JP2010133459A - 締結具 - Google Patents
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Abstract
【課題】被締付体を一方向から容易にかつ確実に締め付ける締結具を提供する。
【解決手段】本締結具1は、形状記憶合金から成り、ボルト本体2の軸部10を包み頭部8に当接され、頭部8とともに被締付体6a,6bの孔部7に挿入される筒状の座金5を備え、座金5は加熱手段により加熱されることで形状記憶が戻り、被締付体6a,6bの孔部7を通過した座金5の軸方向の中央部で外側に屈曲する屈曲部11と、ナット3のねじ込みにより屈曲部11を境に折り畳まれる折畳み部12a,12bを有し、筒状の原形に戻ろうとする形状記憶合金の復元力により被締付体6a,6bを締め付ける。
【選択図】図1
【解決手段】本締結具1は、形状記憶合金から成り、ボルト本体2の軸部10を包み頭部8に当接され、頭部8とともに被締付体6a,6bの孔部7に挿入される筒状の座金5を備え、座金5は加熱手段により加熱されることで形状記憶が戻り、被締付体6a,6bの孔部7を通過した座金5の軸方向の中央部で外側に屈曲する屈曲部11と、ナット3のねじ込みにより屈曲部11を境に折り畳まれる折畳み部12a,12bを有し、筒状の原形に戻ろうとする形状記憶合金の復元力により被締付体6a,6bを締め付ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、締結具に係り、特に、先端側に頭部が設けられ、軸部の後端側にねじが形成されたボルト本体と、ねじに係合するナットとから構成され、複数の被締付体の孔部に挿入され、ナットのねじ込みにより被締付体相互を締結する締結具に関する。
ビルディングや工場などの建築物、橋梁などの土木構造物、送電鉄塔などの電気施設、鉄塔などの工作物、機械、器具などにおいて、被締付体である鉄板、木材、プラスティックなどを相互に接続する締結具として、高力ボルト或いは普通ボルトが用いられている。
この高力ボルト或いは普通ボルトは、一般的にボルト本体とワッシャ付きナットから構成され、相互に締結される1組の被締付体の孔部に対して一方からボルト本体を挿入し、被締付体の孔部の他方からワッシャ付きナットをねじ込んで被締付体相互を締結する。
しかし、被締付体によっては、両側から高力ボルト或いは普通ボルトを締め付けられない場合がある。例えば、箱型の部材に板状の部材を高力ボルト或いは普通ボルトを取り付ける場合には、箱型の部材の内部に手が回らず締め付けができない。この場合には、通しボルトにより箱型の部材を貫通させるなどの他の手段、或いは設計変更などにより対処している。
そこで、被締付体に対して一方向から締め付けることができる高力ボルト或いは普通ボルトが提案されている。例えば、特許文献1には、形状記憶合金からなる筒状の座金を用いた締結具が開示されている。ここでは、ボルトの基端部にねじ部が形成され、先端部に形状記憶合金からなる筒状の座金が装着される。座金にはその軸方向にスリットが複数掲載される。このボルトを被締付体に挿入し、座金を加熱して拡開させるとともに、ナットをねじ込むことで被締付体が締め付けられ、座金の復元力により被締付体がしっかりと締め付けられることが記載されている。
上述したように、被締付体によっては、両側から高力ボルト或いは普通ボルトを通常の方法で締め付けられない場合があり、設計変更をするか、溶接接合などの他の締結手段をとらなければならない。すなわち、高力ボルト或いは普通ボルトにより被締付体を一方向から容易に締め付けられないという問題がある。
本願の目的は、かかる課題を解決し、被締付体を一方向から容易にかつ確実に締め付ける締結具を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る締結具は、先端側に頭部が設けられて軸部の後端側にねじが形成されたボルト本体と、ねじに係合するナットとから構成され、複数の被締付体の孔部に挿入され、ナットのねじ込みにより被締付体相互を締結する締結具において、形状記憶合金から成り、ボルト本体の軸部を包み頭部に当接され、頭部とともに締付体の孔部に挿入される筒状の座金を備え、座金は被締付体の孔部を通過した後、加熱手段により加熱されることで形状記憶が戻り座金の軸方向の中央部で外側に屈曲する第1の屈曲部と、ナットのねじ込みにより第1の屈曲部を境に折り畳まれる折畳み部を有し、筒状の原形に戻ろうとする形状記憶合金の復元力により被締付体を締め付けることを特徴とする。
