JP2018157537A - ハウリング抑圧装置およびハウリング抑圧方法 - Google Patents

ハウリング抑圧装置およびハウリング抑圧方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車室においてハウリングを抑圧する。【解決手段】ハウリング抑圧装置100は、車室Rの内部に設けられた、第1スピーカ21、第2スピーカ22、及び第1マイク11と、第1入力音信号M1に基づいて第1信号D1を生成し、当該第1信号D1を反転した第2信号D2を生成する第1信号処理部Z1aと、第1信号D1及び第2信号D2に基づいて第1音信号S1及び第2音信号S2を生成する生成部40Aを備え、第1入力音信号M1が第1信号処理部Z1aに入力されてから第1スピーカ21の放音した音が第1マイク11に到達するまでの時間は、第1マイク11から第1入力音信号M1が第1信号処理部Z1aに入力されてから第2スピーカ22の放音した音が第1マイク11に到達するまでの時間と、略等しい。【選択図】図3

Description

本発明は、車室等の室内におけるハウリングの発生を抑圧する技術に関する。
車両の走行中に、運転者と後部座席に座っている搭乗者とが会話する場合、ロードノイズの影響で、相手の声が聞き取りにくいことがある。そこで、マイクで集音した音を増幅してスピーカで放音することによって、会話を支援する会話支援装置が知られている。また、会話支援装置では、スピーカから出力される音がマイクに入力してしまうと、ハウリングが発生することがある。そこで、従来の会話支援装置では、ハウリングを抑圧するため、エコーキャンセルを用いることがあった(特許文献1)。
特開2012−195801号公報
ところで、エコーキャンセルの処理は、一般に、処理負荷が重いので、従来の会話支援装置では発話者が発話してからスピーカから放音されるまでに、ある程度の時間が経過していた。このように遅延時間が発生すると、相手には発話者からの直接音とスピーカからの遅延音とが重なって聞こえる。このため、まるで風呂場で会話しているように相手に聞こえてしまうといった問題があった。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、車室等の室内において発話者の声を聞き取りやすくしつつ、ハウリングを抑圧することを解決課題の一つとする。
本発明に係るハウリング抑圧装置の一態様は、室内に設けられた第1スピーカ及び第2スピーカと、マイクの出力信号に基づいて生成した第1音信号を第1スピーカに供給するとともに、前記マイクの出力信号に基づいて、前記マイクにおいて前記第1スピーカから放音された音の一部又は全部が第2スピーカから放音された音によって打ち消されるように生成した第2音信号を前記第2スピーカに供給する音信号生成部と、を備える。
本発明に係るハウリング抑圧方法の一態様は、マイクの出力信号に基づいて生成した第1音信号を第1スピーカに供給し、前記マイクにおいて前記第1スピーカから放音された音の一部又は全部が第2スピーカから放音された音によって打ち消されるように生成した第2音信号を前記第2スピーカに供給する。
第1実施形態のハウリング抑圧装置を搭載した車両の平面図である。 車両の側面図である。 ハウリング抑圧装置の電気的な構成を示すブロック図である。 会話におけるハウリング抑圧装置の機能を説明するための図ある。 第1マイクで集音された音を第1スピーカ及び第2スピーカから正相と逆相で放音し第1マイクに再度集音された場合の、元の音と再度集音された音の周波数特性の差を示すグラフである。 第2マイクで集音された音を第3スピーカ及び第4スピーカから正相と逆相で放音し第2マイクに再度集音された場合の、元の音と再度集音された音の周波数特性の差を示すグラフである。 第1マイクと第1スピーカとの距離、第1マイクと第2スピーカとの距離とが異なる場合の差分時間を説明するための説明図である。 第2実施形態に係るハウリング抑圧装置の構成の一例を示すブロック図である。 第2実施形態に係るハウリング抑圧装置の構成の他の例を示すブロック図である。 第3実施形態に係るハウリング抑圧装置の構成の一例を示すブロック図である。 第4実施形態に係るハウリング抑圧装置の構成の一例を示すブロック図である。 マイクが集音した元の音とマイクが再度集音された音の周波数特性の差を示すグラフである。 第5実施形態に係るハウリング抑圧装置の構成の一例を示すブロック図である。 第6実施形態に係るハウリング抑圧装置の構成の一例を示すブロック図である。 第7実施形態に係るハウリング抑圧装置の構成の一例を示すブロック図である。 第7実施形態に係るハウリング抑圧装置の構成の他の例を示すブロック図である。 変形例に係るオーディオシステムの構成を示すブロック図である。 変形例に係るハウリング抑圧装置の構成の一例を示すブロック図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、図面において各部の寸法及び縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施の形態は、本発明の好適な具体例である。このため、本実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<1.第1実施形態>
本実施形態に係るハウリング抑圧装置100は車両Cに用いられる。図1は、本発明の第1実施形態に係るハウリング抑圧装置100を搭載した車両Cの平面図であり、図2は車両Cの側面図である。
車両Cの車室Rには、ハウリング抑圧装置100の他に、矩形に配置された4つの座席51〜54と、天井6と、フロントライトドア71と、フロントレフトドア72と、リアライトドア73と、リアレフトドア74が配置されている。座席51は運転席であり、座席52は助手席であり、座席53は後部右座席であり、さらに、座席54は後部左座席である。座席51〜54の各々は、布又は革を素材とする部材によって形成されている。このため、座席51〜54は吸音性を有する。座席51〜54は、共通の方向を向いている。
ハウリング抑圧装置100は、第1マイク11及び第2マイク12、並びに第1スピーカ21、第2スピーカ22、第3スピーカ23及び第4スピーカ24を含んで構成されている。
第1マイク11(マイク)は、音を集音する第1集音部(集音部)を備え、集音した音を音信号に変換して出力する。第2マイク12も同様に第1集音部を備え、集音した音を音信号に変換して出力する。なお、第1集音部及び第2集音部は音を集音する構成であればどのようなものであってもよいが、例えば、防風の構造が該当する。第1マイク11は後部の座席53及び座席54に座る発話者の声を集音する役割を担う。第1マイク11は、車室Rの天井6に配置され、例えばルームランプ近傍に設けられている。一方、第2マイク12は座席51及び座席52に座る発話者の声を集音する役割を担う。第2マイク12は、車室Rの天井6に配置され、例えばマップランプ近傍に設けられている。
図1に示した例では、第1スピーカ21から第1マイク11までの距離と第2スピーカ22から第1マイク11までの距離とが略等しくなるように、第1マイク11は配置される。また、第3スピーカ23から第1マイク11までの距離及び第4スピーカ24から第1マイク11までの距離が略等しくなるように第1マイク11は配置される。さらに、第2マイク12は、第1スピーカ21から第2マイク12までの距離と第2スピーカ22から第2マイク12までの距離とが略等しくなるように配置され、加えて、第3スピーカ23から第2マイク12までの距離及び第4スピーカ24から第2マイク12までの距離が略等しくなるように配置される。なお、マイクから一方のスピーカまでの距離が、マイクから他方のスピーカまでの距離の70%〜130%までの範囲に入っていることが好ましい。
図3は、ハウリング抑圧装置100の電気的な構成を示すブロック図である。ハウリング抑圧装置100は、後部の座席53及び座席54における発話を前部の座席51及び座席52で聞き取り易くするための第1処理部Aと、前部の座席51及び座席52における発話を後部の座席53及び座席54で聞き取り易くするための第2処理部Bとを備える。
第1処理部Aは、第1マイク11、第1音信号生成部30A、第1スピーカ21及び第2スピーカ22を備える。また、第2処理部Bは、第2マイク12、第2音信号生成部30B、第3スピーカ23及び第4スピーカ24を備える。第1音信号生成部30Aと第2音信号生成部30Bとの構成は、同じである。以下の説明では、第1処理部Aについて説明するが、第2処理部Bについても第1処理部Aと同様の構成である。
第1音信号生成部30Aは、第1マイク11から出力される信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し第1入力音信号M1(入力音信号)として出力するADコンバータ(以下、ADCと表記する)31Aと、第1信号処理部Z1aと、第1スピーカ21を駆動する第1音信号S1及び第2スピーカ22を駆動する第2音信号S2を生成する生成部40Aを備える。
第1信号処理部Z1aは、ADC31Aから出力される第1入力音信号M1に音調整処理を施して第1信号D1を生成する音調整部32を備える。音調整部32は、例えば、第1入力音信号M1の周波数特性及びレベルの少なくとも一方を調整する処理を実行する。
また、第1信号処理部Z1aは、第1信号D1を反転させる位相反転部33を備える。位相反転部33は、第1信号D1の中心レベルを基準として第1信号D1のレベルを反転させた第2信号D2を生成する。なお、第2音信号生成部30Bにおいては、第2マイク12の出力信号をAD変換して得た第2入力音信号M2が第2信号処理部Z2aに供給される。第2信号処理部Z2aは第2入力音信号M2に処理を施して第3信号D3と当該第3信号D3と逆相の第4信号D4を生成する。
