JP2010132965A - 極低窒素鋼の精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】脱炭・脱窒素法による精錬中または精錬終了後に炉蓋を取り外し且つ炉本体を傾け、溶鋼を開口部から出鋼する際に、大気中の窒素の吸収を確実に防ぎ、窒素含有量が極低レベルの溶鋼を提供できる極低窒素鋼の精錬方法を提供する。
【解決手段】ほぼ円筒形である鉄皮3a〜3cの内側に耐火物4が貼り付けられ、炉底2a側を内外に貫通する2重管羽口10、および上端に開口部6を有する炉本体2と、該炉本体12の開口部6を精錬時に閉塞し、且つ炉内5を減圧雰囲気にするための排気孔を有する炉蓋と、を備えた精錬炉1を用い、溶鋼M中の酸素、窒素、および炭素を除去する精錬中でのサンプリング時や精錬終了後の出鋼時において、炉蓋を炉本体から取り外し、該炉本体を開口部をほぼ水平向きに傾動させ、出鋼口側に炉本体を内外に貫通して設けた上部羽口と、炉本体の炉底側を内外に貫通する2重管羽口7とからArを吹き込む、極低窒素鋼の精錬方法。
【選択図】図5

Description

本発明は、極低窒素鋼の精錬方法に関する。
尚、上記極低窒素鋼は、窒素の含有量が少なくとも0.02質量%以下で、且つCrの含有量が少なくとも4.0質量%以上のCr含有鋼である。
Cr含有鋼を脱炭および脱窒素する2次精錬法として、炉底側に貫通させた2重管羽口のうち、内管からArおよび酸素を、外管からArを、精錬炉内の溶鋼に吹き込んでバブリングするAOD法が行われている。
また、一般的なAOD法よりも効率良く脱炭および脱窒素するため、溶鋼を装入した横吹転炉タイプの精錬炉における上端の出鋼口を炉蓋で閉鎖し、係る炉蓋を含む炉内を減圧雰囲気ないし真空雰囲気とし、上記精錬炉の炉底側を貫通する2重管羽口から酸素およびArを炉内の溶鋼に吹き込んで2次精錬する溶鋼の脱炭精錬方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−1711号公報(第1〜6頁、図1〜7)
前記脱炭精錬方法では、2次精錬終了後に上記炉蓋を取り外し、且つ炉本体をほぼ水平姿勢に傾けて、脱炭および脱窒素された溶鋼を開口部内にある出鋼口から外部の取鍋などに注下する際に、溶鋼による大気中の窒素の吸収を防ぐ必要がある。そのため、出鋼時にMgCO3を溶鋼に投入し、発生する炭酸ガスを遮蔽ガスとして、出鋼時に溶鋼が大気中の窒素を吸収しようとする事態を抑制していた。
しかし、炭酸ガスによる上記遮蔽方法は、精錬された溶鋼が炉本体から注出された後でないと、大気との遮蔽効果が得られない。そのため、炉内に滞留している精錬済みの溶鋼が、出鋼口から炉内に進入した大気から窒素を吸収する事態を十分に防げず、脱窒素させた2次精錬が無駄になる、という問題があった。
更に、2次精錬中における溶鋼のサンプリング時やスラグの除去時においても、炉本体をほぼ水平姿勢に傾けるため、前記同様の問題があった。
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、前記脱炭・脱窒素法による精錬中あるいは精錬終了後に炉蓋を取り外し且つ炉本体を傾け、精錬された溶鋼を開口部から外部に出鋼するに際し、大気中の窒素の吸収を効果的に防ぎ、窒素含有量が精錬時の極低レベルの溶鋼を提供できる極低窒素鋼の精錬方法を提供する、ことを課題とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
