以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、画像形成時に用いる交流電圧の周波数が低いほど、そのピーク間電圧が低くなる限りにおいて、実施形態の構成の一部又は全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
本実施形態では、複数の感光ドラムから中間転写ベルトへ各色トナー像を転写する装置を説明するが、記録材搬送体ベルトを用いた装置や感光ドラムから枚葉式に記録材へトナー像を転写する装置でも本発明を実施できる。
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1〜4に示される画像形成装置の構成や帯電電圧の制御に関する一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<画像形成装置>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図、図2はブラック画像形成部の構成の説明図、図3は感光ドラム及び帯電ローラの構成の説明図、図4は画像形成装置の動作シーケンスの説明図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト11(ベルト部材)に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKを配置(複数配置)したタンデム型フルカラープリンタである。画像形成部PY、PM、PC、PKは、それぞれ独立したプロセスカートリッジにまとめられて、個別に交換が可能である。
画像形成部PYでは、感光ドラム1Yにイエロートナー像が形成されて、中間転写ベルト11に一次転写される。画像形成部PMでは、感光ドラム1Mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト11のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部PC、PKでは、それぞれ感光ドラム1C、1Kにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて、同様に中間転写ベルト11のトナー像に位置を重ねて順次一次転写される。
中間転写ベルト11に担持された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送され、中間転写ベルト11に重ねて二次転写部T2を挟持搬送される記録材Pへ一括二次転写される。二次転写部T2でトナー像を二次転写された記録材Sは、搬送ベルト18によって定着装置9に送り込まれ、定着装置9で加熱加圧を受けて、表面にトナー像を定着された後に外部へ排出される。
記録材カセット10から引き出された記録材Pは、分離ローラ16で1枚ずつに分離されてレジストローラ17へ給送される。記録材Pは、レジストローラ17で待機し、中間転写ベルト11のトナー像にタイミングを合わせて、二次転写部T2へ送り出される。
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12、テンションローラ13、対向ローラ14に掛け渡して支持され、駆動ローラ12に駆動力が伝達されることにより、矢印R2方向に回転する。中間転写ベルト11は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン等の誘電体樹脂によって厚さ100μmに形成されている。
二次転写ローラ15は、中間転写ベルト11を挟み込むように対向ローラ14に向かって圧接されることにより、中間転写ベルト11と二次転写ローラ15との間にトナー像の二次転写部T2を形成する。
定着装置9は、中心にヒータを配置した加熱ローラ9aに加圧ローラ9bを圧接させて記録材Pの定着ニップを形成している。ベルトクリーニング装置19は、中間転写ベルト11にクリーニングブレードを摺擦させて二次転写部T2を通過した中間転写ベルト11に付着した転写残トナーを除去する。
なお、画像形成装置100は、画像形成部PKのみを用いて、ブラック単色画像を形成することもできる。この場合、画像形成部PKにおいてのみ、トナー像の形成工程を行い、中間転写ベルト11にブラック単色のトナー像のみを担持させ、このトナー像を記録材Pに二次転写した後に定着する。
また、画像形成部PY、PM、PC、PKは、中間転写ベルト11上に基準となるカラーパッチを形成する。パッチ検知センサ33は、発光素子と受光素子とから構成されて、各色のカラーパッチの反射光量を読み取る。制御部110は、読み取ったカラーパッチの反射光量から、中間転写ベルト11上のトナー載り量を演算し、演算結果に基づいて、帯電電位、トナー濃度比等の画像形成条件を調整している。
画像形成部PY、PM、PC、PKは、付設された現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同様に構成される。以下では、画像形成部PKについて説明し、他の画像形成部PY、PM、PCについては、説明中の符号末尾のKを、Y、M、Cに読み替えて説明されるものとする。
図2に示すように、画像形成部PKは、感光ドラム1Kの周囲に、帯電ローラ2K、露光装置3K、現像装置4K、一次転写ローラ5K、及びクリーニング装置6Kを配置している。
感光ドラム1Kは、外径30mmの負帯電性の有機感光体(OPC)であり、駆動装置(不図示)の駆動によって、200mm/secのプロセススピード(周速度)で矢印R1方向に回転駆動される。
図3に示すように、感光ドラム1Kは、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)1aの表面に、光の干渉を抑え上層の接着性を向上させる下引き層1bと、光電荷発生層1cと、電荷輸送層1dの3層を下から順に塗布して構成されている。
