JP2010131811A - 中空部材の製造方法、中空部材及びその製造装置 - Google Patents

中空部材の製造方法、中空部材及びその製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に、溶融状態にある素材原反を接触させて中空状に膨出する突起部を真空成形した後に、成形された突起部の開口側に封止材を積層して独立した多数の気泡室を有する中空部材を製造するにあたり、成形される突起部の肉厚が周方向に沿ってほぼ均一となるように、その肉厚分布を容易に制御することができる中空部材の製造方法、そのような方法を利用して好適に製造することができる中空部材、及びそのような中空部材を製造するための装置を提供する。
【解決手段】融点の異なる二種以上の樹脂成分を含む樹脂材料を用いて素材原反2を成形するとともに、素材原反2を成形ロール40に供給して突起部2aを真空成形するに先立って、樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分の融点よりも低く、かつ、樹脂材料中に含まれる最も融点の低い樹脂成分の融点以上の温度となるように素材原反2の温度を調整する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、独立した多数の気泡室を有する中空部材の製造方法、これを利用して好適に製造することができる中空部材、及びそのような中空部材を製造するための装置に関する。
従来、合成樹脂製のフィルム材に中空状に膨出する多数の突起部を形成するとともに、この突起部の開口側に別のフィルム材を貼り合わせて空気を封入することによって独立した多数の気泡室を形成してなる気泡シートが、包装用の緩衝材をはじめとする各種の用途に広く利用されている。
このような気泡シートは、例えば、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に、溶融状態にある合成樹脂製のフィルム材(素材原反)を接触させて中空状に膨出する突起部を真空成形した後に、成形された突起部の開口側にバックフィルム(封止材)を積層するなどして製造することができる(特許文献1など参照)。
特開平11−216770号公報
ところで、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、上記したような成形ロールを用いて真空成形によって突起部を中空状に膨出させようとすると、形成された突起部は、フィルム材の送り方向の下流側(入側)に立ち上がる側壁に比べて、同上流側(出側)に立ち上がる側壁の方が薄肉となってしまう傾向があり、当該側壁側の角部が最も薄肉になりやすいことを見出した(後述する比較例を示す図10、図11参照)。
これは、成形ロールにフィルム材を接触させて真空成形する際に、図12に示すように、抗張力の低い溶融状態にあるフィルム材100は、吸引孔410を塞ぎきるよりも前に、先行して吸引孔410に近づいていく送り方向下流側から吸引孔410内に引き込まれて、吸入孔410の内壁面に先に接した部位から冷却されて可塑性が失われていき、吸入孔410の内壁面に遅れて接していく部位がより大きく引き延ばされてしまうためと考えられる。
なお、図12は、フィルム材の送り方向に沿った断面において、突起部が真空成形によって形成される過程を模式的に示す従来技術の説明図であり、図中(a)〜(e)に示す順にフィルム材100が引き延ばされる。
気泡シートを製造するにあたっては、一定以上の肉厚で突起部を形成することが要求され、必要な肉厚が確保されていない部位があると、そのような部位から破断して空気が漏れだしてしまうおそれがある。このため、真空成形された突起部の肉厚が不均一であると、最も薄肉となる部位の厚みを基準に強度設計をすることになる。したがって、それ以外の部位は必要以上に厚肉となっていることになり、このことは、例えば、気泡シートの軽量化や、材料樹脂の使用量の削減を図る上で好ましくない。
そこで、本発明者らがさらなる鋭意検討を重ねたところ、フィルム材(素材原反)を形成する樹脂材料として、融点の異なる二種以上の樹脂を混合したものを用いるとともに、フィルム材を真空成形に処するに先だって、その温度を所定の温度に調整することで、真空成形によって形成される突起部の肉厚が周方向に沿ってほぼ均一となるように、その肉厚分布を制御することが容易になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に、溶融状態にある素材原反を接触させて中空状に膨出する突起部を真空成形した後に、成形された突起部の開口側に封止材を積層して独立した多数の気泡室を有する中空部材を製造するにあたり、素材原反に成形される突起部の肉厚が周方向に沿ってほぼ均一となるように、その肉厚分布を容易に制御することができる中空部材の製造方法、そのような方法を利用して好適に製造することができる中空部材、及びそのような中空部材を製造するための装置の提供を目的とする。
本発明に係る中空部材の製造方法は、融点の異なる二種以上の樹脂成分を含む樹脂材料を用いて所定の厚みに成形された素材原反を連続して供給し、前記樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分の融点よりも低く、かつ、前記樹脂材料中に含まれる最も融点の低い樹脂成分の融点以上の温度となるように前記素材原反の温度を調整してから、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に密着させて中空状に膨出する突起部を前記素材原反に真空成形した後に、封止材を積層して前記突起部の開口側を封止する方法としてある。
また、本発明に係る中空部材は、上記方法によって製造された中空部材であって、前記素材原反の送り方向の上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚が、同下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚の90〜110%となるように、前記突起部の肉厚分布を制御した構成としてある。