本発明は、前記課題を解決するため、精錬中あるいは精錬終了後に炉蓋が取り外され、且つほぼ水平姿勢に傾けられた炉本体の炉内に貯留している精錬済みの溶鋼に対し、Ar(ガス)を吹き込む、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による極低窒素鋼の精錬方法(請求項1)は、ほぼ円筒形である鉄皮の内側に耐火物が貼り付けられ、炉底側を内外に貫通する2重管羽口、および上端に開口部を有する炉本体と、係る炉本体の開口部を精錬時に閉塞し、且つ炉内を減圧雰囲気にするための排気孔を有する炉蓋と、を備えた精錬炉を用い、上記炉本体内に装入した溶鋼中の酸素、窒素、および炭素を除去する精錬中でのサンプリング時またはスラグ除去時、あるいは上記精錬の終了後の出鋼時において、上記炉蓋を上記炉本体から取り外し、係る炉本体を傾動させて開口部を上向きからほぼ水平向きに傾動すると共に、該炉本体の炉内にArを吹き込む、ことを特徴とする。
これによれば、前記炉本体に装入された溶鋼は、精錬の脱炭期において、前記2重管羽口の内管から吹き込まれた酸素と、含有していた炭素とが反応して、泡状の炭酸ガスなどとなって溶出し、且つ係る泡の表面に含有していた窒素が付着するため、炭素および窒素が除去される。係る溶鋼は、引き続いて行われる精錬の還元期において、前記2重管羽口の内・外管から吹き込まれたArによって攪拌され、その際、含有していた炭素と湯面付近のCr酸化物の酸素分とが反応して、泡状の一酸化炭素などとなって溶出し、且つ係る泡の表面に含有していた窒素が付着するので、酸素、炭素、および窒素が除去される。そして、精錬中あるいは精錬終了後には、前記炉本体を傾けて開口部をほぼ水平向きとし、該炉本体の炉内にArが吹き込まれる。その結果、精錬終了後の精錬炉から出鋼される溶鋼に含まれる窒素含有量を、精錬終了時の少なくとも0.02質量%(200ppm)以下の極低レベルに確実に保つことができる。
尚、前記鉄皮のほぼ円筒形には、軸方向の両端部が円錐形の樽形状も含まれる。
また、前記精錬炉には、AOD法に用いられる横吹き転炉を用いても良い。
更に、前記溶鋼には、Cr含有ステンレス鋼、Cr−Ni含有ステンレス鋼、耐熱鋼、あるいは工具鋼などの含Cr鋼が含まれる。
また、前記極低窒素鋼は、窒素の含有量が少なくとも0.02質量%(200ppm)以下、望ましくは、0.013質量%以下、より望ましくは、0.012質量%以下のものを指す。
更に、前記Arおよび酸素は、ガス状態で吹き込まれる。
また、前記2重管羽口と上部羽口とは、それぞれ前記精錬炉の炉本体に複数個が円周方向にほぼ沿った並列状に貫通している。
更に、前記上部羽口は、炉本体における炉底側と反対の開口部側に位置し、且つ該開口部における出鋼口と径方向のほぼ反対側の位置に複数本が配列される。
加えて、前記精錬炉から出鋼された溶鋼は、取鍋内などに注下されるが、該取鍋に溜められた溶鋼に、大気中の窒素が吸収されないように、前記MgCO3が添加され、発生する遮蔽ガスによって、係る溶鋼と大気とが遮蔽される。
また、本発明には、前記炉本体の精錬中あるいは精錬後の炉内へのArの吹き込みは、上記炉本体の炉底側を内外に貫通する2重管羽口から行われる、極低窒素鋼の精錬方法(請求項2)も含まれる。
これによれば、2重管羽口の内・外管からArが炉本体の炉内に確実に吹き込まれ、且つ係るArは開口部側に向かって流れるため、溶鋼による大気中の窒素の吸収を確実に抑制できる。しかも、炉底側の2重管羽口からArを吹き込むため、一般的なAOD法に用いられる横吹転炉タイプの精錬炉をそのま適用することもでき、設備コストを最小限に抑えることも可能となる。
更に、本発明には、前記炉本体の精錬中あるいは精錬後の溶鋼の炉内へのArの吹き込みは、上記炉本体の開口部側を内外に貫通して設けた上部羽口から行われる、極低窒素鋼の精錬方法(請求項3)も含まれる。
これによれば、前記炉本体の開口部側を内外に貫通して設けた上部羽口からArが炉本体の炉内に吹き込まれ、且つ係るArは開口部付近において外部からの大気の進入を防止するので、溶鋼による大気中の窒素の吸収を確実に抑制できる。
尚、炉本体の炉内へのArの吹き込みは、前部2重管羽口と前記上部羽口との双方から平行して行う形態としても良い。
また、前部上部羽口は、ステンレス鋼管の単管構造からなる形態のほか、炉底側と同様な内管および外管からなる2重管羽口としても良い。
