JP2010126617A - 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法 - Google Patents

接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010126617A
JP2010126617A JP2008302112A JP2008302112A JP2010126617A JP 2010126617 A JP2010126617 A JP 2010126617A JP 2008302112 A JP2008302112 A JP 2008302112A JP 2008302112 A JP2008302112 A JP 2008302112A JP 2010126617 A JP2010126617 A JP 2010126617A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive
adhesive layer
adhesive composition
energy ray
semiconductor chip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008302112A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5513734B2 (ja
Inventor
Yasunori Karasawa
泰紀 柄澤
Isao Ichikawa
功 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lintec Corp
Original Assignee
Lintec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Lintec Corp filed Critical Lintec Corp
Priority to JP2008302112A priority Critical patent/JP5513734B2/ja
Publication of JP2010126617A publication Critical patent/JP2010126617A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5513734B2 publication Critical patent/JP5513734B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Dicing (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Die Bonding (AREA)

Abstract

【課題】半導体チップを実装したパッケージにおいて、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても、接着界面での剥離やパッケージクラックの発生がない、高いパッケージ信頼性を達成できる接着剤組成物、及び前記接着剤組成物からなる接着剤層がが基材上に剥離可能に形成されてなる接着シートの提供。
【解決手段】アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)、およびイソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性ウレタンアクリレート(C)を含む接着剤組成物、及び前記接着剤組成物を用いた接着シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウエハなどをダイシングし半導体チップを得て、半導体チップを有機基板やリードフレーム上にダイボンディングする工程で使用するのに特に適した接着剤組成物、および該接着剤組成物からなる接着剤層を有する接着シート、ならびに該接着シートを用いた半導体装置の製造方法に関する。
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハは大径の状態で製造され、この半導体ウエハは、素子小片(半導体チップ)に切断分離(ダイシング)された後に次の工程であるボンディング工程に移されている。この際、半導体ウエハは予め粘着シートに貼着された状態でダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディング、ピックアップの各工程が加えられた後、次工程のボンディング工程に移送される。
これらの工程の中でピックアップ工程とボンディング工程のプロセスを簡略化するために、ウエハ固定機能とダイ接着機能とを同時に兼ね備えたダイシング・ダイボンディング用接着シートが種々提案されている(たとえば、特許文献1〜4参照)。ダイシング・ダイボンディング用接着シートの接着剤層は、ウエハのダイシング時にはウエハを固定し、ダイシング時にウエハとともにダイシングされ、チップと同形状の接着剤に切断される。その後、チップのピックアップを行うと、チップ裏面に接着剤層が残着した状態でピックアップされる。チップ裏面に残着した接着剤層を介して、チップをリードフレーム等のチップ搭載部に載置し、160℃程度で接着剤層を熱硬化することで、ダイボンドが完了する。次いで、樹脂封止して半導体装置が得られる。その後、半田リフローなどにより半導体装置を所望の箇所に実装する。
上記特許文献1〜4に開示されている接着シートは、いわゆるダイレクトダイボンディングを可能にし、ダイ接着用接着剤の塗布工程を省略できるようになる。このような接着シートは一般にエネルギー線硬化性と熱硬化性とを有し、アクリル系の粘着剤とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂およびエネルギー線硬化性を付与するためにエネルギー線硬化性化合物が配合されている。
なお、特許文献5および6には、イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物を配合した粘着剤層を有するダイシングシートが開示されている。これら公報に記載のダイシングシートにおける粘着剤層には、熱硬化性成分が配合されていないため、ウエハ固定機能を有するものの、ダイ接着機能は有さない。
特開平2−32181号公報 特開平8−239636号公報 特開平10−8001号公報 特開2000−17246号公報 特開平7−193028号公報 特開平7−29860号公報
近年、半導体装置に対する要求特性は非常に厳しいものとなっている。たとえば、厳しい湿熱環境下におけるパッケージ信頼性が求められている。しかし、半導体チップ自体が薄型化した結果、チップの強度が低下し、厳しい湿熱環境下におけるパッケージ信頼性は十分なものとは言えなくなってきた。
