JP2010127344A - 正逆回転モータ用転がり軸受ユニット - Google Patents

正逆回転モータ用転がり軸受ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】サーボモータや揺動モータのような正逆回転するモータ用の出力軸側の転がり軸受においては耐フレッチング性能の更なる向上を図り、エンコーダ側の転がり軸受においては低発塵性の更なる向上を図る。
【解決手段】位置検出用のエンコーダを備え、正逆回転するモータに組み込まれる転がり軸受ユニットであって、モータの出力軸を支承する転がり軸受が、合成油及び鉱油から選ばれる少なくとも1種からなり、かつ、40℃における動粘度が30〜60mm/secである基油を含有する第1のグリース組成物を封入してなり、かつ、エンコーダを支承する転がり軸受が、合成炭化水素油及びエーテル油から選ばれる少なくとも1種からなり、かつ、40℃における動粘度が80〜120mm/sである基油を含有する第2のグリース組成物を封入してなる正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
【選択図】図1

Description

本発明は、サーボモータや揺動モータのように正逆回転するモータの、出力軸側及びエンコーダ側に使用される転がり軸受ユニットに関する。
図1に模式的に示すように、サーボモータ1は、一端に位置検出用のエンコーダ10を備え、他端が出力軸11となっている。回転軸11は、正逆、連続回転、高温、高速といった過酷な運転が要求されるため、回転軸11を支承する出力軸側の転がり軸受12は、内外輪軌道面と転動体との間でフレッチング摩耗が生じやすく、転動体にセラミック材を用いることが多い(例えば、特許文献1参照)。
一方、エンコーダ10側の転がり軸受13は、比較的荷重が低くなるため、フレッチング摩耗による損傷よりも、軸受からの潤滑油やグリース飛散、蒸発等の汚染が問題となり、
従来では転がり軸受13とエンコーダガラス基板14との間に油溜りを設ける等の対策が提案されている。また、潤滑には、鉱油やポリα−オレフィン油等の合成炭化水素油等の潤滑油や、前記潤滑油を基油とするグリースを循環させたり、軸受内に封入することが行なわれている(例えば、特許文献2参照)。
特許第3814925号公報 特開2004−26941号公報
しかしながら、サーボモータ1の運転はより過酷になることは必至であり、出力軸側の転がり軸受13には更なる耐フレッチング摩耗性能が求められる。一方で、エンコーダ側の転がり軸受14についても、油溜りを設ける等の構造上の対策だけでは不十分であり、潤滑油やグリースにはより低発塵性が求められている。
そこで本発明は、サーボモータや揺動モータのような正逆回転するモータ用の出力軸側の転がり軸受においては耐フレッチング性能の更なる向上を図り、エンコーダ側の転がり軸受においては低発塵性の更なる向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、下記を提供する。
(1)位置検出用のエンコーダを備え、正逆回転するモータに組み込まれる転がり軸受ユニットであって、
モータの出力軸を支承する転がり軸受が、合成油及び鉱油から選ばれる少なくとも1種からなり、かつ、40℃における動粘度が30〜60mm/secである基油を含有する第1のグリース組成物を封入してなり、かつ、
エンコーダを支承する転がり軸受が、合成炭化水素油及びエーテル油から選ばれる少なくとも1種からなり、かつ、40℃における動粘度が80〜120mm/secである基油を含有する第2のグリース組成物を封入してなることを特徴とする正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
(2)第1のグリース組成物がウレア化合物をグリース全量に対して8〜14質量%含有し、かつ、第2のグリース組成物がウレア化合物をグリース全量に対して10〜30質量%含有することを特徴とする上記(1)記載の正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
(3)第1のグリース組成物及び第2のグリース組成物が、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤及び油性剤から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
(4)サーボモータ用であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
(5)揺動モータ用であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
本発明によれば、サーボモータや揺動モータのような正逆回転するモータ用の出力軸側の転がり軸受の耐フレッチング性能、エンコーダ側の転がり軸受の低発塵性をこれまでよりも向上させることができる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