音調整部32及び位相反転部33の機能は、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサがメモリ91に格納されている所定のプログラムを実行することによって実現される。ここで、メモリ91は、例えば、半導体記録媒体、磁気式記録媒体又は光学式記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体、又は、これらの記録媒体が組み合わされた記録媒体である。なお、本明細書中において、「非一過性」の記録媒体は、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を一時的に記憶する伝送線等の記録媒体を除く全てのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。
第1信号D1はDAコンバータ(以下、DACと表記する。)34によってデジタル信号からアナログ信号に変換され、さらにアンプ35によって増幅された後、第1音信号S1として第1スピーカ21に供給される。一方、第2信号D2はDAC36によってデジタル信号からアナログ信号に変換され、さらにアンプ37によって増幅された後、第2音信号S2として第2スピーカ22に供給される。第2信号D2は第1信号D1を反転させたものであるので、第1スピーカ21から放音される音と第2スピーカ22から放音される音は、正相と逆相の関係にある。
次に、第2処理部Bにおいて、第2マイク12は第2入力音信号M2を第2音信号生成部30Bに出力する。第2音信号生成部30Bは、第1音信号生成部30Aと同様に構成されており、ADC31B、第2信号処理部Z2a、生成部40B、及びメモリ91を備える。なお、メモリ91は第1音信号生成部30Aと共用してもよい。第2信号処理部Z2aは、第3信号D3とこれを反転した第4信号D4を生成する。生成部40Bは第3信号D3に基づいて正相の第3音信号S3を生成して第3スピーカ23に出力する。また、生成部40Bは、第4信号D4に基づいて逆相の第4音信号S4を生成して第4スピーカ24に出力する。生成部40Bは生成部40Aと同様に構成されている。
ここで、図4に示すように座席53に利用者U1が座り、座席52に利用者U2が座って、会話をする場合を想定する。まず、利用者U1の声は第1マイク11で集音され、第1音信号生成部30Aで処理された後、第1スピーカ21より正相の音が放音され、第2スピーカ22より逆相の音が放音される。
第1マイク11で集音された音を「X」とし、音Xを第1スピーカ21及び第2スピーカ22から放音し、第1マイク11に戻ってきて再度集音された音を「X’」としたとき、図5に示す実線は、第1スピーカ21及び第2スピーカ22から放音される音が共に正相である場合に、音Xと音X’との周波数特性の差を示したものである。一方、図5に示す点線は、第1スピーカ21から正相の音を放音する一方、第2スピーカ22から逆相の音を放音した場合に、音Xと音X’との周波数特性の差を示したものである。図5に示す周波数特性の差が正の値の場合は、第1マイク11→第1音信号生成部30A→第1スピーカ21及び第2スピーカ22→第1マイク11の経路のゲインが「1」を超え増幅となる。同図から明らかなように、第1スピーカ21及び第2スピーカ22から正相で放音した場合に比べて、逆相で放音した場合には広い帯域に亘って増幅の経路が生じていないことが分かる。第1スピーカ21から放音された正相の音と、第2スピーカ22から放音された逆相の音とが、第1マイク11の近傍で打ち消しあうことにより、ハウリングが抑圧される。
即ち、第1音信号生成部30Aは、第1マイク11の出力信号に基づいて生成した第1音信号S1を第1スピーカ21に供給し、第1マイクの出力信号に基づいて、第1マイクにおいて第1スピーカ21から放音された音の一部又は全部が第2スピーカ22から放音された音によって打ち消されるように生成した第2音信号S2を第2スピーカ22に供給している。
次に、利用者U2の声は第2マイク12で集音され、第2音信号生成部30Bで処理された後、第3スピーカ23より正相の音が放音され、第4スピーカ24より逆相の音が放音される。
第2マイク12で集音された音を「Y」とし、音Yを第3スピーカ23及び第4スピーカ24から放音し、第2マイク12に戻ってきて再度集音された音を「Y’」としたとき、図6に示す実線は、第3スピーカ23及び第4スピーカ24から放音される音が共に正相である場合に、音Yと音Y’との周波数特性の差を示したものである。一方、図6に示す点線は、第3スピーカ23から正相の音を放音する一方、第4スピーカ24から逆相の音を放音する場合に、音Yと音Y’との周波数特性の差を示したものである。図6に示す周波数特性の差が正の値の場合は、第2マイク12→第2音信号生成部30B→第3スピーカ23及び第4スピーカ24→第2マイク12の経路のゲインが「1」を超え増幅となる。同図から明らかなように、第3スピーカ23及び第4スピーカ24から正相で放音した場合に比べて、逆相で放音した場合には広い帯域に亘って増幅の経路が生じていないことが分かる。第3スピーカ23から放音された正相の音と、第4スピーカ24から放音された逆相の音とが、第2マイク12の近傍で打ち消しあうことにより、ハウリングが抑圧される。
ハウリングは、第1スピーカ21及び第2スピーカ22から放音された音が第1マイク11によって集音され、正帰還が掛かることに起因する。ハウリングを抑圧するためゲインを下げることも考えられるが、ゲインを下げてしまうと、例えば、後部座席の話者が喋った言葉を運転者は聞き取りにくくなってしまう。
本実施形態では、第1スピーカ21から第1マイク11までの距離と第2スピーカ22から第1マイク11までの距離とが略等しくなるように、第1マイク11は配置される。また、第1スピーカ21と第2スピーカ22とからは正相と逆相の音が放音されるので、第1マイク11の近傍では、第1スピーカ21からの音と第2スピーカ22からの音が打ち消されることになる。このため、第1音信号生成部30Aのゲインを下げなくてもハウリングを抑圧することができる。
さらに、第1マイク11は、第3スピーカ23からの音及び第4スピーカ24からの音も集音し、第1スピーカ21及び第2スピーカ22から放音させる。本実施形態では、第1マイク11から第3スピーカ23までの距離と第1マイク11から第4スピーカ24までの距離が約略等しい。また、第3スピーカ23と第4スピーカ24とからは正相と逆相の音が放音されるので、第1マイク11の近傍では、第3スピーカ23からの音と第4スピーカ24からの音が打ち消されることになる。このため、第2音信号生成部30Bのゲインを下げなくてもハウリングを抑圧することができる。
換言すれば、第1マイク11から第1入力音信号M1が出力されてから、当該第1入力音信号M1に基づいて第1スピーカ21の放音した音が第1マイク11に到達するまでの時間は、第1マイク11から第1入力音信号M1が出力されてから、第1入力音信号M1に基づいて第2スピーカ22の放音した音が第1マイク11に到達するまでの時間と、略等しい。そして、第1音信号S1と第2音信号S2とは、正相と逆相の関係にあるので、第1マイク11の近傍で、第1スピーカ21の放音した音と、第2スピーカ22の放音した音とを互いに打ち消すことができる。
このように本実施形態によれば、第1マイク11及び第2マイク12に音が入力される前に正相の音を逆相の音で打ち消すので、ハウリングを抑圧することができる。
また、第1音信号生成部30Aは、第1信号D1を反転する位相反転部33を備えるだけで正相の第1音信号S1と逆相の第2音信号S2を生成するので、従来のエコーキャンセル機能を有する装置と比較して、構成を大幅に簡素化できる。さらに、遅延時間も殆どないので、明瞭で聞き取り易い音を放音することが可能となる。
<2.第2実施形態>
上述した第1実施形態では、第1スピーカ21から第1マイク11までの距離と第2スピーカ22から第1マイク11までの距離とを略等しくし、第3スピーカ23から第2マイク12までの距離と第4スピーカ24から第2マイク12までの距離とを略等しく設定した。しかしながら、車両Cの構造上の理由から、そのような位置に第1マイク11及び第2マイク12を配置できない場合もあり得る。例えば、図7に示すように第1スピーカ21から第1マイク11までの距離L1が第2スピーカ22から第1マイク11までの距離L2より差分距離ΔLだけ長い場合である。この場合、第1スピーカ21から音が放音されてから第1マイク11に到達するまでの時間T1は、第2スピーカ22から音が放音されてから第1マイク11に到達するまでの時間T2よりも差分時間ΔTだけ長い。
第2実施形態に係るハウリング抑圧装置200は、第2スピーカ22から放音される音と第1スピーカ21から放音される音とが第1マイク11に到達した時点で正相と逆相の関係になるように第1スピーカ21に供給する第1音信号S1と第2スピーカ22に供給する第2音信号S2を調整する。
図8に第2実施形態に係るハウリング抑圧装置200のブロック図を示す。第2実施形態のハウリング抑圧装置200が図3に示す第1実施形態のハウリング抑圧装置100と異なるのは、第1信号処理部Z1bにおいて遅延部38を設けた点である。この遅延部38は差分時間ΔTだけ第1信号D1を遅延させて位相反転部33に供給する。遅延部38は、例えば、メモリによって構成される。なお、遅延部38は位相反転部33とDAC36との間に設けてもよい。さらに、遅延部38をアナログ回路で構成して、アンプ37の前段又は後段に設けてもよい。
