JP5238408B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

この発明は、たとえば自動車に搭載されるカーエアコンのエバポレータや、同じくカーエアコンのヒータコアに好適に使用される熱交換器に関する。
たとえばカーエアコンのエバポレータとして、互いに間隔をおいて配置された2つのヘッダタンク部と、両ヘッダタンク部間にヘッダタンク部の長さ方向に間隔をおいて設けられ、かつ両端部が両ヘッダタンク部に連通させられた複数の熱交換管部と、隣り合う熱交換管部間の通風間隙に配置されたコルゲートフィンとを備えており、両ヘッダタンク部と全熱交換管部とが複数のプレートを積層してろう付することにより形成され、ヘッダタンク部の長さ方向に連続して並んだ複数の熱交換管部からなる熱交換管部群が、ヘッダタンク部の長さ方向に並んで3つ設けられ、ヘッダタンク部の長さ方向一端部の熱交換管部群が、当該熱交換管部群を構成する熱交換管部内を流体が最初に流れる最上流側熱交換管部群となり、ヘッダタンク部の長さ方向他端部の熱交換管部群が、当該熱交換管部群を構成する熱交換管部内を流体が最後に流れる最下流側熱交換管部群となっているものが知られている(特許文献1参照)。
特許文献1記載のエバポレータにおいては、一方のヘッダタンク部に流入した気液混相の冷媒は、最上流側熱交換管部群から最下流側熱交換管部群に向かって蛇行状に流れる間に順次蒸発する。そして、冷媒が過熱状態となる部位、すなわちスーパヒート部は最下流側熱交換管部群の熱交換管部の冷媒流れ方向下流側に生じる。したがって、隣り合う熱交換管部間の通風間隙を通過してきた空気の温度は、最上流側熱交管部群において最も低く、最下流側熱交換管部群に向かって徐々に高くなり、最下流側熱交換管部群のスーパヒート部において最も高くなる。
ところで、自動車のカーエアコンでは、運転席側および助手席側のそれぞれにおいて窓側および中央部側に吹き出し口が設けられており、運転席側には、エバポレータの幅方向の片側半部の通風間隙を通過した空気が2つの吹き出し口から吹き出され、同じく助手席側には、エバポレータの幅方向の他側半部の通風間隙を通過した空気が2つの吹き出し口から吹き出されるようになっている。
したがって、特許文献1記載のエバポレータを用いたカーエアコンにおいて、たとえばエバポレータの最下流側熱交換管部群側の半部の通風間隙を通過した空気が窓側および中央部側の吹き出し口から車室内の運転席側に吹き出され、同じく最上流側熱交換管部群側の半部の通風間隙を通過した空気が窓側および中央部側の吹き出し口から車室内の助手席側に吹き出されるとすれば、運転席側と助手席側とで車室内に吹き出される空気の温度差が比較的大きくなる。しかも、エバポレータを通過した空気から吹き出し口までの距離は、中央部の吹き出し口よりも窓側の吹き出し口の方がかなり長くなるので、その間に空気は加熱されることになり、その結果運転席側および助手席側のそれぞれにおいても、窓側と中央部側とで吹き出し口から車室内に吹き出される空気の温度差が比較的大きくなる。したがって、車室内の各部に吹き出される空気の温度が不均一になるという問題がある。
特開2003−254639号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、カーエアコンに用いた場合に、車室内の各部に吹き出される空気の温度を均一化しうる熱交換器を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間にヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の熱交換管とを備えた熱交換器であって、
ヘッダタンクの長さ方向に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換管群が、ヘッダタンクの長さ方向に並んで3以上設けられ、ヘッダタンクの長さ方向両端部の熱交換管群が、当該熱交換管群を構成する熱交換管内を流体が最初に流れる最上流側熱交換管群となり、ヘッダタンクの長さ方向中央部の熱交換管群が、当該熱交換管群を構成する熱交換管内を流体が最後に流れる最下流側熱交換管群となっており、
