JP2010126814A - 抗ウイルス用繊維および該繊維を含む繊維構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、アクリル系繊維を改質して得られる抗ウイルス性を有する繊維および該繊維を含む繊維構造物を提供することにある。
【解決手段】本発明の目的は、アクリル系繊維を1分子中の全アミノ基数が3以上であり、かつ、1級アミノ基数が2以上であって、アミノ基間をアルキレン基で結合した構造を有するアミノ基含有有機化合物で処理することによって繊維中に架橋構造とアミノ基を同時に導入して得られる抗ウイルス用繊維により達成され、とりわけ、アミノ基含有有機化合物が、アミノ基間を炭素数が3以上のアルキレン基で結合した構造および3級アミノ基を有する場合に優れた効果が発現される。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗ウイルス用繊維に関する。詳細には、アクリル系繊維とアミノ基含有有機化合物とを反応させることで得られる抗ウイルス用繊維に関する。
ウイルス感染は、ウイルス感染者から放出されたウイルスを含む飛沫(くしゃみ等)に直接接触する場合のみならず、ウイルス感染者が触れた衣服やタオルなどに接触(間接接触)することによっても生じる。例えばウイルス感染を防止する手段として一般的にマスクが使用されているが、使用時間が長くなると、マスクのフィルター部にウイルスが濃縮された状態となるため、マスクの脱着時にマスク本体に触れるとウイルスが手に付着し、その手でタオルや衣服に触れることによって、ウイルスがタオルや衣服に付着する。そして、第三者が該ウイルス付着箇所に触れると、手にウイルスが付着し、二次感染を引き起こす。
こうした問題に鑑み、ウイルスを撲滅するあるいはウイルスの増殖を抑制する技術が各種提案されている。例えば、銀を利用するもの(特許文献1、2)、4級アンモニウムを利用するもの(特許文献3、4)、金属ピリチオンを利用するもの(特許文献5、6)などを挙げることができる。
国際公開第2005/083171号パンフレット 特開平11−19238号公報 特開2008−115506号公報 特開2001−303372号公報 特開2006−9232号公報 特開2005−281951号公報
本発明者は、かかる事情に鑑み、鋭意検討を進めた結果、アクリル系繊維を特定のアミノ基含有有機化合物で処理することによって得られた繊維が優れた抗ウイルス性能を有することを見出し本発明に到達した。本発明の目的は、アクリル系繊維を改質して得られる抗ウイルス性を有する繊維および該繊維を含む繊維構造物を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の手段により達成される。すなわち、
[1]アクリル系繊維を1分子中の全アミノ基数が3以上であり、かつ、1級アミノ基数が2以上であって、アミノ基間をアルキレン基で結合した構造を有するアミノ基含有有機化合物で処理することによって繊維中に架橋構造とアミノ基を同時に導入して得られる抗ウイルス用繊維。
[2]アミノ基含有有機化合物が、アミノ基間を炭素数が3以上のアルキレン基で結合した構造を有するものであることを特徴とする[1]に記載の抗ウイルス用繊維。
[3]アミノ基含有有機化合物が、3級アミノ基を有することを特徴とする[1]または[2]に記載の抗ウイルス用繊維。
[4]アミノ基量が0.1mmol/g以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の抗ウイルス用繊維。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の抗ウイルス用繊維を含む繊維構造物。
本発明の抗ウイルス用繊維は、4級アンモニウムや金属ピリチオンをを後加工により付与した場合のような脱落による性能低下や銀を用いた場合に懸念される変色のない繊維である。かかる本発明の抗ウイルス用繊維は抗ウイルス性の求められる様々な用途へ展開することが可能である。
以下、本発明を詳述する。本発明の抗ウイルス用繊維は、アクリル系繊維を1分子中の全アミノ基数が3以上であり、かつ、1級アミノ基数が2以上であって、アミノ基間をアルキレン基で結合した構造を有するアミノ基含有有機化合物で処理することによって繊維中に架橋構造とアミノ基を同時に導入したものである。ここで、アミノ基は抗ウイルス性能に寄与すると考えられ、一方で繊維の親水性を高める。架橋構造はアミノ基により親水性が高まった繊維が水に溶解して形状が変化したり、強度が低下したりすることを抑制する効果がある。
