JP2010126580A - ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐熱性、及び耐衝撃性を有し、成形性が良好、特に低い金型温度で優れた成形性を示すポリ乳酸樹脂組成物、並びに該ポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂、可塑剤、有機核剤、加水分解抑制剤、無機充填剤、及び耐衝撃吸収剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物であって、前記ポリ乳酸樹脂が、光学純度が99.0%以上のポリ乳酸を50重量%以上含有してなり、前記可塑剤が分子中に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物である、ポリ乳酸樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物及びポリ乳酸樹脂成形体に関する。
生分解性樹脂の中でポリ乳酸樹脂は、トウモロコシ、芋などからとれる糖分から、発酵法によりL−乳酸が大量に作られ安価になってきたこと、原料が自然農作物なので総酸化炭素排出量が極めて少ない、また得られた樹脂の性能として剛性が強く透明性が良いという特徴があるので、現在その利用が期待されている。しかしポリ乳酸樹脂の場合、脆く、硬く、可撓性に欠ける特性のためにいずれも硬質成形品分野に限られ、射出成形体などに成形した場合は、柔軟性、耐衝撃性が不足したり、折り曲げたとき白化やヒンジ特性が劣ったりするなどの問題があり、軟質又は半硬質分野に使用されていないのが現状である。また、ポリ乳酸樹脂は結晶化速度が遅く、延伸などの機械的工程を行わない限り成形後は非晶状態である。しかし、ポリ乳酸樹脂のガラス転移温度(Tg)は60℃と低く耐熱性に劣るため、温度が55℃以上となる環境下では使用できない問題があった。
ポリ乳酸樹脂を軟質、半硬質分野に応用する技術として、可塑剤を添加する方法や、あるいは耐熱性を向上させるため結晶核剤を添加して結晶化させる方法が種々提案されている(例えば特許文献1)が、更なる成形性、耐熱性、耐衝撃性、柔軟性が良好なポリ乳酸樹脂組成物の開発が求められている。
国際公開第2005/108501号パンフレット
本発明の課題は、優れた耐熱性、及び耐衝撃性を有し、成形性が良好、特に低い金型温度で優れた成形性を示すポリ乳酸樹脂組成物、並びに該ポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体を提供することにある。
本発明は、ポリ乳酸樹脂、可塑剤、有機核剤、加水分解抑制剤、無機充填剤、及び耐衝撃吸収剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物であって、前記ポリ乳酸樹脂が、光学純度が99.0%以上のポリ乳酸を50重量%以上含有してなり、前記可塑剤が分子中に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物であるポリ乳酸樹脂組成物、並びにこのポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体を提供する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、耐熱性、及び耐衝撃性に優れ、更に低い金型温度でも優れた成形性を示す。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂、可塑剤、有機核剤、加水分解抑制剤、無機充填剤、及び耐衝撃吸収剤を含有するものであって、ポリ乳酸樹脂が、光学純度が99.0%以上のポリ乳酸を50重量%以上含有し、かつ、可塑剤が特定の化合物であることに大きな特徴を有する。なお、本明細書において、「無機充填剤」は、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、又は粉末状の無機物のことを、「耐衝撃吸収剤」は、通常熱可塑性樹脂において柔軟性の向上に用いられる有機繊維、ゴム、相溶化剤のことをいう。
[ポリ乳酸樹脂]
本発明におけるポリ乳酸樹脂は、光学純度が99.0%以上のポリ乳酸を50重量%以上含有する。
ポリ乳酸としては、原料モノマーとして乳酸成分のみを縮重合させて得られるポリ乳酸、及び/又は、原料モノマーとして乳酸成分と乳酸以外のヒドロキシカルボン酸成分(以下、単に、ヒドロキシカルボン酸成分ともいう)とを縮重合させて得られるポリ乳酸の両方をあらわす。
乳酸には、L−乳酸(L体)、D−乳酸(D体)の光学異性体が存在する。本発明では、乳酸成分として、いずれかの光学異性体のみ、又は双方を含有してもよいが、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性と、剛性及び耐熱性との両立、ならびに生産性の観点から、いずれかの光学異性体を主成分とする光学純度が高い乳酸を用いることが好ましい。なお、本明細書において「主成分」とは、乳酸成分中の含有量が80モル%以上である成分のことをいう。
乳酸成分のみを縮重合させる場合の乳酸成分におけるL体又はD体の含有量、即ち、前記異性体のうちいずれか多い方の含有量は、99.0〜100モル%が好ましい。なお、乳酸成分におけるL体及びD体の総含有量は、実質的に100モル%であることから、前記異性体のうちいずれか少ない方の含有量は、乳酸成分中、0〜1.0モル%が好ましい。
乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分とを縮重合させる場合の乳酸成分におけるL体又はD体の含有量、即ち、前記異性体のうちいずれか多い方の含有量は、99.0〜100モル%が好ましい。なお、乳酸成分におけるL体及びD体の総含有量は、実質的に100モル%であることから、前記異性体のうちいずれか少ない方の含有量は、乳酸成分中、0〜1.0モル%が好ましい。
一方、ヒドロキシカルボン酸成分としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等のヒドロキシカルボン酸化合物が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて利用することができる。これらのなかでも、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。
また、本発明においては、上記乳酸及びヒドロキシカルボン酸化合物の2量体が、それぞれの成分に含有されてもよい。乳酸の2量体としては、乳酸の環状二量体であるラクチドが例示され、ヒドロキシカルボン酸化合物の2量体としては、グリコール酸の環状二量体であるグリコリドが例示される。なお、ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド、及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがあり、本発明ではいずれのラクチドも用いることができるが、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性及び剛性、ならびにポリ乳酸樹脂の生産性の観点から、D−ラクチド及びL−ラクチドが好ましい。なお、乳酸の2量体は、乳酸成分のみを縮重合させる場合、及び乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分とを縮重合させる場合のいずれの場合の乳酸成分に含有されていてもよい。