一方のヘッダタンク内が、分流制御部材によって当該ヘッダタンクの全長にわたり、かつ流体が流入する第1空間と、当該ヘッダタンクの全長にわたり、かつ熱交換管に通じる第2空間と、当該ヘッダタンクの全長にわたり、かつ流体が流出する第3空間とに分割されており、第2空間内が、仕切部材により熱交換管群の数と同数の区画に分割されるとともに、各熱交換管群の熱交換管が第2空間の各区画に通じさせられ、第1空間と第2空間を分割する分流制御部材に、第1空間と、第2空間における最上流側熱交換管群の熱交換管が通じている区画とを連通させる第1流体通過穴が形成され、第2空間と第3空間を分割する分流制御部材に、第2空間における最下流側熱交換管群の熱交換管が通じている区画と、第3空間とを連通させる第2流体通過穴が形成されている熱交換器
2)第3空間の横断面積が、第1空間の横断面積よりも大きくなっている上記1)記載の熱交換器。
3)第1空間と第2空間を分割する分流制御部材が、一方のヘッダタンクにおける熱交換管が接続される壁の一側縁側から他側縁側に向かって熱交換管の長さ方向外側に傾斜している上記1)または2)記載の熱交換器。
4)第2空間と第3空間を分割する分流制御部材が、一方のヘッダタンクにおける熱交換管が接続される壁の他側縁側から一側縁側に向かって熱交換管の長さ方向外側に傾斜している上記3)記載の熱交換器。
5)第1〜第3空間に分割されたヘッダタンクの一端側に、第1空間に通じる流体入口と、第3空間に通じる流体出口とが形成されている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
6)第1〜第3空間に分割されたヘッダタンクの一端側に、第1空間に通じる流体入口が形成され、当該ヘッダタンクの他端側に、第3空間に通じる流体出口が形成されている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
7)3つの熱交換管群が設けられており、ヘッダタンクの長さ方向両端の熱交換管群が最上流側熱交換管群となり、ヘッダタンクの長さ方向中央部の熱交換管群が最下流側熱交換管群となっている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
上記1)〜7)の熱交換器によれば、ヘッダタンクの長さ方向に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換管群が、ヘッダタンクの長さ方向に並んで3以上設けられ、ヘッダタンクの長さ方向両端部の熱交換管群が、当該熱交換管群を構成する熱交換管内を流体が最初に流れる最上流側熱交換管群となり、ヘッダタンクの長さ方向中央部の熱交換管群が、当該熱交換管群を構成する熱交換管内を流体が最後に流れる最下流側熱交換管群となっているので、上記1)〜8)の熱交換器をカーエアコンのエバポレータに用いた場合、隣り合う熱交換管間の通風間隙を通過してきた空気の温度は、ヘッダタンクの長さ方向両端の最上流側熱交換管群において最も低く、ヘッダタックの長さ方向中央部の最下流側熱交換管群に向かって徐々に高くなり、最下流側熱交換管群の冷媒流れ方向下流側に生じるスーパヒート部において最も高くなる。その結果、隣り合う熱交換管間の通風間隙を通過してきた空気の温度は、ヘッダタンクの長さ方向の片側半部と他側半部とでほぼ等しくなり、上記1)〜7)の熱交換器をエバポレータとして用いたカーエアコンにおいて、運転席側と助手席側とで車室内に吹き出される空気の温度差が、特許文献1記載のエバポレータを用いたカーエアコンの場合に比べて小さくなる。しかも、隣り合う熱交換管間の通風間隙を通過してきた空気の温度は、ヘッダタンクの長さ方向の片側半部および他側半部において、それぞれヘッダタンクの長さ方向端部側が低くなるとともに、ヘッダタンクの長さ方向中央部側が高くなるので、運転席側および助手席側のそれぞれにおいて、窓側の吹き出し口には低温の空気が送られ、中央部側の吹き出し口には高温の空気が送られることになる。その結果、低温の空気が窓側の吹き出し口に送られるまでの間に加熱されて中央部の吹き出し口に送られる空気の温度に近くなり、運転席側および助手席側のそれぞれにおいて、窓側および中央部側の吹き出し口から吹き出される空気の温度差が、特許文献1記載のエバポレータを用いたカーエアコンの場合に比べて小さくなる。したがって、車室内の各部に吹き出される空気の温度を均一化することができる。
