JP2010135451A - 貼り合わせ基板のボイド検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】貼り合わせ基板の被検査面に照射した光の該被検査面からの反射光を捕捉し、得られた撮影像において、バックグラウンドに対するコントラストの濃淡の違いを識別することにより、ボイド欠陥の有無を判定する
【選択図】図4
Description
(1) 赤外線検査 :ボイド検出サイズ≧1mm
(2) 超音波検査 :ボイド検出サイズ≧0.05μm
(3) ピーリング検査:ボイド検出サイズ≧1mm
ピーリング検査とは、検査面に接着テープを貼り、テープを引き剥がすことでボイドを検出する方法である。
(4) 外観検査 :ボイド検出サイズ≧10μm
すなわち、上記(1)の赤外線検査法は、非破壊検査かつ高スループットの検査方法ではあるが、撮影像のコントラストがはっきりしないため、検出ミスが起こりやすい。また、基板抵抗が低い基板、または抵抗が低い層を含む基板の検査を行うと、赤外線が透過しにくいため、ボイドの検出が難しい。
上記(2)の超音波検査は、非破壊検査かつ高精度の検査方法ではあるが、スループットに1時間以上を必要とし、また水中に浸漬させるため、汚染の問題や洗浄プロセスが必要になる。
上記(3)のピーリング検査は、破壊検査でしかも検出分解能が低い検査方法であり、またシートを接着させることから汚染問題や洗浄プロセスが必要であり、シートが消耗品になるため高コストとなる。
上記(4)の外観検査は、人が介在する作業になるため、人的発塵の問題や検出ミスが起こりやすいという問題がある。
この方法は、貼り合わせ基板のうち少なくとも片面が鏡面状態となるようにして、未接着領域に対応して該片面に形成される凹凸を魔鏡により検出する方法である。
さらに、従来の光学的手法を利用したボイド検出方法では、バックグラウンドに対するコントラストの変化が生じた部分については全てボイドと判定していた。しかしながら、この点に関する発明者らの研究によれば、バックグラウンドに対するコントラストに変化が生じた部分の全てがボイドの原因になるわけではなく、ボイドの原因にならない部分もあり、この点を明確に識別する必要があることが判明した。
すなわち、シリコン基板を貼り合わせ、好ましくはこの貼り合わせ基板を研削・エッチングにより薄膜化した後、研削・エッチング面のまま、魔鏡、面検などの光学的手法でボイド検査を行い、撮影像におけるコントラストの中で、バックグラウンド部分とボイド部分のコントラストの濃淡の違いを識別することによって、ボイドの有無の判定を行うことができるとの知見を得た。
また、この方法は、基板抵抗の影響を受けにくいため、基板抵抗により検査方法を分ける必要がなく、従って、基板抵抗の種類に関係なしにボイド検査を行うことができることも併せて見出した。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
1.貼り合わせ基板の界面における未接合箇所を光学的手法により検査する方法であって、被検査面に照射した光の該被検査面からの反射光を捕捉し、得られた撮影像において、バックグラウンドに対するコントラストの濃淡の違いを識別することにより、ボイド欠陥の有無を判定することを特徴とする貼り合わせ基板のボイド検査方法。
また、本発明では、被検査面を研磨する必要がなく、研削面のままでボイド検査ができるため、プロセス全体の低コスト化が可能となる。
さらに、本発明の光学的手法は、基板抵抗の影響を受け難いため、基板抵抗により検査方法を分ける必要なしにボイド検査を行うことができる。
本発明の検査方法では、光学的手法で得た撮影像について、バックグラウンドに対するコントラストの濃淡の違いを識別することにより、ボイド欠陥の有無を判定することができる。
すなわち、バックグラウンドに対するコントラストの濃淡は、濃い部分と淡い部分があるが、コントラストが淡い部分は最終薄膜化後もボイドの原因になることはほとんどなく、従ってバックグラウンドよりもコントラストの濃い部分のみをボイド欠陥と判定することができる。