また、電子部品の接続において行われている表面実装法ではパッケージ全体が半田融点以上の高温下にさらされる表面実装法(リフロー)が行われている。最近では環境への配慮から鉛を含まない半田へ移行したことにより、実装時の最大温度が従来の230〜240℃から260〜265℃へと上昇し、半導体パッケージ内部で発生する応力が大きくなり、接着界面での剥離やパッケージクラックの危険性はさらに高くなっている。
以上のように、実装温度の上昇がパッケージの信頼性低下を招いており、厳格化しつつある半導体パッケージの信頼性に対して、従来の接着剤では要求レベルを満たせなくなってきた。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、高温度高湿度に曝された場合であってもチップ裏面への密着性が高く保たれた接着剤組成物および接着シート、ならびにこの接着剤組成物を用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題の解決を目的として鋭意研究した結果、接着剤組成物中に含まれるエネルギー線硬化性化合物として、イソシアヌレート骨格を有する化合物を使用することで、ピックアップ性を損なうことなく、ウエハとの密着性、接着性が向上し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても、接着界面での剥離やパッケージクラックが発生しないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の要旨を含む。
(1)アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)、およびイソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)を含む接着剤組成物。
(2)前記イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)が下記式にて示される化合物である(1)に記載の接着剤組成物。
Figure 2010126617
(式中、a、b、cはそれぞれ独立に1〜6の整数であり、p+q+rは0〜9の範囲にある)
(3)上記(1)または(2)に記載の接着剤組成物からなる接着剤層が基材上に剥離可能に形成されてなる接着シート。
(4)上記(3)に記載の接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼着し、該半導体ウエハをダイシングして半導体チップとし、該半導体チップ裏面に該接着剤層を固着残存させて基材から剥離し、該半導体チップをダイパッド部上、または別の半導体チップ上に該接着剤層を介して載置する工程を含む半導体装置の製造方法。
本発明によれば、半導体チップを実装したパッケージにおいて、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても、半導体チップや基板などとの接着界面での剥離やパッケージクラックの発生がない、高いパッケージ信頼性を達成できる接着剤組成物および該接着剤組成物からなる接着剤層を有する接着シートならびに該接着シートを用いた半導体装置の製造方法が提供される。
以下、本発明について、その最良の形態も含めてさらに具体的に説明する。本発明に係る接着剤組成物は、アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)、およびイソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)を必須成分として含有し、さらに、各種物性を改良するため、必要に応じ他の成分が含まれていてもよい。以下、これら各成分について具体的に説明する。
(A)アクリル重合体
接着剤組成物に十分な接着性および造膜性(シート加工性)を付与するためにアクリル重合体(A)が用いられる。アクリル重合体(A)としては、従来公知のアクリル重合体を用いることができる。
アクリル重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、1万以上200万以下であることが望ましく、10万以上150万以下であることがより望ましい。アクリル重合体(A)の重量平均分子量が低過ぎると接着剤層と基材との粘着力が高くなり、ピックアップ不良が起こることがあり、高過ぎるとチップ搭載部の凹凸へ接着剤層が追従できないことがあり、ボイドなどの発生要因になることがある。
アクリル重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−60℃以上50℃以下、さらに好ましくは−50℃以上40℃以下、特に好ましくは−40℃以上30℃以下の範囲にある。アクリル重合体(A)のガラス転移温度が低過ぎると接着剤層と基材との剥離力が大きくなってチップのピックアップ不良が起こることがあり、高過ぎるとウエハを固定するための接着力が不十分となるおそれがある。
上記アクリル重合体(A)を構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体が挙げられる。例えば、アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ;環状骨格を有する(メタ)アクリレート、例えばシクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレートなどが挙げられ;水酸基を有するヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中では、水酸基を有しているモノマーを重合して得られるアクリル重合体が、後述するエポキシ系熱硬化性樹脂(B)との相溶性が良いため好ましい。また、上記アクリル重合体(A)は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンなどが共重合されていてもよい。
本発明においては、加熱硬化後の接着剤層の架橋密度を低くすることで、接着剤層に柔軟性を付与し、接着界面に集中する負荷を緩和して安定した接着性能を維持するために、接着剤組成物には、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)以外にエポキシ基を有する成分を含まないことが好ましい。すなわち、アクリル重合体には、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有アクリルモノマーを含まないことが好ましい。
(B)エポキシ系熱硬化性樹脂