また、上記1)〜7)の熱交換器をカーエアコンのヒータコアに用いた場合、隣り合う熱交換管間の通風間隙を通過してきた空気の温度は、ヘッダタンクの長さ方向両端の最上流側熱交換管群において最も高く、ヘッダタックの長さ方向中央部の最下流側熱交換管群に向かって徐々に低くなる。その結果、隣り合う熱交換管間の通風間隙を通過してきた空気の温度は、ヘッダタンクの長さ方向の片側半部と他側半部とでほぼ等しくなり、上記1)〜8)の熱交換器をヒータコアとして用いたカーエアコンにおいて、運転席側と助手席側とで車室内に吹き出される空気の温度差が比較的小さくなる。しかも、隣り合う熱交換管間の通風間隙を通過してきた空気の温度は、ヘッダタンクの長さ方向の片側半部および他側半部において、それぞれヘッダタンクの長さ方向端部側が高くなるとともに、ヘッダタンクの長さ方向中央部側が低くなるので、運転席側および助手席側のそれぞれにおいて、窓側の吹き出し口には高温の空気が送られ、中央部側の吹き出し口には低温の空気が送られることになる。その結果、高温の空気が窓側の吹き出し口に送られるまでの間に冷却されて中央部の吹き出し口に送られる空気の温度に近くなり、運転席側および助手席側のそれぞれにおいて、窓側および中央部側の吹き出し口から吹き出される空気の温度差が比較的小さくなる。したがって、車室内の各部に吹き出される空気の温度を均一化することができる。
上記1)の熱交換器によれば、比較的簡単な構成で、2つの最上流側熱交換管群の熱交換管に流体を分流させることができるとともに、最下流側熱交換管群の熱交換管から出てきた流体を第3空間を経て流出させることができる。
上記2)の熱交換器をカーエアコンのエバポレータに用いた場合、気相の冷媒が流れる第3空間の横断面積が、気液混相の冷媒が流れる第1空間の横断面積よりも大きくなるので、通路抵抗を小さくすることができる。
上記3)の熱交換器によれば、最上流側熱交換管群の熱交換管の幅方向の全体にわたって流体が行き渡り易くなる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。以下に述べる実施形態は、この発明による熱交換器を、フロン系冷媒を使用するカーエアコンのエバポレータに適用したものである。
なお、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
以下の説明において、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとし、図1および図2の上下、左右を上下、左右というものとする。また、全図面を通じて同一部分および同一物には同一符号を付して重複する説明を省略する。
この実施形態は図1〜図4に示すものである。図1〜図3はエバポレータの構成を示し、図4はエバポレータにおける冷媒の流れ方を示す。
図1〜図3において、エバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製第1ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製第2ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間において、幅方向が前後方向を向くように左右方向に間隔をおいて配置され、かつ上下両端部が両ヘッダタンク(2)(3)に接続された扁平状のアルミニウム製熱交換管(4)と、隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙および左右両端の熱交換管(4)の外側に配置されて熱交換管(4)にろう付されたアルミニウム製コルゲートフィン(5)と、両端のコルゲートフィン(5)の外側に配置されてコルゲートフィン(5)にろう付されたアルミニウム製サイドプレート(6)とを備えており、左右方向(ヘッダタンク(2)(3)の長さ方向)に連続して並んだ複数の熱交換管(4)からなる複数、ここでは3つの熱交換管群(7A)(7B)(7C)が、左右方向に並んで設けられている。左右両端部の2つの熱交換管群(7A)(7C)は、当該熱交換管群(7A)(7C)を構成する熱交換管(4)内を流体が最初に流れる最上流側熱交換管群となり、左右方向中央部の熱交換管群(7B)は、当該熱交換管群(7B)を構成する熱交換管(4)内を流体が最後に流れる最下流側熱交換管群となっている。最下流側熱交換管群(7B)を構成する熱交換管(4)の数は、最上流側熱交換管群(7A)(7C)を構成する熱交換管(4)の数よりも多く、ほぼ2倍程度となっていることがよい。