帯電部材の一例である帯電ローラ2Kは、感光ドラム1Kとのギャップ部で発生する交流電圧の放電を利用して感光ドラム1Kの表面を直流電圧の電位に帯電させる。帯電ローラ2Kは、芯金2aの両端部をそれぞれ軸受け部材(不図示)により回転自在に保持され、押し圧ばね2eによって付勢して感光ドラム1Kの表面に所定の押圧力で圧接されることにより、感光ドラム1Kの回転に従動して回転する。感光ドラム1Kと帯電ローラ2Kとの圧接部が帯電部(帯電ニップ部)aである。
帯電ローラ2Kの芯金2aには、帯電電源D3から、直流電圧(Vdc=−500V)に、所定の周波数で所定のピーク間電圧を持たせた交流電圧(Vac)を重畳した振動電圧が印加される。これにより、感光ドラム1Kの周面が−500V(暗電位VD)に一様に接触帯電処理される。
帯電ローラ2Kの長手方向の長さは320mmであり、芯金(支持部材)2aの外回りに、下層2bと、中間層2cと、表層2dを下から順次に積層した3層構成である。下層2bは帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、表層2dは、感光ドラム1上にピンホール等の欠陥があってもリークが発生するのを防止するために設けている保護層である。
より具体的には、本実施形態における帯電ローラ2Kの仕様は下記の通りである。
芯金2a:直径6mmのステンレス丸棒
下層2b:カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm3、体積抵抗値102〜109Ω・cm、層厚3.0mm
中間層2c:カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値102〜105Ω・cm、層厚700μm
表層2d:フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫とカーボンを分散、体積抵抗値107〜1010Ω・cm、表面粗さ(JIS規格10点平均表面粗さRa)1.5μm、層厚10μm
帯電電源D3から直流電圧に帯電周波数fの交流電圧を重畳した振動電圧(Vdc+Vac)が芯金2aを介して帯電ローラ2Kに印加されることにより、回転する感光ドラム1Kの周面が所定の電位に帯電処理される。帯電電源D3は、直流電源21と交流電源22とを有している。
制御部110は、帯電電源D3の直流電源21と交流電源22とをオン・オフ制御して、帯電ローラ2Kに直流電圧と交流電圧のどちらか、若しくはその両方の重畳電圧を印加できる。制御部110は、直流電源21から出力されて帯電ローラ2Kに印加される直流電圧値を可変に設定する。制御部110は、交流電源22から帯電ローラ2Kに印加する交流電圧のピーク間電圧Vppを所定の定電圧に維持するように定電圧制御する。もしくは、交流電源22から帯電ローラ2Kに印加する交流電圧のピーク間電圧Vppを所定の定電流に維持するように定電流制御する。
交流電流(又はピーク間電圧値)測定回路23は、感光ドラム1Kを介して帯電ローラ2Kに流れる交流電流を検出する。制御部110は、交流電流測定回路23の出力を検知して交流電流値(又はピーク間電圧値)を測定する。
環境センサ(温度計と湿度計)24は、画像形成装置100が設置されている環境を検知する。制御部110は、環境センサ24の出力から環境情報を入手する。
制御部110は、交流電流測定回路23から入力される交流電流値情報(又はピーク間電圧値情報)、直流電流測定回路25から入力される直流電流値情報、更には環境センサ24から入力される環境情報を処理する。これにより、制御部110は、印字工程の帯電工程において帯電ローラ2Kに印加される交流電圧の適切なピーク間電圧Vppの演算・決定プログラムを実行する。
図2に示すように、露光装置3Kは、半導体レーザを用いたレーザビームスキャナであり、不図示のホスト処理から入力される画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力する。これにより、感光ドラム1Kの一様帯電処理面を露光位置bにおいて走査線露光(イメージ露光)する。走査線露光を通じて感光ドラム1Kのレーザ光で照射されたところの電位が明部電位VLに低下することで、感光ドラム1Kの表面には、画像情報に対応した静電像が順次に形成される。
現像装置4Kは、二成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式の反転現像装置であり、感光ドラム1Kの表面の露光画像(明部電位VLの部分)にトナーが供給されて、静電像が反転現像される。現像装置4Kは、現像容器4aの開口部に固定マグネットローラ4cを内包した回転自在な非磁性の現像スリーブ4bが設けられている。現像スリーブ4bは、現像容器4aの二成分現像剤を、規制ブレード4dで薄層にコーティングして、感光ドラム1Kと対向する現像部cへ供給する。
現像容器4a内の二成分現像剤は、非磁性トナーと磁性キャリアの混合物であり、2つの現像剤攪拌部材4fの回転によって均一に攪拌されながら、現像スリーブ4b側に搬送される。
二成分現像剤における磁性キャリアの抵抗は約1013Ω・cm、粒径は40μmであり、非磁性トナーは、磁性キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。現像容器4a内のトナー濃度は、濃度センサ(不図示)によって検知される。この検知情報に基づいてトナーホッパー8Kから適正量の補給トナーが現像容器4aに補給されるので、トナー濃度が一定に調整される。
現像スリーブ4bは、現像部cにおいて感光ドラム1Kとの最近接距離を300μmに保持して、感光ドラム1Kに近接対向配設される。現像スリーブ4bは、現像部cにおいて感光ドラム1Kの回転方向(反時計方向)とは逆方向に回転駆動される。
現像スリーブ4bには、電源D4から、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)を重畳した振動電圧が印加される。具体的には、直流電圧(−350V)に交流電圧(周波数2kHz、ピーク間電圧8kV)を重畳した振動電圧である。