エポキシ系熱硬化性樹脂(B)としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ系熱硬化性樹脂(B)としては、具体的には、特開2000−225432号公報に記載の多官能系エポキシ樹脂や、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂など、分子中に2官能以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の接着剤組成物には、アクリル重合体(A)100重量部に対して、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)が、好ましくは1〜1500重量部含まれ、より好ましくは3〜1200重量部含まれる。エポキシ系熱硬化性樹脂(B)の含有量が1重量部未満であると十分な接着性が得られないことがあり、1500重量部を超えると接着剤層と基材との剥離力が高くなり、ピックアップ不良が起こることがある。
(C)イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物
接着剤組成物には、イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)が配合される。エネルギー線硬化性化合物(C)は、下記式にて示されるイソシアヌレート骨格を有し、またエネルギー線重合性基を含み、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する。
Figure 2010126617
式中R〜Rは、エネルギー線重合性基を含む置換基であり、好ましくは(メタ)アクリロイル基であるか、または(メタ)アクリロイル基を含む置換基である。(メタ)アクリロイル基は、イソシアヌレート骨格に直接結合していてもよく、またエーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、短鎖のアルキレン基、あるいはこれらの複合基を介して結合していてもよい。エーテル結合、エステル結合および短鎖のアルキレン基を含む複合基を化合物(C)中に導入することで、他の成分との混和性が向上する。好ましいエネルギー線硬化性化合物(C)としては、下記式にて示される化合物があげられる。
Figure 2010126617
式中、a、b、cはそれぞれ独立に1〜6、好ましくは1〜5の整数であり、p+q+rは0〜9、好ましくは1〜6の範囲にある。また、p、q、rはそれぞれ独立に好ましくは0〜3、特に好ましくは0〜2の整数である。
特に、本発明においては、(a,b,c,p+q+r)が(5,5,5,1)、(5,5,5,3)、(5,5,5,6)のエネルギー線硬化性化合物(C)が好ましく用いられる。また、エネルギー線硬化性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは400〜1500であり、さらに好ましくは500〜1200の範囲にある。上記エネルギー線硬化性化合物(C)の製法は特に限定はされないが、たとえば上記式でa,b、cの何れかが5である化合物は、トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートをε−カプロラクトンで変性して得られる。このようなイソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)のさらに具体的な例としては、新中村化学工業株式会社製NKエステル9300−1CL(分子量531)、NKエステル9300−3CL(分子量759)、NKエステル9300−6CL(分子量1101)などがあげられる。
イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)は、イソシアヌレート骨格に由来する極性を有するため、シリコンなどからなる半導体ウエハに対する濡れ性が高く、ウエハとの密着性、接着性が向上する。したがって、イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)を硬化することで、ウエハと接着剤層とが高い接着強度で密着するため、リフロー時の過酷な熱湿条件下においても、ウエハとの接着界面での剥離やパッケージクラックが発生しない。また、イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)は、接着シートの基材に対する親和性が低いため、エネルギー線重合性化合物(C)をエネルギー線照射によって硬化させることで、接着剤層と基材との粘着力は低下し、半導体チップのピックアップ工程における基材と接着剤層との層間剥離を容易に行えるようになる。
エネルギー線重合性化合物(C)の接着剤組成物における含有量は、アクリル重合体(A)およびエポキシ系熱硬化性樹脂(B)の合計100重量部に対して通常10〜200重量部、好ましくは15〜180重量部、より好ましくは20〜160重量部である。エネルギー線重合性化合物(C)の配合量が過剰であると、有機基板やリードフレームに対する接着剤層の接着性を低下させることがある。
その他の成分
本発明に係る接着剤組成物は、上記アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)、およびイソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)に加えて下記成分を含むことができる。
(C’)その他のエネルギー線重合性化合物
本発明の接着剤組成物において、エネルギー線重合性化合物としては、上記イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)のみを使用してもよく、また必要に応じ、他のエネルギー線重合性化合物を併用してもよい。このような他のエネルギー線重合性化合物(C’)として具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4-ブチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が挙げられる。このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、通常は、重量平均分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000程度である。他のエネルギー線重合性化合物を併用する場合には、イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)の全量100重量部に対して、20重量部以下の量で用いることが好ましい。
(D)フェノール系硬化剤
フェノール系硬化剤(D)は、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)に対する硬化剤として機能する。好ましいフェノール系硬化剤(D)としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。