また、本発明に係る中空部材の製造装置は、融点の異なる二種以上の樹脂成分を含む樹脂材料を用いて所定の厚みに成形された素材原反を連続して供給するための素材原反供給部と、前記樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂の融点よりも低く、かつ、前記樹脂材料中に含まれる最も融点の低い樹脂の融点以上の温度となるように、前記素材原反の温度を調整するための温調部と、多数の吸引孔が外周面に設けられて、前記温度とされた前記素材原反に中空状に膨出する突起部を真空成形するための成形ロールと、前記突起部の開口側を封止する封止材を積層するための押圧ロールとを備えた構成としてある。
本発明によれば、真空成形によって中空状に膨出する突起部を素材原反に形成するにあたり、突起部の肉厚分布の制御が容易になる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、図1は、本実施形態に係る中空部材の製造装置を示す説明図である。
まず、図1に示す製造装置1により独立した多数の気泡室2bを有する中空部材Mを製造する工程について、その概略を説明する。
図1に示す製造装置1において、素材原反供給部20は、図示しない押し出し機に取り付けられたれたフラットダイ21を備えている。そして、このフラットダイ21から素材原反2を形成する樹脂材料を所定の厚みで押し出すことによって、フィルム状又はシート状に成形された素材原反2が連続して供給されるようになっている。
素材原反供給部20から供給された素材原反2は、温調部50を経て成形ロール40に送られる。成形ロール40には、図2に示すように、その外周面に多数の吸引孔41が設けられている。特に図示しないが、吸引孔41のそれぞれは真空ポンプにつながっており、吸引孔41内を真空吸引することによって真空成形がなされるようになっている。これによって、成形ロール40の外周面に密着して真空成形に処された素材原反2には、中空状に膨出する突起部2aが形成される。
ここで、図2は、成形ロール40の外周面に設けられる吸引孔41の一例を示す説明図であり、図2(a)は、成形ロール40の外周面の一部を斜視して示す斜視図である。また、図2(b)は、吸引孔41を円柱状に形成した例を示す図2(a)のA−A断面に相当する断面図であり、図2(c)は、吸引孔41を円錐台状に形成した例を示す同A−A断面に相当する断面図である。
なお、図2(a)中に成形ロール40の回転方向を矢印で示している。
温調部50は、素材原反2を真空成形に処するに先だって、素材原反2の温度を調整するために設置されており、図1に示す例では、冷却ロール51、第一加熱ロール52、及び第二加熱ロール53を備えている。これにより、素材原反供給部20から供給されてきた溶融状態にある素材原反20は、冷却ロール51で冷却固化された後に、第一加熱ロール52と第二加熱ロール53とによって、所定の温度となるように順次加温される。
このとき、冷却ロール51は、常温(約25℃)程度の温度となるように設定し、第一加熱ロール52、第二加熱ロール53の順に設定温度を上げていくことで、一旦冷却固化された素材原反2の温度が徐々に上昇していくようにするのが好ましい。後述するように、素材原反2を形成する樹脂材料には融点の異なる二種以上の樹脂成分が含まれるが、例えば、第一加熱ロール52は、素材原反2を形成する樹脂材料中に含まれる最も融点の低い樹脂成分の融点よりも低い温度に設定し、第二加熱ロール53の設定温度は、それよりも高い目的の温度(又は目的の温度よりも若干高めの温度)とすることができる。このようにすれば、素材原反2が急激に加熱されて溶融破断するなどして、素材原反2の送りに支障をきたしてしまうのを防止することができる。
ここで、素材原反2を真空成形に処するに先だって、素材原反2の温度をどのように調整するかについては後述するが、温調部50の構成は図1に示す例には限定されない。素材原反2の温度を目的の温度に調整することができれば、例えば、冷却ロール51に代えて、エアーナイフを利用した空冷式の冷却手段などの他の冷却手段を利用してもよい。また、第一加熱ロール52と第二加熱ロール53の両方又はいずれか一方に代えて、抵抗加熱ヒータからの輻射熱による加熱手段などの他の加熱手段を利用することもできる。
さらに、図1に示す例では、フラットダイ21から押し出されてきた素材原反2を冷却ロール51で一旦冷却固化し、次いで、第一加熱ロール52と第二加熱ロール53とによって徐々に加温されるようにしているが、加熱ロールなどの加熱手段を省略し、冷却ロールなどの冷却手段のみによって素材原反2が目的の温度となるように調整することもできる。
具体的には、図3、図4に示すような変形実施が可能である。すなわち、図3に示す例において、温調部50は、冷却手段としての第一冷却ロール54と第二冷却ロール55とを備えている。そして、フラットダイ21から押し出されてきた素材原反2が、第一冷却ロール54、第二冷却ロール55の順に送られながら徐々に冷却されて目的の温度となるようにしてある。また、図4に示す例において、温調部50は、冷却手段としてのエアーナイフ56を備えている。そして、フラットダイ21から押し出されてきた素材原反2にエアーを吹き付けて冷却することにより、目的の温度となるようにしてある。
なお、素材原反2の温度調整の容易さからは、図1に示す例が最も好ましく、次に好ましいのは図3に示す例であり、その次に好ましいのが図4に示す例である。
このようにして、真空成形によって突起部2aが形成された素材原反2には、成形ロール40に密着した状態のまま、突起部2aの開口側に封止材3が積層される。図1などに示す例において、封止材3は、図示しない押し出し機に取り付けられたフラットダイ31を備える封止材供給部30から所定の厚みに成形されながら、成形ロール40に密着する素材原反2と押圧ロール60との間に溶融状態のまま連続して供給されていく。そして、熱融着によって素材原反2と積層一体化されるようになっている。
これにより、素材原反2に形成された突起部2a内に空気が封入され、独立した多数の気泡室2bを有する中空部材Mが製造されることとなり、かかる中空部材Mは、剥離ロール70によって成形ロール40から剥離され、図示しない巻き取りロールに巻き取られていく。
以上のようにして独立した多数の気泡室2bを有する中空部材Mを製造するにあたり、封止材3を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。その具体例を以下に示すが、ポリオレフィン系樹脂に限定されることなく、素材原反2との熱融着性を考慮しつつ、用途に応じて種々の樹脂材料を用いることができるのはいうまでもない。
