JP6284000B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に係り、詳しくは、記録材へトナー像を転写させるときの転写バイアスを、直流成分のみからなる直流転写バイアス又は直流成分に交流成分が重畳した交流転写バイアスに切り替えることが可能な画像形成装置に関するものである。
電子写真方式の画像形成装置においては、あらかじめ一様に帯電された感光体等の潜像担持体上に光学的な画像情報を形成することによって得た静電潜像を、現像装置からのトナーによってトナー像化する。そして、このトナー像を転写紙等の記録材上に直接又は中間転写ベルト等の中間転写体を介して転写し、記録材上に定着することによって画像形成する。このような画像形成装置の多くは、感光体や中間転写体などの像担持体から記録材上への転写に際して、転写手段により直流転写バイアスを印加する。
近年、画像形成装置において用いられる記録材として、高級感を備えた皮革模様をイメージした用紙や、和紙調の用紙など、多種多様なものが用いられるようになってきている。このような記録材の中には、高級感を出すため等の目的で、エンボス加工等により表面に凹凸が存在するものがある。そのような記録材に対してトナー像を転写する場合、記録材表面の凹部に対しては凸部に比べてトナーが転写しにくい。そのため、トナーを凹部へ十分に転写することができず、凹部の画像濃度が凸部の画像濃度と比較して相対的に低くなりやすい。その結果、記録材の表面凹凸にならった濃淡パターンが画像中に発生しやすい。
記録材の表面凹部への転写不良を改善する方法としては、直流成分に交流成分が重畳した交流転写バイアスを用いる方法が知られている(特許文献1や特許文献2)。このような交流転写バイアスを用いることで、記録材と像担持体との間でトナーを往復運動させることができ、このような往復運動によりトナーを記録材の表面凹部へ転移させやすくなって、記録材の表面凹部に対するトナーの転写不良を抑制できる。
ところが、このような交流転写バイアスを用いると、記録材と像担持体との間でトナーが往復運動することでトナーチリが発生する。トナーチリが発生すると、記録材上に付着するトナーの付着領域が予定している領域よりも広がる結果、ハーフトーン画像における画像濃度が目標濃度よりも高く(濃く)なったり、線や文字が太くなったりするといった不具合が生じる。
図12は、直流転写バイアスを用いてトナー像を記録材上に転写したときのハーフトーン画像の拡大図である。
図13は、同じトナー像を交流転写バイアスを用いて記録材上に転写したときのハーフトーン画像の拡大図である。
これらの図を比較すると、交流転写バイアスを用いて記録材上にトナー像を転写した場合、直流転写バイアスを用いる場合よりも、ドット状の各トナー像部分を構成するトナーのチリが生じてドット状の各トナー像部分の面積が広がっていることがわかる。これにより、記録材上の地色(白色)が露出する面積が相対的に狭くなる結果、交流転写バイアスを用いて記録材上に転写されるハーフトーン画像は、直流転写バイアスを用いる場合よりも、画像濃度が高くなってしまう。また、ドット状の各トナー像部分の面積が広がることで、そのトナー像部分によって描かれている線や文字は、太くなってしまう。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、交流転写バイアスを用いてトナー像を記録材上に転写する場合でも、トナーチリによる不具合を抑制し得る画像形成装置を提供することである。
前記目的を達成するために、本発明は、像担持体と、潜像形成手段により形成される画像情報に応じた潜像を現像手段により現像して得られるトナー像を、前記像担持体の表面に形成するトナー像形成手段と、前記像担持体の表面に当接して転写ニップを形成する転写部材と、前記像担持体の表面に形成されたトナー像を前記転写ニップで記録材へ転写するための転写バイアスを該転写ニップに印加する転写バイアス印加手段と、所定の転写バイアス切替条件に従って、前記転写バイアスを、直流成分のみからなる直流転写バイアス、又は、直流成分に交流成分が重畳した交流転写バイアスへ切り替える転写バイアス切替手段とを有する画像形成装置において、前記潜像形成手段は、ドット状潜像の数によって画像濃度の階調を制御する面積階調制御により目標画像濃度の潜像を形成するものであり、規定値未満である平滑度を有する記録材へ前記交流転写バイアスを用いて転写されるトナー像の潜像を形成するときの面積階調制御では、一部又は全部の階調におけるドット状潜像の数を、前記直流転写バイアスを用いるときの面積階調制御よりも減らして、潜像を形成することを特徴とする。
本発明によれば、交流転写バイアスを用いてトナー像を記録材上に転写する場合でも、ハーフトーン画像における画像濃度が目標濃度よりも高くなったり、線や文字が太くなったりするといった不具合を抑制することができるという優れた効果が奏される。
実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。 同プリンタにおけるK用の画像形成ユニットを拡大して示す拡大構成図である。 直流転写バイアスと交流転写バイアスとを切り替えて二次転写部に印加する様子を示す模式図である。 同プリンタの二次転写バイアス電源から出力される交流転写バイアスからなる二次転写バイアスの波形の一例を示す波形図である。 二次転写バイアス印加部の構成例を示すブロック図である。 交流転写モードが選択されたときの潜像形成処理の流れを示すフローチャートである。 交流転写モードにおいて、階調制御補正処理を行う補正前の階調と画像濃度との関係を示すグラフである。 直接転写方式の1ドラム型画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 転写部材として転写ベルトを用いた直接転写方式の1ドラム型画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 直接転写方式のタンデム型画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 二次転写部材として紙搬送ベルトを用いた中間転写方式のタンデム型画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 直流転写バイアスを用いてトナー像を記録材上に転写したときのハーフトーン画像の拡大図である。 同じトナー像を交流転写バイアスを用いて記録材上に転写したときのハーフトーン画像の拡大図である。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)の一実施形態について説明する。