フェノール系硬化剤(D)の具体的な例としては、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
フェノール系硬化剤(D)の含有量は、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)100重量部に対して、0.1〜500重量部であることが好ましく、1〜200重量部であることがより好ましい。フェノール系硬化剤(D)の含有量が少ないと硬化不足で接着性が得られないことがあり、過剰であると接着剤組成物の吸湿率が高まりパッケージ信頼性を低下させることがある。
(E)硬化促進剤
硬化促進剤(E)は、接着剤組成物の硬化速度を調整するために用いられる。硬化促進剤(D)は、特に、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)とフェノール系硬化剤(D)とを併用する場合に好ましく用いられる。
好ましい硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との反応を促進し得る化合物が挙げられ、具体的には、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
硬化促進剤(E)は、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)およびフェノール系硬化剤(D)の合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部の量で含まれる。硬化促進剤(E)を上記範囲の量で含有することにより、高温度高湿度下に曝されても優れた接着特性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても高いパッケージ信頼性を達成することができる。硬化促進剤(E)の含有量が少ないと硬化不足で十分な接着特性が得られず、過剰であると高い極性をもつ硬化促進剤は高温度高湿度下で接着剤層中を接着界面側に移動し、偏析することによりパッケージの信頼性を低下させる。
(F)光重合開始剤
本発明の接着剤組成物はその使用に際して、紫外線等のエネルギー線を照射して、エネルギー線重合性化合物を硬化させる。この際、該組成物中に光重合開始剤(F)を含有させることで、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
このような光重合開始剤(F)として具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2-ジフェニルメタン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ-クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤(F)は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤(F)の配合割合は、理論的には、接着剤組成物中に存在する不飽和結合量やその反応性および使用される光重合開始剤の反応性に基づいて決定されるべきであるが、複雑な混合物系においては必ずしも容易ではない。一般的な指針として、光重合開始剤(F)は、エネルギー線重合性化合物(C)および(C’)の合計100重量部に対して0.1〜10重量部含まれることが望ましく、1〜5重量部含まれることがより好ましい。0.1重量部未満であると光重合の不足で満足なピックアップ性が得られないことがあり、10重量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、接着剤組成物の硬化性が不十分となることがある。
(G)カップリング剤
カップリング剤(G)は、接着剤組成物の被着体に対する接着性、密着性を向上させるために用いてもよい。また、カップリング剤(G)を使用することで、接着剤組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上することができる。
カップリング剤(G)としては、上記アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)などが有する官能基と反応する基を有する化合物が好ましく使用される。カップリング剤(G)としては、シランカップリング剤が望ましい。このようなカップリング剤としてはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-6-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-6-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
カップリング剤(G)は、アクリル重合体(A)およびエポキシ系熱硬化性樹脂(B)の合計100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部の割合で含まれる。カップリング剤(G)の含有量が0.1重量部未満だと上記の効果が得られない可能性があり、20重量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
(H)熱可塑性樹脂
接着剤組成物には、熱可塑性樹脂(H)を用いてもよい。熱可塑性樹脂(H)としては、重量平均分子量が1000以上10万以下のものが好ましく、3000以上8万以下のものがさらに好ましい。上記範囲の熱可塑性樹脂(H)を含有することにより、半導体チップのピックアップ工程における基材と接着剤層との層間剥離を容易に行うことができ、さらに基板の凹凸へ接着剤層が追従しボイドなどの発生を抑えることができる。
熱可塑性樹脂(H)のガラス転移温度は、好ましくは−30℃以上150℃以下、さらに好ましくは−20℃以上120℃以下の範囲にある。熱可塑性樹脂(H)のガラス転移温度が低過ぎると接着剤層と基材との剥離力が大きくなってチップのピックアップ不良が起こることがあり、高過ぎるとウエハを固定するための接着力が不十分となるおそれがある。
熱可塑性樹脂(H)としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレンなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
熱可塑性樹脂(H)は、アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)およびフェノール系硬化剤(D)の合計100重量部に対して、通常1〜300重量部、好ましくは2〜100重量部の割合で含まれる。熱可塑性樹脂(H)の含有量がこの範囲にあることにより、上記の効果を得ることができる。
(I)無機充填材