本発明に採用するアクリル系繊維としてはアクリロニトリル(以下ANという)系重合体により形成された繊維であればよく、AN系重合体としては、AN単独重合体あるいはANと他の単量体との共重合体のいずれでも採用しうる。
また、本発明において、アミノ基はアクリル系繊維を形成するAN系重合体のニトリル基とアミノ基含有有機化合物の反応により導入されるので、ANの共重合量が少なすぎる場合、導入されるアミノ基量が少なくなり、十分な抗ウイルス性能を発現させることができない。このため、AN共重合量としては、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上のとき良好な結果を得られやすい。
AN系重合体としてANと他の単量体との共重合体を採用する場合、AN以外の共重合成分としてはメタリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体及びその塩、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボン酸基含有単量体及びその塩、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等の単量体など、ANと共重合可能な単量体であれば特に限定されない。
また、本発明に採用するアクリル系繊維の製造手段は特に制限がなく、基本的には公知の方法をそのまま適用して製造すればよい。形態としては、短繊維、トウ、糸、編織物、不織布等いずれの形態のものでもよく、また、製造工程中途品、廃繊維などでも採用できる。
本発明に採用するアミノ基含有有機化合物は、1分子中の全アミノ基数が3以上であり、かつ、1級アミノ基数が2以上であって、アミノ基間をアルキレン基で結合した構造を有するものである必要がある。かかるアミノ基含有有機化合物を用いることで、架橋構造とアミノ基を1工程で同時に導入することが可能となる。すなわち、該化合物中の1級アミノ基が、アクリル系繊維を構成するAN系重合体中のニトリル基と反応し、AN系重合体間に該化合物を介した架橋構造が形成される。そして、架橋反応で消費されなかった残りのアミノ基はそのまま該アクリル系繊維に固定化されることとなり、抗ウイルス性能の発現に寄与すると考えられる。
ここで、アミノ基含有有機化合物において、全アミノ基数が3未満であると架橋反応に全てのアミノ基が消費され、十分な抗ウイルス性能が得られにくくなり、1級アミノ基数が2未満であると架橋構造が導入されにくくなる。また、アミノ基間をアルキレン基で結合した構造でない場合にも、十分な抗ウイルス性能が得られにくくなる。これについてはアミノ基への電子供与が少なくなることが影響しているものと推定される。
かかるアミノ基含有有機化合物の具体例としては、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、ラウリルイミノビスプロピルアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−ブチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブチレンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミンなどのポリアミン類などが挙げられる。
なかでも、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、ラウリルイミノビスプロピルアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−ブチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブチレンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなどのアミノ基間を炭素数が3以上のアルキレン基で結合した構造を有するアミノ基含有有機化合物はアクリル系繊維との反応速度が速く、100℃以下の処理温度でも短時間で反応できるので、必ずしも圧力容器を使用しなくてもよく、コスト的に有利で好ましい。さらに、かかる構造を有するアミノ基含有有機化合物の場合、反応後の繊維を着色の少ないものにできる。なお、ここで言う炭素数とは、アミノ基を直接結ぶ炭素の数のことであって、分岐鎖や置換基などの炭素の数は含まない。なお、アミノ基間を炭素数が5以上のアルキレン基で結合した構造を有するアミノ基含有有機化合物は特殊で市場からの入手が困難であり、工業的に利用しにくい。
