JP2010124435A - 車内会話補助装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スピーカから出力された会話音声を発声者自ら聴取することを防止することができる車内会話補助装置を提供する。
【解決手段】車内会話補助装置100は、車内の各座席に設置され、車内の音を集音するマイク110と、車内の各座席に設置され、乗員の会話音声を出力する会話音声用スピーカ150と、マイク110によって集音された車内の音から乗員の会話音声を抽出する会話音声抽出部120と、各座席に設置されたマイク110によって集音され会話音声抽出部120によってそれぞれ抽出された会話音声を、当該それぞれ抽出された会話音声が集音されたマイク110と同一の座席に設置された会話音声用スピーカ150から出力しないように合成する会話音声合成部130とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】車内会話補助装置100は、車内の各座席に設置され、車内の音を集音するマイク110と、車内の各座席に設置され、乗員の会話音声を出力する会話音声用スピーカ150と、マイク110によって集音された車内の音から乗員の会話音声を抽出する会話音声抽出部120と、各座席に設置されたマイク110によって集音され会話音声抽出部120によってそれぞれ抽出された会話音声を、当該それぞれ抽出された会話音声が集音されたマイク110と同一の座席に設置された会話音声用スピーカ150から出力しないように合成する会話音声合成部130とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車内における会話音声を乗員の頭部にスピーカを向けて出力し、車内会話を補助する車内会話補助装置に関する。
従来の車載用オーディオ装置では、車両に設置されたスピーカを用いて、ラジオ音声や、CD(Compact Disc)などの記憶媒体を再生したオーディオ音声を聴取するのが一般的である。
また、従来の車内会話補助装置として、車内に設置されたマイクを用いて集音した車内の音から車内会話音声を抽出し、抽出した車内会話音声とラジオ音声やオーディオ音声との合成音を車両に設置されたスピーカを用いて出力することにより、オーディオ音声とともに、会話音声を聴取することができる車内会話補助装置が知られている(特許文献1参照)。
特開2002−051392号公報
しかしながら、上記した従来の車内会話補助装置では、合成音を出力するため、全スピーカから全会話音声が出力される。そのため、スピーカから出力された会話音声を発声者自ら聴取してしまうため、発声者に違和感や不快感を与えるという課題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、スピーカから出力された会話音声を発声者自ら聴取することを防止することができる車内会話補助装置を提供することを目的とする。
本発明の車内会話補助装置は、車内の各座席に設置され、車内の音を集音するマイクと、車内の各座席に設置され、乗員の会話音声を出力する会話音声用スピーカと、前記マイクによって集音された車内の音から乗員の会話音声を抽出する会話音声抽出部と、各座席に設置された前記マイクによって集音され前記会話音声抽出部によって抽出された会話音声を、当該抽出された会話音声を集音したマイクが設置された座席と同一の座席に設置された会話音声用スピーカから出力しないように合成する会話音声合成部と、を有する構成を採る。
この構成により、各座席に設置されたマイクによって集音された車内の音から会話音声を会話音声抽出部によって抽出する。そして、各座席に設置されたマイクによって集音され会話音声抽出部によってそれぞれ抽出された会話音声を、当該それぞれ抽出された会話音声を集音したマイクが設置された座席と同一の座席に設置された会話音声用スピーカから出力しないように会話音声合成部によって合成する。これにより、発声者の座席に設置された会話音声用スピーカから発声者自らの会話音声が出力されないため、発声者が自らの会話音声を聴取することを防止することができ、発声者に違和感や不快感を与えることを防止することができる。
また、本発明の車内会話補助装置は、上記の構成に加え、各座席に搭乗している乗員の頭部位置を検出する乗員頭部位置検出部と、前記会話音声用スピーカの向きを変更する会話音声用スピーカ駆動部と、前記乗員頭部位置検出部によって検出された乗員の頭部位置に基づいて、前記会話音声用スピーカの向きが乗員の頭部に向くように、前記会話音声用スピーカ駆動部を制御する会話音声用スピーカ駆動制御部と、を有する構成を採る。