無機充填材(I)を接着剤組成物に配合することにより、該組成物の熱膨張係数を調整することが可能となり、半導体チップや金属または有機基板に対して硬化後の接着剤層の熱膨張係数を最適化することでパッケージ信頼性を向上させることができる。また、接着剤層の硬化後の吸湿率を低減させることも可能となる。
好ましい無機充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられる。これらのなかでも、シリカフィラーおよびアルミナフィラーが好ましい。上記無機充填材(J)は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。無機充填材(I)の含有量は、接着剤組成物全体に対して、通常0〜80重量%の範囲で調整が可能である。
(J)架橋剤
接着剤組成物の初期接着力および凝集力を調節するために、架橋剤を添加することもできる。架橋剤(J)としては有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物などが挙げられる。
上記有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
有機多価イソシアネート化合物としては、たとえば2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4'-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4'-ジイソシアネート、トリメチロールプロパンアダクトトリレンジイソシアネートおよびリジンイソシアネートが挙げられる。
上記有機多価イミン化合物としては、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネートおよびN,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
架橋剤(J)はアクリル重合体(A)100重量部に対して通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部の比率で用いられる。
(K)汎用添加剤
本発明の接着剤組成物には、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、染料などが挙げられる。
(接着剤組成物)
上記のような各成分からなる接着剤組成物は、感圧接着性と加熱硬化性とを有し、未硬化状態では各種被着体を一時的に保持する機能を有する。そして熱硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い硬化物を与えることができ、しかもせん断強度と剥離強度とのバランスにも優れ、厳しい高温度高湿度条件下においても十分な接着特性を保持し得る。
本発明に係る接着剤組成物は、上記各成分を適宜の割合で混合して得られる。混合に際しては、各成分を予め溶媒で希釈しておいてもよく、また混合時に溶媒を加えてもよい。
(接着シート)
本発明に係る接着シートは、基材上に、上記接着剤組成物からなる接着剤層が積層してなる。本発明に係る接着シートの形状は、テープ状、ラベル状などあらゆる形状をとり得る。
接着シートの基材としては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルムなどの透明フィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。また、これらを着色したフィルム、不透明フィルムなどを用いることができる。
本発明に係る接着シートは、各種の被着体に貼付され、被着体に所要の加工を施した後、接着剤層は、被着体に固着残存させて基材から剥離される。すなわち、接着剤層を、基材から被着体に転写する工程を含むプロセスに使用される。このため、基材の接着剤層に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。このような表面張力が低い基材は、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また基材の表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
基材の剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いて基材の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、常温もしくは加熱または電子線硬化させたり、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などで積層体を形成すればよい。
基材の厚さは、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μm程度である。また、接着剤層の厚みは、通常は1〜500μm、好ましくは5〜300μm、特に好ましくは10〜150μm程度である。
接着シートの製造方法は、特に限定はされず、基材上に、接着剤層を構成する組成物を塗布乾燥することで製造してもよく、また接着剤層を剥離フィルム上に設け、これを上記基材に転写することで製造してもよい。なお、接着シートの使用前に、接着剤層を保護するために、接着剤層の上面に剥離フィルムを積層しておいてもよい。また、接着剤層の表面外周部には、リングフレームなどの他の治具を固定するために別途粘着剤層や粘着テープが設けられていてもよい。
次に本発明に係る接着シートの利用方法について、該接着シートを半導体装置の製造に適用した場合を例にとって説明する。
(半導体装置の製造方法)
本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼着し、該半導体ウエハをダイシングして半導体チップとし、該半導体チップ裏面に接着剤層を固着残存させて基材から剥離し、該半導体チップをダイパッド部上、または別の半導体チップ上に該接着剤層を介して載置する工程を含む。
以下、本発明に係る半導体装置の製造方法について説明する。
本発明に係る半導体装置の製造方法においては、まず、本発明に係る接着シートをダイシング装置上に、リングフレームにより固定し、半導体ウエハの一方の面を接着シートの接着剤層上に載置し、軽く押圧し、半導体ウエハを固定する。次いで、接着剤層に基材側からエネルギー線を照射し、エネルギー線重合性化合物(C)を硬化し、接着剤層の凝集力を上げ、接着剤層と基材との間の接着力を低下させておく。照射されるエネルギー線としては、紫外線(UV)または電子線(EB)等が挙げられ、好ましくは紫外線が用いられる。次いで、ダイシングソーなどの切断手段を用いて、上記の半導体ウエハを切断し半導体チップを得る。この際の切断深さは、半導体ウエハの厚みと、接着剤層の厚みとの合計およびダイシングソーの磨耗分を加味した深さにする。なお、エネルギー線照射は、半導体ウエハの貼付後、半導体チップの剥離(ピックアップ)前のいずれの段階で行ってもよく、たとえばダイシングの後に行ってもよく、また下記のエキスパンド工程の後に行ってもよい。さらにエネルギー線照射を複数回に分けて行ってもよい。
