因となり発生する。また、放射損失は、波長が短いために回路パターンがアンテナとなって現れる。これらの問題を解決するためには、高周波回路での基板間接続技術の転用が効果的と考えられる(例えば、特許文献3参照)。
特許3373084号公報 特開平9−80459号公報 特開2001−148553号公報
従来のように伝送線路の設計(特性インピーダンスの設計)をしない場合、単に異方導電フィルムやペーストを基板端子接続に用いただけでは、数ギガ〜数十ギガbpsレベルの信号を低損失で伝送することはできなかった。特許文献1にあるような手法を用いた場合では、放熱性の改善は達成できるが、電気特性の改善は見込めない。特許文献2にあるような手法を用いた場合では、コスト低減や組立て作業性の向上は達成できるが、電気特性の改善は見込めない。また、特許文献3にあるような手法を用いた場合では、高周波信号伝送に優れているが、基板端子間の接続に適用することは出来ない。
本発明は、高速デジタル信号の伝送特性に優れた電子装置(基板接続構造)を提供することを目的とするものである。
本発明は、信号線が形成された信号線層とグランド層とを少なくとも1層ずつ有し、片面に信号線接続用の信号端子が形成されている屈曲性のある基板と、信号線が形成された信号線層とグランド層とを少なくとも1層ずつ有し、片面に信号線接続用の信号端子が形成されている剛性のある基板とが、少なくとも屈曲性を有する基板が部分的に剛性を有する基板と重なり、かつ、該2枚の基板の信号端子が互いに電気的に接続されるように接着剤で接合された電子装置であって、屈曲性のある基板と剛性のある基板のそれぞれに形成された少なくとも1本の信号線が特性インピーダンスコントロールされており、屈曲性のある基板のグランド層が、剛性のある基板と重なった領域にグランド層を有さないか、又は、屈曲性のある基板のグランド層において、剛性のある基板と重なった領域のグランド層が、剛性のある基板と重なっていない領域にあるグランド層に比べ、相対的に導体面積の割合が低いことを特徴とする電子装置に関する。
また、本発明は、屈曲性のある基板のグランド層が屈曲性のある基板の片面に形成されたメッシュグランド層であり、屈曲性のある基板の信号線層が、信号線がメッシュグランド層と対向するマイクロストリップラインである上記の電子装置に関する。
また、本発明は、剛性のある基板が、剛性のある基板の信号線に対向するグランド層と、信号端子に対向するグランド層とを異なる層に有することを特徴とする上記の電子装置に関する。
また、本発明は、屈曲性のある基板の信号端子のピッチと剛性のある基板の信号端子のピッチが等しく、かつ剛性のある基板の信号端子の端子幅が屈曲性のある基板の信号端子の端子幅よりも広いことを特徴とする上記の電子装置に関する。
本発明によれば、電気特性、特に高速デジタル信号の伝送特性に優れた電子装置を得ることが可能となる。
本発明の一実施態様である電子装置における接合状態を示す部分斜視断面図である。 図1に示す電子装置における屈曲性のある基板を示す部分斜視断面図である。 図1に示す電子装置における剛性のある基板を示す部分斜視断面図である。 図1に示す電子装置における信号端子接続部を示す部分断面図である。 本発明の他の一実施態様である電子装置における接合状態を示す部分斜視断面図である。 図5に示す電子装置における屈曲性のある基板を示す部分斜視断面図である。 図5に示す電子装置における剛性のある基板を示す部分斜視断面図である。 図5に示す電子装置における信号端子接続部を示す部分断面図である。 実施例1で算出したアイパターンの波形である。 実施例2で算出したアイパターンの波形である。 比較例1で算出したアイパターンの波形である。 実施例3で算出したアイパターンの波形である。 実施例4で算出したアイパターンの波形である。 比較例2で算出したアイパターンの波形である。 実施例5で算出したアイパターンの波形である。 実施例6で算出したアイパターンの波形である。 実施例7で算出したアイパターンの波形である。 実施例8で算出したアイパターンの波形である。 実施例9で算出したアイパターンの波形である。 比較例3で算出したアイパターンの波形である。 比較例4で算出したアイパターンの波形である。 比較例5で算出したアイパターンの波形である。 比較例6で算出したアイパターンの波形である。
図1〜4を参照して、本発明の一実施態様である電子装置の具体的な構造を説明する。本発明の電子装置は、屈曲性のある基板1と剛性のある基板2のそれぞれの片面に信号線接続用の信号端子31、32が形成されており、これら2枚の基板は、それぞれの信号端子31、32が互いに電気的に接続されるように、接着剤4で接合されている。屈曲性のある基板1は、信号線51が形成された信号線層とグランド層とを少なくとも1層ずつ有し、少なくとも片面に信号線接続用の信号端子31を有する。この実施態様におけるグランド層はメッシュグランド層6であり、絶縁層11を介して信号線層と対向してマイクロストリップラインを形成している。剛性のある基板2は、信号線52が形成された信号線層と、グランド層とを少なくとも1層ずつ有し、少なくとも片面に信号線接続用の信号端子32を有する。この実施態様における剛性のある基板2のグランド層は、絶縁層12を介して信号線層と対向してマイクロストリップラインを形成している。また、この実施態様では、剛性のある基板2は、信号端子32に対向するグランド層9と信号線52に対向するグランド層8とが、異なる層に配置されている。信号線層、グランド層等の導体層は、絶縁層12を介する積層構造を有する。本発明では、さらに、屈曲性のある基板1と剛性のある基板2のそれぞれに形成された少なくとも1本の信号線が特性インピーダンスコントロールされている。この場合の特性インピーダンスコントロールとは、信号線のインピーダンスが所定の値になるように設計することを意味する。通常は絶縁層の厚みと比誘電率が優先的に決まるため、信号線幅を調整することで特性インピーダンスを合わせる。屈曲性のある基板1と剛性のある基板2とは、互いの信号端子31と32とを電気的に接続させるために、それぞれの信号端子31、32を有する部分で重ねられ、これら2枚の基板の信号端子31と信号端子32とが互いに電気的に接続されるように、接着剤4で接合されている。屈曲性のある基板1には、剛性のある基板2と重なった部分の面に対向する領域にはグランド層がなく、それ以外の領域のみにグランド層を有する。
図5〜8を参照して、本発明の他の一実施態様である電子装置の具体的な構造を説明する。屈曲性のある基板1と剛性のある基板2のそれぞれの片面に信号線接続用の信号端子31、32が形成されており、これら2枚の基板は、それぞれの信号端子31、32が互いに電気的に接続されるように、接着剤4で接合されている。屈曲性のある基板1は、信号線51が形成された信号線層とグランド層とを少なくとも1層ずつ有し、少なくとも片面に信号線接続用の信号端子31を有する。この実施態様における屈曲性のある基板1のグランド層はメッシュグランド層6と、それと連続し、かつ、メッシュグランド層6よりも導体面積の割合が低いメッシュグランド層7からなる。この実施態様における屈曲性のある基板1のグランド層は、絶縁層11を介して信号線層と対向してマイクロストリップラインを形成している。剛性のある基板2は、信号線52が形成された信号線層と、グランド層とを少なくとも1層ずつ有し、少なくとも片面に信号線接続用の信号端子32を有する。この実施態様における剛性のある基板2のグランド層は、絶縁層12を介して信号線層と対向してマイクロストリップラインを形成している。また、上記の実施態様と同様に、剛性のある基板2においては、信号端子32に対向するグランド層9と信号線52に対向するグランド層8とが、異なる層に配置されている。信号線層、グランド層等の導体層は、絶縁層12を介する積層構造を有する。本発明では、さらに、屈曲性のある基板1と剛性のある基板2のそれぞれに形成された少なくとも1本の信号線が、上記の態様と同様に、特性インピーダンスコントロールされている。屈曲性のある基板1と剛性のある基板2とは、互いの信号端子31と32とを電気的に接続させるために、それぞれの信号端子31、32を有する部分で重ねられ、これら2枚の基板の信号端子31と信号端子32とが互いに電気的に接続されるように、接着剤4で接合されている。この実施態様においては、屈曲性のある基板1においては、剛性のある基板2と重なった部分の面に対向する領域のグランド層(メッシュグランド層7)が、それ以外の領域にあるグランド層(メッシュグランド層6)に比べ、相対的に導体面積の割合が低い。
