JP2010123417A - プラズマ密度測定子、プラズマ密度測定装置、プラズマ処理装置、およびプラズマ密度測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一端が閉塞された筒状を呈する管部と、前記管部の内部であって、前記閉塞された端部の側に設けられた高周波信号の送受信を行う送受信部と、前記管部の内部に設けられ、前記送受信部と電気的に接続された伝送部と、前記伝送部と前記管部の内壁との間に設けられ、前記管部の軸方向長さ寸法よりも短い長さ寸法を有し、高周波エネルギーを吸収する第1の吸収体と、前記管部の外周面に設けられ、前記管部の軸方向長さ寸法よりも短い長さ寸法を有し、高周波エネルギーを吸収する第2の吸収体と、を備えたことを特徴とするプラズマ密度測定子が提供される。
【選択図】図1
Description
特許文献1、2に開示がされた技術によれば、表面波共振を生ずる共振周波数を求め、その周波数からプラズマ密度を算出するようにしている。しかしながら、特許文献1、2に開示がされた技術においては、実際の測定において生ずる表面波共振以外の共振についての考慮がされていなかった。この場合、表面波共振とプラズマ密度とには相関関係が有るが、表面波共振以外の共振とプラズマ密度とには相関関係がない。そのため、表面波共振以外の共振を表面波共振と誤信した場合には、測定精度が著しく悪くなるおそれがある。
図1は、本実施の形態に係るプラズマ密度測定子を例示するための模式断面図である。
また、図2は、図1におけるA−A矢視断面図である。
図1、図2に示すように、プラズマ密度測定子1は、管部2、伝送部3、送受信部4、第1の吸収体5、第2の吸収体6を備えている。
また、第1の吸収体5と、第2の吸収体6と、は、表面波共振における電界強度の高い部分を避けて設けられている。なお、第1の吸収体5と、第2の吸収体6に関しての詳細は後述する。
図3は、比較例に係るプラズマ密度測定子を例示するための模式断面図である。
図3に示すように、比較例に係るプラズマ密度測定子21は、管部2、伝送部3、送受信部4、保持体25、取付部7を備えている。
保持体25は、管部2の内壁と伝送部3との間に設けられている。保持体25は、管部2の内部に伝送部3を保持するために設けられている。
この様なプラズマ密度測定子21を用いてプラズマ密度の測定を行った場合には、複数の共振点が現れる。
図5は、図4の各共振点における電界強度分布を表す図である。なお、電界強度分布は、モノトーン色の濃淡で表し、電界強度が高い程濃く、低いほど淡くなるように表示している。なお、図4、図5は、シミュレーションにより求められたものであり、その条件は以下の通りとした。
管部2の材料は石英(SiO2)とし、誘電率を3.8とした。また、管部2の外径寸法を6mm、内径寸法を4mmとした。また、芯体部3aの外径寸法を0.4mm、遮蔽部3cの外径寸法を2.2mm、内径寸法を2.0mmとした。また、絶縁部3bの材料をフッ素系樹脂とし、その誘電率を2.1とした。また、伝送部3の端面から送受信部4が延出する寸法を3.0mmとし、送受信部4の端面から管部2の端部内壁までの寸法を0.5mmとした。また、管部2の内壁と伝送部3の外周との間に形成される空間は空気(誘電率1.0)で満たされているものとした。
そして、表面波共振と表面波共振以外の共振とを判別することは困難な場合が多い。そのため、表面波共振以外の共振を表面波共振と誤信してプラズマ密度を算出すると測定精度が著しく悪くなるおそれがある。
図5(a)に示すものは、図4における「B」の共振の場合の電界強度分布である。また、図5(b)に示すものは、図4における「C」の共振の場合の電界強度分布である。この場合、図5(a)に示すものが表面波共振の場合、図5(b)に示すものが表面波共振以外の共振の場合である。
管部2の材料は石英(SiO2)とし、誘電率を3.8とした。また、管部2の外径寸法を6mm、内径寸法を4mmとした。また、芯体部3aの外径寸法を0.4mm、遮蔽部3cの外径寸法を2.2mm、内径寸法を2.0mmとした。また、絶縁部3bの材料をフッ素系樹脂とし、その誘電率を2.1とした。また、伝送部3の端面から送受信部4が延出する寸法を3.0mmとし、送受信部4の端面から管部2の端部内壁までの寸法を0.5mmとした。また、伝送部3の先端側において、管部2の内壁と伝送部3の外周との間に形成される空間は空気(誘電率1.0)で満たされているものとした。
図7に示す場合においても、複数の共振点が現れる。しかしながら、表面波共振以外の共振を大幅に減衰させることができるので、表面波共振と表面波共振以外の共振との判別を容易に行うことができるようになる。そのため、表面波共振以外の共振を表面波共振と誤信することを少なくすることができるので、プラズマ密度の測定精度を向上させることができる。
