JP2010127510A - 熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【課題】パラレルフロー型熱交換器を2台、気流方向において直列に並ぶ形で配置するに際し、その配置が熱交換性能の低下をもたらすことのないようにする。
【解決手段】熱交換器1は、上部ヘッダパイプ11と下部ヘッダパイプ12の間に複数の垂直な偏平チューブ13を配置した第1熱交換器10と、上部ヘッダパイプ21と下部ヘッダパイプ22の間に複数の垂直な偏平チューブ23を配置した第2熱交換器20とを気流方向において直列に並ぶ形で配置している。上部ヘッダパイプ11の内部を隔壁15で区画16A〜16Eに仕切り、上部ヘッダパイプ21の内部を隔壁25で区画26A〜26Eに仕切り、各区画に複数の偏平チューブが含まれるようにする。その上で、第1熱交換器10側の1区画と、気流方向においてそれと直列に並ぶ第2熱交換器20側の1区画を連結チューブ30で連結して連通状態に置く。
【選択図】図1
【解決手段】熱交換器1は、上部ヘッダパイプ11と下部ヘッダパイプ12の間に複数の垂直な偏平チューブ13を配置した第1熱交換器10と、上部ヘッダパイプ21と下部ヘッダパイプ22の間に複数の垂直な偏平チューブ23を配置した第2熱交換器20とを気流方向において直列に並ぶ形で配置している。上部ヘッダパイプ11の内部を隔壁15で区画16A〜16Eに仕切り、上部ヘッダパイプ21の内部を隔壁25で区画26A〜26Eに仕切り、各区画に複数の偏平チューブが含まれるようにする。その上で、第1熱交換器10側の1区画と、気流方向においてそれと直列に並ぶ第2熱交換器20側の1区画を連結チューブ30で連結して連通状態に置く。
【選択図】図1
Description
本発明はパラレルフロー型の熱交換器に関する。
2本のヘッダパイプの間に複数の偏平チューブを配置して偏平チューブ内部の冷媒通路をヘッダパイプの内部に連通させるとともに、偏平チューブ間にコルゲートフィン等のフィンを配置したパラレルフロー型の熱交換器はカーエアコンや建物用空気調和機の室外側ユニットなどに広く利用されている。
パラレルフロー型の熱交換器については、これまでにも様々な性能向上の工夫がなされている。例えば特許文献1には、上流側熱交換チューブ群と下流側熱交換チューブ群を前後に重ねて配置することにより、熱交換チューブのチューブ高さを小さくして小型軽量化及び薄型化を図り、併せて、冷媒の分散性を向上し、熱交換性能を向上させた熱交換器が記載されている。
特開2003−75024号公報
特許文献1記載の構成では、上流側熱交換チューブ群を並列に流れた冷媒がヘッダパイプに入り、そこで合流すると、冷媒の圧力が低下し、流速も低下し、下流側熱交換チューブ群に分流することが困難となり、熱交換性能が上がらない。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、パラレルフロー型熱交換器を2台、気流方向において直列に並ぶ形で配置するに際し、その配置が熱交換性能の低下をもたらすことのないようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る熱交換器は、間隔を置いて平行に配置された複数のヘッダパイプと、前記複数のヘッダパイプの間に複数配置され、内部に設けた冷媒通路を前記ヘッダパイプの内部に連通させた偏平チューブとをそれぞれ備えた第1熱交換器と第2熱交換器を、気流方向において直列に並ぶ形で配置し、前記第1熱交換器の中の1本のヘッダパイプと、前記第2熱交換器の中の1本のヘッダパイプを、1区画に複数の偏平チューブが含まれる形で複数の区画に仕切り、前記第1熱交換器側の1区画と、気流方向においてそれと直列に並ぶ前記第2熱交換器側の1区画を連通状態に置いたことを特徴としている。