本発明における屈曲性のある基板としては、一般的なフレキシブル配線板を用いることが出来る。信号線層とグランド層とを形成するために、層間接続用の必要な配線が設けられた2層以上の多層基板の構造をとる。信号線層及びグランド層は、それぞれ、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。各信号線層における信号線の数には特に制限はないが、少なくとも基板の片面には、少なくとも1つの信号端子が形成されている。
屈曲性のある基板の絶縁層の材質は限定されるものではなく、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニールサルファイド樹脂、液晶ポリマーなどを好適に用いることが出来る。絶縁層の厚みは、基板の引張り強度や屈曲性を満足すれば、特に限定されるものではないが、8〜50μmが好ましく、12〜25μmがさらに好ましい。薄い場合には引張り強度が低下し、厚い場合には屈曲性が低下するため、用途に合わせて厚みを決めることが必要である。屈曲性のある基板が絶縁層を2層以上有する場合、屈曲性のある基板の絶縁層の総厚みが16〜100μmであることが好ましく、24〜50μmがさらに好ましい。屈曲性のある基板の総厚みは19〜135μmであることが好ましく、27〜85μmがさらに好ましい。
屈曲性のある基板の導体層は、銅や銅合金を用いることが好ましいが、アルミニウムや錫など箔を形成できる金属を好適に用いることが出来る。また、銅や銅合金を用いた場合、その端子部分表面には、防錆を目的として、ニッケル/金や銀などのめっきを施すことが好ましい。導体層の厚みは、3〜35μmが好ましく、12〜18μmがより好ましい。薄い場合には屈曲による断線が起こりやすく、厚い場合には屈曲性が低下する。信号線の幅は、インピーダンスコントロールにおいて絶縁層の厚みや比誘電率によって決定されるものであるが、加工性の面で30μmを下限とするのが好ましい。30μm未満であると断線不良が発生しやすい。また、上限も特に限定されるものではないが、端子ピッチを超えないことが好ましい。
屈曲性のある基板の信号端子の形状は、隣接する端子同士で統一されるものであれば特に限定されるものではないが、接続信頼性の観点から矩形の接続端子が好適に用いられる。信号端子の幅は90〜450μmであることが好ましく、90〜230μmであることがより好ましい。信号端子の長さは、1〜10mmであることが好ましく、2〜3mmであることがより好ましい。端子幅が狭く長さが短い場合には貼り合せの位置精度の確保が困難になり、広く長い場合には端子部分の面積が増大して小型化が困難になる。
信号線の少なくとも一本の特性インピーダンスコントロールが可能である限り、屈曲性のある基板のグランド層の形状に特に制限はなく、例えば、開口を持たない全面導体からなるいわゆる「ベタ」グランド層でもよく、信号用等のスルーホールを通すクリアランスホールを設けた導体面積の広いパターングランド層でもよく、規則的に複数の開口が設けられたメッシュパターンの導体からなるメッシュグランド層であってもよい。しかしながら、本発明の一態様におけるようにグランドを部分的に取り除いた場合、取り除いた部分とその周囲の取り除かない部分との間で高低差が生じ、接着剤を用いて圧着する際に、圧力むらが発生して接続不良が起りやすくなる。なお、接続不良を低減するためにはベタのグランド層を設けることが有効であるが、ベタのグランド層ではローインピーダンスになるためアイパターン特性が劣化する。したがって、屈曲性のある基板のグランド層は、一定パターンのメッシュグランド層とすることが好ましい。メッシュパターンについては、形状や開口率、パターン幅などの幾何的なパラメータを、特性インピーダンスの制御に合わせて決定するが、これを限定するものではない。メッシュパターンの開口部の形状は、格子状の他に、ハニカム状、円形状などが採用可能である。また、開口率も特性インピーダンスの制御に合わせて任意に決めることが可能である。
本発明では、(1)屈曲性のある基板においては、剛性のある基板と重なった部分の面に対向する領域、即ち、接続された信号端子に対向する部分の屈曲性のある基板のグランド層の導体が取り除かれているか、又は、(2)屈曲性のある基板の剛性のある基板と重なった領域のグランド層の導体、即ち、接続された信号端子に対向する部分の屈曲性のある基板のグランド層の導体が、屈曲性のある基板の他の領域、即ち、信号線と対向する部分のグランド層の導体よりも疎(導体面積の割合が低い)となっている。例えば、剛性のある基板と重なっていない領域のグランド層がベタの導体からなるグランド層である場合には、重なっている領域のグランド層をメッシュグランド等のパターン化したグランド層とすることにより、相対的に疎にすることができる。また、例えば、剛性のある基板と重なっていない領域のグランド層がメッシュグランド層の場合、重なっている領域のメッシュグランド層の全体の面積に示す導体面積の割合を低くすることにより、相対的に疎にすることができる。具体的には、例えば、屈曲性のある基板の他の領域のメッシュグランドに対して導体幅の値が小さく、かつ、導体間のスペースを大きくすることにより、疎にすることができる。なお、屈曲性のある基板と剛性のある基板とが重なり合っている領域に対向していても、接続された信号端子と対向していない領域に対向する位置には、信号線に対向していなければよい。
信号端子接続のために屈曲性のある基板と剛性のある基板とが重ねられている領域以外の領域における屈曲性がある基板のグランド層をメッシュグランドとする場合、そのメッシュグランド層の開口率(他のパターンではグランド層全体の面積に対する導体面積の割合)は、一般的には40〜95%の値を取ることが好ましく、50〜90%の値であることがより好ましい。導体面積を低くした(疎にした)部分(即ち、屈曲性のある基板と剛性のある基板とが重ねられている領域)のグランド層をメッシュグランドとする場合、そのメッシュグランドにおいては、開口率(他のパターンではグランド層全体の面積に対する導体面積の割合)を70〜95%とすることが好ましく、80〜95%とすることがより好ましい。40%未満であると開口率が低いためにインピーダンスが低下して整合が取れなくなる傾向があり、95%を超えると、メッシュパターンが精細になり断線などの欠陥が多発する傾向がある。
屈曲性のある基板が、2層以上のグランド層を有する場合には、全てのグランド層において、剛性のある基板と重なった部分の面に対向する領域のグランド層を取り除くか、又は、剛性のある基板と重なった部分の面に対向する領域のグランド層を、それ以外の領域にあるグランド層よりも導体面積の割合を低くする。また、屈曲性のある基板と剛性のある基板とが重なった部分の面に対向する領域には、屈曲性のある基板及び剛性のある基板のいずれにおいても、信号線が存在しないことが好ましい。その領域に信号線が存在すると、クロストーク(信号同士の干渉)などが発生し、信号品質が劣化するおそれがある。
剛性のある基板としては、一般的なリジッドプリント配線板を用いることが出来る。信号線層とグランド層を少なくとも1層ずつ有し、層間接続用の必要な配線が形成された2層又は3層以上の多層構造をとる。