はじめに、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は本実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。本実施形態に係るプリンタは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、転写装置としての転写ユニット30と、光書込ユニット80と、定着装置90と、給紙カセット100と、レジストローラ対101とを備えている。
4つの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、画像形成物質として、互いに異なる色のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するための画像形成ユニット1Kを例にすると、これは、図2に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置(不図示)、帯電装置6K、現像装置8K等を備えている。これらの装置が共通の保持体に保持されてプリンタ本体に対して一体的に脱着することで、それらを同時に交換できるようになっている。
感光体2Kは、ドラム基体の表面上に有機感光層が形成された外径60[mm]程度のドラム形状のものであって、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。帯電装置6Kは、帯電バイアスが印加される帯電ローラ7Kを感光体2Kに接触あるいは近接させながら、帯電ローラ7Kと感光体2Kとの間に放電を発生させることで、感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。本実施形態では、トナーの正規帯電極性と同じマイナス極性に一様帯電せしめる。帯電バイアスとしては、直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用している。帯電ローラ7Kは、金属製の芯金の表面に導電性弾性材料からなる導電性弾性層が被覆されたものである。帯電ローラ等の帯電部材を感光体2Kに接触あるいは近接させる方式に代えて、帯電チャージャによる方式を採用してもよい。
一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、光書込ユニット80から発せられるレーザ光によって光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置8Kによって現像されてKトナー像になる。そして、後述する中間転写体としての中間転写ベルト31上に一次転写される。
ドラムクリーニング装置3Kは、一次転写工程(後述する一次転写ニップ)を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーを除去する。回転駆動されるクリーニングブラシローラ4K、片持ち支持された状態で自由端を感光体2Kに当接させるクリーニングブレード5Kなどを有している。回転するクリーニングブラシローラ4Kで転写残トナーを感光体2K表面から掻き取ったり、クリーニングブレードで転写残トナーを感光体2K表面から掻き落としたりする。クリーニングブレードについては、その片持ち支持端側を自由端側よりもドラム回転方向下流側に向けるカウンタ方向で感光体2Kに当接させている。
前記除電装置は、ドラムクリーニング装置3Kによってクリーニングされた後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
現像装置8Kは、現像剤担持体としての現像ロール9Kを内包する現像部12Kと、図示しないK現像剤を撹拌搬送する現像剤搬送部13Kとを有している。そして、現像剤搬送部13Kは、第1スクリュー部材10Kを収容する第1搬送室と、第2スクリュー部材11Kを収容する第2搬送室とを有している。それらスクリュー部材は、それぞれ、軸線方向の両端部がそれぞれ軸受けによって回転自在に支持される回転軸部材と、これの周面に螺旋状に突設せしめられた螺旋羽根とを具備している。
第1スクリュー部材10Kを収容している第1搬送室と、第2スクリュー部材11Kを収容している第2搬送室とは、仕切り壁によって仕切られている。一方、仕切壁におけるスクリュー軸線方向の両端箇所には、それぞれ両搬送室を連通させる連通口が形成されている。第1スクリュー部材10Kは、螺旋羽根内に保持している図示しないK現像剤を、回転駆動に伴って回転方向に撹拌しながら、図中の紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送する。第1スクリュー部材10Kと、後述する現像ロール9Kとは互いに向かい合う姿勢で平行配設されているため、このときのK現像剤の搬送方向は、現像ロール9Kの回転軸線方向に沿った方向でもある。そして、第1スクリュー部材10Kは、現像ロール9Kの表面に対してK現像剤をその軸線方向に沿って供給していく。
第1スクリュー部材10Kの図中手前側端部付近まで搬送されたK現像剤は、仕切壁の図中手前側端部付近に設けられた連通開口を通って、第2搬送室内に進入した後、第2スクリュー部材11Kの螺旋羽根内に保持される。そして、第2スクリュー部材11Kの回転駆動に伴って、回転方向に撹拌されながら、図中手前側から奥側に向けて搬送されていく。
第2搬送室内において、ケーシングの下壁には図示しないトナー濃度センサが設けられており、第2搬送室内のK現像剤のKトナー濃度を検知する。Kトナー濃度センサとしては、透磁率センサからなるものが用いられている。Kトナーと磁性キャリアとを含有するK現像剤の透磁率は、Kトナー濃度と相関関係があるため、透磁率センサは、Kトナー濃度を検知していることになる。
