JP2005024036A - 鉄基形状記憶合金を用いる接続構造 - Google Patents

鉄基形状記憶合金を用いる接続構造 Download PDF

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和弘 大塚
Tadakatsu Maruyama
忠克 丸山
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孝 栗田
Hiromi Sakai
裕美 坂井
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Abstract

【課題】形状記憶合金の中でも安価で量産性に優れた鉄基形状記憶合金を利用して、ねじ接続並みの簡単な作業手段で強固な締結がなされる接続構造を提供すること。
【解決手段】鉄基形状記憶合金の限られた形状回復能力を有効に活用するために、使用する鉄基形状記憶合金製のナットにテーパーめねじを加工するか或いはスリットなどの特殊な形状を付与するか、或いは特殊形状の中間リングを用いるか、或いは相手側のボルトに凹溝などを加工するかの内のいずれかの手段を、鉄基形状記憶合金製ナットの形状回復動作と併用して金属部材相互を強固に接合する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、部分的に鉄基形状記憶合金を用いる接続構造とその部材に係わり、しかも通常のねじ接続で問題となることの多い振動による緩みを生じにくくした強固な接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ねじ接続は、構造物や組立部材を構成する要素を接続する方法として、溶接と並んで最も重要なものの一つである。しかし一般に構造物や組立部材は、単に静的な外力を受けるのみでなく絶え間のない振動にさらされることが少なくない。このような振動は、溶接接続部においては局部的な残留応力部分で遅れ破壊を発生させる原因となり、一方ねじ接続部においては接続が緩んでねじが外れる現象を引き起こしている。特に橋梁のように車の運行によって常に振動が与えられる構造物や、あるいは鉄道車両、自動車、飛行機などの自ずから動くことによって振動を発生し続ける構造体の場合には、振動による接続部の破損やねじの緩みは、大きな人的並びに物的損害を引き起こす。
【0003】
ねじ接続は溶接と異なって特別な資格無しで誰にも簡単に使えるので、広い範囲で使用されている。しかしながらスパナやレンチによって締め付けられたねじが、振動によって緩んで脱落する事故は絶えることなく続いている。走行中の大型車両のタイヤが脱落して、歩行者を死亡させるという最近発生した重大事故もねじ接続部分が緩んで外れたことが原因とされている。
【0004】
このような現状から、振動が加わっても「緩みにくいねじ」が種々開発され、実際に市販されているものも少なくない。それらの中には、ナットやボルトの形状に工夫を凝らしたものや、特殊なワッシャを利用するものなどがある。しかし緩みにくい接続方法が見いだされても、製作が容易でなかったり部品点数が多くなったりすることが原因で、必ずしも一般的に使用されるもとはなっていないのが実状である。
【0005】
一方、形状記憶合金はある形状を記憶させた後で形に変更を加えても、熱を加えるだけで記憶させた形状に復元させることができるという特殊な機能を有する素材である。形状記憶合金には多くの種類があり、代表的なものはニッケル・チタン合金であるが、鉄基の合金もある。ボルトやナットを形状記憶合金で製作して、熱を加えた時にナットのめねじ径やボルトのおねじ径が変化する現象を利用して強固なねじ接続を実現しようとする試みも数多くなされている。特許文献1や特許文献2はその基本的な応用例である。しかしこのように単純にボルトやナットを形状記憶合金で作り、その形状回復力だけで接続する構造では十分に強固なねじ接続は実現されていない。そこでボルトとナットによる接続時に併用されるワッシャの方を、特殊な形状の形状記憶合金製とする方法(例えば特許文献3)も提案されているが、これらも実用的に十分な強度を得るまでには至っていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−034510号公報
【特許文献2】
特開昭60−034511号公報
【特許文献3】