剛性のある基板の絶縁層の材質は限定されるものではなく、ガラス・エポキシ材料に代表されるようなガラスクロスにエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた材料や、ビルドアップ材料に代表されるフィルム性を有する熱硬化性樹脂に無機フィラーを充填したコンポジット材料などを好適に用いることが出来る。1層当たりの絶縁層の厚みは、特に限定されるものではないが、50〜300μmが好ましく、50〜200μmがさらに好ましい。薄い場合は特性インピーダンスの制御が難しくなり、厚い場合には基板の小型化・薄型化に反する。また、信号線や信号端子とグランド層との距離は、1層の絶縁層に限定することはなく、複数の絶縁層を用いて良い。剛性のある基板の片面に形成された信号端子と、それに対向するグランド層との距離(間隔)は、通常、屈曲性のある基板の厚みより厚く、50〜1000μmとすることが好ましく、100〜500μmとすることがより好ましい。
剛性のある基板の導体層は、銅や銅合金を用いることが好ましいが、アルミニウムや錫など箔を形成できる金属を好適に用いることが出来る。また、銅や銅合金を用いた場合、その端子部分表面には、防錆を目的として、ニッケル/金や銀などのめっきを施すことが好ましい。導体層の厚みは、5〜50μmが好ましく、12〜35μmがより好ましい。導体層の厚みが薄い場合には端子部分の接着に用いる接着剤を非常に薄くする必要があり、製造上の難易度が高くなる。厚すぎる場合にはコストが増して不経済である。
剛性のある基板の信号線の幅は、インピーダンスコントロールにおいて絶縁層の厚みや比誘電率によって決定されるものであるが、加工性の面で30μmを下限とするのが好ましい。30μm未満であると断線不良が極めて発生しやすい。また、上限も特に限定されるものではないが、端子ピッチを超えないことが好ましい。剛性のある基板の信号端子の形状は、隣接する端子同士で統一されるものであれば特に限定されるものではないが、接続信頼性の観点から矩形の接続端子が好適に用いられる。信号端子の幅は、100〜500μmが好ましく、100〜250μmがさらに好ましい。信号端子の長さは、1〜10mmが好ましく、2〜3mmがさらに好ましい。端子幅が狭く長さが短い場合には貼り合せの位置精度の確保や、安定した接着が困難になり、広く長い場合には端子部分の面積が増大して小型化が困難になる。
信号線の少なくとも一本の特性インピーダンスコントロールが可能である限り、剛性のある基板のグランド層の形状に特に制限はなく、例えば、開口を持たない全面導体からなるいわゆる「ベタ」グランド層でもよく、信号用等のスルーホールを通すクリアランスホールを設けた導体面積の広いパターングランド層でもよく、規則的に複数の開口が設けられたメッシュパターンの導体からなるメッシュグランド層であってもよい。
屈曲性のある基板と剛性のある基板それぞれが有し、接着剤によって互いに接続される信号端子の位置は、特に制限はないが、複数の信号端子同士を接続する場合、各基板の信号端子がそれぞれの基板の端部に形成されており、基板端部縁に端子の一端が位置し、かつ端子同士平行に整列していることが好ましい。このようにすることにより、基板の端部同士のみの重なり合いによる接続が可能になり、また、インピーダンスの変化点が最少に抑えられるため、設計が容易になるという利点がある。
貼り合せた信号端子の箇所は、屈曲性のある基板の絶縁層の樹脂等の誘電体と剛性のある基板の絶縁層の樹脂等の誘電体、さらに異方導電接着フィルム、異方導電接着ペースト、非導電フィルム、非導電ペースト等の接着剤の樹脂に覆われることから、信号線部分と比較して電磁界分布が大きく変化し、信号の伝送特性(アイパターン特性)が大幅に劣化する。また、通常端子幅が信号線幅よりも広いことも電磁界分布変化の原因となり、アイパターン特性を劣化させる。このアイパターン特性の劣化を抑制するために、鋭意検討を重ねた結果、(1)屈曲性のある基板の剛性のある基板と重なった領域のグランド、即ち、接続された信号端子に対向する部分の屈曲性のある基板のグランド層の導体を取り除くことで、又は、(2)屈曲性のある基板の剛性のある基板と重なった領域のグランド層の導体、即ち、接続された信号端子に対向する部分の屈曲性のある基板のグランド層の導体を、屈曲性のある基板の他の領域、即ち、信号線と対向する部分のグランド層の導体よりも疎にすることで、アイパターン特性の劣化を抑制できることを見出した。これは、信号端子に寄生するインダクタンスと、信号端子とグランド層に寄生するキャパシタンスによって発生するインピーダンスが、信号線の特性インピーダンスと整合することによると考えられる。一般的に寄生インダクタンスが大きい場合にはハイインピーダンスになり、寄生キャパシタンスが大きい場合にはローインピーダンスになる。特性インピーダンスコントロールされた信号線(例えば、絶縁層を介するグランド層と信号線層で構成されるマイクロストリップライン)を有する屈曲性のある基板と、同様に特性インピーダンスコントロールされた信号線を有する剛性のある基板を接合する場合には、接続用の信号端子が必要である。また、その信号端子は信号線と同一面で繋がっているため、信号端子を接続する場合には信号端子がグランド層に挟まれた形状となり、大きな寄生キャパシタンスが発生してインピーダンスが低下する。この低インピーダンス部分は電磁界分布を乱すため、アイパターン特性を劣化させる。寄生キャパシタンスを低減させる各種手法の中で、上記(1)のように、重なり合った部分で屈曲性のある基板のグランドを取り除くことが最もアイパターン特性改善に有効であることを見出した。しかしながら、グランドを取り除いた場合、取り除いた部分とその周囲の取り除かない部分との間で高低差が生じ、接着剤を用いて圧着する際に、圧力むらが発生して接続不良が起る場合がある。上記(2)の態様によれば、接続された信号端子に対向するグランドを完全には取り除かず、信号線と対向する部分より疎とすることにより、アイパターン特性と接続信頼性の両立を容易にすることが可能となる。
また、本発明の電子装置は、図1及び図5に示されるように、剛性のある基板2の信号線52に対向するグランド層8と、信号端子32に対向するグランド層9が異なる層にあることが好ましい。信号線とグランド層との距離は、信号線の特性インピーダンスをコントロールするために最適化されている。信号端子の部分は信号線の環境と異なるため、信号端子に対向するグランド層の位置を信号線に対向するグランド層の位置と異なる位置とすることにより、アイパターン特性に最適な電磁界分布を、剛性のある基板の信号線〜グランド層と信号端子〜グランド層との距離で最適化することができる。なお、本発明では、種々検討を重ねた結果、この剛性のある基板のグランド層を変えるだけでは十分でなく、重なり合った部分で屈曲性のある基板のグランドを取り除くか疎にすることを優先させる必要があることが分かった。信号端子接続部分に関して、屈曲性のある基板のグランドを取り除くことや、剛性のある基板のグランド層との距離を調整すること以外に、基板や接着剤などの材料の誘電率を変えること、信号端子幅を変えること、信号端子厚みを変えること、信号端子長さを変えること、剛性のある基板のグランドを取り除くことなど様々な方法があるが、本発明の効果に至るものではなかった。
また、本発明の電子装置は、さらに、屈曲性のある基板の信号端子31のピッチと剛性のある基板の信号端子32のピッチが等しく、かつ剛性のある信号端子の端子幅が屈曲性のある基板の信号端子の幅よりも広いものであることが好ましい(図4及び図8参照)。なお、接続される信号端子同士の長さ方向の位置ずれは幅方向の位置ずれより相対的に影響が小さいため、信号端子31と信号端子32の長さは、通常、同程度の長さであればよい。屈曲性のある基板と剛性のある基板とを接着剤で接合して屈曲性のある基板の信号端子と剛性のある基板の信号端子を電気的に接続する際には、位置ずれを考慮しなければならない。それぞれの端子幅が等しい場合に位置ずれがあると、接合部では位置ずれの分だけ信号端子幅が実質的に広くなるため、寄生キャパシタンスが大きくなり、電磁界分布が乱れる。信号端子部分のグランドは剛性のある基板内にあるため、剛性のある基板の端子幅を用いてグランド層に対する寄生キャパシタンスをコントロールした方が、容易である。そのためには、剛性のある信号端子の端子幅が屈曲性のある基板の信号端子の幅よりも広いことが好ましい。
