JP2010131779A - 記録媒体の前処理方法、前処理液、カートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

記録媒体の前処理方法、前処理液、カートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】水性記録用インクを用いて記録媒体に記録する際に、画像の定着性を向上させることができ、更には高画像濃度・高画質も得ることができる前処理方法、前処理液、これを利用したカートリッジ及び画像形成装置の提供。
【解決手段】(1)水性記録用インクの吐出前に、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとを用いて、記録媒体表面を処理する前処理方法。
(2)前処理後に吐出する水性記録用インクが、カルボキシル基含有樹脂を含む(1)に記載の前処理方法。
(3)水溶性オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基の総量が、酸1molに対して、0.01〜0.5molである(1)又は(2)に記載の前処理方法。
(5)酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含む記録媒体の前処理液。
(6)上記前処理液を容器内に収容したカートリッジ。
【選択図】図1

Description

本発明は、水性記録用インクを用いて記録媒体に記録する前に、その表面を処理するための前処理方法、前処理液、これを利用したカートリッジ及び画像形成装置に関する。
従来の酸を含有する前処理液とカルボキシル基含有樹脂に包含された着色剤を含むインクとの組み合わせの場合、酸とカルボキシル基により記録媒体上で顔料の凝集が起こり、高濃度・高画質の画像を得ることは可能であるが、凝集した顔料を定着させることができず、特にラインエンジンシステムのような高速搬送時(例えば100rpm以上の高速印刷時)においては、搬送コロなどへの転写汚れが多く発生してしまう。
例えば、特許文献1には、前処理液に着色剤を凝集させる成分(キトサンと不揮発性有機酸)を含有させることが記載されている。しかし、着色剤を凝集させることにより画像濃度は向上するが、記録媒体上でのドット減少による埋まり率の低下、高さ方向へ着色剤が積層されることによる定着性の悪化が発生してしまう。
一方、特許文献2には、高画質・高耐擦性を目的として、カルボキシル基を有する樹脂が染料もしくは顔料を内包した着色樹脂粒子を含有するインク組成物と、オキサゾリン基を有する重合体を含有する反応液とを記録媒体上で混合することにより仮画像を形成し、これを加熱することが記載されている。
しかし、カルボキシル基とオキサゾリン基による架橋反応速度はそれほど早くないため、印刷直後の画像の定着性は不十分である。そのため、前述した酸の場合と同様に搬送コロなどへの転写汚れが多く発生してしまう。
特開2005−248133号公報 特開2003−072220号公報
本発明は、水性記録用インクを用いて記録媒体に記録する際に、画像の定着性を向上させることができ、更には高画像濃度・高画質も得ることができる前処理方法、前処理液、これを利用したカートリッジ及び画像形成装置の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)〜13)の発明によって解決される。
1) 水性記録用インクの吐出前に、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとを用いて、記録媒体表面を処理することを特徴とする前処理方法。
2) 前処理後に吐出する水性記録用インクが、カルボキシル基含有樹脂を含むことを特徴とする1)に記載の前処理方法。
3) 水溶性オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基の総量が、酸1molに対して0.01〜0.5molであることを特徴とする1)又は2)に記載の前処理方法。
4) 酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーの混合液を用いて、記録媒体表面を処理するものであって、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーの混合を、記録媒体表面を前処理する直前に行うことを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の前処理方法。
5) 酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを別々に用いて、記録媒体表面を処理することを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の前処理方法。
6) 酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーに加えて、界面活性剤を含む前処理液を用いて処理することを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の前処理方法。
7) 水性記録用インクを用いて記録媒体に記録する前に、その表面を処理するための前処理液であって、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含むことを特徴とする前処理液。
8) 酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーに加えて、界面活性剤を含むことを特徴とする7)に記載の前処理液。
9) 前処理液中の水溶性オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基の総量が、酸1molに対して0.01〜0.5molであることを特徴とする7)又は8)に記載の前処理液。
10) 7)〜9)の何れかに記載の前処理液を容器内に収容したことを特徴とするカートリッジ。
11) 水性記録用インクの吐出手段と、酸及び水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを貯留する貯留手段と、吐出手段による水性記録用インクの吐出前に、酸及び水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを用いて、記録媒体表面を処理する前処理手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
12) 貯留手段は、酸を含む酸溶液を貯留する酸貯留手段と、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含むポリマー溶液を貯留するポリマー貯留手段とを有し、更に、酸溶液及びポリマー溶液を混合して前処理液とする混合手段を備え、前処理手段は、前処理液により記録媒体の表面に対して前処理を行うものであることを特徴とする11)に記載の画像形成装置。