特開平05−332340号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、振動でも緩みにくい強固な接続構造を、ねじ接続並みの簡便な接続方法で実現する点にある。同様の目的で形状記憶合金を活用した発明は、前掲の特許文献1から3の他にも数多くなされているが、いずれも客観的に効果が認めらるには至らず、従って実用化もほとんどなされていないのが現状である。そのような先行技術の問題を乗り越えるには、形状記憶合金の形状回復現象を接続構造に十分に活かすため、形状記憶合金をどの部分にどのような形でどこに使うかとともに、形状記憶合金ではない通常の鋼やステンレス製のボルトやナットなどにも特殊な形状を持たせた上で、前記形状記憶合金部材と一体となって効果を発揮する接続構造を実現することが必要である。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、形状記憶合金の中でも安価で量産性に優れた鉄基形状記憶合金の利用を前提として、ねじ接続並みの簡単な作業手段で強固な締結がなされる接続構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明の要旨は、次の通りである。
(1)鉄基形状記憶合金からなりテーパーねじを備えたナットであって、前記テーパーねじは前記ナットの片端側がJIS規格のめねじの有効径、反対側は対応する同じ規格上の同サイズのボルトのおねじの有効径であることを特徴とするナット。
(2)鉄基形状記憶合金からなり内面に平行めねじを有するナットの外周部から、内周のめねじ面まで貫通する一定幅のスリットを形成したことを特徴とするナット。
(3)おねじ部長さ方向に一定幅の凹溝が形成されているボルトと鉄基形状記憶合金製でめねじを有するナットによって接続した後に、前記ナット部を加熱することによってナットめねじ部の内径が収縮する方向に形状回復動作を起こさせることによって、前記ボルトの凹溝部分にナットのめねじの一部が食い込むようにすることを特徴とするねじ接続構造。
(4)長さ方向の一部にヘッド側から先端に向けて径が拡がるテーパ部が形成されているピンと、このピンの外側を包み込む断面C形状でかつ内面側はテーパーを有するとともに外面側にはおねじを有する中間リングと、鉄基形状記憶合金からなり前記中間リングのおねじと噛み合うめねじを有するナットからなり、前記鉄基形状記憶合金製ナットを形状回復動作温度まで加熱してめねじ内径を収縮させる方向に形状回復させることによって接続することを特徴とするねじ接続構造。
【0010】
本発明においては上述のように、鉄基形状記憶合金の限られた形状回復能力を有効に活用する第一の手段では、鋼製またはステンレス製などの通常のボルトとともに使用する鉄基形状記憶合金製ナットのめねじをテーパーねじとすることによって、ボルトとナットのねじの噛み合わせの一部に予め隙間のない部分を作った上で、鉄基形状記憶合金製ナット部分に熱を加えてめねじを収縮させる。第二と第三の手段では、鉄基形状記憶合金の形状回復動作を特定の部分だけに集中して起こさせることによって大きな緩み防止効果を得るために、鉄基形状記憶合金製ナット自身もしくは鉄基形状記憶合金製ナットと共に使用する相手側ボルトのいずれかに、特定の形状の切り欠きを設けている。また第四の手段はボルトの代わりにテーパー部を持つピンと特殊な中間リングを用いるが、鉄基形状記憶合金製ナットを用いる点は前の3手段と同様である。中間リングによって一層強固な接続構造を実現するものである。これら本発明の接続手段を使用する場合には、通常のねじ接続同様におねじにめねじを有する鉄基形状記憶合金製ナットを締め込んだ後、該ナット部分を鉄基形状記憶合金の動作温度に相当する150℃から400℃程度の温度に加熱するだけで良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を、図面等を参照し実施例を用いて説明する。本発明には図1から4に示すような異なる実施形態がある。しかし鉄基形状記憶合金からなるめねじの加工されたナットを使用する点は、すべての実施形態に共通する。しかもこの鉄基形状記憶合金製のナットは、ボルトまたはピンに外挿させた中間リングのおねじと噛み合わせてねじ込んだ後に加えられる熱により、めねじ部が収縮する機能を付与されている。形状記憶合金を緩まないねじ接続に活用する例はこれまでに数多くなされているが、本発明ではそれらの例とは異なって、相手のボルトは平行ねじであるに係わらずめねじがテーパーねじであるか、ナット自身の一部または相手側のボルトに切り欠きがあるか、または特殊な中間リングを介するか、のいずれかの付加的な要素を持たせている。この付加的要素は、形状記憶効果による限られた形状回復動作を拡大する作用を持つため、緩みにくい強固な接続を実現させることができる。
【0012】