この構成によると、一方の熱交換器を流れた冷媒が他方の熱交換器に移る際、冷媒は全体が1空間となったヘッダパイプに入るのでなく、ヘッダパイプを複数の区画に仕切った中の1区画に入るものであるから、偏平チューブを流れていたときの圧力と流速が維持された状態で他方の熱交換器の偏平チューブに流入する。この結果、単位時間当たりの熱交換効率が高まり、性能が向上する。
上記構成の熱交換器において、前記連通状態に置かれる前記第1熱交換器側ヘッダパイプの1区画と前記第2熱交換器側ヘッダパイプの1区画は、連結チューブで連結されていることが好ましい。
この構成によると、第1熱交換器側ヘッダパイプの1区画と第2熱交換器側ヘッダパイプの1区画の連通状態を容易に得ることができる。
上記構成の熱交換器において、前記複数の区画に仕切られるヘッダパイプは、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器に共有される1本のヘッダパイプであることが好ましい。
この構成によると、第1熱交換器と第2熱交換器が1本のヘッダパイプを共有していることから、第1熱交換器側ヘッダパイプの1区画と第2熱交換器側ヘッダパイプの1区画が連通しているという状態を容易に得ることができる。
上記構成の熱交換器において、前記複数の区画に仕切られるのは上部ヘッダパイプで、下部ヘッダパイプには冷媒出入管が接続されるものであり、前記冷媒出入管は、前記下部ヘッダパイプの長さ方向中央部に水平よりも上の方向から接続されることが好ましい。
このような構成にすれば、冷媒出入管を通じて下部ヘッダパイプに流入する冷媒は、下部ヘッダパイプの中央部の内壁面に上方から衝突するので、左右に分かれやすく、冷媒出入管の左右に並ぶ偏平チューブに均等に分流することになり、それが偏平チューブの内部全体に及ぶ。これにより、特定の偏平チューブに冷媒が集中することが避けられ、偏平チューブ間の冷媒流量の均等化を図ることができる。
上記構成の熱交換器において、前記第1熱交換器及び/または前記第2熱交換器の偏平チューブ同士の間にフィンを配置することが好ましい。
このような構成にすれば、熱交換器の放熱面積が増大し、熱交換性能が向上する。
本発明によると、気流方向に直列に配置された第1熱交換器と第2熱交換器の一方を流れた冷媒が他方の熱交換器に移る際、冷媒は一方の熱交換器の偏平チューブを流れていたときの圧力と流速が維持された状態で他方の熱交換器の偏平チューブに流入するから、単位時間当たりの熱交換効率が高まり、性能が向上する。
以下本発明の第1実施形態を図1と図2に基づき説明する。図1は熱交換器の正面図、図2は図1のA−A線を断面箇所とする断面図である。
熱交換器1は、パラレルフロー型熱交換器である第1熱交換器10と第2熱交換器20を気流方向(図2の矢印方向、またはその逆方向)において直列に並ぶ形で配置した構成を備える。図2においては、気流方向が矢印方向であるから、第1熱交換器10が風上側、第2熱交換器20が風下側に配置されていることになる。第1熱交換器10は、上下に間隔を置いて平行に配置された複数の水平なヘッダパイプ、すなわち上部ヘッダパイプ11と下部ヘッダパイプ12の間に、垂直な偏平チューブ13を複数本、所定ピッチで(「所定」は「一定」を意味しない。間隔不等の場合もあり得る。)配置したものである。第2熱交換器20は、上下に間隔を置いて平行に配置された複数の水平なヘッダパイプ、すなわち上部ヘッダパイプ21と下部ヘッダパイプ22の間に、垂直な偏平チューブ23を複数所定ピッチで配置したものである。