本プリンタには、Y、M、C、K用の現像装置の第2収容室内にY、M、C、Kトナーをそれぞれ個別に補給するための図示しないY、M、C、Kトナー補給手段が設けられている。そして、プリンタの制御部は、RAMに、Y、M、C、Kトナー濃度検知センサからの出力電圧値の目標値であるY、M、C、K用のVtrefを記憶している。Y、M、C、Kトナー濃度検知センサからの出力電圧値と、Y、M、C、K用のVtrefとの差が所定値を超えた場合には、その差に応じた時間だけY、M、C、Kトナー補給手段を駆動する。これにより、Y、M、C、K用の現像装置における第2搬送室内にY、M、C、Kトナーが補給される。
現像部12K内に収容されている現像ロール9Kは、第1スクリュー部材10Kに対向しているとともに、ケーシングに設けられた開口を通じて、感光体2Kにも対向している。また、現像ロール9Kは、回転駆動される非磁性パイプからなる筒状の現像スリーブと、これの内部にスリーブと連れ回らないように固定されたマグネットローラとを具備している。そして、第1スクリュー部材10Kから供給されるK現像剤をマグネットローラの発する磁力によってスリーブ表面に担持しながら、スリーブの回転に伴って、感光体2Kに対向する現像領域に搬送する。
現像スリーブには、トナーと同極性であって、感光体2Kの静電潜像よりも大きく、かつ感光体2Kの一様帯電電位よりも小さな現像バイアスが印加される。これにより、現像スリーブと感光体2Kの静電潜像との間には、現像スリーブ上のKトナーを静電潜像に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブと感光体2Kの地肌部との間には、現像スリーブ上のKトナーをスリーブ表面に向けて移動させる非現像ポテンシャルが作用する。それら現像ポテンシャル及び非現像ポテンシャルの作用により、現像スリーブ上のKトナーが感光体2Kの静電潜像に選択的に転移して、静電潜像をKトナー像に現像する。
先に示した図1において、Y、M、C用の画像形成ユニット1Y,1M,1Cにおいても、K用の画像形成ユニット1Kと同様にして、感光体2Y,2M,2C上にY、M、Cトナー像が形成される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの上方には、潜像形成手段たる光書込ユニット80が配設されている。この光書込ユニット80は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいてレーザダイオードから発したレーザ光により、感光体2Y,2M,2C,2Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y,2M,2C,2K上にY、M、C、K用の静電潜像が形成される。具体的には、感光体2Yの一様帯電した表面の全域のうち、レーザ光が照射された箇所の電位は、それ以外の箇所(地肌部)の電位よりも小さい静電潜像となる。光書込ユニット80は、光源から発したレーザ光Lを、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの下方には、無端状の中間転写ベルト31を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写装置としての転写ユニット30が配設されている。転写ユニット30は、中間転写ベルト31の他に、駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、4つの一次転写ローラ35Y,35M,35C,35K、ニップ形成ローラ36、ベルトクリーニング装置37、トナー像検知センサ38などを有している。
中間転写ベルト31は、そのループ内側に配設された駆動ローラ32、二次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、及び4つの一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ32の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
中間転写ベルト31としては、次のような特性を有するものを用いている。厚みは20[μm]〜200[μm]、好ましくは60[μm]程度である。また、体積抵抗率は、1×107.5[Ω・cm]〜1×1013[Ω・cm]、好ましくは約1×109[Ω・cm]程度である。この体積抵抗率は、三菱化学社製ハイレスタHRSプローブにて、印加電圧が100V、測定時間が10秒である条件で測定したときのものである。また、表面抵抗率は、1×1010[Ω/□]〜1×1012[Ω/□]である。この表面抵抗率は、三菱化学社製ハイレスタHRSプローブにて、印加電圧が500V、測定時間が10秒である条件で測定したときのものである。本実施形態の中間転写ベルト31の材料としては、例えばカーボン分散ポリイミド樹脂を用いることができる。
4つの一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kは、無端移動せしめられる中間転写ベルト31を感光体2Y,2M,2C,2Kとの間に挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と感光体2Y,2M,2C,2Kとが当接するY、M、C、K用の一次転写ニップが形成されている。一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加されている。これにより、感光体2Y,2M,2C,2K上のY、M、C、Kトナー像と、一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kとの間に転写電界が形成される。Y用の感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴ってY用の一次転写ニップに進入する。そして、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト31上に一次転写される。このようにしてYトナー像が一次転写せしめられた中間転写ベルト31は、その後、M,C,K用の一次転写ニップを順次通過する。そして、感光体2M,2C,2K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト31上には4色重ね合わせトナー像が形成される。