ポリプロピレン系樹脂としては、具体的には、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが例示できる。プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1などのα−オレフィンが挙げられ、これらの他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
また、ポリエチレン系樹脂としては、具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが例示できる。
また、素材原反2を形成する樹脂材料としては、上記したのと同様の樹脂を用いることができるが、融点の異なる二種以上の樹脂を任意に選択し、これらを混合したものを用いる。この際、同系の樹脂を混合するに限らず、例えば、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを混合して用いてもよい。
そして、本実施形態にあっては、前述したようにして、素材原反2に突起部2aを真空成形するに先だって素材原反2の温度を調整するにあたり、その温度を、樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分の融点よりも低く、かつ、樹脂材料中に含まれる最も融点の低い樹脂成分の融点以上の温度となるように調整する。
このようにすることで、真空成形によって素材原反2に突起部2aを形成する際に、突起部2aの肉厚が周方向に沿ってほぼ均一となるように、その肉厚分布を制御することが容易になる。これは、素材原反2の温度を上記のように調整することで、真空成形に処する際の素材原反2の抗張力が適度に高まり、これによって、吸引孔41を塞ぎきるよりも前に素材原反2が吸引孔41内に引き込まれてしまうのを抑止し、図5に示すように、素材原反2が吸引孔41を塞ぎきってから吸引孔41内に均等に引き込まれていくようになるためであると推測される。
なお、図5は、素材原反2の送り方向に沿った断面において、突起部2aが真空成形によって形成される過程を模式的に示す説明図であり、図中(a)〜(e)に示す順に素材原反2が引き延ばされる。
このように、本実施形態にあっては、素材原反2に突起部2aを真空成形する際に、吸引孔41内に素材原反2が均等に引き込まれていくようにすることで、突起部2aの肉厚分布を制御することができると考えられる。このようにして突起部2aの肉厚分布を制御するにあたり、より具体的には、素材原反2の送り方向の上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚が、同下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚の90〜110%の範囲内に収まるように、突起部2aの肉厚分布を制御することが可能である。
また、このようにして突起部2aの肉厚分布を制御するにあたり、素材原反2を形成する樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分は、10〜50重量%の割合で混合するのが好ましく、より好ましくは15〜30重量%である。このような範囲に満たないと、低融点の樹脂成分の割合が多くなってしまうことから、真空成形に処する際の素材原反2の抗張力も相対的に低下してしまい、突起部2aの肉厚分布を十分に制御できなくなってしまう傾向にあるため好ましくない。また、このような範囲を超えてしまうと、真空成形に処する際の素材原反2の抗張力が高すぎる傾向にあり、突起部2aの形成に支障をきたしてしまうおそれがあるため好ましくない。
また、融点の異なる二種以上の樹脂を選択するにあたり、最も融点の高い樹脂成分の融点と、最も融点の低い樹脂成分の融点との差は、5〜50℃の範囲内にあるのが好ましく、より好ましくは10〜30℃の範囲内である。このような範囲に満たないと、素材原反2の温度を調整できる範囲が狭くなってしまい、調整が困難になってしてしまう傾向にあるため好ましくない。また、このような範囲を超えてしまうと、押し出し機での樹脂材料の混練が良好になされなくなってしてしまう傾向にあるため好ましくない。
なお、樹脂材料の融点は、JIS K7121に準拠する示差走査熱量測定における吸熱ピークを示す温度として求めることができ、融点の異なる二種以上の樹脂成分を含む樹脂材料について示差走査熱量測定を行い、得られたDSC曲線において、最も高温側に現れる吸熱ピークを示す温度を「最も融点の高い樹脂成分の融点」とし、最も低温側に現れる吸熱ピークを示す温度を「最も融点の低い樹脂成分の融点」とする。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、前述した実施形態において、素材原反2及び封止材3は、それぞれの樹脂材料が押し出し機に取り付けられたフラットダイ21,31から押し出されて、そのまま成形ロール40に供給される例を示したが、図6に示すように、素材原反2と封止材3の両方又はいずれか一方は、予めフィルム状又はシート状に成形された形態で供給されるようにしてもよい。予めフィルム状又はシート状に成形された形態の素材原反2を供給する場合であっても、素材原反2を真空成形に処するに先だって、素材原反2の温度が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分の融点よりも低く、かつ、樹脂材料中に含まれる最も融点の低い樹脂成分の融点以上の温度となるように調整されるようになっていればよい。
ここで、図6は、素材原反2と封止材3とを予めフィルム状に成形された形態で供給する例を示しており、温調部50は、第一加熱ロール52と第二加熱ロール53とを備えており、図1に示す例から冷却ロール51を省略したものに相当する。図6に示す例において、素材原反2は、第一加熱ロール52、第二加熱ロール53の順に送られながら徐々に加温されて目的の温度となるようしてある。一方、封止材3は、第三加熱ロール35によって熱融着可能な温度に加熱されてから、成形ロール40に密着する素材原反2と押圧ロール60との間に供給されるようになっている。
また、素材原反2や封止材3の厚みも用途に応じて適宜変更することが可能である。ただし、素材原反2を真空成形に処して突起部2aを形成するにあたっては、素材原反2の厚みが薄いほど突起部2aの肉厚が不均一になりやすい。このため、本発明は、素材原反2の厚みが比較的に薄肉な15〜500μm程度である場合に特に有効である。