逆相の第2音信号S2は、正相の第1音信号S1よりも差分時間ΔTだけ遅延部38によって遅れて第2スピーカ22に供給される。このため、第2スピーカ22から放音される音が差分時間ΔTだけ、第1スピーカ21から放音される音よりも遅れる。この結果、第2スピーカ22から放音される音と第1スピーカ21から放音される音とが第1マイク11に到達した時点で正相と逆相の関係になる。これにより、第1マイク11の近傍では、第1スピーカ21からの音と第2スピーカ22からの音が打ち消されることになる。このため、ハウリングを抑圧することができる。
換言すれば、音信号M1に基づいて生成された第1音信号S1が第1スピーカ21に供給され、第1スピーカ21から音が放音される。第1マイク11から音信号M1が出力されてから第1スピーカ21から放音された音が第1マイク11に到達するまでの時間は、第1マイク11から音信号M1が出力されてから、第2スピーカ22の放音した音が第1マイク11に到達するまでの時間と、略等しい。そして、第1音信号S1と第2音信号S2とは、正相と逆相の関係にあるので、第1マイク11の近傍で、第1スピーカ21の放音した音と、第2スピーカ22の放音した音とを打ち消すことができる。なお、第2信号処理部Z2bは、第1信号処理部Z1aと同様に構成されており、遅延部38を備える。
第2実施形態では、第1スピーカ21から第1マイク11までの距離L1が第2スピーカ22から第1マイク11までの距離L2より差分距離ΔLだけ長い場合を想定したが、逆に距離L2が距離L1より差分距離ΔLだけ長い場合を想定する。この場合、第2スピーカ22から音が放音されてから第1マイク11に到達するまでの時間T2は、第1スピーカ21から音が放音されてから第1マイク11に到達するまでの時間T1よりも差分時間ΔTだけ長い。この場合は、図9に示すように第1信号処理部Z1cを構成すればよい。即ち、遅延部38を音調整部32とDAC34との間に設ければよい。これによって、第1音信号生成部30Aは、第1入力音信号M1が入力されてから第1音信号S1が出力されるまでの時間を、第1入力音信号M1が入力されてから第2音信号S2が出力されるまでの時間と比較して差分時間ΔTだけ遅らせる。これにより、第1マイク11の近傍で、第1スピーカ21の放音した音と、第2スピーカ22の放音した音とを打ち消すことができる。なお、第2信号処理部Z2cも第1信号処理部Z1cと同様に構成されている。
<3.第3実施形態>
上述した第1実施形態及び第2実施形態では、正相の第1音信号S1と逆相の第2音信号S2を生成し、マイク近傍で音が打ち消されるように調整した。ところで、走行ノイズの大きな環境では、走行ノイズに会話をアシストするアシスト音が埋もれないように各スピーカ21〜24から放音する音の音量を増加させる必要がある。なお、走行ノイズには、車両の走行に起因する音であるエンジン音、ロードノイズ、及び環境音などが含まれる。
上述した第1実施形態及び第2実施形態の方法では、ゲインを高くするには限界があり、音量を増加させるとハウリングが発生する可能性がある。
一方、一般的なエコーキャンセルの方法は、ゲインを大きくすることができるが、エコーキャンセル処理の処理時間に伴う遅延によって、話者の声(直接音)よりも各スピーカ21〜24から放音されるアシスト音が遅れるため、エコーが掛かったように聞こえるといった問題があった。
しかしながら、走行ノイズが大きい環境では、話者からの直接音は走行ノイズに埋もれてしまい聞き取りづらくなる。
そこで、第3実施形態に係るハウリング抑圧装置300では、走行ノイズの大小によって、ハウリング抑圧方法を切り換えることにより、走行ノイズが小さい環境から走行ノイズの大きい環境まで、広範囲にハウリングを抑圧する。
図10は第3実施形態に係るハウリング抑圧装置300の構成を示すブロック図である。この図に示すように、ハウリング抑圧装置300は、第5信号D5及び第6信号D6を出力する第3信号処理部Z3、第6信号D6及び第7信号D7を出力する第4信号処理部Z4、ノイズ分析部55及び第1〜第8信号D1〜D8が供給される選択部SELを備える点を除き、第1実施形態のハウリング抑圧装置100と同様に構成されている。第3信号処理部Z3、第4信号処理部Z4、ノイズ分析部55及び選択部SELは、第1信号処理部Z1a及び第2信号処理部Z2aと同様に、メモリ91に記憶されているプログラムをCPU又はDSPなどのプロセッサが実行することによって実現される。
第3信号処理部Z3はエコーキャンセル部EC1と音調整部39とを備え、第4信号処理部Z4はエコーキャンセル部EC2と音調整部39とを備える。エコーキャンセル部EC1には第1入力音信号M1と第7信号D7とが入力され、エコーキャンセル部EC2には第2入力音信号M2と第5信号D5とが入力される。エコーキャンセル部EC1及びEC2はエコーキャンセル処理を実行する。また、第3信号処理部Z3及び第4信号処理部Z4に設けられる音調整部39は、周波数特性及びゲインを可変することによって音質を調整する。
エコーキャンセル部EC1は、第1入力音信号M1に対して第7信号D7に含まれる成分を低減する処理を実行し、第5信号D5及び第6信号D6を生成する。エコーキャンセル部EC2は、第2入力音信号M2に対して第5信号D5に含まれる成分を低減する処理を実行し、第7信号D7及び第8信号D8を生成する。
例えば、図4に示す例では、利用者U1の発音は、利用者U1→第1マイク11→第1音信号生成部30A→第1スピーカ21及び第2スピーカ22→第2マイク12→第2音信号生成部30B→第3スピーカ23及び第4スピーカ24→第1マイク11の経路でフィードバックする。そして、この経路のゲインが「1」を超えると発振する。
エコーキャンセル部EC1で実行される処理では、後部座席側に設けられた第1マイク11で集音された音のうち、後部座席側に設けられた第3スピーカ23及び第4スピーカ24から放音される音の成分をキャンセルして第1スピーカ21及び第2スピーカ22から放音される音を生成している。即ち、後部座席の利用者の声を前部座席の利用者に伝える系統を第1系統、前部座席の利用者の声を後部座席の利用者に伝える系統を第2系統としたとき、第1系統と第2系統との間の干渉を低減している。この点は、エコーキャンセル部EC2で実行される処理も同様である。
従って、第3信号処理部Z3で生成される第5信号D5及び第6信号D6、並びに第4信号処理部Z4で生成される第7信号D7及び第8信号D8の振幅を大きくすることが可能となる。
ノイズ分析部55は第1入力音信号M1及び第2入力音信号M2に基づいて走行ノイズの大きさを分析し、走行ノイズの大きさが閾値未満であるか閾値以上であるかを示す制御信号CTLを生成する。ここで、閾値は、走行ノイズによって利用者の直接音が埋もれてしまう程度に設定することが好ましい。
次に、選択部SELは、走行ノイズが閾値未満の場合には、第1信号D1、第2信号D2、第3信号D3、及び第4信号D4を出力し、走行ノイズが閾値以上の場合には、第5信号D5、第6信号D6、第7信号D7、及び第8信号D8を出力する。
生成部40Aは、第1信号D1及び第2信号D2、又は第5信号D5及び第6信号D6に基づいて、第1音信号S1及び第2音信号S2を生成する。生成部40Bは第3信号D3及び第4信号D4、又は第7信号D7及び第8信号D8に基づいて、第3音信号S3及び第4音信号S4を生成する。
ハウリング抑圧装置300は、走行ノイズが小さい(閾値未満)の場合、第1マイク11の出力信号に基づいて生成した第1音信号S1を第1スピーカ21に供給し、第1マイク11の出力信号に基づいて、第1マイク11において第1スピーカ21から放音された音の一部又は全部が第2スピーカ22から放音された音によって打ち消されるように第2音信号S2を生成する。第2音信号S2は第2スピーカ22に供給される。一方、走行ノイズが大きい(閾値以上)の場合、第1マイク11の出力信号にエコーキャンセル処理を施して第1音信号S1及び第2音信号S2を生成し、第1音信号S1を第1スピーカ21に給し、第2音信号S2を第2スピーカ22に供給する。このようにハウリング抑圧装置300は、走行ノイズの大小に応じてハウリング抑圧方法を切り換えることができる。
ハウリング抑圧装置300によれば、走行ノイズが小さい場合には、エコー効果が小さい高品質のアシスト音を再生することができる。さらに、走行ノイズが閾値以上である場合には、エコーキャンセル処理によって得られたアシスト音を再生することができるので、走行ノイズに埋もれない音量でアシスト音を再生することができる。加えて、エコーキャンセル処理には処理時間を要するため、直接音から遅れてアシスト音が再生される。しかし、走行ノイズが大きいと直接音が走行ノイズに埋もれてしまうので、エコーキャンセル処理を実行しても利用者は直接音を聞きづらくなり、エコー効果による違和感が軽減される。よって、ハウリング抑圧装置300は、走行ノイズに応じてハウリングの抑圧方法を切り換えることによって、走行ノイズが小さい環境から走行ノイズの大きい環境まで、広範囲にハウリングを抑圧することができる。
なお、本実施形態において、第1信号処理部Z1a、第3信号処理部Z3、選択部SEL、及び生成部40Aを第1入力音信号M1に基づいて第1音信号S1及び第2音信号S2を生成する第1音信号生成部30Aとして捉え、第2信号処理部Z2a、第4信号処理部Z4、選択部SEL、及び生成部40Bを第2入力音信号M2に基づいて第3音信号S3及び第4音信号S4を生成する第2音信号生成部30Bとして捉えることもできる。この場合、第1音信号生成部30Aは、走行ノイズが小さい場合には、第1入力音信号M1に処理を施して第1信号D1を生成し、第1信号D1に基づいて第1音信号S1を生成し、第1信号D1を反転した第2信号D2に基づいて第2音信号S2を生成し、走行ノイズが大きい場合には、第1入力音信号M1にエコーキャンセル処理を施した信号に基づいて第1音信号S1及び第2音信号S2を生成する。第2音信号生成部30Bは、走行ノイズが小さい場合には、第2入力音信号M2に処理を施して第3信号D3を生成し、第3信号D3に基づいて第3音信号S3を生成し、第3信号D3を反転した第4信号D4に基づいて第4音信号S4を生成し、走行ノイズが大きい場合には、第2入力音信号M2にエコーキャンセル処理を施した信号に基づいて第1音信号S1及び第2音信号S2を生成する。