加えて、本発明には、前記炉本体の精錬中あるいは精錬後の炉内へのArの吹き込みが前記上部羽口から行われると共に、前記2重管羽口からはエアが炉内に吹き込まれる、極低窒素鋼の精錬方法(請求項4)も含まれる。
これによれば、上部羽口から炉内に吹き込まれたArにより、溶鋼による大気中の窒素の吸収を効果的に抑制できる。しかも、エアを2重管羽口から炉内に吹き込むことにより、係る2重管羽口の内・外管を冷却して、その劣化や溶損を抑制することも可能となる。
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明に用いる精錬炉1などを示す垂直断面図、図2は、図1中の一転鎖線部分Xの部分拡大断面図である。
精錬炉1は、図1に示すように、全体がほぼ樽形状(ほぼ円筒形)を呈する鉄皮3a〜3c、これらの内側にほぼ円筒形状に張り付けられた耐火物4、これらに囲まれた炉内5、および上端に一部に出鋼口を含む開口部6を有する炉本体2と、係る炉本体2の炉底2a側を内外方向に沿って貫通する2重管羽口7と、出鋼口6側を内外方向に沿って貫通する上部羽口10と、後述する炉蓋17と、を備えている。
前記鉄皮3a〜3cは、それぞれの上・下端部から水平に突出するフランジ同士を固定することで、互いに連結されている。また、2重管羽口7は、互いに同軸心で配管された内管8と、外管9とにより構成され、外管9と耐火物4との間には、図示しない不定形耐火材が配設されている。
また、前記2重管羽口7は、外部から炉本体2の炉内5に向かって求心状で且つほぼ並列に複数個(例えば、5個)が鉄皮3aのほぼ円周方向に沿って取り付けられる。更に、上部羽口10は、開口部6の径方向において出鋼口とほぼ反対側の位置で、且つ上記同様にして複数個(例えば、3個)が鉄皮3bのほぼ円周方向に沿って取り付けられている。
図1に示すように、炉本体2の上方には、開口部6および炉内5を外部から遮蔽するための炉蓋17が着脱可能に配置されている。係る炉蓋17は、全体がほぼ円筒形を呈し、天板の中心部に炉内5を減圧雰囲気とするための排気孔18が開設され、円筒部の下端のフランジ17aが最上段の鉄皮3cのフランジ上に密着可能とされている。排気孔18の直下には、ほぼ円盤状の溶滴防止板19が取り付けられ、後述する溶鋼のスプラッシュが排気孔18の開口部を閉塞しないようにしている。尚、排気孔18には、真空ポンプに連通するホース(何れも図示せず)の一端が接続されている。
図2に示すように、上部羽口10は、中段の鉄皮3bと耐火物4内に取り付けた羽口専用の耐火煉瓦15を内外方向に沿って貫通している。中心部には、ステンレス鋼管からなる単管11が位置し、同軸心で配置された外筒12との間に不定形耐火物13が充填されている。外筒12の後端板14を貫通する単管11の後端には、図示しないArガスタンクと連通するホース16が接続されている。尚、上記不定形耐火物13にも、該羽口10専用の耐火煉瓦を適用しても良い。
以下において、前記炉蓋17と、これにより炉内5が減圧雰囲気とされる精錬炉1とを用いて、本発明による極低窒素鋼の溶鋼Mの精錬方法について説明する。
図3に示すように、予め、1次精錬され、4.0質量%以上のCrを含有するステンレス鋼(Cr含有鋼)からなる約70トンの溶鋼Mを炉内5に装入する。
(精錬の脱炭期)
次いで、炉蓋17により開口部6を閉鎖した状態で排気口18から炉内5の雰囲気を吸引して、係る炉内5を約300Torrに減圧し、引き続いて約50Torr程度まで連続して減圧する。
係る状態で、図3中の各矢印で示すように、2重管羽口7のうち、内径が約10mmの内管8から酸素を、内径が約20mmの外管9からArを、それぞれ溶鋼M中に吹き込む。同時に、上部羽口10における内径が約10mmの前記単管11からも、Arを炉内5に吹き込む。係る上部羽口10からのArの吹き込みは、単管11の吐出口の閉塞を防ぐためである。尚、2重管羽口7は5個、上部羽口10は3個である。