また、屈曲性のある基板のグランド(メッシュグランド)と剛性のある基板のグランドを電気的に接続する手段としては、それぞれの基板の信号端子の中でいくつかの端子をグランド端子とすることが好ましい。このようにすることにより、グランドとグランド端子を導体ビアで接続することにより、信号端子を貼り合わせる際に信号線ばかりでなく、グランドも接続することが可能となる。
屈曲性のある基板、剛性のある基板の両方について、それぞれ表面保護膜があってもよい。また、屈曲性のある基板、剛性のある基板の両方について、半導体チップ等の搭載部品が搭載されていても良く、さらに搭載部品が封止材で封止されていてもよい。
接着剤としては、異方導電接着剤又は非導電接着剤の何れも使用可能である。異方導電接着剤としては、例えば、異方導電フィルムや異方導電ペーストを用いることができる。異方導電フィルムや異方導電ペーストとしては、接着剤樹脂組成物に導電性粒子を分散させたものを用いることが出来る。接着剤樹脂組成物としては、エポキシ樹脂を変性したエポキシアクリレート樹脂、ポリオールやポリエステルポリオールをウレタンアクリレート変性したウレタンアクリレート樹脂等のベース樹脂とその硬化剤が一般的に用いられるが、これらに限定されるものではなく、熱可塑性樹脂やゴムなどを適宜成分として加えても良い。また、導電性粒子は、Ni、Ag、Au、Pd等の金属粒子、又はプラスチック粒子の表面にAu等で金属メッキしたものを用いることが出来る。導電性粒子径は3〜10μmのものが一般的に用いられる。信号端子の貼付け後は端子間が接着剤硬化物で充填されていることが好ましい。そのため、端子幅や厚み、スペース幅などに合わせて、ペースト量やフィルム厚みを調整することが必要である。接着剤量が少ないとボイドが発生して信頼性が低下する。また、接着剤量が多いとはみ出す接着剤量が多くなり経済性に劣る。市販品としては、日立化成工業株式会社製の異方導電フィルムANISOLMのMFシリーズ等を用いることができる。
非導電接着剤としては、例えば非導電フィルムや非導電ペーストを用いることができる。非導電フィルムや非導電ペーストとしてはエポキシ樹脂を変性したエポキシアクリレート樹脂、ポリオールやポリエステルポリオールをウレタンアクリレート変性したウレタンアクリレート樹脂等のベース樹脂とその硬化剤が一般的に用いられるが、これらに限定されるものではなく熱可塑性樹脂やゴムなどを適宜成分として加えても良い。市販品としては、日立化成工業株式会社製の非導電フィルムのUFシリーズ等を用いることができる。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに制限するものではない。
以下の実施例及び比較例においては、アイパターン特性の評価にシミュレーションを用いた。
(実施例1)
屈曲性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にメッシュグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタのグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように異方導電接着剤で接合されており、重なった領域において、屈曲性のある基板のメッシュグランド層が取り除かれていることとした。
まず、屈曲性のある基板の信号線部分の特性をアンソフト社製の3次元電磁界シミュレータHFSS(ver.10.1)を使用して算出した。そのモデルの仕様は以下の通りである。メッシュグランドは導体幅83μm、高さ18μm、スペース幅166μmの格子状、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率を3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとし、信号線導体は幅100μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。解析の設定は、以下の通りである。メッシュは自動設定とし、ポートにはWaveportを使用して50Ωにノーマライズを行い、評価周波数範囲は1〜50GHzとして、Sパラメータを算出した。この信号線の特性インピーダンスは50Ωであった。
次に、信号端子接続部分の特性を同じHFSSを用いて算出した。そのモデルの仕様は、以下の通りである。屈曲性のある基板のグランドはなく、絶縁層は比誘電率3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとし、信号端子導体は幅230μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。剛性のある基板のグランドはベタ、厚み18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み300μmとし、信号端子導体は幅250μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。信号端子はその中心が同一となるように接し、異方導電接着剤で周囲が充填されている。その接着剤は、比誘電率3.54、tanδを0.0850とした。解析の設定は、屈曲性のある基板の信号線部分に準じた。
次に、アジレント・テクノロジー社製の高周波回路シミュレータADS2003Cを用いて、アイパターン特性を算出した。回路(スケマチック)の内容は以下の通りである。a:屈曲性のある基板の信号線部分のSパラメータのTouchstoneデータ、b:信号端子接続部分のTouchstoneデータ、c:ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)を用い(剛性のある基板の信号線部分)、その信号線導体は幅280μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/m、グランドはベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/m、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み300μmとした回路モデルを用いた。ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)を用いた部分のマイクロストリップライン特性インピーダンスは50Ωであった。スケマチック上で、abccbaabccbaabccbaabccbaabccbaと結線し、10ヶ所の異方導電接着剤で接合された基板の回路モデルを作成した。この回路の片側にランダムパルス発生源(VtLFSR_DT (Voltage Source, Pseudo−Random Pulse Train Defined at Discrete Time Steps))を繋ぎ、もう片側は50Ωで終端してアイパターンを解析した。ビットレートは1Gbpsとした。
これらのシミュレーションの結果として、図9に示すアイパターン特性を得た。
(実施例2)
ADSのスケマチックのc:マイクロストリップラインモデルの絶縁層の厚みを150μmとした以外は、実施例1と同様にアイパターン特性を算出し、図10に示すアイパターン特性を得た。
(比較例1)
HFSSの信号端子接続部分モデルで、屈曲性のある基板にベタのグランドを追加した以外は、実施例1と同様にアイパターン特性を算出し、図11に示すアイパターン特性を得た。
(評価結果)
アイパターン特性では、ジッター(波形のクロスポイントの時間幅)が小さいほど、特性が優れている。それぞれのジッターの時間を評価すると、実施例1では0.047ns、実施例2では0.018nsと1nsのデータ幅に対して5%未満であり、問題ないレベルであった。これに対し、比較例1のジッターの時間は0.15nsとデータ幅に対して15%以上の大きな値を示した。また、入力パルス電圧が実施例1及び2では低電位:−0.2V、高電位+0.2Vなのに対して、比較例1では±0.4Vの波形になっており、大きな信号反射が起こっていることを示唆している。これらのことから比較例に対して、実施例1および実施例2は、ビットエラー(アイパターンの形状が崩れることによって、信号のS/N比が低下して正常に信号伝達ができず、デジタル信号の読み取りエラーが起こること)を起こし難いことは明らかであり、本発明の構造が特性的に優れていることが分かる。特に、剛性のある基板でマイクロストリップラインモデルの絶縁層厚みをコントロールした実施例2は、信号波形のブレ幅が小さく、更に優れた特性を示した。