乳酸成分のみの縮重合反応、及び、乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分との縮重合反応は、特に限定はなく、公知の方法を用いて行うことができる。
かくして、原料モノマーを選択することにより、例えば、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの成分99.0モル%以上100モル%未満とヒドロキシカルボン酸成分0モル%超1.0モル%以下からなる光学純度が99.0%以上のポリ乳酸が得られるが、なかでも、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトンを原料モノマーとして用いて得られるポリ乳酸が好ましい。
また、本発明において、光学純度が99.0%以上のポリ乳酸を50重量%以上含有するポリ乳酸樹脂として、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性及び剛性の両立、ならびに成形性の観点から、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類の上記ポリ乳酸を構成成分とするステレオコンプレックスポリ乳酸を調製して用いてもよい。
具体的には、ステレオコンプレックスポリ乳酸を構成する一方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(A)と記載する〕は、L体99.0〜100モル%、D体を含むその他の成分0〜1.0モル%を含有する。他方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(B)と記載する〕は、D体99.0〜100モル%、L体を含むその他の成分0〜1.0モル%を含有する。なお、L体及びD体以外のその他の成分としては、2個以上のエステル結合を形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられ、また、未反応の前記官能基を分子内に2つ以上有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等であってもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸における、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸(B)の重量比〔ポリ乳酸(A)/ポリ乳酸(B)〕は、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性と、剛性及び耐熱性との両立、ならびに成形性の観点から、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましい。
ポリ乳酸樹脂における、光学純度が99.0%以上のポリ乳酸の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性と、剛性及び耐熱性との両立、ならびに成形性の観点から、50重量%以上であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは実質的に100重量%であることが望ましい。
本発明においては、市販されている光学純度99.0%以上のポリ乳酸樹脂を用いることができる。このようなポリ乳酸樹脂としては、例えば、トヨタ自動車社製、商品名エコプラスチックU'z S−12(光学純度99.6%)、商品名エコプラスチックU'z S−17(光学純度99.7%)が挙げられる。
尚、本発明におけるポリ乳酸の光学純度は、「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準 第3版改訂版 2004年6月追補 第3部 衛生試験法 P12-13」記載のD体含有量の測定方法に従って求めることができる。具体的には、ポリ乳酸の光学純度の測定方法は以下の通りである。
まず、精秤したポリ乳酸に水酸化ナトリウム/メタノールを加え、65℃に設定した水浴振とう器にセットして、樹脂分が均一溶液になるまで加水分解を行い、さらに加水分解が完了したアルカリ溶液に希塩酸を加え中和し、その分解溶液を純水にて定溶した後、一定容量をメスフラスコに分液して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)移動相溶液により希釈し、pHが3〜7の範囲になるように調整してメスフラスコを定量、メンブレンフィルター(0.45μm)によりろ過する。この調整溶液をHPLCにてD−乳酸、L−乳酸を定量することによってポリ乳酸の光学純度を求めることができる。
尚、HPLCの測定は以下の条件で行うことができる。
<HPLC測定条件>
カラム :光学分割カラム
〈例〉スミキラルOA6100(46mmφ×150mm、5μm)、住化分析センター社製
プレカラム:光学分割カラム
〈例〉スミキラルQA6100(4mmφ×10mm、5μm)、住化分析センター社製
カラム温度:25℃
移動相 :2.5%メタノール含有1.5mM硫酸銅水溶液
移動相流量:1.0ml/分
検出器 :紫外線検出器(UV254nm)
注入量 :20μl
また、本発明におけるポリ乳酸の重量平均分子量は、成形体の機械的物性の観点から、100,000以上であることが好ましく、成形時の流動性の観点から400,000以下であることが好ましく、300,000以下であることがより好ましく、200,000以下であることが更に好ましい。尚、ポリ乳酸の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、溶媒にクロロホルム、カラムに東ソー社製高温SECカラム(GMHHR−Hシリーズ)、流量1.0mL/min、カラム温度40℃、検出器に示差屈折率検出器(RI)、リファレンスとして既知の分子量を有するスチレンを用いて換算して求めることができる。
本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物には、前記ポリ乳酸樹脂以外に、他の樹脂が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。他の樹脂としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられるが、中でもポリ乳酸樹脂との相溶性の観点からエステル結合、カーボネート結合等のカルボニル基を含む結合を有する樹脂が、構造的にポリ乳酸樹脂と親和性が高い傾向があるため好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物中、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましい。
[可塑剤]