<4.第4実施形態>
第1スピーカ21から放音された音が第1マイク11で集音されるまでに通る空間(以下「第1空間」と称する)は、第2スピーカ22から放音された音が第1マイク11で集音されるまでに通る空間(以下「第2空間」と称する)と異なる。第1空間および第2空間のそれぞれには、荷物が置かれたり、利用者が位置したりする。このため、第1空間の伝達関数Hfrと第2空間の伝達関数Hflとが相互に異なる可能性があり得る。
伝達関数Hfrが伝達関数Hflと異なる場合、第1信号D1と第2信号D2とが相互に逆相の関係であっても、第1マイク11の近傍で、第1スピーカ21の放音した音と第2スピーカ22の放音した音とは、相互に逆相の関係にはならず、互いに打ち消し合うことは難くなる。
第4実施形態に係るハウリング抑圧装置400では、伝達関数Hfrが伝達関数Hflと異なる場合でも、第1マイク11の近傍で、第1スピーカ21の放音した音と、第2スピーカ22の放音した音とが、互いに打ち消されやすくなるように、第1音信号と第2音信号とが生成される。
図11は、第4実施形態に係るハウリング抑圧装置400のブロック図である。
第4実施形態のハウリング抑圧装置400が図3に示す第1実施形態のハウリング抑圧装置100と異なる点は、第1信号処理部Z1dにおいて、位相反転部33が省略され、制御部301と、設定部302と、FIRフィルタ303と、遅延部304と、切替スイッチSW1〜SW3が設けられた点である。
第4実施形態では、第1実施形態と同様に、第1スピーカ21から第1マイク11までの距離と第2スピーカ22から第1マイク11までの距離とは互いに略等しく、第3スピーカ23から第2マイク12までの距離と第4スピーカ24から第2マイク12までの距離とは互いに略等しい。
切替スイッチSW1は、遅延部304が出力した信号と、設定部302が出力したインパルス信号I1とを、択一にDAC34に供給する。切替スイッチSW2は、FIRフィルタ303が出力した信号と、設定部302が出力したインパルス信号I2とを、択一にDAC36に供給する。切替スイッチSW3は、ADC31Aが出力した信号を、設定部302と音調整部32に択一に供給する。
制御部301は、切替スイッチSW1〜SW3と設定部302とを制御する。
制御部301は、ハウリング抑圧装置400への電源投入に応じて、切替スイッチSW1を制御して設定部302とDAC34とを接続し、かつ、切替スイッチSW2を制御して設定部302とDAC36とを接続し、かつ、切替スイッチSW3を制御してADC31Aと設定部302とを接続する。制御部301は、切替スイッチSW1〜SW3の制御を完了すると、設定部302に動作開始通知を出力する。なお、制御部301は、不図示の設定用ボタンの操作に応じて、上述したように切替スイッチSW1〜SW3を制御するとともに設定部302に動作開始通知を出力してもよい。
設定部302は、動作開始通知の受け取りに応じて、伝達関数Hfrと伝達関数Hflとを推定する。設定部302は、伝達関数Hfrと伝達関数Hflとの推定結果を用いて、FIRフィルタ303のフィルタ係数を設定し、かつ、遅延部304での遅延量(遅延時間)を設定する。
設定部302は、動作開始通知を受け取ると、スイッチSW1にインパルス信号I1を出力する。インパルス信号I1は、スイッチSW1および生成部40Aを介して第1スピーカ21に供給される。第1スピーカ21は、インパルス信号I1に応じた第1インパルス音を放音する。第1インパルス音は、第1空間を通って第1マイク11で集音される。第1インパルス音の波形は、第1空間を通る間に、第1空間の伝達関数Hfrに応じて変形される。
第1マイク11は、第1インパルス音に応じた音信号を出力する。設定部302は、ADC31AとスイッチSW3を介して、第1インパルス音に応じた音信号を、第1空間に関するインパルス応答として受け取る。設定部302は、第1空間に関するインパルス応答を解析して、伝達関数Hfrを算出する。
次に、設定部302は、スイッチSW2にインパルス信号I2を出力する。インパルス信号I2は、スイッチSW2および生成部40Aを介して第2スピーカ22に入力される。第2スピーカ22は、インパルス信号I2に応じた第2インパルス音を放音する。第2インパルス音は、第2空間を通って第1マイク11で集音される。第2インパルス音の波形は、第2空間を通る間に、第2空間の伝達関数Hflに応じて変形される。
第1マイク11は、第2インパルス音に応じた音信号を出力する。設定部302は、ADC31AとスイッチSW3を介して、第2インパルス音に応じた音信号を、第2空間に関するインパルス応答として受け取る。設定部302は、第2空間に関するインパルス応答を解析して、伝達関数Hflを算出する。
設定部302は、−(伝達関数Hfr/伝達関数Hfl)にて特定される係数H1を、FIRフィルタ303のフィルタ係数に設定する。伝達関数Hfr/伝達関数Hflは、第1スピーカ21から第1マイク11までの空間の伝達関数を第2スピーカ22から第1マイク11までの空間の伝達関数で除算することで算出される値である。
次に、設定部302は、FIRフィルタ303でのフィルタ処理に要する時間(以下「フィルタ処理時間」と称する)を、フィルタ係数に基づいて決定する。設定部302は、フィルタ処理時間を、遅延時間として遅延部304に設定する。
続いて、設定部302は、制御部301に動作完了通知を出力する。制御部301は、動作完了通知を受け取ると、切替スイッチSW1を制御して遅延部304とDAC34とを接続し、かつ、切替スイッチSW2を制御してFIRフィルタ303とDAC36とを接続し、かつ、切替スイッチSW3を制御してADC31Aと音調整部32とを接続する。
FIRフィルタ303は、音調整部32が出力した第1信号D1を、フィルタ係数でフィルタ処理して第9信号D9を生成する。具体的には、FIRフィルタ303は、第1信号D1に対して、反転処理と、伝達関数Hfr/伝達関数Hflで特定される係数の乗算処理と、を施すことによって、第9信号D9を生成する。よって、第9信号D9は、第1信号D1に係数H1(H1=−(伝達関数Hfr/伝達関数Hfl))が乗算された信号となる。第9信号D9は、第2処理信号の一例である。
第9信号D9は、DAC36によってデジタル信号からアナログ信号に変換され、さらにアンプ37によって増幅された後、第9音信号S9として第2スピーカ22に供給される。第9音信号S9は、第2音信号の他の例である。
第2スピーカ22は、第9音信号S9に応じた音を放音する。第2スピーカ22が放音した音は、第2空間を通って第1マイク11に向かう。第2スピーカ22が放音した音は、第2空間を通ることで、第2空間の伝達関数Hflの影響を受ける。このため、第2スピーカ22が放音した音は、第1マイク11の近傍では、FIRフィルタ303のフィルタ係数H1と伝達関数Hflとの積、つまり、−(伝達関数Hfr/伝達関数Hfl)×伝達関数Hfl=−伝達関数Hfrの影響を受けている。
遅延部304は、音調整部32が出力した第1信号D1を、FIRフィルタ303でのフィルタ処理に要する時間(つまり、第2処理信号の生成に要する時間)だけ遅延させて出力する。このため、遅延部304から出力される第1信号D1と、FIRフィルタ303から出力される第9信号D9との間で、出力タイミングの差が解消される。
生成部40Aは、第1信号D1を第1処理信号として用いて、第1信号D1に応じた第1音信号S1を生成する。
ここで、第1処理信号である第1信号D1と、第2処理信号である第9信号D9との関係について説明すると、第9信号D9は、第1信号D1に係数(伝達関数Hfr/伝達関数Hfl)を乗算した信号を反転した場合に生成される信号と同一となる。
第1音信号S1は、第1スピーカ21に供給される。第1スピーカ21は、第1音信号S1に応じた音を放音する。第1スピーカ21が放音した音は、第1空間を通って第1マイク11に向かう。第1スピーカ21が放音した音は、第1空間を通ることで、第1空間の伝達関数Hfrの影響を受ける。このため、第1スピーカ21が放音した音は、第1マイク11の近傍では、伝達関数Hfrの影響を受けている。
一方、上述したように、第2スピーカ22が放音した音は、第1マイク11の近傍では、−伝達関数Hfrの影響を受けている。
従って、第1マイク11の近傍では、第1スピーカ21が放音した音と、第2スピーカ22が放音した音とは、相互に逆相の関係になり、互いに打ち消し合いやすくなる。よって、ハウリングが抑圧される。
図12は、第1マイク11で集音された音を「Z」とし、音Zを第1スピーカ21及び第2スピーカ22から放音し、第1マイク11に戻ってきて再度集音された音を「Z’」としたときの、音Zと音Z’との周波数特性の差を示したものである。なお、図12と図5では、ハウリング抑圧装置が搭載された車両C(さらに言えば、車室R)が相互に異なっている。
図12に示す点線は、第4実施形態の比較例における周波数特性の差を示したものである。具体的には、図12に示す点線は、第1スピーカ21及び第2スピーカ22から放音される音が共に正相(同相)である場合での、音Zと音Z’との周波数特性の差を示したものである。
図12に示す破線も、第4実施形態の比較例における周波数特性の差を示したものである。具体的には、図12に示す破線は、第1スピーカ21及び第2スピーカ22から放音される音が逆相の関係である場合での、音Zと音Z’との周波数特性の差を示したものである。