一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kは、金属製の芯金と、これの表面上に固定された導電性のスポンジ層とを具備している弾性ローラからなり、次のような特性を有している。外形は16[mm]である。また、芯金の径は10[mm]である。また、接地された外径30[mm]の金属ローラを10[N]の力でスポンジ層に押し当てた状態で、一次転写ローラ芯金に1000[V]の電圧を印加したときに流れる電流Iから、オームの法則(R=V/I)に基づいて算出したスポンジ層の抵抗Rは、約3×107Ωである。このような一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kに対して、一次転写バイアスを定電流制御で印加する。一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kに代えて、転写チャージャや転写ブラシなどを採用してもよい。
転写ユニット30のニップ形成ローラ36は、中間転写ベルト31のループ外側に配設されており、ループ内側の二次転写裏面ローラ33との間に中間転写ベルト31を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と、ニップ形成ローラ36とが当接する二次転写ニップが形成されている。ニップ形成ローラ36は接地されているのに対し、二次転写裏面ローラ33には、二次転写バイアス電源200によって二次転写バイアスが印加される。これにより、二次転写裏面ローラ33とニップ形成ローラ36との間に、マイナス極性のトナーを二次転写裏面ローラ33側からニップ形成ローラ36側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。
転写ユニット30の下方には、記録材としての記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット100が配設されている。この給紙カセット100は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ100aを当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、その記録紙Pを給紙路に向けて送り出す。給紙路の末端付近には、レジストローラ対101が配設されている。このレジストローラ対101は、給紙カセット100から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを二次転写ニップ内で中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。二次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像は、二次転写電界やニップ圧の作用によって記録紙P上に一括二次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、二次転写ニップを通過すると、ニップ形成ローラ36や中間転写ベルト31から曲率分離する。
二次転写裏面ローラ33は、ステンレスやアルミニウム等からなる芯金に抵抗層を積層したものである。抵抗層は、ポリカーボネート、フッ素系ゴム、シリコン系ゴム等にカーボンや金属錯体等の導電粒子を分散させたもの、あるいはNBRやEPDM等のゴム、NBR/ECO共重合のゴム、ポリウレタンの半導電性ゴム等よりなる。その体積抵抗率は10〜1012[Ω・cm]、望ましくは10〜10[Ω・cm]である。また、硬度20度〜50度の発泡タイプでも、ゴム硬度30度〜60度のゴムタイプでもよいが、中間転写ベルト31を介してニップ形成ローラ36と接触するので、小さな接触圧力でも非接触部分が生じないスポンジタイプが望ましい。中間転写ベルト31と二次転写裏面ローラ33の接触圧力が大きいほど、文字や細線の中抜けが生じ易いので、これを防止するためである。
二次転写裏面ローラ33の体積抵抗率は、二次転写裏面ローラ33の周面に5[N]の力で電極ローラを当接させ、二次転写裏面ローラ33の芯金に1000Vを印加した状態で二次転写裏面ローラ33を1分間回転させながら、ローラ1回転分の体積抵抗率を順次測定し、測定した各体積抵抗率の平均値を採用している。
また、ニップ形成ローラ36は、ステンレスやアルミニウム等からなる芯金上に導電性ゴム等からなる抵抗層と表層を積層して形成してある。本例では、ローラの外径は20[mm]、芯金は直径16[mm]のステンレスである。抵抗層はNBR/ECOの共重合体よりなる硬度40〜60度[JISA]のゴムである。表層は、含フッ素ウレタンエラストマーからなり、その厚みは8〜24[μm]が望ましい。その理由としては、ローラの表層は塗装工程により製造されることが多いので、表層の厚みが8[μm]以下では、塗布ムラによる抵抗ムラの影響が大きく、抵抗の低い箇所でリークが発生する可能性があり好ましくない。また、ローラ表面にシワが生じて、表層がひび割れるという問題も生じ易い。一方、表層の厚みが24[μm]以上に厚くなると抵抗が高くなり、体積抵抗率が高い場合には二次転写裏面ローラ33の芯金に定電流を印加したときの電圧が上昇することがある。そして、定電流電源の電圧可変範囲を超えるので目標の電流以下の電流になったり、電圧可変範囲が十分高い範囲の場合には定電流電源から二次転写裏面ローラ芯金までの高圧経路や二次転写裏面ローラ芯金が高電圧になったりすることによるリークが発生し易くなる。また、ニップ形成ローラ36の表層の厚みが24[μm]以上に厚いと硬度が高くなり、記録媒体(紙等)や中間転写ベルトとの密着性が悪くなるという問題もある。ニップ形成ローラ36の表面抵抗率は1×106.5[Ω/□]以上であり、ニップ形成ローラ36の表層の体積抵抗率は1×1010[Ω・cm]以上、より好ましくは、1×1012[Ω・cm]以上である。なお、本実施形態では表層を積層したニップ形成ローラを使用しているが、芯金に抵抗層のみを積層したタイプでもよい。