上記構成により、座金は被締付体の孔部を通過した後、加熱手段により加熱されることで形状記憶が戻り、外側に向かって屈曲する。そして、座金はナットをねじ込むことで屈曲部を境に折り畳まれて環状となり、ボルト本体の頭部を保持することができる。これにより、被締付体を一方向から容易に締め付けることが可能となる。さらに、座金は、ナットのねじ込みにより筒状の原形に戻ろうとする形状記憶合金の復元力により被締付体を確実に締め付けることが可能となる。
また、締結具は、前記座金が、第1の屈曲部の近傍において切断した断面の断面積が折畳み部において切断した断面の断面積よりも小さいことが好ましい。これにより、座金はその第1の屈曲部において断面積が減少することで折畳み部よりも高い歪を受け、加熱による座金の屈曲を容易に生じさせることができる。
また、締結具は、前記座金が、加熱後において被締付体の孔部に挿入された状態の筒状部と、加熱手段により加熱されることで筒状部とそれに隣接する折り畳み部の間に生じる第2の屈曲部と、を有することが好ましい。これにより、被締付体の孔部とボルト本体の軸部との間のクリアランスにより、ボルト本体が孔部の一方に偏って締め付けられることが防止できる。
また、締結具は、前記座金が、第2の屈曲部の近傍において切断した断面の断面積が折畳み部において切断した断面の断面積よりも小さいことが好ましい。これにより、座金はその第2の屈曲部において断面積が減少することで折畳み部よりも高い歪を受け、加熱による座金の屈曲を容易に生じさせることができる。
また、締結具は、前記頭部には、装着された座金の先端側の端部が係合する円形溝が設けられることが好ましい。これにより、ボルト本体の頭部に当接された座金の端部が、加熱により座金が屈曲する際に、ボルト本体の頭部からはずれることを防ぐことができる。
また、締結具は、前記座金は、棒鋼を平板状に編んだメッシュからなることが好ましい。これにより、加熱により座金が屈曲する際に、メッシュ状に編まれた棒鋼により座金を容易に屈曲させることができる。
さらに、締結具は、加熱手段が、第1の屈曲部の近傍又は第2の屈曲部の近傍に設けられる密封された発熱体であり、開封されることで発熱して座金の屈曲部を加熱することが好ましい。これにより、加熱手段としてドライヤーやガスバーナー等の機器を用いることなく座金の屈曲部を簡易な手段により所定の温度で加熱することができる。
以上のように、本発明に係る締結具によれば、被締付体を一方向から容易にかつ確実に締め付けることが可能となる。
以下に、図面を用いて本発明に係る締結具の実施の形態につき、詳細に説明する。
(締結具の第1実施形態)
図1に、締結具の第1の実施形態の概略構成を断面図で示す。図1(a)は、締付具の構成を示す側面図である。図1(b)は、被締付体を締め付けた後の締付具を示す断面図である。締結具1は、ボルト本体2、座金5、ワッシャ4、及びナット3から構成される。ボルト本体2は、その先端側に頭部8が設けられ、その軸部10の後端側にねじ部9が設けられる。座金5は、ボルト本体2の軸部10を包み頭部8に当接される。このボルト本体2は、図1(a)の状態で被締付体6a,6bの孔部7に挿入され、ナット3のねじ込みにより被締付体6a,6bを相互に締結する。本実施形態では、締付体1はトルシア形の高力ボルトを用いた場合で説明する。そのため、ボルト本体2のねじ部9の端部には、ボルト締め付け用のピンテール16が取り付けられる。しかし、本発明が適用されるのはトルシア形の高力ボルトに限らず、他のボルト、例えば普通ボルトにも同様に適用される。