〔出力軸側転がり軸受〕
図1に示すように、出力軸側転がり軸受は、サーボモータや揺動モータの出力軸を支承するための軸受である。軸受自体の構造には制限がなく、内輪と外輪との間に保持器を介して複数の転動体を転動自在に保持し、更に、後述されるグリース組成物を封入して構成される。
(基油)
グリース組成物の基油は、合成油及び鉱油から選ばれる少なくとも1種である。合成油としてはエステル油、エーテル油、合成炭化水素油が挙げられる。特に、広い温度範囲で使用できることから合成炭化水素油を主成分とすることが望ましい。
エステル油としての制限は特にないが、二塩基酸と分岐アルコールとの反応から得られるジエステル油、炭酸エステル油、芳香族系三塩基酸と分岐アルコールとの反応から得られる芳香族エステル油、一塩基酸と多価アルコールとの反応から得られるポリオールエステル油等を好適に挙げることができる。ジエステル油としては、ジオクチルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルアジペート(DOZ)、ジブチルセバケート(DBS)、ジオクチルセバケート(DOS)、メチル・アセチルリシノレート(MAR-N)等が挙げられる。炭酸エステル油としては、直鎖または分岐アルキル基の炭素数6〜30のものが好ましい。芳香族エステル油としては、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等が挙げられる。ポリオールエステル油としては、以下に示す多価アルコールと一塩基酸とを適宜反応させて得られるものが挙げられる。多価アルコールに反応させる一塩基酸は、単独でも良いし、複数用いても良い。さらに、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステルとして用いても良い。多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリトール(PE)、ジペンタエリスリトール(DPE)、ネオペンチルグリコール(NPG)、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(MPPD)等が挙げられる。また、一塩基酸としては、主に炭素数4〜16の一価脂肪酸が用いられる。具体的には、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、エナント酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミステリン酸、パルミチン酸、牛脂脂肪酸、ステアリン酸、カプロレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノイン酸、リシノール酸等が挙げられる。
エーテル油としては、例えば(ジ)アルキルジフェニルエーテル油、(ジ)アルキルポリフェニルエーテル油、ポリアルキレングリコール油等が挙げられる。
合成炭化水素油としては、ポリ−α−オレフィン油等が挙げられる。
鉱油としては、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油を挙げることができる。
基油は、上記の合成由や鉱油をそれぞれ単独で使用してもよく、2種以上を組み合せて使用することもできるが、基油全体としての動粘度が30〜60mm/sec(40℃)とする。耐久性を考慮すると、40〜60mm/sec(40℃)が好ましい。さらには、正逆回転時のトルク変動を抑えるために、40〜55mm/sec(40℃)がより好ましい。
(増ちょう剤)
グリース組成物の増ちょう剤には、音響性及び耐熱性が良好なことからウレア化合物を用いる。好ましくは、一般式(1)で表されるジウレア化合物である。
Figure 2010127344
尚、式中のRは炭素数6〜20のアルキル基、またはシクロヘキシル基、炭素数7〜12のアルキルシクロヘキシル基を示し、Rは炭素数6〜15の2価の芳香族環含有炭化水素基を示す。
特に、Rが以下で表されるモル比において、0.3〜0.9であるジウレア化合物が好ましく、耐久性やグリース漏れを考慮すると0.5〜0.9であるジウレア化合物がより好ましい。
Figure 2010127344
増ちょう剤の含有量は、グリース全量に対して8〜14質量%であることが好ましい。8質量%未満であると、十分な増ちょう性が持てなくなり、離油やグリース漏れを発生させてしまう。また、14質量%を超えると流動性が悪くなり、音響性能やトルク性能に問題が生じる。尚、グリース組成物の混和ちょう度は、295以上325以下であることが好ましい。
(添加剤)
