JP2010129791A - 低インピーダンス損失線路構造 - Google Patents

低インピーダンス損失線路構造 Download PDF

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弘和 遠矢
Norihisa Tooya
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Abstract

【課題】数メガヘルツから10ギガヘルツ程度の帯域において非常に低いインピーダンスと非常に高いフィルタ性能を有する低インピーダンス損失線路構造を実現して理想的な電源分配回路を提供することによって、電磁干渉問題を低減し、高速ディジタル回路の安定動作を実現する。
【解決手段】
例えば銅箔から成る電極層41、49と、例えば銀ペースト層から成る導電性金属粉ペースト層42,48と、例えばポリチオフェン層またはポリチオフェン層とカーボングラファイト層から成る半導体層43,47と、化成エッチング層44,46と、例えばアルミニウムから成る弁作用金属化成箔45と、電源端子部50と、グランド端子部51とで構成される低インピーダンス損失線路構造が、端子形成部分50および51を残して外装樹脂によって封止された後、電源端子およびグランド端子が整形されて、低インピーダンス損失線路部品が形成される。
【選択図】 図10

Description

本発明は、低インピーダンス損失線路構造に関し、特に、高速スイッチング素子を使用する、情報技術装置やディジタルデータ通信機器、並びに高周波DC−DCコンバータ等の電力変換器に使用し、小型軽量化が可能で、直流電源分配回路に適用することによって、電力変換効率、信号品位(シグナルインテグリティ)、および電磁環境適合性(EMC)を向上させることが出来る、低インピーダンス損失線路構造に関する。
近年、コンピュータを初めとするディジタル回路システムの高性能、小型化の要求が強い。ディジタル回路システムを構成するトランジスタの高速化は、高性能化や小型化に効果があるが、電磁ノイズや消費電力が増えると考えられて来た。
IECにおいては、情報技術装置やマルチメディア機器を対象に新たなEMI規格であるCISPR32の制定に向けた作業が進んでいる。ここでは、装置または機器からの放射妨害波について320[MHz]から6[GHz]まで、電源ラインおよび通信線による伝導妨害波について150[kHz]から30[MHz]までが規制の対象となる。許容値は従来の情報技術装置向けのCISPR22と同様であるが、適用対象がディジタル家電を含むマルチメディア機器まで拡大される。
一方、半導体技術の先端を進む半導体集積回路においてはトランジスタの高速化が進んでいる。国際半導体技術ロードマップ (The International
Technology Roadmap For Semiconductors :ITRS)によると、2007年のテクノロジノードにおける高性能MPUのPチャネル型電界効果トランジスタの最小上昇時間(ゲートディレー)は0.64[ps](ピコ秒)であり、電源電圧は1.1[V]である。
電磁気学によると、回路の状態には活性状態(exited states)、定常状態(stationary states)および、実用上は定常状態と見なせる準定常状態(quasi
stationary states)が存在する。活性状態とは、回路上の電界と磁界が変化または振動している状態であり交流回路はその一例である。振動する電界と磁界は電磁波となって絶縁体中を進行する。該絶縁体が真空空間の場合は、電磁波は光速で進行する。
定常状態とは、回路上の電界と磁界が静止している状態であり直流回路はその一例である。準定常状態とは、電界と磁界が電磁波となって回路上を進行するが、電磁波の波長が回路長に対して非常に長いため、電磁放射が無視できる程度であり回路内での電磁波の挙動が強弱振動だけと見なすことが出来る状態である。低周波アナログ回路や、およそ1[ns]以上の立ち上がり時間を有するトランジスタと10[cm]以下の長さの配線で構成される回路は、実用上、準定常状態と見なすことの出来る回路の一例であるとされて来た。
電磁気学によると、活性状態にある回路の電流はアンペールの法則として定義され次式で示される。
電磁気学によると、電位Vは、電界の及ばない無限遠から導線の一点までの電界の積分値と定義されるが実用的にはグランド面から導線の一点までの電界の積分値として、また、電界Eは電位Vの傾きとしてそれぞれ次式から求められる。
マックスウエルは、磁界に関する理論と電界に関する理論を融合したマックスウエルの方程式を1873年に発表し、続いてこの式をダランベールの波動方程式の形式に変形し、ベクトル波動方程式を導出した。マックスウエルは、1862年頃から主張していた、電磁波と光はともに光速で伝搬することをこの式を用いて理論的に証明し、線形電磁波理論(以下電磁波理論)を完成させ、これにより電磁気学が完成した。ヘルツは、1887年に、実験によって電磁波の存在を実証し、マックスウエルの電磁波理論の正しさを証明した。
電磁気学によると、時間的に変化する電界と磁界は相互に作用しつつ横波となって空間または誘電体中を伝搬する。真空中を伝搬する電磁波の速度は光速である。伝搬する電磁波はポインチングベクトル理論に従って電力を伝搬する。空間を伝搬する電磁波は、周期および極性が一致し振幅ベクトルが進行方向に対して直交する電界波と磁界波とから構成される。この状態の電磁波はTEM(transverse electromagnetic)波と呼ばれる。TEM波を構成する電界波の振幅を磁界波の振幅で割った値は波動インピーダンス(surge
impedanceまたはwave impedance)と呼ばれる。伝搬する電磁波はポインチングベクトル理論に従って電力を伝搬する。
電磁気学によると、電磁波は空間だけでなく媒体中も進行する。損失のない誘電体中を進行する電磁波の速度は、光速に対して比誘電率の平方根だけ遅くなり、波長は比誘電率の平方根だけ短くなる。後者は、波長圧縮と呼ばれる。
電磁気学によると、損失のある媒体中を進行する電磁波は、次式で示される減衰定数γに従い、進行に伴って振幅が減少し位相が変化する。
式(3)において、γの実数項であるαは減衰定数、γの虚数項であるβは位相定数と呼ばれる。αは、nep/m(ネパー/メートル)の単位で表される。1 [nep/m]は、1メートル進行して振幅がexp−1または0.368倍に減衰することを意味する。
電磁気学によると、式(3)中のγ 2を変形して得られる次式の括弧の項は、損失のある誘電体に関する複素誘電率と定義され、虚数部(σ/εω)を実数部(εr)で割った値を誘電体損失の正接と呼び、tanδで表す。但し、tanδは、電磁気学上、深い意味を持たない。
電磁波が導体中を進行する場合は、導体中では電磁波に作用する電荷は存在せず導電率σは ωεに比べて非常に大きいので、γは次式で表される。次式中における減衰定数α の逆数であるδは、表皮厚さと呼ばれる。
電磁気学によると、導体中を進行する電磁波の電界と磁界の比である固有インピーダンスZは、損失のある媒体中の固有インピーダンスにおいて導電率σがωεに比べて非常に大きいとして、次式で与えられる。
回路上の電界と磁界が変化または振動している活性状態または準定常状態においては電磁波理論が回路を支配し、この場合は導体中を電磁波が進むことは困難である。しかし回路上の電界と磁界が静止している定常状態においては、導体中を電荷の移動による電流が流れることが出来る。
物理学によると、導体中には無尽蔵に近い自由電子すなわち電荷が存在する。直流電源に静的負荷が接続されている場合は導体中の電荷の移動による電流が流れるが、一般に、電荷の移動軸方向にはわずかな電界しか印加されないので、電荷の平均移動速度は極めて遅い。
例えば、1平方ミリメートルの断面を有する銅線中を導体中の電荷の速度(dq/dt)で定義される10アンペアの電流が進行しているときの電流の進行速度は、物理学に従って計算すると常温で0.368[mm/s]となる。導体中の電荷は、遅いながらも移動は可能であるので、導体の他端で定常的に電荷が消費される際に導体の一端から同量の電荷が定常的に供給されれば、導体の他端に接続される抵抗器等の定常負荷へのエネルギー供給が支障なく行われる。
伝送線路上の電気信号の進行を扱うのが電気通信工学である。電気通信工学によると、直流的に絶縁された2本の導体間に電気信号を与えると、電気信号は電流波と電圧波となって伝送線路を進行するとしている。
電気通信工学では、交流回路理論と同様に、電流を導体中の電荷の平均速度(dq/dt)すなわち導体電流としている。しかし、電磁気学の基礎を成すマックスウエルの方程式においては、導体電流は、時間の関数ではない電流密度Jに対応させている。
交流回路理論や電気通信工学が電流をdq/dtと定義しているのは以下の理由によると考えられる。交流回路理論を支える重要な法則の一つであるキルヒホッフの法則が発表されたのが1845年で、マックスウエルが電磁波の存在を理論的に証明しヘルツによって実験で電磁波の存在が確認される42年前である。また、電気通信工学を支える重要な理論の一つである電信方程式が開発されたのが1874年で、同様に電磁波の存在が確認される13年前である。従って、交流回路理論および電気通信工学が実用化された当時は、回路の作用を電磁波の作用とする考え方がそもそも存在していなかった。さらに、その後も理論の修正が行われなかった。
電気通信工学の基礎を成す電信方程式において、導体電流が光速で流れることが出来るとしている根拠となっているのはダランベールの波動方程式である。ダランベールの波動方程式では、波動の主体をスカラー量のラプラシアンとするベクトル関数で表現し、波動の主体を特定していない。導体電流が導体間電圧とともに波となることが、電気回路を支配する電磁気学と整合していなので、電圧と電流に関する回路方程式をダランベールの波動方程式に対比させて得られる電信方程式は、電磁気学とは無関係であり、また電磁気学に整合していないことになる。