第1熱交換器10の偏平チューブ13と第2熱交換器20の偏平チューブ23は、必ずしも同数、同ピッチであることを要しないが、図1、図2の例では、第1熱交換器10の偏平チューブ13と第2熱交換器20の偏平チューブ23は同数、同ピッチであることとしている。図1は第1熱交換器10の側から見た正面図であるが、第2熱交換器20の側から見ても同じ形状が表れる。図1には、第1熱交換器10の構成要素の符号と第2熱交換器20の構成要素の符号が併記されている。
偏平チューブ13、23の配置は次のようになっている。図1で偏平チューブ13を例にとり説明すると、偏平チューブ13は、上部ヘッダパイプ11と下部ヘッダパイプ12の長さ方向中央部を離れた両翼部では一定ピッチで比較的密に配置されているが、上部ヘッダパイプ11と下部ヘッダパイプ12の長さ方向中央部では、両翼部の偏平チューブ13群から離れた、孤立した偏平チューブ13が2個、互いの間に比較的広い間隔を保って配置されている。偏平チューブ23の配置もこの通りである。
上部ヘッダパイプ11、21と下部ヘッダパイプ12、22はいずれも両端が閉じた円形断面のパイプであり、直径、肉厚、長さは共に等しく、上部ヘッダパイプは上部ヘッダパイプ同士、下部ヘッダパイプは下部ヘッダパイプ同士、同一高さのところに水平且つ互いに両端位置を揃えて平行に配置されている。上部ヘッダパイプと下部ヘッダパイプの両端位置も揃えられている。上部ヘッダパイプ11、21と下部ヘッダパイプ12、22はいずれもアルミニウム等熱伝導の良い金属からなる。なお、上部ヘッダパイプ11、21、下部ヘッダパイプ12、22の間で直径、肉厚、長さを等しくするというのは必須要件ではなく、そのいずれかまたは全部を異ならせた構成も可能である。また同一高さというのも必須要件ではなく、高さを異ならせた構成も可能である。
偏平チューブ13、23はアルミニウム等熱伝導の良い金属を押出成型した細長い成型品であり、内部には冷媒を流通させる冷媒通路13a、23aが形成されている。冷媒通路13a、23aは、断面形状及び断面面積の等しいものが複数個ずつ、図1においては紙面奥行き方向、図2においては紙面左右方向に並び、そのため偏平チューブ13と偏平チューブ23はいずれもハーモニカのような断面を呈している。
偏平チューブ13と偏平チューブ23は、異なる設計であっても、例えば偏平チューブの幅・肉厚・長さ及び冷媒通路13a、23aの断面形状・断面面積などのいずれか、あるいは全てが異なっていても良いが、通常は同一設計とすることが好ましい。第1実施形態では同一設計が採用されており、偏平チューブ13と偏平チューブ23の寸法形状は全て同一となっている。
偏平チューブ13の上端は上部ヘッダパイプ11に接続され、下端は下部ヘッダパイプ12に接続され、冷媒通路13aは上部ヘッダパイプ11の内部と下部ヘッダパイプ12の内部の両方に連通する。偏平チューブ23の上端は上部ヘッダパイプ21に接続され、下端は下部ヘッダパイプ22に接続され、冷媒通路23aは上部ヘッダパイプ21の内部と下部ヘッダパイプ22の内部の両方に連通する。上部ヘッダパイプ11と偏平チューブ13、下部ヘッダパイプ12と偏平チューブ13、上部ヘッダパイプ21と偏平チューブ23、下部ヘッダパイプ22と偏平チューブ23はそれぞれロウ付けまたは溶着により固定される。
下部ヘッダパイプ12、22には、その長さ方向中央部に存在する、2個ずつの孤立した偏平チューブ13、23の間に、下部ヘッダパイプ12に冷媒を流入させあるいは下部ヘッダパイプ12から冷媒を流出させる冷媒出入管14と、下部ヘッダパイプ22に冷媒を流入させあるいは下部ヘッダパイプ22から冷媒を流出させる冷媒出入管24が接続される。2個ずつの孤立した偏平チューブ13、23は互いの間に比較的広い間隔を保って配置されていることから、その間隔に冷媒出入管14、24を配置するのが容易であり、そのためにここが冷媒出入管14、24の接続箇所として選ばれる。