本発明における可塑剤は、本発明におけるポリ乳酸樹脂との相互作用及び可塑化効率の観点から、分子中に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物であり、分子中に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物が好ましく、分子中に2個以上のエステル基を有する多価アルコールエステル又は多価カルボン酸エーテルエステルで、エステルを構成するアルコール成分の水酸基1個当たりエチレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物がより好ましく、エチレンオキサイドを1〜4モル付加した化合物が更に好ましい。エステルを構成するアルコール成分は、ポリ乳酸樹脂との相溶性と可塑化効率、耐揮発性の観点から、好ましくは炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均1〜4モル、より好ましくは2〜3モル付加した化合物である。また、可塑化効率の観点からアルキレンオキサイドはエチレンオキサイドが好ましい。可塑剤に含まれるアルキル基、アルキレン基等の炭化水素基の炭素数、例えばエステル化合物を構成する多価アルコールや多価カルボン酸の炭化水素基の炭素数は、相溶性の観点から1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。また可塑剤のエステル化合物を構成するモノカルボン酸、モノアルコールの炭素数は、相溶性の観点から1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜2がさらにより好ましい。
本発明における可塑剤の製造方法は、例えば、特開2008―174754号公報記載の方法にしたがって製造できる。
本発明における可塑剤は、分子中に2個以上のエステル基を有していれば、ポリ乳酸樹脂との相溶性に優れ、分子中に2〜4個のエステル基を有することが好ましい。また、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5モル以上付加したものであれば、ポリ乳酸樹脂に対して十分な可塑性を付与することができ、平均5モル以下付加したものであれば、耐ブリード性の効果が良好となる。また、理由は定かではないが、本発明に用いられる可塑剤を光学純度が99%以上のポリ乳酸を含有するポリ乳酸樹脂と併用することによって、成形性が良好な、特に低い金型温度で優れた成形性を示すポリ乳酸樹脂組成物を得ることができる。
本発明における可塑剤は、ポリ乳酸樹脂成形体の成形性及び可塑性、並びに可塑剤の耐ブリード性の観点から、分子中に2個以上のエステル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜9の化合物が好ましく、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、及び酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステルが更に好ましい。尚、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの平均付加モル数は、1H−NMR法によって測定することができる。
また、耐揮発性の観点から、本発明における可塑剤で2個以上のエステル基のうち、平均0〜1.5個は芳香族アルコールから構成されるエステル基を含有してもよい。同じ炭素数の脂肪族アルコールに比べて芳香族アルコールの方がポリ乳酸樹脂に対する相溶性に優れるため、耐ブリード性を保ちつつ、分子量を上げることができる。可塑化効率の観点から平均0〜1.2個、更に0〜1個が芳香族アルコールから構成されるエステル基であることが好ましい。芳香族アルコールとしてはベンジルアルコール等が挙げられ、可塑剤としては、アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール=1/1混合ジエステル等が挙げられる。
本発明における可塑剤の平均分子量は耐ブリード性及び耐揮発性の観点から、好ましくは250〜700であり、より好ましくは300〜600であり、更に好ましくは350〜550であり、更に好ましくは400〜500である。なお、平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求めることができる。
平均分子量=56108×(エステル基の数)/鹸化価
本発明における可塑剤の具体例としては、ポリ乳酸樹脂成形体の成形性、耐衝撃性に優れる観点から、酢酸とグリセリンのエチレンオキサイド平均3〜9モル付加物とのエステル、酢酸とジグリセリンのプロピレンオキサイド平均4〜12モル付加物とのエステル、酢酸とエチレンオキサイドの平均付加モル数が4〜9のポリエチレングリコールとのエステル等の多価アルコールのアルキルエーテルエステル、コハク酸とエチレンオキサイドの平均付加モル数が2〜4のポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、アジピン酸とエチレンオキサイドの平均付加モル数が2〜3のポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸とエチレンオキサイドの平均付加モル数が2〜3のポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル等の多価カルボン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステルがより好ましい。ポリ乳酸樹脂成形体の成形性、耐衝撃性及び可塑剤の耐ブリード性に優れる観点から、コハク酸、アジピン酸又は1,3,6−ヘキサントリカルボン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、及び酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、酢酸とグリセリンのエチレンオキサイド平均3〜6モル付加物とのエステル、酢酸とエチレンオキサイドの平均付加モル数が4〜6のポリエチレングリコールとのエステル、コハク酸とエチレンオキサイドの平均付加モル数が2〜3のポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、アジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステルがより好ましい。ポリ乳酸樹脂成形体の成形性、耐衝撃性並びに、可塑剤の耐ブリード性、耐揮発性及び耐刺激臭の観点から、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステルがさらに好ましい。
なお、本発明におけるエステルは、可塑剤としての機能を十分発揮させる観点から、全てエステル化された飽和エステルであることが好ましい。
特定の可塑剤によって、本発明の効果が向上する理由は定かではないが、可塑剤が、分子中に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物、好ましくは分子中に2個以上のエステル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜9のポリオキシエチレン鎖を有する化合物(更にメチル基を有していることが好ましく、2個以上有していることが好ましい)であると、その耐熱性及びポリ乳酸樹脂に対する相溶性が良好となる。そのため耐ブリード性が向上するととともに、ポリ乳酸樹脂の軟質化効果も向上する。このポリ乳酸樹脂の軟質化向上により、ポリ乳酸樹脂が結晶化するときはその成長速度も向上すると考えられる。その結果、低い金型温度でもポリ乳酸樹脂が柔軟性を保持しているため、短い金型保持時間でポリ乳酸樹脂の結晶化が進み良好な成形性を示すものと考えられる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物における可塑剤の含有量は、十分な結晶化速度と耐衝撃性を得る観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、5〜50重量部が好ましく、7〜30重量部より好ましく、8〜30重量部がさらに好ましい。