13) 貯留手段は、酸を含む酸溶液を貯留する酸貯留手段と、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含むポリマー溶液を貯留するポリマー貯留手段とを有し、前処理手段は、酸溶液により、記録媒体の表面に対して前処理を行う酸前処理手段と、ポリマー溶液により、記録媒体の表面に対して前処理を行うポリマー前処理手段とを有することを特徴とする11)に記載の画像形成装置。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
<前処理方法、前処理液について>
本発明の前処理方法は、水性記録用インクの吐出前に、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを用いて記録媒体表面を処理し、両者の間で架橋反応を起こさせることを特徴とし、これにより、画像の定着性を向上させることができる。しかし、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含む前処理液として使用する前に架橋反応が進み固化してしまうことを防止するため、両者の添加割合を調整することが好ましい。無用の架橋反応を確実に防止するには、記録媒体表面を前処理する直前に両者を混合し、その前処理液を用いて処理する方法、又は、両者を別々に用いて、記録媒体表面を処理する方法が好ましい。これらの方法による場合、酸及び水溶性オキサゾリン基含有ポリマーは、そのまま用いてもよく、溶液にして用いてもよい。また、両者を別々に用いる場合、両者の処理順序はどちらが先でもよく、同時でもよい。処理した後は、その上に速やかに水性記録用インクを吐出する。
更に、前処理液を用いて処理するに際し、前処理液の表面張力を下げるため、あるいは前処理液を泡立たせた状態で記録媒体表面に塗布する場合(詳細は後述する)に前処理液を泡立たせるため、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤を用いる場合において、記録媒体表面を前処理する直前に酸と水溶性オキサゾリンン基含有ポリマーとを混合するときには、界面活性剤を何れか一方若しくは双方に加えておくか、又は界面活性剤と酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとを同時に混合するようにする。
また、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを用いて記録媒体表面を処理する構成としては、例えば、酸及び水溶性オキサゾリン基含有ポリマーの少なくとも一方を含む溶液を塗布ローラによって記録媒体表面に塗布する構成、該溶液をインクジェトヘッドから記録媒体表面に吐出する構成、及び該溶液を噴霧ノズルから記録媒体表面に噴霧する構成などを挙げることができる。
本発明で用いる酸はカルボキシル基を有するものが好ましく、特に有機酸が好ましい。有機酸の場合、体内で生産されるものや食品等に含まれるものが多数あり、人体残留の危険性が少ないものを選択することができる。また無臭のものが多いので、家庭やオフィスでの用途に好適である。具体例としては、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などが挙げられる。
本発明における酸の役割は、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとの架橋反応にあり、これにより画像の定着性向上に寄与する。また、水性記録用インクがカルボキシル基含有樹脂を含む場合には、該樹脂との反応による記録媒体上での顔料の凝集化機能により、高画像濃度・高画質化にも寄与する。
酸の添加量は、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基の総量に対して等mol以上であることが好ましく、水性記録用インクがカルボキシル基含有樹脂を含む場合には、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基の総量0.5molに対して1mol以上であることが好ましい。これは、最初に起こる水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとの架橋反応で全ての酸が消費されることを確実に防ぐためである。全ての酸が消費されてしまうと、後に起こるカルボキシル基含有樹脂との反応が起こらなくなってしまう。
しかし、酸の添加量が多すぎると、水性記録用インクがカルボキシル基含有樹脂を含む場合には、カルボキシル基含有樹脂との反応による顔料の凝集化作用が大きくなってしまうので好ましくない。後述する表1−2にも示すように、酸の添加量を増やすと顔料の凝集化が進み、記録媒体上でのドット径が小さくなってしまう。これは、ドットの広がりが小さくなることを意味しており、特にベタ部での埋まりが不足すると、記録媒体の下地色の影響が画像に表れてしまうという不具合が生じてしまう。従って、画像の不具合が生じない範囲で酸の添加量を決定することが好ましい。
本発明の水溶性オキサゾリン基含有ポリマーは、例えば、アクリル−スチレン系樹脂のもの、アクリル系樹脂のもの、スチレン系樹脂のもの、アクリロニトリル−スチレン系樹脂のものを用いることができる。
水溶性オキサゾリン基含有ポリマーは市販品として入手可能であり、例えば、日本触媒社製のK−2000シリーズ(アクリル−スチレン系樹脂)、WSシリーズ(アクリル系樹脂)、RPSシリーズ(スチレン系樹脂)、RASシリーズ(アクリロニトリル−スチレン系樹脂)等が挙げられる。
また、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを表面に吸着させた微粒子を用いてもよく、市販品として入手可能である。例えば有機微粒子としては、創研化学社製のMEシリーズ、日本純薬社製のジュリマーMBシリーズ、東芝シリコーン社製のトスパールシリーズ、日本ペイント社製のマイクロジェルシリーズ、旭硝子社製のプルオンシリーズ等が挙げられ、無機微粒子としては、出光興産社製のチタニアリリーズ、日本アエロジル社製のアルミニウムオキサイドC等が挙げられる。
水溶性オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基の総量は、水性記録用インクがカルボキシル基含有樹脂を含む場合には、酸1molに対して、0.5mol以下とすることが好ましく、0.25mol以下が更に好ましい。これは、前処理液を用いて記録媒体表面を処理する場合に、架橋反応により前処理液が記録媒体への塗布前に固化することを防止するため、及び、前述のように、水性記録用インクがカルボキシル基含有樹脂を含む場合には、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとの架橋反応により全ての酸を消費しないようにするためである。また後述する図3にも示すように、酸1molに対してオキサゾリン基の総量が0.5mol以下であると、記録媒体上での画像の定着性が添加しないときよりも良くなる傾向があるためである。酸の添加割合が小さくなると定着性が良くなるのは、図4に示すように、水性記録用インクがカルボキシル基含有樹脂を含む場合には、酸の添加割合が小さくなると記録媒体上でのドット径が大きくなる、つまり顔料の凝集化が過度に進むことがないためであると考えられる。また、オキサゾリン基の総量が酸1molに対して0.01molよりも多いと、画像の定着性向上効果が大きくなる傾向にある。