冷媒出入管14は下部ヘッダパイプ12に対し、冷媒出入管24は下部ヘッダパイプ22に対し、それぞれ水平よりも上の方向から接続されている。第1実施形態では、冷媒出入管14、24は互いに対称をなす角度で斜め上方から下部ヘッダパイプ12、22に接続されている。なお、冷媒出入管は必ずしも水平より上の方向から接続しなくてもよい。水平方向から接続してもよい。言い換えれば、流路が確保され、冷媒が流れればよい。
上部ヘッダパイプ11、21の内部は隔壁により複数の区画に仕切られる。上部ヘッダパイプ11にあっては、中央の2本の偏平チューブ13を挟む形で配置された2個の隔壁15により区画16Aが仕切られ、区画16Aを仕切った隔壁15と、それよりも上部ヘッダパイプ11の端に寄った位置に配置された隔壁15により区画16Bが仕切られ、区画16Bを仕切った隔壁15と、それよりも上部ヘッダパイプ11の端に寄った位置に配置された隔壁15により区画16Cが仕切られ、区画16Cを仕切った隔壁15と、それよりも上部ヘッダパイプ11の端に寄った位置に配置された隔壁15により区画16Dが仕切られる。区画16Dを仕切った隔壁15と、上部ヘッダパイプ11の端部壁の間は区画16Eとなる。上部ヘッダパイプ21にあっては、中央の2本の偏平チューブ23を挟む形で配置された2個の隔壁25により区画26Aが仕切られ、区画26Aを仕切った隔壁25と、それよりも上部ヘッダパイプ21の端に寄った位置に配置された隔壁25により区画26Bが仕切られ、区画26Bを仕切った隔壁25と、それよりも上部ヘッダパイプ21の端に寄った位置に配置された隔壁25により区画26Cが仕切られ、区画26Cを仕切った隔壁15と、それよりも上部ヘッダパイプ21の端に寄った位置に配置された隔壁25により区画26Dが仕切られる。区画26Dを仕切った隔壁25と、上部ヘッダパイプ21の端部壁の間は区画26Eとなる。区画16Aと区画26Aは1個ずつであるが、区画16B、16C、16D、16E、26B、26C、26D、26Eは2個ずつ存在し、区画16Aまたは区画26Aを中心として対称的に配置されている。
区画16Aには2本の偏平チューブ13が含まれ、区画16B、16C、16D、16Eにはそれぞれ5本ずつの偏平チューブ13が含まれる。区画26Aには2本の偏平チューブ23が含まれ、区画26B、26C、26D、26Eにはそれぞれ5本ずつの偏平チューブ23が含まれる。なお、区画の数とそこに含まれる偏平チューブの数は単なる例示に過ぎず、発明の内容を限定するものではない。
区画16Aと、気流方向においてそれと直列に並ぶ区画26A、区画16Bと、気流方向においてそれと直列に並ぶ区画26B、区画16Cと、気流方向においてそれと直列に並ぶ区画26C、区画16Dと、気流方向においてそれと直列に並ぶ区画26D、区画16Eと、気流方向においてそれと直列に並ぶ区画26Eは、それぞれ連通状態に置かれる。連通手段として、第1実施形態では連結チューブ30を用いる。連結チューブ30は倒立したU字形状であり、一方の端は上部ヘッダパイプ11側の区画に接続し、他方の端は上部ヘッダパイプ21側の区画に接続する。
熱交換器1を使用する際は、冷媒が冷媒出入管14、24の一方から流入し、他方から流出する。熱交換器1を蒸発器として使用する運転モードの場合(例えば、室内機と室外機とからなるセパレート型空気調和機の室外機で熱交換器1を用い、暖房運転を行うと、熱交換器1は蒸発器として作用する)、熱交換器1は空気から温熱を奪い、逆に冷熱を空気中に放出する。ここでは冷媒出入管14から液体状の冷媒が流入し、それが第1熱交換器10と第2熱交換器20の中を流れる間に蒸発し、気体状となって冷媒出入管24から流出するという、熱交換器1を蒸発器として使用する想定で説明を進める。なお、第1熱交換器10が風上側、第2熱交換器20が風下側である。