さらに、アミノ基含有有機化合物としては、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、ラウリルイミノビスプロピルアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンのような3級アミノ基を有するものであることがより望ましい。このようなアミノ基含有有機化合物を採用することでより優れた抗ウイルス性能を発現させることが可能である。3級アミノ基はアミノ基への電子供与が多く、このことが抗ウイルス性能向上に影響しているものと推定される。
本発明の抗ウイルス用繊維のアミノ基量としては、好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは、0.5mmol/g以上である。0.1mmol/g未満の場合には十分な抗ウイルス性能が得られにくい。また、上限については特に制限はないが、5mmol/g以下であれば、繊維物性の面から利用しやすいものが得られやすいと考えられる。
また、本発明の抗ウイルス用繊維の架橋構造の量については、得られる繊維の引張強度として0.4cN/dtex以上、引張伸度として15%以上となるようにすることが実用面においては望ましい。
上記のアミノ基量は、採用するアミノ基含有有機化合物の種類、すなわち、該化合物のアミノ基数および導入量により調節することができる。また、架橋構造量はアミノ基量に比例して増加する傾向となる。しかし、採用するアミノ基含有有機化合物の種類を選択することにより、架橋構造量とアミノ基量のバランスを調節することも可能である。例えば、1分子中に多くの2級あるいは3級アミノ基を有する化合物を用いれば、アミノ基量を多くしつつ、架橋構造を少なくすることができる。反対に、1分子中のアミノ基の数が少ない化合物を用いれば、アミノ基量を少なくしつつ、架橋構造を多くすることもできる。
アミノ基含有有機化合物でアクリル系繊維を処理する方法としては、特に制限されるものではないが、アミノ基含有有機化合物の水溶液を用意し、アクリル系繊維を該水溶液に浸漬、もしくは、アクリル系繊維に該水溶液を噴霧、もしくは塗布し処理する方法が挙げられる。
アミノ基含有有機化合物でアクリル系繊維を処理する条件としては、特に制限はなく、採用するアミノ基含有有機化合物とアクリル系繊維との反応性や所望のアミノ基量および架橋構造量、すなわち抗ウイルス性能、繊維物性などを勘案し、適宜選定することができる。例えば、上述したアクリル系繊維をアミノ基含有有機化合物水溶液に浸漬する方法の場合であれば、アミノ基含有有機化合物水溶液の濃度を、アクリル系繊維に対し1質量%以上となるようにした場合、上述した0.1mmol/g以上のアミノ基量が得られやすい。
また、反応温度としては、使用するアミノ基含有有機化合物の種類によって程度の差はあるが、低すぎる場合には、反応速度が遅くなって長時間の反応時間が必要となり、高すぎる場合には、アミノ基含有有機化合物の分解が懸念される。そのため、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは80℃〜150℃で反応させた場合好ましい結果を得る場合が多い。反応時間については、反応温度等にもよるが通常30分〜48時間ぐらいで目的とする量の架橋構造とアミノ基を導入することができる。特に、本発明に採用するアミノ基含有有機化合物において、アミノ基間を炭素数が3以上のアルキレン基で結合した構造を有するものの場合、30分〜4時間程度で目的とする量の架橋構造とアミノ基を導入することができる。
上述してきた本発明の抗ウイルス用繊維において、抗ウイルス性能の対象となるウイルスは、ゲノム種類、及びエンベロープの有無等によらず、全てのウイルスが含まれる。例えば、ゲノムとしてDNAを有するウイルスとしては、ヘルペスウイルス、天然痘ウイルス、牛痘ウイルス、水疱瘡ウイルス、アデノウイルス等が挙げられ、ゲノムとしてRNAを有するウイルスとしては、麻疹ウイルス、インフルエンザウイルス、コクサッキーウイルス等が挙げられる。また、これらのウイルスのうち、エンベロープを有するウイルスとしては、ヘルペスウイルス、天然痘ウイルス、牛痘ウイルス、水疱瘡ウイルス、麻疹ウイルス、インフルエンザウイルス等が挙げられ、エンベロープを有さないウイルスとしては、アデノウイルス、コクサッキーウイルス等が挙げられる。