次いで必要に応じ、接着シートのエキスパンドを行うと、半導体チップ間隔が拡張し、半導体チップのピックアップをさらに容易に行えるようになる。この際、接着剤層と基材との間にずれが発生することになり、接着剤層と基材との間の接着力が減少し、半導体チップのピックアップ性が向上する。このようにして半導体チップのピックアップを行うと、切断された接着剤層を半導体チップ裏面に固着残存させて基材から剥離することができる。
次いで接着剤層を介して半導体チップを、リードフレームのダイパッド上または別の半導体チップ(下段チップ)表面に載置する(以下、チップが搭載されるダイパッドまたは下段チップ表面を「チップ搭載部」と記載する)。チップ搭載部は、半導体チップを載置する前に加熱するか載置直後に加熱される。加熱温度は、通常は80〜200℃、好ましくは100〜180℃であり、加熱時間は、通常は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒〜3分であり、載置するときの圧力は、通常1kPa〜200MPaである。
半導体チップをチップ搭載部に載置した後、必要に応じさらに加熱を行ってもよい。この際の加熱条件は、上記加熱温度の範囲であって、加熱時間は通常1〜180分、好ましくは10〜120分である。
また、載置後の加熱処理は行わずに仮接着状態としておき、パッケージ製造において通常行われる樹脂封止での加熱を利用して接着剤層を硬化させてもよい。このような工程を経ることで、接着剤層が硬化し、半導体チップとチップ搭載部とを強固に接着することができる。接着剤層はダイボンド条件下では流動化しているため、チップ搭載部の凹凸にも十分に埋め込まれ、ボイドの発生を防止できパッケージの信頼性が高くなる。
本発明の接着剤組成物および接着シートは、上記のような使用方法の他、半導体化合物、ガラス、セラミックス、金属などの接着に使用することもできる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、<表面実装性評価>は次のように行った。
<表面実装性評価>
(1)半導体チップの製造
ドライポリッシュ処理したシリコンウエハ(150mm径、厚さ75μm)の研磨面に、実施例および比較例の接着シートの貼付をテープマウンター(リンテック社製、Adwill RAD2500)により行い、ウエハダイシング用リングフレームに固定した。その後、紫外線照射装置(リンテック社製、Adwill RAD2000)を用いて接着シートの基材面から紫外線を照射(350mW/cm2、190mJ/cm2)した。次いで、ダイシング装置(ディスコ社製、DFD651)を使用して8mm×8mmまたは6mm×6mmのチップサイズにダイシングし、接着剤層を有するシリコンチップを作成した。ダイシングの際の切り込み量については、接着シートの基材を20μm切り込むようにした。続いて、この接着剤層を有するシリコンチップを、接着シート側よりニードルで突き上げてピックアップした。
(2)半導体パッケージの製造
基板として、銅箔張り積層板(三菱ガス化学株式会社製、CCL-HL832HS)の銅箔に回路パターンが形成され、パターン上にソルダーレジスト(太陽インキ製 PSR4000 AUS303)を有しているBT基板を用いた(株式会社日立超LSI製)。上記(1)で得た8mm角のチップ(1段目チップ)を接着剤層とともにピックアップし、BT基板上に、該接着剤層を介して120℃、120gf、1秒間の条件で圧着した。上記(1)で得た6mm角のチップ(2段目チップ)を接着剤層とともにピックアップし、1段目チップ上に、120℃、120gf、1秒間の条件で圧着し、次いで120℃で30分、さらに140℃で30分加熱して、接着剤層を充分に熱硬化させた。
その後、モールド樹脂(京セラケミカル株式会社製、KE-G1150)で封止厚400μmになるようにチップが搭載されたBT基板を封止した(封止装置:アピックヤマダ株式会社製 MPC-06M Trial Press)。その後、175℃で5時間かけてモールド樹脂を硬化させた。次いで、封止されたBT基板をダイシングテープ(リンテック株式会社製、Adwill D-510T)に貼付して、ダイシング装置(ディスコ社製、DFD651)を使用して12mm×12mmサイズにダイシングすることで表面実装性評価用の半導体パッケージを得た。
(3)半導体パッケージ表面実装性の評価
得られた半導体パッケージを85℃、85%RH条件下に168時間放置し、吸湿させた後、最高温度260℃、加熱時間1分間のIRリフロー条件での加熱を3回行った(リフロー炉:相模理工製WL-15-20DNX型)。この際に、接合部の浮き・剥がれの有無、パッケージクラック発生の有無を、断面観察および走査型超音波探傷装置(日立建機ファインテック株式会社製Hye-Focus)により評価した。
基板またはチップとの接合部に0.5mm2以上の剥離を観察した場合を剥離していると判断して、パッケージを20個試験に投入したときの接合部の浮き・剥がれ、パッケージクラックなどが発生した個数を数えた。
<接着剤組成物>
接着剤組成物を構成する各成分を下記に示す。
(A)アクリル重合体:ブチルアクリレートを主体とするアクリル系共重合体(日本合成化学工業社製、コーポニールN−2359−6)
(B)エポキシ系熱硬化性樹脂:
(B1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日本触媒製、BPA328、エポキシ基当量235g/eq)
(B2)フェニレン骨格型エポキシ樹脂(日本化薬製、EPPN−502H、エポキシ基当量167g/eq)
(C)イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線重合性化合物:
(C1)ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート(新中村化学工業株式会社製、NKエステル9300−1CL(分子量531))
(C2)新中村化学工業株式会社製、NKエステル9300−3CL(分子量759)
(C3)新中村化学工業株式会社製、NKエステル9300−6CL(分子量1101)
(C’)エネルギー線重合性化合物(イソシアヌレート骨格を有さない):
(C’1)多官能アクリレートオリゴマー(共栄化学社製、ライトアクリレートDCP−A、分子量302)
(C’2)多官能アクリレートオリゴマー(新中村化学工業株式会社製、NKエステルA−DPH、分子量580)
(D)フェノール系硬化剤:ノボラック型フェノール樹脂(昭和高分子株式会社製、ショウノールBRG-556、フェノール性水酸基当量104g/eq)
(E)硬化促進剤:イミダゾール(四国化成工業株式会社製、キュアゾール2PHZ)
