JP2014047286A - ポリ乳酸組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストを抑制しつつも結晶化速度が速く、成形性に優れたポリ乳酸組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸樹脂と、結晶核剤として一般式(1)で表される乳酸末端アルキル鎖変性誘導体とを含有する。また、本発明のポリ乳酸組成物の製造方法は、ポリ乳酸樹脂と乳酸末端アルキル鎖変性誘導体とを溶融混練した後、成型する工程を有する。
【化1】
Figure 2014047286

(Rは、炭素数が4〜24のアルキル基を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸組成物及びその製造方法に関する。詳細には、本発明は、結晶化速度が速く、成形性に優れたポリ乳酸組成物及びその製造方法に関する。
近年、環境保全の見地から、ポリプロピレンやポリ塩化ビニルなど石油由来の樹脂に変えて、生分解性を有するポリ乳酸系樹脂が注目されている。ポリ乳酸は、結晶性高分子であり、他の生分解性ポリエステル樹脂と比較して融点が高く、耐熱性も高い。また、ポリ乳酸は、大量生産可能なためコストも安く、有用性が高いという特徴がある。さらにポリ乳酸は、トウモロコシやサツマイモ等の植物を原料として製造することができるため、石油等の鉱物資源の節約に貢献することができる。
しかし、ポリ乳酸は、一般的に結晶化速度が遅いとされるポリエチレンテレフタレート(PET)よりもさらに結晶化速度が遅い。そのため、成形サイクルが長いだけでなく、結晶化度が低くなり、得られる成形体の機械的強度や耐熱性に劣るという欠点がある。また、ポリ乳酸の結晶化度を高めるためには、射出成形などでポリ乳酸を一旦溶融させて様々な形状に成形した後、融点以下かつガラス転移温度以上の温度で結晶化が進行するまで長時間維持する必要がある。そのため、小さな部品を製造するに際しても、射出成形後に数十分も加温しつつ金型内で維持する必要があるため、生産性に劣るという問題があった。
このようなポリ乳酸の欠点を解消すべく、従来、ポリ乳酸に結晶核剤を添加して、結晶化速度を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、ポリ乳酸に二種類の結晶核剤を添加することにより、結晶化速度と耐熱性の両方を確保している。そして、ポリ乳酸に添加する第1の結晶核剤が分子中に水酸基とアミド基を有する化合物であり、第2の結晶核剤がフェニルホスホン酸金属塩、リン酸エステルの金属塩、芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩などであることが開示されている。
特開2008−115372号公報
しかしながら、特許文献1に記載のポリ乳酸組成物では、二種類の結晶核剤を使用する必要があるため、ポリ乳酸組成物の製造コストが上昇するという問題がある。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、製造コストを抑制しつつも結晶化速度が速く、成形性に優れたポリ乳酸組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様に係るポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸樹脂と、結晶核剤として一般式(1)で表される乳酸末端アルキル鎖変性誘導体と、を含有することを要旨とする。
Figure 2014047286
(Rは、炭素数が4〜24のアルキル基を表す。)
本発明の第2の態様に係るポリ乳酸組成物は、第1の態様のポリ乳酸組成物において、乳酸末端アルキル鎖変性誘導体の添加量が5〜30質量%であることを要旨とする。
本発明の第3の態様に係るポリ乳酸組成物は、第1の態様のポリ乳酸組成物において、一般式(1)におけるRは炭素数が14〜20のアルキル基であることを要旨とする。
本発明の第4の態様に係るポリ乳酸組成物の製造方法は、上記ポリ乳酸樹脂と上記乳酸末端アルキル鎖変性誘導体とを溶融混練した後、成型する工程を有することを要旨とする。
本発明のポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸樹脂と結晶核剤として乳酸末端アルキル鎖変性誘導体とを含有する。つまり、結晶核剤が一種類であるため、製造コストを低減することが可能となる。また、当該結晶核剤を使用することによりポリ乳酸組成物を成形する際の温度を低温にすることができる。そのため、高温で成形するための特別な設備が不要になり、さらに成形に必要なエネルギーを抑制できることから、製造コストを低減することができる。また、本発明のポリ乳酸組成物は、耐熱性が100℃を超えるため、自動車部品として使用することが可能となる。