光散乱を原理とする光学的手法による表面欠陥検査において、測定対象表面に対し光を照射する場合、反射光すなわち、検出器により受光される光は表面に形成されている凹凸の散乱情報をもっている。
すなわち、バックグラウンドに対し、表面が凹になっている場合、検出される光は簡易的に集光されるため、検出器で受光される光の照度が上昇し、バックグラウンドに対し淡く(明るく)見える。一方、表面がバックグラウンドに対し凸になっている場合、検出される光は表面の凸部分に散乱されてしまうため、検出器で受光される光の照度が低下し、濃く(暗く)見える。従って、バックグランドに対する濃淡を判別することで、表面に対して凸形状をしているか凹形状をしているかを判断することができる。
ここで、一部の気泡は、貼り合せ後の接合強度を強化するための熱処理時に反応し、界面に酸化膜を形成することにより消滅するものもあると考えられる。もともと気泡を有し、熱処理により消滅した貼り合せ界面は、酸化膜の形成により、気泡部分の体積収縮により、ウェーハ表面から界面へと働く応力が残っていると考えられる。この気泡消滅部分が残ったウェーハを上記同様に薄膜化すると、消滅部分の応力によりウェーハ表面には凹形状が形成されるものと考えられる。
上記の理由に基づいて、バックグラウンドに対し、コントラストが濃い部分のみをボイド欠陥と判定することができるのである。
すなわち、上述した説明に基づけば、コントラストの違いが発生した原因が気泡と共通しているため、コントラストに違いがあらわれても、変化が生じた部分の形状は同じになるため、全てボイドと判定したものと考えられる。
また、超音波検査法におけるコントラストの違いにも同様のことがいえる。すなわち、超音波検査によるシリコンウェーハの貼り合せ界面のボイドの検査は、接合領域と未接合領域の、屈折率の違いをコントラストで表していることを考慮すると、界面に気泡部分が存在しているとシリコン(シリコン屈折率:4.20)とは屈折率(空気の屈折率:1.00)が異なるので検出できるが、同様に、界面に酸化膜があってもシリコンとは屈折率(シリコン酸化膜の屈折率:1.45)が異なるため、接合されている領域もボイドと判定したものと考えられる。
また、外観検査では、凹凸の判断に人が介在するため、人的要因の発塵や検出ミスが起こりやすかった。
本発明において、ボイド検査を研削面またはエッチング面のまま実施することができる理由は、次のとおりと考えられる。
バックグラウンドに対するコントラストの濃淡でボイドを識別する方法においては、表面凹凸の情報が得られればボイドの判定が可能である。エッチング面においてはこの手法を用いることに大きな問題はなかったが、研削面においては、ウェーハ表面に研削痕があり、ボイドがこの研削痕と重なってしまうと判定しにくいというデメリットがあった。
ここで、研削で残す厚み及び入射する光量の条件を一定にすることで、常に一定のコントラストを得ることができることを、発明者は見出した。研削の精度を限りなく向上させた研削技術を用いることにより、研削で入る傷も減少させることができるため、研削痕はある特定のコントラストで検出できるようになった。研削痕とボイド部分には残すシリコンの厚みの条件より5μm以上の段差が発生することになり、5μm以上の段差が発生した場合には、明らかなコントラストの違いが発生することが確認された。従って、バックグラウンドに対して、コントラスト値の閾値を設定し、これで判別することにより、ボイドと研削痕の識別が可能になるのである。
というのは、薄膜化後の厚みが20μm 超では、未接合領域の影響による表面の凹凸が現れにくいため、正確なボイドの検出が難しく、一方5μm 未満では、後工程である最終薄膜化において、研削・エッチングのダメージを除去することが難しいからである。
なお、本発明でも、研削面・エッチング面の表面改質(研磨)を行うと、ボイド検出分解能は改善されるが、その分コストが余分にかかってしまうので特に必要はない。
また、研削面・エッチング面のボイド検査として、超音波による検査も可能であるが、水中に浸漬するため、検査後に洗浄プロセスが必要であることから、プロセスコストが高くなり、かつスループットが悪いため好ましくない。
というのは、魔鏡や面検による測定は、表面の光散乱を原理とするため、基板抵抗や屈折率、反射率の影響を受けにくく、基板抵抗などによる条件変更の必要性がないからである。