ここで、会話音声用スピーカの向きを変更することは、スピーカ軸を変えてスピーカの指向性を変えることに相当する。スピーカの指向性とは、例えば、スピーカ軸に対して、音圧レベルが2分の1(−6dB)減少したポイント間の相対的な角度を示す。
この構成により、各座席に搭乗している乗員の頭部位置を乗員頭部位置検出部によって検出し、検出された乗員の頭部位置に基づいて、会話音声用スピーカの向きが乗員の頭部に向くように、会話音声用スピーカ駆動部を会話音声用スピーカ駆動制御部によって制御する。これにより、会話音声用スピーカから出力された会話音声の、聴取対象乗員以外への回り込みが防止されるため、発声者が自らの会話音声を聴取することをより一層防止することができ、発声者に違和感や不快感を与えることをより一層防止することができる。
本発明によれば、スピーカから出力された会話音声を発声者自ら聴取することを防止することができる。すなわち、各座席に会話音声用スピーカを設置し、発声者の座席に設置された会話音声用スピーカからは発声者自らの会話音声を出力しないため、発声者が自らの会話音声を聴取することを防止することができ、発声者に違和感や不快感を与えることを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る車内会話補助装置について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る車内会話補助装置の概略構成図である。
図1において、本実施の形態に係る車内会話補助装置100は、車内の各座席の近傍に設置されたマイク110と、会話音声抽出部120と、会話音声合成部130と、アンプ部140と、車内の各座席の近傍に配置された会話音声用スピーカ150と、車内の各座席の近傍に配置された乗員頭部位置検出部160と、会話音声用スピーカ駆動制御部170とを有する。ここで、「車内の各座席の近傍に設置された」状態、あるいは「車内の各座席の近傍に配置された」状態とは、各座席の背もたれやヘッドレストに取り付けられた状態であってもよく、あるいは各座席の足元や、車両の天井の各座席に近い箇所に取り付けられた状態でもよい。ただし、乗員が着座した際に乗員の邪魔にならない位置に設置あるいは配置することが望ましい。これらの「設置」あるいは「配置」の状態を以下の説明においては、便宜上「座席に設置された」あるいは「座席に配置された」と表現する。
マイク110は、車内の各座席の近傍に配置されており、車内の音を集音する。図1の例では、マイク110は、運転席用マイク110−1と、助手席用マイク110−2と、後部右席用マイク110−3と、後部左席用マイク110−4とで構成されている。なお、以下では、説明の便宜上、4つのマイク110−1〜110−4のうち任意のマイクを、「マイク110」で示すことにする。
会話音声用スピーカ150は、車内の各座席の近傍に配置されており、乗員の会話音声を出力する。また、後で詳述するように、会話音声用スピーカ150には、向き(指向性)を変更するための機構(会話音声用スピーカ駆動部)が設けられている。図1の例では、会話音声用スピーカ150は、運転席用スピーカ150−1と、助手席用スピーカ150−2と、後部右席用スピーカ150−3と、後部左席用スピーカ150−4とで構成されている。なお、以下では、説明の便宜上、4つの会話音声用スピーカ150−1〜150−4のうち任意の会話音声用スピーカを、「会話音声用スピーカ150」で示すことにする。
会話音声抽出部120は、各座席に設置されたマイク110−1〜110−4によって集音された車内の音から乗員の会話音声を抽出する(会話音声抽出機能)。会話音声抽出部120については、後で図面を用いて詳述する。
会話音声合成部130は、各座席に設置されたマイク110−1〜110−4によって集音された後に会話音声抽出部120によってそれぞれ抽出された会話音声を、当該それぞれ抽出された会話音声を集音したマイクが設置されている座席に配置された会話音声用スピーカ150−1〜150−4から出力しないように合成する(会話音声合成機能)。この合成処理は、座席毎に行われ、各座席に設置された会話音声用スピーカ150−1〜150−4から出力される合成会話音声信号が生成される。会話音声合成部130については、後で図面を用いて詳述する。