第1ヘッダタンク(2)内は、2つの板状の分流制御部材(8)(9)によって第1ヘッダタンク(2)の全長にわたり、かつ冷媒(流体)が流入する第1空間(11)と、第1ヘッダタンク(2)の全長にわたり、かつ熱交換管(4)に通じる第2空間(12)と、第1ヘッダタンク(2)の全長にわたり、かつ冷媒が流出する第3空間(13)とに分割されている。第1分流制御部材(8)は、第1ヘッダタンク(2)の前壁(2a)の下端部と、上壁(2b)の前後方向の中央部よりも若干前側の部分との間に跨るように一体に形成されており、前側縁部側から後側縁部側に向かって上方(熱交換管(4)の長さ方向外側)に傾斜している。第2分流制御部材(9)は、第1ヘッダタンク(2)の後壁(2c)の下端部と、上壁(2b)の前後方向の中央部よりも若干前側の部分との間に跨るように一体に形成されており、後側縁部側から前側縁部側に向かって上方(熱交換管(4)の長さ方向外側)に傾斜している。そして、第1ヘッダタンク(2)の上壁(2b)、前壁(2a)および第1分流制御部材(8)により囲まれた空間が第1空間(11)となり、第1ヘッダタンク(2)の下壁(2d)および両分流制御部材(8)(9)により囲まれた空間が第2空間(12)となり、第1ヘッダタンク(2)の上壁(2b)、後壁(2c)および第2分流制御部材(9)により囲まれた空間が第3空間(13)となっている。なお、両分流制御部材(8)(9)の左右両端部は第1ヘッダタンク(2)の左右両端壁に接合されている。したがって、第1分流制御部材(8)が第1空間(11)と第2空間(12)を分割し、第2分流制御部材(9)が第2空間(12)と第3空間(13)を分割する。第3空間(13)の横断面積は、第1空間(11)の横断面積よりも大きくなっている。第1ヘッダタンク(2)の右端部に、第1空間(11)に通じる流体入口(14)と、第3空間(13)に通じる流体出口(15)とが形成されている。
第1ヘッダタンク(2)の第2空間(12)内は、左右方向に間隔をおいて一体に形成された垂直板状の仕切部材(16)により、左右方向に並んだ熱交換管群(7A)(7B)(7C)と同数の3つの区画(17A)(17B)(17C)に分割されており、各熱交換管群(7A)(7B)(7C)の熱交換管(4)が第2空間(12)の各区画(17A)(17B)(17C)に通じさせられている。したがって、最下流側熱交換管群(7B)を構成する熱交換管(4)が通じている左右方向中央部の区画(17B)の左右方向の長さは、最上流側熱交換管群(7A)(7C)を構成する熱交換管(4)が通じている左右両端部の区画(17A)(17C)の左右方向の長さよりも長くなっている。第1ヘッダタンク(2)の第1空間(11)と第2空間(12)を分割する第1分流制御部材(8)に、第1空間(11)と、第2空間(12)における最上流側熱交換管群(7A)(7C)の熱交換管(4)が通じている左右両端の区画(17A)(17C)とを連通させる複数の第1流体通過穴(18)が左右方向に間隔をおいて形成され、第2空間(12)と第3空間(13)を分割する第2分流制御部材(9)に、第2空間(12)における最下流側熱交換管群(7B)の熱交換管(4)が通じている左右方向中央部の区画(17B)と、第3空間(13)とを連通させる左右方向に長い1つの第2流体通過穴(19)が形成されている。