本発明に使用する鉄基形状記憶合金としては、MnとSiを主成分としこれに適量のCrやNi,さらには微量のV,Nb,Ti,やN,C等を含み主体的残部がFeである素材が使用できる。これらの形状記憶合金は、形状回復動作温度が150℃から400℃程度で、この加熱によって2%から4%程度の形状回復歪を得られるものである。接続に当たって形状記憶合金製ナット部分を加熱する方法は、温度が前記の温度に確実に上がりさえすれば手段は問わないが、小型のバーナーやハンディータイプの熱風送風器の利用が便利である。
【0013】
【実施例】
[実施例1]
図2(a)において2は、28%Mn−6%Si−5%Crを主成分とし残部がFeである鉄基形状記憶合金によって製作した、JIS B 1181 のM30に準じる六角ナットである。このナットは製作段階において、素材の棒材の中心部に25mmφの孔を明け、この孔をマンドレルによって押し広げた後に内径部にテーパーねじを、また外形状も六角形のナットの形に加工してあるので、次に熱が加えられた時には形状記憶効果によって内径が収縮する能力を付加されたものである。外側端部の面取りは片側だけ(1種相当)とした。ナットのテーパーねじはJIS B 0209規格に制定されているM30のメートル並み目ねじで、はめあい区分「中」に相当するものとした。ねじの寸法は、ナットの面取りをしなかった側の端部(2a)は、M30サイズのナットの有効径の最大値(28.007)に近い28.0mmとし、一方ナットの他端側、面取りを実施した側(2b)は同じ規格のボルトの有効径の最小値(27.462)に近い27.4mmとなるようにした。つまり両端間の有効径で0.6mmの差のあるテーパーねじを加工した。
【0014】
一方図2(a)の1はM30の市販の鋼製六角ボルトである。このボルト1と前述の鉄基形状記憶合金製でテーパーめねじの形成されているナット2を用いて、図の3と4で表示される2枚の金属板を重ね合わせてねじ止めした。まず2枚の板に開けた孔にボルト1を通し、これに鉄基形状記憶合金製ナット2を使って図1(b)のように締め込んだ。この時、図には表示しないが、ボルト側ナット側とも必要に応じてワッシャを使用しても差し支えない。ナット2のめねじの面取り無しの2aの側はボルト1のおねじとの間にかなりの隙間があるので初めの内はナット2はボルトの上を軽く回っていく。しかし締め込むにつれて次第にめねじの内径が小さくなり、ナット2の後端2b側になるとボルト1のおねじとの間にほとんど隙間のない状態となるから、締め込みには多少の抵抗を受けるようになる。最後はスパナで締め込んだ後で、ナット2の部分が約300℃になるまで市販の熱風発生器によって加熱した。この加熱によってナット2の内径は、もし中にボルトが無ければ形状記憶効果によって約3.5%ほど収縮する能力を付加されているので、実際には中に入っているボルトを強固に締め付ける。特にナット2の後端側では、加熱する前から既におねじとめねじがほとんど隙間無く密着しているので、ボルト1と形状記憶合金製ナット2の間は極めて緊縮に締結される。結果としてナットを機械的に締め込んだ場合に比べて遙かに緩みにくいねじ接続を実現させることができた。
【0015】
ナットを鉄基形状記憶合金とした場合でもナット2が通常の平行ねじになっていると、ボルトにナットを締め込んだ時にめねじとおねじとの間にはかなりの隙間(平均的には約1%程度)ができてしまうので、ナットが形状回復動作による内径収縮を起こしても、その収縮力は前記の隙間を減らす部分に吸収されてしまい、めねじおねじの間に十分な締結力を発生させるには至らない。テーパーめねじを形成した鉄系形状記憶合金製ナットとする本発明によって初めて期待する効果が実現する。
【0016】
[実施例2]
28%Mn−6%Si−5%Crを主成分とし残部がFeである鉄基形状記憶合金によって、JIS B 1181 のM30の1種六角ナットと外形は同一で26mmφのねじのない孔を開けた素形材(図3(a)の210)を製作した。この素形材210の側面に図3(b)に212で示すスリットを加工したが、スリットの厚み(s)は素形材210の厚み(t)に対してほぼ1/5に相当する5mm、深さは先端が内孔211内に約2mm程度突き出る程度とした。次にこのスリット212を室温で機械的に広げたが、広げた後のスリット開口部先端の厚み(ss)が変形前の厚み(s)に対して約10%だけ大きい5.5mmとなるようにした(図3(c))。この後にはじめて26mmφの内孔部分211に、M30のメートル並み目ねじの規格通りのねじ213を加工して本発明のナット21を得た(図3(d))。
【0017】