前述したように、前処理液を用いて記録媒体表面を処理する場合、界面活性剤を添加することが好ましく、これにより、記録媒体表面に前処理液を泡状で塗布することが可能となる。
すなわち、記録媒体に必要以上の前処理液が塗布されてしまうと、コスト高になるし、前処理液中の溶媒種によっては記録媒体がカールしてしまうなどの不具合が発生するため、前処理液の塗布量をできるだけ少なくすることが好ましい。しかし、そのために、塗布ローラー表面の液状の前処理液の厚みを極めて薄くすると、塗布ローラー表面と凹凸を有する記録媒体との接触性がよくないため、記録媒体表面に前処理液を塗布することができない箇所が発生してしまう。よって、予め前処理液を泡状にしてから記録媒体に塗布することが好ましい。
界面活性剤には特に制限はなく公知のものを使用できる。例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられ、これらは単独で使用しても、複数組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の添加量は、前処理液に対して0.01〜3重量%が好ましく、0.5〜2重量%がより好ましい。
酸及び水溶性オキサゾリン基含有ポリマーをそれぞれ含む溶液や前処理液には、通常、溶媒として水又は揮発性水溶性溶媒を添加する。これらは単独で使用しても、複数組み合わせて使用してもよい。ただし、水を単独で使用すると、記録媒体の種類によっては用紙のカールが顕著に発生することがある。また、揮発性水溶性溶媒を単独で使用すると、記録媒体上で急激に溶媒が揮発することにより、ドットが広がらず埋まりなどに関して問題が発生することがある。従って、使用条件及び環境等を考慮して適宜選択することが好ましい。
揮発性水溶性溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどが挙げられる。
本発明に係る水性記録用インクは、少なくとも着色剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤、及び水を含むが、更にカルボキシル基含有樹脂を含むことが好ましい。
着色剤としては水性記録用インクにおいて公知の染料や顔料を使用することができる。また、無機粒子を有機顔料又はカーボンブラックで被覆した着色剤粒子を用いてもよい。
無機粒子をカーボンブラックで被覆する方法としては、凝固、析出などによる液中乾燥法、混合しながら機械的な力を加える乾燥混合法などが挙げられる。また、無機粒子を有機顔料で被覆する方法としては、無機粒子の存在下で有機顔料を析出する方法、無機粒子と有機顔料を機械的に混摩砕する方法等がある。この場合、例えば、熱安定性に優れた有機顔料で被覆する場合には化学的蒸着技術を用いることができる。更に必要に応じて、ポリシロキサン、アルキルシランから生成されるオルガノシラン化合物層を無機粒子と有機顔料の間に設ければ、両者の接着性を向上させることができる。
無機粒子としては、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化鉄、水酸化鉄、酸化スズ等が挙げられる。無機粒子の形状はアスペクト比が小さいものが好ましく、球状が特に好ましい。また、無機粒子の表面にカラー着色剤を吸着させる場合には、無機粒子は無色透明又は白色であることが好ましいが、黒色着色剤を吸着させる場合には、黒色の無機粒子を用いても構わない。
無機粒子の1次粒径は100nm以下が好ましく、5〜50nmがより好ましい。
無機粒子を被覆する有機顔料としては、ブラック顔料として、アニリンブラックが挙げられる。カラー顔料としては、例えば、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドン及び(チオ)インジゴイド等が挙げられる。
これらの中でも発色性の面から、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、モノアゾイエロー系顔料、ジアゾイエロー系顔料、複素環式イエロー顔料が特に好ましい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば銅フタロシアニンブルー又はその誘導体(C.I ピグメントブルー15:3、C.I ピグメントブルー15:4)、アルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。
キナクリドン系顔料としては、例えば、C.I ピグメントオレンジ48、C.I ピグメントオレンジ49、C.I ピグメントレッド122、C.I ピグメントレッド192、C.I ピグメントレッド202、C.I ピグメントレッド206、C.I ピグメントレッド207、C.I ピグメントレッド209、C.I ピグメントバイオレット19、C.I ピグメントバイオレット42等が挙げられる。
モノアゾイエロー系顔料としては、例えば、C.I ピグメントイエロー74、C.I ピグメントイエロー109、C.I ピグメントイエロー128、C.I ピグメントイエロー151等が挙げられる。
ジアゾイエロー系顔料としては、例えば、C.I ピグメントイエロー14、C.I ピグメントイエロー16、C.I ピグメントイエロー17等が挙げられる。
複素環式イエロー顔料としては、例えば、C.I ピグメントイエロー117、C.I ピグメントイエロー138等が挙げられる。
無機粒子と、着色剤である有機顔料又はカーボンブラックの重量比(無機粒子:着色剤)は、3:1〜1:3が好ましく、3:2〜1:2がより好ましい。着色剤の割合が小さすぎると、発色性や着色力が低下することがあり、着色剤の割合が大きくなりすぎると、透明性や色調が悪くなることがある。
無機粒子を有機顔料又はカーボンブラックで被覆した着色剤粒子の市販品としては、例えば、戸田工業社製のシリカ/カーボンブラック複合材料、シリカ/フタロシアニンC.I PB15:3複合材料、シリカ/ジアゾイエロー複合材料、シリカ/キナクリドンC.I PR122複合材料等が挙げられ、これらは1次粒径が小さく好適に用いることができる。
例えば、1次粒径が20nmの無機粒子を等量の有機顔料で被覆した場合、その1次粒径は25nm程度になる。そこで適当な分散剤を用いて1次粒子の状態のままで分散できれば、分散粒子径が25nmの非常に微細な顔料分散インクを作成することができる。
着色剤粒子の1次粒径は、水性記録用インク中において、5〜100nmが好ましく、30〜80nmがより好ましい。1次粒径が5nm未満では、インクの長期保存の際に増粘したり、着色剤粒子が凝集することがあり、100nmを超えると、インクを紙やフィルム等の媒体に印刷する場合に、印刷部の彩度及び明度が低下した印刷物となることがある。なお、上記着色剤粒子の1次粒径とは、機械的せん断では、これ以上細かく粉砕できない着色剤粒子の最小単位を意味する。