(F)光重合開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、イルガキュア184
(G)カップリング剤:
(G1)シランカップリング剤(三菱化学株式会社製、MKCシリケートMSEP2)
(G2)シランカップリング剤(東レダウコーニング社製、Z6883)
(H)熱可塑性樹脂:ポリエステル樹脂(東洋紡製、バイロン220)
(J)無機充填材:シリカフィラー(アドマテックス製、アドマファインSC2050)
(実施例および比較例)
表1に記載の組成の接着剤組成物を使用した。表1中、数値は固形分換算の重量部を示す。表1に記載の組成の接着剤組成物のメチルエチルケトン溶液(固形濃度61重量%)を、シリコーン処理された剥離フィルム(リンテック株式会社製、SP-PET381031)上に乾燥後30μmの厚みになるように塗布、乾燥(乾燥条件:オーブンにて100℃、1分間)した後に基材(ポリエチレンフィルム、厚さ100μm、表面張力33mN/m)と貼り合せて、接着剤層を基材上に転写することで接着シートを得た。
得られた接着シートを用いて<表面実装性評価>を行った。結果を表2に示す。
Figure 2010126617
Figure 2010126617
実施例の接着シートは、優れた表面実装性を示した。この結果から、イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)を用いることで、高信頼性の半導体パッケージが得られることが確認された。

Claims (4)

  1. アクリル重合体(A)、エポキシ系熱硬化性樹脂(B)、およびイソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)を含む接着剤組成物。
  2. 前記イソシアヌレート骨格を有するエネルギー線硬化性化合物(C)が下記式にて示される化合物である請求項1に記載の接着剤組成物。
    Figure 2010126617
    (式中、a、b、cはそれぞれ独立に1〜6の整数であり、p+q+rは0〜9の範囲にある)
  3. 請求項1または2に記載の接着剤組成物からなる接着剤層が基材上に剥離可能に形成されてなる接着シート。
  4. 請求項3に記載の接着シートの接着剤層に半導体ウエハを貼着し、該半導体ウエハをダイシングして半導体チップとし、該半導体チップ裏面に該接着剤層を固着残存させて基材から剥離し、該半導体チップをダイパッド部上、または別の半導体チップ上に該接着剤層を介して載置する工程を含む半導体装置の製造方法。
JP2008302112A 2008-11-27 2008-11-27 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法 Active JP5513734B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008302112A JP5513734B2 (ja) 2008-11-27 2008-11-27 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008302112A JP5513734B2 (ja) 2008-11-27 2008-11-27 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010126617A true JP2010126617A (ja) 2010-06-10
JP5513734B2 JP5513734B2 (ja) 2014-06-04

Family

ID=42327228

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008302112A Active JP5513734B2 (ja) 2008-11-27 2008-11-27 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5513734B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011225704A (ja) * 2010-04-19 2011-11-10 Nitto Denko Corp 光学部材用粘着剤組成物、光学部材用粘着剤層、粘着型光学部材及び画像表示装置
WO2013121701A1 (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 信越化学工業株式会社 半導体ウエハ用保護フィルム及び半導体チップの製造方法
JP2018152529A (ja) * 2017-03-15 2018-09-27 マクセルホールディングス株式会社 ダイシング用粘着テープ、ダイシング用粘着テープの製造方法、および半導体チップの製造方法
WO2020085372A1 (ja) * 2018-10-24 2020-04-30 住友ベークライト株式会社 導電性樹脂組成物および半導体装置
JPWO2022210894A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61133215A (ja) * 1984-11-30 1986-06-20 Nitto Electric Ind Co Ltd 硬化性樹脂組成物
JPH01213325A (ja) * 1988-02-20 1989-08-28 Somar Corp チップ部品用硬化性組成物
JPH10120993A (ja) * 1996-10-23 1998-05-12 Sekisui Chem Co Ltd 硬化型粘接着シート及び部材の接合方法
WO2005112091A1 (ja) * 2004-05-18 2005-11-24 Hitachi Chemical Co., Ltd. 粘接着シート並びにそれを用いた半導体装置及びその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61133215A (ja) * 1984-11-30 1986-06-20 Nitto Electric Ind Co Ltd 硬化性樹脂組成物
JPH01213325A (ja) * 1988-02-20 1989-08-28 Somar Corp チップ部品用硬化性組成物
JPH10120993A (ja) * 1996-10-23 1998-05-12 Sekisui Chem Co Ltd 硬化型粘接着シート及び部材の接合方法
WO2005112091A1 (ja) * 2004-05-18 2005-11-24 Hitachi Chemical Co., Ltd. 粘接着シート並びにそれを用いた半導体装置及びその製造方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011225704A (ja) * 2010-04-19 2011-11-10 Nitto Denko Corp 光学部材用粘着剤組成物、光学部材用粘着剤層、粘着型光学部材及び画像表示装置