トナー像検知センサ38は、中間転写ベルト31のループ外側に配設されている。そして、中間転写ベルト31の周方向における全域のうち、接地された駆動ローラ32に対する掛け回し箇所に対して、約5[mm]の間隙を介して対向している。トナー像検知センサ38は1発光2受光タイプの光学センサであり、受光した出力を付着量に換算することで、中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー像の付着量検知を行う。
二次転写ニップの図中右側方には、定着装置90が配設されている。この定着装置90は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ91と、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ92とによって定着ニップを形成している。定着装置90内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ91に密着させる姿勢で、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。定着装置90内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路を経由した後、機外へと排出される。
モノクロ画像を形成する場合には、転写ユニット30におけるY,M,C用の一次転写ローラ35Y,35M,35Cを支持している図示しない支持板を移動せしめる。そして、一次転写ローラ35Y,35M,35C,35Kを、感光体2Y,2M,2Cから遠ざける。これにより、中間転写ベルト31のおもて面を感光体2Y,2M,2Cから引き離して、中間転写ベルト31をK用の感光体2Kだけに当接させる。この状態で、4つの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kのうち、K用の画像形成ユニット1Kだけを駆動して、Kトナー像を感光体2K上に形成する。
二次転写バイアス電源39は、直流電源と交流電源とを有しており、二次転写バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳せしめたものを出力することができる。二次転写バイアス電源39の出力端子は、二次転写裏面ローラ33の芯金に接続されている。二次転写裏面ローラ33の芯金の電位は、二次転写バイアス電源39からの出力電圧値とほぼ同じ値になる。また、ニップ形成ローラ36については、その芯金を接地(アース接続)している。交流転写バイアスを二次転写裏面ローラ33の芯金に印加しつつ、ニップ形成ローラ36の芯金を接地する代わりに、交流転写バイアスをニップ形成ローラ36の芯金に印加しつつ、二次転写裏面ローラ33の芯金を接地してもよい。この場合、直流電圧の極性を異ならせる。具体的には、図示のように、マイナス極性のトナーを用い、かつニップ形成ローラ36を接地した条件で、二次転写裏面ローラ33に交流転写バイアスを印加する場合には、直流電圧としてトナーと同じマイナス極性のものを用いて、交流転写バイアスの時間平均の電位をトナーと同じマイナス極性にする。これに対し、二次転写裏面ローラ33を接地し、かつ交流転写バイアスをニップ形成ローラ36に印加する場合には、直流電圧としてトナーとは逆のプラス極性のものを用いて、交流転写バイアスの時間平均の電位をトナーとは逆のプラス極性にする。交流転写バイアスを二次転写裏面ローラ33やニップ形成ローラ36に印加する代わりに、直流電圧を何れか一方のローラに印加するとともに、交流電圧を他方のローラに印加してもよい。交流電圧としては、正弦波状の波形のものを採用しているが、矩形波状の波形のものを用いてもよい。
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト31には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト31のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置37によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト31のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ34は、ベルトクリーニング装置37によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
図3は、直流転写バイアスと交流転写バイアスとを切り替えて二次転写部に印加する様子を示す模式図である。
本実施形態の二次転写バイアス電源39は、直流電源201と交流直流重畳電源202とから構成されている。同図の(a)ではスイッチ203を切り替えて直流電源201から直流転写バイアスを印加し、同図の(b)ではスイッチ203を切り替えて交流直流重畳電源202から交流転写バイアスを印加している。直流電源201と交流直流重畳電源202の切り替えを概念的に示すためにスイッチ203で切り替えるように示しているが、図5で後述するように、本実施形態では2つのリレーを用いて切り替えるように構成してもよい。
図4は、二次転写バイアス電源から出力される交流転写バイアスからなる二次転写バイアスの波形の一例を示す波形図である。
本実施形態の二次転写バイアスは、上述したように、二次転写裏面ローラの芯金に印加される。二次転写裏面ローラの芯金に二次転写バイアスが印加されると、二次転写裏面ローラ33の芯金と、ニップ形成ローラ36の芯金との間に、電位差(転写バイアス)が発生する。本実施形態において、この電位差(転写バイアス)は、二次転写裏面ローラ33の芯金の電位から、ニップ形成ローラ36の芯金の電位を差し引いた値を用いる。かかる電位差の時間平均値は、本実施形態のようにトナーとしてマイナス極性のものを用いる構成では、その極性がマイナスになった場合に、ニップ形成ローラ36の電位を二次転写裏面ローラ33の電位よりもトナーの帯電極性とは逆極性側(本実施形態ではプラス側)に大きくすることになる。よって、トナーを二次転写裏面ローラ側からニップ形成ローラ側に静電移動させることになる。