上述したエバポレータ(1)は、圧縮機および冷媒冷却器としてのコンデンサとともにフロン系冷媒を使用する冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。そして、冷房運転時には、圧縮機、コンデンサおよび膨張弁を通過した気液混相の2相冷媒が、図4に示すように流れる。すなわち、気液混相の2相冷媒は、流体入口(14)を通って第1ヘッダタンク(2)の第1空間(11)内に入る。第1ヘッダタンク(2)の第1空間(11)内に入った冷媒は左方に流れ、第1流体通過穴(18)を通って第2空間(12)の左右両端の区画(17A)(17C)内に入る。
第1ヘッダタンク(2)の第2空間(12)の左右両端の区画(17A)(17C)内に入った冷媒は、分流して両最上流側熱交換管群(7A)(7C)の熱交換管(4)内に流入する。最上流側熱交換管群(7A)(7C)の熱交換管(4)内に流入した冷媒は、熱交換管(4)内を下方に流れて第2ヘッダタンク(3)内に入る。第2ヘッダタンク(3)内に入った冷媒は、左右方向内方に流れ、分流して最下流側熱交換管群(7B)の熱交換管(4)内に流入する。最下流側熱交換管群(7B)の熱交換管(4)内に流入した冷媒は、熱交換管(4)内を上方に流れて第1ヘッダタンク(2)の第2空間(12)の左右方向中央部の区画(17B)内に入る。第1ヘッダタンク(2)の第2空間(12)の左右方向中央部の区画(17B)内に入った冷媒は、第2流体通過穴(19)を通って第3空間(13)内に入る。第1ヘッダタンク(2)の第3空間(13)内に入った冷媒は、第3空間(13)内を右方に流れ、冷媒出口(8)を通って流出する。
そして、冷媒が熱交換管(4)内を流れる間に、隣り合う熱交換管(4)間の通風間隙を通過する空気(図1および図4矢印X参照)と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
ここで、左側の最上流側熱交換管群(7A)における隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、および最下流側熱交換管群(7B)の左半部に位置する隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、すなわちエバポレータ(1)の左半部の通風間隙を通った空気が運転席側に吹き出され、右側の最上流側熱交換管群(7C)における隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、および最下流側熱交換管群(7B)の右半部に位置する隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、すなわちエバポレータ(1)の右側の通風間隙を通った空気が助手席側に吹き出されるようになっているものとする。
この場合、運転席側の窓側の吹き出し口には、左側の最上流側熱交換管群(7A)における隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙を通った空気(以下、第1空気と称する)が送られ、同じく中央部の吹き出し口には、最下流側熱交換管群(7B)の左半部に位置する隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙を通った空気(以下、第2空気と称する)が送られる。また、助手席側の窓側の吹き出し口には、右側の最上流側熱交換管群(7C)における隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙を通った空気(以下、第3空気と称する)が送られ、同じく中央部の吹き出し口には、最下流側熱交換管群(7B)の右半部に位置する隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙を通った空気(以下、第4空気と称する)が送られる。第1空気の温度をT1、第2空気の温度をT2、第3空気の温度をT3、第4空気の温度をT4とすれば、T1≒T3<T2≒T4という関係となる。そして、第1空気および第3空気が運転席側および助手席側の窓側の吹き出し口まで送られる距離が、第2空気および第4空気が運転席側および助手席側の中央部側の吹き出し口まで送られる距離よりも長いので、吹き出し口に至るまでに第1空気および第3空気が加熱される程度は、吹き出し口に至るまでに第2空気および第4空気が加熱される程度よりも大きくなる。