グリース組成物には、必要に応じて種々の添加剤を添加することができるが、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、油性剤を添加することが好ましい。これらは、それぞれ単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ジピリジルアミン、フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系化合物が挙げられる。また、2,6−ジ−tert−ジブチルフェノール等のフェノール系化合物等を使用することもできる。
防錆剤としては、例えば有機スルホン酸アンモニウム塩、スルホン酸金属塩(金属はアルカリ金属、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム、バリウム等)、亜鉛等)、カルボン酸塩、フェネート、ホスホネート等が挙げられる。また、アルキルコハク酸エステル、アルケニルコハク酸エステル等のようなアルキルコハク酸誘導体、アルケニルコハク酸誘導体も、防錆剤として好ましく使用できる。さらに、ソルビタンモノオレエート等の多価アルコールの部分エステル、オレオイルザルコシン等のヒドロキシ脂肪酸類、1−メルカプトステアリン酸等のメルカプト脂肪酸類及びその金属塩、ステアリン酸等の高級脂肪酸類、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、高級脂肪酸と高級アルコールとのエステル、チアジアゾール類(2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプトチアジアゾール等)、イミダゾール系化合物(2−デシルジチオベンゾイミダゾール、ベンズイミダゾール等)、ジスルフィド系化合物(2,5−ビス(ドデシルジチオ)ベンズイミダゾール等)、リン酸エステル類(トリスノニルフェニルフォスファイト等)、チオカルボン酸エステル系化合物(ジラウリルチオプロピオネート等)も使用可能である。さらに、亜硝酸塩も使用することができる。
金属不活性化剤としては、例えばベンゾトリアゾールやトリルトリアゾール等のトリアゾール系化合物が挙げられる。
油性剤としては、例えば、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸や、オレイルアルコール等の脂肪族アルコールや、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ポリグリセリルオレイン酸エステル等の脂肪酸エステルを使用することができる。また、リン酸、トリクレジルホスフェート、ラウリル酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸等のリン酸エステル等を使用することができる。
(調製方法)
グリース組成物は、常法に従い、基油に増ちょう剤及び添加剤を所定量配合し、混練機により混練することにより得られる。
〔エンコーダ側転がり軸受〕
図1に示すように、コンコーダ側転がり軸受は、サーボモータや揺動モータのエンコーダを支持するための軸受である。軸受自体の構造には制限がなく、内輪と外輪との間に保持器を介して複数の転動体を転動自在に保持し、更に、後述されるグリース組成物を封入して構成される。
(基油)
グリース組成物の基油は、合成油及び鉱油から選ばれる少なくとも1種であるが、優れた潤滑性能、トルク性能を有することから合成油が好ましく、中でも優れた発塵性能を備える合成炭化水素油及びエーテル油の少なくとも1種を含む潤滑油が好ましい。合成炭化水素油としてはポリαオレフィン油等を、エーテル油としてはジアルキルジフェニルエーテル油、アルキルトリフェニルエーテル油、アルキルテトラフェニルエーテル油等を挙げることができる。特に高温耐久性を考慮すると、アルキルジフェニルエーテルを必須成分(基油成分の50質量%以上)とする潤滑油が好ましい。また、低温流動性の観点からは、合成炭化水素油が最も好ましい。また、潤滑特性をより向上させるため、必要ならばエステル油を配合しても良い。配合するエステル油としては、ポリオールエステル油、芳香族エステル油が望ましい。このエステル油は、発塵特性を考慮すると、基油成分の50質量%未満が好ましい。
また、基油は、40℃における動粘度が80〜120mm/sであり、90〜110mm/secであることが好ましい。これは、80mm/sec(40℃)未満では高温で蒸発しやすく、120mm/sec(40℃)超では発塵量の増加に加え、トルクの増大を起こすためである。
グリース組成物の増ちょう剤には、ウレア化合物を用いる。ウレア化合物としてジウレア、トリウレア、テトラウレア、ポリウレア等を挙げることができる。これらのウレア化合物は、その分子中に金属元素以外の異元素を含んでいてもよく、また金属原子を含まない置換基を有していてもよい。ウレア化合物のグリース中の含有量は、グリース形態を形成し得る量であれば特に制限されるものではなく、10〜30質量%の範囲である。ウレア化合物はグリースの高温特性、特に高温での機械的安定性を改善する効果があり、10質量%未満ではその効果が十分に得られない。一方、30質量%を越える含有量では発塵量の増大だけでなく、トルクの上昇、潤滑性能の劣化を起こすことがある。また、発塵量を抑制するためには、適切な固さが必要である。このため、グリースの混和ちょう度は190〜230が好ましい。