図示しないファンで送風を行いつつ熱交換器1に冷媒を流すと、冷媒出入管14から下部ヘッダパイプ12に流入した液状の冷媒は、下部ヘッダパイプ12の中央部の内壁面に上方から衝突し、それから左右に分流する。この構成は冷媒が左右に分かれやすく、冷媒出入管14の左右に並ぶ偏平チューブ13に均等に流れやすい。このため、流入方向の運動エネルギーを持った冷媒が特定の偏平チューブ13に集中することが避けられ、各偏平チューブ13の冷媒流量が均等化の方向に向かう。
下部ヘッダパイプ12から偏平チューブ13に入った液状の冷媒は、冷媒通路13aを上昇しつつ、偏平チューブ13の外側を流れる気流との間で熱交換を行って蒸発が進んで行く。上部ヘッダパイプ11に至ると、冷媒は、どの偏平チューブ13を通ってきたかによって、区画16A、2箇所の区画16Bの一方、2箇所の区画16Cの一方、2箇所の区画16Dの一方、2箇所の区画16Eの一方、のいずれかに入る。そして入った区画から連結チューブ30を通って上部ヘッダパイプ21の区画26A、2箇所の区画26Bの一方、2箇所の区画26Cの一方、2箇所の区画26Dの一方、2箇所の区画26Eの一方、のいずれかに入る。例えば、区画16Aに入った冷媒は、連結チューブ30を通って区画26Aに入り、区画16Bに入った冷媒は、連結チューブ30を通って区画26Bに入る。その後冷媒は、偏平チューブ23の冷媒通路23aを下降しつつ、偏平チューブ23の外側を流れる気流との間で熱交換を行ってさらに蒸発し、気体の割合を高めて行く。気体の割合を高めた冷媒は下部ヘッダパイプ22で合流し、冷媒出入管24から排出される。
上記構成によれば、第1熱交換器10と第2熱交換器20の一方を流れた冷媒が他方の熱交換器に移る際、偏平チューブ13、23のいずれかを上昇した冷媒は、全体が1空間となったヘッダパイプに入るのでなく、ヘッダパイプを複数の区画に仕切った中の1区画に入るものであるから、偏平チューブを流れていたときの圧力と流速が維持された状態で他方の熱交換器の偏平チューブに流入する。この結果、単位時間当たりの熱交換効率が高まり、性能が向上する。
図1と図2の例では、第1熱交換器10側の1区画に属する偏平チューブ13の数と、それと連通状態に置かれる第2熱交換器20側の1区画に属する偏平チューブ23の数は同数とされているが、この関係は絶対的なものではなく、第1熱交換器10側の1区画に属する偏平チューブ13の数と、それと連通状態に置かれる第2熱交換器20側の1区画に属する偏平チューブ23の数が同じでないという構成も可能である。
熱交換器1を凝縮器として使用する場合は、第1熱交換器10が風上側、第2熱交換器20が風下側であるとすると、冷媒は冷媒出入管24から流入させ、冷媒出入管14から流出させる、すなわち、風下側の熱交換器から風上側の熱交換器へと冷媒が流れるようにすることが好ましい。
16A、16B、16C、16D、16E、26A、26B、26C、26D、26Eの各区画に含まれる偏平チューブ13または偏平チューブ23の数は5以下とするのが好ましい。図8はパラレルフロー型熱交換器における冷媒の挙動について調べた実験装置の概要を示す正面図である。実験装置の熱交換器100は、それぞれ水平な上部ヘッダパイプ101と下部ヘッダパイプ102の間に垂直な偏平チューブ103を多数配置し、下部ヘッダパイプ102の中央に冷媒出入管104を設け、下部ヘッダパイプ102の両端に1本ずつの冷媒出入管105を設けた構造となっている。下部ヘッダパイプ102の内部には中央の冷媒出入管104と両端の冷媒出入管105との間に1個ずつ計2個の隔壁106が設けられている。