電流の定義が電磁気学に整合していないとなると、線路の電圧や、インピーダンス、電磁波との関係、さらには伝送損失に関しても電磁気学と矛盾する事態が生じる可能性がある。電気通信工学にはこのような問題が内在するが、歴史が古く伝送線路設計への豊富な適用実績を背景に、従来通りの連続波を対象とする伝送線路設計では電磁気学との矛盾が顕在化しないよう、工夫が施されている。
スイッチング波またはディジタル波のような間欠波を対象とする伝送線路設計においても電気通信工学に基づくと効率的であると言う考え方が支配的である。しかし電気通信工学のディジタル回路への実用実績が少ないため、電磁気学と対比しつつ慎重に設計や解析を行わないと、電磁気学との前記矛盾が顕在化する可能性がある。
電磁気学によれば、絶縁された2本の導体で構成される伝送線路に印加された電磁波は、TEMモードとなって準光速で進行する。絶縁が真空であれば進行速度は高速となる。このとき伝送線路で観測される電流や電圧は、それぞれ式(1)および式(2)から求められ、実態は伝送線路の導体ではなくて絶縁体中を進む電界波と磁界波である。電気通信工学によると、伝送線路上のTEM波を構成する電界波の振幅を磁界波の振幅で割った値が、特性インピーダンスである。
電磁気学と電気通信工学によると、伝送線路上を進行する信号の挙動は、伝送線路の特性インピーダンスと伝搬定数によって決まる。平板導体や絶縁体の材料特性は、伝送線路の特性インピーダンスに対して実用上ほとんど影響を及ぼさない。
電気通信工学によると、誘電体の厚さをh[m]、平板の幅をW [m]、真空中の誘電率と透磁率をそれぞれε、μ、誘電体の誘電率をεとすると、並行平板線路の特性インピーダンスZは次式で求められる。
電気通信工学によると、実用的なマイクロストリップ線路ならびに平行板線路の特性インピーダンスは次式から求めることが出来る。
電気通信工学によると、既知の特性インピーダンスZを有する伝送線路を通して未知の特性インピーダンスZを有する伝送線路に電磁波を注入したときの、
前記二つの伝送線路の接続点における反射係数S11は、次式で表される。
電気通信工学によると、反射係数がS11である、線路間の透過係数S21Γは、次式で表される。
電気通信工学によると減衰定数α1を有する損失線路の透過係数S21αは、次式でされる。
電磁気学によると、実用的な伝送線路の減衰定数は、電磁波が損失のある誘電体内を進行するときの減衰と、電磁波が誘電体内を進行する過程でその一部が導体内に侵入して熱になる導体損と、伝送線路外に漏れ出る放射損との和となると考えることが出来る。
高速ディジタルデータ通信機器の配線設計は電気通信工学に従って行われている。しかし、電気通信工学は正弦波等の連続波を扱う伝送線路設計には適するが、前述のようにディジタル信号のような間欠波を扱う伝送線路設計には、電磁気学との矛盾があり適さない。
交流回路理論や電気通信工学では、直流電源は、回路への電荷の供給源と考えられている。
電磁気学によると、マックスウエルは、単位(試験)点電荷に働く力の原因は、電荷ではなくて、位点電荷の存在する場所における電界にあるとし、クーロンの法則を修正した。従って、直流電源を、回路への電荷の供給源と考えることは誤りであり、電界による静電エネルギーの供給源と考えなければならない。
修正された電磁気学によると、電界にによる静電(electrostatic)エネルギーwは、次式で表される。
このように、静電エネルギーwは電荷が持っているのではなくて電界Eと電束密度Dの積または電界Eとして媒質に蓄積していることになる。
なお、電圧Vが印加された容量Cのコンデンサに蓄積されている静電エネルギーwは、電極距離をd、電極面積をSとすると、次式で表される。
電磁気学によると磁界に関する静磁気(magnetostatic)エネルギーwは磁界と磁束密度の積として媒質に蓄積しているとされ、次式で表される。
電流Iが印加された誘導Lのリアクトルに蓄積されている静磁気エネルギーwは、リアクトルの磁路長をl 、磁路の断面積をSとすると、次式で表される。
非特許文献4および非特許文献5に示される孤立電磁波コンセプトによると、半導体集積回路内のトランジスタは、スイッチングの瞬間に、非線形波動またはソリトンの一種である孤立電磁波を励起する。ディジタル回路システムを構成する回路モジュール内のトランジスタも同様である。
トランジスタのスイッチング動作時の孤立電磁波の励起メカニズムは、1834年にJohn Scott Russell がソリトンを発見する際に行った種々の実験の内の水を貯めた水門(ゲート)を急に開くことによって生じたソリトンの発生メカニズムや、ソリトンの一種であると確認されている津波の生成過程に極めて類似している。
前記孤立電磁波コンセプトによると、トランジスタがオフからオンにスイッチングする瞬間に、トランジスタの電位が前記直流電源の電圧を電源線路と信号線路の特性インピーダンス分割した値になる。従って、電源線路には電圧を分割電圧まで下げる極性の孤立電磁波が、信号線路には電圧を分割電圧まで上げる極性の孤立電磁波がそれぞれ同時に励起され、電磁波理論に従い、互いにその振幅ベクトルが直交する孤立電界波と孤立磁界波を伴って伝送線路上を進行する。
図1は、インバータに関する等価回路の一例である。
図1において、特性インピーダンスZ0の伝送線路の途中にインバータ1が接続されており、特性インピーダンスZ0の伝送線路5は直流電源4とインバータ1との間に接続されて電源線路を構成し、特性インピーダンスZ0の伝送線路6はインバータ1と整合終端抵抗7との間に接続されて信号線路を構成している。インバータ1は、PチャネルMOSFET2とNチャネルMOSFET3によるコンプリメンタリー構成である。
図1において、インバータ1のオン状態とは、PチャネルMOSFET2がオンでNチャネルMOSFET3がオフの状態であり、インバータ1のオフ状態はその逆である。伝送線路を進行するTEM波に関する磁界と電流の関係および電界と電位の関係は、電磁気学においてそれぞれアンペアの法則および電位の定義として示される。
図2は、線路上の電源側の電位波形と電界波形の一例である。図3は、線路上の抵抗側の電位波形と電界波形の一例である。
図2は、インバータ1がオン時の伝送線路6上の電位波形9と、電磁気学に示される電位の定義から逆算して求められる伝送線路6上を進む電界波形8とを示す。図3は、インバータ1がオン時の伝送線路5上の電位波形11と、電磁気学に示される電位の定義から逆算して求められる電源側の伝送線路5上を進む電界波形10とを示す。
図2および図3に示すように、インバータ1のスイッチングによって生じる電界の波形は、トランジスタの立ち上がり波形の最大傾斜部の接線を立ち上がり波形と見なして求める立ち上がり時間と円周率との積の逆数として求められる周波数で定義される実効周波数(significant frequency)を有する正弦波の半波形に近似している。実効周波数の考え方を引用すると、前記近似の確かさ(accuracy)は、92%以上と見込まれる。従って、設計だけに限ると実用上、実効周波数で行うことが出来る。
図1から図3において、インバータ1がオンすると、図1中のB点とC点の電位は等しくE/2[V]となる。インバータ1によって励起された、お互い逆極性を有する伝送線路6上を進む孤立電界波8と伝送線路5上を進む孤立電界波10は、それぞれインバータ1に対して反対方向に進む。伝送線路6上を進む孤立電界波8は、伝送線路6の電位を0[V]からE/2[V]に上昇させつつ進み、整合終端抵抗7に向かう。一方、伝送線路5上を進む孤立電界波10は、伝送線路5の電位をE[V]からE/2[V]に降下させつつ直流電源4に向かって、それぞれ伝送線路を構成する絶縁体中を準光速で進行する。
前記孤立電磁波コンセプトによると、伝送線路上を進行する孤立電磁波の波長は次式で定義される。
従来の電源デカップリング回路または回路部品については、下記の特許文献や非特許文献に記載されている。その要点は後述される。
特開2002−260965(P2002−260965A) 特開2005−294449(P2005−294499A) 特開2007−42732(P2007−42732A) 特開2002−164760(P2002−164760A) 特開2004−048650(P2004−048650A) Hirokazu Tohya andNoritaka Toya著 「A Novel Design Methodology of the On - Chip Power DistributionNetwork Enhancing the Performance and Suppressing EMI of the SoC」、IEEEInternational Symposium on Circuits and Systems 2007、 pp. 889-892、 May 2007. 遠矢弘和、遠矢紀尚 著 「SoCの性能とEMCを大きく改善するオンチップ電源分配回路の新しい設計法」、電子情報通信学会 信学技報、Vol.107、No.149、 EE2007-20、pp.73-78、2007年7月. Stephan Kirchmeyer and KnudReuter著 「Scientific importance, properties and growing applications of poly(3,4-ethylendioxythiophene)、TheRoyal Society of Chemistry、Journal of Materials Chemistry.、2005、pp. 2077-2088、2005.