2重管羽口7の内管8から吹き込まれた酸素(O2)は、溶鋼M中の炭素と反応して、図3中で模式的に示すように、二酸化炭素(CO2)あるいは一酸化炭素(CO)の泡となって、溶鋼M中を湯面側に上昇する。この際、これらの泡の表面に、溶鋼M中の窒素が物理的に付着した後、溶鋼Mの上方に吹き上がり、炉蓋17の排気孔18から外部に排出される。係る脱炭期は、約10分間行われる。
(精錬の還元期)
引き続いて、炉内5を約50Torr程度の減圧状態に保って、図4中の各矢印で示すように、2重管羽口7の内・外管8,9からArを、それぞれ溶鋼M中に吹き込むと共に、上部羽口10からは、前記同様にArを炉内5に吹き込む。
2重管羽口7から吹き込まれたArは、溶鋼Mを攪拌すると共に、溶鋼M中の炭素と、湯面付近のCr酸化物(スラグ)の酸素分とを反応させて、図4中に模式的に示すように、泡状の一酸化炭素あるいは二酸化炭素を生じさせる。係る二酸化炭素などは、溶鋼Mの上方に吹き上がり、炉蓋17の排気孔18から外部に排出される。この際、前記同様に、上記二酸化炭素などの泡状が溶鋼M中を上昇する際に、該溶鋼M中に残留していた窒素を表面に付着させて脱窒する。
その結果、溶鋼M中の窒素含有量は、約0.01質量%となる。係る還元期は、約5分間行われる。
(精錬後の出鋼時)
溶鋼Mの炭素、酸素、および窒素の含有量が所要レベル以下に精錬されると、炉蓋17を炉本体2から取り外し、図4で左側に位置する2重管羽口7および上部羽口10が上方に位置するように、鉄皮3aの外側に固定した一対のトラニオン(図示せず)を中心として、該炉本体2を垂直面に沿って約90度回転させる。
その結果、図5に示すように、炉本体2は、開口部6をほぼ水平向きとした水平姿勢となり、溶鋼Mは、炉内5の軸方向に沿った耐火物4の上に移動する。
係る状態で、図5中の各矢印で示すように、2重管羽口7の内・外管8,9と上部羽口10とから、Arを炉内5の溶鋼Mの上方に吹き込む。この際、5個の2重管羽口7全体からの吹き込み量は、例えば、約300m3/hrであり、3個の上部羽口10からの吹き込み量は、例えば、約100m3/hrである。
更に、炉本体2を図5で右側が下方になるように傾けて、開口部6の出鋼口から図示しない取鍋内に溶鋼Mを注下する。この間において、炉内5で且つ精錬済みの溶鋼Mの上方にArが吹き付けられているため、大気中の窒素が溶鋼Mに吸収されにくくなる。その結果、窒素含有量が約0.01質量%の極低窒素鋼Mを確実に提供することができる。尚、上記取鍋に注がれた溶鋼Mには、前記MgCO3が添加され、これにより発生する遮蔽ガスによって、係る溶鋼Mと大気とが遮蔽されている。
尚、2重管羽口7および上部羽口10からのArの吹き込み操作は、前記精錬中におけるサンプリング時、あるいはスラグの除去(排滓)時においても、上記同様に行われる。
図6は、異なる形態の出鋼時を示す前記図5と同様な垂直断面図である。
即ち、図6中の各矢印で示すように、2重管羽口7の内・外管8,9からは、冷却用のエアを炉内5に吹き込むと共に、上部羽口10からは、Arを炉内5の溶鋼Mの上方に前記と同様な吹き込み量で吹き込むものである。上記エアの吹き込む量は、5個の2重管羽口7全体で、約300m3/hrである。
図6に示す形態によれば、出鋼口6から図示しない取鍋内に溶鋼Mを注下する際に、開口部6に近接する上部羽口10から、炉内5で且つ精錬済みの溶鋼Mの上方にArが吹き込まれるため、大気中の窒素が溶鋼Mに吸収されにくくなり、前記同様の極低窒素鋼Mを確実に提供することが可能である。また、2重管羽口7から吹き込まれたエアは、内・外管8,9を冷却するため、その溶損や劣化を低減することが可能となり、且つArに比べて低コストになる。
尚、2重管羽口7からエアを、上部羽口10からArを吹き込む操作は、前記精錬中におけるサンプリング時、あるいはスラグの除去(排滓)時においても、上記同様に行われる。