図1は、示差走査熱量測定における温度プロファイル及びヒートフローの一例を示すグラフである。 図2は、本実施例における結晶化温度と結晶化ピーク時間との関係を示すグラフである。 図3は、本実施例における結晶化温度と結晶化ピーク時間との関係を示すグラフである。
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るポリ乳酸組成物及びその製造方法について詳細に説明する。
[ポリ乳酸組成物]
本発明の実施形態に係るポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸樹脂と、結晶核剤として一般式(1)で表される乳酸末端アルキル鎖変性誘導体とを含有する。
Figure 2014047286
式中、Rは、炭素数が4〜24のアルキル基を表す。
本実施形態のポリ乳酸組成物に含有するポリ乳酸樹脂としては、ポリ乳酸、又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーを使用することが好ましい。ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合によって重合した高分子である。ポリ乳酸としては、L−乳酸のみを重合させたポリ−L−乳酸や、D−乳酸のみを重合させたポリ−D−乳酸を使用することができる。特に、ポリ乳酸としては、L−乳酸又はD−乳酸のいずれかを80〜100モル%と、そのエナンチオマーを0〜20モル%とを重合させた分子構造を有するものが好ましい。
乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーとしては、L−乳酸又はD−乳酸の少なくともいずれか一方とヒドロキシカルボン酸とを重合させた高分子を用いることができる。特に、当該コポリマーとしては、L−乳酸又はD−乳酸を85〜100モル%と、ヒドロキシカルボン酸を0〜15モル%とを重合させた高分子を用いることが好ましい。当該コポリマーに用いることができるヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸及びヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、特にグリコール酸及びヒドロキシカプロン酸が好ましい。
このようなポリ乳酸樹脂は、L−乳酸、D−乳酸及びヒドロキシカルボン酸の中から必要なモノマーを選択し、脱水重縮合することにより得ることができる。また、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトン等から必要なものを選んで開環重合することにより得ることが好ましい。ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本実施形態ではいずれのラクチドも用いることができる。ただし、ポリ乳酸樹脂の主原料は、D−ラクチド又はL−ラクチドであることが好ましい。
ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、成形体の機械的強度の観点から、100000以上であることが好ましく、また、成形時の流動性の観点から400000以下であることが好ましい。なお、ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、装置としてゲル浸透クロマトグラフ(GPC)及び示差屈折率検出器(RI)を用い、さらに、リファレンスとして既知の分子量を有するスチレンを用いて換算することにより求めることができる。
本実施形態のポリ乳酸組成物に含有する結晶核剤としては、上記一般式(1)で表される乳酸末端アルキル鎖変性誘導体を用いる必要がある。このような乳酸末端アルキル鎖変性誘導体を用いることにより、ポリ乳酸組成物の結晶化速度を速くすることが可能となる。その結果、ポリ乳酸組成物の成形サイクルを向上させることができる。
より詳細に説明すると、成形サイクルとは、1回の射出成形加工を開始してから終了するまでの単位時間のことをいい、中間時間、射出時間及び冷却期間の総和で表される。ここで、中間時間とは、金型の開閉時間、金型から成形品を取り出す時間、金型へ溶融樹脂を導入する時間、及び離型剤塗布などの操作時間の和をいう。また、射出時間とは、溶融ポリマーのキャビティ充満時間、及び不足分を補充填する時間の和をいう。さらに、冷却期間とは、キャビティ中の溶融ポリマーが凝固し、押し出しピンによって金型外に突出されても変形やひずみが現れない温度まで金型中で冷却固化する時間をいう。この中間時間、射出時間及び冷却期間のなかでも、結晶化速度が速くなることにより冷却期間が短縮できるため、成形サイクルを向上させることが可能となる。