一次転写ローラ5Kは、感光ドラム1Kに所定の押圧力をもって当接して一次転写部dを形成する。電源D1から一次転写ローラ5Kに、トナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の直流電圧+500Vが印加される。これにより、感光ドラム1Kに担持されたトナー像は、一次転写部dにて重なり合う中間転写ベルト11へ一次転写される。
クリーニング装置6Kは、感光体ドラム1Kにクリーニングブレード6bを摺擦させて、一次転写部dを通過した感光体ドラム1Kの表面に付着した転写残トナーを除去する。
図1を参照して図4に示すように、画像形成装置100は、メイン電源スイッチがONされると初期回転動作を行ってスタンバイに移行し、プリント信号を待機する。プリント信号が入力されると、印字準備回転動作を行った後に画像形成を開始する。n枚目プリントが終わると紙間を経てn+1枚目プリントを開始し、最終枚目プリントが終わると、後回転動作を行ってスタンバイ状態に戻る。
a.初期回転動作(前多回転工程)
プリンタの起動時の始動動作期間(起動動作期間、ウォーミング期間)である。電源スイッチ−オンにより、感光体ドラムを回転駆動させ、また定着装置の所定温度への立ち上げ等の所定のプロセス機器の準備動作を実行させる。
b.印字準備回転動作(前回転工程)
プリント信号−オンから実際に画像形成(印字)工程動作がなされるまでの間の画像形成前の準備回転動作期間であり、初期回転動作中にプリント信号が入力したときには初期回転動作に引き続いて実行される。プリント信号の入力がないときには初期回転動作の終了後にメインモータの駆動が一旦停止されて感光ドラムの回転駆動が停止され、プリンタはプリント信号が入力されるまでスタンバイ(待機)状態に保たれる。プリント信号が入力すると印字準備回転動作が実行される。
本実施例においては、この印字準備回転動作期間において、後述するように、印字工程の帯電工程における印加交流電圧の適切なピーク間電圧値(または交流電流値)の演算・決定プログラムが実行される。
c.印字工程(画像形成工程、作像工程)
所定の印字準備回転動作が終了すると、引き続いて回転感光ドラムに対する作像プロセスが実行され、回転感光体ドラム面に形成されたトナー画像の転写材への転写、定着装置によるトナー画像の定着処理がなされて画像形成物がプリントアウトされる。
連続印字(連続プリント)モードの場合は上記の印字工程が所定の設定プリント枚数n分繰り返して実行される。
d.紙間工程
連続印字モードにおいて、一の転写材の後端部が一次転写部dを通過した後、次の転写材の先端部が位置自転車部dに到達するまでの間の、転写位置における記録紙の非通紙状態期間である。
e.後回転動作
最後の転写材の印字工程が終了した後もしばらくの間メインモータの駆動を継続させて感光体ドラムを回転駆動させ、所定の後動作を実行させる期間である。
f.スタンバイ
所定の後回転動作が終了すると、メインモータの駆動が停止されて感光体ドラムの回転駆動が停止され、プリンタは次のプリントスタ−ト信号が入力するまでスタンバイ状態に保たれる。
cの印字工程時が画像形成時であり、aの初期回転動作、bの前回転動作、dの紙間工程、eの後回転動作が非画像形成時である。
<スクリーン処理>
図5は各色のスクリーン角度の組み合わせの説明図、図6は帯電周波数と濃度むら間隔との関係の具体例の説明図である。
画像形成装置100では、印刷物と同等の画像を得るために、各色のハーフトーン画像をさまざまなスクリーン線数で画像形成することが必要とされている。
カラープリンタやカラーコピー等で広く用いられているフルカラー電子写真装置は、感光体を露光して形成した静電像を、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の各色トナーにより現像する。そして、各色のトナー像を紙等の記録材上に転写して、カラー画像を最終画像として再生する。
レーザビームプリンタは、感光体上の静電像の形成にレーザビームを利用する。レーザビームプリンタは、レーザビームが走査される主走査方向と、転写媒体(中間転写体又は記録材)が送られる副走査方向とに沿って配置される画素領域毎に、レーザビームの駆動を制御して静電像を形成する。
そして、レーザビームを駆動するパルスの幅を変調するパルス幅変調タイプのレーザビームプリンタでは、レーザビームの照射領域を、それぞれの画素領域内において種々変更できる。これにより、単位面積当たりの画素数が少ない場合でも、より高解像度で、より高い階調のカラー画像を再現することを可能にしている。
この様なパルス幅変調タイプのレーザビームプリンタにおいて、濃淡画像の階調再現の一手法として、多値ディザ法(Multi−Level Dithering Method)を用いた網点ハーフトーニング法がある。
多値ディザ法によれば、入力信号である各色毎の階調データに対して、仮想ドットのサイズと位置を決定付ける画像再生情報の記述された、ルックアップテーブルと称される変換テーブルを参照する。これにより、それぞれの画素領域内における仮想ドットの位置とサイズを決定する。そして、画素領域内における仮想ドットのサイズとして、0と最大サイズの間の複数のレベルを設定することにより、各画素における出力が「多値」化される。
「仮想ドット」とは、最終画像上にトナーによるドット画像を形成すべく、レーザビームが駆動されて走査されている領域で定義される。「仮想ドット」の主走査方向の大きさは、レーザビームが駆動されている時間とビームの走査速度の積であり、副走査方向の大きさは、画素領域の副走査方向の大きさに等しい。
なお、以下に示す理由により、仮想ドットは、最終画像上の「ドット画像」とは形状が異なるため、ここでは区別して表記する。