図4において、交流転写バイアスのオフセット電圧Voffは、本実施形態のように正弦波の交流転写バイアスにおいては、交流転写バイアスの直流成分の値に等しい。また、交流転写バイアスのピークツウピーク電圧Vppは、交流転写バイアスの交流成分におけるピークツウピーク電圧に等しい。また、本実施形態に係るプリンタにおいては、既に述べたように、二次転写バイアスを二次転写裏面ローラ33の芯金に印加し、かつニップ形成ローラ36の芯金を接地しているので、両芯金の電位差は二次転写裏面ローラ33の芯金に印加される二次転写バイアスに相当する。
二次転写バイアスの極性がトナーと同じマイナス極性になっているときには、二次転写ニップ内において、マイナス極性のトナーを二次転写裏面ローラ33側からニップ形成ローラ36側に静電的に押し出す。これにより、中間転写ベルト31上のトナーを記録紙P上に転移させる。一方、二次転写バイアスの極性がトナーとは逆のプラス極性になっているときには、二次転写ニップ内において、マイナス極性のトナーをニップ形成ローラ36側から二次転写裏面ローラ33側に向けて静電的に引き寄せる。これにより、記録紙Pに転移させたトナーを中間転写ベルト31側に再び引き寄せる。但し、二次転写バイアスの時間平均値(本例ではオフセット電圧Voffと同じ値)がマイナス極性であるので、二次転写ニップ内において、マイナス極性のトナーを二次転写裏面ローラ33側からニップ形成ローラ36側に押し出す作用の方が相対的に大きくなる。図4において、戻り電位ピーク値Vrは、トナーとは逆極性であるプラス側のピーク値を示している。
凹凸の小さい記録紙を用いる場合、交流転写バイアスを印加することにより、劣化トナーに起因した画像ボソツキ等を改善する効果が確認されている。したがって、この効果を得たい場合には、凹凸の小さい記録紙を用いるときに、交流転写バイアスを印加する。
本実施形態では、二次転写バイアスとして、直流転写バイアスを印加して記録紙Pへの画像転写を行う直流転写モードと、直流に交流を重畳せしめた交流転写バイアスを印加して記録紙Pへの画像転写を行う交流転写モードとを有する。そして、温湿度環境、記録紙Pの平滑度、記録紙Pに出力される画像の種類などに応じて、転写モードを直流転写モード又は交流転写モードに切り替えることで、画像ボソツキ等の画質劣化の発生を抑制しつつ、無駄なトナー消費量を減らすことができる。転写モードの切り替えは、温湿度環境、記録紙Pの平滑度、記録紙Pに出力される画像の種類などにより自動的にモードが切り替わるようにしても良い。あるいは、ユーザが転写モードを指定できるようにしても良い。これらの設定は、画像形成装置の操作パネル上から設定可能に設ける。
転写モードの切り替えを自動的で切り替える場合の転写バイアス切替条件としては、例えば、画像ボソツキが発生しやすい再生紙(平滑性の悪い普通紙)には、交流転写モードを用い、それ以外の用紙には直流転写モードを用いる。また、例えば、画像ボソツキが発生しやすい高温高湿環境である場合には、交流転写モードを用い、高温高湿環境ではない場合には直流転写モードを用いる。また、例えば、記録紙Pに出力される画像が、写真画像などボソツキの目立ちやすい画像の場合には、交流転写モードを用い、記録紙Pに出力される画像が、文字画像などボソツキの目立ちにくい画像の場合には直流転写モードを用いる。
図5は、二次転写バイアス印加部の構成例を示すブロック図である。
同図に示す例では、2つのリレーを用いてバイアスを印加する電源を切り替える構成となっている。同図に示すように、直流電源201はリレー301を介して直流転写バイアスを二次転写裏面ローラ33に印加する。また、交流直流重畳電源202はリレー302を介して交流転写バイアスを二次転写裏面ローラ33に印加する。2つのリレー301,302は、リレー駆動手段204を介して制御手段300によって接続と遮断が制御され、二次転写バイアスとしての直流転写バイアス又は交流転写バイアスが切り替えられる。
次に、本実施形態における交流転写モード時の動作について説明する。
図6は、交流転写モードが選択されたときの潜像形成処理の流れを示すフローチャートである。
まず、パーソナルコンピュータ等の外部機器から画像情報が入力されると、交流転写モードが選択されるという転写バイアス切替条件が満たされることで、交流転写モードでの画像形成動作を開始する。画像情報が入力されて(S1)、画像形成動作を開始すると、その画像情報に基づく画像を形成する記録紙の平滑度情報を取得する(S2)。この平滑度情報は、記録材の平滑度の数値を示す情報に限らず、記録材の種類を識別するための情報など、規定値以上の平滑度を有する記録紙と規定値未満の平滑度を有する記録紙とを区別できる情報であればよい。平滑度情報の取得方法は、使用する給紙カセット100にセットされている記録紙についての平滑度情報を予めユーザーに入力させて記憶しておき、その記憶された平滑度情報を読み出す方法や、平滑度センサ等を用いて使用する記録紙の平滑度を検知する方法などが挙げられる。
このように記録紙の平滑度情報を取得したら、平滑度が規定値以上であるか否かを判断する(S3)。そして、平滑度が規定値未満であると判断された場合(S3のNo)、階調制御補正処理を実行する。
階調制御補正処理は、光書込ユニット80の階調制御に用いられる階調と画像濃度との関係を補正するための処理である。本実施形態では、256階調(0〜255)の面積階調制御により画像濃度を256段階で調整することができる。面積階調制御では、階調が高くなるにつれて、所定のドット形成条件(ドット配置やドット数)に従って潜像ドットの数を増やすという制御を行う。光書込ユニット80は、このような面積階調制御により、入力された画像情報に基づく目標画像濃度に対応した階調の潜像ドットパターンで、感光体2の表面に静電潜像を形成する。
図7は、交流転写モードにおいて、階調制御補正処理を行う補正前の階調と画像濃度との関係を示すグラフである。