さらに、結晶核剤として上記乳酸末端アルキル鎖変性誘導体を用いることにより、ポリ乳酸組成物を成形する際の金型温度を低温に、具体的には80℃以下にすることができる。その結果、高温で成形するための特別な設備が不要になり、さらに成形に必要なエネルギーを抑制できることから、製造コストを低減することが可能となる。
また、上記乳酸末端アルキル鎖変性誘導体を用いることにより、ポリ乳酸樹脂の結晶化が促進されるため、自動車部品にも使用できる耐熱性を確保することができる。その結果、ポリプロピレンやポリ塩化ビニルなどの石油由来樹脂をポリ乳酸組成物に置き換えることが容易になり、環境に配慮した自動車部品を製造することが可能となる。
なお、乳酸末端アルキル鎖変性誘導体を使用することにより、結晶化速度が向上するメカニズムは、次のように考えられる。ポリ乳酸樹脂と結晶核剤とを溶融混練し、射出成形をする際、上記冷却期間において結晶核剤が結晶化し、この結晶核剤を中心として周囲のポリ乳酸樹脂が結晶化する。この際、上記乳酸末端アルキル鎖変性誘導体を用いることにより、ポリ乳酸樹脂中に多数の結晶核が形成するため、結晶化が促進されると考えられる。また、特に乳酸末端アルキル鎖変性誘導体は、ポリ乳酸樹脂との親和性に優れているため、ポリ乳酸樹脂中での分散性が向上し、微細な結晶核が生成しやすくなると考えられる。なお、上述のようなメカニズムに依らないで効果が得られている場合であっても、本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。
上述のように、結晶核剤としては、上記一般式(1)で表される乳酸末端アルキル鎖変性誘導体(乳酸エステル、乳酸アルキル)を用いる必要がある。そして、一般式(1)のRは、炭素数が4〜24のアルキル基を表す。当該アルキル基は、直鎖状のアルキル基及び分岐状のアルキル基のいずれも使用することができる。また、結晶核剤として、置換基Rが異なる複数種の乳酸末端アルキル鎖変性誘導体を混合して使用してもよい。前記アルキル基の具体例としては、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等を挙げることができる。
本実施形態のポリ乳酸組成物において、前記乳酸末端アルキル鎖変性誘導体の添加量は5〜30質量%であることが好ましい。添加量が5〜30質量%であることがより、ポリ乳酸樹脂の結晶化を効果的に促進することが可能となる。なお、前記乳酸末端アルキル鎖変性誘導体の添加量は、7.5〜20質量%であることがより好ましい。添加量が7.5〜20質量%であることがより、結晶化速度を向上させつつも、ポリ乳酸組成物の耐熱性が向上するため、耐久性に優れた成形品を得ることが可能となる。
なお、乳酸末端アルキル鎖変性誘導体の一般式(1)のRは、炭素数が14〜20のアルキル基を用いることがより好ましい。このようなアルキル基を有する乳酸末端アルキル鎖変性誘導体は、上記成形サイクルにおける冷却期間でポリ乳酸樹脂中に多数の結晶核を形成するため、結晶化速度をより向上させることが可能となる。また、乳酸末端アルキル鎖変性誘導体としては、構造式(2)で表される乳酸テトラデシル、構造式(3)で表される乳酸ヘキサデシル及び構造式(4)で表される乳酸2−オクチルドデシルが結晶化を特に促進するため、好ましい。
Figure 2014047286
Figure 2014047286
Figure 2014047286
上述のように、本実施形態のポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸樹脂と結晶核剤として乳酸末端アルキル鎖変性誘導体とを含有するため、結晶化が促進され、高い耐熱性を得ることができる。
ここで、本実施形態のポリ乳酸組成物は、上記結晶核剤以外に、さらに加水分解抑制剤を含有することができる。加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物を用いることができる。なお、ポリ乳酸組成物の成形性の観点からは、ポリカルボジイミド化合物が好ましく、ポリ乳酸組成物の耐熱性、耐衝撃性及び結晶核剤の耐ブルーム性の観点からは、モノカルボジイミド化合物が好ましい。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン及び1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド等が挙げられる。また、モノカルボジイミド化合物としては、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。なお、上記カルボジイミド化合物は、ポリ乳酸組成物の成形性、耐熱性、耐衝撃性及び結晶核剤の耐ブルーム性を満たすために、単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のポリ乳酸組成物における加水分解抑制剤の含有量は、ポリ乳酸組成物の成形性の観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜2重量部がさらに好ましい。