各画素領域の仮想ドット内では、レーザビームが駆動され、感光体上にレーザビームの照射領域が形成される。この照射領域は、レーザービームのサイズや駆動時の立上り立下り特性があるために、仮想ドットよりにじみ広がった形状となる。レーザビームの照射領域は、感光体上の静電像領域となり、トナーにより現像され、紙等の記録材上に転写されて最終画像上のドット画像を形成する。これらの過程の中でも、トナーが散る等するために、ドット画像の形状は、仮想ドットからさらに変化したものとなる。このように、ドット画像は、仮想ドットから変化したものだが、この変化は電子写真プロセスで決定付けられているために、仮想ドットを制御することでドット画像を制御することができる。
網点ハーフトーニング法では、単一の画素内のドット画像、あるいは複数の隣接する画素にわたるドット画像の塊からなる網点を形成し、網点の大きさによってハーフトーン画像の濃淡の階調を再現する。つまり、各画素の階調データの濃淡値が濃くなるに従い、仮想ドットが発生して、最終画像上での網点の成長核が生成され、更に階調データの濃淡値が濃くなると、仮想ドットの数及び面積が増大して、網点のサイズが次第に大きくなる。
従って、入力階調データの濃淡値の増大に対応した網点の成長方法は、網点の中心部(成長核近傍)の画素で仮想ドットの面積の成長が早く、網点の周辺の画素(成長核から離れた画素)で仮想ドット面積の成長が遅い。
このように、一つの網点を構成する複数の画素で仮想ドットの面積成長特性を異ならせるために、複数のルックアップテーブルが用意される。そして、それらのルックアップテーブルを配列の要素とする二次元の配列を構成し、入力の画像データに対してこの配列をタイルを敷き詰めるように位置をずらしながら繰返し適用し、画像全体を網点により再生する。この2次元の配列をここではLUTマトリクスと呼ぶ。
図5は、広く普及しているシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの各色のスクリーン角の組み合わせである。図5に示すように、従来の方法では、主走査方向に対する各色のスクリーン角は、イエローYが0°、シアンCが15°、ブラックKが45°、マゼンタMが75°に設定される。ただし、シアンCとマゼンタMとが逆の場合もある。
色ずれ防止の為に網点のスクリーン角をずらすと、いわゆるモアレ縞が生成されることが知られている。このモアレ縞の空間周波数を高くして目立たなくする為には、2色間で約30°スクリーン角がずれていることが最適であることが経験上確認されている。
そして、イエローは、他の色に比較して人間の目にとって目立ちにくいことから、イエロー以外のシアン、マゼンタ、ブラックのスクリーン角をそれぞれ30°ずつずらすことが行われている。更に、最も目立ちやすいブラックについては、人間が認識しやすい縦横方向の0°、90°から最も遠い45°に設定され、残るシアンとマゼンタがそれぞれ15°、75°に設定される。人間が最も認識しやすい縦横方向の0°(又は90°)にイエローのスクリーン角が形成されるが、イエローが最も目立ちにくいことから、さほどそのスクリーン角が目立つことはない。
ところで、帯電ローラ2K及び感光ドラム1Kは、それぞれ円筒形ローラとなっており、帯電ローラ2Kが感光ドラム1Kに接触する近傍で帯電が行われる。直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を帯電ローラ2Kに印加することにより帯電が行われるため、帯電された感光ドラム1Kの表面には、交流電圧の周期と同じ周期で表面電位が変動している。このとき、感光ドラム1Kは、回転しながら帯電が行われるため、帯電された表面には、感光ドラム1Kの円周方向に周期的に変動する縞状の表面電位分布が形成される。印加する交流成分の帯電周波数をf、感光ドラム1Kの表面速度をvとすると、感光ドラム1Kの表面に発生する表面電位変動の空間周波数は(f/v)となる。
このような、感光ドラム1Kの円周方向に周期的に変動する表面電位変動が形成されると、作像工程後の出力画像にこの周期的な変動が反映される。例えば、全面が黒くなるような作像を行った場合、出力された画像には、感光ドラム1Kの表面電位の周期的変動に対応した濃淡の縞が生じる。
しかし、このような濃淡の縞は、空間周波数が十分高ければ、人間の目では識別できないため、出力が像の品位を劣化させる要因とはならない。例えば、f=500Hz、v=50mm/Sでは空間周波数は10本/mmとなり、通常人間の目で判別することは困難となり画像に濃淡は見られない。
このように空間周波数(f/v)を十分に高く設定することで、通常、表面電位の周期的変動に起因する画像の濃淡が問題になることはない。しかし、レーザビームプリンタのように微少な点(ドット)の集合体をもって印字を行う場合はその印字パターンと、空間周波数(f/v)との関係により、周期的な濃度差が生ずる場合がある。
例えば、レーザビームプリンタにおいて、1ラインおきに主走査方向の直線を繰り返して描画する印字パターンの場合、その1ラインに注目すると、露光の行われたラインのエッジ部が表面電位の高い部分か低い部分かで、現像される線幅が若干変わる。
すなわち、この様な繰り返し描画による静電像の空間周波数と、帯電による表面電位の空間周波数(f/v)あるいはその整数倍とが非常に近い場合は、隣接する線の線幅の太り/細りが微妙に変わる。このような繰り返し印字パターンの描画と、表面電位の空間周波数(f/v)の差により発生する低い周期の干渉ムラを一般にモアレパターンと呼ぶ。
モアレパターンを生じないようにするためには、表面電位の変動の空間周波数(f/v)が描画の空間周波数より明らかに高くなるように設定する必要がある。あるいはそれより低い周波数を用いる場合は、モアレの生じないように、1ラインおき、2ラインおき、3ラインおき、4ラインおきのように、全ての繰り返し印字パターンの描画をおこなった場合における描画の空間周波数に対して、何れの近傍にもない領域に帯電による表面電位の空間周波数(f/v)を設定する必要がある。
ここで、スクリーンパターンのドットピッチと帯電周波数とのモアレパターンに関して説明する。