第1の吸収体5、第2の吸収体6の材料としては、誘電正接(tanσ)が1に近いものとすることが好ましい。この場合、誘電正接(tanσ)が大きすぎればマイクロ波(高周波)に対して導電体と同様な効果を生ずるようになる。すなわち、マイクロ波(高周波)が吸収されず反射されてしまうことになり、吸収体としての機能を果たせなくなる。また、誘電正接(tanσ)が小さすぎればマイクロ波(高周波)に対して誘電体と同様な効果を生ずるようになる。すなわち、マイクロ波が吸収されず透過(一部は反射)されてしまうことになり、吸収体としての機能を果たせなくなる。
tanσ=ε1/ε2 ・・・(1)
ここで、ε1は比誘電率の虚数部、ε2は比誘電率の実数部である。
この場合、比誘電率の実数部ε2は材料により決まり変化させることが困難である。比誘電率の実数部ε2の値を例示すれば、例えば、フッ素系樹脂の場合は2程度、ガラスや石英などでは3〜4程度、シリコンやセラミックスなどでは10〜15程度である。
ε1=1/(2π・f・ε・ρ) ・・・(2)
ここで、fは周波数、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)、ρは比抵抗である。
そのため、比抵抗ρの値を変化させることで虚数部ε1の値を変化させることができる。そして、虚数部ε1の値を実数部ε2の値に近づけるように変化させることで誘電正接(tanσ)の値を1に近づけることができる。
すなわち、第1の吸収体5と、第2の吸収体6と、は、材料の比抵抗ρを変化させることで、比誘電率の実数部ε2の値と、虚数部ε1の値とが近接したものとされている。
前述したように、第1の吸収体5、第2の吸収体6は、表面波共振の場合における電界強度の高い部分を避けて設けるようにすることが好ましい。
ここで、本発明者の得た知見によれば、第1の吸収体5、第2の吸収体6の端面から伝送部3の端面までの寸法Sを、管部2の外径寸法の0.5倍以上、3倍以下とすることが好ましい。管部2の外径寸法の0.5倍未満とすれば、表面波共振も減衰してしまうおそれがあり、管部2の外径寸法の3倍を超えるものとすれば、表面波共振以外の共振の減衰が不充分となるおそれがあるからである。
なお、プラズマ密度測定子1の作用に関しては、後述するプラズマ密度測定装置50の作用とともに例示をする。
なお、一例として、本実施の形態に係るプラズマ密度測定装置50を備えたマイクロ波励起型のプラズマ処理装置100の場合を例に挙げて説明する。
図8は、本実施の形態に係るプラズマ密度測定装置、プラズマ処理装置を例示するための模式断面図である。
導入導波管103の一方の端部にはマイクロ波発生手段106が設けられ、発生させたマイクロ波Mを導入導波管103の内部に放射することができるようになっている。また、導入導波管103の導波体102と当接する部分には、導波体102にマイクロ波Mを導入するためのスロットアンテナ104が設けられている。なお、本実施の形態においては、マイクロ波発生手段106、導入導波管103、スロットアンテナ104などが処理容器101の内部にプラズマPを発生させるプラズマ発生手段となる。また、処理容器101の内部には、シリコンウェーハなどの被処理物Wを載置、保持するためのステージ105が設けられている。
プラズマ密度測定子1は、処理容器101の側壁を挿通し、管部2の先端をプラズマPが発生する領域に向けて設けられている。また、プラズマ密度測定子1に設けられた伝送部3の芯体部3aとプラズマ密度測定部51とが電気的に接続されている。そのため、プラズマ密度測定子1に設けられた送受信部4とプラズマ密度測定部51とが芯体部3aを介して電気的に接続されることになる。
フィルタ52は、送受信部4を介して混入するプラズマPからの高周波信号を除去する。また、減衰器53は、プラズマ密度測定子1に向けて出力する高周波出力を制御する。方向性結合器54は、送受信部4を介して入力される反射波を分離し、表面波共振導出部55に向けて出力する。発振部56は、測定用の高周波信号を出力することで、プラズマ密度測定子1に高周波信号を供給する。発振部56から供給される高周波信号としては、例えば、周波数が100kHz〜3GHz程度のものを例示することができる。
まず、プラズマ処理装置100におけるプラズマ処理に関して例示をする。
図8に示すように、プラズマ処理においては、まず、減圧排気系Eによって処理容器101内が所定の圧力まで減圧され、処理容器101内のプラズマPが発生する空間に向けて所定の処理ガスGが導入される。
次に、プラズマ密度測定装置50の作用に関して例示をする。