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
[実施例1]
高密度ポリエチレン(融点125℃):30重量%、低密度ポリエチレン(融点109℃):40重量%、直鎖状低密度ポリエチレン(融点111℃):30重量%を混合して素材原反2を形成する樹脂材料とし、封止材3を形成する樹脂材料も同様のものとした。そして、図1に示す装置により、これらの樹脂材料を約230℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反2の厚み34μm、封止材3の厚み20μm、目付け50g/mとなるようにラインスピード40m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、冷却ロール51は25℃、第一加熱ロール52は100℃、第二加熱ロール53は120℃となるように、それぞれの温度を設定した。これにより、冷却ロール51によって一旦冷却固化された素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分である高密度ポリエチレンの融点(125℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分である低密度ポリエチレンの融点(109℃)以上の120℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
また、成形ロール40の外周面には、図2(a)に示すように千鳥状に配置された多数の吸引孔41を、素材原反2の送り方向に沿ったピッチP1が10mm、素材原反2の送り方向に直交する方向に沿ったピッチP2が11.5mmとなるように設けた。各吸引孔41は円柱状に形成し(図2(b)参照)、その寸法は、直径φDを10mm、深さdを4mmとし、吸引孔41の底面側の角部のRを1mmとした。
なお、素材原反2に真空成形を処するに際して、成形ロール40の温度を75℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を65℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mについて、その素材原反2に形成された突起部2aの断面の概略を図7に示す。図7に示す断面は、素材原反2の送り方向に沿った突起部2aの中心を通る断面である。図7に示すように、本実施例では、突起部2aの肉厚が、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側と、同上流側に立ち上がる側壁側とでほぼ同じ肉厚となっていた。さらに、突起部2aの肉厚分布は周方向に沿ってほぼ均一となっており、突起部2aの周方向に沿った各部位の肉厚はほぼ一定であった。
具体的には、素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁の肉厚Tは、ともに約50%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約25%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約36%であった。
[実施例2]
ポリプロピレンホモポリマー(融点160℃):20重量%、エチレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン8重量%,融点125℃):80重量%を混合して素材原反2を形成する樹脂材料とし、封止材3を形成する樹脂材料も同様のものとした。そして、図1に示す装置により、これらの樹脂材料を約250℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反2の厚み32μm、封止材3の厚み18μm、目付け50g/mとなるようにラインスピード40m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、冷却ロール51は25℃、第一加熱ロール52は120℃、第二加熱ロール53は145℃となるように、それぞれの温度を設定した。これにより、冷却ロール51によって一旦冷却固化された素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分であるポリプロピレンホモポリマーの融点(160℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分であるエチレン−プロピレンランダム共重合体の融点(125℃)以上の140℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
なお、成形ロール40には、実施例1と同様のものを用いた。また、素材原反2を真空成形に処するに際して、成形ロール40の温度を80℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を70℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mにおいて、突起部2aは、図7に示す例のように素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁の肉厚Tは、ともに約50%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約25%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約40%であった。
[実施例3]
エチレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン5重量%,融点135℃):70重量%、低密度ポリエチレン(融点109℃):30重量%を混合して素材原反2を形成する樹脂材料とし、封止材3を形成する樹脂材料も同様のものとした。そして、図1に示す装置により、これらの樹脂材料を約240℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反2の厚み31μm、封止材3の厚み20μm、目付け50g/mとなるようにラインスピード40m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、冷却ロール51は25℃、第一加熱ロール52は110℃、第二加熱ロール53は128℃となるように、それぞれの温度を設定した。これにより、冷却ロール51によって一旦冷却固化された素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分であるエチレン−プロピレンランダム共重合体の融点(135℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分である低密度ポリエチレンの融点(109℃)以上の125℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