着色剤粒子の水性記録用インク中の含有量は、1〜20重量%が好ましく、2〜15重量%がより好ましい。
本発明に係る水性記録用インクは水を溶媒として使用するが、更にインクの乾燥を防止するため、分散安定性を向上するため等の目的で水溶性有機溶剤を使用する。この水溶性有機溶剤は複数混合して使用してもよい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペトリオール等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物類としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−プチロラクトン等が挙げられる。
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
これらの水溶性溶剤の中でも、グリセリン、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールが特に好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果を奏する。また、保存安定性及び吐出安定性に優れた水性記録用インクを作成することができる。
着色剤粒子と水溶性有機溶剤の配合比は、ヘッドからのインク吐出安定性に非常に影響がある。顔料固形分が多いのに、水溶性有機溶剤の配合量が少ないと、ノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み、吐出不良をもたらすことになる。
本発明に係る水性記録用インクは、上記水溶性有機溶剤以外に、必要に応じて、糖類やその誘導体などの他の水溶性有機溶剤を併用することもできる。糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類も含む)、多糖類、及びこれらの誘導体が挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キロース、トレハロース、マルトトリオース等が挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロース等自然界に広く存在する物質を含むものとする。
糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖や酸化糖等が挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、具体的には、マルチトール、ソルビット等が挙げられる。
糖類の含有量は、水性記録用インクに対して0.1〜40重量%が好ましく、0.5〜30重量%がより好ましい。
界面活性剤としては、特に制限はなく、着色剤の種類や湿潤剤、浸透剤等の組み合わせによって、分散安定性を損なわない界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができる。特に印刷用紙に印刷する場合には、表面張力が低く、レベリング性の高いフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤が好適であり、特にフッ素系界面活性剤が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。
パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。
パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩等が挙げられる。
パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンシリーズ(S−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145)、住友スリーエム社製のフルラードシリーズ(FC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431)、大日本インキ社製のメガファックシリーズ(F−470、F−1405、F−474)、Dupont社製のZonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、ネオス社製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のPF−151N等が挙げられる。中でも良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から、ネオス社製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、及びオムノバ社製のPF−151Nが好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー社、信越シリコーン社、東レ・ダウコーニング・シリコーン社等のものを容易に入手できる。
また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、信越化学社製のKF−618、KF−642、KF−643等が挙げられる。
また、前記フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤以外にも、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩等が挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等が挙げられる。また、その市販品としては、例えば、エアープロダクツ社製のサーフィノールシリーズ(104、82、465、485、TG)等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン等が挙げられる。また、その市販品としては、例えば、日光ケミカルズ社、日本エマルジョン社、日本触媒社、東邦化学社、花王社、アデカ社、ライオン社、青木油脂社、三洋化成社等のものを容易に入手できる。
前記種々の界面活性剤は、単独で用いても複数のものを混合して用いてもよい。単独では水性記録用インク中に容易に溶解しない場合でも、複数のものを混合することにより可溶化され、安定に存在することができる場合もある。
前記界面活性剤の水性記録用インク中における含有量は、0.01〜3重量%が好ましく、0.5〜2重量%がより好ましい。ただし、水よりも高沸点で25℃のインク中で液体である成分の合計含有量は20重量%以下とすることが好ましく、15重量%以下とすることがより好ましい。合計含有量が0.01重量%未満では、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3重量%を超えると、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