冷媒出入管104から下部ヘッダパイプ102に冷媒を送り込むと、隔壁106によって行く手を遮られた冷媒は偏平チューブ103を上昇して上部ヘッダパイプ101に至る。上部ヘッダパイプ101に入った冷媒は、隔壁106、106で挟まれた区間の外側の区間に属する偏平チューブ103を下降して下部ヘッダパイプ102に戻り、冷媒出入管105から流出する。この時のサーモグラフィー画像では、冷媒が下降する偏平チューブ103の中で、隔壁106に近い4〜5本のみ他の偏平チューブ103との温度差が顕著であった。これは、これら4〜5本の偏平チューブ103に流れる冷媒の流量が大であることを物語っており、従って、圧力と流速を維持しつつ冷媒を流すことを考える上では、5本以下の偏平チューブ103の集団に着目すれば良い、と結論づけられる。
本発明の第2実施形態を図3から図5に示す。図3は熱交換器の正面図、図4は図3のA−A線を断面箇所とする断面図、図5は図3のフィンの箇所を断面箇所とする断面図である。
第2実施形態では、第1熱交換器10の両翼部に密に配置された偏平チューブ13同士の間と、第2熱交換器20の両翼部に密に配置された偏平チューブ23同士の間とに、アルミニウム等熱伝導の良い金属からなるフィン40を配置する。フィン40は偏平チューブ13同士の間に配置される第1フィン41と、偏平チューブ23同士の間に配置される第2フィン42からなる。第1フィン41と第2フィン42はいずれもコルゲートフィンである。第1フィン41は偏平チューブ13に対しロウ付けまたは溶接で固定され、第2フィン42は偏平チューブ23に対しロウ付けまたは溶接で固定される。
第1フィン41と第2フィン42はいずれもコルゲートフィンであるため、互いの間に所定断面積の通風路を形成するように並ぶフィンの集合を容易に得ることができる。
図5に示すように、第1フィン41は、偏平チューブ13の気流方向奥行きの中間部、この場合は偏平チューブ13のセンターラインの箇所で、風上側フィン41Uと風下側フィン41Dに区分される。図5の矢印に示すように、風は偏平チューブ13から偏平チューブ23の方向に向かって吹くものとする。第2フィン42は、偏平チューブ23の気流方向奥行きの中間部、この場合は偏平チューブ23のセンターラインの箇所で、風上側フィン42Uと風下側フィン42Dに区分される。風上側フィン41U、42Uはフィン表面が風下側に向かい下り勾配となり、風下側フィン41D、42Dはフィン表面が風下側に向かい上り勾配となっている。
風上側フィン41Uの風下側端部と風下側フィン41Dの風上側端部、及び風上側フィン42Uの風下側端部と風下側フィン42Dの風上側端部は、それぞれ間隙43を隔てて配置されている。間隙43は、風上側フィン41U、42Uの風下側端部に付着した水滴と、風下側フィン41D、42Dの風上側端部に付着した水滴の合体が生じ得る大きさに設定されている。第1フィン41と第2フィン42の間にはそれよりも広い間隙44が設けられている。
図示しないファンで送風を行いつつ熱交換器1に冷媒を流すと、熱交換器1を蒸発器として使用する運転モードの場合、熱交換器1は空気から温熱を奪い、逆に冷熱を空気中に放出する。風上側フィン41U、42Uと風下側フィン41D、42Dのフィン表面にはそれぞれ勾配がついているので、フィン40を全て水平とした場合に比べると、フィン40全体として空気の流れ方向に長く延びる形で存在することになり、高い熱交換性能を得ることができる。
空気から温熱を奪う運転を続けていると、フィン40の表面にも偏平チューブ13、23の表面にも、空気中の水分が結露する。当初は微細だった水滴が結集して大きな水滴になると、それは風上側フィン41U、42Uまたは風下側フィン41D、42Dの勾配面を伝って流下し、間隙43に達する。間隙43が広ければ、水滴は風上側フィン41U、42Uの風下側端部または風下側フィン41D、42Dの風上側端部でブリッジ現象(水の表面張力で水の膜が張ること)を生じるだけに終わる。しかしながら間隙43は風上側フィン41U、42Uの風下側端部に付着した水滴と風下側フィン41D、42Dの風上側端部に付着した水滴の合体が生じ得る大きさに設定されているので、風上側フィン41U、42Uの水滴と風下側フィン41D、42Dの水滴は、間隙43で出会うと互いに表面張力を破壊し合って合体し、ブリッジ現象を生じることなく間隙43から流れ出る。