本実施形態のポリ乳酸組成物は、さらに剛性等の物性向上の観点から、無機充填剤を含有することが好ましい。本実施形態で使用する無機充填剤としては、通常、熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状の充填剤を用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、ケイ素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維及びホウ素繊維などの繊維状無機充填剤が挙げられる。また、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、有機変性ベントナイト、有機変性モンモリロナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト及び白土などの板状や粒状の充填剤が挙げられる。これらの無機充填剤の中でも、特に炭素繊維、ガラス繊維、ワラステナイト、マイカ、タルク及びカオリンが好ましい。また、繊維状充填剤のアスペクト比は5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以上であることがさらに好ましい。
上記無機充填剤は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆又は集束処理されていてもよい。また、無機充填剤は、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていてもよい。なお、無機充填剤の配合量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して1〜100重量部が好ましく、5〜50重量部がさらに好ましい。
本実施形態のポリ乳酸組成物は、さらに難燃化剤を含有することができる。難燃化剤の具体例としては、臭素又は塩素を含有するハロゲン系化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、無機水和物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物)及びリン化合物などが挙げられる。なお、安全性の観点から、無機水和物が好ましい。
本実施形態のポリ乳酸組成物は、剛性、柔軟性、耐熱性、耐久性等の物性向上の観点から、その他の樹脂を含んでもよい。その他の樹脂の具体例としては、熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。当該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体などの軟質熱可塑性樹脂を用いることができる。このような樹脂の中でもポリ乳酸樹脂との相溶性の観点から、アミド結合、エステル結合、カーボネート結合等のカルボニル基を有する樹脂が好ましい。
本実施形態のポリ乳酸組成物は、さらにヒンダードフェノール又はホスファイト系の酸化防止剤、又は炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤等を含有することができる。酸化防止剤、滑剤のそれぞれの含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜2重量部がさらに好ましい。
本実施形態のポリ乳酸組成物は、上記以外の他の成分として、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、発泡剤、離形剤、染料及び顔料を含む着色剤、防カビ剤、抗菌剤が挙げられる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物及びヒンダードアミン系化合物が挙げられる。また、熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物が挙げられる。
[ポリ乳酸組成物の製造方法]
次に、本発明のポリ乳酸組成物の製造方法について説明する。当該ポリ乳酸組成物は、まず原料としてのポリ乳酸樹脂と結晶核剤とを予備混合する。予備混合は、従来公知の方法を用いることができる。