図1に、締結具の第1の実施形態の概略構成を断面図で示す。図1(a)は、締付具の構成を示す側面図である。図1(b)は、被締付体を締め付けた後の締付具を示す断面図である。締結具1は、ボルト本体2、座金5、ワッシャ4、及びナット3から構成される。ボルト本体2は、その先端側に頭部8が設けられ、その軸部10の後端側にねじ部9が設けられる。座金5は、ボルト本体2の軸部10を包み頭部8に当接される。このボルト本体2は、図1(a)の状態で被締付体6a,6bの孔部7に挿入され、ナット3のねじ込みにより被締付体6a,6bを相互に締結する。本実施形態では、締付体1はトルシア形の高力ボルトを用いた場合で説明する。そのため、ボルト本体2のねじ部9の端部には、ボルト締め付け用のピンテール16が取り付けられる。しかし、本発明が適用されるのはトルシア形の高力ボルトに限らず、他のボルト、例えば普通ボルトにも同様に適用される。
座金5は、形状記憶合金からなる板を筒状に加工したものである。形状記憶合金とは、例えば、Ni−Ti(ニッケル・チタン)合金などであり、熱処理を施すことにより形状記憶効果を発揮する合金をいう。この形状記憶効果とは、所定の温度で形状を記憶させると、形状回復温度よりも低い温度で変形させた場合、この形状回復温度まで加熱すると再び元の形状に戻る特性をいう。
図1に示すように、座金5は、被締付体6a,6bの孔部7を通過した後、加熱手段により加熱されることで形状記憶が戻り座金5の軸方向の中央部で外側に屈曲する屈曲部11と、ナット3のねじ込みにより屈曲部11を境に頭部8側に折り畳まれる折畳み部12a,及びナット3側に折り畳まれる折畳み部12bとを有する。そして、加熱手段により加熱されると筒状の原形に戻ろうとする形状記憶合金の復元力により被締付体6a,6bを締め付ける。
また、ボルト本体2の頭部8には円形溝13が設けられる。この円形溝13には装着された座金5の先端側の端部が当接し、座金5が加熱手段により加熱された際に頭部8から外れないように係合する。
図2に、座金の形状を示す。図2(a)は筒状に加工された座金5の断面図を示す。この座金5は軸方向に屈曲部11及び折畳み部12a,12bを有する。この屈曲部11及び折畳み部12a,12bは明確な領域で区分されるものではなく、説明のための概略の領域である。図2(b),図2(c)は、筒状の座金5を展開した図である。図2(b),(c)に示すように、座金5a,5bは、その屈曲部11の近傍のラインL1に複数の開口14a,14bを有する。この開口14a,14bにより、座金5a,5bの屈曲部11で切断したラインL1の断面の断面積が、座金5a,5bの折畳み部12で切断したラインL2の断面の断面積よりも減少する。座金5a,5bは、予め折り畳まれた形状に形状記憶されている。この開口14a,14bがあることで、座金5a,5bが加熱手段により加熱された場合、屈曲部11に生じる歪が折畳み部12に生じる歪よりも大きくなり、屈曲部11が元の形状に屈曲して折り畳まれるための引き金となる。この開口14は図2(b)では円形の開口14aであり、図2(c)では菱形の開口14bであるが、これに限らず、屈曲部11において断面積が減少し、座金5a,5bが加熱されることで屈曲しやすい開口の形状であれば他の形状であっても良い。
図2(d)は筒状の座金5を展開した図であり、図2(e)は図2(d)のA−A断面である。図2(d)及び図2(e)に示すように、座金5cの屈曲部11の板厚t1の切削部15が切削され、座金5cの折畳み部12の板厚t2よりも薄くなっている。この板厚の差により、座金5cの屈曲部11で切断したラインL1の断面の断面積が、座金5cの折畳み部12で切断したラインL2の断面の断面積よりも減少する。座金5cは、予め折り畳まれた形状に形状記憶されている。この板厚の差(Δt=t2−t1)があることで、座金5cが加熱手段により加熱された場合、屈曲部11に生じる歪が折畳み部12に生じる歪よりも大きくなり、屈曲部11が元の形状に屈曲して折り畳まれるための引き金となる。