図12に示す実線は、第4実施形態における周波数特性の差を示したものである。図12に示す周波数特性の差が正の値の場合は、第1マイク11→第1音信号生成部30A→第1スピーカ21及び第2スピーカ22→第1マイク11の経路のゲインが「1」を超え増幅となる。
同図から明らかなように、第1スピーカ21及び第2スピーカ22から同相の関係で音が放音された場合、並びに、第1スピーカ21及び第2スピーカ22から逆相の関係で音が放音された場合に比べて、第4実施形態のように、音が通る空間の伝達関数の違いがキャンセルさせるように放音がなされた場合には、広い帯域に亘って増幅の経路が生じていないことが分かる。このため、第1スピーカ21から放音された音と、第2スピーカ22から放音された音とが、第1マイク11の近傍で打ち消しあうことにより、ハウリングが抑圧される。
なお、本実施形態において、FIRフィルタ303でのフィルタ処理時間が予め設定された許容時間範囲に収まる場合、遅延部304は省略されてもよい。
また、本実施形態において、第2処理部Bは、図11に示した第1処理部Aと同様に構成されてもよいし、図3に示した第2処理部Bと同様に構成されてもよい。
<5.第5実施形態>
第4実施形態に係るハウリング抑圧装置400では、例えば図7に示したように、第1スピーカ21から第1マイク11までの距離L1と第2スピーカ22から第1マイク11までの距離L2とが、差分距離ΔLだけ異なる場合、第2実施形態で説明したように、第1スピーカ21から放音された音と第2スピーカ22から放音された音とが打ち消し合いにくくなってしまう。
第5実施形態に係るハウリング抑圧装置500は、第4実施形態に係るハウリング抑圧装置400において、第1音信号S1が第1スピーカ21に到達するタイミングと、第9音信号S9が第2スピーカ22に到達するタイミングと、の差を、差分距離ΔLに応じた差分時間ΔTだけ調整する。
第5実施形態では、図7に示したように、距離L1が距離L2より差分距離ΔLだけ長いとする。
図13は、第5実施形態に係るハウリング抑圧装置500のブロック図である。
第5実施形態に係るハウリング抑圧装置500が、第4実施形態に係るハウリング抑圧装置400と異なる点は、第1信号処理部Z1eにおいて、図8に示した遅延部38が、音調整部32とFIRフィルタ303との間に追加されている点である。遅延部38は、FIRフィルタ303とDAC36との間に設けられてもよい。遅延部38がアナログ回路で構成され、アナログ回路で構成された遅延部38が、アンプ37の前段又は後段に設けられてもよい。
遅延部38がFIRフィルタ303に入力される第1信号D1を遅延するため、第9音信号S9は、第1音信号S1が第1スピーカ21に到達するタイミングよりも、差分距離ΔLに起因する差分時間ΔTだけ遅れて、第2スピーカ22に到達する。従って、第1マイク11の近傍では、第1スピーカ21からの音と第2スピーカ22からの音が、相互に逆相の関係になり、互いに打ち消されることになる。このため、ハウリングを抑圧することができる。
距離L1が距離L2よりも差分距離ΔLだけ短い場合には、例えば、遅延部38に遅延時間として「0」が設定され、遅延部304に遅延時間として、FIRフィルタ303でのフィルタ処理時間に遅延時間ΔTを加算した時間が設定される。この場合も、第1マイク11の近傍では、第1スピーカ21からの音と第2スピーカ22からの音が互いに打ち消されることになる。このため、ハウリングを抑圧することができる。
距離L1が距離L2よりも差分距離ΔLだけ短い場合、図11に示したハウリング抑圧装置400が用いられてもよい。すなわち、図13に示した構成から遅延部38が削除されてもよい。
本実施形態において、第2処理部Bは、図13に示した第1処理部Aと同様に構成されてもよいし、図3または図11に示した第2処理部Bと同様に構成されてもよい。
第4および第5実施形態において、FIRフィルタ303のフィルタ係数が、ハウリング抑圧装置の出荷前に予め設定され固定されていてもよい。この場合、遅延部304での遅延量も、ハウリング抑圧装置の出荷前にFIRフィルタ303のフィルタ係数に基づいて予め設定され固定されることが好ましい。
第4および第5実施形態において、乗員の人数、乗員の位置または座席の配置(シートアレンジ)等に応じて予め算出された複数のフィルタ係数がメモリ91に記憶され、かつ、乗員の人数、乗員の位置または座席の配置等を検出する検出部が設けられた場合、設定部302は、メモリ91に記憶された複数のフィルタ係数のうち、検出部の検出結果に応じたフィルタ係数を、FIRフィルタ303に設定してもよい。
さらに、メモリ91に記憶された複数のフィルタ係数のいずれかを選択する操作を受け付ける操作部が設けられ、設定部302は、メモリ91に記憶された複数のフィルタ係数のうち、操作部が受け付けた操作で選択されたフィルタ係数を、FIRフィルタ303に設定してもよい。この場合、検出部は省略されてもよい。
メモリ91に複数のフィルタ係数が記憶される場合、遅延部304での遅延量も、フィルタ係数ごとに予め算出されてメモリ91に記憶され、設定部302が、FIRフィルタ303に設定したフィルタ係数に応じた遅延量を、遅延部304に設定してもよい。
上述したように、FIRフィルタ303のフィルタ係数が固定されている場合、および、メモリ91に記憶されているフィルタ係数がFIRフィルタ303のフィルタ係数として設定される場合、設定部302は伝達関数を推定する必要がなくなり、切替スイッチSW1〜SW3は省略されてもよい。切替スイッチSW1〜SW3が省略された場合、制御部301は、当然のことながら、切替スイッチSW1〜SW3を制御する必要がなくなる。
<6.第6実施形態>
第4実施形態および第5実施形態では、伝達関数Hfrと伝達関数Hflとの差異に起因する影響を低減するために、FIRフィルタ303が用いられた。
第6実施形態に係るハウリング抑圧装置600では、伝達関数Hfrと伝達関数Hflとの差異に起因する影響を低減するために、FIRフィルタ303に加えて、FIRフィルタ305が用いられる。
図14は、第6実施形態に係るハウリング抑圧装置600のブロック図である。
第6実施形態では、第4実施形態と同様に、第1スピーカ21から第1マイク11までの距離と第2スピーカ22から第1マイク11までの距離とは互いに略等しく、第3スピーカ23から第2マイク12までの距離と第4スピーカ24から第2マイク12までの距離とは互いに略等しい。
第6実施形態に係るハウリング抑圧装置600が、第4実施形態に係るハウリング抑圧装置400と異なる点は、第1信号処理部Z1fにおいて遅延部304の代わりにFIRフィルタ305が用いられている点である。
ハウリング抑圧装置600では、設定部302は、伝達関数Hfrを示す係数H2を、FIRフィルタ303のフィルタ係数に設定する。設定部302は、伝達関数Hflに−1を乗じた値(−伝達関数Hfl)を示す係数H3を、FIRフィルタ305のフィルタ係数に設定する。なお、設定部302は、伝達関数Hfrに−1を乗じた値(−伝達関数Hfr)を係数H2として用い、かつ、伝達関数Hflを示す係数を係数H3として用いてもよい。
このため、FIRフィルタ305が出力する第10信号D10と、第10信号D10に基づいて生成される第10音信号S10は、伝達関数Hflの影響を受ける。第10信号D10は、第1処理信号の他の例である。第10音信号S10は、第1音信号の他の例である。
また、FIRフィルタ303が出力する第11信号D11と、第11信号D11に基づいて生成される第11音信号S11は、伝達関数Hfrの影響を受ける。第11信号D11は、第2処理信号の他の例である。第11音信号S11は、第2音信号の他の例である。
ここで、第1処理信号である第10信号D10と、第2処理信号である第11信号D11との関係について説明すると、第11信号S11は、第10信号D10に係数(伝達関数Hfl/伝達関数Hfr)を乗算した信号を反転した場合に生成される信号と同一となる。
第1スピーカ21が放音した音は、第1マイク11の近傍では、FIRフィルタ305のフィルタ係数に起因する伝達関数Hflと、第1マイク11に到達するまでに通過する第1空間の伝達関数Hfrと、の両方(−Hfl×Hfr)の影響を受けた音になる。
一方、第2スピーカ22が放音した音は、第1マイク11の近傍では、FIRフィルタ303のフィルタ係数に起因する伝達関数Hfrと、第1マイク11に到達するまでに通過する第2空間の伝達関数Hflと、の両方(Hfr×Hfl)の影響を受けた音になる。
従って、第1マイク11の近傍では、第1スピーカ21が放音した音と、第2スピーカ22が放音した音は、相互に逆相の関係になり、互いに打ち消されることになる。このため、ハウリングを抑圧することができる。
本実施形態では、FIRフィルタ303でのフィルタ処理で生じる遅延が、FIRフィルタ305でのフィルタ処理でも生じる。このため、第4実施形態および第5実施形態で使われていた遅延部304を不要にすることができる。
<7.第7実施形態>
第6実施形態に係るハウリング抑圧装置600では、第1スピーカ21から第1マイク11までの距離L1と第2スピーカ22から第1マイク11までの距離L2とが、差分距離ΔLだけ異なる場合、第2実施形態で説明したように、第1スピーカ21から放音された音と第2スピーカ22から放音された音とが打ち消し合いにくくなってしまう。
第7実施形態に係るハウリング抑圧装置700は、第6実施形態に係るハウリング抑圧装置600において、第10音信号S10が第1スピーカ21に到達するタイミングと、第11音信号S11が第2スピーカ22に到達するタイミングと、の差を、差分距離ΔLに応じた差分時間ΔTだけ調整する。
第7実施形態では、図7に示したように、距離L1が距離L2より差分距離ΔLだけ長いとする。
図15は、第7実施形態に係るハウリング抑圧装置700のブロック図である。