[有機核剤]
本発明における有機核剤は、ポリ乳酸樹脂成形体の成形性、耐熱性、耐衝撃性及び有機核剤の耐ブルーム性の観点から、ヒドロキシ脂肪酸エステル、及び分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種(以下結晶核剤(1)という)を含有することが好ましい。
本発明においてヒドロキシ脂肪酸エステルとしては、結晶化速度及びポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、脂肪酸の炭素数が12〜22のヒドロキシ脂肪酸エステルが好ましく、分子中に水酸基を2つ以上有し、エステル基を2つ以上有するヒドロキシ脂肪酸エステルがより好ましい。また、ヒドロキシ脂肪酸エステルの融点は、結晶化速度向上の観点から、65℃以上が好ましく、70℃〜200℃がより好ましい。尚、ヒドロキシ脂肪酸エステルの融点は、JIS−K7121に基づく示差走査熱量測定(DSC)の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる。
ヒドロキシ脂肪酸エステルの具体例としては、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、12−ヒドロキシステアリン酸ジグリセライド、12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセライド、ペンタエリスリトール−モノ−12−ヒドロキシステアレート、ペンタエリスリトール−ジ−12−ヒドロキシステアレート、ペンタエリスリトール−トリ−12−ヒドロキシステアレート等のヒドロキシ脂肪酸エステルが挙げられる。ポリ乳酸樹脂成形体の成形性、耐熱性、耐衝撃性及び有機核剤の耐ブルーム性の観点から、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドが好ましい。
分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、水酸基を有する脂肪族アミドが好ましく、水酸基を2つ以上有し、アミド基を2つ以上有する脂肪族アミドがより好ましい。また、分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物の融点は、混練時の有機核剤の分散性を向上させ、また結晶化速度を向上させる観点から、65℃以上が好ましく、70〜220℃がより好ましく、80〜190℃が更に好ましい。
分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物の具体例としては、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド等のヒドロキシ脂肪酸モノアミド、メチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のヒドロキシ脂肪酸ビスアミド等が挙げられる。ポリ乳酸樹脂組成物の成形性、耐熱性、耐衝撃性及び耐ブルーム性の観点から、メチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアルキレンビスヒドロキシステアリン酸アミドが好ましく、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドがより好ましい。
本発明における有機核剤は、ポリ乳酸樹脂成形体の成形性、耐熱性、耐衝撃性及び有機核剤の耐ブルーム性の観点から、結晶核剤(1)と、フェニルホスホン酸金属塩、リン酸エステルの金属塩、芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩、ロジン酸類の金属塩、芳香族カルボン酸アミド、ロジン酸アミド、カルボヒドラジド類、N−置換尿素類、メラミン化合物の塩及びウラシル類からなる群から選ばれる少なくとも1種(以下結晶核剤(2)という)を併用することがより好ましい。
本発明における結晶核剤(2)の具体例としては、フェニルホスホン酸亜鉛塩等のフェニルホスホン酸金属塩;ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、アルミニウムビス(2,2’−メチレンビス−4,6−ジ−t−ブチルフェニルホスフェート)等のリン酸エステルの金属塩;5−スルホイソフタル酸ジメチル二バリウム、5−スルホイソフタル酸ジメチル二カルシウム等の芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩;メチルデヒドロアビエチン酸カリウム等のロジン酸類の金属塩;トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、m−キシリレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド等の芳香族カルボン酸アミド;p−キシリレンビスロジン酸アミド等のロジン酸アミド;デカメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド等のカルボヒドラジド類;キシレンビスステアリル尿素等のN−置換尿素類;6−メチルウラシル等のウラシル類が挙げられる。
本発明における結晶核剤(2)の中では、結晶化速度の観点から、フェニルホスホン酸金属塩が好ましい。
本発明に用いられるフェニルホスホン酸金属塩は、置換基を有しても良いフェニル基とホスホン基(−PO(OH)2)を有するフェニルホスホン酸の金属塩であり、フェニル基の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基の炭素数が1〜10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。フェニルホスホン酸の具体例としては、無置換のフェニルホスホン酸、メチルフェニルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸、ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸等が挙げられ、無置換のフェニルホスホン酸が好ましい。
フェニルホスホン酸の金属塩としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル等の塩が挙げられ、亜鉛塩が好ましい。