アンプ部140は、会話音声合成部130によって合成された会話音声信号を増幅する。この増幅処理も座席毎に行われる。アンプ部140によって増幅された座席毎の合成会話音声信号は、対応する会話音声用スピーカ150−1〜150−4に送られる。各会話音声用スピーカ150−1〜150−4は、アンプ部140から受け取った増幅後の合成会話音声信号を音声出力する。
乗員頭部位置検出部160は、車内の各座席の近傍に配置されており、各座席に搭乗している乗員の頭部位置を検出する。図1の例では、乗員頭部位置検出部160は、運転席用検出部160−1と、助手席用検出部160−2と、後部右席用検出部160−3と、後部左席用検出部160−4とで構成されている。乗員頭部位置検出部160については、後で図面を用いて詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、4つの乗員頭部位置検出部160−1〜160−4のうち任意の乗員頭部位置検出部を、「乗員頭部位置検出部160」で示すことにする。
会話音声用スピーカ駆動制御部170は、各座席に設置された乗員頭部位置検出部160−1〜160−4によって検出された各乗員の頭部位置に基づいて、対応する会話音声用スピーカ150−1〜150−4の向きが各乗員の頭部に向くように、後述する会話音声用スピーカ駆動部を制御する(スピーカ指向性調整機能)。この制御内容については、後で図面を用いて詳述する。図1の例では、会話音声用スピーカ駆動制御部170は、運転席用駆動制御部170−1と、助手席用駆動制御部170−2と、後部右席用駆動制御部170−3と、後部左席用駆動制御部170−4とで構成されている。なお、以下では、説明の便宜上、4つの会話音声用スピーカ駆動制御部170−1〜170−4のうち任意の会話音声用スピーカ駆動制御部を、「会話音声用スピーカ駆動制御部170」で示すことにする。
なお、本実施の形態では、会話音声用スピーカ駆動制御部170を4つの会話音声用スピーカ駆動制御部170−1〜170−4で構成しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、会話音声用スピーカ駆動制御部170−1〜170−4の機能を1つの制御ユニットに持たせることも可能である。
また、車内には、オーディオ部200と、車載用オーディオスピーカ210とが設置されている。オーディオ部200は、例えば、ラジオ受信機やCDプレーヤなどの機能を有し、受信したラジオ音声信号や、CDなどの記憶媒体を再生した再生音声信号を出力する。ここでは、オーディオ部200から出力されるラジオ音声信号や再生音声信号をまとめて「オーディオ音声信号」と呼ぶことにする。また、車載用オーディオスピーカ210は、オーディオ部200から出力されたオーディオ音声信号(ラジオ音声信号や再生音声信号)を聴取者に向けて音声出力する。図1の例では、車載用オーディオスピーカ210は、フロントライトスピーカ210−1と、フロントレフトスピーカ210−2と、リアライトスピーカ210−3と、リアレフトスピーカ210−4とで構成されている。
オーディオ部200から出力されたオーディオ音声信号は、車内に設置された車載用オーディオスピーカ210−1〜210−4によって音声出力される。これにより、車内の乗員は、オーディオ音声を聴取することができる。
また、各座席に設置されたマイク110−1〜110−4によって集音されたオーディオ音声や騒音、会話音声などの車内のすべての音と、オーディオ部200から出力されたオーディオ音声とは、会話音声抽出部120に入力される。会話音声抽出部120では、各マイク110−1〜110−4によって集音された車内の音から乗員の会話音声のみが分離(抽出)される。
次に、車内会話補助装置100の各機能について、詳細に説明する。
まず、図2を用いて、車内の会話音声抽出機能について説明する。
図2は、会話音声抽出部120の一構成例を示すブロック図である。この会話音声抽出部120は、マイク110によって集音された車内の音信号からオーディオ音声信号および騒音信号を除去して会話音声信号を分離し、オーディオ音声信号および騒音信号のレベルに基づいてラウドネス補正を行う機能を有する。
会話音声抽出部120は、適応フィルタ121、フィルタ122、演算部123、124、周辺ノイズ除去部125、ラウドネス補償演算部126、および音声補正用フィルタ127を含んで構成されている。なお、図2に示すマイク110と会話音声用スピーカ150は、各座席に設置された対応するマイク110−1〜110−4と会話音声用スピーカ150−1〜150−4を示している。