なお、成形ロール40には、実施例1と同様のものを用いた。また、素材原反2を真空成形に処するに際して、成形ロール40の温度を75℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を65℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mにおいて、突起部2aは、図7に示す例のように素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる突起部2aの側壁の肉厚Tは、ともに約50%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約25%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約40%であった。
[実施例4]
図3に示す装置により、実施例1と同じ樹脂材料を約230℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反2の厚み34μm、封止材3の厚み20μm、目付け50g/mとなるようにラインスピード40m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、第一冷却ロール54は155℃、第二冷却ロール55は125℃となるように、それぞれの温度を設定した。これにより、素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分である高密度ポリエチレンの融点(125℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分である低密度ポリエチレンの融点(109℃)以上の120℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
なお、成形ロール40には、実施例1と同様のものを用いた。また、素材原反2を真空成形に処するに際して、成形ロール40の温度を75℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を65℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mにおいて、突起部2aは、図7に示す例のように素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる突起部2aの側壁の肉厚Tは、ともに約50%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約25%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約45%であった。
[実施例5]
図4に示す装置により、実施例1と同じ樹脂材料を約230℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反2の厚み34μm、封止材3の厚み20μm、目付け50g/mとなるようにラインスピード35m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、エアーナイフ56からは40℃に設定されたエアーを風量150L/分で吹き付けた。これにより、素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分である高密度ポリエチレンの融点(125℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分である低密度ポリエチレンの融点(109℃)以上の120℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
なお、成形ロール40には、実施例1と同様のものを用いた。また、素材原反2を真空成形に処するに際して、成形ロール40の温度を75℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を65℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mにおいて、突起部2aは、図7に示す例のように素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる突起部2aの側壁の肉厚Tは、ともに約50%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約25%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約45%であった。
[実施例6]
図3に示す装置により、実施例2と同じ樹脂材料を約250℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反2の厚み32μm、封止材3の厚み18μm、目付け50g/mとなるようにラインスピード40m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、第一冷却ロール54は170℃、第二冷却ロール55は145℃となるように、それぞれの温度を設定した。これにより、素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分であるポリプロピレンホモポリマーの融点(160℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分であるエチレン−プロピレンランダム共重合体の融点(125℃)以上の140℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