本発明において有機核剤として、結晶核剤(1)と、結晶核剤(2)、好ましくはフェニルホスホン酸金属塩とを併用する場合、これらの割合は、本発明の効果を発現する観点から、結晶核剤(1)/結晶核剤(2)(重量比)=20/80〜80/20が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40が更に好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、結晶化速度が良好で、耐熱性に優れるという格別の効果を有する。本発明の格別優れた効果が発現できる理由は定かではないが、光学純度99%以上のポリ乳酸を50重量%以上含有するポリ樹脂及び特定の可塑剤の存在下、それらの相乗効果で著しく結晶化速度が向上するものと考えられる。更に、結晶核剤(1)がポリ乳酸樹脂組成物の溶融混練時に溶解し、成形時の冷却工程において多数の結晶核を生成できる点と、結晶核剤(2)が化合物中に金属イオン、アミド基、NH基等を有することによって、ポリ乳酸樹脂との相互作用(吸着性)が優れる点から、相乗的に本発明の結晶化速度が良好で、耐熱性に優れるという格別の効果が発現するものと考えられる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物における有機核剤の総含有量は、十分な結晶化速度を得る観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、0.05〜5重量部が好ましく、0.10〜3重量部がより好ましく、0.2〜2重量部がさらに好ましい。
[加水分解抑制剤]
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、更に、加水分解抑制剤を含有する。加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物が挙げられ、ポリ乳酸樹脂成形体の成形性の観点からポリカルボジイミド化合物が好ましく、ポリ乳酸樹脂成形体の耐熱性、成形性、流動性、耐衝撃性及び有機核剤の耐ブルーム性の観点から、モノカルボジイミド化合物がより好ましい。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド等が挙げられ、モノカルボジイミド化合物としては、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。
上記カルボジイミド化合物は、ポリ乳酸樹脂成形体の成形性、耐熱性、耐衝撃性及び有機核剤の耐ブルーム性を満たすために、単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)はカルボジライトLA−1(日清紡績社製)を、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド及びポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミドはスタバクゾールP及びスタバクゾールP−100(Rhein Chemie社製)を、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドはスタバクゾールI(Rhein Chemie社製)をそれぞれ購入して使用することができる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物における加水分解抑制剤の総含有量は、ポリ乳酸樹脂成形体の成形性の観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、0.05〜20重量部が好ましく、0.10〜20重量部がより好ましい。
[無機充填剤]
本発明の組成物は、剛性等の物性向上の観点から、更に無機充填剤を含有する。本発明における無機充填剤としては、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状の無機物を用いることができる。
繊維状の無機物としては、具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維などが挙げられる。これらの繊維状の無機物の中では、炭素繊維、ガラス繊維、ワラステナイトが好ましい。また、繊維状無機充填剤のアスペクト比は5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物における繊維状の無機物の総含有量は、十分な結晶化速度、成形性と耐熱性及び耐衝撃性を得る観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、1〜200重量部が好ましく、3〜50重量部がより好ましく、5〜40重量部がさらに好ましい。
板状、粒状、粉末状の無機物としては、具体的には、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、有機変性ベントナイト、モンモリロナイト、有機変性モンモリロナイト、ドロマイト、スメクタイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト及び白土などが挙げられる。これらの無機充填剤の中では、マイカ、タルク及びカオリンが好ましく、タルク又はマイカがより好ましく、タルクがさらに好ましい。
前記の板状、粒状、粉末状の無機物は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆又は集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていても良い。
また、前記の板状、粒状、粉末状の無機物の平均粒径は、良好な分散性を得る観点から、0.1〜20μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。なお、前記無機物の平均粒径は、回折・散乱法によって体積基準のメジアン系を測定することにより求めることができる。例えば市販の装置としてはコールター社製レーザー回折・光散乱法粒度測定装置LS230等が挙げられる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物における前記の板状、粒状、粉末状の無機物の含有量は、十分な結晶化速度、成形性と耐熱性及び耐衝撃性を得る観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、1〜200重量部が好ましく、3〜50重量部がより好ましく、5〜40重量部がさらに好ましい。
また、本発明においては、無機充填剤は、十分な結晶化速度、成形性と耐熱性及び耐衝撃性を得る観点から、繊維状の無機充填剤を含有することが好ましく、さらに板状、粒状、粉末状の無機物の少なくとも1種を併用することが好ましい。
繊維状の無機物と板状、粒状、粉末状の無機物の本発明のポリ乳酸樹脂組成物中における重量比(繊維状の無機物の重量/板状、粒状、粉末状の無機物の総重量)は、同様の観点から、1/9〜5/5が好ましく、2/8〜5/5がより好ましい。
[耐衝撃吸収剤]
本発明の組成物は、可撓性等の物性向上の観点から、更に耐衝撃吸収剤を含有する。本発明で使用する耐衝撃吸収剤としては、通常熱可塑性樹脂において柔軟性の向上に用いられる有機繊維、ゴム、相溶化剤等を用いることができる。
有機繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリケトン繊維、PET繊維、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維等を好適に用いることができるが、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性と、剛性及び耐熱性との両立の観点から、芳香族ポリアミド繊維を用いることが好ましい。