このナットを通常のナットと同じように使い、市販の鋼製六角ボルト1と併用して図3(e)のように2枚の金属板3と4を重ねて固定した。スパナを使って十分にナット21を締め付けた後に、熱風発生器によってナット21を約300℃まで加熱した。この加熱によってスリット部は、機械的に広げた分が形状回復して狭まる方向に変化する。この変化はボルト1のおねじ面に対して2種類の付加的な締め付け力を作用させる。第1はスリットによって切断されているめねじの鋭角的なコーナー部が、おねじに対して食い込むことによって発生するから、締結部のねじが振動などによって戻ろうとする力に対して極めて大きな抑止力をもたらす。また副次的ではあるが、スリットを広げたときに変形を受けた部分でかつ内側にめねじが加工されている部分では、熱が加えられた時の形状回復現象によってめねじの形状にも変化が生じる。この変化は本実施例では、ねじのピッチが広がる方向に作用して、おねじとの噛み合わせを一層強固にする働きをする。
【0018】
なお本実施例はナットの製作過程において、スリットの厚みを広げる方向に変形を与えているが、逆に厚みが減少する方向に変形を与えてもほぼ同様の効果を得ることができることはいうまでもない。
【0019】
[実施例3]
28%Mn−6%Si−5%Cr−1%V−0.07Nを主成分とし残部がFeである鉄基形状記憶合金を用いて、JIS B 1181 のM42の標準のメートル並み目ねじを有する六角ナットを製作した。この製作はまず鉄基形状記憶合金を75mmφ×37mmの円盤状にし、その中央に32.5mmφの孔を開けた。この内孔をマンドレルを使って拡径し、後の約300℃への加熱によって内径が4%ほど収縮する能力を持つように形状記憶処理を行った。その後で内孔部にM42の標準のメートル並目めねじを加工したものである(図1(a)の22)。
【0020】
一方このナットと共に使用するボルトについては、市販のM42サイズのステンレス鋼製ボルト12のおねじ面に、図1(a)の121で示す凹溝を加工したものを使用した。この凹溝の幅は5mm、深さは1mmとした。このボルト12に前述の鉄基形状記憶合金製ナット22を用いて、通常のボルトとナットの場合と同様にスパナなどによって締結を行った後に、ナット22の全体が300℃程度になるように加熱した。加熱の方法はバーナーによる直接加熱によって他の部材に熱が極力入らないように手早く行った。この加熱によりナット22は内径が収縮しボルトを緊密に締め付ける。スパナによる締め付け力に頼る通常の締結に比べると、形状記憶合金の収縮力が加わることによって一層緊密な締結が実現する。
【0021】
さらに本実施例においては図1(c)に示すように、ボルト12に凹溝を加工した効果が発生する。すなわちナット22のめねじが収縮する時に、凹溝部分に相対しためねじ部は収縮を受け止める相手が不在なため、凹溝の内側に張り出すように局部的に変形する。このためにおねじの凹溝のコーナー部がめねじ面に激しく食い込むことになり、振動によってナットが回転しようとする運動を確実に阻止する働きをする。このため本実施例による接続では、極めて緩みにくい締結が実現するのである。なおボルト側に加工する凹溝は図1(a)の121で示すようなシャープなコーナーが形成される形状が好ましいが、加工の簡便な図1(d)の122に示す「すり割り」という形状にした13であっても同様の効果を得ることが出来る。
【0022】
[実施例4]
図4に示すテーパーピン14は鋼製で、JIS B 1181 のM30ボルトと同寸法のヘッド部を有し、同図の140で示す平行部(ねじは無い)の径は29.5mmφで長さは接合される2枚の金属板3と4の厚みの合計に相当する20mm、141で示すテーパー部はテーパーが1/8で長さは17mmとなるように製作した。中間リング5も鋼製で、円周上の一部に切り欠き51があり、内周には前記テーパーピンのテーパー部と逆向きのテーパー52を、また外周にはJIS B 0207のM40のメートル細目のおねじ53を加工した。この中間リングの高さは15mmとした。ナット24は28%Mn−6%Si−5%Crを主成分とし残部がFeである鉄基形状記憶合金製で、内孔を加工した後で内径を約8%だけ拡径してから、中間リング5のおねじと噛み合うテーパーめねじ241を加工した。
【0023】