適応フィルタ121は、車内の音響空間の伝達特性を模擬するためのものであり、フィルタ係数(タップ係数)を有するFIR型のデジタルフィルタであって、オーディオ部200から出力されたオーディオ音声信号に対して所定の適応信号処理を行う。このフィルタ係数は、例えば、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムによって、演算部124から出力される差分信号(後述する)のパワーが最小になるように更新される。これにより、車内の音響空間の伝達特性を模擬することができる。すなわち、車内での反響音(エコー)成分を、擬似的に、オーディオ部200から出力されたオーディオ音声信号に追加することができる。
フィルタ122は、適応フィルタ121と同じく、車内の音響空間の伝達特性を模擬するためのものであり、フィルタ係数を有する。このフィルタ係数は、所定のタイミングで適応フィルタ121のフィルタ係数がコピーされる。フィルタ122は、適応フィルタ121によって割り出されたフィルタ係数を用いて、会話音声用スピーカ150から出力された会話音声信号に対して所定の適応信号処理を行うことにより、車内の音響空間における会話音声を模擬することができる。
演算部123は、マイク110の出力信号(マイク110によって集音された車内の音声信号)とフィルタ122の出力信号とを入力し、これら2つの信号の差分を演算する。これにより、会話音声用スピーカ150から出力されてマイク110に回り込んで集音された会話音声のエコー成分が除去される。
演算部124は、演算部123から出力された差分信号(マイク110の出力信号から、スピーカ150から出力されてマイク110に回り込んで集音された会話音声を除去した信号)と、適応フィルタ121の出力信号(オーディオ部200から出力されて適応フィルタ121によって車内の音響空間の伝達特性を模擬したオーディオ音声信号)とを入力し、これら2つの信号の差分を演算する。これにより、マイク110の出力信号から、さらに、オーディオ音声成分が除去される。
周辺ノイズ除去部125は、前段の演算部124から出力された差分信号に含まれる周辺ノイズに対応する成分を除去する。この周辺ノイズ除去部125からは、マイク110から出力される信号に含まれる会話音声に対応する成分のみが抽出されて出力される。車内のノイズは周波数の低域成分が大きいため、周辺ノイズ除去部125は、例えば、ハイパスフィルタで構成することができる。
ラウドネス補償演算部126は、オーディオ音声信号および周辺ノイズ信号と会話音声信号とが入力され、これらの信号に基づいて、会話音声を会話音声用スピーカ150から出力する際に必要な各周波数成分の補正ゲインを算出する。すなわち、ラウドネス補償演算部126は、オーディオ音声および周辺ノイズの音圧レベルに基づいて、会話音声を会話音声用スピーカ150から出力する際に、あらかじめチューニングされている、最適な会話音声聴取に必要な各周波数成分の補正ゲインを算出する。
音声補正用フィルタ127は、周辺ノイズ除去部125から出力される会話音声信号に対して、ラウドネス補償演算部126によって車内の音圧レベルに応じて算出された各周波数成分の補正ゲインに基づいて、ゲイン調整を行う。これにより、会話音声用スピーカ150から出力される会話音声が聞きやすくなる。
図3は、上記の構成を有する会話音声抽出部120の動作を示すフロー図である。
まず、マイク110の出力信号(マイク110によって集音された車内の音声信号)が会話音声抽出部120に入力される(ステップS1000)。そして、演算部123で、ステップS1000で入力したマイク110の出力信号から、車内の音響空間の伝達関数を模擬した会話音声信号を減算することにより(差分演算)、会話音声用スピーカ150から出力されてマイク110に回り込んで集音された会話音声のエコー成分を除去する(ステップS1100)。そして、演算部124で、ステップS1100で得られた信号(演算部123から出力された差分信号)から、車内の音響空間の伝達関数を模擬したオーディオ音声信号を減算することにより(差分演算)、さらにオーディオ音声成分を除去する(ステップS1200)。そして、周辺ノイズ除去部125で、さらに車内の騒音を除去することにより、マイク110によって集音された車内の音から会話音声のみを抽出する(ステップS1300)。そして、ラウドネス補償演算部126で、会話音声を会話音声用スピーカ150から出力する際に必要な各周波数成分の補正ゲインを算出した後、音声補正用フィルタ127で、ステップS1300で抽出した会話音声を、車内の音の音圧レベルに合わせてゲイン処理する(ステップS1400)。これにより、最適なレベルの会話音声を抽出することができる。