ゴムの種類は、特に限定されるものではなく、ゴム弾性を有する重合体成分から構成されるものであればよい。例えば、天然ゴム、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分又はエチレンプロピレン成分などを重合させたものから構成されるゴムが挙げられる。市販品としては、例えば、三菱レイヨン社製〔メタブレンSタイプ(シリコーン・アクリルゴム)、メタブレンWタイプ(アクリルゴム)、メタブレンCタイプ(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂)〕、カネカ社製〔カネエース〕、ロームアンドハース社製〔パラロイド(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂)〕、ガンツ化成社製〔スタフィロイド(アクリル系ゴム)〕、クラレ社製〔パラフェイス(アクリル系ゴム)〕などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上組み合わせて用いることができる。
相溶化剤は、ポリ乳酸樹脂組成物がポリ乳酸樹脂以外の他の樹脂を含有する場合に、樹脂同士の相溶性を高めるために好ましく用いられる。上記ポリ乳酸樹脂を柔軟化するものであれば特に限定されないが、樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、
相溶化剤(1):エチレン/酢酸ビニル共重合体
相溶化剤(2):エチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体
相溶化剤(3):酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基(置換基)を有するポリオレフィン系樹脂
相溶化剤(4):酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、アルコキシシリル基、シラノール基、シリルエーテル基、ヒドロキシル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基(置換基)を有するアクリル系樹脂又はスチレン系樹脂
相溶化剤(5):ポリエステル系樹脂、ならびに
相溶化剤(6):アイオノマー樹脂
からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。具体的には、住友化学工業社製「ボンドファースト 7M、7B、2C」(エポキシ基を有するポリエチレン樹脂)、東亞合成社製「ARUFON」(エポキシ基を有するアクリル系樹脂又はスチレン系樹脂)、DIC社製「プラメート PD−350」(PLA−脂肪族ポリエステル共重合体)等を好適に用いることができる。
これらの相溶化剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
相溶化剤のメルトフローレート(MFR)は、樹脂組成物の耐衝撃性及び成形性の観点から、3〜15g/10分が好ましく、5〜10g/10分がより好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物における耐衝撃吸収剤の総含有量は、樹脂組成物の耐衝撃性及び成形性の観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、2〜50重量部が好ましく、3〜40重量部がより好ましく、5〜30重量部がさらに好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、更に難燃剤を含有することができる。難燃剤の具体例としては、臭素又は塩素を含有するハロゲン系化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、無機水和物又は無機水酸化物(例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物)、リン化合物、及び窒素系化合物(メラミンシアヌレート)などが挙げられる。安全性の観点から、無機水和物又は無機水酸化物が好ましい。
難燃剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、10〜60重量部が好ましく、15〜55重量部がより好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、上記以外に、更にヒンダードフェノール又はフォスファイト系の酸化防止剤、又は炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤等の他の成分を含有することができる。酸化防止剤、滑剤のそれぞれの含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、0.05〜3重量部が好ましく、0.10〜2重量部がより好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、上記以外の他の成分として、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を、本発明の目的達成を妨げない範囲で含有することができる。
[ポリ乳酸樹脂組成物]
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、前記ポリ乳酸樹脂、可塑剤、有機核剤、加水分解抑制剤、無機充填剤、及び耐衝撃吸収剤を含有するものであれば特に限定なく調製することができる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、80℃以下の金型温度で優れた成形性を示す観点から、80℃における半結晶化時間が1分以下であることが好ましく、0.8分以下であることがより好ましく、0.6分以下であることが更に好ましい。なお、80℃における半結晶化時間は、実施例に示す方法により求めた値である。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、加工性が良好で、例えば200℃以下の低温で加工することができるため、可塑剤の分解が起こり難い利点があり、フィルムやシートに成形して、各種用途に用いることができる。
[ポリ乳酸樹脂成形体及びその製造方法]
本発明のポリ乳酸樹脂成形体は、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を成形することにより得られる。具体的には、例えば、押出し機等を用いてポリ乳酸樹脂を溶融させながら、可塑剤、有機核剤、加水分解抑制剤、無機充填剤、及び耐衝撃吸収剤を混合し、次に得られた溶融物を射出成形機等により金型に充填して成形する。
本発明のポリ乳酸樹脂成形体の好ましい製造方法は、光学純度99.0%以上のポリ乳酸を50重量%以上含有するポリ乳酸樹脂、可塑剤、有機核剤、加水分解抑制剤、無機充填剤、及び耐衝撃吸収剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を溶融混練する工程(以下工程(1)という)、得られた溶融物を80℃以下の金型内に充填して成形する工程(以下工程(2)という)からなる方法である。