次いで、予備混合したポリ乳酸樹脂と結晶核剤とを溶融混練する。溶融混練は、通常公知の一軸押出機、二軸押出機、溶融混合機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、プラストグラフ、熱ロール、ニーダー等を用いて行うことができる。なお、上述したその他の樹脂や加水分解抑制剤、無機充填剤、難燃化剤などの添加剤は、予備混合の際に添加してもよく、また、押出機のサイドフィーダー等を用いて添加してもよい。
上記溶融混練する際の温度は、用いるポリ乳酸樹脂や結晶核剤の種類、分子量にもよるが、通常150〜250℃の範囲である。より好ましくは160〜230℃の範囲、最も好ましくは170〜200℃の範囲である。また、溶融混練の時間は用いる溶融混練機や溶融混練温度にもよるが、通常3〜15分程度である。
次に、溶融混練により得られた組成物を射出成形機に供給し、射出成形する。射出成形法としては一般的な射出成形法を用いることができ、また射出圧縮成形法や射出プレス成形法等も採用できる。
なお、本発明において、溶融混練により得られた組成物を射出成形する際の金型の温度は、80℃以下とすることができる。従来、ポリ乳酸を射出成形する際には、ポリ乳酸の結晶化度を高めるために、金型の温度を100℃以上にする必要があった。しかし、本実施形態のポリ乳酸組成物では、上述のように、結晶核剤として乳酸末端アルキル鎖変性誘導体を使用していることから、金型の温度が低温であってもポリ乳酸樹脂の結晶化を促進することができる。
上記射出成形法により製造する射出成形品の形態は特に限定されない。具体例としては、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器、流動体用容器、容器用キャップ、定規、筆記具、クリアケース、CDケース等の事務用品、台所用三角コーナー、ゴミ箱、洗面器、歯ブラシ、櫛、ハンガー等の日用品、植木鉢、育苗ポット等の農業・園芸用資材、プラモデル等の各種玩具類、エアコンパネル、冷蔵庫トレイ、各種筐体等の電化製品用樹脂部品、バンパー、インパネ、ドアトリム等の自動車用樹脂部品等が挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[射出成形品評価]
<試験片の作製>
(実施例1)
まず、ポリ乳酸(NatureWorks LLC製)と、結晶核剤たる乳酸ヘキサデシル(株式会社武蔵野化学研究所製)とを予備混合した。この際、乳酸ヘキサデシルの添加量は、得られるポリ乳酸組成物の試験片に対し5質量%となるようにした。
次に、二軸押出機を用いて、上記予備混合物を190℃で10分間溶融混練した。そして、溶融混練により得られた組成物を粉砕した後、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製NEX50)を使用して射出成形することにより、本実施例の試験片を作製した。試験片は、長さ128mm、幅12.8mm、厚さ3.2mmの平板状とした。なお、射出成形において、最大型締め力は50tとし、シリンダー温度は220℃とした。また、金型温度は80℃とし、金型保持時間(射出時間15秒と冷却時間との合計)は135秒とした。乳酸ヘキサデシルの添加量、金型温度及び金型保持時間を表1に示す。
(実施例2)
射出成形時における金型保持時間を150秒にした以外は実施例1と同様にして、本実施例の試験片を作製した。
(実施例3)
ポリ乳酸組成物における乳酸ヘキサデシルの添加量を10質量%にした以外は実施例1と同様にして、本実施例の試験片を作製した。
(実施例4)
射出成形時における金型保持時間を150秒にした以外は実施例3と同様にして、本実施例の試験片を作製した。
(実施例5)
ポリ乳酸組成物における乳酸ヘキサデシルの添加量を20質量%にした以外は実施例1と同様にして、本実施例の試験片を作製した。
(実施例6)
射出成形時における金型保持時間を150秒にした以外は実施例5と同様にして、本実施例の試験片を作製した。
(比較例1)
乳酸ヘキサデシルの添加量を0質量%にし、射出成形時における金型温度を110℃にし、さらに金型保持時間を540秒にした以外は実施例1と同様にして、本比較例の試験片を作製した。
(比較例2)
射出成形時における金型温度を80℃にした以外は比較例1と同様にして、本比較例の試験片を作製しようと試みた。しかし、金型保持時間が1000秒を超えても、金型から取り出す際に試験片に変形が生じるため、試験片の作製が不可能であった。
(比較例3)
射出成形時における金型温度を30℃にし、さらに金型保持時間を45秒にした以外は比較例1と同様にして、本比較例の試験片を作製した。
<熱変形温度測定>