したがって、吹き出し口から吹き出される第1空気および第3空気の温度が、吹き出し口から吹き出される第2空気および第4空気の温度に近くなり、車室内の各部に吹き出される空気の温度が均一化される。
図5は熱交換管の変形例を示す。
図5に示すエバポレータ(20)の両ヘッダタンク(2)(3)間には、幅方向を前後方向に向けるとともに左右方向に間隔をおいて配置され、かつ上述した実施形態の熱交換管(4)の幅よりも幅狭のアルミニウム製扁平状熱交換管(21)からなる熱交換管列(22)(23)が、前後方向に間隔をおいて2列設けられている。そして、前後両熱交換管列(22)(23)の熱交換管(21)に跨るようにアルミニウム製コルゲートフィン(24)が配置されて熱交換管(21)にろう付されている。また、前後両熱交換管列(22)(23)の熱交換管(21)が、最上流側熱交換管群(7A)(7C)と、最下流側熱交換管群(7C)とに分けられている。
図6は第1ヘッダタンクの変形例を示す。
図6に示すエバポレータ(25)の第1ヘッダタンク(2)の右端部に、第1空間(11)に通じる流体入口(14)が形成され、第1ヘッダタンク(2)の左端部に、第3空間(13)に通じる流体出口(26)が形成されている。
図7は第1ヘッダタンクの他の変形例を示す。
図7に示すエバポレータ(30)の第1ヘッダタンク(2)内は、2つの板状の分流制御部材(31)(32)によって第1ヘッダタンク(2)の全長にわたり、かつ冷媒(流体)が流入する第1空間(11)と、第1ヘッダタンク(2)の全長にわたり、かつ熱交換管(4)に通じる第2空間(12)と、第1ヘッダタンク(2)の全長にわたり、かつ冷媒が流出する第3空間(13)とに分割されている。第1分流制御部材(31)は、第1ヘッダタンク(2)の前後両壁(2a)(2c)の上下方向中央部よりも下方の部分に跨るように一体に形成されており、水平状となっている。第2分流制御部材(32)は、第1ヘッダタンク(2)の上壁(2b)および第1分流制御部材(31)の前後方向の中央部に跨るように一体に形成されており、垂直状となっている。そして、第1ヘッダタンク(2)の上壁(2b)、前壁(2a)、第1分流制御部材(31)および第2分流制御部材(32)により囲まれた空間が第1空間(11)となり、第1ヘッダタンク(2)の下壁(2d)、前後両壁(2a)(2c)および第1分流制御部材(31)により囲まれた空間が第2空間(12)となり、第1ヘッダタンク(2)の上壁(2b)、後壁(2c)、第1分流制御部材(31)および第2分流制御部材(32)により囲まれた空間が第3空間(13)となっている。なお、両分流制御部材(31)(32)の左右両端部は第1ヘッダタンク(2)の左右両端壁に接合されている。したがって、第1分流制御部材(31)が第1空間(11)と第2空間(12)、および第2空間(12)と第3空間(13)とをそれぞれ分割し、第2分流制御部材(32)が第1空間(11)と第3空間(13)を分割する。第1空間(11)と第2空間(12)とを分割する第1分流制御部材(31)の前半部に、第1空間(11)と、第2空間(12)における最上流側熱交換管群(7A)(7C)の熱交換管(4)が通じている左右両端の区画(17A)(17C)とを連通させる複数の第1流体通過穴(18)が左右方向に間隔をおいて形成されている。また、第2空間(12)と第3空間(13)を分割する第1分流制御部材(31)の後半部に、第2空間(12)における最下流側熱交換管群(7B)の熱交換管(4)が通じている左右方向中央部の区画(17B)と、第3空間(13)とを連通させる左右方向に長い1つの第2流体通過穴(19)が形成されている。
図示は省略したが、第2空間(12)内は、左右方向に間隔をおいて一体に形成された垂直板状の仕切部材(16)により、左右方向に並んだ熱交換管群(7A)(7B)(7C)と同数の3つの区画(17A)(17B)(17C)に分割されており、各熱交換管群(7A)(7B)(7C)の熱交換管(4)が第2空間(12)の各区画(17A)(17B)(17C)に通じさせられている。
なお、図示の例では、第3空間(13)の横断面積は、第1空間(11)の横断面積と等しくなっているが、上述した実施形態の場合と同様に、第3空間(13)の横断面積は、第1空間(11)の横断面積よりも大きくなっていてもよい。