解決しようとする問題点の第1は、特許文献1に関する。特許文献1は、簡便な製造工程で、良好な特性を有する固体電解コンデンサを得ることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供するために、固体電解質層に関する詳細な製法を開示している。しかし、改良の目的がESRの低減であり、開示されている技術によって、コンデンサに期待されている理想電源の機能に近づけることは不可能であった。
解決しようとする問題点の第2は、特許文献2に関する。特許文献2は、静電容量及び耐圧の向上と、小型大容量化を可能とした固体電解コンデンサの製造方法を提供するために、固体電解質層に関する詳細な製法を開示している。しかし、改良の目的が静電容量及び耐圧の向上と、小型大容量化であり、開示されている技術によって、コンデンサに期待されている理想電源の機能に近づけることは不可能であった。
解決しようとする問題点の第3は、特許文献3に関する。特許文献3は、大容量、低ESR、高信頼性である固体電解コンデンサを提供するために、セパレータを含む固体電解質層に関する詳細な製法を開示している。しかし、改良の目的が大容量、低ESR、高信頼性であり、開示されている技術によって、コンデンサに期待されている理想電源の機能に近づけることは不可能であった。
解決しようとする問題点の第4は、特許文献4に関する。特許文献4は、10[kHz]から1[GHz]間での帯域で使用する分布定数型ノイズフィルタの形成法を示している。該分布定数型ノイズフィルタは導体が対向する公知の伝送線路構造から形成されており、半導体層の存在は示されていない。該分布定数型ノイズフィルタの長さは、電子部品から発生する高周波の1/4波長以上の長さとなるように設定するとしているが、たとえば100[MHz]の高調波すなわち正弦波の1/4波長は大気中で75[cm]、この文献で絶縁体として使用している酸化アルミニウムの場合は、比誘電率が約8.5であるので26[cm]となり、通常の電子・電気機器に使用するには長すぎる。
また、線路の入力インピーダンス特性は、反射係数(S11)の測定値または同等の電磁界シミュレーション値から求めるべきところを透過係数(S21)から求めるという電磁気学上の誤りを犯しているのでこのデータの信頼性は無い。分布定数回路形成部が固体電解コンデンサまたは電気二重層コンデンサであるとしているが、コンデンサは集中要素(定数型)モデルの素子であって、分布定数型線路構造とは電磁気上、異なる。特許文献4は、以上のような、理論的な誤りに基づいているので、開示されている技術によって、高周波特性に優れた低インピーダンスの分布定数型ノイズフィルタを実現することは不可能であった。
解決しようとする問題点の第5は、特許文献5に関する。特許文献7は、表面に複数の突起または凹凸を有する導体が対向する公知の伝送線路構造から形成されている。高速化、高周波数化に適した平行平板線路型素子を提供するために、電極の構造を詳細に示しているが、使用する材料の物理定数が示されていない。従って期待する透過係数(S21)をどのようにして実現するかが不明である。また、電源デカップリング素子には低インピーダンスが必要とされるが、低インピーダンスとするための技術が開示されていない。従って開示されている技術によって、コンデンサに代わって、ノイズフィルタ用バイパス素子や電源デカップリング用素子として用いられる高速化、高周波化に適した平行平板線路型素子を実現することは不可能であった。
非特許文献1および非特許文献2は本特許の理論的な根拠を成す重要文献であるがすでに詳述した。非特許文献3も本特許の理論的な根拠の一つである。非特許文献3は、ナノサイズの粒子にしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレン・スルホン酸の錯体の例が示されている。このように薬品メーカからナノサイズの固体電解質材料が供給されれば、これを使用する部品メーカ等での化学重合反応工程が不要になる。非特許文献3に示されるような化学メーカの努力により、1000 [S/m]以上の導電率を有するナノサイズの固体電解質材料が商品化されつつある。
電磁気学の定義に従うと、ディジタル信号処理回路の多くは準定常回路に該当すると考えられ、設計には交流回路理論が使用されている。準定常状態の回路は電磁波理論が支配しているが、回路を電磁干渉が存在しない定常と見なして設計や解析しても実用上の誤差が少ないということを意味する。
ディジタル信号処理回路において、トランジスタのスイッチング速度が向上すると電磁ノイズが増加し、その対策は非常に難しいとされている。スイッチング周波数が高くなると小型軽量化が計られることはよく知られているが、電磁ノイズの増加が、ディジタル回路システムの高周波化を妨げている大きな要因の一つとなっている。
定常回路を扱う交流回路理論では、電磁波である電磁ノイズの干渉問題を解決することは不可能である。従って、トランジスタの高速化に伴って発生する電磁ノイズ問題を解決するためには、ディジタル回路システムを構成する配線の設計において、配線の長さにかかわらず電磁波理論を適用する必要があることになる。
電気・電子回路には、電磁干渉を抑制する等の目的で多くのコンデンサが使用されている。コンデンサは、1875年にドイツ人のクライスト(Ewald George von Kleist)
によって発明されたが、その後、原理的な変更がなされないままで電気電子機器に使用されてきた。
最近のディジタル化に伴って機器でのコンデンサの使用数が増加し続けている。例えばパーソナルコンピュータ(PC)のマザーボードにおいては、500個から1000個のコンデンサが使用され、半導体集積回路パッケージやチップ上にも多くのコンデンサが搭載または形成されており、その使用数は増える傾向にある。
一般に、コンデンサの機能は、交流回路理論に従って電荷の蓄積とされている。また、直流電源は交流回路に電荷を供給すると考えられている。特に半導体メーカは、コンデンサからの電荷の供給が半導体集積回路の安定動作に必須であると考えている。従って、コンデンサは、電荷蓄積または放出性能を高めるために、おおむね絶縁体に対向する電極の形状は正方形または円形であって、対向する電極の全面または中心部に一対の回路接続用端子が備えられている。
一方で、電気・電子回路に使用されているコンデンサの多くは、ディジタル信号処理回路が発生する電磁ノイズを電源分配回路でデカップリング(減結合)するためにも使用されている。以上の理由から、ディジタル回路システムにおいては、コンデンサのほとんどが電源分配回路に搭載され、回路に並列に接続されている。
コンデンサの機能を電荷の蓄積とする考え方は、前述のようにマックスウエルによって否定され、完成された電磁気学においては、コンデンサの機能は電束密度または電界の蓄積と修正されている。従って、交流回路理論を学んだ回路設計技術者が信じる、コンデンサからの電荷の供給が半導体集積回路の安定動作に必須であるという考え方は、全くの誤りであることが判る。
次に、コンデンサに期待されている電源分配回路におけるデカップリング効果について検証を試みる。ここで言うデカップリング効果とは高域の電磁波を遮断し電源供給に必要な直流または低周波域を透過させる効果であるので、デカップリングは、ロウパスフィルタリングと言うことが出来る。コンデンサは周波数に比例してインピーダンスが小さくなると考えられるので、コンデンサを閉回路間に並列に接続すると、キルヒホッフの法則に従い、閉回路間での高周波分離が可能となるとされている。一方、低周波ではコンデンサの作用は電束密度または電界の蓄積のみとなる。
電気通信工学によると、線路に並列に接続されたときのコンデンサのインピーダンスは、測定系がZの特性インピーダンスを有するネットワークアナライザでS21を測定することによって次式から求められるとされている。
これは、コンデンサを線路に並列に接続する場合は、式(11)における線路長zがゼロとなり、透過係数S21と反射係数S11が比例関係となるためである。なお、測定されるS21の値は周波数が高くなると1よりかなり小さくなる。またZは通常50[Ω]である。この場合は、式(17)は簡略化できて、Z=25S21となる。
式(17)にS21の測定値を代入することによって、市販されているコンデンサのインピーダンスの周波数特性を求めるとV字型の特性曲線となる。すなわち、実際のコンデンサにおいては、直列共振点と呼ばれるインピーダンスが最小となる周波数までは周波数に比例してインピーダンス値が減少するが、直列共振周波数以上ではインピーダンスが周波数に比例して増加する特性を示す。
このような特性になる理由は、従来、コンデンサにはリード線、端子、および電極があり、この部分が等価直列インダクタンス(ESL)として作用し、周波数が高くなるほど電流が流れにくくなるためであるとされている。さらに前記直列共振点のインピーダンスは、誘電体損失やリード線、端子、および電極の抵抗等で構成される等価直列抵抗(ESR)によって決まると考えられている。
しかし、コンデンサを線路に並列に接続してデカップリング効果を発揮させる場合のコンデンサの周波数特性についての上記解釈は、電磁気学に照らすと誤りであることが判る。すなわち、この場合のコンデンサは伝送線路を進行する電磁波に作用させるために使用されているにもかかわらず、デカップリングコンデンサの周波数特性についての上記解釈は、定常または準定常状態における電磁気学の理論に基づいている。また、等価直列抵抗で想定している抵抗は、オームの法則に従う素子であり電磁気学とは関係無い。