本発明に係る水性記録用インクはカルボキシル基含有樹脂を含むことが好ましい。これにより、前述したように、前処理液中の酸とカルボキシル基含有樹脂が反応し、記録媒体上での顔料の凝集化が起こるので、画像濃度・画質の向上を図ることができる。
カルボキシル基含有樹脂としては、マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、アルキド樹脂、変性アルキド樹脂等が挙げられる。これらの市販品としては、荒川化学社製のマルキードシリーズ(マレイン酸樹脂)、アラスターシリーズ(スチレン−マレイン酸樹脂)、ハリマ化成社製のハリマックシリーズ(ロジン変性マレイン酸樹脂)、ハリフタールシリーズ(アルキド樹脂、変性アルキド樹脂)がある。
カルボキシル基含有樹脂の添加形態には特に制限はなく、着色剤である顔料をカルボキシル基含有樹脂で包含した形態で添加してもよいし、着色剤とは別にカルボキシル基含有樹脂を単独で添加してもよい。
本発明に係る水性記録用インクには、前記の各成分の他に、必要に応じて、公知の浸透剤、ポリマー粒子、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を添加することができる。
浸透剤としては、炭素数8〜11のポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物が好ましく用いられる。これらは、紙への浸透速度を速めると共にブリードを防止する効果を有し、25℃の水中において、0.1〜4.5重量%の溶解度を有する部分的に水溶性の化合物である。
前記炭素数8〜11のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等が挙げられる。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、多価アルコールアルキルエーテル化合物、多価アルコールアリールエーテル化合物等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
これらの浸透剤は、水よりも高沸点で25℃のインク中で液体である成分であり、水性記録用インク中の含有量は、0〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましい。
ポリマー粒子としては造膜性を有するものを用いる。ここで造膜性とは、ポリマー粒子を水に分散させエマルジョンの形態とした時、この水性エマルジョンの水分を蒸発させていくと、樹脂皮膜が形成される性質を意味する。
このようなポリマー粒子が含まれていると、水性記録用インク中の揮発成分が蒸発した際に該ポリマー粒子が皮膜を形成し、インク中の着色剤を強固に記録媒体に固着する役割を果す。これにより、耐擦化性、耐水性に優れた画像を実現することができる。
ポリマー粒子は、室温で皮膜を形成させるため、最低造膜温度が30℃以下のものが好ましく、10℃以下のものがより好ましい。ここで、最低造膜温度とは、ポリマー粒子を水に分散させて得られたポリマーエマルジョンを、アルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていった時に、透明な連続したフィルムが形成される最低の温度のことを意味する。
ポリマー粒子の体積平均粒子径は、5〜200nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。
ポリマー粒子としては、単粒子構造のものを使用することができる。例えば、エマルジョン粒子内にアルコキシシリル基を有すると、塗膜形成過程での水分蒸発によるエマルジョン同士の融着に伴って残存する水分と接触し、加水分解してシラノール基を形成する。また、シラノール基が残存するアルコキシシリル基、又はシラノール基同士が反応して、シロキサン結合による強固な架橋構造を形成することができる。このようにポリマー微粒子内に反応性の官能基を共存させると、硬化剤を添加しなくても、造膜時にそれらの官能基を反応させて網目構造を形成させることができる。
また、コア部とそれを囲むシェル部からなるコアシェル構造を有するポリマー粒子を使用することも可能である。ここでいうコアシェル構造とは、組成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態を意味する。従って、シェル部がコア部を完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル部のポリマーの一部がコア粒子内にドメイン等を形成しているものであってもよい。更にコア部とシェル部の間に、更に一層以上の組成の異なる層を含む3層以上の多層構造を持つものであってもよい。
ポリマー粒子は、不飽和ビニル単量体(不飽和ビニルポリマー)を重合触媒及び乳化剤を存在させた水中において乳化重合する等の公知の方法により得ることができる。
ポリマー粒子の水性記録用インクにおける含有量は、0.5〜20重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。含有量が0.5重量%未満では、耐擦化性、耐水性向上機能が十分に発揮されないことがあり、20重量%を越えると、乾燥による粘度上昇やポリマー成分の固着により、インクの吐出が安定しなくなり、ノズルの目詰まりが発生してしまうことがある。
前述した無機粒子を有機顔料又はカーボンブラックで被覆した着色剤粒子(複合顔料粒子)は、アニオン性分散剤と共に水に混練分散する際に酸性を示す傾向が強い。水などの媒体に分散している複合顔料粒子の表面は、アニオン系分散剤に包まれているため、負電荷を帯びているが、インク全体が酸性を示すことから、媒体自体は正電荷を帯びており、粒子表面の負電荷が中和され易い状態にある。この状態では分散粒子は凝集し吐出不良を起こす原因となるため、pH調整剤を加えてアルカリ性に保つことにより分散状態を安定化させ、吐出を安定化させることが好ましい。
水性記録用インクのpHは7〜11であることが好ましい。pHが11を超えると、インクジェットのヘッドやインク供給ユニットの材質を溶かし出す量が大きくなり、インクの変質や漏洩、吐出不良等の問題が発生してしまう。
pH調整剤は、顔料を分散剤と共に水に混練分散する際に加えておく方が、混練分散機、湿潤剤、浸透剤等の添加剤と共に加えるよりも好ましい。これは、pH調整剤によっては添加により分散を破壊する場合もあるためである。
pH調整剤としては、例えばアルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。
アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
<カートリッジ>
本発明のカートリッジは、本発明の前処理液を容器内に収容したものであり、必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有する。
容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、プラスチック製容器、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋等を有するものが挙げられる。