また、本発明の抗ウイルス用繊維は、抗ウイルス性能だけでなく、アニオン交換、酸性ガス除去、吸湿、調湿、抗菌性、抗かび性などの機能も発現するものである。
本発明の繊維構造物に、本発明の抗ウイルス用繊維を含有させる方法としては、上述のようにして得られた抗ウイルス用繊維を用いて繊維構造物を形成する方法や、本発明の抗ウイルス用繊維の原料となるアクリル系繊維を用いて作成した繊維構造物に上述したような処理を施して、該繊維構造物中のアクリル系繊維に架橋構造とアミノ基を導入する方法などを挙げることができる。
また、本発明の繊維構造物の外観形態としては、糸、ヤーン、フィラメント、織物、編物、不織布、紙状物、シート状物、積層体、綿状体などがあり、さらにはそれらに外被を設けた物が挙げられる。これらの繊維構造物において、本発明の抗ウイルス用繊維を単独で使用してもよいが、他の機能性繊維や活性炭繊維、あるいは、一般的な天然繊維や合成繊維などと組み合わせて使用することも可能である。
かかる本発明の抗ウイルス用繊維を含有する繊維構造物は、各種フィルター、マスク、タオル、靴下、インソール、壁紙などとして使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。本発明は、これらの実施例の記載によってその範囲を何等限定されるものではない。実施例中の部及び百分率は、断りのない限り質量基準で示す。また、実施例中の評価方法については以下のとおりである。
(1)アミノ基量
充分乾燥した試料約0.5gを精秤し(X[g])、イオン交換が充分行われる量の0.1N−塩酸標準液(Z[ml])が入ったビーカーに浸漬する。試料をろ過し、ろ液にフェノールフタレイン溶液を指示薬として添加する。このろ液を0.1N−水酸化ナトリウム標準水溶液で滴定し、残留塩酸を定量した。その時の0.1N−水酸化ナトリウム標準水溶液の滴定量をY[ml]、塩酸標準液のファクターをf[HCl]、水酸化ナトリウム標準液のファクターをf[NaOH]として、次式により、アミノ基量を算出した。

アミノ基量[mmol/g]=(0.1×Z×f[HCl]−0.1×Y×f[NaOH])/X
(2)引張強度および引張伸度
JIS L 1015 7.7引張強さ及び伸び率 7.7.1標準時試験に従い、引張強度[cN/dtex]および引張伸度[%]を求めた。
(3)プラーク法[PFU](試験ウイルス:単純ヘルペスウイルス1型、牛痘ウイルス、麻疹ウイルス)
MEM(Mininum essential mediumu)/牛胎児血清=9/1を含む培地(以下、MEM培地)に、アフリカミドリザル腎臓細胞(Vero細胞)を添加し、24wellマイクロプレートに入れて培養し、細胞単層フィルムとした。一方、バイアル入りの凍結保存ウイルスを、バイアル1本/100mLとなるよう均衡塩類溶液(PBS)に分散してウイルス液とした。長さ2〜3mmに切断した試料をウイルス種類に応じて表1に示す繊維濃度となるように、試料10mgあるいは100mgに対して前記ウイルス液を10mLを加え、水平回転法により1時間撹拌した後、2000rpm、10分間遠心分離を行った。上澄液を上記MEM培地で希釈倍率10〜10となるよう希釈した後、上記培養細胞単層フィルムに、0.1mL接種し、37℃1時間で吸着させた。この上にさらに、メチルセルロース液で重ねて層を形成し、37℃で2〜3日間培養した。
その後、クリスタル紫染料により生存細胞を染色し、不染部である死滅細胞(プラーク)数を計数し、この計数値より、ウイルス感染価log10(PFU/mL);(PFU:plaque−formingunits)を算出した。また、ブランクに関しては、試料を用いず上記と同様の操作を行い、ウイルス感染価を算出した。得られたウイルス感染価を用いて、下記式より、ウイルスの不活性化率を計算した。

ウイルス不活性化率(%)=100×(10ブランクのウイルス感染価−10試料のウイルス感染価)/(10ブランクのウイルス感染価
(4)50%感染価法[TCID50](試験ウイルス:インフルエンザウイルスA(H1N1)PR8株)