コンデンサを線路に並列に接続してデカップリング効果を発揮させるのであれば、コンデンサのインピーダンスは、線路中を進行する電磁波の電界と磁界の比で決める必要がある。しかし、線路に並列に接続されるコンデンサは2端子であるので線路としての長さはゼロである。従って、線路に並列に接続されたコンデンサのインピーダンスは理論上存在しないことになる。
長年続けられてきたコンデンサに対する、直列共振点と呼ばれるインピーダンスが最小となる周波数以上におけるインピーダンス特性を改善するための各種改良は、以上から、そのほとんどが的を射ないものであったと考えることが出来る。すなわち、ESLを小さくするためにサイズを出来るだけ小さくする。リード線、端子、および電極には導電性の高い材料を使用する。誘電体損を出来るだけ小さくする等は、電磁波が進行する線路のデカップリングにはほとんど効果が無い。等価直列抵抗(ESR)が小さすぎるとQファクタが大きくなりかえって電磁ノイズが増えることがあるという理由で、近年、リード線、端子、および電極に導電性が比較的低い材料を使用し誘電体損をやや大きくしたコンデンサが実用化されているが、同じ理由で、電磁波が進行する線路のデカップリングにはほとんど効果が無い。
さらに、コンデンサによる低インピーダンス化についての考え方にも誤りがある。コンデンサを多数並列に接続することによって回路のインピーダンスが低くなると言う考え方があり、広く信じられている。この考え方は、定常または準定常回路を想定したキルヒホッフの法則が成り立つ場合に有効であるが、キルヒホッフの法則が成り立たない、電磁波が進行する線路では無効である。このような場合にインピーダンスを低くする方法は、伝送線路構造とした上で特性インピーダンスを低くする以外に無い。
コンデンサは、線路長がゼロであるので、線路に多数のコンデンサを並列に接続しても、線路の特性インピーダンスを低くすることは出来ない。しかし、線路に多数のコンデンサを並列に接続することによって電磁波の透過を減らすことは、ある程度可能である。すなわち、伝送線路の特性インピーダンスと透過係数は独立の関係にある。
以上から、コンデンサの前記V字型のインピーダンス特性は、コンデンサのデカップリング機能の周波数上限またはコンデンサを使用する回路を準定常回路と扱える限界を示していると考えるのが妥当である。すなわち、コンデンサの並列使用は、たとえば非特許文献2に示されているように、電束密度または電界の蓄積の機能に期待して、集中要素モデルが採用できる低周波領域に限る必要があるということになる。これは、電磁波の作用を考えなければならない数メガヘルツ以上の帯域における電源分配回路のデカップリングに適する部品が、現在において存在しないことを意味する。このことが、電磁ノイズ問題に改善の兆しが見られない最大の理由の一つであることは容易に推定できる。
アナログ回路は、回路状態の変化が比較的緩やかで始まりと終わりが明確でないことが多い。従って低周波アナログ回路の設計においては、マックスウエルが確立した電磁波理論の代わりに、定常状態の回路を扱う交流回路理論を適用しても、実用上、大きな問題が生じることはほとんど無い。
一方、クロック回路やディジタル信号処理回路は、アナログ回路と異なり、状態の変化の期間が短く変化の始まりと終わりは明確である。ディジタル信号処理回路の状態の変化は非常に急激であり、急激な電界または磁界の変化は、電磁気学に従うと大きなレベルの電磁波を励起する。ディジタル信号処理回路における電界または磁界の変化は一般に間歇的である。さらに、周波数制御型のディジタル信号処理回路においては、スイッチングの周期は不定である。
以上のようにアナログ回路とディジタル信号処理回路は、電磁気学の観点からは大きく異なっている。しかし、クロック回路やディジタル信号処理回路で構成される半導体集積回路の設計や解析には、従来からアナログ回路と同様に、交流回路理論が使用されて来た。この原因の一つは、スイッチング波が、ひずみ波の一種とみなされて来たことに因る。
フーリエ変換法によると、ひずみ波は正弦波である多数の高調波すなわち連続波から構成されているとされる。これらの高調波は始まりと終わりが無い多数の正弦波である。そうであるとすれば、回路上の信号を高調波毎に解析してその結果を加算すれば、クロック回路やディジタル信号処理回路の解析が可能となる。このように、フーリエ変換法は、クロック回路やディジタル信号処理回路の設計や解析に従来のアナログ回路に関する手法が適用出来るという、利便性の高い道を開いている。連続波を扱う回路においては、配線長が波長に比べて非常に短ければ準定常状態と見なすことが出来る。
フーリエ変換法(Fourier transform)と呼ばれ、1812年に提出されアカデミー大賞を受賞した「熱の解析的理論」の中でフランス人のJoseph
Fourierによって最初に使用された。
フーリエ変換法は数学の一手法であり、汎用性はあるが、ディジタル回路を支配する物理学上の上位理論である電磁気学との整合性は全く考慮されていない。
従って、クロック回路やディジタル信号処理回路の設計や解析にフーリエ変換法を適用しているのは、前述の電気通信工学においてダランベールの波動方程式のみに依存して導体電流と導体間電圧が光速でと進行するとしているのと同様、物理学の観点からは誤りであると考えるべきである。
スイッチング波形をひずみ波として扱うと、損失を有する損失線路をスイッチング波が進行した場合に、観測結果と解析結果との間で齟齬が生じる。たとえばデューティが1/10で、繰り返し周波数が1[GHz]のスイッチング波をフーリエ変換すると振幅の1/10の値の直流成分と1[GHz]を基本波とする高調波とに分解できる。
CMOS回路を使用する半導体集積回路内のある長さの伝送線路が、1[GHz]の振幅を1/2に低下させる損失を有している場合は、伝送線路の終端での1[GHz]の繰り返し周波数を有するスイッチング波の振幅は、フーリエ変換を使用する解析結果では1/2以下に低下することになる。
電磁気学に従うと、スイッチング波の定常振幅は直流電源から供給される静電エネルギーによって維持される。静電エネルギーは波動エネルギーではないので伝送線路の損失の作用は受けない。CMOS回路のゲート抵抗は極めて大きいので伝送線路の直流電流は、ほぼゼロである。従って、終端で観測される1[GHz]の繰り返し周波数を有するスイッチング波の振幅は減衰しないはずである。
この事実は、スイッチング波をひずみ波として扱うことが誤りであることを示している。また、この事実は、フーリエ変換法に基づいて生じる群速度の概念に従う、ディジタル信号配線における信号品位(シグナルインテグリティ)に関する従来の理論には修正が必要であることを意味する。すなわち、この事実は、グランドレベルしか定常状態を持たないアナログ回路と異なり、グランドレベルと直流電圧レベルの2つの定常状態を有するディジタルまたはスイッチング回路のために、従来の回路理論に代わる理論が必要であることを示唆している。
ディジタル信号処理回路を誤り無く高い性能で動作させるためには、ディジタル信号処理回路に直流電源を分配する電源分配回路での充分なデカップリングが必要である。電源分配回路でのデカップリングが不充分であると、ディジタル信号処理回路の設計や解析において、ディジタル信号処理回路内だけでなくディジタル回路システム内、さらにはディジタル回路システムの外部の電源分配回路やバッテリ、商用電源ネットワークまでを想定することも必要となる。これでは、設計や解析が事実上不可能になってしまう。
従来のようにスイッチング波形を歪み波として扱うと、物理学との矛盾に加えて、解析に必要な時間の問題もある。ディジタル回路システム内の多くのトランジスタに接続されている前記電源分配回路にはトランジスタの数の歪み波が関係し、それぞれの歪み波には膨大な数の高調波が含まれていることになる。このような状態にある電源分配回路のデカップリング回路の設計や解析を行うことは、高性能コンピュータを用いても不可能である。
本発明は、電源分配回路における上記問題を根本的に解決する手段を提供することを目的の一つとしている。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、表面と裏面にエッチング層を有し該エッチング層上に誘電体酸化皮膜層を有する弁作用金属化成箔と、該弁作用金属化成箔の表面と裏面の全面に形成される半導体層と、該半導体層の表面と裏面の全面に形成される導電性金属粉ペースト層とから成り、1面の該導電性金属粉ペースト層を陽極、他面の該導電性金属粉ペースト層を陰極、前記誘電体酸化皮膜層を誘電体、前記導電性金属粉ペースト層の直線又は曲線状の1辺を線路幅、前記導電性金属粉ペースト層の前記線路幅より長い直線又は曲線状の他辺を線路長とし、100[nep/m] (ネパー/メートル)以上の減衰定数を有する平行板伝送線路構造が形成されることを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記弁作用金属化成箔が、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、またはそれらの合金とその化成膜から成ることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項2記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記弁作用金属化成箔が、前記弁作用金属化成箔を電解液に浸漬したときに生じる該弁作用金属化成箔の金属部と前記電解液との間に1[cm]あたり0.1[μF]以上の静電容量値を有することを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項3記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記半導体層が、100[S/m]から10[S/m]の導電率を有することを特徴としている。