具体例としては、例えば後述する図2に示すインクカートリッジと同様の構造のものが挙げられる。
次に、インクカートリッジについて、その一例を示す図2を参照して説明する。
インクは、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置にインクを供給する。インク袋241は、透気性の無いアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、インクカートリッジ240として、各種画像形成装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
また、上記インクカートリッジ240に、インクの代りに前処理液を入れ、前処理液用のカートリッジとして用いれば、インクカートリッジと同様に、各種画像形成装置に着脱可能に装着して用いることができる。
<画像形成装置>
図1に、本発明に係る画像形成装置の一例(第1実施形態)の模式図(側面説明図)を示す。
画像形成装置101は、ヘッドユニット110や排紙機構等を有する印字部Pと、印字部の下に設けられた上段給紙部Qと、該上段給紙部の下に設けられた下段給紙部Rと、下段給紙部Rに添設された塗布機構(前処理手段)S及び前処理液貯留タンク(貯留手段)140とを備えている。また、画像形成装置101は、メンテナンス後に排出される廃液を回収する廃液タンク109、装置を操作し装置状態を表示することができる操作パネル106、装置全体及び各部を統括・制御する制御部(図示せず)等を備えている。
塗布機構Sにより前処理を行う場合には、下段給紙部Rから記録媒体114(例えば印刷用紙)が給紙され、前処理が行われた記録媒体114は、上段給紙部Qを通過して印字部Pへ送られ、印刷処理が行われる。一方、塗布機構Sにより前処理が行われない場合には、上段給紙部Qから記録媒体114が給紙され、その記録媒体114は印字部Pへ送られ、印刷処理が行われるようになっている。
印字部Pは、インクを吐出するインクジェットヘッドを集積したヘッドユニット110K、110C、110M、110Y(吐出手段)と、それぞれのヘッドユニットに対応し、ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニット111K、111C、111M、111Y、インクを供給するインクカートリッジ107K、107C、107M、107Y、カートリッジからのインクを一部貯蔵し、ヘッドに適切な圧力でインクを供給するサブインクタンク108K、108C、108M、108Yと、排紙機構Tとを備えている。
排紙機構Tは、記録媒体114を吸着し搬送する搬送ベルト113、搬送ベルト113が巻回された搬送ローラ119、121、搬送ベルト113が適切な張力を保つようにコントロールするテンションローラ115、搬送ベルト113が適切な平面性を保つためのプラテン124、記録媒体114を吸着するための静電帯電を搬送ベルト113に与える帯電ローラ116、記録媒体を押さえる排紙コロ117、排紙した記録媒体114をストックしておく排紙トレイ104からなる。
上段給紙部Q及び下段給紙部Rはそれぞれ、印写する記録媒体114をストックする給紙トレイ103、給紙トレイより一枚ずつ記録媒体114を送り出す分離パッド112を有し、上段給紙部Qは、送られてきた記録媒体114を搬送ベルト113に確実に吸着させるカウンターローラ123、手差しにて給紙した場合に用いられる手差しトレイ105からなる。
各ヘッドユニット110のノズル列は、記録媒体114の搬送方向に直交するように配列されており、記録領域以上の長さのノズル列を形成している。給紙トレイ103から記録媒体114が分離パッド112により一枚ずつ分離され、カウンターローラ123により搬送ベルト113に密着されることで搬送ベルト113上に固定され、ヘッドユニット110下を通過する際に記録媒体114に液滴を吐出することで、高速に液滴により記録媒体114にパターンニングができ、分離爪(図示せず)により搬送ベルト113から分離され、帯電ローラ116と排紙コロ117により支えられて排紙トレイ104に記録物が排出される。
塗布機構Sは、ローラ塗布を採用している。前処理液貯留タンク140から流路(図示せず)を介して前処理槽130に供給された前処理液135を、空気吹き込み機構(図示せず)により泡立たせた後、汲み上げローラ137でローラ表面に汲み上げられ、膜圧制御ローラ138に転写される。続いて塗布ローラ136に転写された前処理液は、塗布ローラ136と塗布用カウンターローラ139との間に通す記録媒体114に転写され、塗布される。
塗布ローラ136に転写される前処理液の塗布量は、塗布ローラ136と膜圧制御ローラ138とのニップ厚を制御することにより行う。前処理液を塗布したくない時は、塗布ローラ136に前処理液が残らないように、可動ブレード134を塗布ローラ136に押し付け、塗布ローラ表面の前処理液を掻き取ることができる。これにより、前処理液が塗布ローラ136に残留するために発生する、前処理液の乾燥による増粘や、塗布用カウンターローラ139との固着、塗布ムラなどの機能障害を未然に防ぐことができる。なお、空気吹き込み機構を設けずに、液状の前処理液を塗布するようにしてもよい。
次に、画像形成装置の他の実施形態について説明する。
図5に示す第2実施形態の画像形成装置は、第1実施形態の画像形成装置と略同様の構成を備えているが、前処理液貯留タンク140に代えて、酸を含む酸溶液を貯留する酸貯留タンク(酸貯留手段、図示せず)と、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含むポリマー溶液を貯留するポリマー貯留タンク(ポリマー貯留手段、図示せず)とを備えており、塗布機構Sの前処理槽130(混合手段)には、酸貯留タンクから酸溶液が供給されると共に、ポリマー貯留タンクからポリマー溶液が供給され、前処理槽130内で両溶液が混合するようになっている。塗布機構Sは、第1実施形態の塗布機構Sと略同様の構成であるが、膜厚制御ローラ138を省略したものである。第2実施形態の画像形成装置では、酸溶液及びポリマー溶液を酸貯留タンク及びポリマー貯留タンクに分けて貯留しておき、記録媒体表面に前処理が行われる直前に、前処理槽130内で酸溶液とポリマー溶液が混合されるため、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとが、事前に過度に架橋反応を起こすことを防止できる。