第7実施形態に係るハウリング抑圧装置700が、第6実施形態に係るハウリング抑圧装置600と異なる点は、第1信号処理部Z1gにおいて、図8に示した遅延部38が、音調整部32とFIRフィルタ303との間に追加されている点である。遅延部38は、FIRフィルタ303とDAC36との間に設けられてもよい。遅延部38がアナログ回路で構成され、アナログ回路で構成された遅延部38が、アンプ37の前段又は後段に設けられてもよい。
遅延部38がFIRフィルタ303に入力される第1信号D1を遅延するため、第11音信号S11は、第10音信号S10が第1スピーカ21に到達するタイミングよりも、差分距離ΔLに起因する差分時間ΔTだけ遅れて、第2スピーカ22に到達する。従って、第1マイク11の近傍では、第1スピーカ21からの音と第2スピーカ22からの音が互いに打ち消されることになる。このため、ハウリングを抑圧することができる。
距離L1が距離L2よりも差分距離ΔLだけ短い場合には、ハウリング抑圧装置700は、図16に示すように変形されればよい。図16では、第1信号処理部Z1hにおいて、遅延部38が、音調整部32とFIRフィルタ305との間に配置されている。なお、遅延部38は、FIRフィルタ303とDAC34との間に設けられてもよい。遅延部38がアナログ回路で構成され、アナログ回路で構成された遅延部38が、アンプ35の前段又は後段に設けられてもよい。
距離L1が距離L2よりも差分距離ΔLだけ短い場合、第10音信号S10は、第11音信号S11が第2スピーカ22に到達するタイミングよりも、差分距離ΔLに起因する差分時間ΔTだけ遅れて、第1スピーカ21に到達する。従って、第1マイク11の近傍では、第1スピーカ21からの音と第2スピーカ22からの音が互いに打ち消されることになる。このため、ハウリングを抑圧することができる。
本実施形態において、第2処理部Bは、図15または図16に示した第1処理部Aと同様に構成されてもよい。
第6および第7実施形態において、FIRフィルタ303および305のフィルタ係数が、ハウリング抑圧装置の出荷前に予め設定され固定されていてもよい。
第6および第7実施形態において、乗員の人数、乗員の位置または座席の配置等に応じて予め算出された複数の伝達関数Hfrおよび複数の伝達関数Hflがメモリ91に記憶され、かつ、乗員の人数、乗員の位置または座席の配置等を検出する検出部が設けられた場合、設定部302は、以下のように、FIRフィルタ303および305の各々のフィルタ係数を設定してもよい。
設定部302は、メモリ91に記憶された複数の伝達関数Hfrのうち、検出部の検出結果に応じた伝達関数Hfrを、FIRフィルタ303のフィルタ係数に設定する。さらに、設定部302は、メモリ91に記憶された複数の伝達関数Hflのうち検出部の検出結果に応じた伝達関数Hflに−1を乗じた値を、FIRフィルタ305のフィルタ係数に設定する。
上述したように、FIRフィルタ303および305のフィルタ係数が固定されている場合、および、メモリ91に記憶されている伝達関数を用いてFIRフィルタ303および305のフィルタ係数が設定される場合、設定部302は伝達関数を推定する必要がなくなり、切替スイッチSW1〜SW3は省略されてもよい。切替スイッチSW1〜SW3が省略された場合、制御部301は、当然のことながら、切替スイッチSW1〜SW3を制御する必要がなくなる。
<8.変形例>
以上の第1実施態様及び第2実施形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相矛盾しない限り適宜に併合され得る。
<8−1:変形例1>
上述した各実施形態では、第1マイク11の近傍で、第1スピーカ21から放音される音の一部又は全部を第2スピーカ22から放音される音で打ち消すと共に第3スピーカ23から放音される音の一部又は全部を第4スピーカ24から放音される音で打ち消すことによって、ハウリングを抑圧した。本発明は、これらに限定されるものではなく、第1入力音信号M1のピッチを音調整部32で変更してもよい。例えば、音調整部32は、第1入力音信号M1に所定のセントだけピッチを変更するピッチ変換処理を施して第1信号D1を生成するようにしてもよい。例えば、10セント以下のピッチ変換を行うことが好ましい。10セント以下であれば、会話を不自然と感じることが少ないからである。
ハウリングは入力に出力信号が正帰還されることが一因となっている。ピッチ変換処理を施すと、例えば、第1マイク11で集音した音は、ピッチ変換が施されるので第1スピーカ21及び第2スピーカ22から放音される音と周波数が相違する。このため、出力信号が入力に正帰還され難い。
上述した各実施形態で説明したハウリングの抑圧は、第1マイク11及び第2マイク12の近傍で正相の音と逆相の音が打ち消し合うことが前提となっており、車室Rが理想的な状態であることが必要である。しかしながら実際には、利用者が座ったり、座席に荷物が置かれたりする。このため、各スピーカ21〜24からの音は、障害物で反射しながら第1マイク11及び第2マイク12に到達する。反射の影響で時間遅れがあったとしても、周波数の低い領域では正相の音と逆相の音の打ち消しが可能である。一方、周波数の高い領域では効果が低減する。ピッチ変換は周波数の高い領域でも有効であるから、2種類のハウリング抑圧手法を組み合わせることが好ましい。
<8−2:変形例2>
上述した各実施形態及び変形例において、通常のオーディオ再生装置と会話支援用のハウリング抑圧装置100(200,300)の一部を兼用してもよい。
図17に変形例に係るオーディオシステム1のブロック図を示す。この図に示すオーディオシステム1は、第1実施形態のハウリング抑圧装置100を用いて構成されている。オーディオシステム1は、制御部60、操作部61、第1処理部A及び第2処理部Bを備える。操作部61は、例えば、タッチパネルやスイッチであり、会話支援とオーディオ再生とを選択できるようになっている。利用者の操作に応じた操作信号を制御部60に出力する。制御部60は、CPUで構成されており、オーディオシステム1の制御中枢として機能する。また、制御部60には図示せぬオーディオ機器が接続されており、第1音信号生成部30Aに、第1スピーカ21に出力するための音信号S1a、第2スピーカ22に出力するための音信号S2a、及び制御信号CTLを出力する。
また、制御部60は、第2音信号生成部30Bに、第3スピーカ23に出力するための音信号S3a、第4スピーカ24に出力するための音信号S4a、及び制御信号CTLを出力する。
制御部60は、予め定められた規則に従って、会話支援とオーディオ再生のいずれを優先させるかを決定し、会話支援を優先させる場合に制御信号CTLをハイレベル、オーディオ再生を優先させる場合に制御信号CTLをローレベルにする。
例えば、以下の規則に従っても良い。第1の規則は、会話支援とオーディオ再生とのうち、最後に利用者が選択した方を優先させる。例えば、会話支援中に利用者が操作部61を用いてオーディオ再生の操作を行うと、会話支援を中止してオーディオ再生を実行する。つまり、第1音信号生成部30Aは、第1マイク11から出力される音信号M1を入力せず、制御部60から音信号S1a及び音信号S2aを入力し、第1音信号S1及び第2音信号S2を生成して第1スピーカ21及び第2スピーカ22に各々出力する。同様に、第2音信号生成部30Bは、第2マイク12から出力される信号を入力せず、制御部60から音信号S3a及び音信号S4aを入力し、第3音信号S3及び第4音信号S4を生成して第3スピーカ23及び第4スピーカ24に各々出力する。
次に、第2の規則は、常に会話支援を優先させる。これは、会話支援中は、利用者が操作部61を用いて会話支援終了の操作をしない限り、オーディオ再生の操作があったとしても会話支援を継続させる。第2の規則によれば、会話支援を優先させることができるといった利点がある。
<8−3:変形例3>
上述した各実施形態及び変形例において、第1マイク11及び第2マイク12の指向性については問題としていない。しかしながら、第1マイク11及び第2マイク12が、単一指向性であることが好ましい。仮に、第1マイク11に双方向に指向性を有するものを使用すると、後部の座席53及び座席54だけでなく、前部に対しても指向性を有することになる。このため、第1マイク11は第1スピーカ21及び第2スピーカ22から放音される音を積極的に集音することになり、ハウリングが発生する可能性が高まる。これに対して、後部の座席53及び座席54に指向性を有し、前部には指向性を有さない第1マイク11を使用すれば、ハウリングを抑圧することができる。
<8−4:変形例4>
上述した第3実施形態においてノイズ分析部55は、第1入力音信号M1及び第2入力音信号M2に基づいて走行ノイズの大きさを判定したが、本発明はこれに限られるものではなく、走行ノイズの大きさを判定できるのであれば、どのような方法を適用してもよい。例えば、エンジンの回転数を閾値と比較して走行ノイズの大きさを判定してもよい。また、ノイズ分析部55は、第1入力音信号M1及び第2入力音信号M2、並びにエンジンの回転数に基づいて、走行ノイズの大きさを特定してもよい。更に、振動センサを備え、振動センサから出力される車体の振動を考慮して、走行ノイズを特定してもよい。舗装された道を走行する場合は、未舗装の道を走行する場合と比較して走行ノイズは小さいが、振動センサで検出され車体の振動を考慮すれば、走行中の道の状態を加味して走行ノイズの大きさを特定することができる。
<8−5:変形例5>
上述した第3実施形態では、エコーキャンセル処理と第1実施形態と組み合わせについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図8を参照して説明した第2実施形態又は図9を参照して説明した第2実施形態の変形例とエコーキャンセル処理を組み合わせてもよいことは勿論である。