(添加剤)
グリース組成物には、必要に応じて種々の添加剤を添加することができるが、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤、油性剤を添加することが好ましい。但し、低発陣とするために、硫黄や塩素、リンを含まないものがより好ましい。具体的には、防錆剤としてはコハク酸等のカルボン酸及びその誘導体、ソルビタン等の非イオン界面活性剤、酸化防止剤としてはアミン系、フェノール系酸化防止剤、油性剤としては長鎖脂肪酸系油性剤、金属不活性剤としてはベンゾトリアゾール系金属不活性剤等を用いることができる。
これら添加剤はそれぞれ単独で、もしくは適宜組み合わせて使用される。添加剤の配合量は、それぞれ単体としてグリース全量の0.1質量%以上であり、これ未満では添加剤の効果が現れない。但し、単独使用及び併用する場合も、総量でグリース全量の1質量%以下であることが好ましく、これを越えると発塵量が急増する。
(調製方法)
グリース組成物は、常法に従い、基油に増ちょう剤及び添加剤を所定量配合し、混練機により混練することにより得られる。尚、この混練に際して、グリース組成物には混練機や搬送容器等から金属が混入することがある。また、原料中に不純物として金属元素が含まれる場合もある。しかし、工程中の管理を十分行えばその混入量は極く微量に抑えることができ、本発明の効果を損なうものではない。従って、金属元素のグリース中への混入量は、分析装置の検出限界以下であることが最も望ましいが、30ppm程度の混入量は本発明において許容範囲であると考えられる。但し、Li、Na、Al、Ca、Ni、Zn、Mo、Sn、Sb、Ba、Pbは、本発明の技術分野を考慮すれば5ppm以下であることが必要である。また、同様の理由でCl、P、Sは20ppm以下であることが必要である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
〔試験1:出力軸側転がり軸受〕
(実施例1、2)
第1容器に合成炭化水素油(PAO)の半量と、シクロへキシルアミン及びステアリルアミンとを入れ(アミン比は表1に示す通り)、70〜80℃に加温する。第2容器に基油半量とジフェニルメタンジイソシアネートとを入れ、70〜80℃に加温し、これを第1容器に加え撹拌した。反応熱のため、反応物の温度は上昇するが、約30分間この状態で撹拌を続け、反応を十分に行った後、昇温し、170〜180℃で30分間保持し、冷却した。その後、酸化防止剤(アルキルジフェニルアミン)を添加し、ロールミルを通すことで試験グリースを得た。
(比較例1)
第1容器にエステル油の半量とシクロへキシルアミンとを入れ、70〜80℃に加温する。第2容器に基油半量とジフェニルメタンジイソシアネートとを入れ、70〜80℃に加温し、これを第1容器に加え撹拌した。反応熱のため、反応物の温度は上昇するが、約30分間この状態で撹拌を続け、反応を十分に行った後、昇温し、170〜180℃で30分間保持し、冷却した。その後、実施例1と同じ酸化防止剤を同量添加し、ロールミルを通すことで試験グリースを得た。
(比較例2)
ステアリン酸と水酸化リチウムとを基油(エステル油)中で反応させ、リチウム石けんを生成し、室温まで冷却してグリース組成物を調整した。その後、実施例1と同じ酸化防止剤を同量添加し、ロールミルを通すことで試験グリースを得た。
(高温耐久試験)
非接触ゴムシール付深溝玉軸受(内径φ25mm、外径φ62mm、幅17mm)に、実施例1及び比較例1、2の試験グリースを3.4g封入し、内輪回転速度10000min−1、外輪軸受温度140℃、ラジアル荷重98N、アキシアル荷重98Nの条件で連続回転試験を行い、試験軸受の温度が150℃に温度上昇したときに焼付き寿命と判断し、試験を停止させた。結果を図2に、比較例1の寿命時間を1とする相対値で示す。
(グリース漏れ試験)
非接触ゴムシール付深溝玉軸受(内径φ12mm、外径φ32mm、幅10mm)に、実施例1及び比較例1、2の試験グリースを0.55g封入し、内輪回転速度3000min−1、雰囲気温度80℃、アキシアル荷重39Nの条件で30分間連続回転試験を行い、グリースの漏れ具合を目視で確認した。試験は8回行った。評価基準は下記の通りであり、結果を表2に示す。
○:漏れなし
△:若干にじみあり
×:漏れあり
(トルク試験)
非接触ゴムシール付深溝玉軸受(内径φ12mm、外径φ32mm、幅10mm)に、実施例1及び比較例1、2の試験グリースを0.55g封入し、内輪回転速度1800min−1、雰囲気温度30℃、アキシアル荷重39Nの条件で連続回転試験を行い、10分後の動摩擦トルクを測定した。結果を図3に、比較例1のトルクを1とする相対値で示す。