(実施例3)
屈曲性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にメッシュグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタのグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように異方導電接着剤で接合されており、重なった領域において、屈曲性のある基板のメッシュグランド層のメッシュパターンを、重なっていない部分のメッシュパターンよりも疎なものとした。
まず、屈曲性のある基板の信号線部分の特性をアンソフト社製の3次元電磁界シミュレータHFSS(ver.10.1)を使用して算出した。そのモデルの仕様は、以下の通りである。メッシュグランドは導体幅83μm、高さ18μm、スペース幅166μmの格子状、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率3.31、tanδ;0.0026、厚み25μmとし、信号線導体は幅100μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。解析の設定は、以下の通りである。メッシュは自動設定とし、ポートにはWaveportを使用して50Ωにてノーマライズを行い、評価周波数範囲は1〜50GHzとして、Sパラメータを算出した。
次に、信号端子接続部分の特性を同じHFSSを用いて算出した。そのモデルの仕様は、以下の通りである。屈曲性のある基板のメッシュグランドは導体幅10μm、高さ18μm、スペース幅240μmの格子状で導電率5.8×10S/m、絶縁層は比誘電率3.31、tanδ;0.0026、厚み25μmとし、信号端子導体は幅230μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。信号線と対向する部分に対して、メッシュグランドの導体幅が細く、スペース幅が広いため、導体は疎となっている。剛性のある基板のグランドはベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率4.2、tanδ;0.023、厚み150μmとし、信号端子導体は幅250μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板の信号端子はその中心及び中心線が重なるように接し、異方導電接着剤で周囲が充填されている。その接着剤は、比誘電率3.54、tanδ;0.085とした。解析の設定は、屈曲性のある基板の信号線部分に準じた。
次に、アジレント・テクノロジー社製の高周波回路シミュレータADS 2003Cを用いて、アイパターン特性を算出した。回路(スケマチック)の内容は以下の通りである。a:屈曲性のある基板の信号線部分のSパラメータのTouchstoneデータ、b:信号端子接続部分のTouchstoneデータ、c:ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)を用い、信号線導体は幅620μm、高さ18μm、長さ3mm、グランドはベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/m、絶縁層は比誘電率4.2、tanδ;0.023、厚み150μmとした回路モデルを用いた。ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデルを用いた部分の特性インピーダンスは、50Ωであった。スケマチック上で、abccbaabccbaabccbaabccbaabccbaと結線し、10ヶ所の異方導電接着剤で接合された基板の回路モデルを作成した。この回路の片側にランダムパルス発生源(VtLFSR DT(Voltage Source, Pseudo−Random Pulse Train Defined at Discrete Time Steps))を繋ぎ、もう片側は50Ωで終端してアイパターンを解析した。
これらのシミュレーションの結果として、図12に示すアイパターン特性を得た。
(実施例4)
ADSのスケマチックのc:マイクロストリップラインモデルの絶縁層の厚みを600μm、信号線導体幅を1.2mmとした以外は、実施例3と同様にアイパターン特性を算出し、図13に示すアイパターン特性を得た。
(比較例2)
HFSSの信号端子接続部分モデルで、屈曲性のある基板にベタのグランドを追加した以外は、実施例3と同様にアイパターン特性を算出し、図14に示すアイパターン特性を得た。
(評価結果)
それぞれのジッターの時間を評価すると、実施例3では0.047ns、実施例4では0.047nsと1nsのデータ幅に対してともに5%未満であり、問題ないレベルである。実施例3のアイパターン(図12参照)は十分な開口が得られており、優れたアイパターン特性を示した。実施例4(図13参照)では実施例3よりもアイパターン特性がさらに改善されている。これは、剛性のある基板の絶縁層を厚くしたことにより、寄生キャパシタンスが減少してインピーダンスの整合性が改善したためである。一方、比較例2(図14参照)ではアイパターンの開口が狭まり、特性が明らかに悪い。ジッターの時間を評価すると、比較例2では、0.152nsとデータ幅に対して15%以上の大きな値を示した。これは、インピーダンスのミスマッチにより、信号の反射や減衰が大きいためである。これらの結果より、本発明の効果が実証された。
(実施例5)
屈曲性のある基板と剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように異方導電接着剤で接合されており、重なった領域において、屈曲性のある基板のベタグランド層が取り除かれていることとした。
まず、信号端子接続部分の特性をアンソフト社製の3次元電磁界シミュレータHFSS(ver.10.1)を用いて算出した。そのモデルの仕様は以下の通りである。屈曲性のある基板のグランドはなく、絶縁層は比誘電率3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとし、信号端子導体は幅210μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。剛性のある基板のグランドはベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み150μmとし、信号端子導体は幅250μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。信号端子はその中心が同一になるよう接着し、異方導電接着剤で周囲が充填されている。その接着剤は、比誘電率3.54、tanδを0.0850とした。解析の設定は、以下の通りである。メッシュは自動設定とし、ポートにはWaveportを使用して50Ωにノーマライズを行い、評価周波数範囲は1〜50GHzとして、Sパラメータを算出した。