上述した各実施形態では、車室Rの内部においてハウリングを抑圧するハウリング抑圧圧装置100、200及び300について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、室内においてハウリングを抑圧するハウリング抑圧装置であってもよい。例えば、船舶及び電車に用いることができる。
<8−6:変形例6>
上述した第3実施形態では、後部座席の利用者の声を前部座席の利用者に伝える第1系統と、前部座席の利用者の声を後部座席の利用者に伝える第2系統の間の干渉を低減している。しかながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1系統又は第2系統におけるエコーキャンセルに利用してもよいことは勿論である。
図18は、第1系統にエコーキャンセルを適用したハウリング抑圧装置800の構成を示すブロック図である。ハウリング抑圧装置800では、図10に示すハウリング抑圧装置300から第2系統に係る構成を削除し、第5信号D5を第3信号処理部Z3にフィードバックしている。
エコーキャンセル部EC1’は、第1入力音信号M1に含まれるエコー成分を除去する。具体的には、第1スピーカ21及び第2スピーカ22から第1マイク11までの伝達関数をFIRフィルタなどを用いて模擬し、第3信号処理部Z3の出力信号である第5信号D5をこのFIRフィルタに入力することにより、エコー成分を推定する。そして、第1入力音信号M1から推定したエコー成分を減じることで、エコー成分を除去する。
なお、選択部SELは、走行ノイズが閾値未満である場合、第1信号D1及び第2信号D2を出力し、走行ノイズが閾値以上である場合、第1入力音信号M1にエコーキャンセル処理を施した第5信号D5及び第6信号D6を出力する点は、図10に示す第3実施形態のハウリング抑圧装置300と同じである。
これにより、音信号生成部30は、走行ノイズが小さい場合には、第1入力音信号M1に処理を施して第1信号D1を生成し、第1信号D1に基づいて第1音信号S1を生成し、第1信号D1を反転した第2信号D2に基づいて第2音信号S2を生成し、走行ノイズが大きい場合には、第1入力音信号M1にエコーキャンセル処理を施した信号に基づいて第1音信号S1及び第2音信号S2を生成することができる。よって、走行ノイズが小さい状況から走行ノイズが大きい状況まで広範囲にハウリングを抑圧することができる。
<9.各実施形態及び各変形例の少なくとも1つから把握される態様>
上述した各実施形態及び各変形例の少なくとも1つから以下の態様が把握される。
ハウリング抑圧装置の一態様は、室内に設けられた第1スピーカ及び第2スピーカと、マイクの出力信号に基づいて生成した第1音信号を第1スピーカに供給するとともに、前記マイクの出力信号に基づいて、前記マイクにおいて前記第1スピーカから放音された音の一部又は全部が第2スピーカから放音された音によって打ち消されるように生成した第2音信号を前記第2スピーカに供給する音信号生成部と、を備える。
この態様によれば、マイクの近傍の空間で2つのスピーカから放音される音が打ち消されるので、ハウリングを抑圧しつつ、スピーカの近傍にいる利用者にはスピーカから放音される音を聞かせることができる。
上述した一態様において、前記音信号生成部は、入力音信号に処理を施して生成した第1信号に基づいて前記第1音信号を生成し、前記第1信号を反転した第2信号に基づいて前記第2音信号を生成し、前記マイクは、集音した音を前記入力音信号に変換して出力し、前記入力音信号が前記音信号生成部に入力してから前記第1音信号に基づいて前記第1スピーカの放音した音が前記マイクに到達するまでの時間と、前記入力音信号が前記音信号生成部に入力してから前記第2音信号に基づいて前記第2スピーカの放音した音が前記マイクに到達するまでの時間とが、略等しくなる前記室内の位置に設けられることが好ましい。
この態様によれば、第1音信号に対して第2音信号は反転している。しかも、マイクから音信号が出力されてから第1スピーカの音がマイクに到達するまでの時間と第2スピーカの音がマイクに到達するまでの時間が略等しいので、音がマイクに入力する前に、第1スピーカからの音の一部又は全部を第2スピーカからの音で打ち消すことができる。この結果、ハウリングを抑圧することができる。
上述した一態様において、前記第1スピーカから前記マイクまでの距離は、前記第2スピーカから前記マイクまでの距離と略等しく、前記第1音信号と前記第2音信号とは正相と逆相の関係にあることが好ましい。この態様によれば、第1スピーカからマイクまでの距離は、第2スピーカからマイクまでの距離と等しいので、マイクの近傍で第1スピーカからの音と第2スピーカからの音を打ち消すことができる。この結果、ハウリングを抑圧することができる。
上述した一態様において、前記音信号生成部は、前記マイクの出力信号に処理を施して生成した第1処理信号に基づいて前記第1音信号を生成するとともに、前記マイクの出力信号に処理を施して生成した第2処理信号に基づいて前記第2音信号を生成し、前記第2処理信号は、前記第1処理信号に係数を乗算した信号を反転した場合に生成される信号と同一であり、前記係数は、前記第1スピーカから前記マイクまでの空間の伝達関数を前記第2スピーカから前記マイクまでの空間の伝達関数で除算することで算出される値を示すことが好ましい。
この態様によれば、マイクの近傍の空間においては、第1スピーカから放音された音は、第1処理信号と、第1スピーカからマイクまでの空間の伝達関数との積に応じた音になり、第2スピーカから放音された音は、第2処理信号と、第2スピーカからマイクまでの空間の伝達関数との積に応じた音になる。
第2処理信号は、第1処理信号に係数(第1スピーカからマイクまでの空間の伝達関数を第2スピーカからマイクまでの空間の伝達関数で除算することで算出される値)を乗算した信号を反転した場合に生成される信号と同一である。
このため、第1処理信号を用いて第2処理信号を表した場合、マイクの近傍の空間においては、第2スピーカから放音された音は、第1処理信号と、第1スピーカからマイクまでの空間の伝達関数との積を反転したものに応じた音となる。
よって、第1スピーカからマイクまでの空間の伝達関数が、第2スピーカからマイクまでの空間の伝達関数と相違しても、マイクの近傍の空間においては、第1スピーカからの音と第2スピーカからの音とは相互に逆相の関係となり、互いに打ち消されやすくすることが可能になる。この結果、ハウリングを抑圧することができる。
上述した一態様において、前記音信号生成部は、前記マイクの出力信号を処理して生成した第1信号を前記第1処理信号として用いて前記第1音信号を生成するとともに、前記第1信号に対して反転処理と前記係数の乗算処理とを施すことによって生成した前記第2処理信号の生成に要する時間だけ遅延させて前記第1音信号を前記第1スピーカに供給することが好ましい。
この態様によれば、第1音信号が第1スピーカに供給されるタイミングと、第2音信号が第2スピーカに供給されるタイミングとを合わせることができる。このため、例えば、第1スピーカからマイクまでの距離が、第2スピーカからマイクまでの距離と等しい場合、マイクの近傍で第1スピーカからの音と第2スピーカからの音とが相互に打ち消されやすくなる。この結果、ハウリングを抑圧することができる。
上述した一態様において、前記音信号生成部は、前記マイクの出力信号を処理して生成した第1信号に対して、前記第2スピーカから前記マイクまでの空間の伝達関数を乗算する処理を施して前記第1音信号を生成するとともに、前記第1信号に対して、反転処理と前記第1スピーカから前記マイクまでの空間の伝達関数を乗算する処理とを施して前記第2音信号を生成することが好ましい。
この態様によれば、第1スピーカからマイクまでの空間の伝達関数が、第2スピーカからマイクまでの空間の伝達関数と相違しても、マイクの近傍の空間において、第1スピーカの放音した音と、第2スピーカの放音した音とが互いに打ち消されやすくすることが可能になる。
上述した一態様において、前記第1スピーカから前記マイクまでの距離は、前記第2スピーカから前記マイクまでの距離と比較して差分距離だけ長く、音が前記差分距離を進む時間を差分時間としたとき、前記第1信号処理部は、前記入力音信号が入力されてから前記第2音信号が出力されるまでの時間を、前記入力音信号が入力されてから前記第1音信号が出力されるまでの時間と比較して前記差分時間だけ遅らせることが好ましい。
この態様によれば、マイクと第1スピーカとの距離と、マイクと第2スピーカとの距離とが異なる場合であっても、マイクの近傍で第1スピーカからの音と第2スピーカからの音を打ち消すことができる。この結果、ハウリングを抑圧することができる。
上述した一態様において、前記第1スピーカと前記第2スピーカと前記マイクとは車室の内部に設けられ、前記第1スピーカ及び前記第2スピーカはそれぞれ前部左右のドアに配置され、前記マイクは、前記車室の天井に配置されることが好ましい。この態様によれば、マイクを車室の天井に配置することができる。
上述した一態様において、前記第1スピーカと前記第2スピーカと前記マイクとは車室の内部に設けられ、前記音信号生成部は、走行ノイズが小さい場合には、前記入力音信号に処理を施して生成した前記第1信号に基づいて前記第1音信号を生成するとともに、前記第1信号を反転した第2信号に基づいて前記第2音信号を生成し、走行ノイズが大きい場合には、前記入力音信号にエコーキャンセル処理を施して生成した信号に基づいて前記第1音信号及び前記第2音信号を生成することが好ましい。