長さ2〜3mmに切断した試料100mgに対してウイルス液を10mLを加え、28℃に維持しながら1時間振盪した後、遠心分離処理(3000rpm、30分間)する。遠心分離処理後、上澄液を10倍段階希釈し、Madin−Darby Canine Kidney細胞(MDCK細胞)を用いてTCID50(50%感染価)を測定し、ウイルス感染価log10(TCID50/mL)を算出した。また、ブランクに関しては、試料を用いず上記と同様の操作を行い、ウイルス感染価を算出した。得られたウイルス感染価を用いて、下記式より、ウイルスの不活性化率を算出した。

ウイルス不活性化率(%)=100×(10ブランクのウイルス感染価−10試料のウイルス感染価)/(10ブランクのウイルス感染価
(5)50%感染価法[TCID50](試験ウイルス:アデノウイルス5型)
上述したインフルエンザウイルスの場合の評価方法において、MDCK細胞の代わりにHeLa細胞を用いること以外は同様にしてウイルス不活性化率を算出した。
[実施例1]
AN88%、酢酸ビニル12%からなるAN系重合体(30℃ジメチルホルムアミド中での極限粘度[η]:1.2)10部を48%のロダンソーダ水溶液90部に溶解した紡糸原液を定法に従って紡糸、水洗、延伸、乾燥、湿熱処理等を施して、0.9dtexのアクリル系繊維を得た。アクリル系繊維10部を、該繊維に対して300%のN−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)を含む水溶液200部に浸漬し、処理温度115℃、処理時間8時間で処理、水洗、乾燥し、実施例1の抗ウイルス用繊維を得た。該繊維のアミノ基量は2.5mmol/g、引張強度は0.9cN/dtex、引張伸度は45%であった。
実施例1の抗ウイルス用繊維を試料として上述した方法で抗ウイルス性能評価を行い、ウイルス不活性化率を求めた。結果を表1に示す。表1からわかるように本発明の抗ウイルス用繊維は各種ウイルスに対してウイルス不活性化率99%以上を示した。医療分野のように高度の抗ウイルス性能が求められる分野においては、好ましくは90%以上、より好ましくは99%以上のウイルス不活性化率が求められるが、実施例1の抗ウイルス用繊維はかかる分野に対しても十分利用できるような優れた抗ウイルス性能を示すものである。
Figure 2010126814
[実施例2]
実施例1において、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)の代わりに3,3’−イミノビス(プロピルアミン)を用いること以外は同様にして、実施例2の抗ウイルス用繊維を得た。該繊維のアミノ基量は2.7mmol/g、引張強度は0.7cN/dtex、引張伸度は63%であった。また、該繊維は、実施例1の抗ウイルス用繊維ほどではないものの、インフルエンザウイルスに対して43.77%のウイルス不活性化率を有するものであった。
[比較例1]
実施例1で得られたアクリル系繊維を用いて抗ウイルス性能を評価した。該繊維のインフルエンザウイルスに対するウイルス不活性化率は0%であり、抗ウイルス性能を有さないものであった。

Claims (5)

  1. アクリル系繊維を1分子中の全アミノ基数が3以上であり、かつ、1級アミノ基数が2以上であって、アミノ基間をアルキレン基で結合した構造を有するアミノ基含有有機化合物で処理することによって繊維中に架橋構造とアミノ基を同時に導入して得られる抗ウイルス用繊維。
  2. アミノ基含有有機化合物が、アミノ基間を炭素数が3以上のアルキレン基で結合した構造を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス用繊維。
  3. アミノ基含有有機化合物が、3級アミノ基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の抗ウイルス用繊維。
  4. アミノ基量が0.1mmol/g以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗ウイルス用繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の抗ウイルス用繊維を含む繊維構造物。
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