次に、図4を用いて、会話音声抽出部120から出力された会話音声を合成する機能について説明する。
図4は、会話音声合成部130の一構成例を示すブロック図である。
会話音声合成部130は、加算器からなる演算部131、132、133、134、135、136によって構成されている。会話音声合成部130は、任意のマイク110によって車内の音を集音し会話音声抽出部120によって抽出された会話音声を、そのマイク110と同一の座席に設置された会話音声用スピーカ150から出力しないように合成して他の会話音声用スピーカ150に出力する合成器である。すなわち、会話音声用スピーカ150−1からは、マイク110−2、110−3、110−4によって集音し会話音声抽出部120によって抽出された会話音声を出力し、会話音声用スピーカ150−2からは、マイク110−1、110−3、110−4によって集音し会話音声抽出部120によって抽出された会話音声を出力し、会話音声用スピーカ150−3からは、マイク110−1、110−2、110−4によって集音し会話音声抽出部120によって抽出された会話音声を出力し、会話音声用スピーカ150−4からは、マイク110−1、110−2、110−3によって集音し会話音声抽出部120によって抽出された会話音声を出力する構成である。この構成は、次の式(1)〜(4)で表される。
SP150−1=MIC110−2+MIC110−3+MIC110−4 …(1)
SP150−2=MIC110−1+MIC110−3+MIC110−4 …(2)
SP150−3=MIC110−1+MIC110−2+MIC110−4 …(3)
SP150−4=MIC110−1+MIC110−2+MIC110−3 …(4)
SP150−2=MIC110−1+MIC110−3+MIC110−4 …(2)
SP150−3=MIC110−1+MIC110−2+MIC110−4 …(3)
SP150−4=MIC110−1+MIC110−2+MIC110−3 …(4)
ただし、「SP」は、会話音声用スピーカ150−1〜150−4から出力される会話音声信号を示し、「MIC」は、マイク110−1〜110−4によって集音し会話音声抽出部120によって抽出された会話音声信号を示している。
このようにして会話音声合成部130によって合成された会話音声信号は、座席毎に、会話音声合成部130からアンプ部140に出力され、アンプ部316で増幅された後、各座席に設置された会話音声用スピーカ150−1〜150−4から音声出力される。これにより、発声者は、自らの座席に設置された会話音声用スピーカ150から自ら発声した会話音声を聴取することがなくなるため、従来の車内会話補助装置を設置した際の違和感や不快感を軽減することができる。
次に、車内の乗員の頭部位置を検出し、その検出結果に基づいてスピーカ150の指向性を乗員の頭部に向ける機能について説明する。
まず、図5を用いて、車内における乗員の頭部位置検出について説明する。
図5は、乗員頭部位置検出部160の一例として、フレーム間差分とステレオ球投影による頭部位置検出方法を説明するための図である。
この頭部位置検出方法においては、図5に示すように、夜間走行においても対応可能にするために、各乗員頭部位置検出部160に対して、2台の赤外線カメラ161a、161bを用いて、各座席の乗員をステレオ視する。ここでは、観測空間162である三次元空間内において、被観測体163である「球状の人の頭」の動きを赤外線カメラ161a、161bで撮影すると、ステレオ視している両方の赤外線カメラ161a、161bの二次元画像164a、164bの中に、フレーム間差分が円形状になって現れるという原理を利用して、2台の赤外線カメラ161a、161bによって円形状のフレーム差分を探索する。
このとき、円形状のフレーム差分は、図6に示すように、両方の赤外線カメラ161a、161bの映像中に同時に現れる円形状のフレーム間差分から、三次元空間内の球の位置を、任意の点を原点とした座標系(x,y,z)を一定間隔で量子化した空間において算出される。