次に、アジレント・テクノロジー社製の高周波回路シミュレータADS2003Cを用いて、アイパターン特性を算出した。回路(スケマチック)の内容は以下の通りである。a:ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)を用い、その信号線導体は幅48μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/m、絶縁層は比誘電率3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとした回路モデル、b:信号端子接続部分のTouchstoneデータ、c:ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)を用い、その信号線導体は幅280μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/m、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み150μmとした回路モデルを用いた。屈曲性のある基板と剛性のある基板のマイクロストリップライン特性インピーダンスは50Ωであった。スケマチック上で、abccbaabccbaabccbaabccbaabccbaと結線し、10ヶ所の異方導電接着剤で接合された基板の回路モデルを作成した。この回路の片側にランダムパルス発生源(VtLFSR_DT(VoltageSource,Pseudo−Random Pulse Train Defined at Discrete Time Steps))を繋ぎ、もう片側は50Ωで終端してアイパターンを解析した。ビットレートは1Gbpsとした。
これらのシミュレーションの結果として、図15に示すアイパターン特性を得た。
(実施例6)
屈曲性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にメッシュグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように異方導電接着剤で接合されており、重なった領域において、屈曲性のある基板のメッシュグランド層が取り除かれていることとした。
まず、屈曲性のある基板の信号線部分の特性を同じHFSSを使用して算出した。そのモデルの使用は以下の通りである。メッシュグランドは導体幅20μm、高さ18μm、スペース100μmの格子状、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率を3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとし、信号線導体は幅80μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。解析の設定は、以下の通りである。メッシュは自動設定とし、ポートにはWaveportを使用して50Ωにノーマライズを行い、評価周波数範囲は1〜50GHzとして、Sパラメータを算出した。
次に、信号端子接続部分の特性を同じHFSSを用いて算出した。そのモデルの仕様は以下の通りである。屈曲性のある基板のグランドはなく、絶縁層は比誘電率3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとし、信号端子導体は幅210μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。剛性のある基板のグランドはベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み150μmとし、信号端子導体は幅250μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。信号端子はその中心が同一になるよう接着し、異方導電接着剤で周囲が充填されている。その接着剤は、比誘電率3.54、tanδを0.0850とした。解析の設定は、屈曲性のある基板の信号線部分に準じた。
次に、ADS2003Cを用いて、アイパターン特性を算出した。回路(スケマチック)の内容は以下の通りである。a:屈曲性のある基板の信号線部分のSパラメータのTouchstoneデータ、b:信号端子接続部分のTouchstoneデータ、c:ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)を用い、その信号線導体は幅280μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/m、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み150μmとした回路モデルを用いた。屈曲性のある基板と剛性のある基板のマイクロストリップライン特性インピーダンスは50Ωであった。スケマチック上で、abccbaabccbaabccbaabccbaabccbaと結線し、10ヶ所の異方導電接着剤で接合された基板の回路モデルを作成した。この回路の片側にランダムパルス発生源(VtLFSR_DT(VoltageSource,Pseudo−Random Pulse Train Defined at Discrete Time Steps))を繋ぎ、もう片側は50Ωで終端してアイパターンを解析した。ビットレートは1Gbpsとした。
これらのシミュレーションの結果として、図16に示すアイパターン特性を得た。
(実施例7)
屈曲性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を有し、信号端子に対向するベタグランド層を反対面に、信号線に対向するベタグランド層を内層に有するマイクロストリップラインモデル(即ち、信号端子に対向するベタグランド層と信号線に対するベタグランド層の位置が異なるマイクロストリップラインモデル)とした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように異方導電接着剤で接合されており、重なった領域において、屈曲性のある基板のベタグランド層が取り除かれていることとした。
まず、剛性のある基板の信号線部分の特性を同じHFSSを使用して算出した。そのモデルの使用は以下の通りである。ベタグランドは高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率を3.31、tanδを0.0026、厚み300μmとし、信号線導体は幅250μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。また、信号端子に対向するベタグランドと信号線に対向するベタグランド層との間の絶縁層厚は160μmとし、ベタグランド層間は直径150μmの複数のビアで接続されていることとした。解析の設定は、以下の通りである。メッシュは自動設定とし、ポートにはWaveportを使用して50Ωにノーマライズを行い、評価周波数範囲は1〜50GHzとして、Sパラメータを算出した。
次に、ADSを用いてアイパターン特性を算出した。ADSのスケマチックのc:ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)の部分を、剛性のある基板の信号線部分のSパラメータのTouchstoneデータに置き換えた以外は、実施例5と同様にアイパターン特性を算出し、図17に示すアイパターン特性を得た。
(実施例8)
屈曲性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にメッシュグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように異方導電接着剤で接合されており、重なった領域において、屈曲性のある基板のメッシュグランド層の導体面積の割合が、信号線部分のメッシュグランド層の導体面積の割合よりも低くなっていることとした。
まず、信号端子接続部分の特性を同じHFSSを使用して算出した。そのモデルの使用は以下の通りである。屈曲性のある基板のメッシュグランドは導体幅10μm、高さ18μm、スペース240μmの格子状、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率を3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとし、信号端子導体は幅210μm、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとした。剛性のある基板のグランドはベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み150μmとし、信号端子導体は250μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。信号端子はその中心が同一になるよう接着し、異方導電接着剤で周囲が充填されている。その接着剤は、比誘電率3.54、tanδを0.0850とした。解析の設定は、以下の通りである。メッシュは自動設定とし、ポートにはWaveportを使用して50Ωにノーマライズを行い、評価周波数範囲は1〜50GHzとして、Sパラメータを算出した。