また、請求項5記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項4記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記半導体層が導電性ポリマー層、カーボングラファイト層、または前記導電性ポリマー層とその上面に形成される前記カーボングラファイト層とからなることを特徴としている。
また、請求項6記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項5記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記導電性ポリマー層が、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、またはポリチェニレンビニレンによって形成されることを特徴としている。
また、請求項7記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項6記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記導電性ポリマー層が、前記弁作用金属化成箔をポリチオフェンまたはポリピロールの微粒子を含む水溶液に浸漬することによって形成されることを特徴としている。
また、請求項8記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項7記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記導電性金属粉ペーストが、10[S/m]以上の導電率を有することを特徴としている。
また、請求項9記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項8記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記半導体層、または該半導体層と前記導電性金属粉ペースト層の形成に先だって、マスキングテープまたはマスキング剤が、前記弁作用金属化成箔の両面、または該弁作用金属化成箔の陰極側の面に、既定の前記線路幅と前記線路長を有する線路形成部を残して貼付または塗布されることを特徴としている。
また、請求項10記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項9記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記線路形成部の前記線路長と前記線路幅が、少なくとも10MHzから1GHzの帯域において−40dB以下の透過係数と、1 [Ω]以下の特性インピーダンスを有する前記平行板伝送線路構造を実現する値に決定されることを特徴としている。
また、請求項11記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項10記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記弁作用金属化成箔が、前記半導体層、または該半導体層と前記導電性金属粉ペースト層が形成された後、前記線路形成部に近接する前記マスキングテープの貼付面または前記マスキング剤の塗布面で切断され、前記平行板伝送線路構造が形成されることを特徴としている。
また、請求項12記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項11記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記マスキングテープが、ステンレス、ニッケル、ポリテトラフルオロエチレンを含むフッ化炭素樹脂、ケイ素樹脂、またはこれらの混合物もしくは変性物から選択される1種以上の材料から成り、前記マスキング剤が、ポリテトラフルオロエチレンを含むフッ化炭素樹脂、ケイ素樹脂、またはこれらの混合物もしくは変性物から選択される1種以上の材料から成ることを特徴としている。
また、請求項13記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項12記載の低インピーダンス損失線路構造において、線路長方向の両端部に電源端子形成部分を有する第1の金属箔が、前記平行板伝送線路構造の一面に前記導電性金属粉ペーストによって接着され、前記電源端子形成部分の線路長方向の内側にグランド端子形成部分を有する第2の前記金属箔が、前記平行板伝送線路構造の他面に前記導電性金属粉ペーストによって接着され、少なくとも前記平行板伝送線路構造が耐湿性外装樹脂によって封止され、前記電源端子形成部分とグランド端子形成部分の全てまたは一部がそれぞれ電源端子およびグランド端子として整形されることによって、低インピーダンス損失線路部品が形成されることを特徴としている。
また、請求項14記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項13記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記金属箔が、金、銅、ニッケル、またはこれらを含む任意の合金、または任意の積層体から成ることを特徴としている。
また、請求項15記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項14記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記低インピーダンス損失線路部品が、印刷配線基板上に搭載され、第1の前記金属箔が一対の前記電源端子を介して前記印刷配線基板の電源トレースに対して直列に挿入され、第2の前記金属箔が、一対の前記グランド端子を介して印刷配線基板のグランドプレーンに対して並列に接続されることを特徴としている。
また、請求項16記載の発明は、低インピーダンス損失線路構造に係り、請求項1から請求項15記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記金属箔が、前記有効線路長以上の長さと前記有効線路幅以上の幅を有し、少なくとも第1の前記金属箔が、該金属箔が一対の前記電源端子を介して前記直流電源分配回路の電源導体または電源トレースに対して直列に挿入されたときに流れる直流電流による前記電源端子と前記グランド端子の間の直流電圧降下を前記スイッチング素子または前記半導体集積回路が許容する電圧変動値の50%以下に保つ幅と厚さと材質を有することを特徴としている。
本発明をスイッチング機器またはディジタル機器に適用すると、スイッチング素子によって励起される電磁波の漏洩が大幅に抑圧されるために、スイッチング素子が使用されている機器の電磁環境適合性(EMC)を大幅に向上させることが可能となる。
本発明をスイッチング機器またはディジタル機器に適用すると、アナログ回路とディジタル回路の混在設計が容易になる。
本発明をスイッチング機器またはディジタル機器に適用すると、これらの機器の小型軽量化、低コスト化、高変換効率化が可能になると共に、高信号品位(シグナルインテグリティ)と高電磁環境適合性(EMC)を両立させることが可能となる。
以下、本発明に係る 最良の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図4は、試作したデカップリングチップの構造の一例である。図5は、試作したデカップリング部品の外形の一例である。図6は、試作したデカップリング部品のS21特性の測定結果の一例である。デカップリングチップの特性インピーダンスは反射係数S11から推定するが、値が小さすぎ市販のネットワークアナライザでは測定が出来ないため測定値は無い。本実施例におけるデカップリングチップおよびデカップリング部品はいずれも公知である。
本実施の形態におけるデカップリングチップは、本発明に係る低インピーダンス損失線路構造とは全く異なるものであり、また、本実施の形態の末尾に示すような実用上の多くの問題を有している。しかし本実施の形態デカップリングチップは、本発明に係る低インピーダンス損失線路構造の設計に必要な理論式に対して実用的な補正値を提供しているので、以下に示すことにした。
図4において、本実施の形態におけるデカップリングチップは、線路部の幅が1[mm]で実効長さが4[mm] 、8[mm] 、16[mm]、および24[mm]を有するエッチング処理が施されたアルミニウム箔13が弁作用金属箔として使用されている。アルミニウム箔13の表面には化成エッチング層14が形成され、化成膜の厚さは約15[nm]である。また、アルミニウム箔13の長辺の切断面にも同等の厚さの化成膜が形成されている。
化成エッチング層14の上部には固体電解質層であるポリピロール層15が約3[μm] の厚さに形成されている。ポリピロール層15の上部にカーボンペーストによるカーボングラファイト層16が約30[μm]の厚さに形成され、その上に銀ペースト層12が形成されている。
アルミニウム箔13の両端部は、図4に示すように化成エッチング層14が除去され、図5に示す2個の陽極端子18を備えた端子形成部分がアルミニウム箔13の両端部に導電接合されている。図5に示す4個の陰極端子19を備えた陰極電極板が、図4に示す銀ペースト層12の一つの面に導電接合されている。