図6に示す第3実施形態の画像形成装置は、第1実施形態の画像形成装置と略同様の構成を備えているが、前処理液貯留タンク140に代えて、酸を含む酸溶液を貯留する酸貯留タンク(酸貯留手段、図示せず)と、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含むポリマー溶液を貯留するポリマー貯留タンク(ポリマー貯留手段、図示せず)とを備えている。更に、塗布機構Sは、第1実施形態の塗布機構Sとは異なり、大径の塗布ローラ136と、塗布ローラ136に転接する小径のカウンターローラ139と、塗布ローラ136の上方に臨み、酸貯留タンクに貯留された酸溶液を塗布ローラ136の表面に滴下する滴下ノズルを有する酸溶液滴下機構Uと、ポリマー貯留タンクに貯留されたポリマー溶液を塗布ローラ136の表面に滴下する滴下ノズルを有するポリマー溶液滴下機構Vとを備えている。各滴下ノズルは、塗布ローラ136の軸方向に列設されている。そして、酸溶液滴下機構Uから滴下された酸溶液及びポリマー溶液滴下機構Vから滴下されたポリマー溶液は、塗布ローラ136とカウンターローラ139とのニップ部分において混合して前処理液となり、その前処理液が塗布ローラ136により記録媒体114に塗布される。なお、可動ブレード134は、第1実施形態の可動ブレード134と同様の機能を有しており、その下方には、可動ブレード134により掻き取られた前処理液を受ける受け部材141が設けられている。第3実施形態の画像形成装置では、酸溶液及びポリマー溶液を酸貯留タンク及びポリマー貯留タンクに分けて貯留しておき、記録媒体表面に前処理が行われる直前に塗布ローラ136及びカウンターローラ139により酸溶液とポリマー溶液が混合されるため、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとが、事前に過度に架橋反応を起こすことを防止できる。
図7に示す第4実施形態の画像形成装置は、第1実施形態の画像形成装置と略同様の構成を備えているが、塗布機構S及び前処理液貯留タンク140に代えて、酸を含む酸溶液を貯留する酸貯留タンク(酸貯留手段、図示せず)と、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含むポリマー溶液を貯留するポリマー貯留タンク(ポリマー貯留手段、図示せず)と、酸貯留タンクに貯留されている酸溶液を記録媒体114の表面に噴霧する噴霧ノズルを有する酸溶液噴霧機構W(酸前処理手段)と、ポリマー貯留タンクに貯留されているポリマー溶液を記録媒体114の表面に噴霧する噴霧ノズルを有するポリマー溶液噴霧機構X(ポリマー前処理手段)と、酸溶液噴霧機構W及びポリマー溶液噴霧機構Xの各噴霧ノズルに対し、記録媒体114を搬送する搬送機構(図示せず)とを備えている。そして、搬送機構により搬送される記録媒体114の表面に対し、ポリマー溶液噴霧機構X及び酸溶液噴霧機構Wからポリマー溶液及び酸溶液が順次噴霧されるようになっている。もちろん、酸溶液及びポリマー溶液の順で噴霧してもよいし、酸溶液及びポリマー溶液が各箇所に同時に噴霧されるようにしてもよい。第4実施形態の画像形成装置では、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとを別々に用いて、記録媒体表面に前処理が行われるため、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとが、事前に過度に架橋反応を起こすことを防止できる。
上記ローラ塗布以外に、前処理液をインクジェット方式でスプレー塗布することも可能である。例えば、110kと同様のヘッドに前処理液を充填し、インクと同様に記録媒体114へ吐出させることができ、吐出量や吐出位置の制御を高精度でかつ容易に行うことができる。
何れの方式を用いても前処理液を任意の位置に任意の量だけ塗布することができる。
本発明によれば、水性記録用インクを用いて記録媒体に記録する際に、画像の定着性を向上させることができ、更には高画像濃度・高画質も得ることができる前処理方法、前処理液、これを利用したカートリッジ及び画像形成装置を提供できる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1〜9、比較例1〜10
表1−1、表1−2に示す処方の材料を混合して調製した各実施例及び比較例の前処理液に空気を吹き込み泡立たせた後、小林製作所社製のワイヤーバー(巻線径:0.02mm)を用いて、記録媒体(リコー社製の乾式PPC用紙 マイペーパー)へ均一に塗布した。
次いで、画像形成装置(リコー社製のIPSIO GX5000)により前記記録媒体へ、ある所定画像に従って、印字速度30rpmで、水性記録用インクを吐出させ、印刷サンプルを得た。水性記録用インクにはリコー社製:GXカートリッジ シアンGC21CSを用いた。このインクには(メタ)アクリル酸エステルとスチレンの共重合体が含まれている。
なお、表1−1、表1−2中の材料欄の数値は重量%を示し、各材料には以下のものを用いた。
・エタノール:関東化学社製
・乳酸:和光純薬工業社製
・フッ素系界面活性剤:旭硝子社製サーフロンS−111
・水溶性オキサゾリン基含有ポリマー1:日本触媒社製エポクロス K−2030E
・水溶性オキサゾリン基含有ポリマー2:日本触媒社製エポクロス WS−700
上記各印刷サンプルについて、以下の方法により諸特性を評価した。
評価結果を表1−1、表1−2に示す。また、図3に酸1molに対するオキサゾリン基のmol数と転写濃度の関係を、図4に酸1molに対するオキサゾリン基のmol数とドット径の関係を示す。図3、図4の何れも、左から順に、実施例1、3、4、5、6、7、8及びmol数が1.36の場合(参考例)についてプロットしたものである。

〔画像濃度〕
印刷サンプルのベタ部を、X−Rite社製の分光測色濃度計(939)で測定した。
数値が大きい方が良好である。
〔転写濃度(定着性)〕
印刷サンプルのベタ部を、東洋精機製作所社製のクロックメーターに布を貼り付けて擦り、擦化後の布へのインクの転写濃度を、X−Rite社製の分光測色濃度計(939)で測定した。転写濃度が小さいほど、画像の定着性が良好である。
〔ドット径(μm)〕
印刷サンプルについて、キーエンス社製のデジタルマイクロスコープ:VHX−200で画像を撮影し、次いで、ドット径解析ソフトによってN(サンプル数)=20の平均値を算出した。ドット径が大きい方が良好である。
実施例10〜15
〔固化試験〕
実施例1で用いたのと同じ乳酸及び水溶性オキサゾリン基含有ポリマー2を混合し、その混合溶液をスライドガラス上に載せて1昼夜放置した後、スライドガラスを傾けて混合溶液の流動性を判定した。固化レベルの評価基準は次のとおりである。結果を表2に示す。なお、表2中の材料欄の数値は重量%である。
○:流動性有り
△:幾分流動性が見られる
×:流動性無し
Figure 2010131779
Figure 2010131779
Figure 2010131779
表1−1、表1−2から判るように、インク中にカルボキシル基含有樹脂を含む場合において、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを用いて、記録媒体表面を前処理した実施例1〜8と、前処理を行わない比較例1、並びに酸及び水溶性オキサゾリン基含有ポリマーの片方だけを用いて前処理した比較例2〜9とを比べると、実施例1〜8では、画像濃度、転写濃度、ドット径の何れも満足できる結果が得られたのに対し、比較例1〜9では、画像濃度、転写濃度及びドット径の少なくとも1つが劣っていた。すなわち、酸だけを用いた場合(例えば比較例2)には、転写濃度が高くドット径も小さくなった。他方、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーだけを用いた場合(例えば比較例8)には、画像濃度が低くなった。