本来は、図7中破線で示すように、階調と画像濃度との関係が直線状の比例関係を示すのが目標とするところである。通常、非画像形成動作時に複数階調のトナーパターンを形成し、各トナーパターンの画像濃度をセンサで検出し、その検出結果から階調と画像濃度との関係を補正する画質補正制御(プロセスコントロール)を実施することで、階調と画像濃度との関係を目標に近付けるように調整する。ただし、この画質補正制御は、画像形成動作を実行できないダウンタイムを生み、またトナーを消費することになる。そのため、画質補正制御は、直流転写モードで複数階調のトナーパターンを形成し、階調と画像濃度との関係を目標に近付ける調整を行うが、交流転写モードでは調整を行わないのが通常である。そのため、画質補正制御により、直流転写モードでは階調と画像濃度との関係が目標に近く、適切な画像濃度の画像が形成される。しかしながら、交流転写モード時に、直流転写モードと同じ階調制御の設定で階調制御を実行すると、図7に示すグラフのように、目標よりも高い画像濃度になってしまう。これは、上述した交流転写バイアスによるトナーチリにより、記録紙の表面に付着するトナー付着領域が広がる影響である。
そこで、本実施形態においては、交流転写モード時には、直流転写モードとは同じ階調制御の設定を用いず、この階調制御の設定内容を補正したものとを用いて階調制御を実行することにより、交流転写モード時でも目標の画像濃度が得られるようにしている。具体的には、階調制御補正処理を行うことにより(S4)、図7のグラフに示される補正前の階調と画像濃度との関係が、目標に近づくように補正する。例えば、階調と画像濃度との比例係数が小さくなる(傾きが小さくなる)ように各階調のドット数を減らす補正を行ったり、目標との開きが大きい部分(図7のグラフでは高階調部分)だけ部分的にドット数を減らす補正を行ったりする。
そして、このように階調制御補正処理を行った後、光書込ユニット80は、補正後の設定内容に従った階調制御を実行し、画像情報に応じた画像濃度に対応する潜像ドットパターンで感光体2の表面に静電潜像を形成する(S5)。
ここで、本実施形態においては、交流転写モードであっても、記録紙の平滑度が規定値以上である場合には(S3のYes)、階調制御補正処理を行わない。すなわち、直流転写モードと同じ階調制御の設定で階調制御を実行して、画像情報に応じた画像濃度に対応する潜像ドットパターンで感光体2の表面に静電潜像を形成する(S5)。例えばコート紙のように記録紙の平滑度が高い場合には、記録紙の表面凹凸が少ないので、記録紙の表面と中間転写ベルト31との間の密着度が高いため、トナーの往復運動の幅が小さく、トナーチリが発生しにくいので、記録紙の表面に付着するトナー付着領域が広がりにくく、階調と画像濃度との関係は直流転写バイアスの場合とほぼ同様となるからである。
以上の説明では、感光体2Y,2M,2C,2K上のトナー像を、中間転写ベルト31を介して記録紙Pへ転写する中間転写方式のタンデム型画像形成装置を例に挙げたが、図8に示すように、単一の感光体2上に形成したトナー像を記録紙Pへ直接転写する直接転写方式の1ドラム型画像形成装置でも同様である。図8に示す例では、感光体2との間で転写ニップを形成する転写ローラ135の芯金に対して直流電源と交流電源とを有する転写バイアス電源139を接続し、転写ニップに対して直流転写バイアス又は交流転写バイアスを選択的に印加する構成となっている。なお、図8に示す構成は、トナーの正規帯電極性がプラス極性である場合のものである。転写ローラ135は、芯金上に発泡層や表面コート層を形成したものを用いることができる。
また、直接転写方式の画像形成装置としては、図9に示すように、感光体2と転写ベルト235との間に転写ニップを形成する構成であってもよい。図9に示す構成では、転写ベルト235が2つの支持ローラに張架されており、転写ニップを形成する転写ベルト部分の内周面又はその近傍に、バイアスローラ235aとバイアスブラシ235bが当接している。バイアスローラ235a及びバイアスブラシ235bには、直流電源と交流電源とを有する転写バイアス電源239が接続されており、転写ニップに対して直流転写バイアス又は交流転写バイアスを選択的に印加する構成となっている。なお、図9に示す構成は、トナーの正規帯電極性がマイナス極性である場合のものである。
また、直接転写方式の画像形成装置は、図10に示すように、4つの感光体2Y,2M,2C,2K上に形成したトナー像を、互いに重なり合うようにして記録紙Pへ直接転写する直接転写方式のタンデム型画像形成装置であってもよい。図10に示す構成では、4つの感光体2Y,2M,2C,2Kと転写ベルト335との間にそれぞれ転写ニップを形成する構成である。図10に示す構成では、各転写ニップを形成する転写ベルト部分の内周面又はその近傍に、それぞれ、バイアスローラ335aとバックアップローラ335bが当接している。各バイアスローラ335aには、直流電源と交流電源とを有する転写バイアス電源339が接続されており、各転写ニップに対して直流転写バイアス又は交流転写バイアスを選択的に印加する構成となっている。なお、図10では、M用感光体2Mの転写ニップに対応する転写バイアス電源339しか図示しておらず、他の感光体の転写ニップに対応する転写バイアス電源の図示を省略してある。また、図10に示す構成は、トナーの正規帯電極性がマイナス極性である場合のものである。
また、中間転写方式の画像形成装置としては、図11に示すように、二次転写部材として、紙搬送ベルト536を用いた構成であってもよい。図11に示す構成では、紙搬送ベルト536が2つの支持ローラ536a,536bに張架されており、中間転写ベルト31との間で二次転写ニップを形成する紙搬送ベルト部分の内周面に当接する支持ローラ536aには、直流電源と交流電源とを有する転写バイアス電源539が接続されている。これにより、二次転写ニップに対して直流転写バイアス又は交流転写バイアスを選択的に印加する構成となっている。ただし、上述した実施形態の場合と同様に、二次転写ニップを形成する中間転写ベルト部分の内周面に当接する二次転写裏面ローラ533に転写バイアス電源を接続して、二次転写ニップに対して直流転写バイアス又は交流転写バイアスを選択的に印加する構成としてもよい。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