なお、成形ロール40には、実施例1と同様のものを用いた。また、素材原反2を真空成形に処するに際して、成形ロール40の温度を80℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を70℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mにおいて、突起部2aは、図7に示す例のように素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる突起部2aの側壁の肉厚Tは、ともに約45%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約25%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約45%であった。
[実施例7]
図3に示す装置により、実施例3と同じ樹脂材料を約240℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反2の厚み31μm、封止材3の厚み20μm、目付け50g/mとなるようにラインスピード40m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、第一冷却ロール54は170℃、第二冷却ロール55は145℃となるように、それぞれの温度を設定した。これにより、素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分であるエチレン−プロピレンランダム共重合体の融点(135℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分である低密度ポリエチレンの融点(109℃)以上の125℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
なお、成形ロール40には、実施例1と同様のものを用いた。また、素材原反2を真空成形に処するに際して、成形ロール40の温度を75℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を65℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mにおいて、突起部2aは、図7に示す例のように素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる突起部2aの側壁の肉厚Tは、ともに約47%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約25%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約45%であった。
[実施例8]
図4に示す装置により、実施例2と同じ樹脂材料を約250℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反2の厚み32μm、封止材3の厚み18μm、目付け50g/mとなるようにラインスピード35m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、エアーナイフ56からは40℃に設定されたエアーを風量200L/分で吹き付けた。これにより、素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分であるポリプロピレンホモポリマーの融点(160℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分であるエチレン−プロピレンランダム共重合体の融点(125℃)以上の140℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
なお、成形ロール40には、実施例1と同様のものを用いた。また、素材原反2を真空成形に処するに際して、成形ロール40の温度を80℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を70℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mにおいて、突起部2aは、図7に示す例のように素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる突起部2aの側壁の肉厚Tは、ともに約47%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約25%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約45%であった。
[実施例9]
図4に示す装置により、実施例3と同じ樹脂材料を約240℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反2の厚み31μm、封止材3の厚み20μm、目付け50g/mとなるようにラインスピード40m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、エアーナイフ56からは40℃に設定されたエアーを風量180L/分で吹き付けた。これにより、素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分であるエチレン−プロピレンランダム共重合体の融点(135℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分である低密度ポリエチレンの融点(109℃)以上の125℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
なお、成形ロール40には、実施例1と同様のものを用いた。また、素材原反2を真空成形に処するに際して、成形ロール40の温度を75℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を65℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mにおいて、突起部2aは、図7に示す例のように素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる突起部2aの側壁の肉厚Tは、ともに約50%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約25%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約45%であった。