同じ前記精錬炉1と炉蓋17とを用い、同じステンレス鋼(Cr含有鋼)からなる1次精錬済みで70トンの溶鋼Mに対し、前述した条件の(精錬の脱炭期)および(精錬の還元期)による精錬を合計50チャージ行って、Crの含有量が4.0質量%以上で且つ窒素の含有量が0.010質量%以下の溶鋼Mを得た。
このうち、10チャージ分に対して、出鋼時に2重管羽口7と上部羽口10との双方から、精錬済みの溶鋼Mの上方に前記吹き込み量ごとのArを炉内5に吹き込んだ。これにより、得られた10チャージ分の極低窒素鋼Mを実施例1とした。
また、別の10チャージ分に対して、出鋼時に2重管羽口7から精錬済みの溶鋼Mの上方に前記と同じ吹き込み量のエアを、上部羽口10から前記と同じ吹き込み量Arを、炉内5で且つ精錬済みの溶鋼Mの上方に吹き込んだ。これにより、得られた10チャージ分の極低窒素鋼Mを実施例2とした。
更に、異なる10チャージ分に対して、出鋼時に2重管羽口7から炉内5で且つ精錬済みの溶鋼Mの上方に前記吹き込み量のArを吹き込み、上部羽口10からは、何も吹き込まなかった。これにより、得られた10チャージ分の極低窒素鋼Mを実施例3とした。尚、上記上部羽口10の炉内5側には、不定形耐火物を貼り付けた。
また、更に異なる10チャージ分に対して、出鋼時に2重管羽口7から炉内5で且つ精錬済みの溶鋼Mの上方に前記と同じ吹き込み量のエアを吹き込み、上部羽口10からは、何も吹き込まなかった。これにより、得られた10チャージ分の極低窒素鋼Mを比較例1とした。尚、上記上部羽口10の炉内5側には、不定形耐火物を貼り付けた。
加えて、残り10チャージ分に対しては、出鋼時に2重管羽口7から炉内5で且つ精錬済みの溶鋼Mの上方に前記吹き込み量のエアを吹き込み、上部羽口10からは、窒素を全体で約100m3/hrの吹き込み量で吹込んだ。これにより、得られた10チャージ分の極低窒素鋼Mを比較例2とした。
実施例1,2、比較例1,2のごとの極低窒素鋼Mについて、それぞれ窒素含有量を測定し、各例ごとの平均値を算出した。その結果は、以下の通りであった。
実施例1:0.011質量%
実施例2:0.012質量%
実施例3:0.013質量%
比較例1:0.016質量%
比較例2:0.020質量%
上記結果は、実施例1の極低窒素鋼Mは、出鋼時に2重管羽口7と上部羽口10との双方から、Arが炉内5に吹き込まれていたので、大気中の窒素を最も吸収していなかった、ものと推定される。
また、実施例2の極低窒素鋼Mは、出鋼時に2重管羽口7からエアが吹き付けられ、且つ上部羽口10からArが吹き込まれていたので、開口部6付近で外部の大気の進入が遮断された結果、かなりの低レベルに保てたものと推定される。
更に、実施例3の極低窒素鋼Mは、出鋼時に2重管羽口7のみからArが炉内5に吹き込まれたので、開口部6から大気中の窒素の吸収を僅かに抑制できた、ものと推定される。
一方、比較例1の極低窒素鋼Mは、出鋼時に2重管羽口7からエアが吹き込まれ、且つ開口部6付近の大気にも接触したため、精錬終了時よりも僅かに窒素含有量が増加した、ものと推定される。
更に、比較例2の極低窒素鋼Mは、出鋼時に2重管羽口7からArを吹き込まれた反面、上部羽口10からは前記窒素が吹き込まれたので、係る窒素が溶鋼Mに吸収された結果、最も窒素含有量が大きくなった、と推定される。
以上の実施例1〜3と比較例1,2の傾向により本発明の効果が裏付けられた。
図7は、前記同様の炉本体2、および内・外管8,9からなる2重管羽口7を備え、且つ開口部6側に前記上部羽口10のない精錬炉1aと、出鋼口6を閉塞する前記同様の炉蓋17とを示す垂直断面図である。尚、精錬炉1aの構造は、実質的にAOD法に用いられる横吹転炉とほぼ同様である。
図7中の各矢印で示すように、(精錬の脱炭期)には、前記同様に、2重管羽口7の内管8から酸素を、外管9からArを溶鋼M中に吹き込んで、炭素、酸素、および窒素を除去し、(精錬の還元期)には、前記同様に、内・外管8,9からそれぞれArを溶鋼M中に吹き込んで、炭素、酸素、および窒素を除去する精錬を行う。