帯電周波数をf〔Hz〕、感光体の回転速度をVp〔mm/sec〕、網点ピッチsとすると、モアレパターンの濃度むら間隔I〔mm〕は、下式のように得られる。
I=1/|(f/Vp)−(1/s)
このとき、帯電周波数fと濃度むら間隔Iとの関係は、ある周波数fp(=Vp/s)において最大(理論的には∞)となり、その周波数fpよりも大きな周波数では単調減少、その周波数よりも小さな周波数でも単調減少する略山形のグラフとなる。そして、記録材上に形成される画像においてモアレパターンの濃度むらを目立たなくするためには、濃度むらの間隔Iが認識できないほど小さくなるように、帯電周波数fを与えればよい。
図6は、帯電周波数fと濃度むら間隔Iとの関係の具体例の説明図である。具体例として、ブラックのハーフトーンは、図6の(b)に示す線数175線/inch、角度45度のドットスクリーンで印刷されている。
図6の(b)に示す網点パターンが存在するブラックのハーフトーン画像を記録材Pに形成する場合、副走査方向の網点ピッチsは0.10(mm)となる。そして、感光ドラム1Kの回転速度がプロセススピードVp=200(mm/sec)のとき、帯電周波数fと濃度むら間隔Iとの関係は、図6の(a)のようになる。
ここで、濃度むら間隔Iが、ユーザによって目視上認識できないほど小さくなるように、帯電周波数fを設定する必要があり、具体的には、濃度むら間隔I<0.5[mm]程度とするとよい。
図6の(a)に示すように、帯電周波数fを1600Hz程度より低くするか、あるいは、2400Hz程度よりも高くすれば、濃度むら間隔I<0.5[mm]以下となって、モアレパターンが目視上認識できない。このような範囲内で、適宜、帯電周波数fを設定すればよい。
このように、ブラック画像中に存在する網点パターンのピッチに応じて帯電周波数fを変更することによって、モアレパターンの濃度むらが目立たない良好な画像を形成できる。
また、濃度むらが小さい領域では、帯電周波数fに多少のずれが生じた場合や、判別した網点ピッチsに誤差が生じた場合でも、モアレパターンの濃度むらがいきなり目立つことはない。従って、これらの誤差などの要因による濃度むらの偶発を抑えることができる。それとともに、帯電周波数fの選択範囲が広いので、いくつかの固定した帯電周波数f1、f2、・・から選択する簡易な構成を採用できる。
<実施例1>
図7は実施例1における帯電周波数の設定の説明図、図8は実施例1における帯電周波数に応じたピーク間電圧の設定の説明図である。
図3に示すように、制御部110は、交流電源22に設定する帯電周波数をf1=1400(Hz),f2=2200(Hz)から選択可能である。この場合、図6の(b)の関係から帯電周波数fとしてf1を選択した方がモアレパターンの濃度むら間隔Iは小さくなる。よって、帯電周波数f=1400(Hz)の交流電圧を直流電圧に重畳した振動電圧を用いて感光ドラム1Kの帯電を行うことにより、濃度むらを目立たなくして、モアレパターンを抑制する。
図6の(b)に示すように、画像形成の解像度の変更に伴ってハーフトーンの網点がスクリーン角45°でスクリーン線数を133線/inchに変更した場合、網点ピッチsは0.10mmから0.134mmに拡大する。
図7に示すように、帯電周波数fと濃度むら間隔Iとの関係は、細線の関係から太線の関係に変化する。そのため、スクリーン線数を133線に変更した場合は、帯電周波数Iをf2=2200(Hz)にしたほうがモアレパターンの抑制に有利となる。
制御部110は、網点(スクリーン線数)を変更した場合、このようにして、モアレパターン抑制の為、帯電周波数fを変更する。
ところで、帯電ローラ2Kに印加する振動電圧における交流電圧のピーク間電圧Vppは、低過ぎると、帯電不良や砂地画像を引き起してしまうが、高過ぎると放電生成物の発生量が増して起動時に画像流れが発生し易くなる。高過ぎる場合は、感光層に損傷を与えて感光ドラム1Kの耐久寿命にも悪影響がある。
そこで、帯電周波数fを複数段階に変更して、帯電不良の発生や砂地画像の発生状況を調べた。
図8は、プロセススピード200mm/sで帯電周波数fを、1.0kHz、1.66kHz、2.0kHzの3段階に変更した場合の、砂地画像の発生レベルを示している。横軸は帯電の振動電圧における交流電圧のピーク間電圧Vppであり、縦軸は一平方センチあたりに発生している砂地の数である。
実施例1では、砂地画像の許容レベルとして、1個/cm2までをOKレベルとした。そのため、交流電圧のピーク間電圧Vppは、砂地の発生レベルが1個/cm2以下になるように設定する必要がある。
砂地対策として、帯電周波数fが一番高い2.0kHzにおける砂地許容レベルのピーク間電圧Vppが1.78kVであるため、どの帯電周波数fでも、1.78kV以上に設定すれば全て砂地は許容レベルになる。また、帯電不良に起因するような画像不良も発生しないことが確認された。
しかし、帯電周波数fが1.0kHzの場合には1.58kV程度を印加すれば砂地は許容レベルになり、1.78kVを印加すると帯電ローラ2Kは必要以上の放電を起こすことになる。その結果、放電量が増加すると、放電生成物の発生量が増加して画像流れ・ボケの発生、トナー融着の発生、感光ドラム表面の劣化による感光ドラム削れ・短命化などの問題が起こる。また、逆に2.0kHzの周波数で帯電する時に交流電圧Vppを1.58kVしか印加しないと、砂地が悪化してしまう。
実施例1では、この実験結果を比例計算して、帯電周波数f1=1400Hzの場合には、ピーク間電圧Vppの定電圧を1.66kVに設定するが、周波数2200Hzの場合には、定電圧を1.82kVまで高めて設定する。
これにより、定電圧を1.82kV一定にした場合に比較して、帯電周波数f1=1400Hzの場合には、放電電流を減らしつつ、砂地画像の発生を許容レベルに抑制できた。また、帯電周波数f2=2200Hzの場合にも、砂地画像の発生を許容レベルに抑制できた。