同様に、インク中にカルボキシル基含有樹脂を含まない場合においても、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを用いて記録媒体表面を前処理した実施例9と、酸だけを用いて前処理した比較例10とを比べると、実施例9では、画像濃度、転写濃度、ドット径の何れも満足できる結果が得られたのに対し、比較例10では、転写濃度及びドット径が劣っていた。
また、表2から判るように、前処理液の固化を防止するためには、酸1molに対して水溶性オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基のmol数を0.5mol以下とすることが好ましい。
本発明に係る画像形成装置の一例(第1実施形態)の模式図(側面説明図)。 本発明のインクカートリッジのケース(外装)も含めた概略図。 酸1molに対するオキサゾリン基のmol数と転写濃度の関係を示す図。 酸1molに対するオキサゾリン基のmol数とドット径の関係を示す図。 本発明に係る第2実施形態の画像形成装置を示す図。 本発明に係る第3実施形態の画像形成装置を示す図。 本発明に係る第4実施形態の画像形成装置を示す図。
符号の説明
P 印字部
Q 上段給紙部
R 下段給紙部
S 塗布機構
T 排紙機構
U 酸溶液滴下機構
V ポリマー溶液滴下機構
W 酸溶液噴霧機構
X ポリマー溶液噴霧機構
101 画像形成装置
103 給紙トレイ
104 排紙トレイ
105 手差しトレイ
106 操作パネル
107K インクカートリッジ
107C インクカートリッジ
107M インクカートリッジ
107Y インクカートリッジ
108K サブインクタンク
108C サブインクタンク
108M サブインクタンク
108Y サブインクタンク
109 廃液タンク
110K ヘッドユニット
110C ヘッドユニット
110M ヘッドユニット
110Y ヘッドユニット
111K メンテナンスユニット
111C メンテナンスユニット
111M メンテナンスユニット
111Y メンテナンスユニット
112 分離パッド
113 搬送ベルト
114 記録媒体
115 テンションローラ
116 帯電ローラ
117 排紙コロ
118 プラテンローラ
119 搬送ローラ
120 吸引ファン
121 搬送ローラ
122 分離パッド
123 カウンターローラ
124 プラテン
130 前処理槽
134 可動ブレード
135 前処理液
136 塗布ローラ
137 汲み上げローラ
138 膜圧制御ローラ
139 塗布用カウンターローラ
140 前処理液貯留タンク
141 前処理液の受け部材
240 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース

Claims (13)

  1. 水性記録用インクの吐出前に、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーとを用いて、記録媒体表面を処理することを特徴とする前処理方法。
  2. 前処理後に吐出する水性記録用インクが、カルボキシル基含有樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の前処理方法。
  3. 水溶性オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基の総量が、酸1molに対して、0.01〜0.5molであることを特徴とする請求項1又は2に記載の前処理方法。
  4. 酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーの混合液を用いて記録媒体表面を処理するものであって、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーの混合を、記録媒体表面を前処理する直前に行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の前処理方法。
  5. 酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを別々に用いて、記録媒体表面を処理することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の前処理方法。
  6. 酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーに加えて、界面活性剤を含む前処理液を用いて処理することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の前処理方法。
  7. 水性記録用インクを用いて記録媒体に記録する前に、その表面を処理するための前処理液であって、酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含むことを特徴とする前処理液。
  8. 酸と水溶性オキサゾリン基含有ポリマーに加えて、界面活性剤を含むことを特徴とする請求項7に記載の前処理液。
  9. 前処理液中の水溶性オキサゾリン基含有ポリマーのオキサゾリン基の総量が、酸1molに対して0.01〜0.5molであることを特徴とする請求項7又は8に記載の前処理液。
  10. 請求項7〜9の何れかに記載の前処理液を容器内に収容したことを特徴とするカートリッジ。
  11. 水性記録用インクの吐出手段と、酸及び水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを貯留する貯留手段と、吐出手段による水性記録用インクの吐出前に、酸及び水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを用いて、記録媒体表面を処理する前処理手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
  12. 貯留手段は、酸を含む酸溶液を貯留する酸貯留手段と、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含むポリマー溶液を貯留するポリマー貯留手段とを有し、更に、酸溶液及びポリマー溶液を混合して前処理液とする混合手段を備え、前処理手段は、前処理液により記録媒体の表面に対して前処理を行うものであることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 貯留手段は、酸を含む酸溶液を貯留する酸貯留手段と、水溶性オキサゾリン基含有ポリマーを含むポリマー溶液を貯留するポリマー貯留手段とを有し、前処理手段は、酸溶液により、記録媒体の表面に対して前処理を行う酸前処理手段と、ポリマー溶液により、記録媒体の表面に対して前処理を行うポリマー前処理手段とを有することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
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