(フレッチング試験)
非接触ゴムシール付深溝玉軸受(内径φ8mm、外径φ22mm、幅7mm)に、実施例1、2及び比較例1、2の試験グリースを160mg封入した。そして、図4に示す揺動フレッチング試験機20に軸受を組み込み、雰囲気温度30℃、アキシアル荷重39N、揺動角1°、揺動周波数30Hzの条件で500万シーク揺動試験させた。尚、図示される揺動フレッチング試験機20は、ACサーボモータ21によってハウジング22を介して軸受23の外輪を揺動駆動する構成になっている。試験後、軸受の軸受振動値を測定した。結果を図5に示す。
Figure 2010127344
Figure 2010127344
尚、表1には、グリース組成物の組成の他に、上記の各試験結果も併記してある。これら試験結果から、本発明に従う実施例の試験グリースを封入した転がり軸受は、耐フレッチング摩耗性に優れることに加え、高温での耐久性にも優れ、グリース漏れも起さず、低トルクであり、サーボモータや揺動モータの出力軸側転がり軸受に好適であることがわかる。
〔試験2:エンコーダ側転がり軸受〕
(実施例3、比較例3〜5)
表3に示す如く、基油、増ちょう剤及び添加剤(防錆剤;アルケニル琥珀酸誘導体、酸化防止剤;アルキルジフェニルアミン)を配合して試験グリースを調製した。そして、非接触ゴムシール付きの玉軸受に、試験グリースを軸受内空間容積の25%となるように充填して試験軸受とし、図6に示す評価試験機に組み込んで発塵性を評価した。尚、図中の符号Aは擬似エンコーダのディスク(ガラス板)であり、符号Bは試験軸受である。試験条件は、試験軸受Bを100℃で、回転数3000min−1で65時間連続して回転させた後、ディスクAへの付着物の有無を観測した。付着量が多量の場合を「×」、極く微量の付着を「△」、付着なしを「○」とした。試験は8回行い、結果を表4に示す。
Figure 2010127344
Figure 2010127344
表4に示すように、比較例の試験グリースを封入した試験軸受では、最も少ないものでも、8回中6回の付着があったのに対し、実施例3の試験グリースを封入した試験軸受では8回のうち2回しか付着が無く、しかもその2回とも付着量が極く微量であり、低発塵性に優れることがわかる。
また、実施例3の試験グリースについて、原子吸光分析装置を用いて成分分析を行ったところ、金属元素は検出されなかった。
サーボモータの一例を示す図である。 高温耐久性試験の結果を示すグラフである。 トルク試験の結果を示すグラフである。 揺動フレッチング試験機の構成を示す図である。 フレッチング試験の結果を示すグラフである。 発塵性能の評価に用いた試験装置を示す図である。
符号の説明
1 サーボモータ
10 エンコーダ
11 出力軸
12 出力軸側転がり軸受
13 エンコーダ側転がり軸受
14 エンコーダガラス基板

Claims (5)

  1. 位置検出用のエンコーダを備え、正逆回転するモータに組み込まれる転がり軸受ユニットであって、
    モータの出力軸を支承する転がり軸受が、合成油及び鉱油から選ばれる少なくとも1種からなり、かつ、40℃における動粘度が30〜60mm/secである基油を含有する第1のグリース組成物を封入してなり、かつ、
    エンコーダを支承する転がり軸受が、合成炭化水素油及びエーテル油から選ばれる少なくとも1種からなり、かつ、40℃における動粘度が80〜120mm/secである基油を含有する第2のグリース組成物を封入してなることを特徴とする正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
  2. 第1のグリース組成物がウレア化合物をグリース全量に対して8〜14質量%含有し、かつ、第2のグリース組成物がウレア化合物をグリース全量に対して10〜30質量%含有することを特徴とする請求項1記載の正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
  3. 第1のグリース組成物及び第2のグリース組成物が、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化剤及び油性剤から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または2記載の正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
  4. サーボモータ用であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
  5. 揺動モータ用であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の正逆回転モータ用転がり軸受ユニット。
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