実施例1では、画像の周波数を変更した場合にモアレパターン抑制のために帯電周波数fを変更する必要がある。画像出力の解像度を上げた場合にはモアレパターンの抑制のために帯電周波数fを上げる必要がある。このように、帯電周波数fを変更した場合に、帯電の交流電圧Vppを変更することで、砂地を許容レベルに抑えつつ、帯電不良の発生や高温高湿環境での起動時における画像流れ・ボケの発生を抑えることができた。また、トナー融着の発生、感光ドラム1Kの表面劣化による感光ドラム削れ・短命化などの問題を低減できた。
<実施例2>
図9は実施例2における帯電周波数に応じた総電流量の設定の説明図である。
実施例1では、帯電ローラ2Kに対して常に一定の交流電圧を出力させる「AC定電圧制御方式」を採用している。これに対して、実施例2では、帯電ローラ2Kを通じて流れる交流電流が一定値に保たれるように、交流電圧を定電流制御する「AC定電流制御方式」を採用している。このため、実施例1では、帯電周波数fの変更に伴って交流電圧のピーク間電圧Vppの定電圧の設定値を変更したが、実施例2では、交流電圧のピーク間電圧Vppの定電流の設定値を変更する。
AC定電流制御方式によれば、帯電ローラ2Kの抵抗が上昇する低温低湿環境(L/L)では交流電圧のピーク間電圧Vppを上げ、逆に材料の抵抗が下降する高温高湿環境(H/H)ではピーク間電圧Vppを下げることができる。このため、実施例1のAC定電圧制御方式に比べて、放電の増減を抑制することが可能である。
帯電ローラ2Kに流れる総電流量Iacは、同じピーク間電圧Vppを印加した場合でも、帯電周波数fをN倍にすると、N倍に増大する。
図9は、プロセススピード200mm/sで、帯電周波数fを1333Hzと2000Hzとに切り替えた際のピーク間電圧Vppと交流総電流IACとの関係を示している。図9に示すように、帯電周波数f=1333Hzのデータを周波数倍(2000/1333=1.5倍)したデータが2000Hz換算のデータである。2000Hz換算の黒丸で示したデータは、黒三角で示した2000Hzのグラフと同等になっており、この関係を裏付けている。
実施例2でも、砂地画像の許容レベルとして、1個/cm2までをOKレベルとした。そのため、交流電圧の総電流量IACは、砂地の発生レベルが1個/cm2以下になるように設定する必要がある。
そこで、帯電周波数f=1kHz、1.33kHz、2.0kHzの各場合について、ピーク間電圧Vppを異ならせた画像形成を行って総電流量Iacを測定し、砂地画像の発生頻度が許容レベルとなる総電流量Iacの最低値を求めた。
表1に示すように、帯電周波数f=1kHzのときは総電流量Iacが942μA以上で砂地画像の発生頻度が許容レベルとなる。帯電周波数f=1.33kHzの場合は総電流量Iacが1416μA以上で、帯電周波数f=2.0kHzの場合は総電流量Iacが2223μA以上で砂地画像の発生頻度が許容レベルとなる。
表1に示すように、そして、帯電周波数を1.0kHzから1.33kHz、2.0kHzに変更すると、帯電周波数fの周波数倍に総電流Iacを上げるのでは、砂地画像の発生頻度が許容レベルを越えてしまう。
そこで、実施例2では、出力画像の解像度の変更に伴ってモアレパターンの抑制のために帯電周波数fをN倍(N>1)に変更した場合には、総電流量IacをN倍より大きく設定してピーク間電圧Vppの定電流制御を行う。また、帯電周波数fを1/N倍(N>1)に変更した場合、総電流量Iacを1/N倍より小さく設定してピーク間電圧Vppの定電流制御を行う。
実施例1では、この実験結果を比例演算して、帯電周波数f1=1400Hzの場合には、ピーク間電圧Vppの定電流を1454μAとするが、帯電周波数f2=2200Hzの場合には、定電流を2479μAまで高めることとした。
これにより、定電流を2479μA一定とする場合に比べて帯電周波数f1=1400Hzの場合には、放電電流を減らしつつ、砂地画像の発生を許容レベルに抑制できた。また、帯電周波数f2=2200Hzの場合にも砂地画像の発生を阻止できた。
<実施例3>
図10は実施例3における帯電周波数に応じた目標放電電流量の設定の説明図、図11は転写ローラを流れる交流電流波形の説明図である。
実施例1では、帯電ローラ2Kに対して常に一定の交流電圧を出力させる「AC定電圧制御方式」を採用している。これに対して、実施例3では、画像形成に先立たせて帯電ローラ2Kを通じた放電電流が一定値に確保できるように、交流電圧の定電圧値の設定を行う「放電電流制御方式」を採用している。このため、実施例1では、帯電周波数fの変更に伴って交流電圧のピーク間電圧Vppの定電圧の設定値を変更したが、実施例2では、放電電流の目標値を変更する。
特許文献4に示されるように、放電電流制御方式によれば、AC定電流制御方式よりもさらに精密に必要な交流電圧のピーク間電圧Vppを制御できる。
上述したように、AC定電流制御方式によれば、帯電ローラ2Kの抵抗が上昇する低温低湿環境(L/L)では交流電圧のピーク間電圧値を上げ、逆に抵抗が下降する高温高湿環境(H/H)ではピーク間電圧値を下げることができる。このため、AC定電圧制御方式に比べて、放電電流の増減を抑制できる。
しかし、更なる感光ドラムの長寿命化を目指したとき、AC定電流制御方式においても、放電電流量の増減を抑制するには完全ではない。帯電ローラの製造ばらつきや汚れによる抵抗値変動、画像形成の累積に伴う感光ドラム1Kの静電容量変動、帯電電源D3のばらつきなどに対しては追従できないからである。
そこで、長期にわたり高画質、高品質を安定して提供するにあたり、過剰放電を起こさず、問題なく均一な帯電を行なえるよう帯電ローラ2Kに印加する電圧・電流を制御する必要がある。そのような方法として、「放電電流量制御方式」が実用化されている(特願2000−11819号、特願2000−11820号)。