図3(a)〜(d)に、第1の実施形態での締結具1による被締付体6a,6bの締め付け手順を示す。図3(a)は、ボルト本体2に座金5、ワッシャ4が取り付けられナット3がねじ込まれた締結具1を被締付体6a,6bの孔部7に挿入する状態を示す。図3(b)は、図3(a)の締結具1の挿入が完了した後、加熱手段により座金5が加熱された状態を示す。上述したように、座金5は、図2に示す、座金5に設けられた開口14a,14b、又は切削部15が引き金となり屈曲を開始する。図3(c)は、締付機43によるナット3の締め付けを示す。インナースリーブ17をボルト本体2のピンテール16に挿入し、アウタースリーブ18をナット3にはめ込む。締付機43を駆動させアウタースリーブ18を回転させてナット3を締め付ける。このナット3の締め付けにより、座金5は、その折り畳みが進行して座金5の屈曲が促進される。そして、折畳み部12a及び折畳み部12bがほぼ密着するまでに折り畳まれ、ボルト本体2の頭部8に加わる応力を被締付体6aに分散して伝達させる座金5としての機能を発揮できるようになる。図3(d)は、所定のトルクに達するとねじ部9とピンテール16との間の破断溝19が切れてピンテール16が離間した状態を示す。このピンテール16の離間により、締結具1に所定のトルクが導入されたことが確認できる。また、折り畳まれた座金5は、筒状の原形に戻ろうとする形状記憶合金の復元力(図中、矢印で表示)により被締付体6a,6bを締め付ける。
(締結具の第2実施形態)
図4に、締結具の第2の実施形態の概略構成を断面図で示す。締結具20は、ボルト本体22、座金25、ワッシャ24、及びナット23から構成される。ボルト本体22の頭部28、軸部30、ねじ部29については、第1の実施形態と同様である。座金25は、ボルト本体22の軸部30を包み頭部28に当接される。本実施形態では、座金25は第1屈曲部41、折畳み部32a,32bのほかに加熱後において被締付体26a,26bの孔部27に挿入された状態の筒状部39、及び折畳み部32bと筒状部39により生じる第2屈曲部42を有する。このため、座金25は、第1屈曲部41、第2屈曲部42、折畳み部32a,折畳み部32b、及び筒状部39から構成されることになる。また、ワッシャ24の内側には環状のスペーサ40が挿入される。また、ボルト本体22の頭部28には円形溝33が設けられる。この円形溝33には装着された座金25の先端側の端部が当接し、座金25が加熱手段により加熱された際に頭部28から外れないように係合する。
図4に、締結具の第2の実施形態の概略構成を断面図で示す。締結具20は、ボルト本体22、座金25、ワッシャ24、及びナット23から構成される。ボルト本体22の頭部28、軸部30、ねじ部29については、第1の実施形態と同様である。座金25は、ボルト本体22の軸部30を包み頭部28に当接される。本実施形態では、座金25は第1屈曲部41、折畳み部32a,32bのほかに加熱後において被締付体26a,26bの孔部27に挿入された状態の筒状部39、及び折畳み部32bと筒状部39により生じる第2屈曲部42を有する。このため、座金25は、第1屈曲部41、第2屈曲部42、折畳み部32a,折畳み部32b、及び筒状部39から構成されることになる。また、ワッシャ24の内側には環状のスペーサ40が挿入される。また、ボルト本体22の頭部28には円形溝33が設けられる。この円形溝33には装着された座金25の先端側の端部が当接し、座金25が加熱手段により加熱された際に頭部28から外れないように係合する。
この筒状部39は、ボルト本体22が、その軸部30が孔部27において偏った状態のままナット23により締め付けられるのを防止するスペーサの役割を果たす。すなわち、第1の実施形態に係る締結具1は、ボルト本体2の頭部8、及び座金5が取り付いた軸部10を被締付体6a,6bの孔部7に貫通させなければならないため、孔部7と軸部10とのクリアランスが生じる。従って、例えば、鉛直方向に立て掛けられた被締付体6a,6bを締結する場合には、ボルト本体2が自重により被締付体6aの孔部7の下方に落ちたままナット3により締め付けられる虞がある。この状態で締め付けられると、頭部8が正規の位置からずれて孔部7にめり込んでしまい確実な締め付けとならない。本実施形態によれば、筒状部39によりボルト本体22を被締付体26aの孔部27から偏らせずに締め付けることができる。同様な理由から、環状のスペーサ40を挿入することで、ボルト本体22のねじ部29を被締付体26bの孔部27から偏らせずに締め付けることができる。