そして、会話音声用スピーカ駆動制御部170は、対応する乗員頭部位置検出部160によって算出された乗員の頭部位置(x,y,z)に基づいて、例えば、図7に示すように、周知の極座標変換を用いて、乗員の頭部位置のパラメータを極座標(r,θ,φ)に変換する。そして、会話音声用スピーカ駆動制御部170は、変換後のパラメータ(r,θ,φ)に基づいて、各座席に設置された対応する会話音声用スピーカ150の駆動量を決定し、会話音声用スピーカ150のスピーカ軸を変えて指向性を乗員の頭部に向けるように制御する。
ここで、図8〜図10を用いて、会話音声用スピーカ150について詳細に説明する。
図8は、会話音声用スピーカ150のスピーカ軸を乗員に向けるために会話音声用スピーカ150を駆動するスピーカ駆動ユニット180の構成を示す図である。特に、図8(a)は、スピーカ駆動ユニット180の上面図、図8(b)は、スピーカ駆動ユニット180の側面図、図8(c)は、スピーカ駆動ユニット180の正面図である。
スピーカ駆動ユニット180は、図8に示すように、筐体181と、会話音声用スピーカ150を固定して保持するスピーカ保持部材182と、スピーカ保持部材182を筐体181に対してθ方向に回転可能に取り付けるための留具183と、会話音声用スピーカ150のスピーカ軸をφ方向に向きを変えるためのターンテーブル184と、スピーカ保持部材182および会話音声用スピーカ150のθ方向の向きを変えるためのモータ185とを備えている。
また、スピーカ保持部材182には、その外周に、モータ185の回転軸に設けられたギヤ186と噛み合う帯状のギア187が設けられている。
ここで、図9は、図8におけるターンテーブル184の回転によるスピーカ軸の軌道を示す図である。また、図10は、図8におけるモータ185の駆動によるスピーカ軸の軌道を示す図である。
次に、上記の構成を有するスピーカ駆動ユニット180の動作について、図11のフロー図を用いて説明する。
図11は、本実施の形態におけるスピーカ駆動ユニット180の動作を説明するためのフロー図である。
まず、乗員頭部位置検出部160が、上記の動作を行って、対象座席(例えば、運転席)に乗員が搭乗しているか否かを判断する(ステップS2000)。この判断は、フレーム間差分が円形状になって現れているか否かによって行われる。
乗員頭部位置検出部160は、ステップS2000でフレーム間差分が円形状になって現れていなければ、対象座席に乗員が搭乗していないものと判断して、乗員頭部位置検出部160の処理動作を終了する。
これに対し、乗員頭部位置検出部160は、ステップS2000でフレーム間差分が円形状になって現れていれば、対象座席に乗員が搭乗しているものと判断して、乗員の頭部位置の検出動作を開始する(ステップS2100)。
そして、ステップS2100で検出した乗員の頭部位置が、前回乗員の頭部位置を検出した際の位置と同じ位置か否かを判断する(ステップS2200)。このとき、例えば、会話音声用スピーカ駆動制御部170は、前回の頭部位置検出データを記憶しているか否かを判断する。
ここで、前回の頭部位置検出データが記憶されていなければ、会話音声用スピーカ駆動制御部170は、ステップS2100における頭部位置の検出結果である頭部位置情報に基づいて、ターンテーブル184およびモータ185を駆動させて、乗員の頭部にスピーカの指向性を向ける(ステップS2400)。これに対し、前回の頭部位置検出データが記憶されていれば、その前回の頭部位置情報とステップS2100で検出した今回の頭部位置情報とを比較する(ステップS2300)。ステップS2300での比較の結果、前回の頭部位置情報と今回の頭部位置情報とが一致した場合は、ターンテーブル184およびモータ185を駆動させることなく、ステップS2100へ戻る。これに対し、ステップS2300での比較の結果、前回の頭部位置情報と今回の頭部位置情報とが一致しなかった場合は、今回の頭部位置情報に基づいて、ターンテーブル184およびモータ185を駆動させて、乗員の頭部にスピーカの指向性を向ける(ステップS2400)。
その後、車内会話補助装置100の電源がOFFされるか、あるいは、ユーザの操作により頭部位置検出の機能が中断されるまで(ステップS2500)、ステップS2000からステップS2500までの処理動作が適宜繰り返される。
以上のように、本実施の形態では、車内の乗員の頭部位置を検出し、その検出結果に基づいて会話音声用スピーカ150の指向性を乗員の頭部に向ける機能を有する。これにより、会話音声用スピーカ駆動制御部170から出力された駆動量に基づいて、ターンテーブル184およびモータ185を駆動することによって、図9および図10に示す範囲内において会話音声用スピーカ150のスピーカ軸を変えて指向性を変更し、乗員の頭部に会話音声用スピーカ150の指向性を向けることができる。