[実施例10]
実施例1と同じ樹脂材料を用いて、厚み34μmのフィルム状に成形された素材原反2と、厚み20μmのフィルム状に成形された封止材3とを、図6に示す装置に供給して、ラインスピード20m/分で中空部材(気泡シート)Mを目付け50g/mとなるように製造した。
このとき、第一加熱ロール52は110℃、第二加熱ロール53は128℃となるように、それぞれの温度を設定した。これにより、素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分である高密度ポリエチレンの融点(125℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分である低密度ポリエチレンの融点(109℃)以上の120℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
一方、第三加熱ロール35の温度は150℃に設定し、封止材3が熱融着可能な温度に加熱されてから、成形ロール40に密着する素材原反2と押圧ロール60との間に供給されるようにした。
なお、成形ロール40には、実施例1と同様のものを用いた。また、素材原反2を真空成形に処するに際して、成形ロール40の温度を75℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を130℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mにおいて、突起部2aは、図7に示す例のように素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる突起部2aの側壁の肉厚Tは、ともに約50%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約25%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約47%であった。
[実施例11]
図1に示す装置により、実施例1と同じ樹脂材料を約230℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反2の厚み25μm、封止材3の厚み20μm、目付け41.5g/mとなるようにラインスピード40m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、冷却ロール51は25℃、第一加熱ロール52は100℃、第二加熱ロール53は120℃となるように、それぞれの温度を設定した。これにより、冷却ロール51によって一旦冷却固化された素材原反2が、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分である高密度ポリエチレンの融点(125℃)よりも低く、かつ、最も融点の低い樹脂成分である低密度ポリエチレンの融点(109℃)以上の120℃となるように温調されてから成形ロール40に到達するようにした。
また、成形ロール40の外周面には、図2(a)に示すように千鳥状に配置された多数の吸引孔41を、素材原反2の送り方向に沿ったピッチP1が10mm、素材原反2の送り方向に直交する方向に沿ったピッチP2が11.5mmとなるように設けた。各吸引孔41は円錐台状に形成し(図2(c)参照)、その寸法は、開口部の直径φDを10mm、底面の直径φDを8.5mm、深さdを4mmとし、吸引孔41の底面側の角部のRを1mmとした。
なお、素材原反2に真空成形を処するに際して、成形ロール40の温度を75℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を65℃、25℃とした。
以上のようにして製造された中空部材(気泡シート)Mについて、その素材原反2に形成された突起部2aの断面の概略を図8に示す。図8に示す断面は、素材原反2の送り方向に沿った突起部2aの中心を通る断面である。図8に示すように、本実施例では、突起部2aの肉厚が、素材原反2の送り方向の下流側に斜めに立ち上がる側壁側と、同上流側に斜めに立ち上がる側壁側とでほぼ同じ肉厚となっていた。さらに、突起部2aの肉厚分布は周方向に沿ってほぼ均一となっており、突起部2aの周方向に沿った各部位の肉厚はほぼ一定であった。
具体的には、素材原反2の肉厚Tを100%としたときに、素材原反2の送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚Tと、同上流側に立ち上がる側壁の肉厚Tは、ともに約55%であり、突起部2aの側壁の肉厚は、周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。また、素材原反2の送り方向の下流側に斜めに立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tと、同上流側に斜めに立ち上がる側壁側の角部の肉厚Tは、ともに約35%であり、この部位の肉厚も周方向に沿ってほぼ同じ値を示した。
また、突起部2aの天面ほぼ中央の肉厚Tは約42%であった。
[比較例1]
図9に示すような装置を用いた以外は、実施例1と同一の条件で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、素材原反102は、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分である高密度ポリエチレンの融点(125℃)よりも高い約200℃の温度で成形ロール40に到達すると推定される。
なお、図9に示す装置は、図1に示す装置から温調部50を取り除いたものに相当し、図1に示す装置と共通の構成については同一の符号を付することによって、その説明を省略する。
比較例1で製造された中空部材(気泡シート)Mについて、その素材原反102に形成された突起部102aの断面の概略を図10に示す。図10に示す断面は、素材原反102の送り方向に沿った突起部102aの中心を通る断面である。図5に示すように、本比較例における突起部102aは、送り方向の下流側に立ち上がる側壁よりも、同上流側に立ち上がる側壁の方が薄肉となっており、素材原反102の肉厚Tを100%としたときに、送り方向の下流側に立ち上がる側壁の肉厚T10は約61%、同上流側に立ち上がる側壁の肉厚T20は約43%であった。また、送り方向の下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚T40は約31%、同上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚T50は約19%であり、当該側壁側の角部が最も薄肉であった。