このようなテーパーピン14と中間リング5、鉄基形状記憶合金製ナット24によって金属板3と4を固定するには、2枚の板の孔にテーパーピン14を通し、中間リングを5広げてこのピン14にセットする。次に形状記憶合金製ナット24を中間リング5の外側から手で締め込む。しかる後に熱風発生器によってナット24を約350℃まで加熱した。この加熱によってナット24はその形状回復現象によってその内径が収縮する。この収縮はまず自身のめねじ241と中間リング5のおねじ53との間の隙間を無くした上で、更に中間リング5と一体になって収縮を続けてテーパーピン14のテーパー部141外側から締め付ける。この時、中間リング5は切り欠き部51があるため容易に変形できるから、形状記憶合金製ナット24が形状記憶効果によって内径収縮する力をテーパーピン14の外側テーパー面54まで効率的に伝達することができる。結果としてこの締結は形状記憶合金製ナット24が外れない限り解かれることはないため、振動にさらされる部分に使われても信頼性の高い接続を維持することができる。
【0024】
なお鉄基形状記憶合金製ナット24と中間リング5のねじを手で回して接続する場合に、中間リングがナットとともに回転してしまう場合には、中間リングの切り欠き部51部に対応する小さな凸部をテーパーピンに付けて回り止めとすることは効果的である。また本実施例では中間リングとナットとの間を平行ねじとしたが、テーパーねじとしても同様の効果を得ることが出来る。また本法は被締結物の厚みに合っ長さのテーパーピンを用意する必要があるので、同一条件で大量の接続部が対象となる場合に特に有効である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明した本発明に係わる接合は、通常のおねじとめねじの噛み合わせによる接合とさして変わらない簡便な接合手段であるにもかかわらず、振動などの影響によって簡単に緩んだり外れたりしてしまうことのない強固な接合を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す概略図で、(a)は使用する鉄基形状記憶合金製のナットと相手側ボルトとを個別に示したもの、(b)はこれらを用いて2枚の板材を接合した状態を示す。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す概略図で、(a)〜(f)は鉄基形状記憶合金製ナットの製作過程から実際に接合に使用するまでを一連の工程として示した図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す概念図で、(a)〜(c)は接合過程を、(d)は同種で別の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施形態を示す概念図で、(a)〜(c)は部品を(d)はそれを用いて2枚の板を接合した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 ボルト
12、13 凹溝またはすり割りを加工したボルト
2 テーパーめねじを加工した鉄基形状記憶合金製ナット
21 スリットを有する鉄基形状記憶合金製ナット
22 鉄基形状記憶合金製ナット
3、4 金属板
5 中間リング

Claims (4)

  1. 鉄基形状記憶合金からなりテーパーねじを備えたナットであって、前記テーパーねじは前記ナットの片端側がJIS規格のめねじの有効径、反対側は対応する同じ規格の同サイズのボルトのおねじの有効径であることを特徴とするナット。
  2. 鉄基形状記憶合金からなり内面に平行めねじを有するナットの外周部から、内周のめねじ面まで貫通する一定幅のスリットを形成したことを特徴とするナット。
  3. おねじ部長さ方向に一定幅の凹溝が形成されているボルトと鉄基形状記憶合金製でめねじを有するナットによって接続した後に、前記ナット部を加熱することによってナットめねじ部の内径が収縮する方向に形状回復動作を起こさせることによって、前記ボルトの凹溝部分にナットのめねじの一部が食い込むようにすることを特徴とするねじ接続構造。
  4. 長さ方向の一部にヘッド側から先端に向けて径が拡がるテーパ部が形成されているピンと、このピンの外側を包み込む断面C形状でかつ内面側はテーパーを有するとともに外面側にはおねじを有する中間リングと、鉄基形状記憶合金からなり前記中間リングのおねじと噛み合うめねじを有するナットからなり、前記鉄基形状記憶合金製ナットを形状回復動作温度まで加熱してめねじ内径を収縮させる方向に形状回復させることによって接続することを特徴とするねじ接続構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114346957B (zh) * 2022-02-21 2023-09-29 北京中科宇航技术有限公司 一种记忆合金拔销器

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