また、超音波によるボイド検査法は、赤外線の検査と比較すると基板の影響は受けにくく高精度の測定が可能であるが、水中に浸漬するため、検査後に洗浄プロセスが必要であることから、プロセスコストが高くなり、かつスループットが悪いため好ましくない。
ここに、魔鏡とは、平行光線入射による光干渉式表面凹凸測定のことである。魔鏡は一般的に平坦化されたウェーハの表面凹凸を測定する場合に多く用いられる。
また、面検とは、レーザー光入射による光散乱表面測定のことであり、表面の異物や微小な欠陥を測定する場合に広く用いられ、ヘイズと呼ばれる表面の粗さ測定にも用いられる。
・SOI構造1
Si:770μm(抵抗値:約20Ω/cm)/SiO2:150nm/Si:770μm(抵抗値:約20Ω/cm)
・SOI構造2
Si:770μm(抵抗値:約0.01Ω/cm)/SiO2:150nm/Si:770μm(抵抗値:約20Ω/cm)
・SOI構造3
Si:10μm(抵抗値:約0.01Ω/cm)/SiO2:150nm/Si:770μm(抵抗値:約20Ω/cm)
このSOI構造3は、SOI構造2の基板を、平面研削により膜厚が10μm まで薄膜化したものである。
(1) 貼り合わせ後のSOI構造1,2に対し、赤外線検査によるボイド検査を行った。
得られた結果を図1,2に示す。
(2) 研削後のSOI構造3の基板について、外観検査によるボイド検査を行った。
得られた結果を図3に示す。
(3) 研削後のSOI構造3の基板について、魔鏡検査によるボイド検査を実施した。
得られた結果を図4に示す。
(4) 上記のボイド検査後、ピーリング検査によりボイド剥離試験を実施した。
得られた結果を図5に示す。
(5) 上記のピーリング後、魔鏡検査によるボイド検査を再度実施した。
得られた結果を図6に示す。
(1) 図1と図2の比較から明らかなように、赤外線検査では基板抵抗が低いもの(図2)は測定できないことが確認された。
(2) 研削後のSOI構造3の基板に対する外観検査によるボイド検査では、中心に界面のSiO2が露出していることが判明した(図3中、青い部分)。
(3) 魔鏡検査の結果、中心の剥離部分とコントラストの濃い部分とが一致していることが判明した(図4中、太線円で示した部分)。
(4) 図4と図5の比較から明らかなように、魔鏡検査でコントラストが濃く(黒く)撮影されていた部分は、ピーリング検査で剥離するボイドであることが判明した(図4中、二重線で示した部分、および図5中、二重線で示した部分)。
(5) 図6に示したとおり、魔鏡検査(図4参照)でコントラストが淡く(白く)撮影されていた部分は、ピーリング検査でも剥離しないボイドであることが確認された。
Claims (4)
- 貼り合わせ基板の界面における未接合箇所を光学的手法により検査する方法であって、被検査面に照射した光の該被検査面からの反射光を捕捉し、得られた撮影像において、バックグラウンドに対するコントラストの濃淡の違いを識別することにより、ボイド欠陥の有無を判定することを特徴とする貼り合わせ基板のボイド検査方法。
- 前記撮影像において、バックグラウンドよりもコントラストの濃い部分のみをボイド欠陥と判定することを特徴とする請求項1に記載の貼り合わせ基板のボイド検査方法。
- 前記貼り合わせ基板のうち少なくとも一方のシリコン基板を、研削またはエッチングにより5〜20μm厚まで薄膜化した後に、研削面またはエッチング面のまま検査を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の貼り合わせ基板のボイド検査方法。
- 前記貼り合わせ基板のうち少なくとも一方のシリコン基板が、ボロン濃度:3.2×1018 atoms/cm3以上または基板抵抗:0.02Ω/cm以下のシリコン基板もしくは表面にエピタキシャル層を有するシリコン基板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の貼り合わせ基板のボイド検査方法。
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