ここでは、画像形成に先立つ非画像形成時に、帯電ローラ2Kに複数段階の交流電圧を印加して、それぞれ交流電流を測定して、放電開始電圧を求める。続いて、放電開始電圧をVthとした時に、少なくとも1点以上のVthの2倍未満のピーク間電圧Vppの交流電圧を印加した時の電流値と、少なくとも2点以上のVthの2倍以上のピーク間電圧Vppの交流電圧を印加した時の電流値とを測定する。そして、測定された交流電圧のピーク間電圧Vppと交流電流値Iacの関係から、画像形成時に帯電ローラ2Kに印加する所望の放電電流量を得るに必要な交流電圧のピーク間電圧Vppを決定する。
言い換えれば、原点を含む未放電領域における交流電圧−交流電流の検出結果の直線を帯電部材と感光ドラムとの間のインピーダンス電流と定義する。そして、放電領域で測定した交流電圧−交流電流の検出結果のデータからインピーダンス電流を差し引いて放電電流−ピーク間電圧Vppの関係式を求める。そして、この関係式に所定の目標帯電電流を代入することで、所定の目標帯電電流を得るために必要なピーク間電圧Vppが定電圧で設定される。
この方式によれば、実際に帯電ローラ2Kに印加する交流電圧のピーク間電圧Vppと交流電流Iacとの関係を測定して、所定の目標放電電流量を得るために必要な交流電圧のピーク間電圧Vppを決定する。このため、環境変動、帯電ローラ2Kの製造ばらつきなどを吸収できる。
ところで、実施例1における定電圧の設定にせよ、実施例2における定電流の設定にせよ、最終的には、モアレパターン抑制のために帯電周波数fを切り替えた際に、砂地画像が発生しないような放電電流量を得るために行われている。
従って、最初から砂地画像が発生しないような放電電流量の下限値を定めておけば、帯電周波数fに応じた砂地画像が発生しない必要最小限の値に所定の目標放電電流量を設定できる。言い換えれば、帯電周波数fを低く切り替えた際には、砂地画像が発生しない範囲でできるだけ目標放電電流量を下げて転写ローラ2Kと感光ドラム1Kとの間の放電を抑制して、放電生成物の発生量を直接減らす。
そこで、目標放電電流量Ihを複数段階に変更して、帯電不良の発生や砂地画像の発生状況を調べた。
図10は、プロセススピード200mm/sで帯電周波数fを、1.0kHz、1.66kHz、2.0kHzの3段階に変更した場合の、砂地画像の発生レベルを示している。横軸は帯電の振動電圧における交流電圧の放電電流Ih(μA)であり、縦軸は一平方センチあたりに発生している砂地の数である。
実施例3でも、砂地画像の許容レベルとして、1個/cm2までをOKレベルとした。そのため、交流電圧の目標放電電流量Ihmは、砂地の発生レベルが1個/cm2以下になるように設定する必要がある。
図10に示すように、帯電周波数f=2.0kHz、1.66kHz、1.0kHzにおける砂地画像が許容レベルとなる放電電流の最小値は、それぞれ78μA、48μA、20μAである。そして、これらの最小値を確保できれば、帯電不良に起因するような画像不良も発生しないことが確認された。
実施例3では、この実験結果を比例計算して、帯電周波数f1=1400Hzの場合には、目標放電電流量Ihmを43μAに設定するが、周波数2200Hzの場合には、目標放電電流量Ihmを90μAまで高めて設定する。
これにより、目標放電電流量Ihmを90μA一定にした場合に比較して、帯電周波数f1=1400Hzの場合には、大幅に放電電流を減らしつつ、砂地画像の発生を許容レベルに抑制できた。また、帯電周波数f2=2200Hzの場合にも、砂地画像の発生を許容レベルに抑制できた。
なお、画像形成前に、目標放電電流量Ihmを用いて、画像形成時の帯電ローラ2Kに印加する交流電圧のピーク間電圧を設定する制御手順については、特許文献4に記載されているとおりである。
特許文献4に記載されるように、毎回、印字準備回転時において、印字時に所定な放電電流量を得るために必要な交流電圧のピーク間電圧Vppを算出し、印字中には求めたピーク間電圧Vppの交流電圧を定電圧制御で印加する。これにより、帯電ローラ2Kの製造ばらつきや材質の環境変動に起因する抵抗値の振れや、帯電電源D3の高圧ばらつきを吸収し、確実に所望の放電電流量を得ることが可能となる。
しかし、帯電周波数fを変更した場合、同じ放電電流量に制御しても、上述したように、砂地レベルは大きく異なってくる。帯電周波数fを上げると、砂地レベルが顕著に悪化する。
同じ放電電流量でも周波数を上げると、砂地レベルが悪くなる理由としては、以下のようなことが考えられる。
図11に振動電圧の交流電流の波形を示しており、(a)は帯電周波数fが1kHzの場合、(b)は帯電周波数fが2kHzの場合である。目標放電電流を用いて交流電圧のピーク間電圧Vppを設定する過程で求めた放電電流は、図11の斜線部の電流値である。斜線部の電流値は、交流総電流から、帯電ローラ2Kと感光ドラム1Kとをコンデンサとみなして流れる電流分(サイン波)を引いたものに相当する。
周波数を1kHzから2倍の2kHzにした場合、放電電流量が同じ場合、一回に放電される量(=斜線部の電流量)は半分になる。周波数を上げていくと、トータルの放電電流量は同じでも一回に放電される時間(電流量)は少なくなり、放電が安定しなくなるため、同じ放電電流でも異常放電である砂地が発生しやすくなると推定されている。
<実施例4>
図12は各色の画像形成部における帯電周波数の設定の説明図である。
実施例1、2、3では、出力画像の解像度の変更に伴って帯電周波数fを変更した際に、交流電圧のピーク間電圧Vppを砂地画像が発生しない範囲でできるだけ下げる制御を説明した。これに対して実施例4では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKについて個別に帯電周波数fを設定した際に、交流電圧のピーク間電圧Vppを砂地画像が発生しない範囲でできるだけ下げる制御を説明する。
図5に示すように、フルカラー画像の形成においては、各色の色ずれ防止のために各色の網点のスクリーン角を変更している。そのため、副走査方向のドット間隔は各色毎に異なっている。