まず、発振部56から測定用の高周波信号が出力される。出力された測定用信号は、方向性結合器54、減衰器53、フィルタ52を介してプラズマ密度測定子1に設けられた芯体部3aに向けて出力される。芯体部3aに入力された測定用信号は、送受信部4からプラズマPに向けて放射(送信)される。プラズマPに向けて放射された測定用信号は、一部がプラズマPに吸収されるが大部分は反射されて送受信部4に入射(受信)される。
また、図8においては、プラズマ密度測定子1(管部2)の先端がプラズマP中に挿入されている場合を例示したが、プラズマ密度測定子1(管部2)の先端は必ずしもプラズマP中になくてもよい。なお、プラズマ密度測定装置50に設けられたプラズマ密度測定子1(管部2)の少なくとも先端が処理容器101の内部に挿入されていればよい。
本実施の形態に係るプラズマ密度測定方法においては、プラズマPに対して高周波信号を発信し、プラズマPからの反射波信号を受信し、反射波信号に対して、表面波共振と表面波共振以外の共振との判別を行い、表面波共振における共振周波数を導出し、導出された共振周波数からプラズマ密度を演算する。この場合、表面波共振の場合における電界強度の高い部分を避けて高周波エネルギーを吸収する吸収体を設けることで表面波共振以外の共振を減衰させた後に、表面波共振と表面波共振以外の共振との判別を行うようにしている。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ密度測定装置50、プラズマ処理装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
Claims (9)
- 一端が閉塞された筒状を呈する管部と、
前記管部の内部であって、前記閉塞された端部の側に設けられた高周波信号の送受信を行う送受信部と、
前記管部の内部に設けられ、前記送受信部と電気的に接続された伝送部と、
前記伝送部と前記管部の内壁との間に設けられ、前記管部の軸方向長さ寸法よりも短い長さ寸法を有し、高周波エネルギーを吸収する第1の吸収体と、
前記管部の外周面に設けられ、前記管部の軸方向長さ寸法よりも短い長さ寸法を有し、高周波エネルギーを吸収する第2の吸収体と、
を備えたことを特徴とするプラズマ密度測定子。 - 前記第1の吸収体と、前記第2の吸収体と、は、表面波共振における電界強度の高い部分を避けて設けられたこと、を特徴とする請求項1記載のプラズマ密度測定子。
- 前記第1の吸収体の端面または前記第2の吸収体の端面から前記伝送部の端面までの寸法は、前記管部の外径寸法の0.5倍以上、3倍以下であること、を特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ密度測定子。
- 前記第1の吸収体と、前記第2の吸収体と、は、材料の比抵抗を変化させることで、比誘電率の実数部の値と、虚数部の値とが近接したものとされていること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のプラズマ密度測定子。
- 前記材料は、シリコンであること、を特徴とする請求項4記載のプラズマ密度測定子。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載のプラズマ密度測定子と、
前記プラズマ密度測定子に高周波信号を供給する発振部と、
前記プラズマ密度測定子により受信されたプラズマからの反射波信号に対して、表面波共振と表面波共振以外の共振との判別を行い、前記表面波共振における共振周波数を導出する表面波共振導出部と、
前記共振周波数からプラズマ密度を演算するプラズマ密度演算部と、
を備えたことを特徴とするプラズマ密度測定装置。 - 請求項6記載のプラズマ密度測定装置と、
減圧雰囲気を維持可能な処理容器と、
前記処理容器の内部にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
を備え、
前記プラズマ密度測定装置に設けられたプラズマ密度測定子の少なくとも先端が前記処理容器の内部に挿入されていること、を特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記プラズマ密度測定装置から出力されたプラズマ密度に関する情報に基づいて、プロセス条件の制御を行う制御部と、がさらに設けられたことを特徴とする請求項7記載のプラズマ処理装置。
- プラズマに対して高周波信号を発信し、
前記プラズマからの反射波信号を受信し、
前記反射波信号に対して、表面波共振と表面波共振以外の共振との判別を行い、前記表面波共振における共振周波数を導出し、
前記共振周波数からプラズマ密度を演算すること、を特徴とするプラズマ密度測定方法。
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