固体電解質層に使用されているポリピロールの導電率は3500[S/m]であり、化成膜である酸化アルミニウムの厚さは15[nm]と想定されている。酸化アルミニウムの比誘電率は8.5である。アルミニウム箔13の幅は1[mm]、4個の陰極端子19を備えた陰極電極板の厚さは100[μm]である。
アルミニウム箔13に市販の化成エッチング層を有するアルミニウム箔を使用する場合は、メーカのカタログに示されている1[cm]あたりの静電容量値Cを使用して、次式からエッチングによる電極面積の拡大率kを求めることが出来る。
式(18)中の化成膜の厚さa[m]は、化成電圧(Vf)によって決まりほぼ次式から求められる。
周波数をf、静電容量をCとするとコンデンサのインピーダンスZは、(2πfC)−1であって、特性インピーダンスが50[Ω] の測定系の線路に並列に接続されたときの、コンデンサとしての透過係数(S21C)は、次式から求めることが出来る。
公知の資料によると、測定系の線路に並列に接続されたときのコンデンサのインピーダンスは、周波数に比例して低くなるがこの傾向はある周波数(F)までであって、それより高い周波数帯域では周波数に比例して逆に高くなる。本実施の形態におけるデカップリングチップは伝送線路構造であるので、F以下の周波数帯域ではコンデンサとしてのインピーダンス特性を示すが、F以上の周波数帯域ではFのときのインピーダンス値(Z)を保つと考えられる。
このときのデカップリングチップのインピーダンス特性ZCLは、不連続度nを使用して、次式のように求められる。ここで、nは3前後が適当である。
式(21)に対応するコンデンサの透過係数S21Cは、式(20)から次式で表される。
絶縁体層の内側に半導体層を有する線路構造の特性インピーダンスは、絶縁体層中を進行する電磁波を構成する電磁界の半導体層への透過係数に依存する。絶縁体層の厚さをa、固有インピーダンスの実数項をZ、半導体層の厚さをb、固有インピーダンスの実数項をZとすると、絶縁体から半導体への電磁界の透過係数S21Sは次式で表される。
絶縁体層から半導体層への電磁界の透過係数を考慮した、有効導体間隔dは次式で表される。
比誘電率をεraの絶縁体層と比誘電率1の半導体層の2層の等価比誘電率εrXは次式で表される。
式(19)、式(20)、および式(7)から、エッチングによる電極面積の拡大率kを考慮した線路幅wの平行板線路の特性インピーダンスZは、次式から求められる。
線路の特性インピーダンスをZとすると、測定系の50[Ω]のケーブルに接続したときの反射の影響による透過係数S21Rは、次式から求めることが出来る。
線路が短い場合、端部間の距離をzとしたときの端部間の静電容量C
とし、周波数がfのときのCのインピーダンスをZとすると、端部間電磁結合による透過係数S21T
は、次式から求めることが出来る。
絶縁体層の内側に半導体層を有する線路構造中を電磁波が進行する場合、電磁界が半導体中に浸透する。半導体中に浸透した電磁界のほとんどは半導体層に隣接する導体層の表面で反射する。結果、半導体の厚さをbとするときの厚さが無限大の場合に対する損失の割合Bは、次式で表せる。
壁面の1面に導電率δの半導体が配置されている特性インピーダンスがZの減衰伝送線路の減衰定数αは、電気通信工学理論によると、次式で表される。
厚さbの半導体層を有する減衰伝送線路の減衰定数αは、次式で表される。
電磁波は、透過し易いところを選んで進行する性質を有するので、線路長は電極面積の拡大率による線路長拡大効果よりも短くなると考えられる。電極面積の拡大率による線路長拡大効果の低減率をAとすると、チップの長さがlの減衰伝送線路の実効線路長zは以下の式で表される
実効線路長がzの減衰伝送線路の透過係数S21αは、次式で表される。
減衰伝送線路の透過係数S21Aおよび減衰伝送線路を内蔵する低インピーダンス損失線路構造の、総合透過係数S21Lは、おおむね次式から近似的に求めることが出来る。ここで、nは10程度が適当である。
端子間の電磁結合を考慮した低インピーダンス損失線路構造の総合透過係数S21Mは、式(23)式(29)から、不連続度nを使用して、おおむね次式のように求められる。ここで、nは2前後が適当である。
図7は、試作したデカップリング部品のS21特性の計算結果の一例である。図8は、本実施の形態におけるデカップリング部品のインピーダンス特性の計算結果の一例である。
図6に示した本実施の形態におけるデカップリング部品のS21特性の測定結果によると、このときのFは600kHzである。本実施の形態におけるデカップリングチップは伝送線路構造であるので、F以下の周波数帯域ではコンデンサとしてのインピーダンス特性を示すが、F以上の周波数帯域では600kHzのときのインピーダンス値(Z)を保つと考えられる。
端子間静電容量Cを8×10−17[F/m]として式(35)から求められる本実施の形態におけるデカップリング部品の透過係数S21Mの計算値は測定結果に近い値となっている。
本実施の形態におけるデカップリングチップの固体電解質層に使用されているポリピロールの導電率は3500とである。また、3μmの厚さに含浸されたポリピロールが減衰定数を支配しており、カーボングラファイト層が減衰定数に寄与していない。これはカーボングラファイト層の導電率がポリピロールに比べて1桁小さいか、2桁程度大きいためと思われる。
計算結果から推定すると、化成エッチング層を有するアルミニウム箔で形成するコンデンサの静電容量は100μF/cmと推定される。含浸率を100%とすると、この値は、市販されている低圧陽極用化成アルミニウム箔の中で標準的な値を有するものである。
本実施例のS21測定結果を前記計算式に基づいて解析すると、本実施例における電極面積の拡大率による線路長拡大効果の低減率Aは0.2倍程度となっている。このように、伝送線路としての線路幅または線路長の拡大率が極めて低くなっている原因は、デカップリングチップの製法にあると考えられる。
本実施の形態におけるデカップリングチップのアルミニウム箔13には、長辺の切断面にもエッチング面と同等の厚さの化成膜が形成されている。しかし、この部分にはエッチングが施されていない。この状態で、ポリピロールがエッチング面に含浸され、その後、カーボンペースト層と銀ペースト層がディップ処理によって形成される。このようにして形成されたデカップリングチップの一端に電磁波が印加されると、電磁波の多くが、進行上の障害があるエッチング面を避けてエッチングが無いアルミニウム箔13の切断面をバイパスしてしまうため、実効線路長が短くなってしまっているものと推定される。
計算結果と測定結果から、端子間静電容量Cが5×10−17[F/m]であることが判る。この値は、端子形状を変更することにより改善可能である。これにより、1 [MHz] 程度以下ではデカップリングチップおよびデカップリング部品の透過係数の差はほとんど無いが、10[MHz]程度以上では、デカップリング部品では端子間のバイパスによる透過特性の劣化現象が見られ、劣化度はチップの長さすなわち端子間の距離にほぼ比例している。
本実施の形態におけるデカップリングチップは以下のような実用上の問題を有していることが判った。
1)アルミニウム箔に比較的大きな直流電流を流すために、特殊な厚さのエッチド化成アルミ箔が必要
2)アルミニウム箔と外部端子間に比較的大きな直流電流を流すために、特殊な接続法が必要
3)モノマピロールからポリピロール層を形成するための化成工程が非常に複雑であり、また十分な減衰定数を得るためにはポリピロールの導電率がかなり不足
4)エッチングの施されていないアルミニウム箔の端面にも線路が形成されているためにS21特性が劣化
(実施の形態2)
図9は、本発明に係る低インピーダンス損失線路構造の一例である。図10は、本発明に係る低インピーダンス損失線路構造の断面図の一例である。図11は、本発明に係る低インピーダンス損失線路部品の外形の一例である。図13は、本発明に係る低インピーダンス損失線路部品のS21特性の計算結果の一例である。図13は、本発明に係る低インピーダンス損失線路部品のインピーダンス特性の計算結果の一例である。
図9において、本実施の形態における低インピーダンス損失線路構造の断面図は線路幅方向の断面を示しており、低インピーダンス損失線路構造は、銅箔から成る電極層21、29と、銀ペースト層から成る導電性金属粉ペースト層22,28、31と、ポリチオフェン層とカーボングラファイト層とから成る半導体層23,27と、化成エッチング層24,26と、アルミニウム箔25と、マスキング層30とで構成されている。
図9において、低インピーダンス損失線路として機能する領域が抜き取られている疎水性マスキングテープを化成エッチング層46の表面に貼付することによってマスキング層30が形成される。続いて、半導体層23,27、導電性金属粉ペースト層22,28、31、および電極層21、29が形成された後、低インピーダンス損失線路構造は、切断線32で切断される。
切断後の低インピーダンス損失線路構造の外縁部に残るマスキングテープは、半導体層23,27の形成後に剥離される。但し、困難な場合は剥離しなくても良い。以上の方法により、アルミニウム箔25の長辺の切断面には伝送線路構造が形成されないため、実施の形態2で生じた、実効線路長の劣化現象は生じない。
図9の構造の低インピーダンス損失線路は整流作用を有している。電極層21と電極層29の間に電極層21が正となる電圧を印加すると、化成エッチング層24を構成する酸化アルミニウム皮膜が縮退し電極層21とアルミニウム箔25との間が短絡に近い状態となり、電極層21とアルミニウム箔25とで構成される伝送線路はほとんど機能しなくなる。従って、アルミニウム箔25の切断時に化成エッチング層が短絡するのを防止するためにアルミニウム箔25に貼付するマスキングテープは、アルミニウム箔25の電極層21側の面には貼付しなくても良い。