次に、ADSを用いてアイパターン特性を算出した。ADSのスケマチックのb:信号端子接続部分のTouchstoneデータを算出したTouchstoneデータに置き換えた以外は、実施例6と同様にアイパターン特性を算出し、図18に示すアイパターン特性を得た。
(実施例9)
屈曲性のある基板と剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように非導電接着剤で接合されており、重なった領域において、屈曲性のある基板のベタグランド層が取り除かれていることとした。
まず、信号端子接続部分の特性をアンソフト社製の3次元電磁界シミュレータHFSS(ver.10.1)を用いて算出した。そのモデルの仕様は以下の通りである。屈曲性のある基板のグランドはなく、絶縁層は比誘電率3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとし、信号端子導体は幅210μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。剛性のある基板のグランドはベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み150μmとし、信号端子導体は幅250μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。信号端子はその中心が同一になるよう接着し、非導電接着剤で周囲が充填されている。その接着剤は、比誘電率3.40、tanδを0.0320とした。解析の設定は、以下の通りである。メッシュは自動設定とし、ポートにはWaveportを使用して50Ωにノーマライズを行い、評価周波数範囲は1〜50GHzとして、Sパラメータを算出した。
次に、アジレント・テクノロジー社製の高周波回路シミュレータADS2003Cを用いて、アイパターン特性を算出した。回路(スケマチック)の内容は以下の通りである。a:ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)を用い、その信号線導体は幅48μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/m、絶縁層は比誘電率3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとした回路モデル、b:信号端子接続部分のTouchstoneデータ、c:ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)を用い、その信号線導体は幅280μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/m、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み150μmとした回路モデルを用いた。屈曲性のある基板と剛性のある基板のマイクロストリップライン特性インピーダンスは50Ωであった。スケマチック上で、abccbaabccbaabccbaabccbaabccbaと結線し、10ヶ所の非導電接着剤で接合された基板の回路モデルを作成した。この回路の片側にランダムパルス発生源(VtLFSR_DT(VoltageSource,Pseudo−Random Pulse Train Defined at Discrete Time Steps))を繋ぎ、もう片側は50Ωで終端してアイパターンを解析した。ビットレートは1Gbpsとした。
これらのシミュレーションの結果として、図19に示すアイパターン特性を得た。
(比較例3)
屈曲性のある基板と剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように異方導電接着剤で接合されていることとした。
まず、信号端子接続部分の特性をHFSSを用いて算出した。そのモデルの仕様は以下の通りである。屈曲性のある基板のグランドはベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとし、信号端子導体は幅210μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。剛性のある基板のグランドもベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み150μmとし、信号端子導体は幅250μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。信号端子はその中心が同一になるよう接着し、異方導電接着剤で周囲が充填されている。その接着剤は、比誘電率3.54、tanδを0.0850とした。基板が重なっている領域には、剛性のある基板及び屈曲性のある基板ともにベタのグランドが残っている。解析の設定は、以下の通りである。メッシュは自動設定とし、ポートにはWaveportを使用して50Ωにノーマライズを行い、評価周波数範囲は1〜50GHzとして、Sパラメータを算出した。
次に、ADS2003Cを用いて、アイパターン特性を算出した。ADSのスケマチックのb:信号端子接続部分のTouchstoneデータの部分を、算出した信号端子接続部分のTouchstoneデータに置き換えた以外は、実施例5と同様にアイパターン特性を算出し、図20に示すアイパターン特性を得た。
(比較例4)
屈曲性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にメッシュグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように異方導電接着剤で接合されていることとし、重なった領域においては、屈曲性のある基板、剛性のある基板、いずれのグランドもベタになっていることとした。
次に、ADSを用いてアイパターン特性を算出した。ADSのスケマチックのb:信号端子接続部分のTouchstoneデータの部分を、(比較例3)で算出した信号端子接続部分のTouchstoneデータに置き換えた以外は、実施例6と同様にアイパターン特性を算出し、図21に示すアイパターン特性を得た。
(比較例5)
屈曲性のある基板と剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように異方導電接着剤で接合されていることとした。
まず、信号端子接続部分の特性をHFSSを用いて算出した。そのモデルの仕様は以下の通りである。屈曲性のある基板のグランドはベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとし、信号端子導体は幅210μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。剛性のある基板のグランドもベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み300μmとし、信号端子導体は幅250μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。信号端子はその中心が同一になるよう接着し、異方導電接着剤で周囲が充填されている。その接着剤は、比誘電率3.54、tanδを0.0850とした。解析の設定は、以下の通りである。メッシュは自動設定とし、ポートにはWaveportを使用して50Ωにノーマライズを行い、評価周波数範囲は1〜50GHzとして、Sパラメータを算出した。