また、突起部102aの天面ほぼ中央の肉厚T30は約40%であった。
[比較例2]
図9に示す装置により、実施例1と同じ樹脂材料を約230℃の温度で溶融混練して押し出しながら、素材原反102の厚み25μm、封止材3の厚み20μm、目付け41.5g/mとなるようにラインスピード40m/分で中空部材(気泡シート)Mを製造した。
このとき、素材原反102は、その樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分である高密度ポリエチレンの融点(125℃)よりも高い約200℃の温度で成形ロール40に到達すると推定される。
なお、成形ロール40には、実施例11と同様のものを用いた。また、素材原反2を真空成形に処するに際して、成形ロール40の温度を75℃に設定するとともに、押圧ロール60、剥離ロール70のそれぞれの設定温度を65℃、25℃とした。
比較例1で製造された中空部材(気泡シート)Mについて、その素材原反102に形成された突起部102aの断面の概略を図11に示す。図11に示す断面は、素材原反102の送り方向に沿った突起部102aの中心を通る断面である。図11に示すように、本比較例における突起部102aは、送り方向の下流側に斜めに立ち上がる側壁よりも、同上流側に斜めに立ち上がる壁の方が薄肉となっており、素材原反102の肉厚Tを100%としたときに、送り方向の下流側に斜めに立ち上がる側壁の肉厚T10は約61%、同上流側に立ち上がる側壁の肉厚T20は約43%であった。また、送り方向の下流側に斜めに立ち上がる側壁側の角部の肉厚T40は約31%、同上流側に斜めに立ち上がる側壁側の角部の肉厚T50は約19%であり、当該側壁側の角部が最も薄肉であった。
また、突起部102aの天面ほぼ中央の肉厚T30は約40%であった。
本発明は、包装用の緩衝材のほか種々の用途に利用される気泡シートなどの独立した多数の気泡室を有する中空部材を提供する。
本発明に係る中空部材の製造装置の実施形態を示す説明図である。 成形ロールの外周面に設けられる吸引孔の一例を示す説明図である。 本発明に係る中空部材の製造装置の実施形態の変形例を示す説明図である。 本発明に係る中空部材の製造装置の実施形態の他の変形例を示す説明図である。 真空成形によって突起部が形成される過程を模式的に示す説明図である。 本発明に係る中空部材の製造装置の実施形態の他の変形例を示す説明図である。 実施例1〜10において素材原反の送り方向に沿った突起部の中心を通る断面を示す説明図である。 実施例11において素材原反の送り方向に沿った突起部の中心を通る断面を示す説明図である。 比較例で使用した製造装置の一例を示す説明図である。 比較例1において素材原反の送り方向に沿った突起部の中心を通る断面を示す説明図である。 比較例2において素材原反の送り方向に沿った突起部の中心を通る断面を示す説明図である。 真空成形によって突起部が形成される過程を模式的に示す従来技術の説明図である。
符号の説明
1 製造装置
2 素材原反
2a 突起部
2b 気泡室
3 封止材
20 素材原反供給部
21 フラットダイ
40 成形ロール
41 吸引孔
50 温調部
60 押圧ロール
M 中空部材

Claims (7)

  1. 融点の異なる二種以上の樹脂成分を含む樹脂材料を用いて所定の厚みに成形された素材原反を連続して供給し、
    前記樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分の融点よりも低く、かつ、前記樹脂材料中に含まれる最も融点の低い樹脂成分の融点以上の温度となるように前記素材原反の温度を調整してから、多数の吸引孔が設けられた成形ロールの外周面に密着させて中空状に膨出する突起部を前記素材原反に真空成形した後に、
    封止材を積層して前記突起部の開口側を封止することを特徴とする中空部材の製造方法。
  2. フラットダイから押し出されてきた前記素材原反を冷却固化し、次いで、前記温度となるように加熱することによって前記素材原反の温度を調整する請求項1に記載の中空部材の製造方法。
  3. フラットダイから押し出されてきた前記素材原反の温度を冷却手段によって前記温度となるように調整する請求項1に記載の中空部材の製造方法。
  4. 前記素材原反を形成する樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分を10〜50重量%の割合で混合する請求項1〜3のいずれか一項に記載の中空部材の製造方法。
  5. 前記素材原反を形成する樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂成分の融点と、最も融点の低い樹脂成分の融点との差が、5〜50℃である請求項1〜4のいずれか一項に記載の中空部材の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法によって製造された中空部材であって、
    前記素材原反の送り方向の上流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚が、同下流側に立ち上がる側壁側の角部の肉厚の90〜110%となるように、前記突起部の肉厚分布を制御したことを特徴とする中空部材。
  7. 融点の異なる二種以上の樹脂成分を含む樹脂材料を用いて所定の厚みに成形された素材原反を連続して供給するための素材原反供給部と、
    前記樹脂材料中に含まれる最も融点の高い樹脂の融点よりも低く、かつ、前記樹脂材料中に含まれる最も融点の低い樹脂の融点以上の温度となるように、前記素材原反の温度を調整するための温調部と、
    多数の吸引孔が外周面に設けられて、前記温度とされた前記素材原反に中空状に膨出する突起部を真空成形するための成形ロールと、
    前記突起部の開口側を封止する封止材を積層するための押圧ロールと
    を備えたことを特徴とする中空部材の製造装置。
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