図10において、本実施の形態における低インピーダンス損失線路構造は、銅箔から成る電極層41、49と、銀ペースト層から成る導電性金属粉ペースト層42,48と、ポリチオフェン層またはポリチオフェン層とカーボングラファイト層から成る半導体層43,47と、化成エッチング層44,46と、アルミニウム箔45と、電源端子部50と、グランド端子部51とで構成されている。電源端子部50と、グランド端子部51を除く低インピーダンス損失線路構造は図9と同様である。
図11において、低インピーダンス損失線路部品は、図10の低インピーダンス損失線路構造が、端子形成部分50および51を残して外装樹脂62によって封止された後、電源端子61およびグランド端子63が整形されることによって形成される。
低インピーダンス損失線路の幅の実効値を0.6[mm]、ポリチオフェン層およびカーボングラファイト層の導電率を12000[S/m]、ポリチオフェン層およびカーボングラファイト層の厚さを30[μm]とする。酸化アルミニウム皮膜の比誘電率を8.5、厚さ30[nm]とし、アルミニウム化成箔の1[cm]あたり(両面)の静電容量値を180[μF]、ポリチオフェン層の含浸率を0.8、面積拡大率の線路長および線路幅への寄与率を0.5とする。また図9において、端子間のバイパス容量を10−18[F/m]とする。
図11に示すS21特性の計算結果値によると、本実施の形態における低インピーダンス損失線路部品のS21は、実施の形態1のデカップリング部品より1[MHz]以上で10(3倍)−20dB(10倍)優れており、0.1[μF]チップセラミックコンデンサより40dB(100倍)以上優れている。
図12に示すインピーダンス特性の計算結果によると、本実施の形態における低インピーダンス損失線路部品のインピーダンスは、静電容量値が小さいため実施の形態1のデカップリング部品よりやや大きいが、100MHz以上ではチップセラミックコンデンサの約1/100であり、ほぼ50[mΩ]以下である。この値は、約200[Ω]と推定されるLSIのオンチップインターコネクトのインピーダンスや、50[Ω]またはそれよりやや大きいと推定されるインターポーザや印刷配線基板の信号トレースの特性インピーダンスに比べて充分に低い値である。
(実施の形態3)
図13は、本発明に係る低インピーダンス損失線路構造を応用したディジタル基本回路の等価回路の一例である。
図13において、低インピーダンス損失線路を応用したディジタル基本回路の等価回路は、直流電源84、ドライバ81、レシーバ89、ドライバ81を構成するPチャネルMOSFET82およびNチャネルMOSFET83、低インピーダンス損失線路85、半導体集積回路と低インピーダンス損失線路85の間の電源線路86、信号線路87、および整合終端抵抗88から構成されている。
図13において、電源線路86と信号線路87の特性インピーダンスが50[Ω]以上、低インピーダンス損失線路の端子インピーダンスが実施の形態2で設計した値の50[mΩ]前後とする。ドライバ81のオン状態とオフ状態の定義は前述と同様であり、伝送線路上の電界と伝送線路の電位との関係は電磁気学に従う。
ドライバ81がオフからオンに変化する時の信号線路87の電位波形と、信号線路87上を進む孤立電界波形、並びに電源線路86の電位波形と電源線路86上を進む孤立電界波形は、前述と同様である。従って、図13の回路の動作説明には図2と図3の波形を使用する。
図13において、ドライバ81がオフからオンに変化したときの孤立電界波の伝送線路上の進行の様子と伝送線路の電位変化は図2、図3で説明した通りである。
図13において、電源線路86上を進行する孤立電磁波のほぼ全てが、低インピーダンス損失線路85との接続部で、信号線路87上に励起された孤立電磁波と同極性で反射し、電源線路86および信号線路87の電位をE/2[V]からほぼE[V]に上昇させつつ進行し、整合終端抵抗88で消滅する。
電源線路86の長さが孤立電磁波の波長に対して充分短ければ、ドライバ81がオンした後のD点の電位は、電源線路5上を孤立電磁波が進行するときの遅延時間だけ上昇時間が長くなることを除けば、通信を行うのにほぼ充分な値となる。
図13において、低インピーダンス損失線路85の端子インピーダンスは50[mΩ]前後と、通信を行うのにほぼ充分低い値であるが、電源線路86を進行する孤立電磁波の一部が低インピーダンス損失線路85に侵入する。
放射電力Pを有する線形電磁波がアンテナから放射されたときのr[m]の距離での電界強度Eは、IEC CISPR16−2−3に示されている次式から求めることが出来る。
例えば家庭内使用を目的とするクラスB情報技術装置から10[m]の距離での妨害波電界強度の許容値は、VCCI(CISPR22)で決められており、30[MHz]から230[MHz]で30[dBμV/m]、230[MHz]から1[GHz]で37[dBμV/m]である。式(36)から、例えば230[MHz]での許容放射電力値を求めると、2[nW]となる。
実施の形態2で設計した低インピーダンス損失線路を使用し、図9のインバータ35の代わりに20個の電源端子が設けられており100[W]の消費電力を有する半導体集積回路を想定すると、1個の電源端子で5[W]の電力を分担していることになる。
次に、導体集積回路の2個の電源端子毎に、実施の形態2で設計した12[mm]の長さの低インピーダンス損失線路が使用されている場合について、電源ポートから漏洩する不要電磁波の放射電力量を試算する。
電源線路86と信号線路87の特性インピーダンスが半導体チップ上で等しいとすると、図13において、インバータ35によって励起された孤立電界波8が信号線路38の電位を0[V]からE/2 [V]まで上昇させるエネルギーと、電源線路34に向かう孤立電界波が電源線路の電位をE[V]からE/2 [V] まで降下させるエネルギーの比は、1:3である。従って電源線路34に向かう孤立電界波の電力は7.5[W]となる。
電源線路86の特性インピーダンスを低めの50[Ω]とし、低インピーダンス損失線路85に、実施の形態2で設計した12[mm]の長さの低インピーダンス損失線路構造が使用されているときの、230[MHz]における透過係数は−78dBである。図7に示した0.1μFチップセラミックコンデンサの230[MHz]における透過係数よりも約53dB小さい(約1/450)。このときの、低インピーダンス損失線路32を透過する電力は0.94[mW]となる。
0.94[mW]のうちの0.1%が大気中に放射され、放射するまでの過程で、孤立電磁波が多くの箇所で反射を繰り返すことによってその0.1%のエネルギーが230[MHz]から1[GHz]の間の1つの周波数に存在すると仮定した場合でも、放射電磁波のエネルギーは0.94[nW]である。この値はクラスB情報技術装置の放射電力許容値2[nW]を充分満たす。
(実施の形態4)
図14は、本発明に係る低インピーダンス損失線路構造を印刷配線基板に搭載した状態の一例である。
図14において、低インピーダンス損失線路部品92は、印刷配線基板93に搭載され、電源端子はビア96によって電源配線95に直列に挿入されている。低インピーダンス損失線路部品92のグランド端子はビア96によってグランドプレーン94に並列に接続されている。
低インピーダンス損失線路部品92の一端の電源端子が、印刷配線基板93に搭載される半導体集積回路91の1個以上の電源端子に、ビア96および電源配線95を経由して接続される。低インピーダンス損失線路部品92の使用数は、半導体集積回路91の定格消費電力を電源電圧で割った値を低インピーダンス損失線路部品92の定格直流電流で割った値で決められる。低インピーダンス損失線路部品92のチップ長はボード上の搭載余裕度、半導体集積回路の電源電流のスペクトラム値、およびコストの観点から決められるが、従来のコンデンサの選定に比べると格段に容易な作業である。
本発明はスイッチング回路を内蔵する半導体集積回路並びに、半導体集積回路を内蔵する情報技術機器、マルチメディア機器、電力変換機器の高性能化、設計容易化と設計期間の短縮化、小型軽量化、低消費電力化、低コスト化、電磁干渉問題の解消又は低減、電磁ノイズによる誤動作の低減、および品質・信頼性向上を実現することが出来る。
図1は、インバータに関する等価回路の一例である。 図2は、線路上の電源側の電位波形と電界波形の一例である。 図3は、線路上の抵抗側の電位波形と電界波形の一例である。 図4は、試作したデカップリングチップの構造の一例である。 図5は、試作したデカップリング部品の外形の一例である。 図6は、試作したデカップリング部品のS21特性の測定結果の一例である。 図7は、試作したデカップリング部品のS21特性の計算結果の一例である。 図8は、試作したデカップリング部品のインピーダンス特性の計算結果の一例である。 図9は、本発明に係る低インピーダンス損失線路構造の一例である。 図10は、本発明に係る低インピーダンス損失線路構造の断面図の一例である。 図11は、本発明に係る低インピーダンス損失線路部品の外形の一例である。 図12は、本発明に係る低インピーダンス損失線路部品のS21特性の計算結果の一例である。 図13は、本発明に係る低インピーダンス損失線路部品のインピーダンス特性の計算結果の一例である。 図14は、本発明に係る低インピーダンス損失線路構造を使用するディジタル基本回路の等価回路の一例である。 図15は、本発明に係る低インピーダンス損失線路構造を印刷配線基板に搭載した状態の一例である。