図5に、座金25の形状を示す。図5(a)は筒状に加工された座金25の断面図を示す。この座金25は軸方向に第1屈曲部41、第2屈曲部42、折畳み部32a,折畳み部32b、及び筒状部39を有する。この第1屈曲部41,第2屈曲部42、折畳み部32a,32b及び筒状部39は明確な領域で区分されるものではなく、説明のための概略の領域である。
図5(b)及び図5(c)は、筒状の座金25を展開した図である。図5(b)及び図5(c)に示すように、座金25は、その第1屈曲部41の近傍のラインL3に複数の開口34a,34bを有する。この開口34a,34bにより、座金25の第1屈曲部41で切断したL3の断面の断面積が、座金25の折畳み部32で切断したラインL4の断面の断面積よりも減少する。座金25は、予め折り畳まれた形状に形状記憶されている。この開口部34a,34bがあることで、座金25が加熱手段により加熱された場合、第1屈曲部41に生じる歪が折畳み部32に生じる歪よりも大きくなり、第1屈曲部41が元の形状に屈曲して折り畳まれるための引き金となる。
また、座金25は、その第2屈曲部42の近傍のラインL5に複数の開口44a,44bを有する。この開口44a,44bにより、座金25の第2屈曲部42で切断したラインL5の断面の断面積が、座金25の折畳み部32で切断したラインL4の断面の断面積よりも減少する。座金25は、予め曲げられた形状に形状記憶されている。この開口部44があることで、座金25が加熱手段により加熱された場合、第2屈曲部42に生じる歪が折畳み部32及び筒状部39に生じる歪よりも大きくなり、第2屈曲部42が元の形状に折り曲げられるための引き金となる。
これらの開口34,44は、図5(b)では円形の開口34a,44aであり、図5(c)では菱形の開口34b,44bで在るが、これに限らず、第1屈曲部41,第2屈曲部42において断面積が減少し、座金25a,25bが加熱されることで屈曲しやすい開口の形状であれば他の形状でも良い。
図5(d)は筒状の座金25を展開した図であり、図5(e)は図5(d)のB−B断面である。図5(d)及び図5(e)に示すように、座金25cの第1屈曲部41の板厚t3の切削部35、及び第2屈曲部42の板厚t5の切削部45が切削され、座金5cの折畳み部32の板厚t4よりも薄くなっている。この板厚の差により、座金25cの屈曲部41,42で切断したラインL3,L5の断面の断面積が、座金25cの折畳み部32bで切断したラインL4の断面の断面積よりも減少する。座金25cは、予め折り畳まれた形状に形状記憶されている。この板厚の差(Δt=t4−t3)又はΔt=t4−t5があることで、座金25cが加熱手段により加熱された場合、屈曲部41,42に生じる歪が折畳み部32a,32bに生じる歪よりも大きくなり、屈曲部41,42が元の形状に屈曲して折り畳まれるための引き金となる。
図6(a)〜(d)に、第2の実施形態での締結具20による被締付体26a,26bの締め付け手順を示す。図6(a)は、ボルト本体22に座金25、ワッシャ24が取り付けられナット23がねじ込まれた締結具20を被締付体26a,26bの孔部27に挿入する状態を示す。図6(b)は、図6(a)の締結具20の挿入が完了した後、加熱手段により座金25が加熱された状態を示す。上述したように、座金25は、図5に示す、座金25に設けられた開口34a,34b,又は切削部35,45が引き金となり屈曲を開始する。図6(c)は、締付機43によるナット23の締め付けを示す。インナースリーブ37をボルト本体22のピンテール36に挿入し、アウタースリーブ38をナット23にはめ込む。締付機43を駆動させアウタースリーブ38を回転させてナット23を締め付ける。このナット23の締め付けにより、座金25は、折畳みが進行して折畳み部32a及び折畳み部32bがほぼ密着するまでに折り畳まれ、ボルト本体22の頭部28に加わる応力を被締付体26aに分散して伝達させる座金25としての機能を発揮できるようになる。図6(d)は、所定のトルクに達するとねじ部29とピンテール36との間の破断溝49が切れてピンテール36が離間した状態を示す。このピンテール36の離間により、締結具20に所定のトルクが導入されたことが確認できる。