図8は第2ヘッダタンクの変形例を示す。
図8に示すエバポレータ(35)の第2ヘッダタンク(3)内は、上下両壁(3a)(3b)および前後両壁の左右方向の中央部に接合された垂直状の仕切壁(36)により左右2つの空間(37A)(37B)に分割されている。左側の空間(37A)には、左端の最上流側熱交換管群(7A)の熱交換管(4)および最下流側熱交換管群(7B)の左半部の熱交換管(4)が通じており、これらの熱交換管(4)を介して左側の空間(37A)が第1ヘッダタンク(2)の第2空間(12)の左端の区画(17A)、および同中央部の区画(17B)に連通している。右側の空間(37B)には、右端の最上流側熱交換管群(7C)の熱交換管(4)および最下流側熱交換管群(7B)の右半部の熱交換管(4)が通じており、これらの熱交換管(4)を介して右側の空間(37B)が第1ヘッダタンク(2)の第2空間(12)の右端の区画(17C)、および同中央部の区画(17B)に連通している。
上記実施形態においては、この発明による熱交換器がカーエアコンのエバポレータに適用されているが、これに限定されるものではなく、カーエアコンのヒータコアにも適用可能である。この場合、冷媒の代わりに、エンジン冷却液が上記と同様に流れる。
ここで、左側の最上流側熱交換管群(7A)における隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、および最下流側熱交換管群(7B)の左半部に位置する隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、すなわちヒータコアの左半部の通風間隙を通った空気が運転席側に吹き出され、右側の最上流側熱交換管群(7C)における隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、および最下流側熱交換管群(7B)の右半部に位置する隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、すなわちヒータコアの右側の通風間隙を通った空気が助手席側に吹き出されるようになっているものとする。
この場合、運転席側の窓側の吹き出し口には、左側の最上流側熱交換管群(7A)における隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙を通った空気(以下、第5空気と称する)が送られ、同じく中央部の吹き出し口には、最下流側熱交換管群(7B)の左半部に位置する隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙を通った空気(以下、第6空気と称する)が送られる。また、助手席側の窓側の吹き出し口には、右側の最上流側熱交換管群(7C)における隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙を通った空気(以下、第7空気と称する)が送られ、同じく中央部の吹き出し口には、最下流側熱交換管群(7B)の右半部に位置する隣り合う熱交換管(4)どうしの間の通風間隙を通った空気(以下、第8空気と称する)が送られる。第5空気の温度をT5、第6空気の温度をT6、第7空気の温度をT7、第8空気の温度をT8とすれば、T5≒T7>T6≒T8という関係となる。そして、第5空気および第7空気が運転席側および助手席側の窓側の吹き出し口まで送られる距離が、第6空気および第8空気が運転席側および助手席側の中央部側の吹き出し口まで送られる距離よりも長いので、吹き出し口に至るまでに第5空気および第7空気が冷却される程度は、吹き出し口に至るまでに第6空気および第8空気が冷却される程度よりも大きくなる。
したがって、吹き出し口から吹き出される第5空気および第7空気の温度が、吹き出し口から吹き出される第6空気および第8空気の温度に近くなり、車室内の各部に吹き出される空気の温度が均一化される。
上述した実施形態においては、熱交換管群の数は3つであり、第1ヘッダタンクの第2空間の区画の数も3つであるが、これに限定されるものではなく、3以上であれば、適宜変更可能である。