本発明においては、工程(1)を経た後、冷却して非晶状態(すなわち高角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下となる条件)とした後、工程(2)を行う方法や、工程(1)を経た後、冷却して直ちに工程(2)を行う方法が好ましく、本発明の結晶化速度向上効果発現の観点から、工程(1)を経た後、冷却して直ちに工程(2)を行う方法がより好ましい。
工程(1)の具体例としては、通常の方法によって行う事ができ、例えば、押出し機等を用いてポリ乳酸樹脂を溶融させながら、可塑剤、有機核剤等を混合する方法等が挙げられる。工程(1)の温度は、可塑剤、有機核剤等の分散性の観点から、ポリ乳酸樹脂の融点(Tm)以上であり、好ましくはTm〜Tm+100℃の範囲であり、より好ましくはTm〜Tm+50℃の範囲である。例えば、好ましくは170〜240℃であり、より好ましくは170〜220℃である。
本発明の成形体の製造方法における、工程(2)の具体例としては、例えば、射出成形機等によりポリ乳酸樹脂組成物を80℃以下の金型内に充填し、成形する方法等が挙げられる。工程(2)における金型温度は、結晶化速度向上及び作業性向上の観点から、好ましくは、10〜80℃であり、より好ましくは10〜80℃であり、更に好ましくは15〜80℃である。
本発明の工程(2)における金型内での保持時間は、生産性向上の観点から、60秒以内が好ましく、45秒以内がより好ましく、30秒以内がさらに好ましい。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、例中の部は、特記しない限り重量部である。
〔ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量(Mw)〕
重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記の測定条件で行った。
<測定条件>
カラム:GMHHR−H+GMHHR−H
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶離液:クロロホルム
流速:1.0mL/min
サンプル濃度:1mg/mL
注入量:0.1mL
換算標準:ポリスチレン
〔ポリ乳酸の光学純度〕
光学純度は、「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準 第3版改訂版 2004年6月追補 第3部 衛生試験法 P12-13」記載のD体含有量の測定方法に従って、下記の測定条件で行った。具体的には、精秤したポリ乳酸に水酸化ナトリウム/メタノールを加え、65℃に設定した水浴振とう器にセットして、樹脂分が均一溶液になるまで加水分解を行い、さらに加水分解が完了したアルカリ溶液に希塩酸を加え中和し、その分解溶液を純水にて定溶した後、一定容量をメスフラスコに分液して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)移動相溶液により希釈し、pHが3〜7の範囲になるように調整してメスフラスコを定量、メンブレンフィルター(0.45μm)によりろ過し、この調整溶液をHPLCにてD−乳酸、L−乳酸を定量することによってポリ乳酸の光学純度を求めた。
<HPLC測定条件>
カラム :光学分割カラム
スミキラルOA6100(46mmφ×150mm、5μm)、住化分析センター社製
プレカラム:光学分割カラム
スミキラルQA6100(4mmφ×10mm、5μm)、住化分析センター社製
カラム温度:25℃
移動相 :2.5%メタノール含有1.5mM硫酸銅水溶液
移動相流量:1.0ml/分
検出器 :紫外線検出器(UV254nm)
注入量 :20μl
<ステレオコンプレックスポリ乳酸の製造例1>
トヨタ自動車社製 ポリ−L−乳酸(エコプラスチックU'z S−17、光学純度99.7%、重量平均分子量110000)、及びPURAC社製 ポリ−D−乳酸(TECHNICAL HIGH IV、光学純度99.0%、重量平均分子量130000)の等量(重量)を森山製作所社製ニーダーを用いて、シリンダー温度280℃で約5分間、窒素雰囲気下で溶融混練を行って、ステレオコンプレックスポリ乳酸Aを得た。示差走査熱量測定(DSC)装置を用いて、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸及び混練品(ステレオコンプレックスポリ乳酸A)の融点(融解ピークの温度)を室温(25℃)から10℃/分の昇温速度で250℃まで測定したところ、ポリ−L−乳酸及びポリ−D−乳酸は融点160℃の融解ピークが観測されたのに対して、混練品は融点203℃の融解ピークが観測された。
<可塑剤の製造例1(コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル)>
攪拌機、温度計、脱水管を備えた3Lフラスコに、無水コハク酸500g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル2463g、パラトルエンスルホン酸一水和物9.5gを仕込み、空間部に窒素(500mL/分)を吹き込みながら、減圧下(4〜10.7kPa)、110℃で15時間反応させた。反応液の酸価は1.6(KOHmg/g)であった。反応液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学工業社製)27gを添加して80℃、2.7kPaで45分間攪拌してろ過した後、液温115〜200℃、圧力0.03kPaでトリエチレングリコールモノメチルエーテルを留去し、80℃に冷却後、残液を減圧ろ過して、ろ液として、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステルを得た。得られたジエステルは、酸価0.2(KOHmg/g)、鹸化価276(KOHmg/g)、水酸基価1以下(KOHmg/g)、色相APHA200であった。
<可塑剤の製造例2(酢酸とグリセリンにエチレンオキサイドを3モル付加させたエチレンオキサイド付加物とのトリエステル化合物)>
オートクレーブに花王社製化粧品用濃グリセリン1モルに対しエチレンオキサイド3モルのモル比で規定量仕込み、1モル%のKOHを触媒として反応圧力0.3MPaの定圧付加し、圧力が一定になるまで150℃で反応した後、80℃まで冷却し、触媒未中和の生成物を得た。この生成物に触媒の吸着剤としてキョーワード600S(協和化学工業社製)を触媒重量の8倍添加し、窒素微加圧下で80℃、1時間吸着処理をおこなった。さらに処理後の液をNo.2のろ紙にラジオライト#900をプレコートしたヌッツェで吸着剤を濾過し、グリセリンエチレンオキサイド3モル付加物(以下POE(3)グリセリンという)を得た。これを四つ口フラスコに仕込み、105℃に昇温して300r/minで攪拌し、無水酢酸をPOE(3)グリセリン1モルに対し3.6モルの比率で規定量を約1時間で滴下し反応させた。滴下後110℃で2時間熟成し、さらに120℃で1時間熟成した。熟成後、減圧下で未反応の無水酢酸及び副生の酢酸をトッピングし、さらにスチーミングして、POE(3)グリセリントリアセテートを得た。
実施例1〜12、比較例1〜6
ポリ乳酸樹脂組成物として、表1に示す組成物原料を、2軸押出機(池貝社製、PCM-45)にて190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