(締結具の第3実施形態)
図7に、締結具の第3の実施形態の概略構成を示す。本締結具60の座金65a,65bは、棒鋼を平板状に編んだメッシュ51a,51bからなる。図7(a)は、メッシュ51aが第1屈曲部61で間引かれた座金65aを示す。図7(b)は、座金65aを第1屈曲部61で2つ折りに屈曲させた状態の断面図を示す。図7(c)は、メッシュ51bが第1屈曲部61及び第2屈曲部62で間引かれた座金65bを示す。図7(d)は、座金65bを第1屈曲部61及び第2屈曲部62で3つ折りに屈曲させた状態の断面図を示す。このように、第1実施形態や第2実施形態の平板の座金5,25の代わりに棒鋼を平板状に編んだメッシュ51を用いることができる。
図7に、締結具の第3の実施形態の概略構成を示す。本締結具60の座金65a,65bは、棒鋼を平板状に編んだメッシュ51a,51bからなる。図7(a)は、メッシュ51aが第1屈曲部61で間引かれた座金65aを示す。図7(b)は、座金65aを第1屈曲部61で2つ折りに屈曲させた状態の断面図を示す。図7(c)は、メッシュ51bが第1屈曲部61及び第2屈曲部62で間引かれた座金65bを示す。図7(d)は、座金65bを第1屈曲部61及び第2屈曲部62で3つ折りに屈曲させた状態の断面図を示す。このように、第1実施形態や第2実施形態の平板の座金5,25の代わりに棒鋼を平板状に編んだメッシュ51を用いることができる。
(加熱手段)
図8に、座金5,25,65に取り付ける加熱手段である発熱体46,47を示す。図8(a)には、第1実施形態の場合の発熱体46aを示し、図8(b)には、第2実施形態の発熱体46b,47を示す。また、図8(c)は、図8(a)のC−C断面図である。発熱体46,47は、図2、図5、図7に示す屈曲部11,第1屈曲部41,61の近傍又は第2屈曲部42,62の近傍に設けられる。この発熱体46,47は、空気中の酸素に触れると酸化して発熱する酸化鉄48がゲル状の接着剤49により座金5,25,65の表面に付着している。発熱体46,47の表面にはシール材50が貼られ、通常の状態では、酸化鉄48は空気と接触せずに発熱しない。本締結具1,20,60により被締付体6a,6b,26a,26bを締め付ける際に、このシール材50を開封すると発熱体46,47の酸化鉄48は酸化して発熱を開始する。この発熱により座金5,25,65の屈曲部11,41,42を加熱する。形状記憶合金の形状回復温度は、例えばNi−Ti(ニッケル・チタン)合金の場合には略70℃前後である。発熱体46,47に含まれる酸化鉄48の量は、この形状回復温度を超える温度となるように調節される。これにより、加熱手段としてドライヤーやガスバーナーなどの機器を用いて加熱することなく座金5,25,65の屈曲部41,42の形状記憶効果を発揮させることができる。
図8に、座金5,25,65に取り付ける加熱手段である発熱体46,47を示す。図8(a)には、第1実施形態の場合の発熱体46aを示し、図8(b)には、第2実施形態の発熱体46b,47を示す。また、図8(c)は、図8(a)のC−C断面図である。発熱体46,47は、図2、図5、図7に示す屈曲部11,第1屈曲部41,61の近傍又は第2屈曲部42,62の近傍に設けられる。この発熱体46,47は、空気中の酸素に触れると酸化して発熱する酸化鉄48がゲル状の接着剤49により座金5,25,65の表面に付着している。発熱体46,47の表面にはシール材50が貼られ、通常の状態では、酸化鉄48は空気と接触せずに発熱しない。本締結具1,20,60により被締付体6a,6b,26a,26bを締め付ける際に、このシール材50を開封すると発熱体46,47の酸化鉄48は酸化して発熱を開始する。この発熱により座金5,25,65の屈曲部11,41,42を加熱する。形状記憶合金の形状回復温度は、例えばNi−Ti(ニッケル・チタン)合金の場合には略70℃前後である。発熱体46,47に含まれる酸化鉄48の量は、この形状回復温度を超える温度となるように調節される。これにより、加熱手段としてドライヤーやガスバーナーなどの機器を用いて加熱することなく座金5,25,65の屈曲部41,42の形状記憶効果を発揮させることができる。