このように、ターンテーブル184の回転およびモータ185の駆動を用いて、会話音声用スピーカ150のスピーカ軸を乗員の頭部位置に向けることにより、聴取対象乗員の会話音声の聞き取りが最適になると共に、他の会話音声用スピーカ150からの会話音声の回り込みを防止することができ、発声者自らの会話音声を聴取することによる違和感や不快感を軽減することができる。
次いで、図12を用いて、上記の構成を有する車内会話補助装置100の動作について説明する。
図12は、本実施の形態に係る車内会話補助装置100の動作を示すフロー図である。
車内会話補助装置100の電源がONされると、まず、車内において乗員から発せられた会話音声を、マイク110−1〜110−4によって、オーディオ部313から出力されたオーディオ音声および車内の騒音と共に集音する(ステップS3000)。ただし、オーディオ音声は必ずしも出力されている必要はない。
そして、上記した会話音声抽出機能によって、ステップS3000で集音した車内の音から会話音声を抽出し(ステップS3100)、音圧レベルに合わせてラウドネス補正を行う。ここで、会話音声専用に設けられた会話音声用スピーカ150−1〜150−4が各座席の近傍に設けられており、任意の座席に、対応する会話音声用スピーカ150−1〜150−4から出力される会話音声は、その座席以外のマイク110−1〜110−4を用いて車内の音を集音し抽出し合成した音声である。
出力対象の会話音声用スピーカ150−1〜150−4から出力される会話音声は、その会話音声用スピーカ150−1〜150−4が設置されている座席以外の座席近傍に設けられたマイク110−1〜110−4を用いて車内の音を集音し抽出した会話音声信号を合成する(ステップS3200)。そして、その合成された会話音声信号をアンプ部140にて増幅し(ステップ3300)、それぞれのスピーカ軸がそれぞれの対象座席の乗員の頭部に向けられている会話音声用スピーカ150−1〜150−4から出力する(ステップS3400)。
会話音声用スピーカ150−1〜150−4は、図12のフロー図に示すように、乗員の頭部位置を検出し、会話音声用スピーカ150−1〜150−4に設置されたターンテーブル184およびモータ185を駆動することによって、常にスピーカ軸が乗員の頭部に向けられている。
すなわち、各座席に設置された乗員頭部位置検出部160−1〜160−4によって乗員の頭部位置を検出し、この検出結果に基づいて会話音声用スピーカ150−1〜150−4の指向性を乗員の頭部に向けるために、スピーカ駆動ユニット180に設置されたモータ185を駆動し、会話音声用スピーカ150−1〜150−4のスピーカ軸を変える。会話音声用スピーカ150−1〜150−4のスピーカ軸を乗員の頭部に向ける駆動量を各座席に設置された会話音声用スピーカ駆動制御部170−1〜170−4によって算出し、算出した駆動量に基づいて各座席に設置された会話音声用スピーカ150−1〜150−4のスピーカ軸を変えることにより、乗員に対して会話音声が最適になるように指向性を乗員の頭部に向け、聴取対象乗員の会話音声の聞き取りが最適になると共に、他の会話音声用スピーカ150−1〜150−4からの会話音声の回り込みを防止することができ、発声者が自らの会話音声を聴取することによる違和感や不快感を軽減することができる。
なお、本実施の形態において、会話音声抽出処理については、図3を用いて説明したステップS1000からステップS1400までの一連のフローで処理され、会話音声用スピーカ150の駆動については、図11を用いて説明したステップS2000からステップS2500までの一連のフローで処理されることになるが、会話音声抽出処理とスピーカ駆動処理については、並列でそれぞれ処理を行ってもよいし、直列で連続処理を行うようにしてもよい。
このように、本発明の実施の形態に係る車内会話補助装置によれば、発声者の座席に自らの会話音声を出力しない会話音声合成部130と、会話音声用スピーカ150とを設けることにより、会話音声用スピーカ150から会話音声を出力することよって車内での会話を補助すると共に、発声者が自らの会話音声を聴取するという違和感や不快感を軽減することができる。
