JP2010123449A - 端子金具付き電線及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミ電線10の絶縁被覆13の端末が皮剥ぎされて露出された芯線11の端末の内部には、雌端子金具20におけるワイヤバレル25と底板22とからなる電線接続部28が圧着される前において予め糸ハンダHtが挿入され、電線接続部28が圧着されたのちに、圧着部分29に対して抵抗溶接処理が施され、糸ハンダHtが加熱溶融されたのち固化されている。糸ハンダHtが溶けて濡れ、芯線11を構成する各アルミ素線12間から、芯線11と電線接続部28との界面に染み出して固化することにより、各アルミ素線12間、さらには芯線11自体と電線接続部28との間が強固に接合される。
【選択図】図3
Description
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、芯線に端子金具の電線接続部を圧着した部分において接触抵抗が生じるのを防止するところにある。
そのため、電線が冷却と加熱とが繰り返される状況下に置かれたとしても、少なくともハンダで固められた芯線の圧着部分では、各金属素線が伸縮することが規制され、各金属素線の間、さらには芯線と電線接続部との間に隙間ができることが防止されて、接触抵抗が増大するのが防止される。
(1)前記電線が、複数本のアルミ素線からなる芯線を被覆で覆ったアルミ電線である。アルミ電線の場合は、芯線の表面に酸化被膜ができやすいという事情があるが、各アルミ素線の間、さらには芯線と電線接続部との間に隙間ができることが防止されるから、アルミ素線の表面や芯線の界面に酸化被膜ができる余地がなくなり、アルミ電線に特有の電気抵抗の上昇を有効に抑えることができる。
(2)前記糸ハンダの加熱溶融が抵抗溶接により行われている。前記ハンダの加熱溶融が抵抗溶接により行われている。圧着部分を加圧しつつ加熱するのであるから、高い固着力を得ることができる。
本発明の端子金具付き電線を、確実に製造することができる。
本発明の一実施形態を図1ないし図7に基づいて説明する。
本実施形態では、アルミ電線10に適用した場合を例示しており、図1に示すように、アルミ電線10の端末には、雌側の端子金具20(以下、雌端子金具20)が接続されている。
アルミ電線10は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の素線12(以下、アルミ素線12)を複数本撚り合せた撚り線によって芯線11が形成され、この芯線11の回りが合成樹脂製の絶縁被覆13で覆われた構造となっている。
端子接続部21の内部には、底板22の前縁から折り返されるようにして弾性接触片23が設けられており、同端子接続部21に対して上記した相手の雄端子金具のタブが前方から挿入され、弾性接触片23と弾性的に接触することにより、雄端子金具と雌端子金具20とが電気的に接続されるようになっている。
まず、図5に示すように、アルミ電線10の絶縁被覆13の端末が皮剥ぎされて、芯線11の端末が所定長さに亘って露出状態とされる。この露出された芯線11の端末の長さは、雌端子金具20のワイヤバレル25のバレル片25Aの幅の2倍弱程度の寸法である。露出された芯線11は撚りが戻されて、各アルミ素線12はほぼ真っ直ぐとなるように矯正される。
なお、ワイヤバレル25により圧着された芯線11の圧縮率を、ワイヤバレル25により圧着された後の芯線11の断面積の、ワイヤバレル25が圧着される前の芯線11の断面積に対する百分率としたとき、同圧縮率は約50〜90%とされている。
これにより、芯線11内に挿入されていた糸ハンダHtが溶けて濡れ、芯線11を構成する各アルミ素線12間に染み込み、さらに芯線11と、ワイヤバレル25並びに底板22からなる電線接続部28との界面にも染み出し、図3に詳細に示すように、通電終了後に冷却されて、溶けたハンダHが固化することによって、各アルミ素線12間、さらには芯線11と電線接続部28との間が強固に接合された状態となる。なお、図2及び図3では、各アルミ素線12間の隙間は、実際よりも大きく誇張して図示されている。
以上により、本実施形態に係るアルミ電線10の端末に雌端子金具20を接続する作業が終了する。
また上記のように、各アルミ素線12の間、さらには芯線11と電線接続部28との間に隙間ができることが防止されることで、アルミ素線12の表面や芯線11の界面に酸化被膜ができる余地がなくなり、アルミ電線10に特有の電気抵抗の上昇をも抑えられる。
そのため、アルミ電線10が冷却と加熱とが繰り返される状況下に置かれたとしても、少なくともハンダHで固められた芯線11の圧着部分29では、各アルミ素線12が伸縮することが規制され、各アルミ素線12の間、さらには芯線11と電線接続部28との間に隙間ができることが防止され、もって接触抵抗が増大するのが防止される。
さらに、圧着部分29における糸ハンダHtの加熱溶融を、一対のホーンXで圧着部分29を加圧して挟みつつ同圧着部分29を加熱する抵抗溶接により行うようにしたから、より高い固着力を得ることができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、芯線の端末の内部に対し、直径1mmの糸ハンダを挿入した場合を例示したが、芯線の線径等の条件に応じ、他の直径を持った糸ハンダを用いてもよい。また、挿入する糸ハンダは1本に限らず、2本以上複数本であってもよい。
(3)またワイヤバレルは、左右一対のバレル片が、芯線の軸線方向にずれて配された形式のものであってもよい。さらには、かしめ前に予め筒形に形成されたクローズドバレル形式であってもよい。
(5)端子金具の大きさや形状等の条件に応じて、端子金具がインシュレーションバレルを備えずワイヤバレルのみを備えたものであってもよい。
(6)上記実施形態では、芯線の圧着部分におけるハンダの加熱溶融を抵抗溶接によって行う場合を例示したが、その他、超音波振動を付与しつつ加圧接合する超音波溶接、あるいはレーザ加熱等、他の手段を適用しても良い。
11…芯線
12…アルミ素線(金属素線)
13…絶縁被覆(被覆)
20…雌端子金具(端子金具)
22…底板
25…ワイヤバレル
25A…バレル片
28…電線接続部
29…圧着部分
Ht…糸ハンダ
H…(加熱溶融後固化した)ハンダ
X…ホーン
Claims (4)
- 複数本の金属素線からなる芯線を被覆で覆った電線における前記芯線の端末に端子金具の電線接続部が圧着された端子金具付き電線であって、
前記電線の前記被覆の端末が皮剥ぎされて露出された前記芯線の端末の内部には、前記端子金具の電線接続部の圧着前に予め糸ハンダが挿入され、前記電線接続部の圧着後に前記糸ハンダが加熱溶融を経て固化されていることを特徴とする端子金具付き電線。 - 前記電線が、複数本のアルミ素線からなる芯線を被覆で覆ったアルミ電線であることを特徴とする請求項1記載の端子金具付き電線。
- 前記糸ハンダの加熱溶融が抵抗溶接により行われていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の端子金具付き電線。
- 複数本の金属素線からなる芯線を被覆で覆った電線における前記芯線の端末に端子金具の電線接続部が圧着された端子金具付き電線を製造する方法であって、
前記電線の前記被覆の端末を皮剥ぎして前記芯線の端末を露出する工程と、
露出された芯線の端末の内部に糸ハンダを挿入する工程と、
糸ハンダが挿入された芯線の端末に前記端子金具の電線接続部を圧着する工程と、
前記圧着部分を加熱して糸ハンダを溶融しその後に再固化させる工程と、
が順次に行われることを特徴とする端子金具付き電線の製造方法。
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