この態様によれば、走行ノイズが小さい場合には、エコー効果が小さい音を再生することができる。さらに、走行ノイズが大きい場合には、エコーキャンセル処理によって得られ音を再生することができるので、走行ノイズに埋もれない音量でアシスト音を再生することができる。加えて、エコーキャンセル処理には処理時間を要するため、直接音から遅れてアシスト音が再生される。しかし、走行ノイズが大きいと直接音が走行ノイズに埋もれてしまうので、エコーキャンセル処理を実行しても利用者は直接音を聞きづらくなり、エコー効果による違和感が軽減される。
上述した一態様において、前記入力音信号又はエンジンの回転数の少なくとも一方に基づいて、前記走行ノイズが閾値未満であるか閾値以上であるかを判定するノイズ分析部を備え、前記音信号生成部は、前記ノイズ分析部の分析結果に基づいて、前記走行ノイズが閾値未満である場合、前記第1信号及び前記第2信号を出力し、前記走行ノイズが閾値以上である場合、前記入力音信号にエコーキャンセル処理を施した信号を出力する、ことが好ましい。この態様によれば、走行ノイズを分析し、分析結果に応じてハウリング抑圧方法を切り換えることができる。
ハウリング抑圧方法の一態様は、マイクの出力信号に基づいて生成した第1音信号を第1スピーカに供給し、前記マイクにおいて前記第1スピーカから放音された音の一部又は全部が第2スピーカから放音された音によって打ち消されるように生成した第2音信号を前記第2スピーカに供給する。
この態様によれば、マイクの近傍の空間で2つのスピーカから放音される音が打ち消されるので、ハウリングを抑圧しつつ、スピーカの近傍にいる利用者にはスピーカから放音される音を聞かせることができる。
また、ハウリング抑圧装置の他の態様は、車室の内部に設けられ、第1音信号に基づいて駆動される第1スピーカ、第2音信号に基づいて駆動される第2スピーカ、第3音信号に基づいて駆動される第3スピーカ、及び第4音信号に基づいて駆動される第4スピーカと、第1入力音信号に処理を施して第1信号を生成し、前記第1信号を反転した第2信号を生成する第1信号処理部と、第2入力音信号に処理を施して第3信号を生成し、前記第1信号を反転した第4信号を生成する第2信号処理部と、第1入力音信号に対して第7信号の成分を低減する処理を施して第5信号及び第6信号を生成する第3信号処理部と、第2入力音信号に対して前記第5信号の成分を低減する処理を施して前記第7信号及び第8信号を生成する第4信号処理部と、前記第1信号、前記第2信号、前記第3信号、前記第4信号、前記第5信号、前記第6信号、前記第7信号、及び前記第8信号が入力され、走行ノイズが閾値未満の場合には、前記第1信号、前記第2信号、前記第3信号、及び前記第4信号を出力し、前記走行ノイズが閾値以上の場合には、前記第5信号、前記第6信号、前記第7信号、及び前記第8信号を出力する選択部と、前記第1信号又は前記第5信号に基づいて前記第1音信号を生成し、前記第2音信号又は前記第6信号に基づいて前記第2音信号を生成し、前記第3信号又は前記第7信号に基づいて前記第3スピーカを駆動する第3音信号を生成し、前記第4音信号又は前記第8信号に基づいて前記第4音信号を生成する生成部と、音を集音する第1集音部を備え、集音した音を前記第1入力音信号に変換して出力し、前記第1入力音信号が前記第1生成部に入力してから前記第1音信号に基づいて前記第1スピーカの放音した音が前記第1集音部に到達するまでの時間と、前記第1入力音信号が前記第1生成部に入力してから前記第2音信号に基づいて前記第2スピーカの放音した音が前記第1集音部に到達するまでの時間とが、略等しくなる前記車室の内部の位置に設けられた第1マイクと、音を集音する第2集音部を備え、集音した音を前記第2入力音信号に変換して出力し、前記第2入力音信号が前記第2生成部に入力してから前記第3音信号に基づいて前記第3スピーカの放音した音が前記第2集音部に到達するまでの時間と、前記第2入力音信号が前記第2生成部に入力してから前記第4音信号に基づいて前記第4スピーカの放音した音が前記第2集音部に到達するまでの時間とが、略等しくなる前記車室の内部の位置に設けられた第2マイクと、を備える。
100,200,300,400…ハウリング抑圧装置、11…第1マイク、12…第2マイク、21…第1スピーカ、22…第2スピーカ、23…第3スピーカ、24…第4スピーカ、30A…第1音信号生成部、30B…第2音信号生成部、Z1a, Z1b, Z1c…第1信号処理部、Z2a, Z2b, Z2c…第2信号処理部、Z3…第3信号処理部、Z4…第4信号処理部、33…位相反転部、38…遅延部、40A,40B…生成部、SEL…選択部、EC1,EC2…エコーキャンセル部。

Claims (11)

  1. 室内に設けられた第1スピーカ及び第2スピーカと、
    マイクの出力信号に基づいて生成した第1音信号を第1スピーカに供給するとともに、前記マイクの出力信号に基づいて、前記マイクにおいて前記第1スピーカから放音された音の一部又は全部が第2スピーカから放音された音によって打ち消されるように生成した第2音信号を前記第2スピーカに供給する音信号生成部と、
    を備えるハウリング抑圧装置。
  2. 前記音信号生成部は、入力音信号に処理を施して生成した第1信号に基づいて前記第1音信号を生成し、前記第1信号を反転した第2信号に基づいて前記第2音信号を生成し、
    前記マイクは、集音した音を前記入力音信号に変換して出力し、前記入力音信号が前記音信号生成部に入力してから前記第1音信号に基づいて前記第1スピーカの放音した音が前記マイクに到達するまでの時間と、前記入力音信号が前記音信号生成部に入力してから前記第2音信号に基づいて前記第2スピーカの放音した音が前記マイクに到達するまでの時間とが、略等しくなる前記室内の位置に設けられた、
    請求項1に記載のハウリング抑圧装置。
  3. 前記第1スピーカから前記マイクまでの距離は、前記第2スピーカから前記マイクまでの距離と略等しく、前記第1音信号と前記第2音信号とは正相と逆相の関係にある、ことを特徴とする請求項2に記載のハウリング抑圧装置。
  4. 前記音信号生成部は、前記マイクの出力信号に処理を施して生成した第1処理信号に基づいて前記第1音信号を生成するとともに、前記マイクの出力信号に処理を施して生成した第2処理信号に基づいて前記第2音信号を生成し、
    前記第2処理信号は、前記第1処理信号に係数を乗算した信号を反転した場合に生成される信号と同一であり、
    前記係数は、前記第1スピーカから前記マイクまでの空間の伝達関数を前記第2スピーカから前記マイクまでの空間の伝達関数で除算することで算出される値を示す
    請求項1に記載のハウリング抑圧装置。
  5. 前記音信号生成部は、前記マイクの出力信号を処理して生成した第1信号を前記第1処理信号として用いて前記第1音信号を生成するとともに、前記第1信号に対して反転処理と前記係数の乗算処理とを施すことによって生成した前記第2処理信号の生成に要する時間だけ遅延させて前記第1音信号を前記第1スピーカに供給する
    請求項4に記載のハウリング抑圧装置。
  6. 前記音信号生成部は、前記マイクの出力信号を処理して生成した第1信号に対して、前記第2スピーカから前記マイクまでの空間の伝達関数を乗算する処理を施して前記第1音信号を生成するとともに、前記第1信号に対して、反転処理と前記第1スピーカから前記マイクまでの空間の伝達関数を乗算する処理とを施して前記第2音信号を生成する
    請求項4に記載のハウリング抑圧装置。
  7. 前記第1スピーカから前記マイクまでの距離は、前記第2スピーカから前記マイクまでの距離と比較して差分距離だけ長く、音が前記差分距離を進む時間を差分時間としたとき、
    前記音信号生成部は、前記入力音信号が入力されてから前記第2音信号が出力されるまでの時間を、前記入力音信号が入力されてから前記第1音信号が出力されるまでの時間と比較して前記差分時間だけ遅らせる、
    ことを特徴とする請求項2、4、5又は6に記載のハウリング抑圧装置。
  8. 前記第1スピーカと前記第2スピーカと前記マイクとは車室の内部に設けられ、
    前記第1スピーカ及び前記第2スピーカはそれぞれ前部左右のドアに配置され、
    前記マイクは、前記車室の天井に配置される、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載のハウリング抑圧装置。
  9. 前記第1スピーカと前記第2スピーカと前記マイクとは車室の内部に設けられ、
    前記音信号生成部は、
    走行ノイズが小さい場合には、前記入力音信号に処理を施して生成した前記第1信号に基づいて前記第1音信号を生成するとともに、前記第1信号を反転した第2信号に基づいて前記第2音信号を生成し、
    走行ノイズが大きい場合には、前記入力音信号にエコーキャンセル処理を施して生成した信号に基づいて前記第1音信号及び前記第2音信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項2、3又は7に記載のハウリング抑圧装置。
  10. 前記入力音信号又はエンジンの回転数の少なくとも一方に基づいて、前記走行ノイズが閾値未満であるか閾値以上であるかを判定するノイズ分析部を備え、
    前記音信号生成部は、前記ノイズ分析部の分析結果に基づいて、前記走行ノイズが閾値未満である場合、前記第1信号及び前記第2信号を出力し、前記走行ノイズが閾値以上である場合、前記入力音信号にエコーキャンセル処理を施した信号を出力する、請求項9に記載のハウリング抑圧装置。
  11. マイクの出力信号に基づいて生成した第1音信号を第1スピーカに供給し、
    前記マイクにおいて前記第1スピーカから放音された音の一部又は全部が第2スピーカから放音された音によって打ち消されるように生成した第2音信号を前記第2スピーカに供給する、
    ハウリング抑圧方法。
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