1,20,60 締結具、2,22 ボルト本体、3,23 ナット、4,24 ワッシャ、5,25,65 座金、6a,6b,26a,26b 被締付体、7,27 孔部、8,28 頭部、9,29 ねじ部、10,30 軸部、11 屈曲部、12a,12b,32a,32b 折畳み部、13,33 円形溝、14a,14b,34a,34b,44a.44b 開口、15,35,45 切削部、16,36 ピンテール、17,37 インナースリーブ、18,38 アウタースリーブ、19,49 破断溝、39 筒状部、40 スペーサ、41,61 第1屈曲部、42,62 第2屈曲部、43 締付機、46,47 発熱体、48 酸化鉄、49 接着剤、50 シール材、51 メッシュ。
Claims (7)
- 先端側に頭部が設けられて軸部の後端側にねじが形成されたボルト本体と、ねじに係合するナットとから構成され、複数の被締付体の孔部に挿入され、ナットのねじ込みにより被締付体相互を締結する締結具において、
形状記憶合金から成り、ボルト本体の軸部を包み頭部に当接され、頭部とともに締付体の孔部に挿入される筒状の座金を備え、
座金は被締付体の孔部を通過した後、加熱手段により加熱されることで形状記憶が戻り座金の軸方向の中央部で外側に屈曲する第1の屈曲部と、ナットのねじ込みにより第1の屈曲部を境に折り畳まれる折畳み部を有し、筒状の原形に戻ろうとする形状記憶合金の復元力により被締付体を締め付けることを特徴とする締付具。 - 請求項1に記載の締結具であって、前記座金は、第1の屈曲部の近傍において切断した断面の断面積が折畳み部において切断した断面の断面積よりも小さいことを特徴とする締結具。
- 請求項1又は2に記載の締結具であって、前記座金は、加熱後において被締付体の孔部に挿入された状態の筒状部と、加熱手段により加熱されることで筒状部とそれに隣接する折り畳み部の間に生じる第2の屈曲部と、を有することを特徴とする締結具。
- 請求項3に記載の締結具であって、前記座金は、第2の屈曲部の近傍において切断した断面の断面積が折畳み部において切断した断面の断面積よりも小さいことを特徴とする締結具。
- 請求項1乃至4のいずれか1に記載の締結具であって、前記頭部には、装着された座金の先端側の端部が係合する円形溝が設けられることを特徴とする締結具。
- 請求項1乃至5のいずれか1に記載の締結具であって、前記座金は、棒鋼を平板状に編んだメッシュからなることを特徴とする締結具。
- 請求項1乃至6のいずれか1に記載の締結具であって、加熱手段は、第1の屈曲部の近傍又は第2の屈曲部の近傍に設けられる密封された発熱体であり、開封されることで発熱して座金の屈曲部を加熱することを特徴とする締結具。
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JP2016114231A (ja) * | 2014-12-18 | 2016-06-23 | 大和ハウス工業株式会社 | 偏心スペーサーおよび柱脚固定構造 |
CN107588067A (zh) * | 2017-07-24 | 2018-01-16 | 同济大学 | 一种内置橡胶圈变形收缩自回复分体式单边螺栓紧固件 |
CN109578417A (zh) * | 2018-11-30 | 2019-04-05 | 中国航空工业集团公司沈阳飞机设计研究所 | 一种高可靠性螺栓 |
CN112343716A (zh) * | 2019-08-08 | 2021-02-09 | 通用电气公司 | 用于燃气涡轮发动机的形状记忆合金隔离器 |
-
2008
- 2008-12-03 JP JP2008308194A patent/JP2010133459A/ja active Pending
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