熱交換器1を蒸発器として使用する運転モード(熱交換器1が周囲の空気から温熱を奪う運転モード)において、周囲の空気温度条件や、運転条件により、偏平チューブ13、23やフィン40の表面に空気中の水分が霜として付着する場合がある。時間が経つにつれ霜は厚みを増し、熱交換性能を低下させるので、時々除霜運転を行って霜を溶かさねばならない。霜が溶けた除霜水も、間隙43で出会うと互いに表面張力を破壊し合って合体し、ブリッジ現象を生じることなく間隙43から流れ出る。このため、除霜運転から通常運転に復帰したとき、排水されないまま残留した水滴が凍結して熱交換性能を損なうといったことがない。霜と化す前の結露水も同様に流れ出るので、空気流通路の断面積が水によって狭められ、熱交換性能を低下させることがない。
風上側フィン41U、42Uの下り勾配と風下側フィン41D、42Dの上り勾配は、5°〜40°の範囲で選択することができる。勾配がきつくなると、熱交換面積が増え、排水しやすくなる一方、空気の流通に対しては抵抗となるので、実験を通じて適切な値を決めるとよい。その他、偏平チューブ13同士または偏平チューブ23同士の間隔が5.5mm、偏平チューブ13、23の厚みが1.3mm、気流方向における風上側フィン41U、42Uと風下側フィン41D、42Dの水平方向長さがそれぞれ18mm、風上側フィン41U、42Uと風下側フィン41D、42Dのそれぞれの山−谷ピッチが2mm〜3mm、間隙43の大きさが最大0.5mmといった数値を例示することができる。言うまでもないが、これらの数値は単なる例示であり、発明の内容を限定するものではない。
本発明の第3実施形態を図6と図7に示す。図6は熱交換器の正面図、図7は図6のA−A線を断面箇所とする断面図である。
第3実施形態は、上部ヘッダパイプの構成が第1、第2実施形態と異なる。第3実施形態では、偏平チューブ13の上端と偏平チューブ23の上端は同一の上部ヘッダパイプ50に接続されている。すなわち第1熱交換器10と第2熱交換器20が1本の上部ヘッダパイプ50を共有する。上部ヘッダパイプ50は両端が閉じた円形断面のパイプであり、下部ヘッダパイプ12、22と長さが同じで、下部ヘッダパイプ12、22と平行且つ両端位置を揃えて配置されている。直径は、上部ヘッダパイプ50の方が下部ヘッダパイプ12、22よりも大きい。
上部ヘッダパイプ50の内部は隔壁51により複数の区画に仕切られる。まず、中央の2本ずつの偏平チューブ13、23を挟む形で配置された2個の隔壁51により区画52Aが仕切られ、区画52Aを仕切った隔壁51と、それよりも上部ヘッダパイプ50の端に寄った位置に配置された隔壁51により区画52Bが仕切られ、区画52Bを仕切った隔壁51と、それよりも上部ヘッダパイプ50の端に寄った位置に配置された隔壁51により区画52Cが仕切られ、区画52Cを仕切った隔壁51と、それよりも上部ヘッダパイプ50の端に寄った位置に配置された隔壁51により区画52Dが仕切られる。区画52Dを仕切った隔壁51と、上部ヘッダパイプ50の端部壁の間は区画52Eとなる。区画52Aは1個だけであるが、区画52B、52C、52D、52Eは2個ずつ存在し、区画52Aを中心として対称的に配置されている。
区画52Aには偏平チューブ13と偏平チューブ23が2本ずつ含まれ、区画52B、52C、52D、52Eには偏平チューブ13と偏平チューブ23がそれぞれ5本ずつ含まれる。なお、区画の数とそこに含まれる偏平チューブの数は単なる例示に過ぎず、発明の内容を限定するものではない。