実施例及び比較例で得られた試験片について、日本工業規格JIS K7191に基づいて、荷重0.45MPaにおいて0.025mmたわむときの温度を測定した。測定結果を表1に合わせて示す。なお、この温度が高い方が耐熱性に優れていることを示す。また、比較例2については、試験片の作製が不可能であったため、測定していない。
Figure 2014047286
表1に示すように、結晶核剤として乳酸ヘキサデシルを使用した場合には、金型温度が80℃であっても金型保持時間を短縮化できるため、成形性に優れることが分かる。これに対し、乳酸ヘキサデシルを添加しない比較例1の場合には、金型温度を110℃とし、金型保持時間を540秒とする必要があるため、成形性に劣ることが分かる。また、金型温度を80℃である比較例2の場合は、ポリ乳酸が十分に結晶化せず、試験片の作製が困難であることから、成形性が極めて劣ることが分かる。
[結晶化速度評価]
(実施例7)
まず、ポリ乳酸(NatureWorks LLC製)と、結晶核剤たる乳酸テトラデシル(株式会社武蔵野化学研究所製)とを予備混合した。この際、乳酸テトラデシルの添加量は、得られるポリ乳酸組成物に対し10質量%となるようにした。次に、二軸押出機を用いて上記予備混合物を180℃で10分間溶融混練した後、粉砕することにより、本実施例のポリ乳酸組成物前駆体を調製した。
(実施例8)
結晶核剤として乳酸ヘキサデシル(株式会社武蔵野化学研究所製)を使用した以外は実施例7と同様にして、本実施例のポリ乳酸組成物前駆体を調製した。
(実施例9)
結晶核剤として乳酸オクチルドデシル(日清オイリオグループ株式会社製)を使用した以外は実施例7と同様にして、本実施例のポリ乳酸組成物前駆体を調製した。
(実施例10)
ポリ乳酸組成物における乳酸ヘキサデシルの添加量5質量%とした以外は実施例8と同様にして、本実施例のポリ乳酸組成物前駆体を調製した。
(実施例11)
ポリ乳酸組成物における乳酸ヘキサデシルの添加量20質量%とした以外は実施例8と同様にして、本実施例のポリ乳酸組成物前駆体を調製した。
<結晶化速度測定>
ポリ乳酸組成物が結晶化する時間が早くなれば、冷却時間が短縮され成形性の向上が実現できる。そこで金型内での成型過程を想定し、結晶化時間を測定するため、等温結晶化測定を行った。
具体的には、示差走査熱量測定装置(TA Instruments社製Q100)を用い、実施例7〜9のポリ乳酸組成物前駆体を融点以上で溶融した後、所定の温度まで急冷し、その温度を保持した場合の結晶化の発熱ピークまでの時間を測定した。このとき、図1に示すように、冷却開始時点から発熱ピークまでの時間tを結晶化ピーク時間とした。なお、示差走査熱量測定装置の温度プロファイルは、図1に示すように、20℃→200℃→20分間保持→70〜140℃とした。ここで、20℃から200℃への昇温速度は10℃/分とし、200℃から70〜140℃への冷却速度は200℃/分(実測58℃/分)とした。
図2には、実施例7〜9のポリ乳酸組成物前駆体における結晶化温度と結晶化ピーク時間との関係を示す。さらに、図2には、結晶核剤を含有しないポリ乳酸のみの測定結果も示す。また、図3には、実施例8,10及び11のポリ乳酸組成物前駆体における結晶化温度と結晶化ピーク時間との関係を示す。なお、ポリ乳酸のみの場合、結晶化温度が100℃未満では冷却開始から60分を超えても発熱ピークが観測されなかったため、図2では100℃未満のデータを示していない。
図2及び図3に示すように、結晶核剤として乳酸末端アルキル鎖変性誘導体を添加した場合には、添加しない場合と比べ、結晶化時間が大幅に短縮していることが分かる。また、結晶化温度が100℃未満の低温であっても結晶化が進行し、結晶化時間が短くなっていることが確認できる。
以上、本発明を実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸樹脂と、結晶核剤として一般式(1)で表される乳酸末端アルキル鎖変性誘導体と、を含有することを特徴とするポリ乳酸組成物。
    Figure 2014047286
    (Rは、炭素数が4〜24のアルキル基を表す。)
  2. 前記乳酸末端アルキル鎖変性誘導体の添加量は、5〜30質量%であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸組成物。
  3. 前記一般式(1)におけるRは、炭素数が14〜20のアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸組成物。
  4. 前記ポリ乳酸樹脂と前記乳酸末端アルキル鎖変性誘導体とを溶融混練した後、成型する工程を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリ乳酸組成物の製造方法。
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