中間転写ベルト31や感光体2等の像担持体と、光書込ユニット80等の潜像形成手段により形成される画像情報に応じた潜像を現像装置8等の現像手段により現像して得られるトナー像を、前記像担持体の表面に形成するトナー像形成手段と、前記像担持体の表面に当接して転写ニップを形成するニップ形成ローラ36、転写ローラ135、転写ベルト235,335、紙搬送ベルト536等の転写部材と、前記像担持体の表面に形成されたトナー像を前記転写ニップで記録紙P等の記録材へ転写するための転写バイアスを該転写ニップに印加する二次転写バイアス電源39、転写バイアス電源139,239,339,539等の転写バイアス印加手段と、所定の転写バイアス切替条件に従って、前記転写バイアスを、直流成分のみからなる直流転写バイアス、又は、直流成分に交流成分が重畳した交流転写バイアスへ切り替える制御手段300等の転写バイアス切替手段とを有する画像形成装置において、前記潜像形成手段は、前記交流転写バイアスを用いて記録材へ転写されるトナー像の潜像を形成する交流転写モードのとき、前記直流転写バイアスを用いて該トナー像を該記録材へ転写する場合よりもドット数を少なくする等により潜像面積が小さくなるように、該潜像を形成することを特徴とする。
これによれば、交流転写バイアスによりトナーチリが発生することでトナー像のトナー付着領域が広がることを見越して、交流転写バイアスを用いるときには予め潜像面積が小さくなるように潜像を形成する。よって、交流転写バイアスを用いて画像形成する際、トナーチリの発生によりトナー像のトナー付着領域が広がることで本来のトナー付着領域に近づくことになる。その結果、トナーチリが発生しても、ハーフトーン画像における画像濃度が目標濃度よりも高く(濃く)なったり、線や文字が太くなったりするといった不具合が発生することを抑制できる。
(態様B)
前記態様Aにおいて、前記潜像面積は、ドット状潜像の総面積であることを特徴とする。
これによれば、ドット状潜像を形成する潜像形成手段において、潜像面積を小さく変更する制御が容易である。
(態様C)
前記態様A又はBにおいて、前記潜像形成手段は、規定値を超える平滑度を有する記録材へ前記交流転写バイアスを用いて転写されるトナー像の潜像を形成するときには、前記直流転写バイアスを用いて該トナー像を該記録材へ転写する場合と同じ潜像面積で、該潜像を形成することを特徴とする。
上述したとおり、交流転写バイアスで画像形成する場合であっても、例えばコート紙のように記録紙の平滑度が高いときには、記録紙の表面凹凸が少ないので、記録材の表面と像担持体の表面との間の密着度が高く、トナーの往復運動の幅が小さく抑制されて、トナーチリが発生しにくい。よって、記録材の表面に付着するトナー付着領域が広がりにくく、階調と画像濃度との関係は直流転写バイアスの場合とほぼ同様となる。そのため、交流転写バイアスで画像形成する際、記録紙の平滑度が高いときにも、直流転写バイアス時よりも潜像面積が小さくなるように潜像形成すると、逆に、ハーフトーン画像における画像濃度が目標濃度よりも低くなったり、線や文字が細くなったりするといった不具合が生じ得る。本態様によれば、このような不具合の発生が抑制される。
(態様D)
前記態様A〜Cのいずれかの態様において、前記潜像形成手段は、ドット状潜像の数によって画像濃度の階調を制御する面積階調制御により目標画像濃度の潜像を形成するものであることを特徴とする。
面積階調制御は、トナー付着領域の広さで濃度階調を表現するので、交流転写バイアスによるトナーチリの影響が画像濃度に大きく影響するので、トナーチリによる不具合を抑制できるメリットが大きい。
(態様E)
前記態様Dにおいて、前記潜像形成手段は、前記ドット状潜像の数を減らすことで前記潜像面積を小さくすることを特徴とする。
これによれば、潜像条件を制御することで容易に潜像面積の大きさを調整できる。
2 感光体
6 帯電装置
8 現像装置
31 中間転写ベルト
33 二次転写裏面ローラ
35 一次転写ローラ
36 ニップ形成ローラ
39 二次転写バイアス電源
80 光書込ユニット
90 定着装置
100 給紙カセット
139,239,339,539 転写バイアス電源
200 二次転写バイアス電源
201 直流電源
202 交流直流重畳電源
235,335 転写ベルト
300 制御手段
536 紙搬送ベルト
特開2012−118401号公報 特開2013−178451号公報

Claims (2)

  1. 像担持体と、
    潜像形成手段により形成される画像情報に応じた潜像を現像手段により現像して得られるトナー像を、前記像担持体の表面に形成するトナー像形成手段と、
    前記像担持体の表面に当接して転写ニップを形成する転写部材と、
    前記像担持体の表面に形成されたトナー像を前記転写ニップで記録材へ転写するための転写バイアスを該転写ニップに印加する転写バイアス印加手段と、
    所定の転写バイアス切替条件に従って、前記転写バイアスを、直流成分のみからなる直流転写バイアス、又は、直流成分に交流成分が重畳した交流転写バイアスへ切り替える転写バイアス切替手段とを有する画像形成装置において、
    前記潜像形成手段は、ドット状潜像の数によって画像濃度の階調を制御する面積階調制御により目標画像濃度の潜像を形成するものであり、規定値未満である平滑度を有する記録材へ前記交流転写バイアスを用いて転写されるトナー像の潜像を形成するときの面積階調制御では、一部又は全部の階調におけるドット状潜像の数を、前記直流転写バイアスを用いるときの面積階調制御よりも減らして、潜像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置において、
    前記潜像形成手段は、規定値以上の平滑度を有する記録材へ前記交流転写バイアスを用いて転写されるトナー像の潜像を形成するときの面積階調制御では、一部又は全部の階調におけるドット状潜像の数を、前記直流転写バイアスを用いるときの面積階調制御と同じ数にして、潜像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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