上記構成によれば、第1熱交換器10と第2熱交換器20が1本のヘッダパイプ50を共有していることから、第1熱交換器10側ヘッダパイプの1区画と第2熱交換器20側ヘッダパイプの1区画が連通しているという状態を容易に得ることができる。
この第3実施形態に第2実施形態のようなフィンを付加し、熱交換性能の一層の向上を図ってもよい。
以上、本発明の各実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
本発明はパラレルフロー型熱交換器に広く利用可能である。
1 熱交換器
10 第1熱交換器
20 第2熱交換器
11、21 上部ヘッダパイプ
12、22 下部ヘッダパイプ
13、23 偏平チューブ
14、24 冷媒出入管
15、25 隔壁
16A〜16E、26A〜26E 区画
30 連結チューブ
40 フィン
41U、42U 風上側フィン
41D、42D 風下側フィン
43 間隙
50 上部ヘッダパイプ
51 隔壁
52A〜52E 区画
10 第1熱交換器
20 第2熱交換器
11、21 上部ヘッダパイプ
12、22 下部ヘッダパイプ
13、23 偏平チューブ
14、24 冷媒出入管
15、25 隔壁
16A〜16E、26A〜26E 区画
30 連結チューブ
40 フィン
41U、42U 風上側フィン
41D、42D 風下側フィン
43 間隙
50 上部ヘッダパイプ
51 隔壁
52A〜52E 区画
Claims (5)
- 間隔を置いて平行に配置された複数のヘッダパイプと、前記複数のヘッダパイプの間に複数配置され、内部に設けた冷媒通路を前記ヘッダパイプの内部に連通させた偏平チューブとをそれぞれ備えた第1熱交換器と第2熱交換器を、気流方向において直列に並ぶ形で配置し、前記第1熱交換器の中の1本のヘッダパイプと、前記第2熱交換器の中の1本のヘッダパイプを、1区画に複数の偏平チューブが含まれる形で複数の区画に仕切り、前記第1熱交換器側の1区画と、気流方向においてそれと直列に並ぶ前記第2熱交換器側の1区画を連通状態に置いたことを特徴とする熱交換器。
- 前記連通状態に置かれる前記第1熱交換器側ヘッダパイプの1区画と前記第2熱交換器側ヘッダパイプの1区画は、連結チューブで連結されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
- 前記複数の区画に仕切られるヘッダパイプは、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器に共有される1本のヘッダパイプであることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
- 前記第1熱交換器と第2熱交換器において、前記複数の区画に仕切られるのは上部ヘッダパイプで、下部ヘッダパイプには冷媒出入管が接続されるものであり、前記冷媒出入管は、前記下部ヘッダパイプの長さ方向中央部に水平よりも上の方向から接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の熱交換器。
- 前記第1熱交換器及び/または前記第2熱交換器の偏平チューブ同士の間にフィンを配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の熱交換器。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008301505A JP2010127510A (ja) | 2008-11-26 | 2008-11-26 | 熱交換器 |
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