次に、ADS2003Cを用いて、アイパターン特性を算出した。回路(スケマチック)の内容は以下の通りである。a:ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)を用い、その信号線導体は幅48μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/m、絶縁層は比誘電率3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとした回路モデル、b:信号端子接続部分のTouchstoneデータ、c:ADSのライブラリにあるマイクロストリップラインモデル(MLIN)を用い、その信号線導体は幅575μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/m、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み300μmとした回路モデルを用いた。屈曲性のある基板と剛性のある基板のマイクロストリップライン特性インピーダンスは50Ωであった。スケマチック上で、abccbaabccbaabccbaabccbaabccbaと結線し、10ヶ所の異方導電接着剤で接合された基板の回路モデルを作成した。この回路の片側にランダムパルス発生源(VtLFSR_DT(Voltage Source,Pseudo−Random Pulse Train Defined at Discrete Time Steps))を繋ぎ、もう片側は50Ωで終端してアイパターンを解析した。ビットレートは1Gbpsとした。
これらのシミュレーションの結果として、図22に示すアイパターン特性を得た。
(比較例6)
屈曲性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にメッシュグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。剛性のある基板は、絶縁層の片面にその端部に信号端子を有する信号線を、反対面にベタグランド層を有するマイクロストリップラインモデルとした。屈曲性のある基板と剛性のある基板とは、信号端子を有する端部同士が、両者の信号端子が互いに接続されるように異方導電接着剤で接合されていることとした。
まず、信号端子接続部分の特性を同じHFSSを使用して算出した。そのモデルの使用は以下の通りである。屈曲性のある基板のメッシュグランドは導体幅20μm、高さ18μm、スペース100μmの格子状、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率を3.31、tanδを0.0026、厚み25μmとし、信号端子導体は幅210μm、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとした。剛性のある基板のグランドはベタ、高さ18μm、導電率5.8×10S/mとし、絶縁層は比誘電率4.20、tanδを0.0230、厚み150μmとし、信号端子導体は250μm、高さ18μm、長さ3mm、導電率5.8×10S/mとした。信号端子はその中心が同一になるよう接着し、異方導電接着剤で周囲が充填されている。その接着剤は、比誘電率3.54、tanδを0.0850とした。解析の設定は、以下の通りである。メッシュは自動設定とし、ポートにはWaveportを使用して50Ωにノーマライズを行い、評価周波数範囲は1〜50GHzとして、Sパラメータを算出した。
次に、ADSを用いてアイパターン特性を算出した。ADSのスケマチックのb:信号端子接続部分のTouchstoneデータの部分を、算出した信号端子接続部分のTouchstoneデータに置き換えた以外は、実施例6と同様にアイパターン特性を算出し、図23に示すアイパターン特性を得た。
(評価結果)
アイパターン特性では、ジッター(波形のクロスポイントの時間幅)が小さいほど、特性が優れている。それぞれのジッター時間を評価すると、実施例5、6ではそれぞれ0.017ns、0.021nsと1nsのデータ幅に対して5%程度であり、優れた特性を示した。また、実施例7、8ではともに0.034nsと1nsのデータ幅に対して5%以下であった。実施例7では剛性のある基板の信号端子に対向するグランド層と信号線に対向するグランド層が異なっている。信号端子とグランド間の絶縁層の厚み、および、信号線とグランド間の絶縁層の厚みを変えることによってインピーダンスをマッチングさせているため、実施例5、6とほぼ同等の優れた特性を示した。また、実施例8ではジッター時間は実施例7と同等であるが、入力パルス電圧が低電位:−0.27V、高電位:+0.27Vと8%ほど大きくなっており、若干の信号反射が見られる。これは信号端子接続部分のグランドが抜きでなくメッシュとして存在するためであり、インピーダンスの整合性がグランドを抜いた場合よりも僅かに劣るためである。しかしながら、実施例7、8いずれにおいても、ジッター時間は1nsのデータ幅に対して5%以下であり、良好な特性を示した。これに対し、比較例3、4、5ではそれぞれ0.134ns、0.101ns、0.122nsとデータ幅に対して10%以上の大きな値を示した。また、入力パルス電圧が低電位:−0.25V、高電位:+0.25Vであるのに対して±0.4V以上の波形になっており、大きな信号反射が起こっていることを示唆している。比較例6では信号端子接続部分に対向するグランド層をメッシュにしているが、信号線に対向するグランド層の面積と信号端子部分に対向するグランド層の導体面積の割合が等しい。そのため、インピーダンスの整合性が劣っており、ジッター時間は0.067nsと1nsのデータ幅に対し5%を超えている。また、実施例5において異方導電接着剤を非導電接着剤に替えた実施例9におけるジッター時間は0.017nsと実施例5と殆ど変わらなかった。
これらのことから比較例に対して、実施例5〜9がビットエラーを起こし難いことは明らかであり、本発明の構造が特性的に優れていることが分かる。
1 屈曲性のある基板
2 剛性のある基板
11,12 絶縁層
31,32 信号端子
4 接着剤
51,52 信号線
6 メッシュグランド層
7 導体部が疎なメッシュグランド層
8 信号線に対向するグランド層
9 信号端子に対向するグランド層

Claims (4)

  1. 信号線が形成された信号線層とグランド層とを少なくとも1層ずつ有し、片面に信号線接続用の信号端子が形成されている屈曲性のある基板と、信号線が形成された信号線層とグランド層とを少なくとも1層ずつ有し、片面に信号線接続用の信号端子が形成されている剛性のある基板とが、少なくとも屈曲性を有する基板が部分的に剛性を有する基板と重なり、かつ、該2枚の基板の信号端子が互いに電気的に接続されるように接着剤で接合された電子装置であって、屈曲性のある基板と剛性のある基板のそれぞれに形成された少なくとも1本の信号線が特性インピーダンスコントロールされており、屈曲性のある基板のグランド層が、剛性のある基板と重なった領域にグランド層を有さないか、又は、屈曲性のある基板のグランド層において、剛性のある基板と重なった領域のグランド層が、剛性のある基板と重なっていない領域にあるグランド層に比べ、相対的に導体面積の割合が低いことを特徴とする電子装置。
  2. 屈曲性のある基板のグランド層が屈曲性のある基板の片面に形成されたメッシュグランド層であり、屈曲性のある基板の信号線層が、信号線がメッシュグランド層と対向するマイクロストリップラインである請求項1に記載された電子装置。
  3. 剛性のある基板が、剛性のある基板の信号線に対向するグランド層と、信号端子に対向するグランド層とを異なる層に有することを特徴とする請求項1又は2に記載された電子装置。
  4. 屈曲性のある基板の信号端子のピッチと剛性のある基板の信号端子のピッチが等しく、かつ剛性のある基板の信号端子の端子幅が屈曲性のある基板の信号端子の端子幅よりも広いことを特徴とする請求項1、2及び3のいずれかに記載された電子装置。
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