実施例4では、ブラックのスクリーンパターンが175線/inchの45°であるため、副走査方向の網点のドットピッチは0.1mmである。イエローのスクリーンパターンが150線/inchの0°であるため、副走査方向の網点のドットピッチは0.169mmである。マゼンタ、シアンについては、150線/inchの15°、75°であるため、副走査方向の網点のドットピッチは、M:0.036mm C:0.135mmである。
図11に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色で副走査方向の網点のドットピッチが異なるため、モアレパターンが目立つような帯電周波数の範囲はそれぞれ異なる。このため、実施例4では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKについて、それぞれの色に対してモアレパターンが目立たないように、個別の帯電周波数fy、fm、fc、fkを設定した。そして、個別の帯電周波数fy、fm、fc、fkについて、砂地画像が許容レベルに抑制される範囲で交流電圧の目標放電電流量Ihmをできるだけ低くなるように設定した。
表2に示すように、実施例4では、マゼンタとブラックの帯電周波数fm、fkを同じにしたので、目標放電電流量Ihmも同じとなっている。これにより、画像形成時に交流電圧の周波数が低く設定されている帯電手段ほど交流電圧のピーク間電圧が低い。
この様に、色ずれ防止の為、各色の網点(スクリーン線数)を変更した場合、モアレパターン防止の為、帯電周波数を変更することが望ましい。この場合にも、実施例1〜3で示したように、周波数を変更した場合、砂地の発生レベルが変化する為、各周波数に対して適切な交流電圧(放電電流量)を印加する。
以上により、砂地画像、画像流れ・ボケ、ドラム削れ、融着などの問題なく良好な画像形成を長期にわたり安定して行うことが可能となった。
<実施例5>
印字工程の帯電工程における印加交流電圧の適切なピーク間電圧値または交流電流値の演算・決定プログラムの実行は、印字準備回転動作期間に限られない。他の非画像形成時、すなわち初期回転動作時、紙間工程時、後回転工程時とすることもできるし、複数種類の非画像形成時に実行させてもよい。
像担持体は、表面抵抗が109 〜1014Ω・cmの電荷注入層を設けた直接注入帯電性のものであってもよい。電荷注入層を用いない場合でも、例えば電荷輸送層が上記の抵抗範囲にある場合も同等の効果がえられる。表層の体積抵抗が約1013Ω・cmであるアモルファスシリコン感光体を採用してもよい。
可撓性の接触帯電部材は、帯電ローラの他に、ファーブラシ、フェルト、布などの形状・材質のものも使用可能である。また、各種材質のものの組み合わせで、より適切な弾性、導電性、表面性、耐久性のものを得ることもできる。
帯電部材は、被帯電体である像担持体の面に必ずしも接触している必要はない。帯電部材と像担持体との間に、ギャップ間電圧と補正パッシェンカーブで決まる放電可能領域さえ確実に保証されれば、例えば数10μmの空隙(間隙)を存して非接触に近接配置されていてもよい(近接帯電)。本発明においては、この近接帯電の場合も接触帯電の範ちゅうとする。
接触帯電部材や現像材担持体に印加する振動電圧の交流電圧成分(AC成分、周期的に電圧値が変化する電圧)の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等が適宜使用可能である。直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成された矩形波であってもよい。
像担持体としての感光体の帯電面に対する情報書き込み手段としての露光装置は、レーザ走査光学系以外にも、例えば、LEDのような固体発光素子アレイを用いたデジタル露光装置であってもよい。ハロゲンランプや蛍光灯等を原稿照明光源とするアナログ的な露光装置であってもよい。要するに、画像情報に対応した静電像を形成できるものであればよい。
像担持体は、静電記録誘電体などであってもよい。この場合は、誘電体面を一様に帯電した後、帯電面を除電針ヘッドや電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の画像情報に対応した静電潜像を書き込み形成できる。
静電像のトナー現像方式・手段は任意である。反転現像方式でも正規現像方式でもよい。一般的に、静電像の現像方法は、4種顛に大別される。磁性トナーを現像剤担持体上に磁気力によってコーティングして搬送し、像担持体に対して非接触状態で適用し静電潜像を現像する方法(1成分非接触現像)がある。現像剤担持体上にコーティングした磁性トナーを像担持体に対して接触状態で適用して静電潜像を現像する方法(1成分接触現像)もある。磁性トナーについては、これをブレード等で現像スリーブ等の現像剤担持体上にコーティングする。
また、非磁性トナーに磁性キャリアを混合した二成分現像剤を現像剤担持体に磁気力によって担持させて搬送し、像担持体に対して接触状態で適用して静電潜像を現像する方法(2成分接触現像)もある。二成分現像剤を像担持体に対して非接触状態で適用して静電潜像を現像する方法(2成分非接触現像)もある。
転写手段は、ローラ転写に限られず、ブレード転写、ベルト転写、その他の接触転写帯電方式であってもよいし、コロナ帯電器を使用した非接触転写帯電方式でもよい。
画像形成部は、画像形成装置に対して着脱交換自在のプロセスカートリッジとすることもできる。プロセスカートリッジとは、帯電手段、現像手段、クリーニング手段、感光ドラム(像担持体)等を一体的にカートリッジ化し、カートリッジを画像形成装置に対して着脱可能とするものである。更に、少なくとも現像手段と感光ドラムとを一体的にカートリッジ化して画像形成装置に対して着脱可能とするものもある。
以上のように本発明によれば、帯電周波数を変更する場合において、帯電部材に印加するピーク間電圧値や「放電電流制御方式」を用いて決定する放電電流量を制御する。これにより、画像解像度またはスクリーン処理を変更した場合においても帯電不良や画像流れ、ドラム削れなどの問題なく、安定して高画質・高品質を保つことが可能となった。