この発明による熱交換器を適用したエバポレータの全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。 図1のエバポレータの後方から前方を見た一部省略垂直断面図である。 図2の一部を省略したA−A線断面図である。 図1のエバポレータにおける冷媒の流れを示す図である。 熱交換管の変形例を示す図3の上部に相当する図である。 第1ヘッダタンクの変形例を示す図1に相当する図である。 第1ヘッダタンクの変形例を示す図3の上部に相当する図である。 第2ヘッダタンクの変形例を示す図2に相当する図である。
(1)(20)(25)(30)(35):エバポレータ(熱交換器)
(2):第1ヘッダタンク
(3):第2ヘッダタンク
(4)(21):熱交換管
(7A)(7C):最上流側熱交換管群
(7B):最下流側熱交換管群
(8)(9)(31)(32):分流部材
(11):第1空間
(12):第2空間
(13):第3空間
(14):流体入口
(15)(26):流体出口
(16):仕切部材
(17A)(17B)(17C):区画
(18):第1流体通過穴
(19):第2流体通過穴

Claims (7)

  1. 互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間にヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の熱交換管とを備えた熱交換器であって、
    ヘッダタンクの長さ方向に連続して並んだ複数の熱交換管からなる熱交換管群が、ヘッダタンクの長さ方向に並んで3以上設けられ、ヘッダタンクの長さ方向両端部の熱交換管群が、当該熱交換管群を構成する熱交換管内を流体が最初に流れる最上流側熱交換管群となり、ヘッダタンクの長さ方向中央部の熱交換管群が、当該熱交換管群を構成する熱交換管内を流体が最後に流れる最下流側熱交換管群となっており、
    一方のヘッダタンク内が、分流制御部材によって当該ヘッダタンクの全長にわたり、かつ流体が流入する第1空間と、当該ヘッダタンクの全長にわたり、かつ熱交換管に通じる第2空間と、当該ヘッダタンクの全長にわたり、かつ流体が流出する第3空間とに分割されており、第2空間内が、仕切部材により熱交換管群の数と同数の区画に分割されるとともに、各熱交換管群の熱交換管が第2空間の各区画に通じさせられ、第1空間と第2空間を分割する分流制御部材に、第1空間と、第2空間における最上流側熱交換管群の熱交換管が通じている区画とを連通させる第1流体通過穴が形成され、第2空間と第3空間を分割する分流制御部材に、第2空間における最下流側熱交換管群の熱交換管が通じている区画と、第3空間とを連通させる第2流体通過穴が形成されている熱交換器。
  2. 第3空間の横断面積が、第1空間の横断面積よりも大きくなっている請求項1記載の熱交換器。
  3. 第1空間と第2空間を分割する分流制御部材が、一方のヘッダタンクにおける熱交換管が接続される壁の一側縁側から他側縁側に向かって熱交換管の長さ方向外側に傾斜している請求項1または2記載の熱交換器。
  4. 第2空間と第3空間を分割する分流制御部材が、一方のヘッダタンクにおける熱交換管が接続される壁の他側縁側から一側縁側に向かって熱交換管の長さ方向外側に傾斜している請求項3記載の熱交換器。
  5. 第1〜第3空間に分割されたヘッダタンクの一端側に、第1空間に通じる流体入口と、第3空間に通じる流体出口とが形成されている請求項1〜4のうちのいずれかに記載の熱交換器。
  6. 第1〜第3空間に分割されたヘッダタンクの一端側に、第1空間に通じる流体入口が形成され、当該ヘッダタンクの他端側に、第3空間に通じる流体出口が形成されている請求項1〜4のうちのいずれかに記載の熱交換器。
  7. 3つの熱交換管群が設けられており、ヘッダタンクの長さ方向両端の熱交換管群が最上流側熱交換管群となり、ヘッダタンクの長さ方向中央部の熱交換管群が最下流側熱交換管群となっている請求項1〜6のうちのいずれかに記載の熱交換器。
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