符号の説明
1 インバータ
2、82 PチャネルMOSFET
3、83 NチャネルMOSFET
4、84 直流電源
5、86 電源線路
6、87 信号線路
7、88 整合終端抵抗
8、10 孤立電界波
9、11 電位波形
12 銀ペースト層
13、25、45 アルミニウム箔
14、24、26、44,46 化成エッチング層
15 ポリピロール層
16 カーボングラファイト層
17 外装樹脂
18 陽極端子
19 陰極端子
21、29、41,49 電極層
22、28、31、42,48 導電性金属粉ペースト層
23、27、43,47 半導体層
30 マスキング層
32 切断線
50 電源端子部
51 グランド端子部
61 電源端子
62 外装樹脂
63 グランド端子
81 ドライバ
85 低インピーダンス損失線路
89 レシーバ
92 半導体集積回路
91 低インピーダンス損失線路部品
93 印刷配線基板
94 グランドプレーン
95 電源配線
96 ビア

Claims (16)

  1. 表面と裏面にエッチング層を有し該エッチング層上に誘電体酸化皮膜層を有する弁作用金属化成箔と、該弁作用金属化成箔の表面と裏面の全面に形成される半導体層と、該半導体層の表面と裏面の全面に形成される導電性金属粉ペースト層とから成り、1面の該導電性金属粉ペースト層を陽極、他面の該導電性金属粉ペースト層を陰極、前記誘電体酸化皮膜層を誘電体、前記導電性金属粉ペースト層の直線又は曲線状の1辺を線路幅、前記導電性金属粉ペースト層の前記線路幅より長い直線又は曲線状の他辺を線路長とし、100[nep/m] (ネパー/メートル)以上の減衰定数を有する平行板伝送線路構造が形成されることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  2. 請求項1記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記弁作用金属化成箔が、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、またはそれらの合金とその化成膜から成ることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  3. 請求項1から請求項2記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記弁作用金属化成箔が、前記弁作用金属化成箔を電解液に浸漬したときに生じる該弁作用金属化成箔の金属部と前記電解液との間に1[cm]あたり0.1[μF]以上の静電容量値を有することを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  4. 請求項1から請求項3記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記半導体層が、100[S/m]から10[S/m]の導電率を有することを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  5. 請求項1から請求項4記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記半導体層が導電性ポリマー層、カーボングラファイト層、または前記導電性ポリマー層とその上面に形成される前記カーボングラファイト層とからなることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  6. 請求項1から請求項5記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記導電性ポリマー層が、ポリアセチレン、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、またはポリチェニレンビニレンによって形成されることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  7. 請求項1から請求項6記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記導電性ポリマー層が、前記弁作用金属化成箔をポリチオフェンまたはポリピロールの微粒子を含む水溶液に浸漬することによって形成されることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  8. 請求項1から請求項7記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記導電性金属粉ペーストが、10[S/m]以上の導電率を有することを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  9. 請求項1から請求項8記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記半導体層、または該半導体層と前記導電性金属粉ペースト層の形成に先だって、マスキングテープまたはマスキング剤が、前記弁作用金属化成箔の両面、または該弁作用金属化成箔の陰極側の面に、既定の前記線路幅と前記線路長を有する線路形成部を残して貼付または塗布されることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  10. 請求項1から請求項9記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記線路形成部の前記線路長と前記線路幅が、少なくとも10MHzから1GHzの帯域において−40dB以下の透過係数と、1 [Ω]以下の特性インピーダンスを有する前記平行板伝送線路構造を実現する値に決定されることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  11. 請求項1から請求項10記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記弁作用金属化成箔が、前記半導体層、または該半導体層と前記導電性金属粉ペースト層が形成された後、前記線路形成部に近接する前記マスキングテープの貼付面または前記マスキング剤の塗布面で切断され、前記平行板伝送線路構造が形成されることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  12. 請求項1から請求項11記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記マスキングテープが、ステンレス、ニッケル、ポリテトラフルオロエチレンを含むフッ化炭素樹脂、ケイ素樹脂、またはこれらの混合物もしくは変性物から選択される1種以上の材料から成り、前記マスキング剤が、ポリテトラフルオロエチレンを含むフッ化炭素樹脂、ケイ素樹脂、またはこれらの混合物もしくは変性物から選択される1種以上の材料から成ることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  13. 請求項1から請求項12記載の低インピーダンス損失線路構造において、線路長方向の両端部に電源端子形成部分を有する第1の金属箔が、前記平行板伝送線路構造の一面に前記導電性金属粉ペーストによって接着され、前記電源端子形成部分の線路長方向の内側にグランド端子形成部分を有する第2の前記金属箔が、前記平行板伝送線路構造の他面に前記導電性金属粉ペーストによって接着され、少なくとも前記平行板伝送線路構造が耐湿性外装樹脂によって封止され、前記電源端子形成部分とグランド端子形成部分の全てまたは一部がそれぞれ電源端子およびグランド端子として整形されることによって、低インピーダンス損失線路部品が形成されることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  14. 請求項1から請求項13記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記金属箔が、金、銅、ニッケル、またはこれらを含む任意の合金、または任意の積層体から成ることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  15. 請求項1から請求項14記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記低インピーダンス損失線路部品が、印刷配線基板上に搭載され、第1の前記金属箔が一対の前記電源端子を介して前記印刷配線基板の電源トレースに対して直列に挿入され、第2の前記金属箔が、一対の前記グランド端子を介して印刷配線基板のグランドプレーンに対して並列に接続されることを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
  16. 請求項1から請求項15記載の低インピーダンス損失線路構造において、前記金属箔が、前記有効線路長以上の長さと前記有効線路幅以上の幅を有し、少なくとも第1の前記金属箔が、該金属箔が一対の前記電源端子を介して前記直流電源分配回路の電源導体または電源トレースに対して直列に挿入されたときに流れる直流電流による前記電源端子と前記グランド端子の間の直流電圧降下を前記スイッチング素子または前記半導体集積回路が許容する電圧変動値の50%以下に保つ幅と厚さと材質を有することを特徴とする、低インピーダンス損失線路構造
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