なお表1における原料は以下の通りである。
<ポリ乳酸樹脂>
*1:ポリ乳酸樹脂(トヨタ自動車社製、エコプラスチックU'z S−17)
(光学純度99.7%、重量平均分子量110000)
*2:ステレオコンプレックスPLA、上記で製造したステレオコンプレックスポリ乳酸A
*3:ポリ乳酸樹脂(ネイチャーワークスLLC社製、NatureWorks 4032D)
(光学純度98.5%、重量平均分子量200000)
<可塑剤>
*4:(MeEO)SA、上記で製造したコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物、平均分子量410
*5:(AcEO)Gly、上記で製造した酢酸とグリセリンにエチレンオキサイドを3モル付加させたエチレンオキサイド付加物とのトリエステル化合物
*6:DAIFATY−101、アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール=1/1混合ジエステル(大八化学工業社製)、平均分子量338
<有機核剤>
*7:エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド(日本化成社製、スリパックス H)
*8:無置換のフェニルホスホン酸亜鉛塩(日産化学工業社製)
<加水分解抑制剤>
*9:スタバクゾールI−LF(ラインケミージャパン社製)
*10:スタバクゾールP(ラインケミージャパン社製)
<無機充填剤>
*11:タルク(日本タルク社製、MicroAceP−6)
*12:ガラス繊維(日本電気硝子社製、T187)
<耐衝撃吸収剤>
*13:アラミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、ZCF T322EH 3−12)
*14:メタブレンS−2006(三菱レイヨン社製)
*15:ボンドファースト7M(住友化学社製)
<難燃剤>
*16:レオフォス65(リン系難燃剤、味の素ファインテクノ社製)
*17:水酸化アルミニウム(無機難燃剤、日本軽金属社製、BF013)
*18:メラミンシアヌレート(窒素系難燃剤、日産化学工業社製、MC−610)
次に、このようにして得られたペレットを、シリンダー温度を200℃とした射出成形機(日本製鋼所製 J75E-D)を用いて射出成形し、80℃の金型温度におけるテストピース〔平板(70mm×40mm×3mm)、角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)及び角柱状試験片(63mm×12mm×5mm)〕を成形し、実施例1〜12及び比較例1〜6のポリ乳酸樹脂組成物の成形体を得た。なお、角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)及び角柱状試験片(63mm×12mm×5mm)の金型保持時間は30秒である。
なお、成形体を成形する際に、上記テストピースの離型に必要な金型保持時間を下記の基準で評価した。これらの結果を表1に示す。
<離型に必要な金型保持時間の評価基準>
80℃の金型温度において、各テストピースの変形がなく、取り出しが容易と判断されるまでに有する時間を、離型に必要な金型保持時間(半結晶化時間ともいう)とした。尚、金型内部及びランナー部分でテストピースの溶融結晶化速度が速いほど、離型に必要な金型保持時間は短くなる。
次に、実施例1〜12及び比較例1〜6のポリ乳酸樹脂組成物の成形体の物性を、以下の試験例1〜2の方法に従って調べた。結果を表1に示す。
〔試験例1〕(耐熱性)
角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)について、JIS K7191に基づいて、熱変形温度測定機(東洋精機製作所製 B-32)を使用して、荷重1.80MPaにおいて0.25mmたわむときの温度(℃)(熱変形温度)を測定した。この熱変形温度(℃)が高い方が耐熱性に優れていることを示す。
〔試験例2〕(耐衝撃性)
角柱状試験片(63mm×12mm×5mm)について、JIS K7110に基づいて、衝撃試験機(上島製作所社製 863型)を使用して、Izod衝撃強度(J/m)を測定した。Izod衝撃強度(J/m)が高いほど耐衝撃性に優れることを示す。
Figure 2010126580
表1の結果から、光学純度99.0%以上のポリ乳酸を50重量%以上含有するポリ乳酸樹脂、可塑剤、有機核剤、加水分解抑制剤、無機充填剤、及び耐衝撃吸収剤を含有した本発明のポリ乳酸樹脂組成物(1〜12)は、80℃の金型温度において短い金型保持時間で成形が可能であった。一方、光学純度が99.0%未満のポリ乳酸を使用した比較例のポリ乳酸樹脂組成物は、80℃の金型温度で実施例と同じ金型保持時間内での成形が不可能であった。
また、表1の結果から、光学純度99.0%以上のポリ乳酸を50重量%以上含有するポリ乳酸樹脂、可塑剤、有機核剤、加水分解抑制剤、無機充填剤、及び耐衝撃吸収剤を含有した本発明のポリ乳酸樹脂組成物(1〜12)は、80℃以上の耐熱性、100J/m以上の耐衝撃強度を示し、耐久性にも優れていた。一方、光学純度が99.0%未満のポリ乳酸を使用した比較例のポリ乳酸樹脂組成物は、優れた耐熱性、耐衝撃性を示すことができなかった。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、日用雑貨品、家電部品、家電部品用梱包資材、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. ポリ乳酸樹脂、可塑剤、有機核剤、加水分解抑制剤、無機充填剤、及び耐衝撃吸収剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物であって、前記ポリ乳酸樹脂が、光学純度が99.0%以上のポリ乳酸を50重量%以上含有してなり、前記可塑剤が分子中に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加した化合物である、ポリ乳酸樹脂組成物。
  2. 可塑剤が、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル、及び酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 有機核剤が、ヒドロキシ脂肪酸エステル、及び分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してなる、請求項1又は2記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  4. 有機核剤が更にフェニルホスホン酸金属塩、リン酸エステルの金属塩、芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩、ロジン酸類の金属塩、芳香族カルボン酸アミド、ロジン酸アミド、カルボヒドラジド類、N−置換尿素類、メラミン化合物の塩及びウラシル類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項3記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体。
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