WO2013121701A1 (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 信越化学工業株式会社 半導体ウエハ用保護フィルム及び半導体チップの製造方法
JP2013165245A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Shin Etsu Chem Co Ltd 半導体ウエハ用保護フィルム及び半導体チップの製造方法
JP2018152529A (ja) * 2017-03-15 2018-09-27 マクセルホールディングス株式会社 ダイシング用粘着テープ、ダイシング用粘着テープの製造方法、および半導体チップの製造方法
WO2020085372A1 (ja) * 2018-10-24 2020-04-30 住友ベークライト株式会社 導電性樹脂組成物および半導体装置
JPWO2020085372A1 (ja) * 2018-10-24 2021-09-02 住友ベークライト株式会社 導電性樹脂組成物および半導体装置
JP2022115943A (ja) * 2018-10-24 2022-08-09 住友ベークライト株式会社 導電性樹脂組成物および半導体装置
JP7359252B2 (ja) 2018-10-24 2023-10-11 住友ベークライト株式会社 導電性樹脂組成物および半導体装置
JPWO2022210894A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06
WO2022210894A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06 大日本印刷株式会社 転写フィルム、ハードコートフィルム、ならびにハードコート成形体およびその製造方法
JP7276730B2 (ja) 2021-03-31 2023-05-18 大日本印刷株式会社 転写フィルム、ハードコートフィルム、ならびにハードコート成形体およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5513734B2 (ja) 2014-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5473262B2 (ja) 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法
KR101370245B1 (ko) 점접착제 조성물, 점접착 시트 및 반도체장치의 제조방법
JP2008247936A (ja) 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP5005258B2 (ja) 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP5774322B2 (ja) 半導体用接着剤組成物、半導体用接着シートおよび半導体装置の製造方法
KR20080047990A (ko) 점접착제 조성물, 점접착 시트 및 반도체 장치의 제조방법
JP5467720B2 (ja) 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP2012167174A (ja) 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP2008231366A (ja) 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP2010189485A (ja) 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP5951207B2 (ja) ダイシング・ダイボンディングシート
JP5513734B2 (ja) 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP5005325B2 (ja) 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP5237647B2 (ja) 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP5662810B2 (ja) 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP5620834B2 (ja) 接着剤組成物および接着シート
JP5566141B2 (ja) 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP2011162603A (ja) 接着剤組成物および接着シート
WO2013157567A1 (ja) 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP5414256B2 (ja) 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP5500787B2 (ja) 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP2010189484A (ja) 接着剤組成物、接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP5426831B2 (ja) 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP2011198914A (ja) 半導体用接着剤組成物、半導体用接着シートおよび半導体装置の製造方法
JP2009227892A (ja) 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110531

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130419

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20130419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140325

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140328

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5513734

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250