精錬終了後は、前記同様に炉蓋17を取り外し、図8に示すように、開口部6が水平向きになるように傾動させた状態で、同図中の各矢印で示すように、2重管羽口7の内・外管8,9からそれぞれArを炉内5の溶鋼Mの上方に吹き込む。係る状態で、溶鋼Mを前記同様に外部の取鍋内へ注下する。この際、内・外管8,9から吹き付けられたArは、溶鋼Mのほぼ上方を覆うため、大気中の窒素が該溶鋼Mに吸収される事態を確実に抑制することが可能となる。係る効果は、実質的に同じ条件で行われた前記実施例2の結果によって、容易に推定される。
尚、2重管羽口7からArを吹き込む操作は、前記精錬中におけるサンプリング時、あるいはスラグの除去(排滓)時においても、上記同様に行われる。
本発明は、以上において説明した各形態や実施例に限定されるものではない。
例えば、前記(精錬の脱炭期)において、2重管羽口7の内管8からは、酸素とArとの混合ガスを吹き込むようにしても良い。
また、前記精錬炉1を用いた精錬中あるいは出鋼時において、2重管羽口7の内・外管8,9を閉塞し、上部羽口10からのみArを溶鋼Mの上方に吹き付けても良い。
更に、前記2重管羽口7の総数は、5個に限らず、且つ前記上部羽口10の総数も3個に限らず、それぞれ任意の複数個とした形態としても良い。
加えて、精錬炉1,1aの前記炉本体2は、少なくとも出鋼口6側が先細形状であれば、炉底2a側は、ほぼ円筒形であつても良い。
本発明に用いる一形態の精錬炉および炉蓋を示す垂直断面図。 図1中の一点鎖線部分Xの部分拡大断面図。 図1の精錬炉および炉蓋を用いた精錬の脱炭期を示す概略図。 図1の精錬炉および炉蓋を用いた精錬の還元期を示す概略図。 図1の精錬炉から溶鋼を出鋼する出鋼時の一形態を示す概略図。 図1の精錬炉から溶鋼を出鋼する出鋼時の異なる形態を示す概略図。 異なる形態の精錬炉および炉蓋を用いた精錬の脱炭期等を示す概略図。 図7の精錬炉から溶鋼を出鋼する出鋼時を示す概略図。
符号の説明
1,1a……精錬炉
2……………炉本体
2a…………炉底
3a〜3c…鉄皮
4……………耐火物
5……………炉内
6……………開口部
7……………2重管羽口
8……………内管
9……………外管
10…………上部羽口
17…………炉蓋
M……………溶鋼

Claims (4)

  1. ほぼ円筒形である鉄皮の内側に耐火物が貼り付けられ、炉底側を内外に貫通する2重管羽口、および上端に開口部を有する炉本体と、
    上記炉本体の上記開口部を精錬時に閉塞し、且つ炉内を減圧雰囲気にするための排気孔を有する炉蓋と、を備えた精錬炉を用い、
    上記炉本体内に装入した溶鋼中の酸素、窒素、および炭素を除去する精錬中でのサンプリング時またはスラグ除去時、あるいは上記精錬の終了後の出鋼時において、上記炉蓋を上記炉本体から取り外し、係る炉本体を傾動させて開口部を上向きからほぼ水平向きに傾動すると共に、該炉本体の炉内にArを吹き込む、
    ことを特徴とする極低窒素鋼の精錬方法。
  2. 前記炉本体の精錬中あるいは精錬後の炉内へのArの吹き込みは、炉本体の炉底側を内外に貫通する2重管羽口から行われる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の極低窒素鋼の精錬方法。
  3. 前記炉本体の精錬中あるいは精錬後の炉内へのArの吹き込みは、炉本体の開口部側を内外に貫通して設けた上部羽口から行われる、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の極低窒素鋼の精錬方法。
  4. 前記炉本体の精錬中あるいは精錬後の炉内へのArの吹き込みが前記上部羽口から行われると共に、前記2重管羽口からはエアが炉内に吹き込まれる、
    ことを特徴とする請求項3に記載の極低窒素鋼の精錬方法。
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