さらに、各座席に搭乗している乗員の頭部を検出して会話音声用スピーカ150の向きを乗員の頭部に向けることにより、他の座席に設置された会話音声用スピーカ150から出力された発声者自らの会話音声の回り込みを防止することができるため、発声者が自らの会話音声を聴取することをより一層防止することができ、発声者に違和感や不快感を与えることをより一層防止することができる。
なお、車内の各座席の近傍に設置されたマイク110と、会話音声用スピーカ150と、乗員頭部位置検出部160と、会話音声用スピーカ駆動制御部170とは、必ずしも社内の全座席に設けられている必要はなく、適宜その数を増減して使用してもよい。
本発明には、発声者の座席に自らの会話音声を出力しない会話音声合成部と、乗員の頭部を検知しその乗員頭部にスピーカ軸を向けることができる会話音声用スピーカとを備えることにより、最適な会話音声用スピーカの向きで会話音声を出力することによって車内での会話を補助すると共に、発声者が自らの会話音声を聴取するという違和感や不快感を軽減することができる効果を有し、乗員会話音声を集音できるマイクが接続可能な音響システムなどに有用である。
100 車内会話補助装置
110、110−1〜110−4 マイク
120 会話音声抽出部
130 会話音声合成部
140 アンプ部
150、150−1〜150−4 会話音声用スピーカ
160、160−1〜160−4 乗員頭部位置検出部
170、170−1〜170−4 会話音声用スピーカ駆動制御部
180 スピーカ駆動ユニット
184 ターンテーブル
185 モータ
200 オーディオ部
210−1〜210−4 車載用オーディオスピーカ
110、110−1〜110−4 マイク
120 会話音声抽出部
130 会話音声合成部
140 アンプ部
150、150−1〜150−4 会話音声用スピーカ
160、160−1〜160−4 乗員頭部位置検出部
170、170−1〜170−4 会話音声用スピーカ駆動制御部
180 スピーカ駆動ユニット
184 ターンテーブル
185 モータ
200 オーディオ部
210−1〜210−4 車載用オーディオスピーカ
Claims (2)
- 車内の各座席に設置され、車内の音を集音するマイクと、
車内の各座席に設置され、乗員の会話音声を出力する会話音声用スピーカと、
前記マイクによって集音された車内の音から乗員の会話音声を抽出する会話音声抽出部と、
各座席に設置された前記マイクによって集音され前記会話音声抽出部によって抽出された会話音声を、当該抽出された会話音声を集音したマイクが設置された座席と同一の座席に設置された会話音声用スピーカから出力しないように合成する会話音声合成部と、
を有する車内会話補助装置。 - 各座席に搭乗している乗員の頭部位置を検出する乗員頭部位置検出部と、
前記会話音声用スピーカの向きを変更する会話音声用スピーカ駆動部と、
前記乗員頭部位置検出部によって検出された乗員の頭部位置に基づいて、前記会話音声用スピーカの向きが乗員の頭部に向くように、前記会話音声用スピーカ駆動部を制御する会話音声用スピーカ駆動制御部と、
を有する請求項1記載の車内会話補助装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008298637A JP2010124435A (ja) | 2008-11-21 | 2008-11-21 | 車内会話補助装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008298637A JP2010124435A (ja) | 2008-11-21 | 2008-11-21 | 車内会話補助装置 |
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JP2010124435A true JP2010124435A (ja) | 2010-06-03 |
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JP (1) | JP2010124435A (ja) |
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- 2008-11-21 JP JP2008298637A patent/JP2010124435A/ja active Pending
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